(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】素材成形装置及び素材成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20231204BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/12
(21)【出願番号】P 2022573133
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 KR2020012251
(87)【国際公開番号】W WO2021157807
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0013027
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522310270
【氏名又は名称】チェ、ソク ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソク ヨン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162758(JP,A)
【文献】特開平11-138524(JP,A)
【文献】特開平05-293895(JP,A)
【文献】特開2006-137066(JP,A)
【文献】特開昭53-012964(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049411(WO,A1)
【文献】特開2012-218436(JP,A)
【文献】特開2005-262560(JP,A)
【文献】特開2006-123404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00 - 43/58
B29C 51/00 - 51/46
B29C 65/00 - 65/82
B29C 70/00 - 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形装置において、
前記成形ツールを覆う第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように前記成形ツールに対して配置された素材を基準として、前記成形ツール側に位置し、前記成形ツールを支持する支持体と、
前記素材が載置される外面と、膨張のための流体圧力が提供される内面とを有する隔膜であって、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が、前記素材の第2部分に密着して加圧する隔膜と、
少なくとも一部が前記素材の第2部分に対向するように、前記隔膜と前記支持体との間の前記成形ツールの近傍に配置された容積可変部材であって、膨張する前記隔膜によって前記素材の第2部分が前記容積可変部材の表面に圧着され、前記素材の第2部分が前記隔膜及び前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けることにより、前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が前記成形ツール側に近づくようにする容積可変部材と、を含み、
前記隔膜と前記支持
体との間の密閉空間に、前記支持
体に形成された通路を介して流体が流入または流出することにより、前記隔膜が膨張または原状回復する
ことを特徴とする素材成形装置。
【請求項2】
前記容積可変部材は、前記成形ツールの形状に応じて選択可能なバルーンまたは細長いチューブである
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項3】
前記素材の第2部分が前記隔膜および前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材が前記成形ツールの表面および前記支持体によって拘束された状態で容積が徐々に減少し、成形が完了した時点で前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間から前記容積可変部材が離脱することによって、前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面に沿うように成形される
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項4】
前記素材は、熱成形可能な材料、または熱成形可能な材料を母材(マトリックス)とする複合材料であり、
前記隔膜は、変形可能なダイヤフラムを含む
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項5】
前記容積可変部材の位置を調整するための工具または作業者の手を挿入できるように、前記支持体と前記隔膜との間の横方向に選択的に開閉可能な構造を有する
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項6】
前記成形ツールは、前記素材の第1部分を圧着するための加圧面と、前記加圧面に接続された側面とを有し、前記加圧面および前記側面は、平坦面、凸面または凹面を含んで前記成形ツールが二重曲面を有し、前記容積可変部材は、前記側面に位置する
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項7】
前記素材に近接して設けられて前記素材に熱を伝達する加熱部をさらに含む
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項8】
前記隔膜の内面に提供される前記流体圧力のための気密状態を形成できるように、前記隔膜の縁部をクランプするクランプをさらに含む
請求項1に記載の素材成形装置。
【請求項9】
シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形装置において、
前記成形ツールを覆う第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように前記成形ツールに対して配置された素材を基準として、前記成形ツール側に位置し、前記成形ツールを支持する支持体と、
前記素材が載置
される外面と、膨張のための流体圧力が提供される内面とを有する隔膜であって、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が、前記素材の第2部分に密着して加圧する隔膜と、
前記素材に近接して設けられ、前記素材に熱を伝達する加熱部と、を含み、
前記膨張のための流体圧力の提供は、前記隔膜の前記内面の側から行われる
ことを特徴とする素材成形装置。
【請求項10】
前記加熱部は、前記隔膜の外面と前記素材の第1部分との間に位置し、前記隔膜が前記素材の第2部分を成形するのを妨げないように、前記素材の第1部分よりも幅が広くない
請求項9に記載の素材成形装置。
【請求項11】
少なくとも一部が前記素材の第2部分上に位置するように、前記隔膜と前記支持体との間の前記成形ツールの近傍に配置された容積可変部材であって、膨張する前記隔膜によって前記素材の第2部分が前記容積可変部材の表面に圧着され、前記素材の第2部分が前記隔膜及び前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けることにより、前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が前記成形ツール側に近づくようにする容積可変部材をさらに含む
請求項9に記載の素材成形装置。
【請求項12】
シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形方法において、
前記素材が、前記成形ツールを覆う第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように、隔膜の外面上に前記素材および前記成形ツールを配置するステップと、
前記隔膜の外面と対向し、前記成形ツールを支持する支持体と前記隔膜との間の前記成形ツールの近傍に容積可変部材を位置させるステップと、
