(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】自動二輪車を作動させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60W 40/06 20120101AFI20231204BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231204BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231204BHJP
B62J 27/00 20200101ALI20231204BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20231204BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20231204BHJP
【FI】
B60W40/06
B60W50/14
G08G1/16 C
B62J27/00
B62J45/00
B62J50/22
(21)【出願番号】P 2022551281
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2021050929
(87)【国際公開番号】W WO2021180385
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102020202986.5
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ウド
(72)【発明者】
【氏名】ハック,アルムート
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-500784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0311075(US,A1)
【文献】国際公開第2019/180875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B62J 27/00
B62J 45/00
B62J 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車(100)を作動させる方法において、前記自動二輪車(100)の周辺域(106)を検知して、前記周辺域(106)内で前記自動二輪車(100)のために利用可能なフリーエリア(114)を認識し、前記フリーエリア(114)の変化と前記自動二輪車(100)の軌道(122)とを予知してコンフリクト(128)に関し評価し、コンフリクト事例(130)において、前記自動二輪車(100)にとってコンフリクトのない代替軌道(134)を検出して、前記自動二輪車(100)のドライバー(140)に伝達する方法。
【請求項2】
前記フリーエリア(114)の前記変化を予知するため、および/または、前記軌道(122)を予知するため、前記自動二輪車(100)の特徴的な固有運動を考慮する、請求項1による方法。
【請求項3】
前記代替軌道(134)の走行可能性を、前記自動二輪車の数学的単軌道モデルを使用して検出する、請求項1~2のいずれか一項による方法。
【請求項4】
前記フリーエリア(114)の前記変化を予知するため、他の道路利用者の運動予測を実施する、請求項1~3のいずれか一項による方法。
【請求項5】
前記運動予測を、前記他の道路利用者の軌道情報を使用して行う、請求項4による方法。
【請求項6】
前記周辺域(106)を検知する際、前記他の道路利用者の光信号を検知し、前記運動予測を、前記光信号を使用して行う、請求項4~5のいずれか一項による方法。
【請求項7】
前記コンフリクト事例において、警告信号を前記他の道路利用者へ送信する、請求項
4~6のいずれか一項による方法。
【請求項8】
前記代替軌道(134)を、触覚信号を使用して前記ドライバー(140)へ伝達する、請求項1~7のいずれか一項による方法。
【請求項9】
前記代替軌道(134)を光学的に前記ドライバー(140)へ伝達する、請求項1~8のいずれか一項による方法。
【請求項10】
前記代替軌道(134)を、前記周辺域(106)のマップ情報を使用して検出する、請求項1~9のいずれか一項による方法。
【請求項11】
前記ドライバー(140)が反応時間内に前記伝達に対する反応を示さないときに前記代替軌道(134)に追従するために前記自動二輪車(100)を誘導する、請求項1~10のいずれか一項による方法。
【請求項12】
装置(102)において、前記装置(102)は、請求項1~11のいずれか一項による方法を対応する機構で実施するために、実行へ移すために、および/または開始するために形成されている装置。
【請求項13】
コンピュータプログラム製品の実施の際に、プロセッサに対し、請求項1~11のいずれか一項による方法を実施するように、実行へ移すように、および/または開始するように指示するために設置されている前記コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項13による前記コンピュータプログラム製品が記憶されている、機械読み取り可
