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特許7395782地図データ記憶装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】地図データ記憶装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20231204BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231204BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20231204BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20231204BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231204BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/00 A
G16Y20/10
G16Y40/20
G16Y10/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023021694
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2021063622の分割
【原出願日】2015-02-20
(65)【公開番号】P2023071749
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】幸田 健志
(72)【発明者】
【氏名】小林 載
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅美
(72)【発明者】
【氏名】新原 諒子
(72)【発明者】
【氏名】大石 淳也
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002782(JP,A)
【文献】特開2013-108820(JP,A)
【文献】特開2006-208468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0171582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する記憶部と、
複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、
前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、
前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、
を備え、
前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする地図データ記憶装置。
【請求項2】
前記地図データ又は前記地図データの一部を前記複数の移動体に送信する地図データ送信部をさらに備え、
前記第1取得部は、前記複数の移動体のそれぞれが前記地図データ送信部から受信した地図データと前記周辺情報とに基づいて生成した前記変化点候補データを、前記複数の移動体から取得することを特徴とする請求項1に記載の地図データ記憶装置。
【請求項3】
前記更新部は、同一又は類似する前記変化点候補データごとに、前記重みの累積値を算出し、当該累積値が所定の閾値を超えた変化点候補データを、前記地図データに反映させることを特徴とする請求項1または2に記載の地図データ記憶装置。
【請求項4】
前記交通量に関する情報は、前記周辺情報を取得した位置の周辺における車車間通信若しくは路車間通信の頻度、又は、前記取得位置を含む地域の人口若しくは陸運局の車両登録台数であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の地図データ記憶装置。
【請求項5】
前記第2取得部は、前記移動体、又は、前記交通量に関する情報のデータベースを記憶するサーバ装置から、前記交通量に関する情報を取得することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の地図データ記憶装置。
【請求項6】
地図データを記憶する記憶部と、
複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報を取得する第1取得部と、
前記周辺情報と、前記地図データとに基づいて、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを生成する生成部と、
前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記生成部が生成した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、
前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、
を備え、