前記隔膜の内面に加えられる流体圧力によって前記隔膜が膨張し、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が前記素材の第2つの部分を加圧して、前記素材の第2部分を前記容積可変部材の表面に圧着させるステップと、
前記素材の第2部分が前記隔膜及び前記容積可変部材によって圧着された状態で、前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材の容積が減少し、これにより前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が変形するステップと、を含み、
前記隔膜と前記支持体との間の密閉空間に、前記支持体に形成された通路を介して流体が流入または流出することにより、前記隔膜が膨張または原状回復する
ことを特徴とする素材成形方法。
【請求項13】
前記素材および前記成形ツールを配置するステップは、前記素材に熱を伝達する加熱部を前記素材に近づけるように設ける過程を含む
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項14】
前記成形ツールの近傍に前記容積可変部材を位置させるステップにおいて、前記容積可変部材として、前記成形ツールの形状に応じて選択可能なバルーンまたは細長いチューブを、前記成形ツールの側面に位置させる
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項15】
前記成形ツールの近傍に前記容積可変部材を位置させるステップは、前記容積可変部材の少なくとも一部が前記素材の第2部分に位置するように、前記成形ツールの近傍に前記容積可変部材を位置させる過程と、
前記支持体により前記成形ツールを加圧し、前記隔膜の外面および前記成形ツールによって前記素材の第1部分を圧着する過程と、を含む
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項16】
前記成形ツールは、前記素材の第1部分を圧着するための加圧面と、前記加圧面に接続された側面とを有し、
前記成形ツールの近傍に容積可変部材を位置させるステップにおいて、前記容積可変部材が前記素材の第2部分のうちのしわ発生可能領域として予測された位置に対応できるように、前記容積可変部材を前記成形ツールの側面に位置させる
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項17】
前記変形するステップは、
前記素材の第2部分が前記隔膜および前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材が前記成形ツールの表面および前記支持体によって拘束された状態で容積が徐々に減少し、成形が完了した時点で前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間から前記容積可変部材が離脱することにより、前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面にラミネートされる過程を含む
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項18】
前記隔膜の膨張を止め、前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間の前記容積可変部材の位置を、作業者の手または工具を用いて調整するステップと、
前記容積可変部材を取り外し、前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間に再装着するステップと、
前記容積可変部材を交換するステップと、のうちの少なくとも1つをさらに含む
請求項12に記載の素材成形方法。
【請求項19】
前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面にラミネートされる過程の後に、1回以上の追加の素材がラミネートされるステップをさらに含み、
前記追加の素材がラミネートされるステップは、
前記成形ツールにラミネートされた前記素材を前記隔膜の外面から離隔させるステップと、
前記隔膜の外面と前記成形ツールにラミネートされた素材との間に追加の素材を位置させるステップと、
前記追加の素材に対して容積可変部材が位置するステップと、
前記容積可変部材の表面に圧着させるステップと、
前記素材の第2部分が変形するステップと、が順次行って前記素材上に前記追加の素材がラミネートされるステップを含む
請求項17に記載の素材成形方法。
【請求項20】
前記追加の素材がラミネートされるステップを繰り返し実行して、前記成形ツールに成形された複数の素材を硬化させて、前記複数の素材からなる硬化された複数層素材を形成する硬化ステップと、
前記硬化した複数層素材を前記成形ツールから分離するステップと、をさらに含む
請求項19に記載の素材成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材成形装置および素材成形方法に関し、特に、熱成形可能な素材、または熱成形可能な素材を母材とする複合材料の素材成形装置および素材成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの熱成形可能な素材が母材である複合材料は、多様な機能的優秀性のため多方面に活用されている。例えば、一方向炭素繊維複合材料の場合、重量に比べて機械的性質に優れ、航空機や輸送に関連する機器の構造物などでの使用が増えつつある。しかし、製造しようとする形状の複雑化や大型化に伴い、複合材料を用いた構造物の製造が難しく製造コストが上昇するため幅広い適用用途に限界がある。
【0003】
このような限界を克服するために複合材料の製造工程に関する研究が進められてきた。特に、成形しようとする形状に球面のような凸状または凹状の二重曲面(double curvature)が含まれる場合、成形中に、複合材料からなる素材にしわが発生することがある。この欠陥を克服するための多くの試みがあった。
【0004】
そのような試みの代表的な例としてダイヤフラム成形(diaphragm forming)工程がある。このダイヤフラム成形工程では、複合材料を一定の形態で裁断したプリフォーム(preform)の両面にそれぞれダイヤフラムを1つずつ配置する。その後、ダイヤフラムに圧力を加えるか、複合材料プリフォーム側ダイヤフラムに真空を形成するか、圧力と真空を同時に加えるなどの方法でダイヤフラムに複合材料プリフォームの両面を圧着させる。これにより、複合材料プリフォームとダイヤフラムが密着したままに所望の形状に製造された成形ツール(forming tool)にラミネートされる。したがって、複合材料プリフォームを所望の形状に成形することができる。
【0005】
このように両面をダイヤフラムにて圧着して成形すると、ダイヤフラム内部の弾性による引張力が、素材(例えば、複合材料プリフォーム)にしわが発生するのを抑制する作用をする。したがって、成形したい形状にある程度の凸状または凹状の二重曲面が含まれていても、しわない素材を成形することができる。
【0006】
しかし、両面ダイヤフラム圧着方法によるとはいえ、成形しようとする複合材料が厚肉または大型になる場合、又は、成形しようとする形状に屈曲の激しい凸状又は凹状の曲面がある場合、ダイヤフラムがしわを抑える傾向より素材のしわが生じる傾向が大きくなるため、素材にしわが寄る不具合が発生する。
【0007】
また、上述したように、両面ダイヤフラム圧着方法によれば、複合材料と成形ツールとの間にダイヤフラムが残存することになる。このため、成形後に硬化工程が必要な場合、成形後に成形ツールから成形された素材とダイヤフラムを分離する必要がある。この分離過程中に、成形された形状が損傷するおそれがある。また、ダイヤフラムを分離した後、硬化させるために素材を再び成形ツールにラミネートするとき、寸法が合わないと適切に硬化できないという大きな問題がある。
【0008】
すなわち、従来の両面ダイヤフラム圧着方法は、二重曲面を有する形状を成形する可能性を提供するが、適用可能な複合材料の厚さや大きさなどにおいて、成形の限界が大きく、素材と成形ツールとの間の残存するダイヤフラムのため、実際の製品製造に適用するのが難しい実情である。