能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車を作動させる方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車では、ドライバーの負担を軽減するために種々のドライバーアシストシステムが設けられていることがある。このため、乗用車は、車両周辺域を検知するために種々のセンサを有していてよい。ドライバーアシストシステムは、センサのデータにアクセスして現在の走行状況を検知し分析することができる。分析から、ドライバーに対する運転指示を生成することができる。乗用車内では、運転指示を種々の表示システムを介してドライバーに対し提供することができる。
【0003】
自動二輪車の場合、一般的にはセンサも表示システムも設けられていない。自動二輪車のドライバーは自動二輪車の周辺域をその目で検知し、その印象に反応する。自動二輪車はそのドライバーによって純粋に手動で制御される。
【発明の概要】
【0004】
この背景に対し、ここに提示したアプローチにより、独立請求項による自動二輪車を作動させる方法、自動二輪車を作動させる装置、並びに最後に対応するコンピュータプログラム製品および機械読み取り可能な記憶媒体が提示される。ここに提示したアプローチの有利な更なる構成および改善点は本明細書から明らかであり、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明の実施形態は、自動二輪車のドライバーの知覚を支援することを有利な態様で可能にする。特に、たとえば狭路走行のような典型的な自動二輪車走行状況においては、危険な状況を認識してドライバーに警告することができる。
【0006】
自動二輪車を作動させる方法においては、自動二輪車の周辺域を検知して周辺域情報でイメージ化し、周辺域情報を使用して自動二輪車のために利用可能な周辺域内のフリーエリアを認識してフリーエリア情報でイメージ化し、フリーエリア情報を使用してフリーエリアの変化を予知し、自動二輪車のセンサデータを使用して自動二輪車の軌道を予知し、フリーエリアの変化と軌道とをコンフリクトに関し評価し、コンフリクト事例においては、前記変化を使用して自動二輪車にとってコンフリクトのない代替軌道を検出して、軌道情報として自動二輪車のドライバーに伝達することを提案する。
【0007】
本発明の実施態様に対する考え方は、とりわけ、以下で説明する思想および認識に基づいているものと見なしてよい。
【0008】
自動二輪車とは、動力化された二輪車と理解してよい。自動二輪車は単軌道車両であり、自転車のようにそのドライバーの安定化運動、最小限の操舵運動によって平衡が保たれ、ある特定の速度からはその車輪のジャイロ力によって平衡が保たれる。その際の平衡は不安定であり、或いは、変動しやすい。安定化運動、操舵運動および/またはジャイロ力がなければ、自動二輪車は側方へ傾いて転倒することがある。
【0009】
自動二輪車の周辺域として、特に自動二輪車の前方領域を挙げることができる。しかし、周辺域は自動二輪車の側方領域および/または自動二輪車の後方領域を含んでよい。周辺域は、たとえば少なくとも1つのカメラによって検知することができる。その際カメラは自動二輪車に固定されていてよいが、或いは、たとえばヘルメットカメラまたはボディカメラとしてドライバーに配置されていてもよい。カメラの画像情報では、物体およびフリーエリアをたとえば「セマンティックセグメンテーション」方式のような機械的視覚によって検知することができる。
【0010】
択一的にまたは補完的に、周辺域を複数の超音波センサまたは少なくとも1つのレーダーセンサを用いて検知してもよい。超音波データおよびレーダーデータでも物体を認識することができる。
【0011】
道路の、隣接しあっている物体の間にあるオープンな領域は、フリーエリアと呼ぶことができる。2台の車両の間にしてこれら車両の側方にあるフリーエリアは、狭路と呼ぶことができる。狭路が自動二輪車よりも幅広であれば、自動二輪車は衝突なしにこの狭路を操舵によって通過することができる。その際、車両に対する必要な距離はたとえばドライバーの運転能力および/または実際の速度に依存していてよい。
【0012】
フリーエリアは物体の運動によって、特に他の車両の運動によって変化することがあり、すなわちより大きくなったり、より小さくなったりする。フリーエリアは、境を接している複数の物体が互いに離間しあえばより長くおよび/またはより広くなりうる。フリーエリアは、境を接している複数の物体が互いに接近しあえば、より短くおよび/またはより狭くなりうる。この変化は、限定的な時間ホライゾンに対しては、たとえば物体の運動を推定することにより先を見越して予言することができる。
【0013】
自動二輪車の軌道は、自動二輪車のセンサ値から特定することができる。たとえば自動二輪車の操舵角、自動二輪車の速度、自動二輪車の傾斜角を検知することで、自動二輪車の現時点での回転半径を特定することができる。軌道は、同様に限定的時間ホライゾンに至るまで推定することができる。時間ホライゾンは速度に依存していてよい。
【0014】
コンフリクト事例においては、軌道とフリーエリアの境界との間にコンフリクトが存在する。コンフリクト事例は、時間ホライゾンの内側で軌道が少なくともフリーエリアを境界付ける物体と接触するときに認識することができる。軌道に沿ったフリーエリアがおそらく安全間隔よりも狭い分だけ自動二輪車よりも狭くなるであろうと予想されれば、同様にコンフリクトが確認される。
【0015】