前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする地図データ記憶装置。
【請求項7】
地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置が実行する制御方法であって、
複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得工程と、
前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程で取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得工程で取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定工程と、
前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新工程と、
を有し、
前記設定工程は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、
前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、
前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部
として前記コンピュータを機能させ、
前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に設置されたセンサの出力に基づき地図データを更新する技術が知られている。例えば、特許文献1には、最新の地図データを管理しているサーバと、サーバから地図の更新情報を受信するナビゲーション装置とを有するナビゲーションシステムにおいて、センサにて地図データの変化を検知した場合に、検知した地点における地図の更新要求頻度を上げる設定を行うナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-108820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各車両がセンサにより地図データに対する変化点を検出した場合に、その変化点に関するデータを、地図データを管理するサーバに送信することで、地図データの更新を行うシステムが知られている。このようなシステムでは、サーバは、一般的に、所定個数以上の同一又は類似の変化点のデータを受信した場合に、当該変化点について信頼できると判断し、当該変化点のデータを地図データに反映させる。しかし、この場合、車両が変化点を検知する頻度は、道路の交通量に比例するため、交通量の少ない道路では、交通量の多い道路と比べて変化点を検知する頻度が少なく、交通量の少ない道路での変化点が地図データに反映されにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、変化点が検出された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、地図データを好適に更新することが可能な地図データ記憶装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、地図データ記憶装置であって、地図データを記憶する記憶部と、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、を備え、前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、地図データ記憶装置であって、地図データを記憶する記憶部と、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報を取得する第1取得部と、前記周辺情報と、前記地図データとに基づいて、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを生成する生成部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記生成部が生成した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、を備え、前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置が実行する制御方法であって、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得工程と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得工程と、前記第2取得工程で取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得工程で取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定工程と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新工程と、を有し、前記設定工程は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置のコンピュータが実行するプログラムであって、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部として前記コンピュータを機能させ、前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】地図更新システムの概略構成である。
