IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20231204BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231204BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231204BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
G02F1/1368
G09F9/30 338
G09F9/35
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L29/78 612B
H01L29/78 612C
H01L29/78 612Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023029370
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2021196107の分割
【原出願日】2013-08-08
(65)【公開番号】P2023081902
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2012178907
(32)【優先日】2012-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013053942
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-37741(JP,A)
【文献】特開2010-27851(JP,A)
【文献】特開平10-301100(JP,A)
【文献】特開2011-40726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する画素部と、回路部と、を有し、
前記画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続された液晶素子と、一方の電極が前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、他方の電極が容量線と電気的に接続された容量素子と、を有し、
前記回路部は、第2のトランジスタを有する液晶表示装置であって、
基板上面と接する領域を有し、且つ前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
基板上面と接する領域を有し、且つ前記容量線として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方として機能する領域を有し、且つ上面の少なくとも一部が第1の絶縁層と接する第3の導電層と、
前記第3の導電層と同じ材料を有し、且つ上面の少なくとも一部が前記第1の絶縁層と接する第4の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第5の導電層と、を有し、
前記第1の導電層と、前記第2の導電層とは、同じ材料を有し、
前記第2の導電層は、前記画素部の外側において、前記第4の導電層を介して前記第5の導電層と電気的に接続される、液晶表示装置。
【請求項2】
複数の画素を有する画素部と、回路部と、を有し、
前記画素の少なくとも一は、第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続された液晶素子と、一方の電極が前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、他方の電極が容量線と電気的に接続された容量素子と、を有し、
前記回路部は、第2のトランジスタを有する液晶表示装置であって、
基板上面と接する領域を有し、且つ前記第1のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第1の導電層と、
基板上面と接する領域を有し、且つ前記容量線として機能する領域を有する第2の導電層と、
前記第1のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方として機能する領域を有し、且つ上面の少なくとも一部が第1の絶縁層と接する第3の導電層と、
前記画素部の外側に位置し、且つ上面の少なくとも一部が前記第1の絶縁層と接する第4の導電層と、
前記第2のトランジスタのゲート電極として機能する領域を有する第5の導電層と、を有し、
前記第1の導電層と、前記第2の導電層とは、同じ材料を有し、
前記第3の導電層と、前記第4の導電層とは、同じ材料を有し、
前記第2の導電層は、前記第4の導電層を介して前記第5の導電層と電気的に接続される、液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の導電層は、前記液晶素子の画素電極と重なる領域を有する、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書などで開示する発明は半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネルディスプレイが広く普及して
きている。フラットパネルディスプレイなどの表示装置において、行方向及び列方向に配
設された画素内には、スイッチング素子であるトランジスタと、当該トランジスタと電気
的に接続された液晶素子と、当該液晶素子と並列に接続された容量素子とが設けられてい
る。
【0003】
当該トランジスタの半導体膜を構成する半導体材料としては、アモルファス(非晶質)
シリコン又はポリ(多結晶)シリコンなどのシリコン半導体が汎用されている。
【0004】
また、半導体特性を示す金属酸化物(以下、酸化物半導体と記す。)は、トランジスタ
の半導体膜に適用できる半導体材料である。例えば、酸化亜鉛又はIn-Ga-Zn系酸
化物半導体を用いて、トランジスタを作製する技術が開示されている(特許文献1及び特
許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
容量素子は一対の電極の間に誘電体膜が設けられており、一対の電極のうち、少なくと
も一方の電極は、トランジスタを構成するゲート電極、ソース電極又はドレイン電極など
遮光性を有する導電膜で形成されていること多い。
【0007】
また、容量素子の容量値を大きくするほど、電界を加えた状況において、液晶素子の液
晶分子の配向を一定に保つことができる期間を長くすることができる。静止画を表示させ
る表示装置において、当該期間を長くできることは、画像データを書き換える回数を低減
することができ、消費電力の低減が望める。
【0008】
容量素子の電荷容量を大きくするためには、容量素子の占有面積を大きくする、具体的
には一対の電極が重畳している面積を大きくするという手段がある。しかしながら、上記
表示装置において、一対の電極が重畳している面積を大きくするために遮光性を有する導
電膜の面積を大きくすると、画素の開口率が低減し、画像の表示品位が低下する。
【0009】
また、表示装置の画素内の設けられるトランジスタを形成する工程を利用して、表示装
置の駆動回路を構成するトランジスタを形成することができる。そして、駆動回路を構成
するトランジスタには、画素内に設けられるトランジスタの動作速度よりも速い動作速度
が求められ、駆動回路を構成するトランジスタとして、半導体膜に重畳して当該半導体膜
の上下にゲート電極を設けたトランジスタ(以下、デュアルゲートトランジスタともいう
。)を適用することでトランジスタの動作速度を向上させることができる。しかしながら
、デュアルゲートトランジスタを適用するということは、半導体膜に重畳して当該半導体
膜の上下にゲート電極の電位を制御する構成(配線、端子及び電源など)が必要となり、
駆動回路の消費電力が増大し、表示装置の消費電力も増大する可能性がある。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、駆動回路を有する半導体装置において、開口率が高く、且
つ電荷容量を増大させることが可能な容量素子を有する半導体装置を提供することを課題
の一とする。また、本発明の一態様は、駆動回路を有する半導体装置において、開口率が
高く、電荷容量を増大させることが可能な容量素子を有し、消費電力を低減した半導体装
置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑みて、本発明の一態様は、半導体膜に重畳して当該半導体膜の上下にゲー
ト電極を有する第1のトランジスタを含む駆動回路と、半導体膜を含む第2のトランジス
タを含む画素と、画素に設けられた一対の電極の間に誘電体膜が設けられている容量素子
と、当該一対の電極の一方の電極と電気的に接続されている容量線と、を有し、第1のト
ランジスタの半導体膜上に設けられているゲート電極と、容量線とが、電気的に接続され
ていることを特徴とする半導体装置である。
【0012】
また、より具体的には、本発明の一態様は、半導体膜に重畳して当該半導体膜の上下に
ゲート電極を有する第1のトランジスタを含む駆動回路と、半導体膜を含む第2のトラン
ジスタを含む画素と、画素に設けられた一対の電極の間に誘電体膜が設けられている容量
素子と、当該一対の電極の一方の電極と電気的に接続されている容量線と、第2のトラン
ジスタと電気的に接続された画素電極と、を有し、第1のトランジスタの半導体膜上に設
けられているゲート電極と、容量線とが、電気的に接続されており、容量素子は、第2の
トランジスタの半導体膜と同一表面上に形成される半導体膜を有し、該半導体膜は、一対
の電極の一方の電極として機能し、画素電極は一対の電極の他方の電極として機能し、誘
電体膜は第2のトランジスタの半導体膜上に設けられた絶縁膜であることを特徴とする半
導体装置である。
【0013】
容量素子において、一方の電極は第2のトランジスタの透光性を有する半導体膜で構成
され、他方の電極は、第2のトランジスタと電気的に接続されている透光性を有する画素
電極で構成され、誘電体膜は第2のトランジスタの透光性を有する半導体膜上に設けられ
た透光性を有する絶縁膜で構成される。つまり、容量素子は透光性を有するため、画素内
のトランジスタが形成される箇所以外の領域に大きく(大面積に)形成することができる
。従って、開口率を高めつつ、電荷容量を増大させた半導体装置を得ることができる。ま
た、開口率を向上することによって表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0014】
また、第1のトランジスタのように、チャネル形成領域である半導体膜の上に設けられ
るゲート電極(以下、バックゲート電極という。)が、容量素子の一方の電極と電気的に
接続されている容量線と電気的に接続されていることで、容量線の電位を制御することで
バックゲート電極の電位を制御することができる。つまり、バックゲート電極の電位を制
御する構成を省略することができ、第1のトランジスタをデュアルゲートトランジスタと
して動作させることができるため駆動回路の動作速度を速くできる。別言すると、デュア
ルゲートトランジスタとして第1のトランジスタを駆動させた場合、第1のトランジスタ
の移動度を高くすることができる。従って、動作速度の増大と消費電力の低減との両立が
可能な半導体装置を得ることができる。
【0015】
また、透光性を有する半導体膜は、酸化物半導体を用いて形成することができる。酸化
物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、可視光に対する透過率が大
きいためである。以下において、透光性を有する半導体膜は単に酸化物半導体膜と言い換
えることができる。そこで、第2のトランジスタは酸化物半導体膜を用いたトランジスタ
であり、容量素子の一方の電極は酸化物半導体膜である。
【0016】
透光性を有する容量素子は、第2のトランジスタの形成工程を利用することで作製でき
る。容量素子の一方の電極は、第2のトランジスタの酸化物半導体膜を形成する工程を利
用でき、容量素子の誘電体膜は、第2のトランジスタの半導体膜上に設けられる絶縁膜を
形成する工程を利用でき、容量素子の他方の電極は、第2のトランジスタと電気的に接続
される画素電極を形成する工程を利用することができる。
【0017】
駆動回路を構成する第1のトランジスタも第2のトランジスタの形成工程を利用するこ
とで形成できる。また、第1のトランジスタのバックゲート電極は第2のトランジスタと
電気的に接続される画素電極の形成工程を利用することで形成できる。別言すると、バッ
クゲート電極は画素電極と同じ材料で形成される導電膜である。
【0018】
上記において、第2のトランジスタの酸化物半導体膜上に設けられる絶縁膜を酸化絶縁
膜及び窒化絶縁膜の積層構造とすることで、誘電体膜を酸化絶縁膜及び窒化絶縁膜の積層
構造とすることができる。
【0019】
また、第2のトランジスタの半導体膜上に設けられる絶縁膜を酸化絶縁膜及び窒化絶縁
膜の積層構造とする場合、容量素子上の領域のみ当該酸化絶縁膜を除去することで、容量
素子の誘電体膜を当該窒化絶縁膜のみの単層構造にすることができる。別言すると、当該
窒化絶縁膜は容量素子の一方の電極として機能する酸化物半導体膜に接する。窒化絶縁膜
と酸化物半導体膜が接することで、当該窒化絶縁膜と当該酸化物半導体膜の界面に欠陥準
位(界面準位)が形成される。または/及び、窒化絶縁膜をプラズマCVD法またはスパ
ッタリング法で成膜すると、当該半導体膜がプラズマに曝され、酸素欠損が生成される。
更には、当該窒化絶縁膜に含まれる窒素又は/及び水素が当該半導体膜に移動する。欠陥
準位または酸素欠損に窒化絶縁膜に含まれる水素が入ることで、キャリアである電子が生
成される。この結果、当該半導体膜は、導電率が増大し、n型となり、導電性を有する膜
となる。当該酸化物半導体膜を十分且つ容易に容量素子の一方の電極として機能させるこ
とができる。また、誘電体膜の厚さを薄くすることが可能であるため、容量素子の電荷容
量を増大させることができる。
【0020】
本発明の一態様は、半導体膜に重畳して当該半導体膜の上下にゲート電極を有する第1
のトランジスタを含む駆動回路と、半導体膜を含む第2のトランジスタを含む画素と、画
素に設けられた一対の電極の間に誘電体膜が設けられている容量素子と、当該一対の電極
の一方の電極と電気的に接続されている容量線と、第2のトランジスタと電気的に接続さ
れた画素電極と、を有し、第1のトランジスタの半導体膜上に設けられているゲート電極
と、容量線とが、電気的に接続されており、少なくとも第2のトランジスタにおいて、前
記半導体膜上には酸化絶縁膜及び窒化絶縁膜の積層構造である絶縁膜が設けられており、
容量素子は、第2のトランジスタの半導体膜と同一表面上に形成される半導体膜を有し、
該半導体膜は、一対の電極の一方の電極として機能し、画素電極は一対の電極の他方の電
極として機能し、誘電体膜は窒化絶縁膜であることを特徴とする半導体装置である。
【0021】
第2のトランジスタの酸化物半導体膜上に設けられる絶縁膜を、酸化絶縁膜及び窒化絶
縁膜の積層構造とする場合、当該酸化絶縁膜は窒素を透過させにくい、すなわち窒素に対
するバリア性を有していることが好ましい。
【0022】
このようにすることで、第2のトランジスタの酸化物半導体膜に窒素が拡散することを
抑制でき、第2のトランジスタの電気特性変動を抑制することができる。なお、第1のト
ランジスタにも酸化物半導体膜を用いる場合は、当該酸化絶縁膜は窒素を透過させにくい
、すなわち窒素に対するバリア性を有していることが好ましい。このようにすることで、
第1のトランジスタの電気特性変動を抑制することができる。
【0023】
また、容量素子において、一方の電極は、第2のトランジスタのソース電極又はドレイ
ン電極を形成する工程で形成される導電膜を用いて容量線と電気的に接続させることがで
きる。また、容量線に、一方の電極として機能する酸化物半導体膜を直に接して形成する
ことで、一方の電極と容量線とを電気的に接続させることができる。
【0024】
なお、容量素子において、一方の電極と容量線とを電気的に接続させる導電膜は、一方
の電極として機能する酸化物半導体膜の端部に接して設けてもよく、例えば、当該酸化物
半導体膜の外周に沿って接して設けることができる。このようにすることで、当該酸化物
半導体膜の導電性を増大させることができる。当該酸化物半導体膜の導電性を増大させる
ことで、当該酸化物半導体膜を容易に容量素子の一方の電極として機能させることができ
る。
【0025】
上記において、容量線は、第2のトランジスタのゲート電極としても機能する走査線に
対して平行方向に延伸し、同一表面上に設けられていてもよく、第2のトランジスタのソ
ース電極又はドレイン電極としても機能する信号線に対して平行方向に延伸し、同一表面
上に設けられていてもよい。
【0026】
上記において、第2のトランジスタと電気的に接続された画素電極と、第2のトランジ
スタの酸化物半導体膜上に設けられた絶縁膜との間に有機絶縁膜が設けられていてもよい
。このようにすることで、画素電極と、第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電
極など他の導電膜との寄生容量を低減することができ、半導体装置の電気特性を良好にす
ることができる。例えば、半導体装置の信号遅延などを低減することができる。
【0027】
このとき、容量素子の容量を大きくするためには誘電体膜の厚さは薄くすることが有効
なため、容量素子が形成される領域上の有機絶縁膜は除去しておくことが好ましい。そし
て、当該有機絶縁膜に含まれる水素、水などが、第2のトランジスタの酸化物半導体膜に
拡散することを抑制するために、第2のトランジスタの酸化物半導体膜と重畳する領域の
有機絶縁膜は除去しておくことが好ましい。
【0028】
上記において、容量素子の一方の電極として、第2のトランジスタの酸化物半導体膜を
形成する工程で形成した酸化物半導体膜を用いる場合、当該酸化物半導体膜の導電率を増
大させることが好ましい。つまり、容量素子において、一方の電極は、第2のトランジス
タの酸化物半導体膜と同一表面上に形成され、且つ当該酸化物半導体膜よりも導電率が高
い領域を有する酸化物半導体膜であることが好ましい。このようにすることで、当該酸化
物半導体膜を容量素子の一方の電極として十分且つ容易に機能させることができる。
【0029】
導電率を増大させるためには、例えば、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン、
ヒ素、インジウム、スズ、アンチモン及び希ガス元素から選ばれた一種以上を当該酸化物
半導体膜に添加することが好ましい。なお、上記元素を当該酸化物半導体膜に添加する方
法としては、イオン注入法又はイオンドーピング法などがあり、当該酸化物半導体膜を上
記元素含むプラズマに曝すことでも上記元素を添加することができる。この場合、容量素
子の一方の電極として機能する酸化物半導体膜の導電率は、10S/cm以上1000S
/cm以下、好ましくは100S/cm以上1000S/cm以下とする。
【0030】
なお、上記のように、容量素子において、一方の電極として機能する酸化物半導体膜上
に設けられる絶縁膜の窒化絶縁膜が酸化物半導体膜に接する構造とすることで、イオン注
入法又はイオンドーピング法など、導電率を増大させる元素を添加する工程を省略するこ
とができ、半導体装置の歩留まりを向上させ、作製コストを低減することができる。
【0031】
なお、本発明の一態様である半導体装置を作製する作製方法についても本発明の一態様
に含まれる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様より、駆動回路を有する半導体装置において、開口率を高めつつ、電荷
容量を増大させた容量素子を有する半導体装置を提供することができる。また、駆動回路
を有する半導体装置において、開口率が高く、電荷容量を大きくした容量素子を有し、消
費電力を低減した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一態様である半導体装置を示す図、及び画素の回路図。
図2】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図及び断面図。
図3】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図4】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図5】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図6】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図7】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図8】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図9】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図10】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図11】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図12】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図13】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図14】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図15】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図16】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図17】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図18】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図19】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図20】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図21】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図22】本発明の一態様である半導体装置に適用できるトランジスタを示す断面図。
図23】本発明の一態様である半導体装置に適用できるトランジスタを示す断面図。
図24】本発明の一態様である半導体装置に適用できるトランジスタを示す断面図。
図25】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図26】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図27】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図28】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図29】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図30】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図31】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図32】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図33】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を示す断面図。
図34】本発明の一態様である半導体装置に適用できるトランジスタを示す断面図。
図35】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図。
図36】本発明の一態様である半導体装置を示す断面図。
図37】本発明の一態様である半導体装置を示す上面図及び断面図。
図38】本発明の一態様である半導体装置を用いた電子機器を示す図。
図39】本発明の一態様である半導体装置を用いた電子機器を示す図。
図40】試料構造を説明する図である。
図41】シート抵抗を説明する図である。
図42】SIMSの測定結果を説明する図である。
図43】ESRの測定結果を説明する図である。
図44】ESRの測定結果を説明する図である。
図45】シート抵抗を説明する図である。
図46】シート抵抗を説明する図である。
図47】InGaZnOのバルクモデルを説明する図。
図48】VoHの形成エネルギー及び熱力学的遷移レベルを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明
は以下の説明に限定されず、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0035】
以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一
の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機
能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合が
ある。
【0036】
本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、又は領域は、明瞭化の
ために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0037】
本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり
、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書などにおいて発明を特定するた
めの事項として固有の名称を示すものではない。
【0038】
また、本発明における「ソース」及び「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の
方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「
ソース」及び「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0039】
また、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場
の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。た
だし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差
のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多
い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし
、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【0040】
本明細書において、フォトリソグラフィ処理を行った後にエッチング処理を行う場合は
、フォトリソグラフィ処理で形成したマスクは除去するものとする。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、図面を用いて説明する
。なお、本実施の形態では、液晶表示装置を例にして本発明の一態様である半導体装置を
説明する。
【0042】
<半導体装置の構成>
図1(A)に、半導体装置の一例を示す図を示す。図1(A)に示す半導体装置は、画
素部100と、走査線駆動回路104と、信号線駆動回路106と、各々が平行又は略平
行に配設され、且つ走査線駆動回路104によって電位が制御されるm本の走査線107
と、各々が平行又は略平行に配設され、且つ信号線駆動回路106によって電位が制御さ
れるn本の信号線109と、を有する。さらに、画素部100はマトリクス状に配設され
た複数の画素101を有する。また、走査線107に沿って、各々が平行又は略平行に配
設された容量線115を有する。なお、当該容量線は、信号線109に沿って、各々が平
行又は略平行に配設されていてもよい。また、m、nは、ともに1以上の整数である。
【0043】
各走査線107は、画素部100においてm行n列に配設された画素101のうち、い
ずれかの行に配設されたn個の画素101と電気的に接続される。また、各信号線109
は、m行n列に配設された画素101のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素10
1に電気的と接続される。また、各容量線115は、m行n列に配設された画素101の
うち、いずれかの行に配設されたn個の画素101と電気的に接続される。なお、容量線
115が、信号線109に沿って、各々が平行又は略平行に配設されている場合は、m行
n列に配設された画素101のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素101に電気
的と接続される。
【0044】
図1(B)は、図1(A)に示す半導体装置が有する画素101の回路図の一例である
図1(B)に示す画素101は、走査線107及び信号線109と電気的に接続された
トランジスタ103と、一方の電極が一定の電位を供給する容量線115と電気的に接続
され、他方の電極がトランジスタ103のドレイン電極と電気的に接続された容量素子1
05と、画素電極がトランジスタ103のドレイン電極及び容量素子105の他方の電極
に電気的に接続され、画素電極と対向して設けられる電極(対向電極)が対向電位を供給
する配線に電気的に接続された液晶素子108と、を有する。
【0045】
トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体膜において、適切な条件にて処理した
酸化物半導体膜を用いるとトランジスタのオフ電流を極めて低減することができる。従っ
て、トランジスタ103に含まれる半導体膜は酸化物半導体膜111とする。
【0046】
また、容量素子105は、トランジスタ103の形成工程を利用して形成することがで
きる。容量素子105の一方の電極は、透光性を有する半導体膜、具体的には酸化物半導
体膜119である。つまり、容量素子105は、MOS(Metal Oxide Se
miconductor)キャパシタと見なすことができる。
【0047】
液晶素子108は、トランジスタ103及び画素電極121が形成される基板と、対向
電極154が形成される基板とで挟持される液晶の光学的変調作用によって、光の透過又