代替軌道は、フリーエリアの境界を侵害することなく、または、安全間隔を下回ることなく、自動二輪車をコンフリクトの場所付近で誘導する。代替軌道へ到達するには、少なくとも自動二輪車のダイナミックスへのアクティブな介入が必要である。自動二輪車を代替軌道へ移動させるには、たとえば加速過程、制動過程および/または少なくとも1回の操舵過程が必要である。
【0016】
代替軌道は、自動二輪車のドライバーにたとえば方向推奨を介して伝達させることができる。その際、方向推奨は右側か左側のいずれかを指すものであってよい。択一的にまたは補完的に、代替軌道をドライバーに制動推奨または加速推奨を介して伝達させてよい。推奨はたとえば光学的に、触覚的におよび/または音響的に提供することができる。
【0017】
自動二輪車が適当なアクチュエータを有していれば、ドライバーに適正な方向への操舵支援による触覚的指示として方向推奨を伝達させることができる。同様に、自動二輪車のブレーキシステムをたとえばブレーキジャークのために起動させて、ドライバーに代替軌道のための制動推奨を伝達させることができる。さらに、自動二輪車の原動機制御をたとえば加速度ジャークのために起動させて、ドライバーに代替軌道のための加速度推奨を伝達させることができる。
【0018】
フリーエリアの変化を予知するため、および、択一的にまたは補完的に軌道を予知するため、自動二輪車の特徴的な固有運動を考慮してよい。運転姿勢を安定化させるため、ドライバーは直線走行において特徴的な固有運動として特に低速度時にジグザグ線に沿って走行する。ジグザク線により、後輪の接地点と前輪の接地点とを結ぶ結合線は平衡を保持するために自動二輪車の重心からその都度右側、左側へずれることがある。このジグザグ線は、自動二輪車がゆっくり走行していればいるほど、際立ったものになりうる。
【0019】
カーブ走行に入るため、ドライバーは特徴的な固有運動として一般的にはまず所望のカーブ方向とは逆方向にカウンターインパルスを生じさせて、自動二輪車をカーブ内へ傾動させ、または、重心をカーブ内側方向へ変位させる。次に、ドライバーは自動二輪車を傾斜姿勢で操舵してカーブを通過させる。カーブの終了時、カーブ方向でのより強い操舵運動によって直立運動を行うことで、重心を再び前記結合線上へ持ちきたす。この特徴的な固有運動は、自動二輪車の地面上または平面上への投影よりも大きい必要スペースを有している。したがって、この拡大された自動二輪車の必要スペースを考慮してよい。
【0020】
代替軌道の走行可能性を、自動二輪車の数学的単軌道モデルを使用して検出してよい。その際、単軌道モデルを使用して自動二輪車の動的安定性を保証することができる。代替軌道が走行可能であると分類されれば、自動二輪車は極端な進路変更および/または速度変更なしに確実に代替軌道へ向けて操舵することができる。単軌道モデルは、自動二輪車の動的挙動をアルゴリズムでイメージ化することができる。単軌道モデルを使用すれば、たとえば代替軌道のカーブ半径を現在の速度で走行できるかどうかをチェックすることができる。同様に、代替軌道のカーブで制動する必要がある場合には、制動時の直立モーメントを考慮してよい。走行可能性を考慮することによって、あまり熟練していないドライバーも自動二輪車を代替軌道上で確実に操縦することができる。
【0021】
フリーエリアの変化を予知するため、他の道路利用者の運動予測を実施してよい。運動予測は、道路利用者の可能なおよび/または起こりうる運動および/または軌道をある程度の確率をもって予知することができる。自動二輪車の周辺域での他の道路利用者の現時点での運動および/または軌道はセンサデータで認識して評価することができる。運動および/または軌道は、運動予測のために時間ホライゾン内で推定することができる。
【0022】
運動予測を、他の道路利用者の軌道情報を使用して行ってよい。少なくとも一人の他の道路利用者は、たとえばデジタル通信チャネルを介してこれまで自ら走行してきた軌道に関する軌道情報を提供することができる。たとえば、道路利用者の速度に関する情報、道路利用者の加速度に関する情報、道路利用者の走行方向に関する情報または道路利用者の操舵角に関する情報が軌道情報の中に含まれていてよい。軌道情報は、道路利用者の計画された将来の軌道をダイレクトにイメージ化することができる。軌道情報によって運動予測を高精度に行うことができる。軌道情報は自動二輪車のセンサの視界とは独立であり、これによってより大きな視野が得られる。
【0023】
周辺域を検知する際、他の道路利用者の光信号を検知してよい。運動予測を、光信号を使用して行ってよい。光信号は、たとえば他の道路利用者の方向指示器、ブレーキランプおよび/またはバックランプによって提供することができる。その際、点滅している方向指示器は、車線変更が近いことを予告することができる。点灯しているブレーキランプは、制動過程を知らせることができる。光信号は、運動を認識することができる前に認識できる。これによって、フリーエリアの変化をより良好にまたはより見通しをもって予知することができる。
【0024】
コンフリクト事例において、警告信号を他の道路利用者へ送信してよい。警告信号は自動的に、ドライバーの関与なしに送信することができる。警告信号は光学的におよび/または音響的に送信してよい。たとえば、自動二輪車のヘッドライトをパッシングライトとして使用してよい。同様に、自動二輪車の方向指示器をハザードランプとして作動させてよい。択一的にまたは補完的に、自動二輪車のクラクションを作動させてよい。警告信号は、人工的に発生させたものとして認識可能な連続パルスを有していてよい。たとえば、パルスを高速シーケンスで送信してよい。択一的にまたは補完的に、パルスを顕著なパターンとして送信してよい。