図2】運転支援装置及びサーバ装置のブロック構成を示す。
図3】サーバ装置が実行する配信地図DBの更新処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、地図データ記憶装置は、地図データを記憶する記憶部と、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記地図データ記憶装置は、地図データを記憶する記憶部と、第1取得部と、第2取得部と、設定部と、更新部とを備える。第1取得部は、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と地図データとに基づいて生成された、地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、複数の移動体から取得する。第2取得部は、複数の移動体のそれぞれが周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する。設定部は、第2取得部が取得した交通量に関する情報に基づいて、第1取得部が取得した変化点候補データのそれぞれに重みを設定する。更新部は、重みが設定された変化点候補データに基づいて、地図データを更新する。
【0013】
この態様では、地図データ記憶装置は、地図データにおいて更新すべき変化点の情報を示す変化点候補データを移動体から受信した場合に、移動体が変化点を検出した位置での交通量に応じて、変化点候補データに重み付けを行う。これにより、地図データ記憶装置は、変化点候補データが生成された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、変化点候補データに基づき地図データを好適に更新することができる。
【0014】
上記地図データ記憶装置の一態様では、地図データ記憶装置は、前記地図データ又は前記地図データの一部を前記複数の移動体に送信する地図データ送信部をさらに備え、前記第1取得部は、前記複数の移動体のそれぞれが前記地図データ送信部から受信した地図データと前記周辺情報とに基づいて生成した前記変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する。この態様により、移動体は、好適に、地図データ記憶装置が記憶する地図データにおいて更新すべき変化点の候補を検出して変化点候補データを生成することができる。
【0015】
上記地図データ記憶装置の他の一態様では、前記更新部は、同一又は類似する前記変化点候補データごとに、前記重みの累積値を算出し、当該累積値が所定の閾値を超えた変化点候補データを、前記地図データに反映させる。この態様により、地図データ記憶装置は、変化点候補データを生成した位置での交通量を勘案し、取得した変化点候補データの地図データへの反映の要否を判定することができる。
【0016】
上記地図データ記憶装置の他の一態様では、前記設定部は、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が多いほど、前記重みを小さく設定し、前記交通量に関する情報から推定又は特定される交通量が少ないほど、前記重みを大きく設定する。これにより、地図データ記憶装置は、交通量の少ない地域において変化点候補データが地図データに不当に反映されにくくなるのを好適に防ぐことができる。
【0017】
上記地図データ記憶装置の他の一態様では、前記交通量に関する情報は、前記周辺情報を取得した位置の周辺における車車間通信若しくは路車間通信の頻度、又は、前記取得位置を含む地域の人口若しくは陸運局の車両登録台数である。この態様により、地図データ記憶装置は、好適に、変化点候補データの生成位置での交通量を推定又は特定し、重み付けに反映することができる。
【0018】
上記地図データ記憶装置の他の一態様では、前記第2取得部は、前記移動体、又は、前記交通量に関する情報のデータベースを記憶するサーバ装置から、前記交通量に関する情報を取得する。この態様により、地図データ記憶装置は、好適に交通量に関する情報を取得することができる。
【0019】
本発明の他の好適な実施形態によれば、地図データ記憶装置は、地図データを記憶する記憶部と、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報を取得する第1取得部と、前記周辺情報と、前記地図データとに基づいて、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを生成する生成部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記生成部が生成した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部と、を備える。