【0009】
これらの問題、すなわち成形の限界を克服し、寸法精度を向上させるために、ダイヤフラムプロセスを改善するためのさらなる試みがなされてきた。例えば、前述した従来のダイヤフラム方法と同様に、素材の両面を2つのダイヤフラムで圧着して成形中に素材にしわが寄るのを防ぎ、成形が完了した時点で素材と成形ツールとの間にあるダイヤフラムを取り除いて、素材を成形ツールに直接ラミネートするように成形するための改善された方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、上記の改善された方法の場合でも、2つのダイヤフラムの構造や圧力セルの構成などの構造が複雑であり、実際の実施の難易度のために実験室レベルの小さな試作品以外に実際の生産に適用された例は知られていない。
【0011】
最近、複雑な形状の複合材料製造も自動化されたロボットで生産する技術が開発されているが、製造コストが高く工程時間が長いという欠点があり、そこで、比較的簡単な構造と低コストで複雑な形状や大型の製品にも適用容易な素材成形装置及び素材成形方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が達成しようとする技術的課題は、複合材料のように成形中にしわ欠陥が発生しやすい素材をしわ欠陥なしに複雑な曲面に成形できる素材成形装置及び素材成形方法を提供することである。
【0013】
また、本発明が達成しようとする技術的課題は、成形後の素材と成形ツールとの間にダイヤフラム等の異物が残ることなく、成形工程後の硬化工程等の工程を容易に行うことができる素材成形装置及び素材成形方法を提供することである。さらに、本発明が達成しようとする技術的課題は、成形物の形状、大きさ、厚さなどの観点から、従来の成形技術の限界を克服した素材成形装置及び素材成形方法を提供することである。
【0014】
本発明が達成しようとする技術的課題は、上記の技術的課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態は、シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形装置を提供する。前記素材成形装置、前記成形ツールによって覆われた第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように前記成形ツールに対して配置された素材を基準として、前記成形ツール側に位置し、前記成形ツールを支持する支持体と;前記素材が載置される外面と、膨張のための流体圧力が提供される内面とを有する隔膜であって、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が、前記素材の第2部分に密着して加圧する隔膜と;少なくとも一部が前記素材の第2部分上に位置するように、前記隔膜と前記支持体との間の前記成形ツールの近傍に配置された容積可変部材であって、膨張する前記隔膜によって前記素材の第2部分が前記容積可変部材の表面に圧着され、前記素材の第2部分が前記隔壁及び前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けることにより、前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が前記成形ツール側に近づくようにする容積可変部材と;を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記容積可変部材は、前記成形ツールの形状に応じて選択可能なバルーンまたは細長いチューブであってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記素材の第2部分が前記隔膜および前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材が前記成形ツールの表面および前記支持体によって拘束された状態で容積が徐々に減少し、成形が完了した時点で前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間から前記容積可変部材が離脱することによって、前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面に沿うように成形されてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記素材は、熱成形可能な材料、または熱成形可能な材料を母材(マトリックス)とする複合材料であり、前記隔膜は、膨張および収縮により変形可能なダイヤフラムを含んでいてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、素材成形装置は、前記容積可変部材の位置を調整するための工具または作業者の手を挿入できるように、前記支持体と前記隔壁との間の横方向に選択的に開閉可能な構造を有してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記成形ツールは、前記素材の第1部分を圧着するための加圧面と、前記加圧面に接続された側面とを有し、前記加圧面および前記側面は、平坦面、凸面および凹面のうちの一つであるので、前記成形ツールが二重曲面を有してもよく、前記容積可変部材は、前記側面に位置してもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記素材成形装置は、前記素材に近接して設けられて前記素材に熱を伝達する加熱部をさらに含んでいてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記素材成形装置は、前記隔膜の内面に提供される前記流体圧力のための気密状態を形成できるように、前記隔膜の縁部をクランプするクランプをさらに含んでいてもよい。
【0023】
上記技術的課題を達成するために、本発明の他の実施形態は、シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形装置を提供する。前記素材成形装置は、前記成形ツールによって覆われた第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように前記成形ツールに対して配置された素材を基準として、前記成形ツール側に位置し、前記成形ツールを支持する支持体と;前記素材が載置かれる外面と、膨張のための流体圧力が提供される内面とを有する隔膜であって、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が、前記素材の第2部分に密着して加圧する隔膜と;前記素材に近接して設けられ、前記素材に熱を伝達する加熱部と;を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の他の実施形態において、前記加熱部は、前記隔膜の外面と前記素材の第1部分との間に位置し、前記隔膜が前記素材の第2部分を成形するのを妨げないように、前記素材の第1部分よりも幅が広くなくてもよい。
【0025】
本発明の他の実施形態において、前記素材成形装置は、容積可変部材をさらに含んでいてもよい。前記容積可変部材は、少なくとも一部が前記素材の第2部分上に位置するように、前記隔膜と前記支持体との間の前記成形ツールの近傍に配置されてもよい。膨張する前記隔膜によって前記素材の第2部分が前記容積可変部材の表面に圧着され、前記素材の第2部分が前記隔膜及び前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けることにより、前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が前記成形ツール側に近づくように成形されてもよい。
【0026】
