(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】固体形態のビスフェノールFを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/70 20060101AFI20231204BHJP
C07C 39/16 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
C07C37/70
C07C39/16
(21)【出願番号】P 2022553673
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 IB2021051842
(87)【国際公開番号】W WO2021176407
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】202011009697
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】521345914
【氏名又は名称】アディティア・ビルラ・ケミカルズ・(タイランド)・リミテッド・(エポキシ・ディビジョン)
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダービー、プラディップ クマール
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャンダン クマール
(72)【発明者】
【氏名】タノムサップ、パラウィー
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0083271(KR,A)
【文献】特開平3-227943(JP,A)
【文献】特開昭56-12328(JP,A)
【文献】特開平9-241196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体形態のビスフェノールFを調製する方法であって、
ビスフェノールFを130~170℃の範囲の温度で押出機に投入するステップと、
投入された前記ビスフェノールFを、前記押出機の110~130℃の範囲の温度に維持された第1の混合領域で処理した後、前記押出機の100~110℃の範囲の温度に維持された第2の混合領域で処理するステップと、
処理された前記ビスフェノールFを前記押出機の75~100℃の範囲の温度に維持された排出領域に搬送するステップと、
前記処理されたビスフェノールFを排出するステップと、
固体形態のビスフェノールFを得るステップと、を含む方法。
【請求項2】
ビスフェノールFを130~150℃の範囲の温度で前記押出機に投入する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の混合領域は、115~130℃の範囲の温度に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の混合領域は、105~110℃の範囲の温度に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記排出領域は、75~95℃の範囲の温度に維持される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記押出機は、単軸押出機、二軸押出機、および多軸押出機からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記押出機は、同方向回転二軸押出機または異方向回転二軸押出機である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記押出機におけるビスフェノールFの総滞留時間は、0.2~10分の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
総滞留時間は、0.2~5分の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ビスフェノールFは、35~45重量%の2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、25~35重量%の4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、および10~20重量%の2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
排出された前記ビスフェノールFは、半固体または半溶融状態である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記排出されたビスフェノールFは、半固体スラリー、ペースト、および半固体ヌードルからなる群から選択される形態である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記固体形態は、ヌードル、ペレット、顆粒、フレーク、プリル、凝集体、粒子、およびボールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記固体形態は、抜き型、圧縮成形装置、射出成形装置、または成形キャビティを備えた移動ベルトによって得られる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投入されたビスフェノールFの98~99.99%が前記固体形態に変換される請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体形態のビスフェノールFを調製する方法に関する。