【0020】
上記地図データ記憶装置は、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報を取得することで、地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを生成する。この態様においても、地図データ記憶装置は、交通量に関する情報に基づき変化点候補データに対して重みを設定し、当該変化点候補データに基づいて地図データを更新する。これにより、地図データ記憶装置は、変化点候補データが生成された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、変化点候補データに基づき地図データを好適に更新することができる。
【0021】
本発明の他の好適な実施形態によれば、地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置が実行する制御方法であって、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得工程と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得工程と、前記第2取得工程で取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得工程で取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定工程と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新工程と、を有する。地図データ記憶装置は、この制御方法を実行することで、変化点候補データが生成された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、変化点候補データに基づき地図データを好適に更新することができる。
【0022】
本発明の他の好適な実施形態によれば、地図データを記憶する記憶部を備える地図データ記憶装置のコンピュータが実行するプログラムであって、複数の移動体のそれぞれが取得した周辺情報と前記地図データとに基づいて生成された、前記地図データにおいて更新すべき変化点の候補を示す変化点候補データを、前記複数の移動体から取得する第1取得部と、前記複数の移動体のそれぞれが前記周辺情報を取得した取得位置での移動体の交通量に関する情報を取得する第2取得部と、記第2取得部が取得した前記交通量に関する情報に基づいて、前記第1取得部が取得した前記変化点候補データのそれぞれに重みを設定する設定部と、前記重みが設定された変化点候補データに基づいて、前記地図データを更新する更新部として前記コンピュータを機能させる。地図データ記憶装置のコンピュータは、このプログラムを実行することで、変化点候補データが生成された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、変化点候補データに基づき地図データを好適に更新することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0024】
[地図更新システムの概要]
図1は、本実施例に係る地図更新システムの概略構成である。地図更新システムは、各車両と共に移動する運転支援装置1と、各運転支援装置1とネットワーク9を介して通信を行うサーバ装置2とを備える。そして、運転支援システムは、各運転支援装置1が測定した情報に基づき、サーバ装置2が保有する地図データである配信地図DB(Database)21を更新する。
【0025】
運転支援装置1は、据置型の運転支援装置又はスマートフォンなどの携帯端末であって、自車位置が属するエリアに応じて、当該エリアの地図データ「D1」をサーバ装置2の配信地図DB21から取得し、部分地図DB12として記憶する。そして、運転支援装置1は、部分地図DB12を参照し、ユーザが設定した目的地へのルート案内や車両誘導等の運転支援を行う。また、運転支援装置1は、他の車両に搭載される運転支援装置1と通信(所謂車車間通信)を行い、車両の走行状態に関する情報やセンサで検知した情報などの車車間通信情報「D2」の授受を行う。
【0026】
また、運転支援装置1は、カメラなどで構成されるセンサ部17により認識した自車位置の周辺情報と、部分地図DB12に基づく自車位置の周辺情報とを比較する。そして、運転支援装置1は、これらの周辺情報間で相違点が存在した場合、当該相違点は、部分地図DB12の地図データ作成の基準時点からの時間経過に伴って自車位置周辺の状況が変化した部分(「変化点」とも呼ぶ。)である可能性があると判断する。よって、運転支援装置1は、上記相違点が示す対象を、変化点の候補とみなし、当該変化点の候補を表すデータ(「変化点候補データ」とも呼ぶ。)を生成する。ここで、変化点は、例えば、新設された信号機や交通標識、新設又は幅が変更された車線、新たに開通した路線、道路工事等で一時的に使用不可となった車線等が該当する。そして、変化点候補データは、例えば、変化点の候補の種類を表す情報、当該候補が存在する緯度経度情報、当該候補の2次元又は3次元の形状情報などが該当する。