上記技術的課題を達成するために、本発明のさらに他の実施形態は、シート状の素材を成形ツールの表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する素材成形方法を提供する。前記素材成形方法において、まず、前記素材が、前記成形ツールによって覆われた第1部分と、前記成形ツールから外れた第2部分とを有するように、隔膜の外面上に前記素材および前記成形ツールを配置する。次いで、前記隔膜の外面と対向し、前記成形ツールを支持する支持体と前記隔膜との間の前記成形ツールの近傍に容積可変部材を位置させる。前記隔膜の内面に加えられる流体圧力によって前記隔膜が膨張し、前記素材の第1部分が前記成形ツールおよび前記隔膜の外面によって圧着された状態で、膨張する前記隔膜の外面が前記素材の第2つの部分を加圧して、前記素材の第2部分を前記容積可変部材の表面に圧着させる。その後、前記素材の第2部分が前記隔膜及び前記容積可変部材によって圧着された状態で、前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材の容積が減少し、これにより前記素材におけるしわの発生が抑制され、前記素材の第2部分が変形する。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態において、前記素材および前記成形ツールを配置するステップは、前記素材の外面と素材の第1部分との間に、前記素材に熱を伝達する加熱部を位置させる過程を含んでいてもよい。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態において、前記成形ツールの近傍に前記容積可変部材を位置させるステップにおいて、前記容積可変部材として、前記成形ツールの形状に応じて選択可能なバルーンまたは細長いチューブを、前記成形ツールの側面に沿って位置させてもよい。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態において、前記成形ツールの近傍に前記容積可変部材を位置させるステップは、前記容積可変部材の少なくとも一部が前記素材の第2部分に位置する過程と、前記支持体により前記成形ツールを加圧し、前記隔壁の外面および前記成形ツールによって前記素材の第1部分を圧着する過程と、を含んでいてもよい。
【0030】
本発明のさらに他の実施形態において、前記成形ツールは、前記素材の第1部分を圧着するための加圧面と、前記加圧面に接続された側面とを有し、前記成形ツールの近傍に容積可変部材を位置させるステップにおいて、前記容積可変部材が前記素材の第2部分のうちのしわ発生可能領域として予測された位置に対応できるように、前記容積可変部材を前記成形ツールの側面に位置させてもよい。
【0031】
本発明のさらに他の実施形態において、前記変形するステップは、前記素材の第2部分が前記隔膜および前記容積可変部材によって圧着された状態で前記隔膜が膨張し続けるにつれて、前記容積可変部材が前記成形ツールの表面および前記支持体によって拘束された状態で容積が徐々に減少し、成形が完了した時点で前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間から前記容積可変部材が離脱することにより、前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面にラミネートされる過程を含んでいてもよい。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態において、前記素材成形方法は、前記隔膜の膨張を止め、前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間の前記容積可変部材の位置を、工具または作業者の手を用いて調整するステップと、前記容積可変部材を取り外し、前記素材の第2部分と前記成形ツールとの間に再装着するステップと、前記容積可変部材を交換するステップと、のうちの少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態において、前記素材の第2部分が前記成形ツールの表面にラミネートされる過程の後に、1回以上の追加の素材がラミネートされるステップをさらに含み、前記追加の素材がラミネートされるステップは、前記成形ツールにラミネートされた前記素材を前記隔膜の外面から離隔させるステップと、前記隔膜の外面と前記成形ツールにラミネートされた素材との間に追加の素材を位置させるステップと、前記追加の素材に対して容積可変部材が位置するステップと、前記容積可変部材の表面に圧着させるステップと、前記素材の第2部分が変形するステップと、が順次行って前記素材上に前記追加の素材がラミネートされるステップを含んでいてもよい。
【0034】
本発明のさらに他の実施形態において、前記追加の素材がラミネートされるステップを繰り返し実行して、前記成形ツールに成形された複数の素材を硬化させて、前記複数の素材からなる硬化された複数層素材を形成する硬化ステップと、前記硬化した複数層素材を前記成形ツールから分離するステップと、をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一実施形態によれば、成形中のしわ欠陥の発生を防止するために、1つの隔膜(ダイヤフラム)と成形しようとする形状に応じて適切な形状を有する容積可変部材(バルーンまたはチューブ)とを用いて成形中に素材を圧着するので、しわ欠陥なしで成形することができる。すなわち、素材の両面をそれぞれダイヤフラムで圧着する代わりに、一方の面のみダイヤフラムを使用し、他方の面はバルーンまたはチューブを用いて圧着する。
【0036】
このように、バルーンやチューブなどの容積可変部材を用いることで、素材成形装置の設計や実装が容易になり、ダイヤフラムの損傷による損失(コスト、素材、時間など)を低減でき、サイズや複雑な曲面に対する成形の限界が大幅に改善される。
【0037】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載の発明の構成から推論可能な全ての効果を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態による素材成形装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による素材成形装置により成形される素材の一例を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態による素材成形装置の成形ツールの複数の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による素材成形装置の隔膜(ダイヤフラム)と成形ツールの一例を説明するための図である。
【
図5】素材と成形ツールとの間から離脱する容積可変部材の一例を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態による素材成形方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】素材と成形ツールと容積可変部材との関係の一例を説明するための図である。
【
図8】隔膜の膨張と共に容積可変部材の収縮によって素材が成形される方法の一例を説明するための図である。
【
図9】素材の成形工程を繰り返す工程の一例を説明するための図である。
【
図10】繰り返し成形工程後の硬化工程の一例を説明するための図である。
【
図12】本発明の他の実施形態による素材成形装置及び素材成形方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付の図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、本明細書に記載の実施形態により限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略する。明細書の全般に亘って、同様の構成要素については同様の参照符号を付した。
【0040】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとしたとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、これらの間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいということを意味する。