【0025】
代替軌道を、触覚信号を使用してドライバーへ伝達させてよい。触覚信号は、自動二輪車に対するドライバーの接触点を介して伝えることができる。接触点はたとえばステアリンググリップ、シートクッション、フットレストおよび/または膝用当て面であってよい。接触点はたとえば振動させてよい。振動をパルスによって補完または代用してよい。触覚信号は、特徴的な信号パターンとして提供することができる。
【0026】
代替信号を、音響信号を使用してドライバーへ伝達させてよい。音響信号は、自動二輪車に設けた音発生器を介して提供することができる。同様に、音響信号をヘルメット内のスピーカーを介して提供してよい。音響信号は警告および/または指示であってよい。たとえば、ドライバーは警告によって危険状況に関し指示を受けることができる。同様に、指示によってドライバーに代替軌道に対応して行動するよう要求することができる。触覚信号には、その効果を増強するために音を付随させてよい。
【0027】
代替軌道を光学的にドライバーへ伝達させてよい。その際、代替軌道はドライバーの視野の中に入ることができる。光学信号は、たとえば警告灯および/または信号灯を介して提供してよい。警告灯および/または信号灯は、自動二輪車のコックピットの一部であってよい。たとえば、コックピットの方向指示器を退避方向の指示のために使用してよい。警告灯および/または信号灯は追加的にコックピット内に配置されていてもよい。同様に、警告灯および/または信号灯はヘルメットに配置されていてよい。
【0028】
光学信号は、同様にディスプレイを介してグラフィックとして提供されてよい。ディスプレイはコックピットの一部であってよい。同様に、ディスプレイはヘルメットに配置されているか、或いは、別個の器具の一部であってよい。ディスプレイは、たとえば通常時にナビゲーション情報を表示するために使用することができる。
【0029】
代替軌道を、周辺域のマップ情報を使用して検出してよい。代替軌道は、先にある危険個所を考慮することができる。たとえば、先にあるカーブのカーブ半径を考慮して、たとえば理論的に可能な加速過程の代わりに制動過程を退避軌道の一部として使用することができる。
【0030】
ドライバーが反応時間内に伝達に対する反応を示さないときに代替軌道に追従するために自動二輪車を誘導してよい。自動二輪車の誘導は、加速過程もしくは制動過程および/または操舵過程を起動させることができる。その際、操舵過程は前輪の操舵角を調整することができる操舵アクチュエータによって起動させることができる。制動過程は、自動二輪車のブレーキシステムで起動させることができる。加速過程は、自動二輪車の原動機制御を介して起動させることができる。フリーエリアの変化に対し確実に反応できるようにするため、反応時間の間に代替軌道を連続的に更新してよい。もしドライバー自身がコントロールを行うならば、前記誘導は中止することができる。しかしながら、ドライバーに引き続き代替軌道を指示するために、伝達は可能なすべての伝達経路を介して維持することができる。
【0031】
本方法は、たとえばソフトウェアまたはハードウェアで、或いは、ソフトウェアとハードウェアの混合形態で、たとえば制御器において実行することができる。
【0032】
ここに提示したアプローチは、さらに、ここに提示した方法の実施態様のステップを対応する機構で実施するために、開始するために、または、実行へ移すために形成されている装置を提供する。
【0033】
前記装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの演算ユニットと、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つの記憶ユニットと、少なくとも1つのインターフェースおよび/または通信プロトコールに埋め込まれているデータの読み込みまたは出力を行うための通信インターフェースとを備えた電子機器であってよい。演算ユニットは、たとえば信号処理器、いわゆるシステムASIC、または、センサ信号を処理し、センサ信号に依存してデータ信号を出力するためのマイクロコントローラであってよい。記憶ユニットは、たとえばフラッシュメモリ、EPROM、または、磁気記憶ユニットであってよい。インターフェースは、センサからセンサ信号を読み取るためのセンサインターフェースとして、並びに/またはデータ信号および/もしくは制御信号をアクチュエータに出力するためのアクチュエータインターフェースとして形成されていてよい。通信インターフェースは、データを無線でおよび/または有線で読み取りまたは出力するために形成されていてよい。インターフェースは、たとえばマイクロコントローラに他のソフトウェアモジュールとともに設けられているソフトウェアモジュールであってもよい。
【0034】
半導体メモリ、ハードディスクメモリまたは光学メモリのような機械読み取り可能な担体または記憶媒体に記憶されていてよく、前述した実施態様による方法のステップを実施するために、実行へ移すために、および/または、開始するために使用され、特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置で実施されるときに使用されるプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0035】