は非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横
方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む。)によって制御される。
【0048】
走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106は、論理回路部と、スイッチ部又はバ
ッファ部とに大別される。走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106の詳細な構成
については省略するが、走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106にはトランジス
タが含まれている。
【0049】
走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106の一方又は双方に含まれるトランジス
タは、画素101が有するトランジスタ103の形成工程を利用して形成することができ
る。つまり、走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106一方又は双方は、画素10
1のトランジスタ103及び画素電極121が設けられる基板に設けることができる。こ
のように、走査線駆動回路104及び信号線駆動回路106一方又は双方を当該基板に一
体形成することで、半導体装置の部品点数を削減することができ、作製コストを低減する
ことができる。
【0050】
また、画素101を走査する速度を増大させるためには、走査線駆動回路104の動作
速度を増大させる必要があり、具体的には走査線駆動回路104に含まれるトランジスタ
の動作速度の増大、当該トランジスタの導通時に流れるドレイン電流(オン電流)の増大
、及び当該トランジスタの電界効果移動度の増大が必要である。これらを実現するために
、走査線駆動回路104に含まれるトランジスタをデュアルゲートトランジスタとする。
なお、デュアルゲートトランジスタは、半導体膜に重畳して当該半導体膜の上下にゲート
電極が設けられていることから、トランジスタの動作速度を増大させることができる。ま
た、半導体膜の上下から電界が加わるため、十分にチャネルを形成することができ、トラ
ンジスタのオン電流及び電界効果移動度を増大させることができる。なお、信号線駆動回
路106に含まれるトランジスタについてもデュアルゲートトランジスタとすることがで
きる。
【0051】
次いで、本発明の一態様である半導体装置において、画素部100に設けられる容量線
と走査線駆動回路104に含まれるデュアルゲートトランジスタのバックゲート電極を含
む配線との積層構造について説明する。図2に、当該積層構造を説明する図を示す。図2
(A)は半導体装置の一部の上面図であり、図2(B)は図2(A)の一点鎖線X1-X
2間の断面及び一点鎖線Y1-Y2間の断面を示す断面図である。
【0052】
図2(A)には、画素部100と、容量線115と、走査線駆動回路104と、走査線
駆動回路104に含まれるデュアルゲートトランジスタ15のバックゲート電極を含む配
線92と、が図示されている。なお、図面の明瞭化のため、画素部100において容量線
115以外の構成要素(画素、信号線、トランジスタ、容量素子及び液晶素子など)は適
宜、省略している。また、走査線駆動回路104において、図面の明瞭化のため、適宜、
構成要素は省略している。
【0053】
図2(A)が示すように、本発明の一態様である半導体装置は、容量線115と配線9
2とが開口94を通じて電気的に接続されている。つまり、容量線115及び配線92は
同電位となり、さらには、デュアルゲートトランジスタ15のバックゲート電極、及び容
量線115と電気的に接続している容量素子105の一方の電極として機能する酸化物半
導体膜119は同電位となる(図1(B)参照)。
【0054】
図2(B)には、デュアルゲートトランジスタ15及び開口94の構造が図示されてい
る。なお、デュアルゲートトランジスタ15は、トランジスタ103の形成工程を利用し
て形成できる。
【0055】
図2(B)が示すように、本発明の一態様である半導体装置は、断面X1-X2におい
て、基板102上にゲート電極17aが設けられており、ゲート電極17a上にはゲート
絶縁膜12が設けられており、ゲート絶縁膜12のゲート電極17aと重畳する領域上に
酸化物半導体膜11が設けられており、酸化物半導体膜11に接してソース電極19a及
びドレイン電極13aが設けられており、ゲート絶縁膜12、ソース電極19a、酸化物
半導体膜11、及びドレイン電極13a上に絶縁膜29、絶縁膜31及び絶縁膜32が設
けられており、絶縁膜32の酸化物半導体膜11と重畳する領域上にバックゲート電極を
含む配線92とが設けられている。
【0056】
また、本発明の一態様である半導体装置は、断面Y1-Y2において、基板102上に
ゲート電極17aと同一表面上に設けられる容量線115が設けられており、容量線11
5上には導電膜16、絶縁膜29、絶縁膜31及び絶縁膜32が設けられており、ゲート
絶縁膜12、絶縁膜29、絶縁膜31及び絶縁膜32に形成され、導電膜16に達する開
口94が設けられており、当該開口94に配線92が設けられている。なお、容量線11
5及び配線92は、導電膜16によって電気的に接続されており、導電膜16は、ソース
電極19a及びドレイン電極13aの形成工程を利用して形成できる。
【0057】
なお、容量線115と配線92とを電気的に接続する構成としては、上記のように導電
膜16を通じて電気的に接続させる構成の他に、導電膜16を設けず容量線115と配線
92とが直接接する構成とすることができる。
【0058】
なお、基板102と、ゲート電極17a及び容量線115並びにゲート絶縁膜12との
間には下地絶縁膜が設けられていてもよい。
【0059】
また、ここでは、容量線115と、走査線駆動回路104に含まれるデュアルゲートト
ランジスタ15のバックゲート電極を含む配線92とが電気的に接続される構成を説明し
たが、本発明の一態様である半導体装置は、当該構成に限定されず、容量線115は信号
線駆動回路106に含まれるデュアルゲートトランジスタのバックゲート電極を含む配線
と電気的に接続される構成とすることができる。
【0060】
上記より、本発明の一態様である半導体装置は、容量線115とデュアルゲートトラン
ジスタ15のバックゲート電極を含む配線92とが電気的に接続されていることで、容量
線115の電位を制御することで当該バックゲート電極の電位を制御することができる。
つまり、本発明の一態様により、当該バックゲート電極の電位を制御する構成の省略が可
能であり、走査線駆動回路104に含まれるトランジスタをデュアルゲートトランジスタ
15として動作させることができるため駆動回路の動作速度を速くできる。従って、動作
速度の増大と消費電力の低減との両立が可能な半導体装置を得ることができる。また、当
該バックゲート電極の電位を制御する構成を省略できるため、半導体装置の部品点数を削
減することができ、本発明の一態様である半導体装置の作製コストを低減することができ
る。
【0061】
次いで、本発明の一態様である半導体装置に含まれる画素101の具体的な構成例につ
いて説明する。画素101の上面図を図3に示す。なお、図3は、図面の明瞭化のため、
当該半導体装置の構成要素(例えば、液晶素子108など)の一部を省略している。
【0062】
図3において、走査線107は、信号線109に略直交する方向(図中左右方向)に延
伸して設けられている。信号線109は、走査線107に略直交する方向(図中上下方向
)に延伸して設けられている。容量線115は、走査線107と平行方向に延伸して設け
られている。なお、走査線107及び容量線115は、走査線駆動回路104に含まれる
デュアルゲートトランジスタ15のバックゲート電極を含む配線92(図2(A)参照)
と電気的に接続されており、信号線109は、信号線駆動回路106(図1(A)参照)
と電気的に接続されている。
【0063】
トランジスタ103は、走査線107及び信号線109が交差する領域に設けられてい
る。トランジスタ103は、少なくとも、チャネル形成領域を有する酸化物半導体膜11
1と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜(図3に図示せず)と、ソース電極と、及びドレイン
電極とを含む。
【0064】
トランジスタ103は酸化物半導体膜111を用いているため、トランジスタのオフ電
流を極めて低減することができ、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0065】
また、走査線107はトランジスタ103のゲート電極として機能する領域を含み、信
号線109はトランジスタ103のソース電極として機能する領域を含む。導電膜113
は、トランジスタ103のドレイン電極として機能する領域を含み、開口117を通じて
画素電極121と電気的に接続されている。なお、図3において、画素電極121はハッ
チングを省略して図示している。
【0066】
ゲート電極として機能する領域は、走査線107において少なくとも酸化物半導体膜1
11と重畳する領域である。ソース電極として機能する領域は、信号線109において少
なくとも酸化物半導体膜111と重畳する領域である。ドレイン電極として機能する領域
は、導電膜113において少なくとも酸化物半導体膜111と重畳する領域である。なお
、以下において、トランジスタ103のゲート電極をゲート電極107aと記載し、トラ
ンジスタ103のソース電極をソース電極109aと記載し、トランジスタ103のドレ
イン電極をドレイン電極113aと指し示す場合がある。さらに、トランジスタ103の
ゲート電極を指し示す場合でも走査線107と記載し、トランジスタ103のソース電極
を指し示す場合でも信号線109と記載する場合がある。
【0067】
容量素子105は、画素101内の容量線115及び信号線109で囲まれる領域に設
けられている。容量素子105は、開口123に設けられた導電膜125を通じて容量線
115と電気的に接続されている。容量素子105は、透光性を有する酸化物半導体膜1
19と、透光性を有する画素電極121と、誘電体膜として、トランジスタ103に含ま
れ、透光性を有する絶縁膜(図3に図示せず)とで構成されている。即ち、容量素子10
5は透光性を有する。
【0068】
容量素子105は透光性を有することから、画素101内に容量素子105を大きく(
大面積に)形成することができる。従って、開口率を高めつつ、電荷容量を増大させた半
導体装置を得ることができる。また、開口率を向上することによって表示品位の優れた半
導体装置を得ることができる。
【0069】
容量素子105は、一対の電極が重畳している面積に応じて蓄積される電荷容量は変化
する。解像度を高くするために画素の大きさを小さくすると、それだけ容量素子の大きさ
も小さくなり、蓄積される電荷容量も小さくなる。その結果、液晶素子を十分に動作させ
ることができない可能性がある。容量素子105は透光性を有するため、液晶素子108
が動作する範囲全体に容量素子105を形成することができ、画素内にできる限り大きく
(大面積に)容量素子105を形成することができる。液晶素子108を十分に動作させ
ることができる電荷容量を確保できる限り、画素密度を大きく、解像度を高くすることが
できる。
【0070】
そこで、本発明の一態様は、画素密度が200ppi以上さらには300ppi以上で
ある高解像度の表示装置に好適に用いることができる。また、本発明の一態様は、高解像
度の表示装置においても、開口率を向上させることができるため、バックライトなどの光
源装置の光を効率よく利用することができ、表示装置の消費電力を低減することができる
【0071】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタの特徴について記載する。酸化物半導体を
用いたトランジスタはnチャネル型トランジスタである。また、酸化物半導体に含まれる
酸素欠損はキャリアを生成することがあり、トランジスタの電気特性及び信頼性を低下さ
せる恐れがある。例えば、トランジスタのしきい値電圧をマイナス方向に変動し、ゲート
電圧が0Vの場合にドレイン電流が流れてしまうことがある。このように、ゲート電圧が
0Vの場合にドレイン電流が流れてしまうことをノーマリーオン特性という。なお、ゲー
ト電圧が0Vの場合にドレイン電流が流れていないとみなすことができるトランジスタを
ノーマリーオフ特性という。
【0072】
そこで、酸化物半導体膜を用いる際、酸化物半導体膜に含まれる欠陥、代表的には酸素
欠損はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、磁場の向きを膜面に対して平
行に印加した電子スピン共鳴法によるg値=1.93のスピン密度(酸化物半導体膜に含
まれる欠陥密度に相当する。)は、測定器の検出下限以下まで低減されていることが好ま
しい。酸化物半導体膜に含まれる欠陥、代表的には酸素欠損をできる限り低減することで
、トランジスタがノーマリーオン特性となることを抑制することができ、半導体装置の電
気特性及び信頼性を向上させることができる。
【0073】
トランジスタのしきい値電圧のマイナス方向への変動は酸素欠損だけではなく、酸化物
半導体膜に含まれる水素(水などの水素化合物を含む。)によっても引き起こされること
がある。酸化物半導体膜に含まれる水素は金属原子と結合する酸素と反応して水になると
共に、酸素が脱離した格子(又は酸素が脱離した部分)に欠損(酸素欠損ともいえる)を
形成する。また、水素の一部が酸素と反応することで、キャリアである電子を生成してし
まう。従って、水素が含まれている酸化物半導体膜を有するトランジスタはノーマリーオ
ン特性となりやすい。
【0074】
そこで、トランジスタ103の酸化物半導体膜111は水素をできる限り低減されてい
ることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜111において、二次イオン質量分析法
(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)によ
り得られる水素濃度を、5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018
atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに
好ましくは1×1016atoms/cm以下とする。
【0075】
また、酸化物半導体膜111は、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属又
はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1
16atoms/cm以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半
導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタ103のオフ電流を増大
させることがある。
【0076】
また、酸化物半導体膜に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア
密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を有する
トランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、酸化物半導体膜111におい
て、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、窒素濃度は、5×10
atoms/cm以下にすることが好ましい。
【0077】
また、酸化物半導体膜にシリコン及び炭素などの第14族元素含まれていると、キャリ
アである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。そこで、酸化物半導体膜
111を有するトランジスタ103において、特に、ゲート絶縁膜127(図3に図示せ
ず)と当該酸化物半導体膜111の界面において、二次イオン質量分析法により得られる
シリコン濃度は、3×1018atoms/cm以下、好ましくは3×1017ato
ms/cm以下とする。なお、当該界面において、二次イオン質量分析法により得られ
る炭素濃度は、3×1018atoms/cm以下、好ましくは3×1017atom
s/cm以下とする。
【0078】
上記より、不純物(水素、窒素、シリコン、炭素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
など)をできる限り低減させ、高純度化させた酸化物半導体膜111を用いることで、ト
ランジスタ103がノーマリーオン特性となることを抑制でき、トランジスタ103のオ
フ電流を極めて低減することができる。従って、良好な電気特性に有する半導体装置を作
製できる。また、信頼性を向上させた半導体装置を作製することができる。
【0079】
なお、高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、
いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅Wが1×10μmでチャネル長
Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が
1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以
下、すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。この場合、トランジ
スタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流は、100zA/μm以下であること
が分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入又は容量素子か
ら流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。
当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に
用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定
した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数
十yA/μmという、さらに低いオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化
された酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さい。
【0080】
次いで、図3の一点鎖線A1-A2間及び一点鎖線B1-B2間における断面図を図4
に示す。なお、図4には液晶素子108を含めた構成を示す。
【0081】
画素101の断面構造は以下の通りである。基板102上に、ゲート電極107aを含
む走査線107と、走査線107と同一表面上に設けられる容量線115とが設けられて
いる。走査線107及び容量線115上にゲート絶縁膜127が設けられている。ゲート
絶縁膜127の走査線107と重畳する領域上に酸化物半導体膜111が設けられており
、ゲート絶縁膜127上に酸化物半導体膜119が設けられている。酸化物半導体膜11
1上、及びゲート絶縁膜127上にソース電極109aを含む信号線109と、ドレイン
電極113aとして機能する導電膜113とが設けられている。ゲート絶縁膜127には
容量線115に達する開口123が設けられており、導電膜125は、容量線115及び
酸化物半導体膜119に接して且つ開口123に設けられている。ゲート絶縁膜127上
、信号線109上、酸化物半導体膜111上、導電膜113上、導電膜125上、及び酸
化物半導体膜119上にトランジスタ103の保護絶縁膜として機能する絶縁膜129、
絶縁膜131、及び絶縁膜132が設けられている。絶縁膜129、絶縁膜131、及び
絶縁膜132には導電膜113に達する開口117が設けられており、開口117には画
素電極121が設けられている。なお、基板102と、走査線107及び容量線115並
びにゲート絶縁膜127との間には下地絶縁膜が設けられていてもよい。
【0082】
また、画素101は液晶素子108を有する。液晶素子108の断面構造は以下の通り
である。基板150の基板102と対向している面の少なくともトランジスタ103と重
畳する領域に遮光膜152が設けられており、遮光膜152を覆うように透光性を有する
導電膜である対向電極154が設けられており、遮光膜152及び対向電極154を覆う
ように配向膜156が設けられている。画素電極121及び絶縁膜132上に配向膜15
8が設けられている。基板102及び基板150に挟持されて液晶160が設けられてい
る。液晶160は基板150側に設けられた配向膜156及び基板102側に設けられた
配向膜158に接している。
【0083】
なお、本発明の一態様である半導体装置を液晶表示装置とする場合、バックライトなど
の光源装置、基板102側及び基板150側にそれぞれ設けられる偏光板などの光学部材
(光学基板)、基板102と基板150とを固定するシール材などが必要となるが、これ
らについては後述する。
【0084】
本実施の形態に示す容量素子105において、一対の電極のうち一方の電極は酸化物半
導体膜119であり、一対の電極のうち他方の電極は画素電極121であり、一対の電極
の間に設けられた誘電体膜は絶縁膜129、絶縁膜131、及び絶縁膜132である。
【0085】
ここで、容量素子105の動作原理について説明する。
【0086】
酸化物半導体膜119は、酸化物半導体膜111と同一の構成であっても、容量素子1
05の一方の電極として機能する。これは、画素電極121をゲート電極、絶縁膜129
、絶縁膜131、及び絶縁膜132をゲート絶縁膜、容量線115をソース電極又はドレ
イン電極と見なすことが可能であり、この結果、容量素子105をトランジスタと同様に
動作させ、酸化物半導体膜119を導通状態にすることができるためである。即ち、容量
素子105をMOSキャパシタとすることが可能であり、容量線115に印加する電位を
制御することで酸化物半導体膜119を導通状態とさせ、酸化物半導体膜119を容量素
子の一方の電極として機能させることができる。この場合、容量線115に印加する電位
を以下のようにする。画素電極121の電位は、液晶素子108を動作させるために、プ
ラス方向及びマイナス方向に変動する。容量素子105(MOSキャパシタ)を常に導通
状態にさせておくためには、容量線115の電位を、常に、画素電極121に印加する電
位よりも容量素子105(MOSキャパシタ)のしきい値電圧分以上低くしておく必要が
ある。つまり、酸化物半導体膜119と酸化物半導体膜111は同一の構成であるため、
容量線115の電位をトランジスタ103のしきい値電圧分以上低くしておけばよい。こ
のようにすることで、酸化物半導体膜119にチャネルが形成されるため、容量素子30
5(MOSキャパシタ)を常に導通状態とすることができる。
【0087】
以下に、上記構造の構成要素について詳細を記載する。
【0088】
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、半導体装置の作製工程にお
いて行う熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、
セラミック基板、プラスチック基板などがあり、ガラス基板としては、バリウムホウケイ
酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラ
ス基板を用いるとよい。また、ステンレス合金などに透光性を有していない基板を用いる
こともできる。その場合は、基板表面に絶縁膜を設けることが好ましい。なお、基板10
2として石英基板、サファイア基板、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、化合物半導
体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることも
できる。
【0089】
走査線107及び容量線115は、は大電流を流すため、金属膜で形成することが好ま
しく、代表的には、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)タンタル
(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、ス
カンジウム(Sc)などの金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いた、単層構
造又は積層構造で設ける。
【0090】
走査線107及び容量線115の一例としては、シリコンを含むアルミニウムを用いた
単層構造、アルミニウム上にチタンを積層する二層構造、窒化チタン上にチタンを積層す
る二層構造、窒化チタン上にタングステンを積層する二層構造、窒化タンタル上にタング
ステンを積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金上に銅を積層する二層
構造、窒化チタン上に銅を積層し、さらにその上にタングステンを形成する三層構造など
がある。
【0091】
また、走査線107及び容量線115の材料として、画素電極121に適用可能な透光
性を有する導電性材料を用いることができる。なお、本発明の一態様である半導体装置を
反射型の表示装置とする場合、画素電極121に透光性を有していない導電性材料(例え
ば金属材料)を用いることができる。その際は基板102も透光性を有していない基板を
用いることができる。
【0092】
さらに、走査線107及び容量線115の材料として、窒素を含む金属酸化物、具体的
には、窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物や、窒素を含むIn-Sn系酸化物や、窒素
を含むIn-Ga系酸化物や、窒素を含むIn-Zn系酸化物や、窒素を含むSn系酸化
物や、窒素を含むIn系酸化物や、金属窒化膜(InN、SnNなど)を用いることがで
きる。これらの材料は5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有する。これら窒素を含む
金属酸化物を走査線107(ゲート電極107a)として用いることで、トランジスタ1
03のしきい値電圧をプラス方向に変動させることができ、所謂ノーマリーオフ特性を有
するトランジスタを実現できる。例えば、窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物を用いる
場合、少なくとも酸化物半導体膜111より高い窒素濃度、具体的には窒素濃度が7原子
%以上のIn-Ga-Zn系酸化物を用いることができる。
【0093】
走査線107及び容量線115において、低抵抗材料であるアルミニウムや銅を用いる
ことが好ましい。アルミニウムや銅を用いることで、信号遅延を低減し、表示品位を高め
ることができる。なお、アルミニウムは耐熱性が低く、ヒロック、ウィスカー、あるいは
マイグレーションによる不良が発生しやすい。アルミニウムのマイグレーションを防ぐた
め、アルミニウムに、モリブデン、チタン、タングステンなどの、アルミニウムよりも融
点の高い金属材料を積層することが好ましい。また、銅を用いる場合も、マイグレーショ
ンによる不良や銅元素の拡散を防ぐため、銅に、モリブデン、チタン、タングステンなど
の、銅よりも融点の高い金属材料を積層することが好ましい。
【0094】
また、図3及び図4に示したように、走査線107(ゲート電極107a)は、酸化物
半導体膜111を走査線107(ゲート電極107a)の領域内に設けることができる形
状として設けることが好ましい。図3のように酸化物半導体膜111は走査線107の内
側に設けられるようにすることが好ましい。このようにすることで、基板102の走査線
107が設けられている面とは反対の面(基板102の裏面)から照射される光(液晶表
示装置においてはバックライトなどの光源装置の光)を、走査線107が遮光するため、
トランジスタ103の電気特性(例えばしきい値電圧など)が変動又は低下を抑制するこ
とができる。
【0095】
ゲート絶縁膜127は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa-Zn系金属
酸化物などの絶縁材料を用いた、単層構造又は積層構造で設ける。なお、酸化物半導体膜
111との界面特性を向上させるため、ゲート絶縁膜127において少なくとも酸化物半
導体膜111と接する領域は酸化絶縁膜で形成することが好ましい。
【0096】
また、ゲート絶縁膜127に、酸素、水素、水などに対するバリア性を有する絶縁膜を
設けることで、酸化物半導体膜111に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸化物
半導体膜111への水素、水などの侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水などに対す
るバリア性を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸
化ガリウム膜、酸化窒化ガリウム膜、酸化イットリウム膜、酸化窒化イットリウム膜、酸
化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化シリコン膜などがある。
【0097】
また、ゲート絶縁膜127として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素を有
するハフニウムシリケート(HfSi)、窒素を有するハフニウムアルミネー
ト(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料
を用いることでトランジスタ103のゲートリークを低減できる。
【0098】
また、ゲート絶縁膜127は、以下の積層構造とすることが好ましい。第1の窒化シリ
コン膜として、欠陥量が少ない窒化シリコン膜を設け、第1の窒化シリコン膜上に第2の
窒化シリコン膜として、水素脱離量及びアンモニア脱離量の少ない窒化シリコン膜を設け
、第2の窒化シリコン膜上に、上記ゲート絶縁膜127で羅列した酸化絶縁膜のいずれか
を設けることが好ましい。
【0099】
第2の窒化シリコン膜としては、昇温脱離ガス分析法において、水素分子の脱離量が5
×1021分子/cm未満、好ましくは3×1021分子/cm以下、さらに好まし
くは1×1021分子/cm以下であり、アンモニア分子の脱離量が1×1022分子
/cm未満、好ましくは5×1021分子/cm以下、さらに好ましくは1×10
分子/cm以下である窒化絶縁膜を用いることが好ましい。上記第1の窒化シリコン
膜及び第2の窒化シリコン膜をゲート絶縁膜127の一部として用いることで、ゲート絶