【0027】
また、運転支援装置1は、変化点候補データを生成した地点周辺での車車間通信情報D2の通信量(即ち通信頻度)を、変化点候補データを生成した地点周辺での交通量を表す指標(「交通量情報」とも呼ぶ。)として算出する。そして、運転支援装置1は、変化点候補データと、当該変化点候補データを生成した地点での交通量情報とを含む情報を、変化点情報「D3」としてサーバ装置2へ送信する。
【0028】
サーバ装置2は、配信地図DB21を記憶し、運転支援装置1からの要求に応じて、要求元の運転支援装置1が存在するエリアに対応する地図データD1を配信地図DB21から抽出して送信する。また、サーバ装置2は、運転支援装置1から変化点情報D3を受信し、変化点情報D3に基づき配信地図DB21を更新する。このとき、サーバ装置2は、各変化点情報D2に含まれる変化点候補データに対して重み(「重みW」とも呼ぶ。)を設定し、同一又は類似の変化点候補データごとに、設定した重みWの累積値(「重み累積値Sw」とも呼ぶ。)を算出する。そして、サーバ装置2は、重み累積値Swが所定の閾値(「閾値Sth」とも呼ぶ。)を超えた場合に、対応する変化点候補データを配信地図DB21に反映させる。サーバ装置2は、本発明における「地図データ記憶装置」の一例であり、配信地図DB21は、本発明における「地図データ」の一例である。
【0029】
[ブロック構成]
図2は、運転支援装置1及びサーバ装置2の機能的構成を表すブロック図を示す。図2に示すように、運転支援装置1は、主に、地図データ取得部11と、部分地図DB12と、車車間通信部14と、変化点情報生成部15と、変化点情報送信部16と、センサ部17と、を有する。
【0030】
運転支援装置1の地図データ取得部11は、サーバ装置2から地図データD1を取得し、取得した地図データD1を部分地図DB12に登録する。この場合、地図データ取得部11は、例えば、部分地図DB12に地図データが登録されていないエリアに進入予定の場合、又は近付いた場合に、当該エリアを指定する情報をサーバ装置2へ送信することで、上述のエリアの地図データD1を取得する。
【0031】
センサ部17は、自車位置や周辺環境を認識するためのセンサであり、カメラ31と、ライダ(Lidar:Laser Illuminated Detection And Ranging)/レーダ32と、GPS受信機33などを含む。カメラ31は、外界の状況を表す色付きの画像を生成する。ライダ/レーダ32は、ライダ又は/及びレーダであり、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を3次元の点群として認識する。GPS受信機33は、現在の車両の位置を表す緯度及び経度の位置情報を生成する。また、センサ部17は、車両の姿勢(向きなど)を認識して他のセンサの取得データを補正するための慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)やジャイロセンサなどを備えてもよい。さらに、センサ部17は、車両の速度を検出する速度センサや車両に発生する振動などを検出する振動センサなどを含んでいてもよい。
【0032】
車車間通信部14は、他の車両に搭載されている運転支援装置1等と、車両の位置などに関する車車間通信情報D2の授受を行う。また、車車間通信部14は、他の運転支援装置1と車車間通信情報D2のデータ通信を行った場合に、当該データ通信時にGPS受信機33が生成した位置情報及びデータ通信の時刻を示す時刻情報などを含む通信履歴のデータ(「通信履歴データ」とも呼ぶ。)を生成する。
【0033】
変化点情報生成部15は、センサ部17の出力及び部分地図DB12を参照することで、変化点の候補を検出し、変化点候補データを生成する。この場合、変化点情報生成部15は、センサ部17の出力に基づく車両の周辺情報と、部分地図DB12に基づく車両の周辺情報とを比較することで変化点の候補を検出する。そして、変化点情報生成部15は、検出した変化点の候補の位置や形状などを表す変化点候補データを、センサ部17の出力に基づき生成する。
【0034】
また、変化点情報生成部15は、変化点の候補を検出した場合、車車間通信部14が生成した通信履歴データに基づき、変化点の候補を検出した地点に関する交通量情報を生成する。この場合、変化点情報生成部15は、例えば、変化点の候補を検出した地点から所定距離以内又は当該候補を検出した時点から所定時間以内に車車間通信部14が車車間通信情報D2の授受を行った回数を、交通量情報として認識する。そして、変化点情報生成部15は、上述の変化点候補データ、交通量情報、変化点の候補を検出した時刻情報及び位置情報等を含む変化点情報D3を生成し、変化点情報D3を変化点情報送信部16へ送信する。変化点情報送信部16は、変化点情報生成部15が生成した変化点情報D3をサーバ装置2へ送信する。
【0035】
次に、サーバ装置2のブロック構成について説明する。サーバ装置2は、主に、配信地図DB21と、地図データ送信部22と、変化点情報取得部23と、動的情報除去部24と、重み設定部25と、変化点判定部26と、変化点候補DB27と、地図DB更新部28とを備える。