なお、本発明の可能な構成要件および利点のいくつかはここでは異なる実施態様に関連して説明されていることを指摘しておく。当業者は、本発明の更なる実施態様に到達するには、装置および方法の構成要件を適当に組み合わせ、適合させ、または交換することができることを認識している。
【0036】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。なお、図面も説明も本発明を限定的に解釈すべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】1実施形態による装置を備えた自動二輪車の図である。
【
図2】1実施形態による装置を備えた自動二輪車を他の車両間の狭路内で示した図である。
【
図3】1実施形態による装置を備えた自動二輪車を、狭路内に割り込んでくる車両とともに狭路内で示した図である。
【
図4】1実施形態による装置を備えた自動二輪車を、装置で検出した退避軌道上で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図は単に概略であり、寸法どおりのものではない。同じ参照符号は図において同じ構成または同じ作用をする構成を示している。
【0039】
図1は、1実施形態による装置102を備えた自動二輪車100を示している。ここでは、自動二輪車100は前方へ向けられたカメラ104を有している。カメラ104は、自動二輪車100の周辺域106の一部を検知し、それを周辺域情報108でイメージ化する。装置102は周辺域情報108を読み取って、これを装置102の評価機構110において評価する。その際、マシンビジョンのアルゴリズムを使用して周辺域106内の複数の物体112が認識される。
【0040】
認識した複数の物体を使用して、複数の物体112間で利用可能なフリーエリア114を認識し、フリーエリア情報116でイメージ化する。過去の時間内でのフリーエリア114の変化から、すなわち互いにタイムオフセットをもって作成した少なくとも2つのフリーエリア情報116から、装置102の予知機構118は、将来の時間内でのフリーエリア114の推定将来変化120を予知する。なお、時間はたとえば数秒を含んでいてよい。
【0041】
予知機構118は、さらに、たとえば過去の時間内で検知した自動二輪車100の現在の軌道124を使用して、将来の時間内での自動二輪車100の推定将来軌道122を予知する。現在の軌道124は、たとえば自動二輪車100に取り付けたセンサを介して検知することができる。
【0042】
装置102の評価機構126において、変化120と将来軌道122とをコンフリクト128に関して評価する。評価機構126は、コンフリクト128をコンフリクト事例130として表示する。コンフリクト事例130では、装置102の検出機構132において、フリーエリア情報116を使用して自動二輪車100のための少なくとも1つのコンフリクトのない代替軌道134を検出する。代替軌道134を軌道情報136でイメージ化して、装置102または自動二輪車100の通信システム138を介して自動二輪車100のドライバー140へ伝達する。
【0043】
1実施形態では、カメラ104はドライバー140のヘルメットカメラとして実施されている。ヘルメットカメラは、同様に周辺域106の一部を周辺域情報で検知する。しかしながら、この場合前記一部は可変であり、すなわちドライバー140の頭部の位置に依存して変化しうる。
【0044】
1実施形態では、通信システム138は、通信手段として触覚信号をドライバー140に対し提供するために形成されている。このため、ドライバー140と自動二輪車100との間の少なくとも2つの接触点に、バイブレーションおよび/またはインパルス用の発信器が配置されている。たとえば、通信システム138の発信器は自動二輪車100の両ハンドルグリップに配置されている。択一的にまたは補完的に、発信器をフットレストおよび/またはタンク側部に対を成して配置してよい。右側または左側の発信器のバイブレーションおよび/またはインパルスを介して、代替軌道134の方向を伝達することができる。警告は、両発信器において同時に出力することができる。自動二輪車のシートも、1つまたは複数の発信器を介してインパルスおよび/またはバイブレーションをドライバーに伝達することができる。バイブレーションおよび/またはインパルスは、たとえばドライバー140が代替軌道134上を走行するまでの間、出力することができる。
【0045】
1実施形態では、通信システム138は、通信手段として音響信号をドライバー140に対し提供するために形成されている。このため、自動二輪車100は、たとえばドライバー140へ向けられたスピーカーを有することができる。また、音響信号をドライバー140のヘルメット内のヘッドフォンを介して提供してもよい。このため、たとえばヘルメットのヘッドフォンケーブルを自動二輪車100に留めることができる。有利な態様では、音響信号はワイヤレスでヘッドフォンへ伝達することができる。音響信号は音声またはメロディーであってよい。同様に、音響信号は音声による指示または警告であってよい。音響信号は、触覚信号および/または光学信号と組み合わせて提供してよい。
【0046】
1実施形態では、通信システム138は、通信手段として光学信号をドライバー140に対し提供するために形成されている。たとえば、自動二輪車100のコックピットに少なくとも1つの信号灯が配置されている。信号灯は閃光、点滅、および/または、色を交替させることができる。信号灯を左側および右側に対で取り付ければ、代替軌道134の方向を指し示すことができる。信号灯はドライバー140のヘルメットの内部または側部に配置されていてもよい。ヘッドフォンに対応して信号灯を有線または無線で起動させてよい。