縁膜127として、欠陥量が少なく、且つ水素及びアンモニアの脱離量の少ないゲート絶
縁膜を形成することができる。この結果、ゲート絶縁膜127に含まれる水素及び窒素の
、酸化物半導体膜111への移動量を低減することが可能である。
【0100】
酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体膜及びゲート絶縁膜の界面
又はゲート絶縁膜に捕獲準位(界面準位ともいう。)が存在すると、トランジスタのしき
い値電圧の変動、代表的にはしきい値電圧のマイナス方向への変動、及びトランジスタが
オン状態となるときにドレイン電流が一桁変化するのに必要なゲート電圧を示すサブスレ
ッショルド係数(S値)の増大の原因となる。この結果、トランジスタごとに電気特性が
ばらつくという問題がある。このため、ゲート絶縁膜として、欠陥量の少ない窒化シリコ
ン膜を用いることで、また、酸化物半導体膜111と接する領域に酸化絶縁膜を設けるこ
とで、しきい値電圧のマイナスシフトを低減すると共に、S値の増大を抑制することがで
きる。
【0101】
ゲート絶縁膜127の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以
上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
【0102】
酸化物半導体膜111は、非晶質構造、単結晶構造、又は多結晶構造とすることができ
る。また、酸化物半導体膜111の厚さは、1nm以上100nm以下、好ましくは1n
m以上30nm以下、更に好ましくは1nm以上50nm以下、更に好ましくは3nm以
上20nm以下とすることである。
【0103】
酸化物半導体膜111に適用可能な酸化物半導体として、エネルギーギャップが2eV
以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネ
ルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタ103のオフ電流を低
減することができる。
【0104】
酸化物半導体膜111に適用可能な酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)若
しくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。又は、InとZnの双方を含むことが好まし
い。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、
それらと共に、スタビライザーの一又は複数を有することが好ましい。
【0105】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ア
ルミニウム(Al)、又はジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーと
しては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(
Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などがあ
る。
【0106】
酸化物半導体膜111に適用できる酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、
酸化スズ、酸化亜鉛、二種類の金属を含む酸化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn
系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg
系酸化物、In-Ga系酸化物、三種類の金属を含む酸化物であるIn-Ga-Zn系酸
化物(IGZOとも表記する。)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化
物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物
、In-Hf-Zn系酸化物、In-Zr-Zn系酸化物、In-Ti-Zn系酸化物、
In-Sc-Zn系酸化物、In-Y-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In
-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-
Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-T
b-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er
-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-
Zn系酸化物、四種類の金属を含む酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、In
-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Z
n系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用い
ることができる。
【0107】
ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化
物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外
の金属元素が入っていてもよい。
【0108】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用
いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数
の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。
【0109】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:
Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:
2(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn-Ga-Zn系金属酸化物を用いるこ
とができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、
In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn
=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn-Sn-Zn系金属酸化物
を用いるとよい。なお、金属酸化物の原子数比は、誤差として上記の原子数比のプラスマ
イナス20%の変動を含む。
【0110】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、し
きい値電圧、等)に応じて適切な原子数比のものを用いればよい。また、必要とする半導
体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比
、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。例えば、In-Sn-Zn系
金属酸化物では比較的容易に高い電界効果移動度が得られる。しかしながら、In-Ga
-Zn系金属酸化物でも、バルク内欠陥密度を低くすることにより、電界効果移動度を上
げることができる。
【0111】
酸化物半導体膜119は、酸化物半導体膜111に適用可能な酸化物半導体を用いるこ
とができる。酸化物半導体膜111を形成すると共に酸化物半導体膜119を形成するこ
とができることから、酸化物半導体膜119は酸化物半導体膜111を構成する酸化物半
導体の金属元素を含む。
【0112】
信号線109、導電膜113、及び容量素子105の酸化物半導体膜119と容量線1
15とを電気的に接続する導電膜125は、走査線107及び容量線115に適用できる
材料を用いた、単層構造又は積層構造で設ける。
【0113】
トランジスタ103の保護絶縁膜、及び容量素子105の誘電体膜として機能する絶縁
膜129と、絶縁膜131と、絶縁膜132とは、ゲート絶縁膜127に適用できる材料
を用いた絶縁膜である。特に、絶縁膜129及び絶縁膜131は酸化絶縁膜とし、絶縁膜
132は窒化絶縁膜とすることが好ましい。また、絶縁膜132を窒化絶縁膜とすること
で外部から水素や水などの不純物がトランジスタ103(特に酸化物半導体膜111)に
侵入することを抑制できる。なお、絶縁膜129は設けない構造であってもよい。
【0114】
また、絶縁膜129及び絶縁膜131の一方又は双方は、化学量論的組成を満たす酸素
よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜で有ることが好ましい。このようにすることで、酸化
物半導体膜111からの酸素の脱離を防止するとともに、酸素過剰領域に含まれる当該酸
素を酸化物半導体膜111に移動させ、酸素欠損を補填することが可能となる。例えば、
昇温脱離ガス分析(以下、TDS分析とする。)によって測定される酸素分子の放出量が
、1.0×1018分子/cm以上ある酸化絶縁膜を用いることで、酸化物半導体膜1
11に含まれる酸素欠損を補填することができる。なお、絶縁膜129及び絶縁膜131
の一方又は双方において、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含む領域(酸素過剰領域)
が部分的に存在している酸化絶縁膜であってもよく、少なくとも酸化物半導体膜111と
重畳する領域に酸素過剰領域が存在することで、酸化物半導体膜111からの酸素の脱離
を防止するとともに、酸素過剰領域に含まれる当該酸素を酸化物半導体膜111に移動さ
せ、酸素欠損を補填することが可能となる。
【0115】
絶縁膜131が化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜である
場合、絶縁膜129は、酸素を透過する酸化絶縁膜とすることが好ましい。なお、絶縁膜
129において、外部から絶縁膜129に入った酸素は、全て絶縁膜129を通過して移
動せず、絶縁膜129にとどまる酸素もある。また、あらかじめ絶縁膜129に含まれて
おり、絶縁膜129から外部に移動する酸素もある。そこで、絶縁膜129は酸素の拡散
係数が大きい酸化絶縁膜であることが好ましい。
【0116】
また、絶縁膜129は酸化物半導体膜111と接することから、酸素を透過させるだけ
ではなく、酸化物半導体膜111との界面準位が低くなる酸化絶縁膜であることが好まし
い。例えば、絶縁膜129は絶縁膜131よりも膜中の欠陥密度が低い酸化絶縁膜である
ことが好ましい。具体的には、電子スピン共鳴測定によるg値=2.001(E´-ce
nter)のスピン密度が3.0×1017spins/cm以下、好ましくは5.0
×1016spins/cm以下の酸化絶縁膜である。なお、電子スピン共鳴測定によ
るg値=2.001のスピン密度は、絶縁膜129に含まれるダングリングボンドの存在
量に対応する。
【0117】
絶縁膜129の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以
下、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。絶縁膜131の厚さは、
30nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下とすることがで
きる。
【0118】
また、酸化物半導体膜111上に設けられる絶縁膜129を、酸素を透過させると共に
、酸化物半導体膜111との界面準位が低くなる酸化絶縁膜とし、絶縁膜131を、酸素
過剰領域を含む酸化絶縁膜又は化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化
絶縁膜とすることで、酸化物半導体膜111へ酸素を供給することが容易になり、酸化物
半導体膜111からの酸素の脱離を防止すると共に、絶縁膜131に含まれる酸素を酸化
物半導体膜111に移動させ、酸化物半導体膜111に含まれる酸素欠損を補填すること
が可能となる。この結果、トランジスタ103がノーマリーオン特性となることを抑制す
ることができると共に、容量素子105(MOSキャパシタ)が、常に導通状態となるよ
うに、容量線115に印加する電位を制御することが可能であるため、半導体装置の電気
特性及び信頼性を向上させることができる。
【0119】
なお、絶縁膜129及び絶縁膜131の一方又は双方を、酸化窒化シリコン又は窒化酸
化シリコンなど、窒素を含む酸化絶縁膜とする場合、SIMSより得られる窒素濃度は、
SIMS検出下限以上3×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1018
toms/cm以上1×1020atoms/cm以下とすることが好ましい。この
ようにすることで、トランジスタ103に含まれる酸化物半導体膜111への窒素の移動
量を少なくすることができる。また、このようにすることで、窒素を含む酸化絶縁膜自体
の欠陥量を少なくすることができる。
【0120】
絶縁膜132を窒化絶縁膜とする場合、絶縁膜129及び絶縁膜131の一方又は双方
が窒素に対するバリア性を有する絶縁膜であることが好ましい。例えば、緻密な酸化絶縁
膜とすることで窒素に対するバリア性を有することができ、具体的には、25℃において
0.5重量%のフッ酸を用いた場合のエッチング速度が10nm/分以下である酸化絶縁
膜とすることが好ましい。
【0121】
絶縁膜132として、水素含有量が少ない窒化絶縁膜を設けることができる。当該窒化
絶縁膜としては、例えば、TDS分析によって測定される水素分子の放出量が、5.0×
1021atoms/cm未満であり、好ましくは3.0×1021atoms/cm
未満であり、さらに好ましくは1.0×1021atoms/cm未満である窒化絶
縁膜である。
【0122】
絶縁膜132は、外部から水素や水などの不純物の侵入を抑制する機能を発揮できる厚
さとする。例えば、50nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上150nm以
下、さらに好ましくは50nm以上100nm以下とすることができる。
【0123】
また、絶縁膜131上に設けられる絶縁膜132として、窒化絶縁膜を用いることで、
外部から水素や水などの不純物が、酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119に侵
入することを抑制できる。さらには、絶縁膜132として、水素含有量が少ない窒化絶縁
膜を設けることで、トランジスタ103及び容量素子105(MOSキャパシタ)の電気
特性変動を抑制することができる。
【0124】
画素電極121は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、
酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸
化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したイン
ジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料で設ける。
【0125】
基板150は、基板102に適用できる基材を用いることができる。
【0126】
遮光膜152は、ブラックマトリクスとも呼ばれ、液晶表示装置においてバックライト
などの光源装置の光漏れの抑制や、カラーフィルタを用いてカラー表示を行う際に生じる
混色によるコントラスト低下の抑制などのために設けられる。遮光膜152は、汎用され
ているものを用いて設けることができる。例えば、遮光性を有する材料として金属や、顔
料を含む有機樹脂などが挙げられる。なお、遮光膜152は、画素101のトランジスタ
103上の他、走査線駆動回路104、信号線駆動回路106(図1(A)参照)などの
画素部100以外の領域に設けてもよい。
【0127】
また、隣り合う遮光膜152の間に、所定の波長の光を透過させる機能を有する着色膜
を設けてもよい。さらには、遮光膜152及び着色膜と、対向電極154の間にオーバー
コート膜を設けてもよい。
【0128】
対向電極154は、画素電極121に適用できる材料を適宜用いて設ける。
【0129】
配向膜156及び配向膜158は、ポリアミドなどの汎用されているものを用いて設け
ることができる。
【0130】
液晶160は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、
強誘電性液晶、反強誘電性液晶などを用いることができる。これらの液晶材料は、条件に
より、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等
方相などを示す。
【0131】
また、液晶160は、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相
は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等
方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため
、温度範囲を改善するためにカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いる。なお、配向膜
は有機樹脂で構成されており、有機樹脂は水素又は水などを含むことから、本発明の一態
様である半導体装置のトランジスタの電気特性を低下させるおそれがある。そこで、液晶
160として、ブルー相を用いることで、有機樹脂を用いずに本発明の一態様である半導
体装置を作製することができ、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
【0132】
なお、液晶素子108は、液晶素子の108の表示モードにもとづいて、画素電極12
1及び対向電極154などの形状の変形や、リブと呼ばれる突起の形成など、適宜構成を
変えることができる。
【0133】
また、本発明の一態様である半導体装置において、偏光部材(偏光基板)の偏光軸を遮
光膜152に対して平行になるように設け、当該半導体装置の表示モードを、電圧を加え
ていない状態で液晶素子108がバックライトなどの光源装置の光を透過させないノーマ
リーブラックすることで、画素101の遮光膜152を設ける領域を縮小できる、又は無
くすことができる。この結果、画素密度が200ppi以上さらには300ppi以上で
ある高解像度の表示装置のように1画素が小さい場合でも、開口率を向上させることがで
きる。また、透光性を有する容量素子を用いることでさらに開口率を向上させることがで
きる。
【0134】
<半導体装置の作製方法>
次に、上記の半導体装置の作製方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0135】
また、ここでは、画素部100が設けられる基板と同一の基板に半導体装置の走査線駆
動回路104に含まれるデュアルゲートトランジスタ15を形成するものとして、デュア
ルゲートトランジスタ15の形成工程についても記載する。デュアルゲートトランジスタ
15のゲート電極17aはトランジスタ103のゲート電極107aと同一の材料で形成
される。デュアルゲートトランジスタ15のゲート絶縁膜12は、トランジスタ103の
ゲート絶縁膜127と同一の材料で形成される。デュアルゲートトランジスタ15の酸化
物半導体膜11は、トランジスタ103の酸化物半導体膜111と同一の材料で形成され
る。デュアルゲートトランジスタ15のソース電極19a及びドレイン電極13aは、ト
ランジスタ103のソース電極109a及びドレイン電極113aと同一の材料で形成さ
れる。デュアルゲートトランジスタ15の絶縁膜29、絶縁膜31及び絶縁膜32のそれ
ぞれは、トランジスタ103の絶縁膜129、絶縁膜131及び絶縁膜132のそれぞれ
と同一の材料で形成される。
【0136】
まず、基板102に、ゲート電極107aを含む走査線107及び容量線115を形成
し、走査線107及び容量線115を覆うように後にゲート絶縁膜127に加工される絶
縁膜126を形成し、絶縁膜126の走査線107と重畳する領域に酸化物半導体膜11
1を形成し、後に画素電極121が形成される領域と重畳するように酸化物半導体膜11
9を絶縁膜126上に形成する(図5(A)参照)。
【0137】
なお、この工程を行うことで、デュアルゲートトランジスタ15のゲート電極17a、
ゲート絶縁膜12、及び酸化物半導体膜11を形成することができる(図5(B)参照)
【0138】
走査線107及び容量線115は、上記列挙した材料を用いて導電膜を形成し、当該導
電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて加工することにより形成できる。当該導電
膜は、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用い
ることができる。なお、当該導電膜の厚さは特に限定されず、形成する時間や所望の抵抗
率などを考慮して決めることができる。当該マスクは、例えばフォトリソグラフィ工程に
よって形成したレジストマスクとすることができる。また、当該導電膜の加工はドライエ
ッチング及びウェットエッチングの一方又は双方によって行うことができる。
【0139】
絶縁膜126は、ゲート絶縁膜127に適用可能な材料を用いて、CVD法又はスパッ
タリング法などの各種成膜方法を用いて形成することができる。
【0140】
また、ゲート絶縁膜127に酸化ガリウムを適用する場合は、MOCVD(Metal
Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて
絶縁膜126を形成することができる。
【0141】
酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119は、上記列挙した酸化物半導体を用い
て酸化物半導体膜を形成し、当該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、当該マスクを用い
て加工することにより形成できる。当該酸化物半導体膜は、スパッタリング法、塗布法、
パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法などを用いて形成することができる。
印刷法を用いることで、素子分離された酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119
を絶縁膜126上に直接形成することができる。スパッタリング法で当該酸化物半導体膜
を形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置
又はDC電源装置などを適宜用いることができる。スパッタリングガスは、希ガス(代表
的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、
希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい
。また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜の組成にあわせて、適宜選択すればよい
。なお、当該マスクは、例えばフォトリソグラフィ工程によって形成したレジストマスク
とすることができる。また、当該酸化物半導体膜の加工はドライエッチング及びウェット
エッチングの一方又は双方によって行うことができる。所望の形状にエッチングできるよ
う、材料に合わせてエッチング条件(エッチングガスやエッチング液、エッチング時間、
温度など)を適宜設定する。
【0142】
酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119を形成した後に加熱処理をし、酸化物
半導体膜111及び酸化物半導体膜119の脱水素化又は脱水化をすることが好ましい。
当該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃
以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする。なお、当該加熱処
理は酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119に加工する前の酸化物半導体膜に行
ってもよい。
【0143】
当該加熱処理において、加熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体
からの熱伝導、又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置であっても良い。例えば、
GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(La
mp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Th
ermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンラン
プ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリ
ウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理
物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置であ
る。
【0144】
当該加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは
1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、又は希ガス(アルゴン、ヘリウム等
)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、又は希ガスに水素、水
などが含まれないことが好ましい。不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素雰囲気で加熱し
てもよい。なお、処理時間は3分~24時間とする。
【0145】
なお、基板102と、走査線107及び容量線115並びにゲート絶縁膜127との間
には下地絶縁膜を設ける場合、当該下地絶縁膜は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒
化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸
化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどで形成することができる。なお、下地絶縁膜
として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミ
ニウムなどで形成することで、基板102から不純物、代表的にはアルカリ金属、水、水
素などが酸化物半導体膜111に拡散することを抑制できる。下地絶縁膜は、スパッタリ
ング法又はCVD法を用いて形成することができる。
【0146】
次に、絶縁膜126に容量線115に達する開口123を形成してゲート絶縁膜127
を形成した後、ソース電極109aを含む信号線109、ドレイン電極113aとして機
能する導電膜113、及び酸化物半導体膜119と容量線115とを電気的に接続する導
電膜125を形成する(図5(B)参照)。
【0147】
なお、この工程を行うことで、デュアルゲートトランジスタ15のソース電極19a、
ドレイン電極13a、導電膜16を形成することができる(図2(B)参照)。また、開
口123を形成する際、容量線115に達する開口をゲート絶縁膜12に形成することで
導電膜16を容量線115に接して形成することができる。
【0148】
開口123は、絶縁膜126の容量線115と重畳する領域の一部が露出されるように
マスクを形成し、当該マスクを用いて加工することで形成できる。なお、当該マスク及び
当該加工は、走査線107及び容量線115と同じようにして行うことができる。
【0149】
信号線109、導電膜113及び導電膜125は、信号線109、導電膜113及び導
電膜125に適用できる材料を用いて導電膜を形成し、当該導電膜上にマスクを形成し、
当該マスクを用いて加工することにより形成できる。当該マスク及び当該加工は、走査線
107及び容量線115と同じようにして行うことができる。
【0150】
次に、酸化物半導体膜111、酸化物半導体膜119、信号線109、導電膜113、
導電膜125、及びゲート絶縁膜127上に絶縁膜128を形成し、絶縁膜128上に絶
縁膜130を形成し、絶縁膜130上に絶縁膜133を形成する(図6(A)参照)。な
お、絶縁膜128、絶縁膜130及び絶縁膜133は連続して形成することが好ましい。
このようにすることで、絶縁膜128、絶縁膜130及び絶縁膜133のそれぞれの界面
に不純物が混入することを抑制できる。
【0151】
絶縁膜128は、絶縁膜129に適用可能な材料を用いて、CVD法又はスパッタリン
グ法などの各種成膜方法を用いて形成することができる。絶縁膜130は、絶縁膜131
に適用可能な材料を用いて形成できる。絶縁膜133は、絶縁膜132に適用可能な材料
を用いて形成できる。
【0152】
絶縁膜129に酸化物半導体膜111との界面準位が低くなる酸化絶縁膜を適用する場
合、絶縁膜128は以下の形成条件を用いて形成できる。なお、ここでは当該酸化絶縁膜
として、酸化シリコン膜又は酸化窒化シリコン膜を形成する場合について記載する。当該
形成条件は、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃
以上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料
ガスのシリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を導入して処理室内における圧力を20
Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは40Pa以上200Pa以下とし、処理室内
に設けられた電極に高周波電力を供給する条件である。
【0153】
シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化
シランなどがある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素など
がある。
【0154】
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を100倍以上とすることで、