【0036】
地図データ送信部22は、運転支援装置1の地図データ取得部11により指定されたエリアの地図データを配信地図DB21から抽出し、地図データD1として地図データ取得部11へ送信する。変化点情報取得部23は、運転支援装置1の変化点情報送信部16から送信される変化点情報D3を受信し、受信した変化点情報D3を動的情報除去部24へ供給する。変化点情報取得部23は、本発明における「第1取得部」及び「第2取得部」の一例である。
【0037】
動的情報除去部24は、変化点情報D3に含まれる変化点候補データが示す変化点の候補が、歩行者や走行中の車両などの動体を表すと判断した場合に、当該候補は配信地図DB21に反映すべき変化点ではないと判断し、当該変化点候補データを除去する。この場合、動的情報除去部24は、一般的な確率的統計手法を使用することにより、変化点の候補が動体であるか否かを判定する。この場合、例えば、動的情報除去部24は、変化点情報D3が生成された地点周辺で生成された他の複数の変化点情報D3を勘案して、変化点の候補が動体であるか否かを判定する。
【0038】
重み設定部25は、受信した変化点情報D3に含まれる変化点候補データの重みWを、当該変化点情報D3に含まれる交通量情報に基づき決定する。この場合、重み設定部25は、所定の式又はマップ等を参照し、交通量情報が示す交通量が低いほど(即ち、車車間通信による通信頻度が低いほど)、重みWを高く設定する。重み設定部25は、本発明における「設定部」の一例である。
【0039】
変化点判定部26は、重み設定部25により重みWが設定された変化点候補データを含む変化点情報D3に基づき、変化点候補DB27の更新を行う。ここで、変化点候補DB27は、同一又は類似する変化点候補データごとに、重みWの累積値である重み累積値Swが記憶されたデータベースである。そして、変化点判定部26は、変化点候補DB27において重み累積値Swが閾値Sthを超えた変化点候補データを、地図DB更新部28へ送信する。そして、地図DB更新部28は、変化点候補DB27から受信した変化点候補データを配信地図DB21に反映させる。変化点判定部26等の処理の詳細については、[処理フロー]のセクションで詳しく説明する。変化点判定部26及び地図DB更新部28は、本発明における「更新部」の一例である。
【0040】
なお、地図データ送信部22、変化点情報取得部23、動的情報除去部24、重み設定部25、変化点判定部26、変化点候補DB27、及び地図DB更新部28は、例えばCPUなどであり、本発明におけるプログラムを実行する「コンピュータ」の一例である。
【0041】
次に、交通量情報に基づき重みWを設定することの妥当性について補足説明する。
【0042】
一般に、道路ごとにサーバ装置2が受信する変化点情報D3の個数は当該道路の交通量に比例するため、交通量の少ない道路では、変化点情報D3がサーバ装置2へ送信される機会が、交通量の多い道路と比べて少なくなってしまう。従って、仮に重みWを全データで均一な値(例えば1)に設定した場合、閾値Sthを交通量の多い道路に合わせて高く設定してしまうと、交通量が少ない道路では、変化点の候補が変化点と見なされにくくなり、配信地図DB21への必要な更新が行われにくくなる。一方、閾値Sthを交通量の少ない道路に合わせて低く設定してしまうと、交通量が多い道路において、配信地図DB21に反映すべきでない変化点の候補についても不要に配信地図DB21へ反映されてしまう可能性が高まる。
【0043】
また、交通量の少ない道路の場合、交通量が多い道路の場合と比較して、地図データに不要なノイズ成分である動体の走行車両が少ないため、センサ13の出力に基づき生成される周辺情報の確度が高い。
【0044】
以上を勘案し、重み設定部25は、車車間通信の通信頻度に基づき認識した交通量が低い地点ほど、重みWを高く設定する。これにより、運転支援装置1は、配信地図DB21の不要な更新が頻発するのを好適に抑制しつつ、交通量が少ない道路で生じた変化点を好適に配信地図DB21に反映させることができる。
【0045】
[処理フロー]
図3は、本実施例においてサーバ装置2が実行する配信地図DB21の更新処理の手順を示すフローチャートである。サーバ装置2は、図3に示すフローチャートの処理を、運転支援装置1から変化点情報D3を受信するごとに実行する。
【0046】
まず、サーバ装置2の変化点情報取得部23は、変化点情報D3を運転支援装置1から受信することで取得する(ステップS101)。そして、サーバ装置2の重み設定部25は、受信した変化点情報D3の変化点候補データに対する重みWを決定する(ステップS102)。この場合、重み設定部25は、変化点情報D3に含まれる交通量情報が示す車車間通信の頻度が高いほど、上述の重みWを大きい値に設定する。
【0047】
次にサーバ装置2の変化点判定部26は、ステップS102で重みWを決定した変化点候補データと同一又は類似の変化点候補データが変化点候補DB27に登録されているか否か判定する(ステップS103)。この場合、変化点判定部26は、ステップS101で取得した変化点候補データと同一の変化点の候補を示していると見なすことができる程度に類似している変化点候補データが変化点候補DB27に登録されているか否か判定する。