【0047】
1実施形態では、通信システム138は、軌道情報136を表示するためにディスプレイを有している。軌道情報136および他の情報をディスプレイ上にグラフィックで示すことができる。この場合、ディスプレイはコックピット内に固定的に組み込まれていてよく、ヘッドアップディスプレイとして実施されていてもよい。同様に、ディスプレイとして、ドライバー140の視界内に配置されるナビゲーション装置のような外部装置を使用することができる。しかし、ディスプレイをヘルメット内に組み込んでもよい。
【0048】
1実施形態では、自動二輪車は、ドライバー140のほうへ向けられている他のカメラを有している。このカメラを介してドライバー140の視線方向を検知する。したがって、ドライバー140が軌道情報136に気づいたかどうか、或いは、コンフリクト128を確認したかどうかを検出することができる。ドライバー140が軌道情報136および/または間近のコンフリクトを確認しなかった場合には、軌道情報136をより高い緊急性で伝達させることができる。たとえば、軌道情報136を上記通信手段のいくつかへ同時に伝達させることができる。
【0049】
1実施形態では、軌道122を予知するため、自動二輪車100の特徴的な固有運動を考慮する。固有運動により、軌道122上での自動二輪車100の必要空間を次のように予知し、すなわち評価機構126においてコンフリクトが観察された場合に、認識された物体112に対し十分に安全間隔を維持できるように予知する。
【0050】
1実施形態では、自動二輪車100の数学的単軌道モデルを使用して、代替軌道134をその走行可能性に関して検査する。したがって、自動二輪車100が極端な速度変更および/または極端な方向変更なしに、かつスタビリティロスなしに走行できるよう保証することができる。もし走行可能性が閾値以下であれば、代替軌道を却下し、ドライバー140には伝えない。このときは、他の代替軌道134を検出し、検査し、伝達する。
【0051】
図2は、1実施形態による装置102を備えた自動二輪車100を、他の複数の車両202間の狭路200内で示している。なお、自動二輪車100は実質的に
図1の自動二輪車に対応している。自動二輪車100は、少なくとも2つの車線を備えた一方向車道上を2つの列204の車両202間の狭路200内で走行している。車両202は装置102によって物体として認識され、他方狭路200は物体間のフリーエリアとして認識される。自動二輪車100は、車両202よりもわずかに高い速度で狭路200を走行している。
【0052】
装置102は、カメラの検知範囲内で車両202に対する運動予測を実施する。その際、車両202の軌道情報から、すなわち車両202の現時点での運動方向または運動方向の変化から、および、現時点での速度または速度の現時点での変化から、車両202の将来の運動方向および将来の速度を推定する。したがって、車両202間の間隔の進展を予知することができる。
【0053】
図3は、1実施形態による装置102を備えた自動二輪車100を狭路200内で示したもので、狭路200内へ割り込んでくる車両202がある。図示は実質的に
図2の図示に対応している。ここでは、1台の車両202が左側の列204から狭路200内へ自動二輪車100の前方を突っ切るように進んでいる。装置102はコンフリクト128が間近に迫っていることを認識して、代替軌道134を求める。その際加速させて、列204から割り込んでくる車両202のそばをぎりぎりで通過する可能性、制動させて、割り込んでくる車両202の後方に入る可能性、或いは、他の列204の方向に横へ退避する可能性がある。退避の可能性は、右側の列204の1台の車両202が前車に対する車間距離を大きくしたちょうどそのときに右側の列204で自動二輪車100の右横に隙間300があくことによって得られる。
【0054】
図4は、1実施形態による装置102を備えた自動二輪車100を、装置102で検出した退避軌道上で示している。なお、図示は実質的に
図3の図示に対応している。ここでは、車両202は狭路200に割り込んで、狭路200をブロックしている。
【0055】
1実施形態では、装置102はドライバーに制動するよう促した。これによって、今自動二輪車100は割り込んだ車両202の後方を走行している。
【0056】
1実施形態では、装置102はドライバーに右側の隙間300へ退避するよう促した。これによって、ドライバーは右側の列204に入った。択一的に、ドライバーは隙間300を通り越して、右側の列204の右側へ達してそこでその走行を継続することもできる。
【0057】
換言すれば、
図1ないし
図4は、関与している道路利用者が進路変更を行う際に衝突を回避するための予測型二輪車アシスタントを示している。
【0058】
自動二輪車は乗用車よりも敏捷で、幅狭であり、より変化がありうる、より多様な軌道を持っており、乗用車のドライバーによって認識されないか、或いは認識されるのが遅すぎることが多い。特に狭路走行や混雑した交通での蛇行運転は、後方の自動二輪車とそのドライバーが乗用車のドライバーによって認識されないか、或いは認識されるのが遅すぎることが多いので、高い事故リスクをもたらす。同様に危険なのは、都市交通における多車線道路である。ここでは、複数の車両が同じような速度で並走することが多い。乗用車のドライバーが急いでいて、左側車線のほうがより速いと勘違いして走行していることが多々ある。しかしながら、右側車線の交通のほうがより速く流れていれば、自動二輪車のドライバーは容易に死角に入る。急き立てられている乗用車のドライバーは次の出口を利用したく、自動二輪車を見落とす(例:シュトゥットガルトの中心部の連邦道路B14)。