絶縁膜128(絶縁膜129)に含まれる水素含有量を低減することが可能であると共に
、絶縁膜128(絶縁膜129)に含まれるダングリングボンドを低減することができる
。絶縁膜130(絶縁膜131)から移動する酸素は、絶縁膜128(絶縁膜129)に
含まれるダングリングボンドによって捕獲される場合があるため、絶縁膜128(絶縁膜
129)に含まれるダングリングボンドが低減されていると、少なくとも酸化物半導体膜
111に、絶縁膜130(絶縁膜131)に含まれる酸素を効率よく移動させることがで
き、酸化物半導体膜111に含まれる酸素欠損を補填することが可能である。この結果、
酸化物半導体膜111に混入する水素量を低減できると共に酸化物半導体膜111に含ま
れる酸素欠損を低減させることが可能である。
【0155】
絶縁膜131を上記の酸素過剰領域を含む酸化絶縁膜又は化学量論的組成を満たす酸素
よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜とする場合、絶縁膜130は以下の形成条件を用いて
形成できる。なお、ここでは当該酸化絶縁膜として、酸化シリコン膜又は酸化窒化シリコ
ン膜を形成する場合について記載する。当該形成条件は、プラズマCVD装置の真空排気
された処理室内に載置された基板を180℃以上260℃以下、さらに好ましくは180
℃以上230℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を10
0Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理
室内に設けられた電極に0.17W/cm以上0.5W/cm以下、さらに好ましく
は0.25W/cm以上0.35W/cm以下の高周波電力を供給する、ことである
【0156】
絶縁膜130の原料ガスは、絶縁膜128の形成に適用できる原料ガスとすることがで
きる。
【0157】
絶縁膜130の形成条件として、上記圧力の処理室において上記パワー密度の高周波電
力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し
、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜130中における酸素含有量が化学量論的組成より
も多くなる。また、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力
が弱い。したがって、後の工程の加熱処理によって膜中の酸素の一部を脱離させることが
できる。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸
素の一部が脱離する酸化絶縁膜を形成することができる。また、酸化物半導体膜111上
に絶縁膜128が設けられている。このため、絶縁膜130の形成工程において、絶縁膜
128が酸化物半導体膜111の保護膜となる。この結果、パワー密度の高い高周波電力
を用いて絶縁膜130を形成しても、酸化物半導体膜111へのダメージを抑制できる。
【0158】
また、絶縁膜130は膜厚を厚くすることで加熱によって脱離する酸素の量を多くする
ことができることから、絶縁膜130は絶縁膜128より厚く設けることが好ましい。絶
縁膜128を設けることで絶縁膜130を厚く設ける場合でも被覆性を良好にすることが
できる。
【0159】
絶縁膜132はスパッタリング法、CVD法等を用いて形成することができる。絶縁膜
132を水素含有量が少ない窒化絶縁膜で設ける場合、絶縁膜132は以下の形成条件を
用いて形成できる。なお、ここでは当該窒化絶縁膜として、窒化シリコン膜を形成する場
合について記載する。当該形成条件は、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に
載置された基板を80℃以上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下
に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250P
a以下とし、好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられた電極
に高周波電力を供給する、ことである。
【0160】
絶縁膜132の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニア
を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラ
ン、トリシラン、フッ化シランなどがある。また、窒素の流量は、アンモニアの流量に対
して5倍以上50倍以下、好ましくは10倍以上50倍以下とすることが好ましい。なお
、原料ガスとしてアンモニアを用いることで、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解
を促すことができる。これは、アンモニアがプラズマエネルギーや熱エネルギーによって
解離し、解離することで生じるエネルギーが、シリコンを含む堆積性気体分子の結合及び
窒素分子の結合の分解に寄与するためである。このようにすることで、水素含有量が少な
く、外部から水素や水などの不純物の侵入を抑制することが可能な窒化シリコン膜を形成
することができる。
【0161】
少なくとも絶縁膜130を形成した後に加熱処理を行い、絶縁膜128又は絶縁膜13
0に含まれる酸素を少なくとも酸化物半導体膜111に移動させ、酸化物半導体膜111
の酸素欠損を補填することが好ましい。なお、当該加熱処理は、酸化物半導体膜111及
び酸化物半導体膜119の脱水素化又は脱水化を行う加熱処理の詳細を参照して適宜行う
ことができる。
【0162】
次に、絶縁膜128、絶縁膜130及び絶縁膜133の導電膜113と重畳する領域に
、導電膜113に達する開口117を形成して絶縁膜129、絶縁膜131及び絶縁膜1
32を形成し、開口117及び絶縁膜132上に画素電極121を形成する(図6(B)
参照)。
【0163】
なお、この工程を行うことで、デュアルゲートトランジスタ15の絶縁膜29、絶縁膜
31、絶縁膜32、開口94、及び配線92を形成することができる(図2(B)参照)
。この工程により、容量線115と、走査線駆動回路104に含まれるデュアルゲートト
ランジスタ15のバックゲート電極を含む配線92とが導電膜16を通じて電気的に接続
される。
【0164】
開口117は、開口123と同様にして形成することができる。画素電極121は、上
記列挙した材料を用い、開口117を通じて導電膜113に接する導電膜を形成し、当該
導電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて加工することにより形成できる。なお、
当該マスク及び当該加工は、走査線107及び容量線115と同じようにして行うことが
できる。
【0165】
次に、絶縁膜132上及び画素電極121上に配向膜158を形成し、基板150上に
遮光膜152を形成する。また、遮光膜152を覆うように対向電極154を形成し、対
向電極154上に配向膜156を形成する。配向膜158上に液晶160を設けて、配向
膜156が液晶160に接するように基板150を基板102上に設けてシール材(図示
せず)によって基板102と基板150とを固定する。
【0166】
配向膜156及び配向膜158は、上記した材料を用いてスピンコート法や印刷法など
各種成膜方法を適宜利用することで形成できる。
【0167】
遮光膜152は、上記列挙した材料を用いて、スパッタリング法で成膜し、マスクを用
いて加工することで形成できる。また、遮光膜152として樹脂を用いる場合はフォトリ
ソグラフィ工程によって形成できる。
【0168】
対向電極154は、画素電極121に適用できる材料を用いて、CVD法やスパッタリ
ング法などの各種成膜方法を利用して形成できる。
【0169】
液晶160は、配向膜158上にディスペンサ法(滴下法)で直接設けることができる
。また、基板102と基板150とを貼り合わせてから毛細管現象などを用いて液晶16
0を注入させてもよい。また、液晶160は、配向させやすくするために、配向膜156
及び配向膜158にラビング工程を行うことが好ましい。
【0170】
以上の工程により、本発明の一態様である半導体装置を作製することができる(図4
照)。
【0171】
<変形例1>
本発明の一態様である半導体装置において、容量素子を構成する一方の電極である半導
体膜(具体的には酸化物半導体膜)と容量線との接続を適宜変更することができる。例え
ば、さらに開口率を高めるために、導電膜を介せず、容量線に半導体膜が直接接する構造
とすることができる。
【0172】
なお、以下、変形例を示す図面においては、図面の明瞭化のため、基板150、遮光膜
152、対向電極154、配向膜156、配向膜158、及び液晶160を省略している
【0173】
本構造について、図7及び図8を用いて説明する。図7は本構造の画素141の上面図
であり、図8図7の一点鎖線A1-A2間、及び一点鎖線B1-B2間の断面図である
。なお、ここでは、図3及び図4で説明した容量素子105と異なる容量素子145につ
いてのみ説明する。なお、図7及び図8の画素141おいて、他の構成は図3及び図4
同様である。
【0174】
画素141において、容量素子145の一方の電極として機能する酸化物半導体膜11
9は、容量線115と開口143において直接接している。図4に示す容量素子105の
ように、導電膜125を介さずに酸化物半導体膜119及び容量線115が直接接してお
り、遮光膜となる導電膜125を設けないため、画素141の開口率をさらに高めること
ができる。
【0175】
また、本発明の一態様である半導体装置において、容量線に半導体膜が直接接する構造
は、ゲート絶縁膜に開口を設けず、容量線及び基板のそれぞれ一部を露出させた領域を設
ける構造としてもよい。図9は本構造の画素101の上面図であり、図10図9の一点
鎖線A1-A2間、及び一点鎖線B1-B2間の断面図である。
【0176】
図9及び図10より、本構造の画素101は、ゲート絶縁膜127の一部が除去されて
おり、容量線115及び基板102のそれぞれ一部が露出されており、この露出されてい
る領域において容量線115と酸化物半導体膜119とが直接接している。このようにす
ることで、容量線115と酸化物半導体膜119とが接する面積を増大することができる
。従って、開口率を高めることができると共に、容量素子146を容易に導通状態とする
ことができる。
【0177】
<変形例2>
また、本発明の一態様である半導体装置において、容量素子を構成する一方の電極であ
る半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)と容量線とを電気的に接続する導電膜は、適宜
変更することができる。例えば、当該半導体膜の導電性を増大させるために、当該導電膜
を当該半導体膜の外周に沿って接して設けることができる。本構造の具体例について、図
11及び図12を用いて説明する。なお、ここでは、図3及び図4で説明した導電膜12
5と異なる導電膜167についてのみ説明する。図11は画素161の上面図であり、図
12(A)は図11の一点鎖線A1-A2間、及び一点鎖線B1-B2間の断面図であり
図12(B)は図11の一点鎖線D1-D2間の断面図である。
【0178】
画素161において、導電膜167は、酸化物半導体膜119の外周に沿って接してお
り、開口123を通じて容量線115と接して設けられている(図11参照)。導電膜1
67は、トランジスタ103のソース電極109aを含む信号線109及びトランジスタ
103のドレイン電極113a(図示せず)として機能する導電膜113と同じ形成工程
で形成されることから遮光性を有する場合があるため、ループ状に形成することが好まし
い。
【0179】
図12(A)及び図12(B)に示すように、本構成の画素161において、導電膜1
67は、容量素子105の酸化物半導体膜119の端部を覆うように設けられる。なお、
図11及び図12の画素161おいて、他の構成は図3及び図4と同様である。
【0180】
また、図11及び図12に示した構成は、導電膜167がループ状に形成されている構
成であるが、導電膜167の酸化物半導体膜119と接している全ての部分が容量線11
5と電気的に接続されていなくてもよい。つまり、導電膜167と同じ形成工程で形成さ
れる導電膜が、導電膜167とは分離された状態で酸化物半導体膜119に接して設けら
れていてもよい。
【0181】
<変形例3>
また、本発明の一態様である半導体装置において、容量素子を構成する一方の電極であ
る半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)と容量線との接続を適宜変更することができる
。本構造の具体例について、図13及び図14を用いて説明する。なお、ここでは、図3
及び図4で説明した酸化物半導体膜119及び容量線115と異なる、酸化物半導体膜1
77及び容量線175についてのみ説明する。図13は画素171の上面図であり、容量
線175は、信号線109と平行方向に延伸して設けられている。なお、信号線109及
び容量線175は、信号線駆動回路106(図1(A)参照)に電気的に接続されている
【0182】
容量素子173は、信号線109と平行方向に延伸して設けられた容量線175と接続
されている。容量素子173は、酸化物半導体膜111の形成工程を利用して形成された
透光性を有する酸化物半導体膜177と、透光性を有する画素電極121と、誘電体膜と
して、トランジスタ103に含まれ、透光性を有する絶縁膜(図13に図示せず)とで構
成されている。即ち、容量素子173は透光性を有する。
【0183】
次いで、図13の一点鎖線A1-A2間及び一点鎖線B1-B2間における断面図を図
14に示す。
【0184】
容量素子173において、一対の電極のうち一方の電極は酸化物半導体膜177であり
、一対の電極のうち他方の電極は画素電極121であり、一対の電極の間に設けられた誘
電体膜は絶縁膜129、絶縁膜131、及び絶縁膜132である。
【0185】
容量線175は、信号線109及び導電膜113の形成工程を利用して形成することが
できる。容量線175を酸化物半導体膜177に接して設けることで、酸化物半導体膜1
77及び容量線175の接触面積を増大させることが可能である。酸化物半導体膜177
を容量素子173の一方の電極として容易に機能させることができる。
【0186】
また、図13に示す画素171は、走査線107の延伸方向の長さよりも信号線109
の延伸方向の長さの方が長い形状をしているが、図15に示す画素172のように、信号
線109との延伸方向の長さよりも走査線107の延伸方向の長さの方が長い形状とし、
且つ容量線176が、信号線109と平行方向に延伸して設けられていてもよい。なお、
信号線109及び容量線176は、信号線駆動回路106(図1(A)参照)に電気的に
接続されている。
【0187】
容量素子174は、信号線109と平行方向に延伸して設けられた容量線176と接続
されている。容量素子174は、酸化物半導体膜111の形成工程を利用して形成された
透光性を有する酸化物半導体膜178と、透光性を有する画素電極121と、誘電体膜と
して、トランジスタ103に含まれ、透光性を有する絶縁膜(図15に図示せず)とで構
成されている。即ち、容量素子174は透光性を有する。
【0188】
次いで、図15の一点鎖線A1-A2間及び一点鎖線B1-B2間における断面図を図
16に示す。
【0189】
容量素子174は、一対の電極のうち一方の電極は酸化物半導体膜178であり、一対
の電極のうち他方の電極は画素電極121であり、一対の電極の間に設けられた誘電体膜
は絶縁膜129、絶縁膜131、及び絶縁膜132である。
【0190】
容量線176は、信号線109及び導電膜113の形成工程を利用して形成することが
できる。容量線176を酸化物半導体膜178に接して設けることで、酸化物半導体膜1
78及び容量線176の接触面積を増大させることが可能である。また、画素172にお
いて、走査線107の延伸方向の長さの方が信号線109の延伸方向の長さよりも長い形
状であるため、図13に示す画素171と比較して、画素電極121及び容量線176が
重なる面積を縮小することが可能であり、開口率を向上させることができる。
【0191】
<変形例4>
また、上記の画素101、画素141、画素161、画素171、画素172において
、画素電極121と導電膜113との間に生じる寄生容量、又は画素電極121と導電膜
125との間に生じる寄生容量を低減するため、図17の断面図に示すように当該寄生容
量が生じる領域に有機絶縁膜134を設けることができる。なお、図17において、有機
絶縁膜134以外の構成は図4と同じである。ここでは、図4で説明した構成と異なる有
機絶縁膜134についてのみ説明する。
【0192】
有機絶縁膜134としては、感光性、非感光性の有機樹脂を適用でき、例えば、アクリ
ル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、エポキシ樹脂、又はシロキサン系樹脂などを用いる
ことができる。また、有機絶縁膜134としては、ポリアミドを用いることができる。
【0193】
有機絶縁膜134は、上記列挙した材料を用いて有機樹脂膜を形成し、当該有機樹脂膜
を加工することで形成できる。また、有機絶縁膜134として感光性の有機樹脂を用いる
ことで、有機絶縁膜134を形成する際にレジストマスクが不要となり、工程を簡略化で
きる。それゆえ、当該有機絶縁膜の形成方法は特に限定されず、用いる材料に応じて適宜
選択できる。例えば、CVD法やスパッタリング法、スピンコート、ディップ、スプレー
塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、スクリーン印刷、オフセット印刷などを適用す
ることができる。
【0194】
一般に、有機樹脂は水素や水を多く含んでおり、有機樹脂がトランジスタ103(特に
酸化物半導体膜111)上に設けられると、有機樹脂に含まれる水素や水がトランジスタ
103(特に酸化物半導体膜111)に拡散し、トランジスタ103の電気特性を劣化さ
せる可能性がある。従って、少なくとも、絶縁膜132の酸化物半導体膜111に重畳す
る上には有機絶縁膜134を設けないことが好ましい。別言すれば、少なくとも酸化物半
導体膜111に重畳する領域上の有機樹脂膜は除去しておくことが好ましい。
【0195】
図17に示した画素101の上面図を図18に示す。図17の断面図は、図18の一点
鎖線A1-A2間、及び一点鎖線B1-B2間、及び一点鎖線C1-C2間の断面に相当
する。図18において、有機絶縁膜134は明瞭化のために図示していないが、二点鎖線
内の領域は有機絶縁膜134が設けられていない領域である。
【0196】
<変形例5>
本発明の一態様である半導体装置において、容量素子を構成する一方の電極、及び容量
線を半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)とすることができる。具体例を図19を用い
て説明する。なお、ここでは、図3で説明した酸化物半導体膜119及び容量線115と
異なる、酸化物半導体膜198ついてのみ説明する。図19は、上面図であり、画素19
6において、容量素子197の一方の電極及び容量線を兼ねる酸化物半導体膜198が設
けられている。酸化物半導体膜198において、信号線109と平行方向に延伸した領域
を有し、当該領域は容量線として機能する。酸化物半導体膜198において、画素電極1
21と重畳する領域は容量素子197の一方の電極として機能する。なお、酸化物半導体
膜198は、電界を加えることで最大空乏層幅が極めて広くなるため、導通状態となる。
【0197】
また、酸化物半導体膜198は画素196に設けられるトランジスタ103の酸化物半
導体膜111を形成する工程を利用して形成することができる。
【0198】
酸化物半導体膜198は、画素196のそれぞれにおいて走査線107と重畳するよう
に1つの酸化物半導体膜として設けることができる。つまり、1行分全ての画素196に
おいて離間せず一続きの酸化物半導体膜として設けることができる。
【0199】
また、酸化物半導体膜198を、1行分全ての画素196において離間せず一続きの酸
化物半導体膜として設ける場合、酸化物半導体膜198は走査線107と重畳するため、
走査線107の電位変化の影響により十分に容量線及び容量素子197の一方の電極とし
て機能しない可能性がある。従って、酸化物半導体膜198は、図19に示すように、各
画素196において離間して設け、離間して設けられた酸化物半導体膜を信号線109及
び導電膜113の形成工程を利用して形成できる導電膜199を用いて電気的に接続させ
ることが好ましい。
【0200】
図19では、酸化物半導体膜198の容量線と機能する領域が信号線109と平行方向
に延伸した構成であるが、容量線と機能する領域は、走査線107と平行方向に延伸させ
る構成であってもよい。なお、酸化物半導体膜198の容量線と機能する領域が走査線1
07と平行方向に延伸させる構成とする場合、トランジスタ103及び容量素子197に
おいて、酸化物半導体膜111と及び酸化物半導体膜198と、信号線109及び導電膜
113との間に絶縁膜を設けて電気的に分離させることが必要である。
【0201】
上記より、画素196のように、画素に設けられる容量素子の一方の電極及び容量線を
、透光性を有する酸化物半導体膜が設けることで画素の開口率を向上させることができる
【0202】
<変形例6>
また、本発明の一態様である半導体装置において、容量線の構成を適宜変更することが
できる。本構造について、図20を用いて説明する。なお、ここでは、図2で説明した容
量線115と比較して、隣接する2つの画素の間において、容量線が位置する点が異なる
【0203】
図20は、信号線409の伸張方向に隣接する画素401_1及び画素401_2の上
面図である。
【0204】
走査線407_1及び走査線407_2は、互いに平行であって、且つ信号線409に
略直交する方向に延伸して設けられている。走査線407_1及び走査線407_2の間
に、走査線407_1及び走査線407_2と互いに平行に容量線415が設けられてい
る。なお、容量線415は、画素401_1に設けられる容量素子405_1、及び画素
401_2に設けられる容量素子405_2と接続する。画素401_1及び画素401
_2の上面形状、及び構成要素の配置位置は、容量線415に対して対称である。
【0205】
画素401_1には、トランジスタ403_1及び当該トランジスタ403_1と接続
する容量素子405_1が設けられる。
【0206】
トランジスタ403_1は、走査線407_1及び信号線409が交差する領域に設け
られている。トランジスタ403_1は、少なくとも、チャネル形成領域を有する半導体
膜411_1と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜(図20に図示せず)と、ソース電極と、
及びドレイン電極とを含む。なお、走査線407_1において、半導体膜411_1と重
畳する領域はトランジスタ403_1のゲート電極として機能する。信号線409におい
て、半導体膜411_1と重畳する領域はトランジスタ403_1のソース電極として機
能する。導電膜413_1において、半導体膜411_1と重畳する領域はトランジスタ
403_1のドレイン電極として機能する。導電膜413_1及び画素電極421_1が
開口417_1において接続する。
【0207】
容量素子405_1は、開口423に設けられた導電膜425を通じて容量線415と
電気的に接続されている。容量素子405_1は、透光性を有する酸化物半導体で形成さ
れる半導体膜419_1と、透光性を有する画素電極421_1と、誘電体膜として、ト
ランジスタ403_1に含まれ、透光性を有する絶縁膜(図20に図示せず)とで構成さ
れている。即ち、容量素子405_1は透光性を有する。
【0208】
画素401_2には、トランジスタ403_2及び当該トランジスタ403_2と接続
する容量素子405_2が設けられる。
【0209】
トランジスタ403_2は、走査線407_2及び信号線409が交差する領域に設け
られている。トランジスタ403_2は、少なくとも、チャネル形成領域を有する半導体
膜411_2と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜(図20に図示せず。)と、ソース電極と
、及びドレイン電極とを含む。なお、走査線407_2において、半導体膜411_2と
重畳する領域はトランジスタ403_2のゲート電極として機能する。信号線409にお
いて、半導体膜411_2と重畳する領域はトランジスタ403_2のソース電極として
機能する。導電膜413_2において、半導体膜411_2と重畳する領域はトランジス
タ403_2のドレイン電極として機能する。導電膜413_2及び画素電極421_2
が開口417_2において接続する。
【0210】
容量素子405_2は、容量素子405_1と同様に、開口423に設けられた導電膜
425を通じて容量線415と電気的に接続されている。容量素子405_2は、透光性
を有する酸化物半導体で形成される半導体膜419_2と、透光性を有する画素電極42
1_2と、誘電体膜として、トランジスタ403_2に含まれ、透光性を有する絶縁膜(
図20に図示せず)とで構成されている。即ち、容量素子405_2は透光性を有する。
【0211】
なお、トランジスタ403_1及びトランジスタ403_2、並びに容量素子405_
1及び容量素子405_2の断面構造はそれぞれ、図3に示すトランジスタ103及び容
量素子105同様であるため、ここでは省略する。
【0212】
上面形状において、隣接する2つ画素の間に容量線を設け、それぞれの画素に含まれる
容量素子及び当該容量線を接続することで、容量線の数を削減することが可能である。こ
の結果、各画素に容量線を設ける構造と比較して、画素の開口率をさらに高めることが可
能である。例えば、本発明の一態様である半導体装置において、1画素の大きさを28μ
m(H)×84μm(V)とし、画素密度を302ppiとし、画素のレイアウトを図2
0に示すレイアウトとすることで、画素の開口率を61.7%とすることができる。
【0213】
<変形例7>
上記の画素101、画素141、画素161、画素171、画素172、画素196、
画素401_1及び画素401_2において、画素内に設けられるトランジスタの形状は
図3及び図4に示したトランジスタの形状に限定されず、適宜変更することができる。例
えば、画素151において、トランジスタ169は、信号線109に含まれるソース電極
109a(図示せず)がU字型(C字型、コの字型、又は馬蹄型)であり、ドレイン電極
113a(図示せず)として機能する導電膜113を囲む形状のトランジスタであっても
よい(図21参照)。このような形状とすることで、トランジスタの面積が小さくても、
十分なチャネル幅を確保することが可能となり、トランジスタのオン電流の量を増やすこ
とが可能となる。なお、図21の画素151おいて、他の構成は図3と同様である。
【0214】
<変形例8>
また、上記の画素101、画素141、画素161、画素171、画素172、画素1
96、画素401_1及び画素401_2において、トランジスタは、酸化物半導体膜が
、ゲート絶縁膜とソース電極を含む信号線及びドレイン電極として機能する導電膜との間
に位置するトランジスタを用いている。当該トランジスタは、図22に示すように、酸化
物半導体膜195が、ソース電極191aを含む信号線191及びドレイン電極193a
として機能する導電膜193と、絶縁膜129の間に位置するトランジスタ190を用い
ることができる。なお、図22において、酸化物半導体膜195の位置以外の構成は図4
と同じである。
【0215】
図22に示すトランジスタ190は、信号線191及び導電膜193を形成した後、酸
化物半導体膜195を形成する。このため、酸化物半導体膜195の表面は、信号線19
1及び導電膜193の形成工程で用いるエッチャントやエッチングガスに曝されず、酸化
物半導体膜195及び絶縁膜129の間の不純物を低減できる。この結果、トランジスタ
190のソース電極191a及びドレイン電極193aの間に流れるリーク電流を低減す
ることができる。
【0216】
<変形例9>
また、上記の画素101、画素141、画素161、画素171、画素172、画素1
96、画素401_1及び画素401_2において、トランジスタとして、チャネルエッ
チ構造のトランジスタを用いている。当該トランジスタは、図23に示すように、チャネ
ル保護型のトランジスタ183を用いることができる。なお、図23において、酸化物半
導体膜111と、ソース電極109aを含む信号線109及びドレイン電極113aとし
て機能する導電膜113との間にチャネル保護膜182が設けられている点以外の構成は
図4と同じである。
【0217】
図23に示すチャネル保護型のトランジスタ183は、酸化物半導体膜111上にチャ
ネル保護膜182を形成した後、信号線109及び導電膜113を形成する。チャネル保
護膜182はトランジスタ103の絶縁膜129の材料で形成することができる。このよ
うにすることで、チャネル保護型のトランジスタ183において、トランジスタ103の
絶縁膜129に相当する絶縁膜を別途設ける必要がなくなる。このため、酸化物半導体膜
111の表面は、信号線191及び導電膜193の形成工程で用いるエッチャントやエッ
チングガスに曝されず、酸化物半導体膜111及びチャネル保護膜182の間の不純物を
低減できる。この結果、チャネル保護型のトランジスタ183のソース電極109a及び
ドレイン電極113aの間に流れるリーク電流を低減することが可能である。また、チャ
ネル保護膜182を有することで、信号線109及び導電膜113を形成する際に行う加
工によって、酸化物半導体膜111(特にチャネル形成領域)にダメージが入ることを抑
制することができる。
【0218】
<変形例10>
また、上記の画素101、画素141、画素161、画素171、画素172、画素1
96、画素401_1及び画素401_2において、トランジスタとして、1つのゲート
電極を有するトランジスタを示したが、その代わりに、図24に示すように、酸化物半導
体膜111を介して走査線107に含まれるゲート電極と対向する導電膜187を有する
トランジスタ185を用いることができる。
【0219】
トランジスタ185は、本実施の形態で説明したトランジスタ103、トランジスタ1
69、トランジスタ190の絶縁膜132上に導電膜187を有するデュアルゲートトラ
ンジスタである。導電膜187はバックゲート電極といえる。導電膜187は、少なくと
も酸化物半導体膜111のチャネル形成領域と重なる。導電膜187を酸化物半導体膜1
11のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、信頼性試験(例えば、BT
(Bias Temperature)ストレス試験)前後におけるトランジスタ185
のしきい値電圧の変動量をさらに低減することができる。また、導電膜187の電位は、
共通電位、GND電位、若しくは任意の電位とすればよい。又は、導電膜187は、フロ