【0048】
そして、変化点判定部26は、対象の変化点候補データと同一又は類似の変化点候補データが変化点候補DB27に登録されていると判断した場合(ステップS103;Yes)、当該同一又は類似の変化点候補データに関連付けられた重み累積値Swに対し、ステップS102で算出した重みWを加算する(ステップS104)。そして、変化点判定部26は、加算後の重み累積値Swが閾値Sthを超えたか否か判定する(ステップS106)。そして、加算後の重み累積値Swが閾値Sthを超えた場合(ステップS106;Yes)、地図DB更新部28は、重み累積値Swが閾値Sthを超えた変化点候補データに基づき配信地図DB21を更新する(ステップS107)。また、この場合、変化点判定部26は、重み累積値Swが閾値Sthを超えた変化点候補データのレコードを変化点候補DB27から削除する。
【0049】
一方、ステップS103において、変化点判定部26は、ステップS101で取得した変化点候補データと同一又は類似の変化点候補データが変化点候補DB27に登録されていないと判断した場合(ステップS103;No)、ステップS101で取得した変化点候補データを、新規の変化点の候補を表すデータであるとみなし、変化点候補DB27に登録する(ステップS105)。この場合、変化点判定部26は、変化点候補DB27に登録する変化点候補データの重み累積値Swを、ステップS102で決定した重みWに設定する。
【0050】
以上説明したように、本実施例に係るサーバ装置2は、センサ部17の出力に基づく周辺情報と部分地図DB12とを比較することで生成された変化点候補データと、当該変化点候補データの取得位置での交通量情報とを取得する。そして、サーバ装置2は、交通量情報に基づいて、取得した変化点候補データのそれぞれに重みWを設定し、重みWが設定された変化点候補データに基づいて、配信地図DB21を更新する。これにより、サーバ装置2は、変化点候補データが生成された地点での交通量に基づく更新頻度の偏りが生じることなく、変化点候補データに基づき地図データを好適に更新することができる。
【0051】
[変形例]
次に、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0052】
(変形例1)
サーバ装置2は、運転支援装置1から通信履歴データを受信し、受信した通信履歴データに基づき、道路ごと又は地域ごとの車車間通信の通信頻度の統計データを生成し、重みWの算出に用いてもよい。
【0053】
この場合、運転支援装置1は、車車間通信部14による車車間通信情報D2の通信を行うごとに、通信が行われた位置情報及び時刻情報などを含む通信履歴データを生成して記憶する。そして、運転支援装置1は、所定個数分の通信履歴データが蓄積された場合、又は、変化点情報D3をサーバ装置2に送信するタイミングになった場合、記憶した通信履歴データをサーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、受信した通信履歴データを、通信位置の情報に基づき、道路ごと又は地域ごと等の所定の区切りごとに分け、当該区切りごとに車車間通信の通信頻度を表す統計データ(「通信頻度統計データ」とも呼ぶ。)を算出する。ここで、サーバ装置2は、通信頻度統計データを、車車間通信が行われた時間帯ごとに分けて算出してもよい。
【0054】
そして、サーバ装置2の重み設定部25は、受信した変化点情報D3が示す変化点候補データの重みWを決定する場合、変化点情報D3に含まれる変化点情報D3の生成地点を表す位置情報に基づき、当該生成地点に最も近い区切りに該当する通信頻度統計データを特定する。そして、重み設定部25は、特定した通信頻度統計データが示す通信頻度が低いほど、変化点の候補の地点は交通量が少ないと判断し、重みWを大きくする。
【0055】
このように、サーバ装置2は、運転支援装置1から通信履歴データを収集して各地点での車車間通信の通信頻度を統計的に算出することで、各地点での交通量をより的確に推定して、重みWを好適に決定することができる。
【0056】
(変形例2)
実施例では、サーバ装置2は、車車間通信の通信頻度を交通量の指標と見なして重みWを決定した。しかし、本発明が適用可能な態様は、これに限定されない。これに代えて、又はこれに加え、サーバ装置2は、変化点情報D3の送信地点付近での路車間通信の通信頻度、変化点情報D3の送信地点を含む地域(例えば市区町村)を管轄する陸運局の車両登録台数、又は/及び当該地域の人口を、交通量の指標と見なし、重みWの算出に用いてもよい。
【0057】
路車間通信の通信頻度に基づき重みWを決定する例では、サーバ装置2は、交差点等に設置された路車間通信用の各路側機の位置情報を記憶すると共に、各路側機の通信履歴のデータを収集し、各路側機の通信頻度の統計データを算出する。このとき、サーバ装置2は、通信が行われる時間帯ごとにさらに分類して通信頻度の統計データを算出してもよい。そして、サーバ装置2の重み設定部25は、受信した変化点情報D3が示す変化点候補データの重みWを決定する場合、変化点情報D3の生成地点に最も近い路側機を特定し、当該路側機の通信頻度を表す統計データに基づき、重みWを決定する。この場合、重み設定部25は、特定した路側機の通信頻度が低いほど、変化点の候補の地点は交通量が少ないと判断し、重みWを大きくする。