【0059】
ここに提示したアプローチにより、都市交通における自動二輪車と他の車両との事故を回避することができる。
【0060】
このため、自動二輪車ドライバーは、自動二輪車の将来予想される軌道に車両が割り込むか、横切ることを予想して適時に警告を受ける。オプションでは、実施形態によっては、自動二輪車および/または関与車両での付加的な事故回避システムの介入が伴う。
【0061】
ここに提示したアプローチの利点は、自動二輪車の重大事故がさらに減少することにあり、よって自動二輪車ドライバーの傷害リスクがより低下することにある。
【0062】
走行方向において前方に向けられるカメラおよび機械的視覚(特徴抽出、物体検知、分類のための方法およびアルゴリズム)により、車両、車両灯火信号、交通標識/信号灯および路面標識、インフラストラクチャー(建物、橋、ガードレール、車道、歩道など)、人などを機械的にリアルタイムで認識できる。
【0063】
これらの情報を用いて、たとえば走行方向において走行可能な領域のフリーエリア認知が可能である。他の物体と衝突することなく、これらの領域内へ車両を進入させることができ、或いは、これらの領域内へ退避できる。ここで評価したフリーエリアは、自動二輪車の走行方向または予知した軌道の縦方向および横方向における車両間の領域を考慮に入れている。
【0064】
自動二輪車および他の車両のそれぞれの運動学および動力学から、車両の遭遇または軌道の交差の確率またはリスクを指摘するような、フリーエリア内への軌道またはフリーエリア上への軌道を予知することができる。
【0065】
特に狭い走行路(狭路走行)および/または狭い車間距離(蛇行走行)の場合には、これは自動二輪車とドライバーにとって十分でないこともあるので、フリーエリアの変化および他の車両の予知軌道の変化が間もなく起こりうることを示す表示器が推奨される。この場合、狭路幅の減少および/または車間距離の減少が起こりうるならば、特に有益である。
【0066】
たとえば、車両の姿勢における突然の変化は、車両の予知軌道の変化を示唆していることがある。このような変化は機械的視覚により認識することができる。
【0067】
たとえば、車両のブリンカーが作動していることが自動二輪車の予知走行狭路に沿って機械的視覚により検知されれば、ブリンカーを点滅させている車両の予知軌道の点滅方向における変化が間もなく起こりうる。
【0068】
自動二輪車の予知されたフリーエリアおよび軌道から、快適で安全な走行および/または加速および/または制動がまだ可能であるかどうかを導出することができる。もし可能でなければ、自動二輪車の予知軌道に沿って走行している他の車両のドライバーに、自動二輪車の自動作動光および/またはクラクションにより警告を発することができる。自動二輪車のドライバーには、前方のフリーエリアであって、しかし少なくとも自動二輪車の予知軌道に沿ったフリーエリアと、快適で安全なルートとを指示することができる。フリーエリアの変更の動特性によっては、加速を推奨すること(間もなくフリーエリアが十分なものでなくなるが、しかしより高速度であればまだ通過可能である)、或いは、制動を推奨すること(フリーエリアが十分でない)を行うことができる。
【0069】
加えて、触覚的および/または視覚的および/または音響的な信号も自動二輪車ドライバーを支援することができる。たとえば、自動二輪車の退避が左側のみでまだ衝突なしに可能であれば、バイブレーションによって指示を行うことができ、並びに/または、緑色のLED左側および/もしくは赤色のLED右側によって自動二輪車ドライバーの迅速な決定を支援することができる。
【0070】
1実施形態では、自動二輪車では、自動二輪車周囲のフリーエリア認識が実行されている(補助的に側方および後方へ向けて)。これによって、並走車および後方交通と衝突しないようにするために(より迅速な反応時間)、自動二輪車ドライバーに、まずミラーで確認する/肩越し視線/振り返ることなしにすぐにハンドルを切る/退避することができる、または方向確認しなければならないなどと指示することができる。
【0071】
軌道予想評価から、および、検知した交通標識および路面標識などの機械的視覚を用いて、車両の初期の車線変更および進路変更も評価することができ、しかも車両はブリンカーで合図することなく(たとえばドライバーはブリンカーを操作せず、目視せずに)、かつ、それぞれのドライバーに警告を発するために音響信号および/または光信号を使用せずに可能である。
【0072】
基本的には、車両周囲のフリーエリアおよび物体を認識するために、後方へ向けられて、距離を測定し物体を認識するすべての側部センサを利用できる。したがって、後方へ向けられる超音波センサまたはレーダーはすぐ後ろの車両に対する距離を特定でき、後方へ向けられる、たとえばミラー代替システムおよび/またはサラウンドビューシステム(360°)の側部カメラは、後方横から来る自動二輪車を検知できる。
【0073】
車両間の間隔が狭すぎると、これを車両の側部外面に表示することができ、その結果自動二輪車ドライバーは、列の間を蛇行して通り抜けるのが不可能であると認識する。
【0074】
後方横から近づいてくる自動二輪車ドライバーは、車両のドライバーに対して車両のミラーおよび/または表示器に表示させることができ、または、合図で知らせることができ、その結果車両のドライバーは、走行狭路または自動二輪車の予知軌道内へ入ろうとすると警告を受け、または、注意を促される。
【0075】
車両がドライバーモニタリングカメラを使用している場合には、さらに、ドライバーが警告を見て気づいたかどうか、並びに/または、ミラーもしくは後方ビデオおよび/もしくは側方ビデオを見て気づいたかどうかを認識できる。ドライバーモニタリングカメラがドライバーに対し360゜インサイドビューをカバーするのが有利であり、これによってドライバー視線または頭の向きまたは視線方向を側方および後方にも良好に検知できる(肩越し視線)。ドライバーが自動二輪車ドライバーに気づかなかったならば、これを車両側部に表示することができ、その結果後方横から来る自動二輪車ドライバーは警告を受けたことになる。
【0076】
自動二輪車と車両との間にV2V通信があれば、位置、姿勢、予知軌道、計画ルート、車間距離、接近速度、待ち合わせ時間などを互いに交換することができる。外側の目視可能な合図手段は、少なくともネット化された車両および自動二輪車に対しては必要ない。
【0077】
さらに、クラウドを介しての通信も考えられ、クラウドではすべての情報を1つのマップにマージすることができる。この場合、このマージしたマップはすべての利用者からアクセス可能である。このとき、クラウドでマージした情報をベースにして予知される軌道およびフリーエリアから、利用している自動二輪車ドライバーおよび/または車両ドライバーに警告を送ることができる。その際の表示は、使用している表示技術に応じて、色でマーキングした危険領域および/または軌道および/または「オーグメンテッドリアリティ」(記号および/またはエンファシスおよび/またはマーカーなどを重ね合わせたもの)を備えたディスプレイおよび/または「スマートグラス」もしくは「スマートバイザ―」(ヘルメットのバイザーに設けた透明なホログラフ表示器)上にフリーエリアが表示されるまで警告ランプによって行うことができる。
【0078】
自動二輪車或いは自動二輪車ドライバーのヘルメットまたは眼鏡がドライバーモニタリングカメラを使用していれば、さらに、自動二輪車ドライバーが警告を見て気づいたかどうか、並びに/またはミラーもしくは後方および/もしくは側方のビデオで見て気づいたかどうかを確認することができる。ドライバーモニタリングカメラがヘルメット内または眼鏡内にあるのが有利であり、この場合にはこれによって側方および後方へのドライバー視線または頭の方向または視線方向をも良好に検出できる(肩越し視線)。自動二輪車ドライバーが車両ドライバーに気づかなかったならば、これを自動二輪車外面に表示させることができ、その結果他の道路利用者はたとえば走行方向または車線を変更している車両ドライバーがいるとの警告を受ける。
【0079】
たとえば左側への車両のわずかなドリフトが自動二輪車によって確認され、車両の予知軌道が将来的に自動二輪車の軌道とぶつかり、しかしルートプランおよび/または方向指示器および/またはブリンカーが右側で作動しており、しかも車両のこの予知軌道に対する電子ホライゾンが進路変更を右側だと予告した場合には、左側への明らかな軌道変更が行われるまでの間(プランおよび/または合図とは逆方向の走行)、および/または、走行狭路/フリーエリアが自動二輪車用のスペースを十分に有していない間、および/または、必要な制動距離を下回りそうな間、警告は行わなくてよい。
【0080】
差し迫っている衝突、軌道の交差、十分でないフリーエリア(走行狭路、車両間の隙間)などについて断定された現時点での情報は、制動過程および/または操舵過程を導入または強化するためにも利用することができる。
【0081】
たとえば、自動二輪車を左側のフリーエリア内へわずかに退避させて衝突を回避できるならば、右側へのより大きな操舵抵抗によって自動二輪車ドライバーを迅速な決定(とっさの迅速な操舵または退避)に関して支援することができる。
【0082】
たとえば、導入された制動過程が衝突を阻止するために不十分であるように予知されていれば、自律的にブレーキ力を強化することができる。
【0083】
走行方向表示器/ブリンカーは、自動設定することができる。
【0084】
クラクションは音響警告信号として自動的に作動させることができ、場合によっては手動で発生させることができない特定のリズム、たとえば高速で連続する短い音によって作動させることができる。したがって、自動クラクションと手動クラクションとを区別することができる。
【0085】
ここに提示したアプローチは、特に車両のドライバーによって事前に情報提供されず、表示されなかった自動二輪車の軌道/フリーエリア内への越境移動時に、潜在的な事故(「越境移動」、「割り込み」、「横切り」、「車間距離を埋める」などによる事故)を回避するために役立つ。
【0086】
最後に指摘しておくと、「有する」、「含む」などの概念は他の構成要素またはステップを除外するものではなく、「1つ」という概念は複数を除外するものではない。請求の範囲の参照符号は、限定と見なすべきでない。
【符号の説明】
【0087】
100 自動二輪車
102 装置
106 周辺域
114 フリーエリア
122 推定将来軌道
128 コンフリクト
130 コンフリクト事例
134 代替軌道
140 自動二輪車のドライバー