ーティング状態であってもよい。また、導電膜187の電位を制御することでトランジス
タ185のしきい値電圧を制御することができる。又は、ゲート電極107a及び導電膜
187を接続し、これらを同電位としてもよい。導電膜187を設けることで、周囲の電
界の変化が酸化物半導体膜111へ与える影響を軽減し、トランジスタの信頼性を向上さ
せることができる。
【0220】
導電膜187は、走査線107、信号線109、画素電極121などと同様の材料及び
方法により形成することができる。
【0221】
以上より、駆動回路を有する半導体装置において、駆動回路に含まれるトランジスタを
デュアルゲートトランジスタとし、当該デュアルゲートトランジスタのバックゲート電極
を容量素子と電気的に接続されている容量線と電気的に接続することで、消費電力を低減
させつつ、駆動回路の動作速度を速くさせることでき、表示品位の優れた半導体装置を得
ることができる。
【0222】
また、容量素子の一方の電極として、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導
体膜)と同じ形成工程で形成される半導体膜を用いることで、開口率を高めつつ、電荷容
量を増大させた容量素子を有する半導体装置を作製することができる。この結果、表示品
位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0223】
また、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)は酸素欠損が低減され、
水素、窒素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は
、良好な電気特性を有する半導体装置である。
【0224】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【0225】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置であり、上記実施の形態と異なる構造
の半導体装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、液晶表示装置を例に
して本発明の一態様である半導体装置を説明する。また、本実施の形態で説明する半導体
装置は、上記実施の形態と比較して容量素子の構造が異なる。なお、本実施の形態で説明
する半導体装置において、上記実施の形態で説明した半導体装置と同様の構成は、上記実
施の形態を参照することができる。
【0226】
<半導体装置の構成>
本実施の形態で説明する画素201の上面図を図25に示す。図25に示した画素20
1は、図3に示した画素101と比較して、二点鎖線内の領域において絶縁膜229(図
示せず)及び絶縁膜231(図示せず)が設けられていない。従って、図25に示した画
素201の容量素子205は、一方の電極として機能する酸化物半導体膜119と、他方
の電極である画素電極221と、誘電体膜である絶縁膜232(図示せず)とで構成され
ている。
【0227】
次いで、図25の一点鎖線A1-A2間及び一点鎖線B1-B2間における断面図を図
26に示す。
【0228】
本実施の形態における画素201の断面構造は以下の通りである。基板102上に、ゲ
ート電極107aを含む走査線107と、走査線107と同一表面上に設けられている容
量線115とが設けられている。走査線107及び容量線115上にゲート絶縁膜127
が設けられている。ゲート絶縁膜127の走査線107と重畳する領域上に酸化物半導体
膜111が設けられており、ゲート絶縁膜127上に酸化物半導体膜119が設けられて
いる。酸化物半導体膜111上、及びゲート絶縁膜127上に、ソース電極109aを含
む信号線109と、ドレイン電極113aとして機能する導電膜113とが設けられてい
る。ゲート絶縁膜127には容量線115に達する開口123が設けられており、開口1
23、ゲート絶縁膜127上、及び酸化物半導体膜119上に導電膜125が設けられて
いる。ゲート絶縁膜127上、信号線109上、酸化物半導体膜111上、導電膜113
上、導電膜125上、酸化物半導体膜119上にトランジスタ103の保護絶縁膜として
機能する絶縁膜229、絶縁膜231、及び絶縁膜232が設けられている。絶縁膜22
9、絶縁膜231、及び絶縁膜232には導電膜113に達する開口117が設けられて
おり、開口117及び絶縁膜232上に画素電極221が設けられている。なお、基板1
02と、走査線107及び容量線115並びにゲート絶縁膜127との間には下地絶縁膜
が設けられていてもよい。
【0229】
絶縁膜229は、実施の形態1で説明した絶縁膜129と同様の絶縁膜である。絶縁膜
231は、実施の形態1で説明した絶縁膜131と同様の絶縁膜である。絶縁膜232は
、実施の形態1で説明した絶縁膜132と同様の絶縁膜である。画素電極221は、実施
の形態1で説明した画素電極121と同様の画素電極である。
【0230】
本実施の形態における容量素子205のように、一方の電極として機能する酸化物半導
体膜119と他方の電極である画素電極221との間に設けられる誘電体膜を絶縁膜23
2とすることで、誘電体膜の厚さを、実施の形態1における容量素子105の誘電体膜に
比べて薄くすることができる。従って、本実施の形態における容量素子205は、実施の
形態1における容量素子105よりも電荷容量を増大させることができる。
【0231】
また、絶縁膜232は、実施の形態1の絶縁膜132と同様に窒化絶縁膜であることが
好ましい。絶縁膜232は酸化物半導体膜119と接することから、当該窒化絶縁膜に含
まれる窒素または/及び水素を酸化物半導体膜119に移動させることができ、酸化物半
導体膜119の導電率を増大させることができる。また、絶縁膜232を窒化絶縁膜とし
、絶縁膜232が酸化物半導体膜119に接した状態で加熱処理を行うことで、当該窒化
絶縁膜に含まれる窒素または/及び水素を酸化物半導体膜119に移動させることができ
る。この結果、酸化物半導体膜119の導電率を増大し、n型となる。酸化物半導体膜1
19は導電率が酸化物半導体膜111と比較して高いため、酸化物半導体膜119は導電
性を有する膜ということができる。
【0232】
上記より、本実施の形態における半導体装置において、酸化物半導体膜119は酸化物
半導体膜111よりも導電率が高い領域を有する。少なくとも酸化物半導体膜119の絶
縁膜232と接する領域は、酸化物半導体膜111の絶縁膜229と接する領域よりも導
電率が高い。
【0233】
なお、酸化物半導体膜119は、酸化物半導体膜111より水素濃度が高いことが好ま
しい。酸化物半導体膜119において、二次イオン質量分析法(SIMS:Second
ary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度は、8
×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上、
より好ましくは5×1020atoms/cm以上である。酸化物半導体膜111にお
いて、二次イオン質量分析法により得られる水素濃度は、5×1019atoms/cm
未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018at
oms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ま
しくは1×1016atoms/cm以下である。
【0234】
また、酸化物半導体膜119は、酸化物半導体膜111より抵抗率が低い。酸化物半導
体膜119の抵抗率が、酸化物半導体膜111の抵抗率の1×10-8倍以上1×10
倍以下で有ることが好ましく、代表的には1×10-3Ωcm以上1×10Ωcm未
満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満である
とよい。
【0235】
<半導体装置の作製方法>
次いで、本実施の形態における半導体装置の作製方法について、図27及び図28を用
いて説明する。
【0236】
まず、基板102上に、ゲート電極107aを含む走査線107及び容量線115を形
成し、基板102、走査線107及び容量線115上にゲート絶縁膜127に加工される
絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119を形成
し、容量線115に達する開口123を当該絶縁膜に形成してゲート絶縁膜127を形成
した後、ソース電極109aを含む信号線109、導電膜113、及び導電膜125を形
成し、ゲート絶縁膜127、信号線109、導電膜113、導電膜125、及び酸化物半
導体膜119上に絶縁膜128を形成し、絶縁膜128上に絶縁膜130を形成する(図
27(A)参照)。なお、ここまでの工程は、実施の形態1を参照して行うことができる
【0237】
次に、少なくとも酸化物半導体膜119と重畳する絶縁膜130の領域上にマスクを形
成し、当該マスクを用いて加工して絶縁膜228及び絶縁膜230を形成すると共に酸化
物半導体膜119を露出させ、露出させた領域上及び絶縁膜130上に絶縁膜233を形
成する(図27(B)参照)。当該マスクは、フォトリソグラフィ工程により形成したレ
ジストマスクを用いることができ、当該加工は、ドライエッチング及びウェットエッチン
グの一方又は双方によって行うことができる。また、絶縁膜233は、実施の形態1で説
明した絶縁膜133と同様の絶縁膜である。また、絶縁膜233を形成した後など、絶縁
膜233が酸化物半導体膜119に接した状態で加熱処理を行ってもよい。なお、ここま
での工程についても実施の形態1を参照して行うことができる。
【0238】
窒化絶縁膜で形成される絶縁膜233をプラズマCVD法またはスパッタリング法で成
膜すると、酸化物半導体膜119がプラズマに曝され、酸化物半導体膜119に酸素欠損
が生成される。また、酸化物半導体膜119と窒化絶縁膜で形成される絶縁膜233が接
することで、絶縁膜233から、窒素又は/及び水素が酸化物半導体膜119に移動する
。酸素欠損に絶縁膜233に含まれる水素が入ることで、キャリアである電子が生成され
る。または、絶縁膜232を窒化絶縁膜とし、絶縁膜232が酸化物半導体膜119に接
した状態で加熱処理を行うことで、当該窒化絶縁膜に含まれる窒素又は/及び水素を酸化
物半導体膜119に移動する。これらの結果、酸化物半導体膜119の導電率が増大し、
n型となる。また、導体特性を有する金属酸化物膜で構成される透光性を有する導電膜と
なる。酸化物半導体膜119は導電率が酸化物半導体膜111と比較して高い。
【0239】
次に、絶縁膜228及び絶縁膜230並びに絶縁膜233に、導電膜113に達する開
口117を形成して、絶縁膜229、絶縁膜231及び絶縁膜232を形成し(図28
A)参照)、開口117を通じて導電膜113に接する画素電極221を形成する(図2
8(B)参照)。なお、ここまでの工程についても実施の形態1を参照して行うことがで
きる。
【0240】
以上の工程により、本実施の形態における半導体装置を作製することができる。
【0241】
<変形例>
本発明の一態様である半導体装置において、容量素子の構造を適宜変更することができ
る。本構造の具体例について、図29を用いて説明する。なお、ここでは、図3及び図4
で説明した容量素子205と異なる容量素子245についてのみ説明する。
【0242】
ゲート絶縁膜218を、窒化絶縁膜である絶縁膜226と、酸化絶縁膜である絶縁膜2
27との積層構造とし、少なくとも酸化物半導体膜119が設けられる領域において絶縁
膜226のみを設ける構成である。このようにすることで絶縁膜226である窒化絶縁膜
が酸化物半導体膜119の下面と接することになり、酸化物半導体膜119の導電率を増
大させることができる(図29参照)。図29は断面図であり、図29に対応する上面図
としては図3を参照できる。この場合、容量素子105の誘電体膜は絶縁膜129、絶縁
膜131及び絶縁膜132である。なお、絶縁膜226及び絶縁膜227は、ゲート絶縁
膜127に適用できる絶縁膜を適宜用いることができ、絶縁膜227は絶縁膜132と同
様の絶縁膜としてもよい。また、本構成とするためには、実施の形態1を参照して適宜、
絶縁膜227を加工すればよい。
【0243】
なお、図29に示す構成において、酸化物半導体膜119の上面は絶縁膜132と接す
る構成であってもよい。つまり、図29に示す構成において、絶縁膜129及び絶縁膜1
31の酸化物半導体膜119と接する領域は除去してもよい。この場合、容量素子105
の誘電体膜は絶縁膜132である。酸化物半導体膜119の上面及び下面を窒化絶縁膜と
接する構成とすることで、片面のみ窒化絶縁膜と接する場合よりも効率よく十分に酸化物
半導体膜119の導電率を増大させることができる。
【0244】
以上、本発明の一態様により、駆動回路を有する半導体装置において、駆動回路に含ま
れるトランジスタをデュアルゲートトランジスタとし、当該デュアルゲートトランジスタ
のバックゲート電極を容量素子と電気的に接続されている容量線と電気的に接続すること
で、消費電力を低減させつつ、駆動回路の動作速度を速くさせることでき、表示品位の優
れた半導体装置を得ることができる。
【0245】
また、容量素子の一方の電極として、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導
体膜)と同じ形成工程で形成される半導体膜を用いることで、開口率を高めつつ、電荷容
量を増大させた容量素子を有する半導体装置を作製することができる。また、開口率を向
上することによって表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0246】
また、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)は酸素欠損が低減され、
水素、窒素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は
、良好な電気特性を有する半導体装置である。
【0247】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成及びその変形例と適
宜組み合わせて用いることができる。
【0248】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置であり、上記実施の形態と異なる構造
の半導体装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、液晶表示装置を例に
して本発明の一態様である半導体装置を説明する。また、本実施の形態で説明する半導体
装置は、上記実施の形態と比較して容量素子の一方の電極である半導体膜が異なる。なお
、本実施の形態で説明する半導体装置において、上記実施の形態で説明した半導体装置と
同様の構成は、上記実施の形態を参照することができる。
【0249】
<半導体装置の構成>
本実施の形態で説明する液晶表示装置の画素部に設けられる画素301の具体的な構成
例について説明する。画素301の上面図を図30に示す。図30に示す画素301は、
容量素子305を有し、容量素子305は、画素301内の容量線115及び信号線10
9で囲まれる領域に設けられている。容量素子305は、開口123に設けられた導電膜
125を通じて容量線115と電気的に接続されている。容量素子305は、酸化物半導
体膜111よりも導電率が高く、透光性を有する酸化物半導体膜319と、透光性を有す
る画素電極121と、誘電体膜として、トランジスタ103に含まれ、透光性を有する絶
縁膜(図30に図示せず)とで構成されている。即ち、容量素子305は透光性を有する
【0250】
酸化物半導体膜319の導電率は、10S/cm以上1000S/cm以下、好ましく
は100S/cm以上1000S/cm以下とする。
【0251】
このように酸化物半導体膜319は導電率が高いため、容量素子を構成する電極として
十分に機能する。つまり、画素301内に容量素子305を大きく(大面積に)形成する
ことができる。従って、開口率を高めつつ、電荷容量を増大させた半導体装置を得ること
ができる。この結果、表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0252】
次いで、図30の一点鎖線A1-A2間及び一点鎖線B1-B2間における断面図を図
31に示す。
【0253】
画素301の断面構造は以下の通りである。基板102上に、ゲート電極107aを含
む走査線107が設けられている。走査線107上にゲート絶縁膜127が設けられてい
る。ゲート絶縁膜127の走査線107と重畳する領域上に酸化物半導体膜111が設け
られており、ゲート絶縁膜127上に酸化物半導体膜319が設けられている。酸化物半
導体膜111上、及びゲート絶縁膜127上にソース電極109aを含む信号線109と
、ドレイン電極113aとして機能する導電膜113とが設けられている。また、ゲート
絶縁膜127及び酸化物半導体膜319上に容量線115が設けられている。ゲート絶縁
膜127上、信号線109上、酸化物半導体膜111上、導電膜113上、酸化物半導体
膜319及び容量線115上にトランジスタ103の保護絶縁膜として機能する絶縁膜1
29、絶縁膜131、及び絶縁膜132が設けられている。絶縁膜129、絶縁膜131
、及び絶縁膜132には導電膜113に達する開口117が設けられており、開口117
及び絶縁膜132上に画素電極121が設けられている。なお、基板102と、走査線1
07及びゲート絶縁膜127との間には下地絶縁膜が設けられていてもよい。
【0254】
本実施の形態での容量素子305は、一対の電極のうち一方の電極が酸化物半導体膜1
11よりも導電率が高い酸化物半導体膜319であり、一対の電極のうち他方の電極が画
素電極121であり、一対の電極の間に設けられた誘電体膜が絶縁膜129、絶縁膜13
1、及び絶縁膜132である。
【0255】
酸化物半導体膜319は、酸化物半導体膜111に適用可能な酸化物半導体を用いるこ
とができる。酸化物半導体膜111を形成すると共に酸化物半導体膜319を形成するこ
とができることから、酸化物半導体膜319は酸化物半導体膜111を構成する酸化物半
導体の金属元素を含む。そして、酸化物半導体膜319は、酸化物半導体膜111よりも
導電率が高いことが好ましいことから、導電率を増大させる元素(ドーパント)が含まれ
ていることが好ましい。具体的には酸化物半導体膜319にはドーパントとして、ホウ素
、窒素、フッ素、アルミニウム、リン、ヒ素、インジウム、スズ、アンチモン及び希ガス
元素から選ばれた一種以上が含まれている。酸化物半導体膜319に含まれるドーパント
濃度は1×1019atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下である
ことが好ましい。このようにすることで、酸化物半導体膜319の導電率を10S/cm
以上1000S/cm以下、好ましくは100S/cm以上1000S/cm以下とする
ことができ、酸化物半導体膜319を容量素子305の一方の電極として十分に機能させ
ることができる。なお、酸化物半導体膜319は酸化物半導体膜111よりも導電率が高
い領域を有する。本実施の形態において、少なくとも、酸化物半導体膜319の絶縁膜1
32と接する領域は、酸化物半導体膜111の絶縁膜129と接する領域よりも導電率が
高い。また、酸化物半導体膜319は、上記元素(ドーパント)を含むためn型であり、
導電率が高いため、導電性を有する膜ということもできる。
【0256】
<半導体装置の作製方法>
次いで、本実施の形態における半導体装置の作製方法について、図32及び図33を用
いて説明する。
【0257】
まず、基板102上にゲート電極107aを含む走査線107及び容量線115を形成
し、基板102、走査線107及び容量線上にゲート絶縁膜127に加工される絶縁膜を
形成し、当該絶縁膜上に酸化物半導体膜111及び酸化物半導体膜119を形成する(図
32(A)参照)。なお、ここまでの工程は、実施の形態1を参照して行うことができる
【0258】
次に、酸化物半導体膜119にドーパントを添加して酸化物半導体膜319を形成した
後、絶縁膜126に容量線115に達する開口123を形成してゲート絶縁膜127を形
成した後、ソース電極109aを含む信号線109、ドレイン電極113aとして機能す
る導電膜113、酸化物半導体膜319と容量線115とを電気的に接続する導電膜12
5を形成する(図32(B)参照)。
【0259】
酸化物半導体膜119にドーパントを添加する方法は、酸化物半導体膜119以外の領
域にマスクを設けて、当該マスクを用いて、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン
、ヒ素、インジウム、スズ、アンチモン及び希ガス元素から選ばれた一種以上のドーパン
トをイオン注入法又はイオンドーピング法などで添加する。また、イオン注入法又はイオ
ンドーピング法の代わりに当該ドーパントの含むプラズマに酸化物半導体膜119を曝す
ことで、当該ドーパントを添加してもよい。なお、ドーパントを添加した後、加熱処理を
おこなってもよい。当該加熱処理は、実施の形態1に記載した、酸化物半導体膜111及
び酸化物半導体膜119の脱水素化又は脱水化を行う加熱処理の詳細を参照して適宜行う
ことができる。
【0260】
なお、ドーパントを添加する工程は、信号線109、導電膜113及び導電膜125を
形成した後に行ってもよい。その場合、酸化物半導体膜319の信号線109、導電膜1
13及び導電膜125に接する領域にはドーパントは添加されない。
【0261】
次に、ゲート絶縁膜127、信号線109、酸化物半導体膜111、導電膜113、導
電膜125、及び酸化物半導体膜319上に絶縁膜128を形成し、絶縁膜128上に絶
縁膜130を形成し、絶縁膜130上に絶縁膜133を形成する(図33(A)参照)。
なお、当該工程は、実施の形態1を参照して行うことができる。
【0262】
次に、絶縁膜128及び絶縁膜130並びに絶縁膜133に、導電膜113に達する開
口117を形成して、絶縁膜129、絶縁膜131及び絶縁膜132を形成し(図33
B)参照)、開口117を通じて導電膜113に接する画素電極121を形成する(図3
1参照)。なお、当該工程についても実施の形態1を参照して行うことができる。
【0263】
以上の工程により、本実施の形態における半導体装置を作製することができる。
【0264】
以上、本発明の一態様により、駆動回路を有する半導体装置において、駆動回路に含ま
れるトランジスタをデュアルゲートトランジスタとし、当該デュアルゲートトランジスタ
のバックゲート電極を容量素子と電気的に接続されている容量線と電気的に接続すること
で、消費電力を低減させつつ、駆動回路の動作速度を速くさせることでき、表示品位の優
れた半導体装置を得ることができる。
【0265】
また、容量素子の一方の電極として、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導
体膜)と同じ形成工程で形成される半導体膜を用いることで、開口率を高めつつ、電荷容
量を増大させた容量素子を有する半導体装置を作製することができる。また、開口率を向
上することによって表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0266】
また、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)は酸素欠損が低減され、
水素、窒素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は
、良好な電気特性を有する半導体装置である。
【0267】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【0268】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に含まれているトランジスタ
及び容量素子において、半導体膜である酸化物半導体膜に適用可能な一態様について説明
する。
【0269】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。
非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC-OS(C Axis Aligned Cry
stalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体
膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
【0270】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0271】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである
【0272】
CAAC-OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Elec
tron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち
結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、C
AAC-OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0273】
CAAC-OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観
察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原
子の各層は、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹
凸を反映した形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0274】
なお、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角
度で配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、
「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう
。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0275】
一方、CAAC-OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面T
EM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列している
ことを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られ
ない。
【0276】
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC-OS膜の結晶部は配向性を有し
ていることがわかる。
【0277】
なお、CAAC-OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方
体内に収まる大きさである。従って、CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10
nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。た
だし、CAAC-OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領
域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm以上、5μm
以上または1000μm以上となる結晶領域が観察される場合がある。
【0278】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)
装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC-OS
膜のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピーク
が現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属され
ることから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0279】
一方、CAAC-OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin-p
lane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピーク
は、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。InGaZnOの単結晶酸
化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)
として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面
に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC-OS膜の場合は、2θを
56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0280】
以上のことから、CAAC-OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は
不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平
行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に
配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0281】
なお、結晶部は、CAAC-OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を
行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面ま
たは上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC-OS膜の
形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC-OS膜の被形成
面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0282】
また、CAAC-OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい
。例えば、CAAC-OS膜の結晶部が、CAAC-OS膜の上面近傍からの結晶成長に
よって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶
部の割合が高くなることがある。また、CAAC-OS膜に不純物を添加する場合、不純
物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成さ
れることもある。
【0283】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane
法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現
れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向
性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍
にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0284】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素
、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリ
コンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸
化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させ
る要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半
径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜
の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不
純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0285】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化
物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによっ
てキャリア発生源となることがある。
【0286】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性また
は実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体
膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当
該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノ
ーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度
真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体
膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる
。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する
時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高
く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定とな
る場合がある。
【0287】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特
性の変動が小さい。
【0288】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0289】
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することがで
きない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以
下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10n
m以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrys
tal)を有する酸化物半導体膜を、nc-OS(nanocrystalline O
xide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、T
EMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
【0290】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以
上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異な
る結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。
従って、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない
場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD
装置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を
示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径
(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)
を行うと、ハローパターンのような回折像が観測される。一方、nc-OS膜に対し、結
晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の
電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観
測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(
リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc-OS膜に対しナノビ
ーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0291】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そ
のため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし
、nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-
OS膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0292】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、C
AAC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0293】
例えば、CAAC-OSの形成方法としては、三つ挙げられる。
【0294】
第1の方法は、成膜温度を100℃以上450℃以下として酸化物半導体膜を成膜する
ことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトル又は表面の
法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0295】
第2の方法は、酸化物半導体膜を薄い厚さで成膜した後、200℃以上700℃以下の
熱処理を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクト
ル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0296】
第3の方法は、一層目の酸化物半導体膜を薄い厚さで成膜した後、200℃以上700
℃以下の熱処理を行い、さらに二層目の酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半導
体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行
な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0297】
酸化物半導体膜にCAAC-OSを適用したトランジスタは、可視光や紫外光の照射に
よる電気特性の変動が小さい。よって、酸化物半導体膜にCAAC-OSを適用したトラ
ンジスタは、良好な信頼性を有する。
【0298】
また、CAAC-OSは、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用
い、スパッタリング法によって成膜することが好ましい。当該スパッタリング用ターゲッ
トにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa-b面か
ら劈開し、a-b面に平行な面を有する平板状又はペレット状のスパッタリング粒子とし
て剥離することがある。この場合、当該平板状又はペレット状のスパッタリング粒子が、
結晶状態を維持したまま被成膜面に到達することで、CAAC-OSを成膜することがで
きる。
【0299】
また、CAAC-OSを成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0300】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制で
きる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)
を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点
が-80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0301】
また、成膜時の被成膜面の加熱温度(例えば基板加熱温度)を高めることで、被成膜面
に到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、被成膜面の温
度を100℃以上740℃以下、好ましくは150℃以上500℃以下として成膜する。
成膜時の被成膜面の温度を高めることで、平板状又はペレット状のスパッタリング粒子が
被成膜面に到達した場合、当該被成膜面上でマイグレーションが起こり、スパッタリング
粒子の平らな面が被成膜面に付着する。
【0302】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメー
ジを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100
体積%とする。
【0303】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In-Ga-Zn-O化合物ターゲットに
ついて以下に示す。
【0304】
InO粉末、GaO粉末及びZnO粉末を所定のmol数で混合し、加圧処理後
、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn-Ga
-Zn系金属酸化物ターゲットとする。なお、当該加圧処理は、冷却(又は放冷)しなが
ら行ってもよいし、加熱しながら行ってもよい。なお、X、Y及びZは任意の正数である
。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末及びZnO粉末
が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3又は3:1:2であ
る。なお、粉末の種類、及びその混合するmol数比は、作製するスパッタリング用ター
ゲットによって適宜変更すればよい。
【0305】
また、酸化物半導体膜は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。例えば、
酸化物半導体膜を、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の積層として、第1の
酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜に、異なる原子数比の金属酸化物を用いてもよい
。例えば、第1の酸化物半導体膜に二種類の金属を含む酸化物、三種類の金属を含む酸化
物、四種類の金属を含む酸化物のうち一つを用い、第2の酸化物半導体膜に第1の酸化物
半導体膜と異なる二種類の金属を含む酸化物、三種類の金属を含む酸化物、四種類の金属
を含む酸化物を用いてもよい。
【0306】
酸化物半導体膜を2層構造とし、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の構成
元素を同一とし、両者の原子数比を異ならせてもよい。例えば、第1の酸化物半導体膜の
原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2とし、第2の酸化物半導体膜の原子数比をIn
:Ga:Zn=1:1:1としてもよい。また、第1の酸化物半導体膜の原子数比をIn
:Ga:Zn=2:1:3とし、第2の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=
1:3:2としてもよい。なお、各酸化物半導体膜の原子数比は、誤差として上記の原子
数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0307】
この時、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜のうち、ゲート電極に近い側(
チャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの原子数比をIn≧Gaとするとよい。また
ゲート電極から遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの原子数比を
In<Gaとするとよい。これらの積層構造により、電界効果移動度の高いトランジスタ
を作製することができる。一方、ゲート電極に近い側(チャネル側)の酸化物半導体膜の
InとGaの原子数比をIn<Gaとし、バックチャネル側の酸化物半導体膜のInとG
aの原子数比をIn≧Gaとすることで、トランジスタの経時変化や信頼性試験によるし
きい値電圧の変動量を低減することができる。
【0308】
原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2である第1の酸化物半導体膜は、原子数比が
In:Ga:Zn=1:3:2である酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法によっ
て形成できる。基板温度を室温とし、スパッタリングガスにアルゴン、又はアルゴンと酸
素の混合ガスを用いて形成することができる。原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2
である第2の酸化物半導体膜は、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2である酸化物
ターゲットを用い、第1の酸化物半導体膜と同様にして形成できる。
【0309】
また、酸化物半導体膜を3層構造とし、第1の酸化物半導体膜乃至第3の酸化物半導体
膜の構成元素を同一とし、且つそれぞれの原子数比を異ならせてもよい。酸化物半導体膜
を3層構造とする構成について、図34を用いて説明する。
【0310】
図34に示すトランジスタ297は、第1の酸化物半導体膜299a、第2の酸化物半
導体膜299b、及び第3の酸化物半導体膜299cがゲート絶縁膜127側から順に積
層されている。第1の酸化物半導体膜299a及び第3の酸化物半導体膜299cを構成
する材料は、InM1Zn(x≧1、y>1、z>0、M1=Ga、Hfなど)
で表記できる材料を用いる。ただし、第1の酸化物半導体膜299a及び第3の酸化物半
導体膜299cを構成する材料にGaを含ませる場合、含ませるGaの割合が多い、具体
的にはInM1Znで表記できる材料でX=10を超えると成膜時に粉が発生す
る恐れがあり、不適である。なお、トランジスタ297において、第1の酸化物半導体膜
299a、第2の酸化物半導体膜299b、及び第3の酸化物半導体膜299c以外の構
成は、上記実施の形態に記載したトランジスタ(例えば、実施の形態1に記載したトラン
ジスタ103)と同様の構成である。
【0311】
また、第2の酸化物半導体膜299bを構成する材料は、InM2Zn(x≧
1、y≧x、z>0、M2=Ga、Sn等)で表記できる材料を用いる。
【0312】
第1の酸化物半導体膜299aの伝導帯及び第3の酸化物半導体膜299cの伝導帯に
比べて第2の酸化物半導体膜299bの伝導帯が真空準位から最も深くなるような井戸型
構造を構成するように、第1、第2、及び第3の酸化物半導体膜の材料を適宜選択する。
【0313】
なお、実施の形態1で記載したように、酸化物半導体膜において第14族元素の一つで
あるシリコンや炭素はキャリアである電子を生成し、キャリア密度を増大させる。このた
め、シリコンや炭素が酸化物半導体膜に含まれると、酸化物半導体膜はn型化してしまう
。このため、各酸化物半導体膜に含まれるシリコン濃度及び炭素濃度は3×1018/c
以下、好ましくは3×1017/cm以下とする。特に、第2の酸化物半導体膜2
99bに第14族元素が多く混入しないように、第1の酸化物半導体膜299a及び第3
の酸化物半導体膜299cで、キャリアパスとなる第2の酸化物半導体膜299bを挟む
、又は囲む構成とすることが好ましい。即ち、第1の酸化物半導体膜299a及び第3の
酸化物半導体膜299cは、シリコン、炭素などの第14族元素が第2の酸化物半導体膜
299bに混入することを防ぐバリア膜とも呼べる。
【0314】
例えば、第1の酸化物半導体膜299aの原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2と
し、第2の酸化物半導体膜299bの原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2とし、第
3の酸化物半導体膜299cの原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1としてもよい。
なお、第3の酸化物半導体膜299cは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1であ
る酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法によって形成できる。
【0315】
または、第1の酸化物半導体膜299aを、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2
である酸化物半導体膜とし、第2の酸化物半導体膜299bを、原子数比がIn:Ga:
Zn=1:1:1又はIn:Ga:Zn=1:3:2である酸化物半導体膜とし、第3の
酸化物半導体膜299cを、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2である酸化物半導
体膜とした、3層構造としてもよい。
【0316】
第1の酸化物半導体膜299a乃至第3の酸化物半導体膜299cの構成元素は同一で
あるため、第2の酸化物半導体膜299bは、第1の酸化物半導体膜299aとの界面に
おける欠陥準位(トラップ準位)が少ない。詳細には、当該欠陥準位(トラップ準位)は
、ゲート絶縁膜127と第1の酸化物半導体膜299aとの界面における欠陥準位よりも
少ない。このため、上記のように酸化物半導体膜が積層されていることで、トランジスタ
の経時変化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0317】
また、第1の酸化物半導体膜299aの伝導帯及び第3の酸化物半導体膜299cの伝
導帯に比べて第2の酸化物半導体膜299bの伝導帯が真空準位から最も深くなるような
井戸型構造を構成するように、第1、第2、及び第3の酸化物半導体膜の材料を適宜選択
することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることが可能であると共に、トランジ
スタの経時変化や信頼性試験によるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0318】
また、第1の酸化物半導体膜299a乃至第3の酸化物半導体膜299cに、結晶性の
異なる酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半
導体、非晶質酸化物半導体、及びCAAC-OSを適宜組み合わせた構成としてもよい。
また、第1の酸化物半導体膜299a乃至第3の酸化物半導体膜299cのいずれか一に
非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体膜の内部応力や外部からの応力を緩和し
、トランジスタの特性ばらつきが低減され、またトランジスタの経時変化や信頼性試験に
よるしきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0319】
また、少なくともチャネル形成領域となりうる第2の酸化物半導体膜299bはCAA
C-OSであることが好ましい。また、バックチャネル側の酸化物半導体膜、本実施の形
態では、第3の酸化物半導体膜299cは、アモルファス又はCAAC-OSであること
が好ましい。このような構造とすることで、トランジスタの経時変化や信頼性試験による
しきい値電圧の変動量を低減することができる。
【0320】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【0321】
(実施の形態5)
上記実施の形態で一例を示したトランジスタ及び容量素子を用いて表示機能を有する半
導体装置(表示装置ともいう。)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆
動回路の一部又は全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成
することができる。本実施の形態では、上記実施の形態で一例を示したトランジスタを用
いた表示装置の例について、図35乃至図37を用いて説明する。なお、図36(A)、
図36(B)は、図35(B)中でM-Nの一点鎖線で示した部位の断面構成を示す断面
図である。なお、図36において、画素部の構造は一部のみ記載している。
【0322】
図35(A)において、第1の基板901上に設けられた画素部902を囲むようにし
て、シール材905が設けられ、第2の基板906によって封止されている。図35(A
)においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域とは異な
る領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多結晶半導体で形成された信号線駆
動回路903、及び走査線駆動回路904が実装されている。また、信号線駆動回路90
3、走査線駆動回路904、又は画素部902に与えられる各種信号及び電位は、FPC
(Flexible printed circuit)918a、FPC918bから
供給されている。
【0323】
図35(B)及び図35(C)において、第1の基板901上に設けられた画素部90
2と、走査線駆動回路904とを囲むようにして、シール材905が設けられている。ま
た画素部902と、走査線駆動回路904の上に第2の基板906が設けられている。よ
って画素部902と、走査線駆動回路904とは、第1の基板901とシール材905と
第2の基板906とによって、表示素子と共に封止されている。図35(B)及び図35
(C)においては、第1の基板901上のシール材905によって囲まれている領域とは
異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体又は多結晶半導体で形成された信号
線駆動回路903が実装されている。図35(B)及び図35(C)においては、信号線
駆動回路903、走査線駆動回路904、又は画素部902に与えられる各種信号及び電
位は、FPC918から供給されている。
【0324】
また、図35(B)及び図35(C)においては、信号線駆動回路903を別途形成し
、第1の基板901に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線
駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部又は走査線駆動回路の
一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0325】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(C
hip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape
Automated Bonding)方法などを用いることができる。図35(A)は
、COG方法により信号線駆動回路903、走査線駆動回路904を実装する例であり、
図35(B)は、COG方法により信号線駆動回路903を実装する例であり、図35
C)は、TAB方法により信号線駆動回路903を実装する例である。
【0326】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントロー
ラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0327】
なお、本明細書における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光
源(照明装置含む。)を指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTCPが取り付
けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は表示素
子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含
むものとする。
【0328】
また、第1の基板上に設けられた画素部及び走査線駆動回路は、トランジスタを複数有
しており、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
【0329】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素
子(発光表示素子ともいう。)を用いることができる。発光素子は、電流又は電圧によっ
て輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro
Luminescence)素子、有機EL素子等が含まれる。また、電子インクなど
、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。図36
、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示す。
【0330】
図36(A)に示す液晶表示装置は、縦電界方式の液晶表示装置である。液晶表示装置
は、接続端子電極915及び端子電極916を有しており、接続端子電極915及び端子
電極916はFPC918が有する端子と異方性導電剤919を介して、電気的に接続さ
れている。
【0331】
接続端子電極915は、第1の電極930と同じ導電膜から形成され、端子電極916
は、トランジスタ910、911のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成され
ている。
【0332】
また、第1の基板901上に設けられた画素部902と、走査線駆動回路904は、ト
ランジスタを複数有しており、図36(A)及び図36(B)では、画素部902に含ま
れるトランジスタ910と、走査線駆動回路904に含まれるトランジスタ911とを例
示している。トランジスタ910及びトランジスタ911上には実施の形態1に示す絶縁
膜129、絶縁膜131、及び絶縁膜132に相当する絶縁膜924が設けられている。
なお、絶縁膜923は下地膜として機能する絶縁膜である。
【0333】
本実施の形態では、トランジスタ910、トランジスタ911として、上記実施の形態
で示したトランジスタのいずれかを適用することができる。また、酸化物半導体膜927
、絶縁膜924、及び第1の電極930を用いて、容量素子926を構成する。なお、酸
化物半導体膜927は、電極膜928を介して、容量線929と接続する。電極膜928
は、トランジスタ910、トランジスタ911のソース電極及びドレイン電極と同じ導電
膜から形成される。容量線929は、トランジスタ910、トランジスタ911のゲート
電極と同じ導電膜から形成される。なお、ここでは、容量素子926として実施の形態1
に示した容量素子を図示しているが、適宜他の実施の形態に示した容量素子を用いること
ができる。
【0334】
また、絶縁膜924上において、走査線駆動回路に含まれるトランジスタ911の酸化
物半導体膜のチャネル形成領域と重なる位置に導電膜917が設けられている例を示して
いる。つまり、トランジスタ911は実施の形態1で記載したデュアルゲートトランジス
タである。また、図示していないが、導電膜917は容量線929と電気的に接続されて
いる。本実施の形態では、導電膜917を第1の電極930と同じ導電膜で形成する。こ
のようにすることで、導電膜917の電位を制御する構成の省略が可能である。また、導
電膜917を酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、信
頼性試験前後におけるトランジスタ911のしきい値電圧の変動量をさらに低減すること
ができる。また、トランジスタ911の動作速度を速くすることができ、駆動回路の動作
速度を速くすることができる。また、導電膜917の電位は、トランジスタ911のゲー
ト電極と同じでもよいし、異なっていてもよく、導電膜917を第2のゲート電極(バッ
クゲート電極)として機能させることもできる。また、導電膜917とトランジスタ91
1のソース電極に対する電位差は、0Vであってもよい。上記より、表示装置の動作速度
の増大と消費電力の低減を両立することができる。
【0335】
また、導電膜917は外部の電場を遮蔽する機能も有する。すなわち外部の電場が内部