より具体的には、本発明は、所望の形状およびサイズの固体形態のビスフェノールFをダストフリーで調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスフェノールFは、例えば、飲料や食品缶のコーティング、複合材、耐薬品性フロアコーティング、金属コーティング、パイプコーティング、建築、歯科材料、接着剤など、一般民生品の様々な分野で使用される。これは、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン、エポキシ樹脂などのプラスチックの製造によく使われ、材料の耐薬品性、機械的強度、および耐熱性を高めるために使用される。
【0003】
ビスフェノールFをより安全に使用するためにより好ましい形態は、ペレットまたは顆粒の形態である。しかしながら、ビスフェノールFは、2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタン、および他のいくつかのオリゴマーなど、様々な異性体で構成される。異性体比の違いにより、物理的、化学的、性能的に異なる性質が与えられるため、ビスフェノールFの融点が変動し得る。これは、パレット化やフレーク化によるビスフェノールFの処理に課題をもたらす。ビスフェノールFは融点範囲が広いため、従来のフレーク化や噴霧乾燥のプロセスは不便である。融点が広いと、噴霧乾燥によって形成された顆粒の冷却時間が長くなるため、長い冷却時間を補うために背の高い噴霧乾燥機や冷却器が使用される。このため、噴霧乾燥によるビスフェノールFの処理は、非常に不経済で時間のかかるプロセスであり、スケールアップが困難であった。
【0004】
ビスフェノールFを使用してエポキシ樹脂を製造するには、通常、最初に化合物を有機溶剤に溶解し、次に乾燥プロセスによって溶剤を除去する。これにより、ビスフェノールFの処理時間が長くなり、また、プロセス中の溶媒の使用により重大な健康上のリスクが生じる。
【0005】
韓国登録特許第101360908号公報は、スラリーの混練に溶媒を使用し、ビスフェノールFをペレット化する製造方法を開示している。開示された方法は、有機溶媒の使用とそれらの回収のため、経済的に好ましくない。また、有機溶剤の使用は環境に健康上のリスクをもたらす。
【0006】
国際公開第1988/005345号は、ドラムフレーカーを使用してビスフェノール顆粒を製造する方法を開示している。開示された方法は、製造プロセス中に過剰な粉塵が生成されるという欠点があり、したがって健康上のリスクが生じる。また、この方法は、必要なサイズの製品を得るために追加のスクリーニングステップが必要であるため、時間がかかる。
【0007】
特開昭56-12328号公報は、ペースト状または溶融ジヒドロキシジフェニルメタンを混練機を用いて固化・粉砕するジヒドロキシジフェニルメタンの製造方法を開示している。化合物は押出機で固化・粉砕され、ペレットとして押し出される。上記の方法は、押出機自体で化合物を徐冷する必要があるため、時間がかかり、非効率的である。
【0008】
特許第4145367号は、ビスフェノールFの連続造粒方法を記載している。開示された方法は、化合物の混練、固化、造粒、最後に冷却を含む4段階の工程を必要とするため、時間がかかる。また、この方法は、1つまたは複数のステップを実行するために様々な設備が必要になるため、費用もかかる。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、固体形態のビスフェノールFを調製する方法であって、ビスフェノールFを130~170℃の範囲の温度で押出機に投入するステップと、投入されたビスフェノールFを、押出機の110~130℃の範囲の温度に維持された第1の混合領域で処理した後、押出機の100~110℃の範囲の温度に維持された第2の混合領域で処理するステップと、処理されたビスフェノールFを押出機の75~100℃の範囲の温度に維持された排出領域に搬送するステップと、処理されたビスフェノールFを排出するステップと、固体形態のビスフェノールFを得るステップと、を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照する。本明細書に提示された説明で使用される用語は、単に本発明の特定の実施形態の詳細な説明と併せて利用されるのみで、限定的または制限的に解釈されることを意図していない。さらに、本発明の実施形態はいくつかの特徴を含むことができ、そのうちの1つがその望ましい属性を単独で担うものではなく、ここに記載された発明を実施するために不可欠なものでもない。
【0011】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明を説明するものであり、本発明を制限するものではないことは、当業者には理解されるであろう。
【0012】
「a」、「an」、および「the」という用語は、冠詞の文法的目的語の「1つ以上」(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
【0013】
本明細書を通して、「一態様(an aspect)」、「別の態様(another aspect)」、または類似の用語への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。
【0014】
「備える(comprises、comprising)」という用語またはその変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、「のみからなる(consists of only)」として解釈されることを意図していない。例えば、ステップのリストを含むプロセスまたは方法は、それらのステップのみを含むのではなく、明示的にリストされていない、またはそのプロセスまたは方法に固有の他のステップを含むことができる。
【0015】
同様に、「有する(having)」および「含む(including)」という用語やそれらの文法的変形は、リストに記載された項目が、代替または追加可能な他の項目を排除するものではないように、非限定的であることを意図している。
【0016】
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、ここでは好ましい方法および材料を説明する。本明細書で言及されたすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
本開示は、ビスフェノールFの処理に関する。具体的には、本開示は、ビスフェノールFを所望の形状および形態の固体形態に処理することに関する。したがって、本開示は、固体形態のビスフェノールFを調製する方法であって、ビスフェノールFを130~170℃の範囲の温度で押出機に投入するステップと、投入されたビスフェノールFを、押出機の110~130℃の範囲の温度に維持された第1の混合領域で処理した後、押出機の100~110℃の範囲の温度に維持された第2の混合領域で処理するステップと、処理されたビスフェノールFを押出機の75~100℃の範囲の温度に維持された排出領域に搬送するステップと、処理されたビスフェノールFを排出するステップと、固体形態のビスフェノールFを得るステップと、を含む方法を開示する。
【0018】
一実施形態によれば、ビスフェノールFを130~150℃の範囲の温度で押出機に投入する。
【0019】
一実施形態によれば、第1の混合領域は、115~130℃の範囲の温度に維持される。
【0020】
一実施形態によれば、第2の混合領域は、105~110℃の範囲の温度に維持される。
【0021】
一実施形態によれば、排出領域は、75~95℃の範囲の温度に維持される。
【0022】
開示された方法を実施するために、任意の適切な押出機を使用することができる。押出機は、単軸押出機、二軸押出機、および多軸押出機であってもよい。幾つかの実施形態では、押出機は、同方向回転二軸押出機または異方向回転二軸押出機である。特定の実施形態では、押出機は、同方向回転二軸押出機である。
【0023】
押出機におけるビスフェノールFの総滞留時間は0.2~10分の範囲である。特定の実施形態では、総滞留時間は0.2~5分の範囲である。
【0024】
ビスフェノールFは、2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタン、および他のいくつかのオリゴマーなど、様々な異性体の混合物として存在することが知られている。本開示の様々な実施形態では、ビスフェノールFは、35~45重量%の2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、25~35重量%の4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、および10~20重量%の2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタンを含む。
【0025】
処理されたビスフェノールFは、半固体または半溶融状態で排出される。様々な実施形態では、排出されたビスフェノールFは、半固体スラリー、ペースト、または半固体ヌードルの形態である。
【0026】
固体形態のビスフェノールFは、任意の適切な方法および/または装置、例えば、抜き型、圧縮成形装置、射出成形装置、または成形キャビティを備えた移動ベルトによって得ることができる。一実施形態では、押出機には、排出されたビスフェノールFをペレットに変換するためのダイとカッターシステムが取り付けられている。一実施形態によれば、排出されたビスフェノールFを冷却媒体で冷却した後、カッター、チョッパー、またはダイを使用して固体形態に変換する。別の実施形態では、排出されたビスフェノールFを冷却し、同時に細断して固体形態を得る。一実施形態によれば、排出されたビスフェノールFを射出成形装置に送り、固体形態に変換した後、冷却する。別の実施形態では、排出されたビスフェノールFをベルト上に金型を有する移動ベルトフレーカーに送り、固体形態に変換した後、冷却する。
【0027】
冷却媒体は、ビスフェノールFと化学的に反応しない任意の適切な冷却媒体であり得る。適切な冷却媒体の例として、空気、水、および不活性ガス、例えば窒素が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、冷却媒体は、0~70℃の範囲の温度である。特定の実施形態では、冷却媒体は、20~55℃の範囲の温度である。冷却は、直接的または間接的な熱伝達によって行うことができる。
【0028】
固体形態は、任意の所望の形状およびサイズであり得る。開示された方法から得ることができる固体形態の例としては、ヌードル、ペレット、顆粒、フレーク、プリル、凝集体、粒子、およびボールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
開示された方法は、完全にまたは実質的にダストフリーである。一実施形態によれば、投入されたビスフェノールFの98~99.99%が固体形態に変換される。
【実施例】
【0030】
実施例1:ビスフェノールFペレットの調製
300gの溶融ビスフェノールFを140℃で二軸押出機のホッパーに投入した。使用した押出機の仕様は以下の通りである。
【0031】
押出機の仕様:THMCO Thailand製、TW16MMシリーズ押出機(3相、電圧:380V、モーター:1.5KW)
【0032】
投入されたビスフェノールFを押出機の第1の混合領域で処理した後、押出機の第2の混合領域で処理した。処理されたビスフェノールFを、押出機の排出領域に送った。第1の混合領域、第2の混合領域、および排出領域の温度プロファイルを以下の表1に示す。
【0033】
【0034】
本実験の滞留時間は1.25分であり、これは上記の3つの異なる領域に均等に配分された。
【0035】
処理されたビスフェノールFのペースト状ヌードルを押出機から排出した。ヌードルを30℃の冷風で冷やし、長めのペレット状にカットした。
【0036】
実施例2:ビスフェノールFペレットの調製
250gの溶融ビスフェノールFを150℃で二軸押出機のホッパーに投入した。使用した押出機の仕様は以下の通りである。
【0037】
押出機の仕様:THMCO Thailand製、TW16MMシリーズ押出機(3相、電圧:380V、モーター:1.5KW)
【0038】
投入されたビスフェノールFを押出機の第1の混合領域で処理した後、押出機の第2の混合領域で処理した。処理されたビスフェノールFを、押出機の排出領域に送った。第1の混合領域、第2の混合領域、および排出領域の温度プロファイルを以下の表2に示す。
【0039】
【0040】
本実験の滞留時間は4.5分であり、これは上記の3つの異なる領域に均等に配分された。
【0041】
処理されたビスフェノールFのペースト状ヌードルを押出機から排出した。ヌードルを20℃の水で冷やした。冷却されたヌードルを長めのペレット状にカットした。
【0042】
実施例3:ビスフェノールFボールの調製
250gの溶融ビスフェノールFを135℃で二軸押出機のホッパーに投入した。使用した押出機の仕様は以下の通りである。
【0043】
押出機の仕様:THMCO Thailand製、TW16MMシリーズ押出機(3相、電圧:380V、モーター:1.5KW)
【0044】
投入されたビスフェノールFを押出機の第1の混合領域で処理した後、押出機の第2の混合領域で処理した。処理されたビスフェノールFを、押出機の排出領域に送った。第1の混合領域、第2の混合領域、および排出領域の温度プロファイルを以下の表3に示す。
【0045】
【0046】
本実験の滞留時間は1.5分であり、これは3つの異なる領域に均等に配分された。
【0047】
押出機から出てきたペースト状のヌードルを射出成形機の金型に投入した。成形装置は、成形および脱型のために1分未満のサイクル時間で動作した。このサイクル時間中、25℃の水で金型を冷却した。成形装置の最後に、ビスフェノールFを脱型してボールを得た。
【0048】
実施例4:ビスフェノールFペレットの調製
1500gの溶融ビスフェノールFを145℃で二軸押出機のホッパーに投入した。使用した押出機の仕様は以下の通りである。
【0049】
押出機の仕様:THMCO Thailand製、TW16MMシリーズ押出機(3相、電圧:380V、モーター:1.5KW)
【0050】
投入されたビスフェノールFを押出機の第1の混合領域で処理した後、押出機の第2の混合領域で処理した。処理されたビスフェノールFを、押出機の排出領域に送った。第1の混合領域、第2の混合領域、および排出領域の温度プロファイルを以下の表4に示す。
【0051】
【0052】
本実験の滞留時間は2分であり、これは3つの異なる領域に均等に配分された。
【0053】
押出機から出てきたペースト状のヌードルを移動ベルトフレーカーの金型に投入した。金型は、成形のために1分未満のサイクル時間で充填され、移動ベルトフレーカーの長さに沿って移動しながら冷却された。ベルトの反対側で25℃の水を噴霧して金型を冷却した。移動ベルトフレーカーの最後に、ビスフェノールFを脱型してペレットを得た。
【0054】
固体形態、すなわち実施例1~4で得られたペレットおよびボールに変換されたビスフェノールFの量を計算した。これは、通常の実験室の重量測定器を用いて、押出機に投入したビスフェノールFの重量と、得られたペレットまたはボールの重量を測定し、投入したビスフェノールFの重量とペレットまたはボールの重量の差を計算することによって行った。0.2%までの非常に少ない重量減少が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
開示された方法は簡単で経済的である。本方法は、有機溶剤を使用しないため、環境にやさしい。本方法で使用される冷却媒体は、ろ過して再利用することができる。そのため、本方法は、経済的で工業的に実現可能である。本方法では、粉塵がほとんど発生しないか、まったく発生しない。したがって、本方法で得られる固体形態のビスフェノールFは、完全にまたは実質的にダストフリーであり、変色が少なく、梱包、輸送、および取り扱いが容易である。この方法では、ビスフェノールFの約98~99.99%が固体形態に変換される。