【0041】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しない。
【0042】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態による素材成形装置を示す図である。
図2は、本発明の一実施形態による素材成形装置における成形ツール200と素材100の一例を説明するための図である。
図3は、本発明の一実施形態による素材成形装置の成形ツールの複数の例を示す図である。
【0044】
素材成形装置は、シート状の素材(
図2参照)を、
図3に示すような成形ツール200の表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を成形する装置である。
【0045】
素材100は、熱成形可能な材料、または熱成形可能な材料を母材(マトリックス)とした複合材料10(プリプレグ)であっても、それを特定の形態に切断したプリフォームであってもよい(
図2の下側の図を参照)。
【0046】
一方向繊維強化複合材料プリプレグの場合、プリプレグを切断してなるプリフォームは、前記方向性において一方向にのみ成形ツール200に配置されてもよい。あるいは、方向の異なる複数の層を積層して一緒に成形してもよい。この場合、隔膜が変形することにより、素材が繊維方向に対して垂直な方向に引き裂かれるのを防止することができる。
【0047】
素材成形装置が適用される複合材料10としては、一方向繊維強化複合材料を例に挙げることができるが、成形工程中にしわ欠陥が発生し得る他の素材にも適用可能である。
【0048】
図1を参照する。素材成形装置は、支持体400、支持フレーム600、隔壁300、および容積可変部材500を含むことができる。
【0049】
本実施形態による素材成形装置は、1つの隔膜300(例えば、ダイヤフラム)を用いて、隔膜300の膨張により素材100を成形ツール200の上にラミネートされるようにする動力を提供し、隔膜300の反対側には、隔膜300の代わりに容積可変部材500(例えば、バルーン)によって素材100を支持させ、素材100にしわが生じないように素材100に圧力を加えるようにする特徴を有する。
【0050】
素材成形装置には、製造しようとする製品の形状に対応する形状を有する成形ツール200を用いることができる。例えば、素材100は、成形ツール200により一部が覆われるように配置されてもよい。すなわち、素材100は、成形ツール200により覆われる第1部分120と、成形ツール200から外れた第2部分140、160とを有するように成形ツール200に対して配置されてもよい。
【0051】
支持体400は、素材100を基準として成形ツール200側に位置し、成形ツール200から離隔するか、または成形ツール200を支持するように移動することができる。支持体400は板状を有することができる。あるいは、これとは異なり、支持体400は長いバーまたは支持台形状を有することもできる。複数のそのようなバーまたは支持台が成形ツール200を支持することができる。
【0052】
そのようなバーまたは支持台形状の支持体は、板状の支持体と比較して外側(例えば、側面)から内側へのアクセス性が良好であり得る。これにより、後述する容積可変部材500の位置を、成形前または成形中であっても比較的容易に調整することができる。例えば、作業者は、容積可変部材500が成形ツール200の側面にさらに隣接するように、手または棒で容積可変部材500を押すことができる。
【0053】
支持フレーム600は、支持体400と対向して隔壁300を支持することができる。
【0054】
隔膜300は、変形可能なダイヤフラムを含むことができる。隔膜300は、良好な膨張および収縮特性を有する軟質の材質(elastomeric diaphragms)からなり得る。弾性限界の大きな材質で隔膜300を形成する場合、再利用が可能であろう。もちろん、隔膜300に塑性変形が起きた場合には、一回使用した後、リサイクルしてもよく廃棄してもよい。
【0055】
隔膜300は、素材100が配置される外面と、膨張のための流体圧力が提供される内面とを有することができる。例えば、隔膜300と支持フレーム600との間の空間は、密閉空間として圧力セルを構成することができる。
図1に示すように、支持フレーム600に形成された通路610を介して空気などの流体がその密閉空間に流入および流出することにより、隔膜300が膨張および原状回復または収縮することができる。
【0056】
隔膜300の外面上に素材100及び成形ツール200が載置され、支持体400が成形ツール200を支持した状態、すなわち、素材100の第1部分120が成形ツール200と隔膜300の外面によって圧着された状態で、隔膜300が膨張することができる。これにより、
図1の下図に示すように、膨張する隔膜300の外面が素材100の第2部分140、160に密着して加圧することができる。
【0057】
容積可変部材500は、少なくとも一部が素材100の第2部分140、160上に位置するように、隔膜300と支持体400との間の成形ツール200の近傍に配置されてもよい。
図1に示すように、素材100の第2部分140、160は、膨張する隔膜300によって容積可変部材500の表面に圧着され得る。
【0058】
隔膜300が膨張する前に、容積可変部材500が支持体400に接触していなくてもよいし、最初から接触していてもよい。
【0059】
素材100の第2部分140,160が隔膜300及び容積可変部材500によって圧着された状態で隔膜300が膨張し続けるので、素材100におけるしわの発生が抑制され、素材100の第2部分140、160は、成形ツール200側に近接するように変形または成形され得る(
図8参照)。
【0060】
支持体400と隔膜300との間の横方向に選択的に開放および遮蔽可能な構造を設けてもよい。本実施形態では、支持体400と隔膜300との間の横方向には少なくとも一部が解放されている。
【0061】
従来の2つのダイヤフラムを用いた成形方法では、成形中に成形作業を止めて素材や隔膜を点検するなどの作業が不可能であった。しかしながら、本実施形態によれば、必要に応じて、成形中に容積可変部材500の位置を調整することができる。
【0062】
例えば、バルーン状の容積可変部材500が正常な位置から離脱しそうになったら、隔膜300の膨張を止め、支持体400と隔膜300との間の横方向に棒や工具を入れるか、場合によっては、作業者の手を入れて、容積可変部材500を正常な位置(例えば、素材100の第2部分140、160と成形ツール200との間)に押し込むことができる。また、場合によっては、成形工程が仕上げられる過程で支持体400と隔膜300との間の横方向の開放方向に工具や手を入れて容積可変部材500を引き出すこともできる。
【0063】
図3を参照すると、成形ツール200は、製造しようとする製品の形状に対応する形状を有することができる。例えば、成形ツール200は、加圧面210と、加圧面210に接続された側面とを含み得る。加圧面210および側面は、平坦面、凹面、凸面のうちの1つであってもよい。したがって、成形ツール200は二重曲面を有することができる。
【0064】
本実施形態では、成形ツール200は、加圧面210、曲面形状の外側面230、および外側面230に対応する曲面形状の内側面250を含むことができる。加圧面210は、内側面250と外側面230とを連結し、素材100の第1部分120を圧着することができる(
図1参照)。
【0065】
内側面250と外側面230は、互いに同心円の弧の一部であってもよい。
【0066】
また、内側面250と外側面230は、前記同心円の曲率に対して垂直方向にも一定の曲率を有してもよい。
【0067】
製造しようとする形状によっては、素材を加圧面と、内側面または外側面のいずれかの側面にのみ成形させることもできる。
【0068】