(トランジスタを含む回路部)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮
蔽機能)も有する。導電膜917の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響によ
りトランジスタの電気的な特性が変動することを抑制することができる。また、トランジ
スタのしきい値電圧を制御することができる。なお、図36においては、走査線駆動回路
に含まれるトランジスタを図示したが、信号線駆動回路に含まれるトランジスタもトラン
ジスタ911と同様に、絶縁膜924上において、酸化物半導体膜のチャネル形成領域と
重なる位置に導電膜が設けられている構造であってもよい。
【0336】
画素部902に設けられたトランジスタ910は表示素子と電気的に接続し、表示パネ
ルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を
用いることができる。
【0337】
表示素子である液晶素子913は、第1の電極930、第2の電極931、及び液晶9
08を含む。なお、液晶908を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜932、絶
縁膜933が設けられている。また、第2の電極931は第2の基板906側に設けられ
、第1の電極930と第2の電極931とは液晶908を介して重なる構成となっている
。液晶素子913は実施の形態1に記載した液晶素子108を参照することができる。第
1の電極930は、実施の形態1に記載した画素電極121に相当し、第2の電極931
は、実施の形態1に記載した対向電極154に相当し、液晶908は実施の形態1に記載
した液晶160に相当し、絶縁膜932は実施の形態1に記載した配向膜158に相当し
、絶縁膜933は実施の形態1に記載した配向膜156に相当する。
【0338】
表示素子に電圧を印加する第1の電極及び第2の電極(画素電極、共通電極、対向電極
などともいう)においては、取り出す光の方向、電極が設けられる場所、及び電極のパタ
ーン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0339】
第1の電極930及び第2の電極931は、実施の形態1に示す画素電極121及び対
向電極154と同様の材料を適宜用いることができる。
【0340】
また、スペーサ935は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペー
サであり、第1の電極930と第2の電極931との間隔(セルギャップ)を制御するた
めに設けられている。なお、球状のスペーサを用いていてもよい。
【0341】
第1の基板901及び第2の基板906はシール材925によって固定されている。シ
ール材925は、熱硬化樹脂、光硬化樹脂などの有機樹脂を用いることができる。また、
シール材925は、絶縁膜924と接している。なお、シール材925は図35に示すシ
ール材905に相当する。
【0342】
また、液晶表示装置において、ブラックマトリクス(遮光膜)、偏光部材、位相差部材
、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位
相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトな
どの光源装置を用いてもよい。
【0343】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回
路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0344】
次に、横電界方式の液晶表示装置について、図36(B)を用いて説明する。図36
B)は、横電界方式の一例である、FFS(Fringe Field Switchi
ng)モードの液晶表示装置である。図36(A)に示す縦電界方式の液晶表示装置と異
なる構造について、説明する。
【0345】
図36(B)に示す液晶表示装置において、接続端子電極915は、第1の電極940
と同じ導電膜から形成され、端子電極916は、トランジスタ910、911のソース電
極及びドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0346】
また、液晶素子943は、絶縁膜924上に形成される第1の電極940、第2の電極
941、及び液晶908を含む。液晶素子943は、実施の形態1に示す液晶素子108
の構成を適宜用いることができる。第1の電極940は、図36(A)に示す第1の電極
930に示す材料を適宜用いることができる。また、第1の電極940は、平面形状が、
櫛歯状、階段状、梯子状等である。第2の電極941は共通電極として機能し、実施の形
態1に示す酸化物半導体膜119と同様に形成することができる。第1の電極940及び
第2の電極941の間には絶縁膜924が設けられている。図36(B)に示す液晶表示
装置において、容量素子は、一対の電極である第1の電極940及び第2の電極と、誘電
体膜である絶縁膜924とで構成される。
【0347】
第2の電極941は、導電膜945を介して、容量線946と接続する。なお、導電膜
945は、トランジスタ910、トランジスタ911のソース電極及びドレイン電極と同
じ導電膜から形成される。容量線946は、トランジスタ910、トランジスタ911の
ゲート電極と同じ導電膜から形成される。なお、ここでは、液晶素子943として実施の
形態1に示した容量素子を用いて説明したが、適宜他の実施の形態に示した容量素子を用
いることができる。
【0348】
図37に、図36(A)に示す液晶表示装置において、第2の基板906に設けられた
第2の電極931と電気的に接続するための共通接続部(パッド部)を、第1の基板90
1上に形成する例を示す。
【0349】
共通接続部は、第1の基板901と第2の基板906とを接着するためのシール材と重
なる位置に配置され、シール材に含まれる導電性粒子を介して第2の電極931と電気的
に接続される。又は、シール材と重ならない箇所(但し、画素部を除く)に共通接続部を
設け、共通接続部に重なるように導電性粒子を含むペーストをシール材とは別途設けて第
2の電極931と電気的に接続してもよい。
【0350】
図37(A)は、共通接続部の断面図であり、図37(B)に示す上面図のI-Jに相
当する。
【0351】
共通電位線975は、ゲート絶縁膜922上に設けられ、図36に示すトランジスタ9
10のソース電極971又はドレイン電極973と同じ材料及び同じ工程で作製される。
【0352】
また、共通電位線975は、絶縁膜924で覆われ、絶縁膜924は、共通電位線97
5と重なる位置に複数の開口を有している。この開口は、トランジスタ910のソース電
極971又はドレイン電極973の一方と、第1の電極930とを接続するコンタクトホ
ールと同じ工程で作製される。
【0353】
また、共通電位線975及び共通電極977が開口において接続する。共通電極977
は、絶縁膜924上に設けられ、接続端子電極915や、画素部の第1の電極930と同
じ材料及び同じ工程で作製される。
【0354】
このように、画素部902のスイッチング素子の作製工程と共通させて共通接続部を作
製することができる。
【0355】
共通電極977は、シール材に含まれる導電性粒子と接触する電極であり、第2の基板
906の第2の電極931と電気的に接続が行われる。
【0356】
また、図37(C)に示すように、共通電位線985を、トランジスタ910のゲート
電極と同じ材料、同じ工程で作製してもよい。
【0357】
図37(C)に示す共通接続部において、共通電位線985は、ゲート絶縁膜922及
び絶縁膜924の下層に設けられ、ゲート絶縁膜922及び絶縁膜924は、共通電位線
985と重なる位置に複数の開口を有する。該開口は、トランジスタ910のソース電極
971又はドレイン電極973の一方と第1の電極930とを接続するコンタクトホール
と同じ工程で絶縁膜924をエッチングした後、さらにゲート絶縁膜922を選択的にエ
ッチングすることで形成される。
【0358】
また、共通電位線985及び共通電極987が開口において接続する。共通電極987
は、絶縁膜924上に設けられ、接続端子電極915や、画素部の第1の電極930と同
じ材料及び同じ工程で作製される。
【0359】
以上より、駆動回路を有する半導体装置において、駆動回路に含まれるトランジスタを
デュアルゲートトランジスタとし、当該デュアルゲートトランジスタのバックゲート電極
を容量素子と電気的に接続されている容量線と電気的に接続することで、消費電力を低減
させつつ、駆動回路の動作速度を速くさせることでき、表示品位の優れた半導体装置を得
ることができる。
【0360】
また、容量素子の一方の電極として、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導
体膜)と同じ形成工程で形成される半導体膜を用いることで、開口率を高めつつ、電荷容
量を増大させた容量素子を有する半導体装置を作製することができる。また、開口率を向
上することによって表示品位の優れた半導体装置を得ることができる。
【0361】
また、トランジスタの半導体膜(具体的には酸化物半導体膜)は酸素欠損が低減され、
水素、窒素などの不純物が低減されていることから、本発明の一態様である半導体装置は
、良好な電気特性を有する半導体装置である。
【0362】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【0363】
(実施の形態6)
本発明の一態様である半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用する
ことができる。電子機器としては、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機
ともいう。)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、
デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、
遊技機(パチンコ機、スロットマシン等)、ゲーム筐体が挙げられる。これらの電子機器
の一例を図38に示す。
【0364】
図38(A)は、表示部を有するテーブル9000を示している。テーブル9000は
、筐体9001に表示部9003が組み込まれており、表示部9003により映像を表示
することが可能である。なお、4本の脚部9002により筐体9001を支持した構成を
示している。また、電力供給のための電源コード9005を筐体9001に有している。
【0365】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9003に用いることが可能で
ある。それゆえ、表示部9003の表示品位を高くすることができる。
【0366】
表示部9003は、タッチ入力機能を有しており、テーブル9000の表示部9003
に表示された表示ボタン9004を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力する
ことができ、また他の家電製品との通信を可能とする、又は制御を可能とすることで、画
面操作により他の家電製品をコントロールする制御装置としてもよい。例えば、イメージ
センサ機能を有する半導体装置を用いれば、表示部9003にタッチ入力機能を持たせる
ことができる。
【0367】
また、筐体9001に設けられたヒンジによって、表示部9003の画面を床に対して
垂直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、
大きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブル
に表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
【0368】
図38(B)は、テレビジョン装置9100を示している。テレビジョン装置9100
は、筐体9101に表示部9103が組み込まれており、表示部9103により映像を表
示することが可能である。なお、ここではスタンド9105により筐体9101を支持し
た構成を示している。
【0369】
テレビジョン装置9100の操作は、筐体9101が備える操作スイッチや、別体のリ
モコン操作機9110により行うことができる。リモコン操作機9110が備える操作キ
ー9109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9103に表示さ
れる映像を操作することができる。また、リモコン操作機9110に、当該リモコン操作
機9110から出力する情報を表示する表示部9107を設ける構成としてもよい。
【0370】
図38(B)に示すテレビジョン装置9100は、受信機やモデムなどを備えている。
テレビジョン装置9100は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、
さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方
向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の
情報通信を行うことも可能である。
【0371】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9103、9107に用いるこ
とが可能である。それゆえ、テレビジョン装置の表示品位を向上させることができる。
【0372】
図38(C)はコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、
キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206などを
含む。
【0373】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9203に用いることが可能で
ある。それゆえ、コンピュータの表示品位を向上させることができる。
【0374】
図39(A)及び図39(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図39(A
)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示
部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モ
ード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0375】
上記実施の形態のいずれかに示す半導体装置は、表示部9631a、表示部9631b
に用いることが可能である。それゆえ、タブレット端末の表示品位を向上させることがで
きる。
【0376】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示さ
れた操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部96
31aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領
域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部96
31aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9
631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表
示画面として用いることができる。
【0377】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一
部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボー
ド表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれること
で表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0378】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時に
タッチ入力することもできる。
【0379】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示又は横表示などの表示の向きを
切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えス
イッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光
の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光セン
サだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を
内蔵させてもよい。
【0380】
また、図39(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示
しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表
示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネ
ルとしてもよい。
【0381】
図39(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9
633、充放電制御回路9634を有する。なお、図39(B)では充放電制御回路96
34の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成につい
て示している。
【0382】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態
にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、
耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0383】
また、この他にも図39(A)及び図39(B)に示したタブレット型端末は、様々な
情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻な
どを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ
入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有する
ことができる。
【0384】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル
、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、
筐体9630の片面又は両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率的に
行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウ
ムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0385】
また、図39(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図39
C)にブロック図を示し説明する。図39(C)には、太陽電池9633、バッテリー9
635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3
、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ963
6、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図39(B)に示す充放電制御
回路9634に対応する箇所となる。
【0386】
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明す
る。太陽電池9633で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧とな
るようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631
の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コ
ンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また
、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバ
ッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0387】
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず
、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による
バッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を
送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う
構成としてもよい。
【0388】
なお、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【実施例1】
【0389】
本実施例では、酸化物半導体膜、及び多層膜の抵抗について、図40及び図41を用い
て説明する。
【0390】
はじめに、試料の構造について図40を用いて説明する。
【0391】
図40(A)は、試料1乃至試料4の上面図であり、図40(A)の一点破線A1-A
2の断面図を図40(B)、(C)、(D)に示す。なお、試料1至試料4は、上面図が
同一であり、断面の積層構造が異なるため、断面図が異なる。試料1の断面図を図40
B)に、試料2の断面図を図40(C)に、試料3及び試料4の断面図を図40(D)に
、それぞれ示す。
【0392】
試料1は、ガラス基板1901上に絶縁膜1903が形成され、絶縁膜1903上に絶
縁膜1904が形成され、絶縁膜1904上に酸化物半導体膜1905が形成される。ま
た、酸化物半導体膜1905の両端を電極として機能する導電膜1907、1909が覆
い、酸化物半導体膜1905及び導電膜1907、1909を絶縁膜1910、1911
が覆う。なお、絶縁膜1910、1911には、開口部1913、1915が設けられて
おり、それぞれ当該開口部1913、1915において、導電膜1907、1909が露
出している。
【0393】
試料2は、ガラス基板1901上に絶縁膜1903が形成され、絶縁膜1903上に絶
縁膜1904が形成され、絶縁膜1904上に酸化物半導体膜1905が形成される。ま
た、酸化物半導体膜1905の両端を電極として機能する導電膜1907、1909が覆
い、酸化物半導体膜1905及び導電膜1907、1909を絶縁膜1911が覆う。な
お、絶縁膜1911には、開口部1917、1919が設けられており、それぞれ当該開
口部において、導電膜1907、1909が露出している。
【0394】
試料3及び試料4は、ガラス基板1901上に絶縁膜1903が形成され、絶縁膜19
03上に絶縁膜1904が形成され、絶縁膜1904上に多層膜1906が形成される。
また、多層膜1906の両端を電極として機能する導電膜1907、1909が覆い、多
層膜1906及び導電膜1907、1909を絶縁膜1911が覆う。なお、絶縁膜19
11には、開口部1917、1919が設けられており、それぞれ当該開口部において、
導電膜1907、1909が露出している。
【0395】
このように、試料1乃至試料4は、酸化物半導体膜1905、または多層膜1906上
に接する絶縁膜の構造が異なる。試料1は、酸化物半導体膜1905と絶縁膜1910が
接しており、試料2は、酸化物半導体膜1905と絶縁膜1911が接しており、試料3
及び試料4は、多層膜1906と絶縁膜1911が接している。
【0396】
次に、各試料の作製方法について説明する。
【0397】
はじめに、試料1の作製方法について説明する。
【0398】
ガラス基板1901上に、絶縁膜1903として、プラズマCVD法により厚さ400
nmの窒化シリコン膜を成膜した。
【0399】
次に、絶縁膜1903上に、絶縁膜1904として、プラズマCVD法により厚さ50
nmの酸化窒化シリコン膜を成膜した。
【0400】
次に、絶縁膜1904上に、酸化物半導体膜1905として、金属酸化物ターゲット(
In:Ga:Zn=1:1:1)を用い、スパッタリング法により厚さ35nmのIGZ
O膜を成膜した。その後、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを用いてエッチ
ング処理を行い、酸化物半導体膜1905を形成した。
【0401】
次に、絶縁膜1904及び酸化物半導体膜1905上に、スパッタリング法により厚さ
50nmのタングステン膜、厚さ400nmのアルミニウム膜、及び厚さ100nmのチ
タン膜を順に積層した後、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを用いてエッチ
ング処理を行い、導電膜1907及び導電膜1909を形成した。
【0402】
次に、絶縁膜1904、酸化物半導体膜1905、導電膜1907、及び導電膜190
9上に、絶縁膜1910として、プラズマCVD法により厚さ450nmの酸化窒化シリ
コン膜を成膜した後、350℃の窒素及び酸素の混合雰囲気で1時間の加熱処理を行った
【0403】
次に、絶縁膜1910上に、絶縁膜1911として、プラズマCVD法により厚さ50
nmの窒化シリコン膜を成膜した。
【0404】
次に、絶縁膜1911上に、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを設けた後
、エッチング処理を行い、絶縁膜1910、及び絶縁膜1911に開口部1913、19
15を形成した。
【0405】
以上の工程により試料1を作製した。
【0406】
次に、試料2の作製方法について説明する。
【0407】
試料1の絶縁膜1904、酸化物半導体膜1905、導電膜1907、及び導電膜19
09上に、絶縁膜1910として、プラズマCVD法により厚さ450nmの酸化窒化シ
リコン膜を成膜した後、350℃の窒素及び酸素の混合雰囲気で1時間の加熱処理を行っ
た。その後、絶縁膜1910の除去を行った。
【0408】
次に、絶縁膜1904、酸化物半導体膜1905、導電膜1907、及び導電膜190
9上に、絶縁膜1911として、プラズマCVD法により厚さ50nmの窒化シリコン膜
を成膜した。
【0409】
次に、絶縁膜1911上に、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを設けた後
、エッチング処理を行い、絶縁膜1911に開口部1917、1919を形成した。
【0410】
以上の工程により試料2を作製した。
【0411】
次に、試料3の作製方法について、説明する。
【0412】
試料3は、試料2の酸化物半導体膜1905の代わりに、多層膜1906を用いた。多
層膜1906としては、絶縁膜1904上に、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn
=1:3:2)を用い、スパッタリング法により厚さ10nmのIGZO膜を成膜し、続
けて金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用い、スパッタリング法
により厚さ10nmのIGZO膜を成膜し、続けて金属酸化物ターゲット(In:Ga:
Zn=1:3:2)を用い、スパッタリング法により厚さ10nmのIGZO膜を成膜し
た。その後、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを用いてエッチング処理を行
い、多層膜1906を形成した。
【0413】
以上の工程により試料3を作製した。
【0414】
次に、試料4の作製方法について、説明する。
【0415】
試料4は、試料2の酸化物半導体膜1905の代わりに、多層膜1906を用いた。多
層膜1906としては、絶縁膜1904上に、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn
=1:3:2)を用い、スパッタリング法により厚さ20nmのIGZO膜を成膜し、続
けて金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用い、スパッタリング法
により厚さ15nmのIGZO膜を成膜し、続けて金属酸化物ターゲット(In:Ga:
Zn=1:3:2)を用い、スパッタリング法により厚さ10nmのIGZO膜を成膜し
た。その後、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを用いてエッチング処理を行
い、多層膜1906を形成した。
【0416】
以上の工程により試料4を作製した。
【0417】
次に、試料1乃至試料4に設けられた酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906の
シート抵抗を測定した。試料1においては、開口部1913及び開口部1915にプロー
ブを接触させ、酸化物半導体膜1905のシート抵抗を測定した。また、試料2乃至試料
4においては、開口部1917及び開口部1919にプローブを接触させ、酸化物半導体
膜1905、及び多層膜1906のシート抵抗を測定した。なお、試料1乃至試料4の酸
化物半導体膜1905、及び多層膜1906において、導電膜1907及び導電膜190
9が対向する幅を1mm、導電膜1907と導電膜1909との間の距離を10μmとし
た。また、試料1乃至試料4において、導電膜1907を接地電位とし、導電膜1909
に1Vを印加した。
【0418】
試料1乃至試料4のシート抵抗を図41に示す。
【0419】
試料1のシート抵抗は、約1×1011Ω/sqであった。また、試料2のシート抵抗
は、2620Ω/sqであった。また、試料の3のシート抵抗は、約4410Ω/sqで
あった。また、試料4のシート抵抗は、約2930Ω/sqであった。
【0420】
このように、酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906に接する絶縁膜の違いによ
り、酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906のシート抵抗は、異なる値を示す。
【0421】
なお、上述した試料1乃至試料4のシート抵抗を抵抗率に換算した場合、試料1は、3
.9×10Ωcm、試料2は、9.3×10-3Ωcm、試料3は、1.3×10-2
Ωcm、試料4は、1.3×10-2Ωcmであった。
【0422】
試料1は、酸化物半導体膜1905上に接して絶縁膜1910として用いる酸化窒化シ
リコン膜が形成されており、絶縁膜1911として用いる窒化シリコン膜と離れて形成さ
れている。一方、試料2乃至試料4は、酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906上
に接して絶縁膜1911として用いる窒化シリコン膜が形成されている。このように、酸
化物半導体膜1905、及び多層膜1906は、絶縁膜1911として用いる窒化シリコ
ン膜に接して設けると、酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906に欠陥、代表的に
は酸素欠損が形成されると共に、該窒化シリコン膜に含まれる水素が、酸化物半導体膜1
905、及び多層膜1906へ移動または拡散する。これらの結果、酸化物半導体膜19
05、及び多層膜1906の導電性が向上する。
【0423】
例えば、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物半導体膜を用いる場合、試料1に示
すように酸化物半導体膜に接して酸化窒化シリコン膜を設ける構成が好ましい。また、容
量素子の電極に用いる透光性を有する導電膜としては、試料2乃至試料4に示すように酸
化物半導体膜または多層膜に接して窒化シリコン膜を設ける構成が好ましい。このような
構成を用いることによって、トランジスタのチャネル形成領域に用いる酸化物半導体膜ま
たは多層膜と、容量素子の電極に用いる酸化物半導体膜または多層膜と、を同一工程で作
製しても酸化物半導体膜、及び多層膜の抵抗率を変えることができる。
【0424】
次に、試料2及び試料3において、高温高湿環境で保存した試料のシート抵抗値につい
て測定した。ここで用いた各試料の条件について、以下に説明する。なお、ここでは、一
部の条件において、試料2及び試料3と異なる条件を用いている。このため、試料2及び
試料3と構造が同じであり、作製条件が異なる試料をそれぞれ試料2a及び試料3aとす
る。
【0425】
はじめに、試料2aの作製方法について説明する。
【0426】
ガラス基板1901上に、絶縁膜1903及び絶縁膜1904を成膜した。
【0427】
絶縁膜1904上に、酸化物半導体膜1905として、金属酸化物ターゲット(In:
Ga:Zn=1:1:1)を用い、スパッタリング法により厚さ35nmのIGZO膜を
成膜した。その後、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを用いてエッチング処
理を行った後、350℃または450℃で加熱処理を行い、酸化物半導体膜1905を形
成した。
【0428】
絶縁膜1904及び酸化物半導体膜1905上に、スパッタリング法により厚さ50n
mのチタン膜、及び厚さ400nmの銅膜を順に積層した後、フォトリソグラフィ工程に
より形成したマスクを用いてエッチング処理を行い、導電膜1907及び導電膜1909
を形成した。
【0429】
次に、絶縁膜1904、酸化物半導体膜1905、導電膜1907、及び導電膜190
9上に、絶縁膜1910として、プラズマCVD法により厚さ450nmの酸化窒化シリ
コン膜を成膜した後、350℃の窒素及び酸素の混合雰囲気で1時間の加熱処理を行った
【0430】
次に、絶縁膜1904、酸化物半導体膜1905、導電膜1907、及び導電膜190
9上に、絶縁膜1911として、プラズマCVD法により厚さ50nmの窒化シリコン膜
を成膜した。なお、窒化シリコン膜の成膜温度を220℃または350℃とした。
【0431】
次に、絶縁膜1911上に、フォトリソグラフィ工程により形成したマスクを設けた後
、エッチング処理を行い、絶縁膜1910、及び絶縁膜1911に開口部1917、19
19を形成した。
【0432】
以上の工程により試料2aを作製した。
【0433】
次に、試料3aの作製方法について、説明する。
【0434】
試料3aは、試料2aの酸化物半導体膜1905の代わりに、多層膜1906を用いた
。多層膜1906としては、絶縁膜1904上に、金属酸化物ターゲット(In:Ga:
Zn=1:1:1)を用い、スパッタリング法により厚さ10nmのIGZO膜を成膜し
、続けて金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:2)を用い、スパッタリン
グ法により厚さ10nmのIGZO膜を成膜した。その後、フォトリソグラフィ工程によ
り形成したマスクを用いてエッチング処理を行った後、350℃または450℃で加熱処
理を行い、多層膜1906を形成した。
【0435】
以上の工程により試料3aを作製した。
【0436】
次に、試料2a及び試料3aに設けられた酸化物半導体膜1905、及び多層膜190
6のシート抵抗を測定した。試料2a及び試料3aにおいては、開口部1917及び開口
部1919にプローブを接触させ、酸化物半導体膜1905、及び多層膜1906のシー
ト抵抗を測定した。なお、試料2a及び試料3aの酸化物半導体膜1905、及び多層膜
1906において、導電膜1907及び導電膜1909が対向する幅を1.5mm、導電
膜1907と導電膜1909との間の距離を10μmとした。また、試料2a及び試料3
aにおいて、導電膜1907を接地電位とし、導電膜1909に1Vを印加した。また、
温度60℃、湿度95%の雰囲気において、試料2a及び試料3aを、60時間及び13
0時間保管した後、各試料のシート抵抗値を測定した。
【0437】
試料2a及び試料3aのシート抵抗値を図45に示す。なお、図45において、実線は
、各試料において絶縁膜1911として形成した窒化シリコン膜の成膜温度が220℃で
あり、破線は350℃であることを示す。また、黒塗りマーカは、各試料において、酸化
物半導体膜1905または多層膜1906を形成した後、350℃で加熱処理を行ったこ
とを示し、白塗りマーカは、酸化物半導体膜1905または多層膜1906を形成した後
、450℃で加熱処理を行ったことを示す。三角マーカは、各試料が酸化物半導体膜19
05を有する、即ち、試料2aであることを示し、丸マーカは、試料が多層膜1906を
有する、即ち試料3aであることを示す。
【0438】
図45より、試料2a及び試料3aは、シート抵抗値が低く、容量素子の電極として好
ましいシート抵抗値、0.2M/s.q.以下を満たしていることが分かる。また、試料
2a及び試料3aは、シート抵抗値の時間変動量が少ないことがわかる。以上のことから
、窒化シリコン膜に接する酸化物半導体膜または多層膜は、高温高湿環境において、シー
ト抵抗値の変動量が少ないため、容量素子の電極に用いる透光性を有する導電膜として用
いることができる。
【0439】
次に、試料2a及び試料3aにおいて、基板温度を25℃、60℃、及び150℃とし
て、それぞれのシート抵抗値を測定した結果を図46に示す。なお、ここでは、試料2a
及び試料3aとして、絶縁膜1911として形成した窒化シリコン膜の成膜温度が220
℃であり、多層膜1906を形成した後、350℃で加熱処理を行った試料を用いた。
【0440】
図46より、基板温度を高くしても多層膜1906のシート抵抗値は変動しないことが
分かる。即ち、窒化シリコン膜に接する酸化物半導体膜または多層膜は、縮退半導体とも
いえる。窒化シリコン膜に接する酸化物半導体膜または多層膜は、基板温度が変化しても
シート抵抗値の変動量が少ないため、容量素子の電極に用いる透光性を有する導電膜とし
て用いることができる。
【0441】
本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例に示す構成と適宜組み合わせて
用いることができる。
【実施例2】
【0442】
本実施例は、酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上に形成された絶縁膜との不純物分析
について、図42を用いて説明する。
【0443】
本実施例においては、不純物分析用のサンプルとして、2種類のサンプル(以下、試料
5、及び試料6)を作製した。
【0444】
まず、はじめに試料5の作製方法を以下に示す。
【0445】
試料5は、ガラス基板上にIGZO膜を成膜し、その後窒化シリコン膜を成膜した。そ
の後、窒素雰囲気下で450℃、1時間の熱処理を行い、続けて窒素と酸素の混合ガス雰
囲気(窒素=80%、酸素=20%)下で450℃×1時間の熱処理を行った。
【0446】
なお、IGZO膜の成膜条件としては、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット
(In:Ga:Zn=1:1:1)を用い、Ar/O=100/100sccm(O
=50%)、圧力=0.6Pa、成膜電力=5000W、基板温度=170℃の条件で1
00nmの厚さIGZO膜を成膜した。
【0447】
また、窒化シリコン膜の成膜条件としては、PE-CVD法にて、SiH/N/N
=50/5000/100sccm、圧力=100Pa、成膜電力=1000W、基
板温度=220℃の条件で100nmの厚さの窒化シリコン膜を成膜した。
【0448】
次に、試料6の作製方法を以下に示す。
【0449】
ガラス基板上にIGZO膜を成膜し、その後酸化窒化シリコン膜及び窒化シリコン膜を
積層して成膜した。その後、窒素雰囲気下で450℃、1時間の熱処理を行い、続けて窒
素と酸素の混合ガス雰囲気(窒素=80%、酸素=20%)下で450℃×1時間の熱処
理を行った。
【0450】
なお、IGZO膜の成膜条件、及び窒化シリコン膜の成膜条件としては、試料5と同様
の条件を用いた。また、酸化窒化シリコン膜の成膜条件としては、PE-CVD法にて、
SiH/NO=30/4000sccm、圧力=40Pa、成膜電力=150W、基
板温度=220℃の条件で50nmの厚さの酸化窒化シリコン膜を成膜し、その後、PE
-CVD法にて、SiH/NO=160/4000sccm、圧力=200Pa、成
膜電力=1500W、基板温度=220℃の条件で400nmの厚さの酸化窒化シリコン
膜を成膜した。
【0451】
試料5及び試料6の不純物分析結果を図42に示す。
【0452】
なお、不純物分析としては、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary
Ion Mass Spectrometry)を用い、図42に示す矢印の方向から分
析を行った。すなわち、ガラス基板側からの測定である。
【0453】
また、図42(A)は、試料5の測定により得られた水素(H)の濃度プロファイルで
ある。図42(B)は、試料6の測定により得られた水素(H)の濃度プロファイルであ
る。
【0454】
図42(A)よりIGZO膜中の水素(H)濃度は、1.0×1020atoms/c
であることがわかる。また、窒化シリコン膜中の水素(H)濃度は、1.0×10
atoms/cmであることがわかる。また、図42(B)よりIGZO膜中の水素
(H)濃度は、5.0×1019atoms/cmであることがわかる。また、酸化窒
化シリコン膜中の水素(H)濃度は、3.0×1021atoms/cmであることが
わかる。
【0455】
なお、SIMS分析は、その測定原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界
面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中におけ
る水素(H)の厚さ方向の分布を、SIMSで分析する場合、対象となる膜の存在する範
囲において、極端な変動が無く、ほぼ一定の強度が得られる領域における平均値を採用す
る。
【0456】
このように、IGZO膜に接する絶縁膜の構成を変えることにより、IGZO膜中の水
素(H)濃度に差が確認された。
【0457】
例えば、トランジスタのチャネル形成領域に上述したIGZO膜を用いる場合、試料6
に示すようにIGZO膜に接して酸化窒化シリコン膜を設ける構成が好ましい。また、容
量素子の電極に用いる透光性を有する導電膜としては、試料5に示すようにIGZO膜に
接して窒化シリコン膜を設ける構成が好ましい。このような構成を用いることによって、
トランジスタのチャネル形成領域に用いるIGZO膜と、容量素子の電極に用いるIGZ
O膜と、を同一工程で作製してもIGZO膜中の水素濃度を変えることができる。
【実施例3】
【0458】
本実施例では、酸化物半導体膜及び多層膜の欠陥量について、図43及び図44を用い
て説明する。
【0459】
はじめに、試料の構造について説明する。
【0460】
試料7は、石英基板上に形成された厚さ35nmの酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜
上に形成された厚さ100nmの窒化絶縁膜とを有する。
【0461】
試料8及び試料9は、石英基板上に形成された厚さ30nmの多層膜と、多層膜上に形
成された厚さ100nmの窒化絶縁膜とを有する。なお、試料8の多層膜は、厚さ10n
mの第1の酸化物膜、厚さ10nmの酸化物半導体膜、及び厚さ10nmの第2の酸化物
膜が順に積層されている。また、試料9は、厚さ20nmの第1の酸化物膜、厚さ15n
mの酸化物半導体膜、及び厚さ10nmの第2の酸化物膜が順に積層されている。試料8
及び試料9は、試料7と比較して、酸化物半導体膜の代わりに多層膜を有する点が異なる
【0462】
試料10は、石英基板上に形成された厚さ100nmの酸化物半導体膜と、酸化物半導
体膜上に形成された厚さ250nmの酸化絶縁膜と、酸化絶縁膜上に形成された厚さ10
0nmの窒化絶縁膜とを有する。試料10は、試料7乃至試料9と比較して酸化物半導体
膜が窒化絶縁膜と接しておらず、酸化絶縁膜と接している点が異なる。
【0463】
次に、各試料の作製方法について説明する。
【0464】
はじめに、試料7の作製方法について説明する。
【0465】
石英基板上に、酸化物半導体膜として厚さ35nmのIGZO膜を成膜した。IGZO
膜の成膜条件としては、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Z
n=1:1:1)を用い、Ar/O=100sccm/100sccm(O=50%
)、圧力=0.6Pa、成膜電力=5000W、基板温度=170℃の条件を用いた。
【0466】
次に、第1の加熱処理として、450℃の窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行った後、
450℃の窒素と酸素の混合ガス雰囲気(窒素=80%、酸素=20%)で1時間の加熱
処理を行った。
【0467】
次に、酸化物半導体膜上に、窒化絶縁膜として厚さ100nmの窒化シリコン膜を成膜
した。窒化シリコン膜の成膜条件としては、PE-CVD法にて、SiH/N/NH
=50/5000/100sccm、圧力=100Pa、成膜電力=1000W、基板
温度=350℃の条件を用いた。
【0468】
次に、第2の加熱処理として、250℃の窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行った。
【0469】
以上の工程により試料7を作製した。
【0470】
次に、試料8の作製方法について説明する。
【0471】
試料8は、試料7の酸化物半導体膜の代わりに、多層膜を形成した。多層膜としては、
石英基板上に、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:
3:2)を用い、Ar/O=180/20sccm(O=10%)、圧力=0.6P
a、成膜電力=5000W、基板温度=25℃の条件で厚さ10nmの第1の酸化物膜を
成膜した。次に、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1
:1:1)を用い、Ar/O=100/100sccm(O=50%)、圧力=0.
6Pa、成膜電力=5000W、基板温度=170℃の条件で厚さ10nmの酸化物半導
体膜を成膜した。次に、スパッタリング法にて、金属酸化物ターゲット(In:Ga:Z
n=1:3:2)を用い、Ar/O=180/20sccm(O=10%)、圧力=
0.6Pa、成膜電力=5000W、基板温度=25℃の条件で厚さ10nmの第2の酸
化物膜を成膜した。
【0472】
その他の工程は、試料7と同様である。以上の工程により試料8を形成した。
【0473】
次に、試料9の作製方法について説明する。
【0474】
試料9は、試料7の酸化物半導体膜の代わりに、多層膜を形成した。多層膜としては、
石英基板上に、試料8に示す第1の酸化物膜と同じ条件を用いて、厚さ20nmの第1の
酸化物膜を成膜した。次に、スパッタリング法にて、試料8に示す酸化物半導体膜と同じ
条件を用いて、厚さ15nmの酸化物半導体膜を成膜した。次に、試料8に示す第2の酸
化物膜と同じ条件を用いて、厚さ10nmの第2の酸化物膜を成膜した。
【0475】
その他の工程は、試料7と同様である。以上の工程により試料9を形成した。
【0476】
次に、試料10の作製方法について説明する。
【0477】
試料10は、試料7と同じ条件を用いて石英基板上に厚さ100nmの酸化物半導体膜
を形成した。
【0478】
次に、試料7と同様の条件を用いて、第1の加熱処理を行った。
【0479】
次に、酸化物半導体膜上に、酸化絶縁膜として、厚さ50nmの第1の酸化窒化シリコ
ン膜及び厚さ200nmの第2の酸化窒化シリコン膜を形成した。ここでは、PE-CV
D法にて、SiH/NO=30/4000sccm、圧力=40Pa、成膜電力=1
50W、基板温度=220℃の条件で50nmの厚さの第1の酸化窒化シリコン膜を成膜
し、その後、PE-CVD法にて、SiH/NO=160/4000sccm、圧力
=200Pa、成膜電力=1500W、基板温度=220℃の条件で200nmの厚さの
第2の酸化窒化シリコン膜を成膜した。なお、第2の酸化窒化シリコン膜は、化学量論的
組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む膜である。
【0480】
次に、試料7と同じ条件を用いて、酸化絶縁膜上に厚さ100nmの窒化シリコン膜を
形成した。
【0481】
次に、試料7と同様の条件を用いて、第2の加熱処理を行った。
【0482】
以上の工程により試料10を形成した。
【0483】
次に、試料7乃至試料10についてESR測定を行った。ESR測定は、所定の温度で
、マイクロ波の吸収の起こる磁場の値(H)から、式g=hν/βH、を用いてg値
というパラメータが得られる。なお、νはマイクロ波の周波数である。hはプランク定数
であり、βはボーア磁子であり、どちらも定数である。
【0484】
ここでは、下記の条件でESR測定を行った。測定温度を室温(25℃)とし、8.9
2GHzの高周波電力(マイクロ波パワー)を20mWとし、磁場の向きは作製した試料
の膜表面と平行とした。
【0485】
試料7乃至試料9に含まれる酸化物半導体膜及び多層膜をESR測定して得られた一次
微分曲線を図43に示す。図43(A)は、試料7の測定結果であり、図43(B)は、
試料8の測定結果であり、図43(C)は、試料9の測定結果である。
【0486】
試料10に含まれる酸化物半導体膜をESR測定して得られた一次微分曲線を図44
示す。
【0487】
図43(A)乃至図43(C)において、試料7は、g値が1.93において、酸化物
半導体膜中の欠陥に起因する対称性を有する信号が検出されている。試料8及び試料9は
、g値が1.95において、多層膜中の欠陥に起因する対称性を有する信号が検出されて
いる。試料7におけるg値が1.93のスピン密度は、2.5×1019spins/c
であり、試料8におけるg値が1.93及び1.95のスピン密度の総和は、1.6
×1019spins/cmであり、試料9におけるg値が1.93及び1.95のス
ピン密度の総和は、2.3×1019spins/cmであった。即ち、酸化物半導体
膜及び多層膜には、欠陥が含まれることが分かる。なお、酸化物半導体膜及び多層膜の欠
陥の一例としては酸素欠損がある。
【0488】
図44において、試料10は、試料7の酸化物半導体膜、試料8及び試料9の多層膜と
比較して、酸化物半導体膜の厚さが厚いにも関わらず、欠陥に起因する対称性を有する信
号が検出されず、即ち、検出下限以下(ここでは、検出下限を3.7×1016spin
s/cmとする。)であった。このことから、酸化物半導体膜に含まれる欠陥量が検出
できないことが分かる。
【0489】
酸化物半導体膜または多層膜に窒化絶縁膜、ここではPE-CVDで形成された窒化シ
リコン膜が接すると、酸化物半導体膜または多層膜に欠陥、代表的には酸素欠損が形成さ
れることが分かる。一方、酸化物半導体膜に酸化絶縁膜、ここでは、酸化窒化シリコン膜
を設けると、酸化窒化シリコン膜に含まれる過剰酸素、即ち化学量論的組成を満たす酸素
よりも多くの酸素が酸化物半導体膜に拡散し、酸化物半導体膜中の欠陥が増加しない。
【0490】
以上のことから、試料7乃至試料9に示すように、窒化絶縁膜に接する酸化物半導体膜
または多層膜は欠陥、代表的には酸素欠損量が多く、導電性が高いため、容量素子の電極
として用いることができる。一方、試料10に示すように、酸化絶縁膜に接する酸化物半
導体膜は、酸素欠損量が少なく、導電性が低いため、トランジスタのチャネル形成領域と
して用いることができる。
【0491】
ここで、窒化絶縁膜と接する酸化物半導体膜及び多層膜の抵抗率が低減する原因につい
て、以下に説明する。
【0492】
<Hの存在形態間のエネルギーと安定性>
はじめに、酸化物半導体膜に存在するHの形態のエネルギー差と安定性について、計算
した結果を説明する。ここでは、酸化物半導体膜としてInGaZnOを用いた。
【0493】
計算に用いた構造は、InGaZnO結晶の六方晶の単位格子をa軸及びb軸方向に
2倍ずつにした84原子バルクモデルを基本とした。
【0494】
バルクモデルにおいて、3個のIn原子及び1個のZn原子と結合したO原子1個をH
原子に置換したモデルを用意した(図47(A)参照)。また、図47(A)において、
InO層におけるab面をc軸から見た図を図47(B)に示す。3個のIn原子及び1
個のZn原子と結合したO原子1個を取り除いた領域を、酸素欠損Voと示し、図47
A)及び図47(B)において破線で示す。また、酸素欠損Vo中に位置するH原子をV
oHと表記する。
【0495】
また、バルクモデルにおいて、3個のIn原子及び1個のZn原子と結合したO原子1
個を取り除き、酸素欠損(Vo)を形成する。該Vo近傍で、ab面に対して1個のGa
原子と2個のZn原子と結合したO原子にH原子が結合したモデルを用意した(図47
C)参照)。また、図47(C)において、InO層におけるab面をc軸から見た図を
図47(D)に示す。図47(C)及び図47(D)において、酸素欠損Voを破線で示
す。また、Voを有し、且つ酸素欠損Vo近傍で、ab面に対して1個のGa原子及び2
個のZn原子と結合したO原子に結合したH原子を有するモデルをVo+Hと表記する。
【0496】
上記2つのモデルに対して、格子定数を固定しての最適化計算を行い、全エネルギーを
算出した。なお、全エネルギーの値が小さいほどその構造はより安定といえる。
【0497】
計算には、第一原理計算ソフトウェアVASP(The Vienna Ab ini
tio simulation package)を用いた。計算条件を表1に示す。
【0498】
【表1】

電子状態擬ポテンシャル計算にはProjector Augmented Wave
(PAW)法により生成されたポテンシャルを、汎関数にはGGA/PBE(Gener
alized-Gradient-Approximation/Perdew-Bur
ke-Ernzerhof)を用いた。
【0499】
また、計算により算出された2つのモデルの全エネルギーを表2に示す。
【0500】
【表2】
【0501】
表2より、VoHの方がVo+Hよりも全エネルギーが0.78eV小さい。よって、
VoHの方がVo+Hよりも安定であるといえる。したがって、酸素欠損(Vo)にH原
子が近づくと、H原子はO原子と結合するよりも、酸素欠損(Vo)中に取り込まれやす
いと考えられる。
【0502】
<VoHの熱力学的状態>
次に、酸素欠損(Vo)中にH原子が取り込まれたVoHの形成エネルギーと荷電状態
について、計算した結果を説明する。VoHは荷電状態によって形成エネルギーが異なり
、フェルミエネルギーにも依存する。よって、VoHはフェルミエネルギーに依存して安
定な荷電状態が異なる。ここでは、VoHが電子を1つ放出した状態を(VoH)と示
し、電子を1つ捕獲した状態を(VoH)と示し、電子の移動のない状態を、(VoH
と示す。(VoH)、(VoH)、(VoH)それぞれの形成エネルギーを計
算した。
【0503】
計算には、第一原理計算ソフトウェアVASPを用いた。計算条件を表3に示す。
【0504】
【表3】
【0505】
電子状態擬ポテンシャル計算にはProjector Augmented Wave
(PAW)法により生成されたポテンシャルを、汎関数にはHeyd-Scuseria
-Ernzerhof(HSE) DFTハイブリッド汎関数(HSE06)を用いた。
【0506】
なお、酸素欠損の形成エネルギーの算出では酸素欠損濃度の希薄極限を仮定し、電子お
よび正孔の伝導帯、価電子帯への過剰な広がりを補正してエネルギーを算出した。また、
完全結晶の価電子帯上端をエネルギー原点とし、欠陥構造に由来する価電子帯のズレは、
平均静電ポテンシャルを用いて補正した。
【0507】
図48(A)に、(VoH)、(VoH)、(VoH)それぞれの形成エネルギ
ーを示す。横軸はフェルミレベルであり、縦軸は形成エネルギーである。実線は(VoH
の形成エネルギーを示し、一点鎖線は(VoH)の形成エネルギーを示し、破線は
(VoH)の形成エネルギーを示す。また、VoHの電荷が、(VoH)から(Vo
H)を経て(VoH)に変わる遷移レベルをε(+/-)と示す。
【0508】
図48(B)に、VoHの熱力学的遷移レベルを示す。計算結果から、InGaZnO
のエネルギーギャップは2.739eVであった。また、価電子帯のエネルギーを0e
Vとすると、遷移レベル(ε(+/-))は2.62eVであり、伝導帯の直下に存在す
る。このことから、酸素欠損(Vo)中にH原子が取り込まれることにより、InGaZ
nOがn型になることが分かる。
【0509】
酸化物半導体膜がプラズマに曝されると、酸化物半導体膜はダメージを受け、酸化物半
導体膜に、欠陥、代表的には酸素欠損が生成される。また、酸化物半導体膜に窒化絶縁膜
が接すると、窒化絶縁膜に含まれる水素が酸化物半導体膜に移動する。これらの結果、酸
化物半導体膜に含まれる酸素欠損に水素が入ることで、酸化物半導体膜中にVoHが形成
され、酸化物半導体膜がn型となり、抵抗率が低下する。以上のことから、窒化絶縁膜に
接する酸化物半導体膜を容量素子の電極として用いることができる。
【符号の説明】
【0510】
11 酸化物半導体膜
12 ゲート絶縁膜
13a ドレイン電極
15 デュアルゲートトランジスタ
16 導電膜
17a ゲート電極
19a ソース電極
29 絶縁膜
31 絶縁膜
32 絶縁膜
92 配線
94 開口
100 画素部
101 画素
102 基板
103 トランジスタ
104 走査線駆動回路
105 容量素子
106 信号線駆動回路
107 走査線
107a ゲート電極
108 液晶素子
109 信号線
109a ソース電極
111 酸化物半導体膜
113 導電膜
113a ドレイン電極
115 容量線
117 開口
119 酸化物半導体膜
121 画素電極
123 開口
125 導電膜
126 絶縁膜
127 ゲート絶縁膜
128 絶縁膜
129 絶縁膜
130 絶縁膜
131 絶縁膜
132 絶縁膜
133 絶縁膜
134 有機絶縁膜
141 画素
143 開口
145 容量素子
146 容量素子
150 基板
151 画素
152 遮光膜
154 対向電極
156 配向膜
158 配向膜
160 液晶
161 画素
167 導電膜
169 トランジスタ
171 画素
172 画素
173 容量素子
174 容量素子
175 容量線
176 容量線
177 酸化物半導体膜
178 酸化物半導体膜
182 チャネル保護膜
183 トランジスタ
185 トランジスタ
187 導電膜
190 トランジスタ
191 信号線
191a ソース電極
193 導電膜
193a ドレイン電極
195 酸化物半導体膜
196 画素
197 容量素子
198 酸化物半導体膜
199 導電膜
201 画素
205 容量素子
218 ゲート絶縁膜
221 画素電極
226 絶縁膜
227 絶縁膜
228 絶縁膜
229 絶縁膜
230 絶縁膜
231 絶縁膜
232 絶縁膜
233 絶縁膜
245 容量素子
297 トランジスタ
299a 酸化物半導体膜
299b 酸化物半導体膜
299c 酸化物半導体膜
301 画素
305 容量素子
319 酸化物半導体膜
401_1 画素
401_2 画素
403_1 トランジスタ
403_2 トランジスタ
405_1 容量素子
405_2 容量素子
407_1 走査線
407_2 走査線
409 信号線
411_1 半導体膜
411_2 半導体膜
413_1 導電膜
413_2 導電膜
415 容量線
417_1 開口
417_2 開口
419_1 半導体膜
419_2 半導体膜
421_1 画素電極
421_2 画素電極
423 開口
425 導電膜
901 基板
902 画素部
903 信号線駆動回路
904 走査線駆動回路
905 シール材
906 基板
908 液晶
910 トランジスタ
911 トランジスタ
913 液晶素子
915 接続端子電極
916 端子電極
917 導電膜
918 FPC
918b FPC
919 異方性導電剤
922 ゲート絶縁膜
923 絶縁膜
924 絶縁膜
925 シール材
926 容量素子
927 酸化物半導体膜
928 電極膜
929 容量線
930 電極
931 電極
932 絶縁膜
933 絶縁膜
935 スペーサ
940 電極
941 電極
943 液晶素子
945 導電膜
946 容量線
971 ソース電極
973 ドレイン電極
975 共通電位線
977 共通電極
985 共通電位線
987 共通電極
1901 ガラス基板
1903 絶縁膜
1904 絶縁膜
1905 酸化物半導体膜
1906 多層膜
1907 導電膜
1909 導電膜
1910 絶縁膜
1911 絶縁膜
1913 開口部
1915 開口部
1917 開口部
1919 開口部
9000 テーブル
9001 筐体
9002 脚部
9003 表示部
9004 表示ボタン
9005 電源コード
9033 留め具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9038 操作スイッチ
9100 テレビジョン装置
9101 筐体
9103 表示部
9105 スタンド
9107 表示部
9109 操作キー
9110 リモコン操作機
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48