【0058】
また、人口に基づき重みWを決定する例では、サーバ装置2は、市区町村の人口のデータベースを記憶する。そして、サーバ装置2の重み設定部25は、受信した変化点情報D3が示す変化点候補データの重みWを決定する場合、変化点情報D3の生成地点が属する市区町村を特定し、当該市区町村の人口を上述のデータベースから抽出して、重みWを決定する。なお、サーバ装置2は、市区町村の人口に代えて、市区町村の人口密度に基づき、交通量を推定してもよい。この場合、重み設定部25は、特定した人口又は人口密度が低いほど、変化点の候補の地点は交通量が少ないと判断し、重みWを大きくする。
【0059】
また、陸運局の車両登録台数に基づき重みWを決定する例では、サーバ装置2は、陸運局に登録されている地域ごとの車両登録数のデータベースを記憶する。そして、サーバ装置2の重み設定部25は、受信した変化点情報D3が示す変化点候補データの重みWを決定する場合、変化点情報D3の生成地点が属する地域を特定し、当該地域の車両登録数を上述のデータベースから抽出して、重みWを決定する。この場合、重み設定部25は、特定した車両登録台数が少ないほど、変化点の候補の地点は交通量が少ないと判断し、重みWを大きくする。
【0060】
(変形例3)
図2のブロック構成は、一例であり、本発明が適用可能なブロック構成は、これに限定されない。例えば、サーバ装置2は、運転支援装置1に代えて、変化点情報生成部15に相当する処理を実行してもよい。
【0061】
この場合、運転支援装置1は、センサ部17の出力情報等を、運転支援装置1の位置情報等と共にサーバ装置2へ所定のタイミングで送信する。そして、サーバ装置2は、運転支援装置1から受信したセンサ部17の出力情報に基づき、送信元の運転支援装置1が存在する位置周辺の情報を認識し、配信地図DB21と比較することで、変化点の候補を検出して変化点候補データを生成する。また、サーバ装置2は、例えば変形例1と同様に、運転支援装置1から受信する通信履歴データに基づき、所定の区切りごとの通信頻度統計データを算出する。そして、サーバ装置2は、検出した変化点の候補を示す変化点候補データに対する重みWを、当該変化点候補データの元となるセンサ部17の出力情報が生成された位置に対応する通信頻度統計データに基づき決定し、変化点候補DB27及び配信地図DB21の更新を行う。この場合、サーバ装置2のCPUなどは、本発明における「第1取得部」、「生成部」、「第2取得部」、「設定部」及び「更新部」として機能する。
【0062】
また、図2における、サーバ装置2が備える動的情報除去部24と同様の処理の行う構成を、運転支援装置1が備えることとしても良い。または、サーバ装置2に代えて運転支援装置1が動的情報除去部24を備えることとしても良い。これらの場合、変化点情報生成部15が生成した変化点情報D3に含まれる変化点候補データが示す変化点の候補が、歩行者や走行中の車両などの動体を表すと判断した場合に、当該候補は配信地図DB21に反映すべき変化点ではないと判断し、当該変化点候補データを除去し、変化点情報送信部に情報を出力する。
【0063】
(変形例4)
実施例で説明したサーバ装置2の処理を、複数のサーバ装置からなるサーバシステムが実行してもよい。
【0064】
例えば、サーバシステムは、配信地図DB21、地図データ送信部22、及び地図DB更新部28を有するサーバと、変化点情報取得部23と、動的情報除去部24と、重み設定部25と、変化点判定部26と、変化点候補DB27とを有するサーバとから構成されていてもよい。他の例では、サーバシステムは、3台以上のサーバから構成されていてもよい。これらの場合、各サーバは、予め割り当てられた処理を実行するのに必要な情報を他のサーバから適宜受信して所定の処理を実行する。この場合、サーバシステムは、本発明における地図データ記憶装置の一例である。
【0065】
(変形例5)
運転支援装置1は、配信地図DB21の一部に相当する地図データD1を受信する代わりに、配信地図DB21の全データをサーバ装置2から受信して記憶してもよい。この場合、運転支援装置1は、所定の時点における配信地図DB21を予め記憶しておき、更新に必要なデータのみをサーバ装置2から受信してもよい。この場合、運転支援装置1は、所定の時間間隔ごとに、記憶した地図データの更新の要否の問合せをサーバ装置2に対して行い、更新に必要なデータをサーバ装置2から適宜ダウンロードする。
【符号の説明】
【0066】
1 運転支援装置
2 サーバ装置
9 ネットワーク
11 地図データ取得部
12 部分地図DB
14 車車間通信部
15 変化点情報生成部
16 変化点情報送信部
21 配信地図DB
22 地図データ送信部
23 変化点情報取得部
24 動的情報除去部
25 重み設定部
26 変化点判定部
27 変化点候補DB
28 地図DB更新部
図1
図2
図3