後述する硬化工程の後、素材100をモールドから分離しやすくするために、内側面250と外側面230を、加圧面210に垂直な面に対して約1~3度のテーパを有するように形成してもよい。加圧面210と内側面250、加圧面210と外側面230は略90度の曲面を形成し、内側面250と外側面230は上述の曲率を有する曲面であってもよい。成形ツール200は、これら2つの曲面を有していてもよい。素材100を単に成形ツール200にラミネートすると、これらの曲面によりしわが発生する。しかしながら、本実施形態による素材成形装置によれば、素材におけるしわの発生を抑制しながら素材を成形ツール200にラミネートすることができる。
【0069】
容積可変部材500は、成形ツール200の形状に応じて選択可能なバルーンまたはチューブであり得る。チューブ状の容積可変部材の場合、典型的には長く形成され、そのようなチューブはゴム材質から形成され得る。しかしながら、本実施形態におけるチューブ状の容積可変部材はゴム材質に限定されない。
【0070】
容積可変部材500は、素材がしわになりやすい部位を中心に素材を全体的または部分的に支持するように配置されてもよい。すなわち、容積可変部材の配置は、成形ツールの形状に応じて選択的に配置可能であり、ただし、本実施形態では、成形ツールの側面全体に容積可変部材を配置した例を中心に説明する(
図7の下図参照)。
【0071】
素材100の第1部分120が成形ツール200の加圧面210および隔膜300によって圧着された状態で、隔膜300が膨張するにつれて、外側面230上の素材100の第2部分140が隔膜300および第1容積可変部材510によって圧着され、内側面250上の素材100の第2部分160が隔膜 300と第2容積可変部材530とによって圧着され得る。
【0072】
図4は、本発明の一実施形態による素材成形装置の隔膜300と成形ツール200の一例を説明するための図である。
【0073】
隔膜300の縁部が支持フレーム600に接合されることにより、隔膜300と支持フレーム600との間の空間が流体圧力のための気密状態になり得る。あるいは、これとは異なり、
図4の上図を参照すると、隔膜300と支持フレーム600は、複数のクランプ650によって結合されてもよい。例えば、隔膜300の縁部を押さえる縁プレート630を配置し、クランプ650が縁プレート630と支持フレーム600を加圧して前記気密状態の空間を形成してもよい。
【0074】
一方、
図4の下図を参照すると、隔膜と素材の相対的な動きと成形後の分離のために隔膜300の外面と素材100との間に離型部材810を介在させてもよい。
【0075】
図5は、素材100と成形ツール200との間から離脱する容積可変部材500の一例を説明するための図である。
【0076】
素材100の第2部分140、160が隔膜300および容積可変部材500によって圧着された状態で隔膜300が膨張し続けることにより、隔膜300の外面が容積可変部材500の表面を加圧することができる。これにより、容積可変部材500が成形ツール200の表面(例えば、内側面250及び外側面230)及び支持体400によって拘束された状態で、容積は徐々に減少することがある。
【0077】
図5に示す例では、支持体400が透明なプラスチック(例えば、ポリカーボネート)板であり、このようなプラスチック板を補強するために、角パイプ450が補強されている。
【0078】
隔膜300が膨張し続けると、
図5および
図8の下図に示すように、容積可変部材500が素材100の第2部分140、160と成形ツール200の側面との間から離脱することになる。これにより、素材100の第2部分140、160は、成形ツール200の表面に沿うようにまたは適合するように成形され得る。その結果、素材100は成形ツール200の表面にラミネートされ得る。
【0079】
本実施形態では、隔膜300および容積可変部材500によりしわの発生を抑制しながら素材100を成形ツール200の表面に向かって変形させた後、素材100を成形ツール200に完全にラミネートする仕上げステップにおいて、作業者は、素材100を成形ツール200の表面にローラーや手で押し付けて成形工程を仕上げることもできる。
【0080】
このような素材100の成形工程を数回繰り返して所望の厚さの製品を成形することができる。このような数回繰り返して成形する工程については、さらに後述する。
【0081】
2つのダイヤフラムを用いた従来の素材成形装置は、複雑で実際の実施が困難である複数の圧力セル構造を有する。これに対して、本発明の実施形態による素材成形装置は、1つの隔膜300を使用し、取り扱いおよび構造が簡単なバルーンまたはチューブ状の容積可変部材500を含むので、実際の製品の製造に便利に適用でき、装置のコストを削減し、素材のサイズや形状の制限を大幅に軽減することができる。 。
【0082】
図6は、本発明の一実施形態による素材成形方法を説明するためのフローチャートである。
【0083】
素材成形方法は、シート状の素材100を成形ツール200の表面に沿うように(コンフォーマブル)変形させて製品を形成するために適用することができる。
【0084】
素材成形方法において、まず、素材100が成形ツール200によって覆われた第1部分120と、成形ツール200から外れた第2部分140,160とを有するように、隔壁300の外面上に素材100及び成形ツール200を配置することができる(S100)。
【0085】
後述する工程において、素材の第2部分140、160が容積可変部材500の表面に圧着されるとき、容積可変部材500が、素材の第2部分140、160のうちのしわ発生可能領域と予測される位置に対応できるように、成形ツール200の近傍に容積可変部材500を配置する前記S100の過程において、容積可変部材500が成形ツール200の側面に位置することができる。
【0086】
一方、上述したように、素材100は、熱成形可能な材料、または熱成形可能な材料を母材(マトリックス)とする複合材料であり、一方向繊維からなる複合材料、織布プリプレグ(woven fabric prepreg)、整列した不連続繊維複合プリプレグ(aligned discontinuous fiber composite prepreg)のうちの少なくとも1つであり得る。隔膜300は変形可能な材質からなり得る。
【0087】
次に、前記隔膜300の外面に対向して前記成形ツール200を支持する支持体400と隔膜300との間の成形ツール200の近傍に、容積可変部材500を配置し得る(S200)。
【0088】
続いて、隔膜300の内面に加えられる流体圧力により隔膜300が膨張し、素材100の第1部分120が成形ツール200および隔膜300の外面により圧着された状態で、膨張する隔膜300の外面が素材100の第2部分140、160を加圧して、素材100の第2部分140、160を容積可変部材500の表面に圧着させることができる(S300)。
【0089】
次に、素材100の第2部分140、160が隔膜300および容積可変部材500によって圧着された状態で隔膜300が膨張し続けると、容積可変部材500の容積が減少する。これにより、素材100におけるしわの発生が抑制され、素材100の第2部分140、160を変形または成形することができる(S400)。
【0090】
以下、このような素材成形方法の具体的な過程を、
図1~
図5で説明した素材成形装置を例に挙げて詳細に説明する。
【0091】
図7は、素材100と成形ツール200と容積可変部材500との関係の一例を説明するための図である。
【0092】
前述の成形ツール200の近傍に容積可変部材500が位置する過程は、容積可変部材500の少なくとも一部が素材100の第2部分140、160上に位置するように成形ツール200の近傍に容積可変部材500が位置する過程と、支持体400により成形ツール200及び容積可変部材500を加圧し、隔膜300の外面および成形ツール200により素材100の第1部分120を圧着する過程と、を含み得る。
【0093】
前述の容積可変部材500が位置する過程において、成形ツール200の形状に応じて容積可変部材500として選択可能なバルーンまたはチューブが成形ツール200の側面に沿って位置できる。容積可変部材500は、素材100にしわが発生しやすい部位を成形中に全体的に圧着できる形状を有することができる。
【0094】
素材100が成形ツール200の加圧面210に配置された状態で、
図7の中図に示すように、素材を下側に位置させて工程を行ってもよい。これについては、
図1~
図5の説明を参照してもよい。これとは異なり、素材100が成形ツール200の加圧面210に配置された状態で、
図7の上図のように、素材を上側に位置させて工程を行ってもよい。この場合、隔膜300を上側に位置させ、支持体400を下側に位置させるために、すなわち、
図1に示す素材成形装置の上下が反転するように設けた状態で素材成形工程を行ってもよい。以下、
図7の中図の例を中心に説明する。
【0095】
上述したように、成形ツール200が内側面250、外側面230および加圧面210を有する場合、素材100は、加圧面210に対応する第1部分120と、内側面250および外側面230と略垂直な方向にそれぞれ延びる第2部分140、160とを有するように配置されてもよい。素材と成形ツール200との間の分離を容易にするために、内側面250および外側面230を、上記のように垂直方向に対して約1~3度のテーパを有するように形成できることは前述の通りである。
【0096】
この場合、容積可変部材500が位置決めされる過程は、外側面230に沿って延びる第1容積可変部材510を配置し、内側面250に沿って延びる第2容積可変部材530を配置する過程を含み得る(
図7の下図参照)。
【0097】
図8は、隔膜300の膨張と共に容積可変部材500の収縮によって素材100が成形される方法の一例を説明するための図である。
【0098】
前述の素材100の第2部分140,160が容積可変部材500の表面に圧着される過程では、素材100の第2部分の両側140,160を全て容積可変部材500により圧着しようとする場合、素材100の第1部分120が成形ツール200の加圧面210および隔膜300によって圧着された状態で、隔膜300が膨張するにつれて、外側面230上の素材100の第2部分140は、隔膜300および第1容積可変部材510によって圧着され、内側面250上の素材100の第2部分 160は、隔膜300および第2容積可変部材530によって圧着され得る。
【0099】
次に、前述の素材100におけるしわの発生が抑制され、素材100の第2部分140、160が変形または成形される過程は、素材100の第2部分140、160が隔膜300および容積可変部材500によって圧着された状態で隔膜300が膨張し続けるにつれて、容積可変部材500が隔膜300の外面、成形ツール200の表面(すなわち、内側面および外側面)および支持体400によって拘束された状態で容積が徐々に減少する過程を含み得る(
図8の上図および中図参照)。
【0100】
容積可変部材500は、弾性材質からなるバルーンまたはチューブとそれに取り付けられたバルブとを含むことができる。成形中にバルブを操作するか、または予め設定された方法で空気を排出して、容積可変部材500の容積を徐々に減少させることができる。この場合、容積可変部材500が隔膜300に抗してしわの発生を抑制できるように、素材100を加圧する圧力を維持したまま容積を減少させることができる。例えば、容積が減少しつつある容積可変部材500が素材を加圧する圧力が一定になるか、または成形工程の時点に応じて設定値に変化するように弁を調整したり弁を設定したりすることができる。
【0101】
このような過程により、素材100の第2部分140、160は、成形ツール200の内側面250側および外側面230側にそれぞれ近づくように変形され得る。
【0102】
なお、素材100におけるしわの発生を抑制しつつ、素材100の第2部分140、160を変形または成形する過程は、上述した容積可変部材500の漸進的な容積減少過程の後に、隔膜300が膨張し続けることにより、素材100の第2部分140、160と成形ツール200との間から容積可変部材500が離脱し、これにより、素材100の第2部分140、160 )が成形ツール200の表面にラミネートされる過程をさらに含み得る(
図8の下図参照)。
【0103】
すなわち、成形が完了した時点で、素材100と成形ツール200の側面との間に残っている空気がほとんどなくなった容積可変部材500が除去されると、素材100が成形ツール200の表面に完全に密着して一次成形を完了することができる。
【0104】
従来の2つのダイヤフラムによる成形方法と比較すると、本実施形態の素材成形方法は、成形が完了した時点でダイヤフラムや他の異物なしで素材100と成形ツール200とが直接接触または対向する点で違いがある。すなわち、素材100と成形ツール200との間に異物がないため、薄い素材100を複数回成形すれば所望の厚さに成形することができる。
【0105】
前述の素材100の第2部分140、160が容積可変部材500の表面に圧着される過程、又は素材100におけるしわの発生が抑制され、素材100の第2部分140、160が変形または成形される過程において、必要に応じて容積可変部材500の位置調整過程をさらに含んでいてもよい。
【0106】
例えば、隔膜300の膨張を止めて、素材100の第2部分140、160と成形ツール200との間から離脱しようとする容積可変部材500を、棒などの工具や作業者の手で正常な位置に押し込むなど、容積可変部材500の位置調整過程をさらに含んでいてもよい。
【0107】
あるいは、容積可変部材500が損傷した場合、容積可変部材500を比較的容易に交換することができる。従来の二重ダイヤフラムを用いた成形工程の場合、ダイヤフラムが破損するなどの損傷がしばしば発生し、このような損傷が発生した場合、成形工程を最初からやり直すか、素材を完全に廃棄しなければならないことが多かった。
【0108】
しかしながら、本実施形態による素材成形装置によれば、隔壁300及び容積可変部材500の損傷により素材を廃棄したり、最初からやり直したりする必要がある場合がほとんどない。容積可変部材500が破損するなど損傷を受けた場合、工具や手で直接容積可変部材500を引き出し、必要に応じて隔膜300の容積を減らし、正常な容積可変部材500を設けた後、続いて隔膜300の膨張工程を再開(resume)することができる。あるいは、単に横方向から棒などの工具や手を用いて容積可変部材500の位置を調整してもよい。
【0109】
図9は、素材100の成形工程を繰り返す工程の一例を説明するための図である。
【0110】
前述したように、素材100の第2部分140、160が成形ツール200の表面にラミネートされることによって、成形ツール200上に1つの素材100を成形する工程が完了する。
【0111】
素材100が成形された成形ツール200にそのままさらに追加の素材100'を配置して成形工程を繰り返すことができる(S500)。このような過程の繰り返し回数を選択することで、結果として、成形される製品の厚さを決定することができる。もちろん、繰り返し成形される素材100の方向は、互いに一致していてもよいし、異なって配置されてもよい。
【0112】
具体的には、繰り返し成形工程は、例えば、成形ツール200にラミネートされた素材100を隔膜300の外面から離隔させる過程と、隔膜300の外面と成形ツール200にラミネートされた素材100との間に追加の素材100'を位置させる過程と、追加の素材100'に対して容積可変部材500を位置させる過程と、追加の素材100'を容積可変部材500の表面に圧着させる過程と、追加の素材100'の第2部分140、160を変形させる過程と、を含み、これらの過程を順次行うことができる。その結果、素材100上に追加の素材100 'がラミネートされ、
図9の下図に示すように、しわのない所望の複数の素材101を成形ツール200上に成形することができる。
【0113】
図10は、繰り返し成形工程後の硬化工程の一例を説明するための図である。
【0114】
素材成形方法は、追加の素材100がラミネートされるステップが繰り返し実行され、成形ツール200上に成形された複数の素材101を硬化する硬化工程(S600)と、硬化された複数の素材101(硬化した複数層素材)を成形ツール200から分離する過程(S700)と、をさらに含み得る。もちろん、素材の樹脂が硬化を必要としない場合、硬化工程を省略してもよい。
【0115】
図10の上図では、追加の素材100'は例示のために示されており、製造する製品に応じてそれに適した数の追加の素材100 'を積み重ねることができる。
【0116】
例えば、硬化工程は、離型部材810の表面に吸収部材830を取り付ける過程と、離型部材810及び吸収部材830が取り付けられた成形ツール200を真空パック850内に入れて密閉させる過程と、成形ツール200を加熱して複数の素材101から結合物質(例えば、レジン)を吸収部材830に吸収させる過程と、真空パック850から成形ツール200を取り出し、離型部材810を、硬化した複数の素材101(硬化した複数層素材)から分離する過程と、を含み得る。
【0117】
一般に、硬化工程は、高温高圧タンク(例えば、オートクレーブ)内に複数の素材101が成形された成形ツール200を入れ、高温高圧タンク内に設けられた加熱装置を用いて高温及び高圧で数時間行うことができる。
【0118】
一方、本実施形態による硬化工程は、吸収過程において高温高圧タンク内に設けられた別途の加熱装置を用いることなく行うことができる。具体的には、本実施形態による硬化工程では、成形ツール200に形成されたヒータ挿入用孔270に熱線280を設け、熱線280から発生した熱を、成形ツール200を介して複数の素材100に伝達して、素材が含有する樹脂などの結合物質の抽出をより容易にすることができる。
【0119】
このような過程を経て製造される製品の一例として、
図10の下側に示す形態の試製品を製造した。製造された試製品は、内径2000mm、外径2160mm、最大長さ114.5mm、高さ40mm、厚さ約1.5mm、繊維の配置方向が0度、90度、45度、-45度となるように繰り返し成形して8層に形成した。製品の素材としてはSKYFLEX USN150を使用した。
【0120】
上述した実施形態では、容積可変部材500がバルーンである場合について説明したが、容積可変部材500としてバルーンの代わりに他のデバイス、例えば、チューブ、または、弾性を有して素材100に順応できる(コンフォーマブル)接合面を有するばね構造またはピストン構造を適用して素材100を圧着することも可能である。さらに、ゴムまたは他の変形可能な表面を有する膨張可能な器具であれば、ダイヤフラムの代わりに使用することができる。
【0121】
従来の2つのダイヤフラムを使用する場合、各ダイヤフラムの圧力セルとダイヤフラム間の圧力セルをそれぞれ制御しなければならず、装置全体として密閉される構造をとらなければならないため、ダイヤフラム間の膨張及び接合を制御する過程が複雑である。すなわち、構造が複雑で実現に困難が大きく、実際に適用することが難しかった。
【0122】
本発明の実施形態によれば、成形中のしわの発生を防止するために、1つの隔膜300(ダイヤフラム)と、成形する形状に応じた適切な形状の容積可変部材500(バルーン)とを用いて、成形中に素材100を圧着するので、しわ欠陥なしに成形することができる。すなわち、素材100の両面をそれぞれダイヤフラムにより圧着するのではなく、一方の面だけにダイヤフラムを使用し、他方の面にはバルーンを使用する。
【0123】
このように、バルーンなどの容積可変部材500を用いることにより、素材成形装置の設計及び実装を容易にし、ダイヤフラムの損傷によるロス(コスト、素材100、時間など)を低減でき、サイズや複雑な曲面に対する成形上の限界を大幅に改善することができる。
【0124】
図11及び
図12は、本発明の他の実施形態による素材成形装置及び素材成形方法を示す図である。
【0125】
図11および
図12に示す素材成形装置は、
図1から
図9で説明した素材成形装置および素材成形方法と比較して加熱部をさらに含む。
【0126】
上述したように、素材100は、熱成形可能な材料、または熱成形可能な材料を母材(マトリックス)とする複合材料であり、一方向繊維からなる複合材料、織布プリプレグ(woven fabric prepreg)、整列した不連続繊維複合プリプレグ(aligned discontinuous fiber composite prepreg)のうちの少なくとも1つであり得る。したがって、
図11に示すように、素材は方向性を有するように形成された繊維を含んでもよい。
【0127】
一方向繊維複合材料のように長いシームレス繊維を含む複合材料の場合、素材に含まれる繊維の両端が加圧面上に、中央部が凹側面に対応する位置に長く配置されている場合(
図11の111)があり得る。この場合、成形のためには加圧面と素材との相対的な移動(滑り)が必要であり、素材の樹脂粘度が高い場合、凹側面への成形が制限されることがある。
【0128】
素材100に熱を加えた状態で成形する場合、すなわち、素材100が変形する際、樹脂の粘度を下げることができるので、上述したような成形の制限を低減することができる。このために、本実施形態の素材成形装置は、隔膜300の外面と素材100の第1部分120との間に位置して素材100に熱を伝達する板状の加熱部700をさらに含み得る(
図11の下図参照)。
【0129】
隔膜300の外面上に素材100および成形ツール200が配置されるとき、隔膜300の外面と素材100の第1部分120との間に、素材100に熱を伝達する加熱部700を配置することができる(
図11の下図参照)。
【0130】
このように、加熱部700を配置し、隔膜300を膨張させて、
図12の上図に示すように、素材100を成形ツール200にラミネートして成形することができる。
【0131】
加熱部700により、前記繊維部分111の素材は、より容易に変形することができる。したがって、成形を効果的に進めることができる。
【0132】
素材100に熱を効果的に加えるために、熱伝導率の高い物質で成形ツール200を作製し、成形時に成形ツール200の温度を調整することにより素材100の温度を調整することもできる。成形ツール200の温度により素材100の温度を調整する方法は、順次成形によって成形された素材100の厚さが増加するにつれて、成形ツール200から素材100への熱の伝達が困難になる可能性がある。したがって、これを解決するための方法として、素材100に局所的だけでも直接熱を伝達するために、上述した加熱部700を配置することができる。
【0133】
加熱部700の形状は、成形前に素材100と直接接する成形ツール200の加圧面210の形状に対応するように形成することが好ましい。加熱部700の面積が成形ツール200の加圧面210よりも大きい場合、隔膜300が素材100を成形ツール200にラミネートするのに困難が生じることがあり、加熱部700 )の面積が成形ツール200の加圧面210よりも小さい場合、素材100に熱を加える効果が減少する可能性がある。
【0134】
一方、
図12の中図及び下図に示すように、下面が加熱部700と接するように配置された素材の第2部分上に容積可変部材500を配置して成形する素材成形装置及び素材成形方法も可能なのは言うまでもない。
【0135】
上記とは異なり、素材成形装置が配置された空間全体の温度を上昇させて成形中の素材に熱を伝達する方法も可能である。例えば、素材成形装置をチャンバに入れてチャンバの温度を上昇させてもよい。
【0136】
また、上述した加熱部700と異なり、素材100に接触することなく、赤外線などの電磁波により加熱する方法を採用してもよい。
【0137】
また、加熱のための手段が隔膜300の内側、すなわち隔膜300の内面に設けられ、隔膜300を介して素材に熱を伝達する構成をとってもよい。
【0138】
また、加熱部700自体が柔軟でフレキシブルであり、隔膜300の膨張により変形することができる素材と構造を有するように製造することもできる。このような加熱部700を用いる場合、加熱部が成形ツールの加圧面よりも大きな幅に形成され、隔膜により変形しながら素材を側面から加圧することもできる。したがって、加熱部は、内側面にラミネートされる素材部分をも直接加熱することができる。
【0139】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能である。よって、以上で記述した実施形態は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に、分散して説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
【0140】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれる。