(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-01
(45)【発行日】2023-12-11
(54)【発明の名称】処理液およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20231204BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231204BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20231204BHJP
C11D 7/08 20060101ALI20231204BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20231204BHJP
C11D 7/34 20060101ALI20231204BHJP
【FI】
H01L21/308 E
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
C11D7/32
C11D7/08
C11D7/26
C11D7/34
(21)【出願番号】P 2023534722
(86)(22)【出願日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2023008853
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022038932
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一雄
(72)【発明者】
【氏名】星野 純一
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-507166(JP,A)
【文献】特表2001-527286(JP,A)
【文献】特表2005-533896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/304
C11D 7/32
C11D 7/08
C11D 7/26
C11D 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸である成分(A)と、有機アミン化合物である成分(B)、および分子内に窒素原子を有しない多価カルボン酸である成分(C)とを含有し、前記成分(A)と前記成分(B)の含有量(質量%)が下記式(1)を満たし、成分(A)~成分(C)の含有量が下記式(2)を満たす
、シリコン酸化膜エッチング用処理液。
1.0 ≦ 成分(B)の含有量/成分(A)の含有量 ≦5.5 (1)
0.1 ≦ 成分(B)の含有量/{成分(A)の含有量+成分(C)の含有量} ≦0.40(2)
【請求項2】
更に成分(D)としてフッ素化合物を含有する、請求項1に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項3】
前記成分(D)が、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミンからなる群より選択される少なくとも一種のフッ素化合物である請求項2に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項4】
前記成分(A)が、イミノジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’N’-三酢酸、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸、トリメチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、エチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、(2S,2’S)-2,2’-(エチレンビスイミノ)ビスコハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸からなる群より選択される少なくとも一種の多価カルボン酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項5】
前記成分(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種の有機アミンである請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項6】
前記成分(C)が、分子内にヒドロキシ基を有する多価カルボン酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項7】
前記成分(C)が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、2-メチルプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピロメリト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、グルコン酸、マロン酸、没食子酸からなる群より選択される少なくとも一種の多価カルボン酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項8】
更に成分(E)として非プロトン性極性有機溶剤を含有する請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項9】
前記成分(E)がジメチルスルホキシド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種の非プロトン性極性有機溶剤である請求項8に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項10】
更に成分(F)として水を含有する請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項11】
前記処理液中における前記成分(F)の含有量が、10質量%以上50質量%以下である、請求項10に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項12】
pHが6.5以上8.5以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液。
【請求項13】
p-TEOSを、請求項1から3のいずれか一項に記載の
シリコン酸化膜エッチング用処理液でエッチングすることを含む、処理液の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体デバイス製造工程、液晶デバイス製造工程において用いられる処理液とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程や液晶デバイス製造工程は、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程、剥離工程、研磨工程などの様々な工程を含む。リソグラフィ工程は、金属層または絶縁層の上に均一なフォトレジストを形成する工程、必要な露光および現像を実施して、フォトレジストパターンを形成する工程、フォトレジストパターンをマスクとして使用し金属層または絶縁層を有する基材をドライエッチング法によりエッチングし、微細回路を形成する工程、および不要なフォトレジスト層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物のいずれかを液体除去剤で基材から除去する工程を含む。様々な有機液体フォトレジスト除去剤が、不要なフォトレジスト層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物を基材から除去するために使用されている。従来技術ではしばしば、不要なフォトレジスト層を除去するためのフォトレジスト除去液において、フッ化水素酸のようなフッ素化合物を含有する組成物が使用されている。
また、各工程の終了後、あるいは次の工程に移る前に、処理液を用いて不要な有機物等を処理する工程が含まれることが一般的である。
このような半導体デバイスの製造工程において使用されるプリウェット液、現像液、リンス液、剥離液等の各種処理液を、本明細書では「処理液」(以下、「半導体製造用処理液」などともいう。)という。
【0003】
液晶パネル装置および他のディスプレイパネル装置と同様、集積回路および大規模集積回路のような半導体デバイスの製造方法は、金属層または絶縁層の上に均一なフォトレジスト被膜を形成する工程;必要な露光および現像を実施して、フォトレジストパターンを形成する工程;フォトレジストパターンをマスクとして使用して、金属層または絶縁層を有する基材を化学蒸着法により(選択的に)エッチングし、微細回路を形成する工程;および不要なフォトレジスト層、エッチング層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物の1以上を液体除去剤で基材から除去する工程を含む。様々な有機液体フォトレジスト除去剤が、不要なフォトレジスト層、エッチング残渣、残留フォトレジストおよびフォトレジスト副産物を基材から除去するために使用されている。従来技術ではしばしば、不要なフォトレジスト層を除去するためのフォトレジスト除去液において、フッ化水素酸のようなフッ素化合物を含有する組成物が使用されている。
【0004】
特に半導体デバイスの製造工程におけるドライエッチング及びまたはアッシング(灰化)時に形成された残渣を除去するための薬液、該薬液を用いてこれらの残渣を除去する方法、および該薬液を用いてこれらの残渣を除去して半導体デバイスを製造する方法については、以下記載のとおり、更なる改良が求められている。
【0005】
半導体の製造工程においては、従来からフォトレジストパターンをマスクにして、基板上に製膜した層間絶縁膜や配線材料膜をパターニングするドライエッチングが行われている。ドライエッチングの後処理は、レジストパターンをアッシング処理により灰化除去した後、さらに処理表面に一部残留するフォトレジスト残渣、ポリマー残渣等を専用の組成物(除去液)により除去するのが通常である。ここでフォトレジスト残渣とは、ドライエッチング及び後のアッシング処理後に基板表面に残留するフォトレジスト、反射防止膜等の有機化合物の不完全灰化物を意味する。ポリマー残渣とは、被エッチング材料壁面に副生成物として残留する、ドライエッチング時におけるエッチングガス由来のフルオロカーボンの堆積物、配線金属とエッチングガスとの化合物等のサイドウォールポリマー(側壁保護膜、ラビットイヤーとも呼ばれる)並びにビアホール側面及び底面に残留する有機金属ポリマーおよび金属酸化膜を意味する。
【0006】
フォトレジスト剥離液やアッシング後の変質膜除去液、またシリコン酸化膜のエッチング液として、フッ化水素酸やフッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液やフッ素化合物を含有する組成物が多用されている。
特にシリコン酸化膜のウェットエッチング液は、フッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液との混合液であるバッファードフッ酸が用いられている(例えば、特許文献1)。半導体製造工程においては、バッファードフッ酸を入れた薬液槽にウェハを浸漬してエッチングを行うが、通常薬液槽はウェハ浸漬のため開口部を有しているため、薬液成分の蒸発により経時的に薬液組成が変化してしまい、エッチングレートに重大な影響を与えることが知られている。そのため、時間の経過とともに薬液全量を交換せざるを得ず、処理の効率及び資源の有効利用の点で問題があった。
【0007】
フォトレジスト剥離液やアッシング後の変質膜除去液、またシリコン酸化膜のエッチング液として、フッ化水素酸やフッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液やフッ素化合物を含有する組成物が多用されている(例えば特許文献2)。半導体製造工程においては、薬液成分の蒸発により経時的に薬液組成が変化してしまい材料へのダメージが変化してしまうことが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】日本国特開平9-22891号公報
【文献】国際公開2010/113616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、処理液の蒸発等に伴う組成変化が少なく、経時安定性に優れ、そのため交換頻度も抑えられる処理液とその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、こうした実状のもと鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、以下1)~14)に関する。
1)
分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸である成分(A)と、有機アミン化合物である成分(B)とを含有し、前記成分(A)と前記成分(B)の含有量(質量%)が下記式(1)を満たす処理液。
1.0 ≦ 成分(B)の含有量/成分(A)の含有量 ≦5.5 (1)
2)
更に成分(D)としてフッ素化合物を含有する、1)に記載の処理液。
3)
前記成分(D)が、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミンからなる群より選択される少なくとも一種のフッ素化合物である2)に記載の処理液。
4)
前記成分(A)が、イミノジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’N’-三酢酸、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸、トリメチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、エチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、(2S,2’S)-2,2’-(エチレンビスイミノ)ビスコハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸からなる群より選択される少なくとも一種の多価カルボン酸である1)から3)のいずれか一項に記載の処理液。
5)
前記成分(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンからなる群より選択される少なくとも一種の有機アミンである1)から4)のいずれか一項に記載の処理液。
6)
更に成分(C)として分子内に窒素原子を有しない多価カルボン酸を含有し、成分(A)~成分(C)の含有量が下記式(2)を満たす1)から5)のいずれか一項に記載の処理液。
0.1 ≦ 成分(B)の含有量/{成分(A)の含有量+成分(C)の含有量} ≦0.45(2)
7)
前記成分(C)が、分子内にヒドロキシ基を有する多価カルボン酸である6)に記載の処理液。
8)
前記成分(C)が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、2-メチルプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピロメリト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、グルコン酸、マロン酸、没食子酸からなる群より選択される少なくとも一種の多価カルボン酸である6)に記載の処理液。
9)
更に成分(E)として非プロトン性極性有機溶剤を含有する1)から8)のいずれか一項に記載の処理液。
10)
前記成分(E)がジメチルスルホキシド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種の非プロトン性極性有機溶剤である9)に記載の処理液。
11)
更に成分(F)として水を含有する1)から10)のいずれか一項に記載の処理液。
12)
前記処理液中における前記成分(F)の含有量が、10質量%以上50質量%以下である、11)に記載の処理液。
13)
pHが6.5以上8.5以下である1)から12)のいずれか一項に記載の処理液。
14)
p-TEOSを、1)から13)のいずれか一項に記載の処理液でエッチングすることを含む、処理液の使用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の処理液は、特にp-TEOSのエッチングレートが高く、かつ経時安定性に優れるため、半導体デバイスや液晶デバイスの製造をより簡便に、かつ経済的に行うことに資する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の処理液は、分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸である成分(A)と、有機アミン化合物である成分(B)を含有し、前記成分(A)と成分(B)の含有量について上記式(1)を満たす。
[成分(A):分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸]
本発明の処理液における分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸である成分(A)は、分子内に窒素原子と2以上のカルボキシ基を有する化合物である。
この条件を満たす化合物は、例えばイミノジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N’N’-三酢酸、トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸、トリメチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、エチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸、(2S,2’S)-2,2’-(エチレンビスイミノ)ビスコハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、1,2―シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N-(2ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸等を挙げることができる。成分(A)は、好ましくはイミノジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸であり、特に好ましくはイミノジ酢酸である。
本発明の処理液中、成分(A)の含有量は、0.001質量%以上1.0質量%以下である場合が好ましく、更に好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上0.3質量%以下である。
【0014】
[成分(B):有機アミン化合物]
本発明における成分(B)は、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、ブトキシプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、エタノールプロピルアミン、エチルエタノールアミン、n-ヒドロキシエチルモルホリン、アミノプロピルジエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N-メチルジエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、N,N-ジメチルアミノメチルプロパンジオール、イソプロピルアミン、2-アミノ-1-ブタノール、アミノメチルプロパノール、アミノジメチルプロパノール、N,N-ジメチルアミノメチルプロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ベンジルアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、3,3-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)、ジプロピルアミン、ジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、N-ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、2-エチルヘキシルオキシプロピルアミン等の有機アミンである。成分(B)は好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンであり、更に好ましくはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンであり、特に好ましくは、トリエタノールアミンである。
本発明の処理液中、成分(B)の含有量は、0.01質量%以上1.0質量%以下である場合が好ましく、更に好ましくは0.05質量%以上0.8質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以上0.6質量%以下であり、最も好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。
【0015】
[成分(A)と成分(B)の含有量]
本発明において、成分(A)と成分(B)の含有量は上記式(1)を満たす。
(B)/(A)の上限としては、更に好ましい順に5.0、4.5、4.0、3.5、3.0であり、2.5が特に好ましい。また下限としては、更に好ましい順に、1.2、1.4、1.5、1.8であり、特に好ましくは1.9である。従って、(B)/(A)の範囲は好ましい順に、1.2以上5.0以下、1.2以上4.5以下、1.4以上4.0以下、1.5以上3.5以下、1.8以上3.0以下、1.9以上2.5以下である。
【0016】
[成分(C):成分(A)以外の多価カルボン酸]
本発明の処理液は、成分(C)として成分(A)以外の多価カルボン酸、すなわち分子内に窒素原子を有しない多価カルボン酸を含有する場合が好ましい。成分(C)は、分子内に窒素原子を有さず、カルボキシ基を2以上有するカルボン酸であれば特に限定されるものではないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、2-メチルプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピロメリト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、グルコン酸、マロン酸、没食子酸等を挙げることができる。
成分(C)は、分子内にヒドロキシ基を有する場合が特に好ましい。該当するカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、没食子酸等を挙げることができ、好ましくはクエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸であり、更に好ましくはクエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸であり、最も好ましくはクエン酸である。なお、カルボキシ基を構成する-OHは、「分子内にヒドロキシ基を有する」という場合の「ヒドロキシ基」には含まれない。
本発明の処理液中、成分(C)の含有量としては、0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、特に好ましくは0.8質量%以上2.0質量%以下であり、最も好ましくは1.0質量%以上1.5質量%以下である。
また本発明において、成分(A)、成分(B)と成分(C)の含有量は上記式(2)を満たす場合が、より好ましい態様である。
(B)/{(A)+(C)}の上限としては、更に好ましい順に0.43、0.40、0.35、0.32、であり、0.31が特に好ましい。また下限としては、更に好ましい順に、0.15、0.20、0.25であり、特に好ましくは0.28である。従って、(B)/{(A)+(C)}の範囲は好ましい順に0.15以上0.43以下、0.15以上0.40以下、0.20以上0.35以下、0.25以上0.32以下、0.28以上0.31以下である。
【0017】
[成分(D):フッ素化合物]
本発明の処理液は、成分(D)としてフッ素化合物を含有する場合が好ましい。
成分(D)としては、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミン、フッ化水素エチルアミン、フッ化水素プロピルアミン、および式R1N(R2)R3F(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立にHまたは(C1-C4)アルキル基を表す)を有する脂肪族第一級、第二級または第三級アミンのフッ化物塩等、またはこれらの組み合わせが好適に用いられる。成分(D)は更に好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化水素酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、フッ化アルミニウム、フッ化水素メチルアミンであり、特に好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化水素酸、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウムであり、最も好ましくはフッ化アンモニウムである。
本発明のエッチング液中、成分(D)の含有量としては、0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以上1.8質量%以下であり、最も好ましくは1.4質量%以上1.7質量%以下である。
【0018】
[成分(E):非プロトン性極性有機溶剤]
本発明の処理液は、成分(E)として非プロトン性極性有機溶剤を含有する場合が好ましい。非プロトン性極性有機溶剤とは、プロトン供与性を有さない極性の有機溶剤を意味し、例えば、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル等)、エーテル系溶媒(イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1、4-ジオキサン等)、グリコールエーテル系溶媒(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、グリコールエステル系溶媒(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、グライム系溶媒(モノグライム、ジグライム等)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等)、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等を挙げることができる。なお、これらを組み合わせて用いることも可能である。
また、本発明における成分(E)としては、上記のうちジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、更に好ましくはジメチルスルホキシド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドであり、特に好ましくはジメチルスルホキシドである。
本発明の処理液中、成分(E)の含有量としては、40質量%以上90質量%以下が好ましく、更に好ましくは50質量%以上80質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以上75質量%以下であり、最も好ましくは62質量%以上73質量%以下である。
【0019】
[成分(F):水]
本発明の処理液は、成分(F)として水を含有する場合が好ましい。成分(F)の含有量は、処理液中、10質量%以上50質量%以下である場合が好ましく、更に好ましくは20質量%以上40質量%以下であり、特に好ましくは22質量%以上37質量%以下であり、最も好ましくは24質量%以上35質量%以下である。
【0020】
[その他成分]
本発明の処理液は、上記成分(A)~(F)以外にも、例えば、pH調整剤、有機添加剤、腐食抑制剤、界面活性剤、成分(F)以外の有機溶剤等を含有しても良い。
【0021】
<pH調整剤について>
本発明の処理液に含まれてもよいpH調整剤とは、以下説明する好ましいpHに調整できる成分であれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、LiOH、KOH、RbOH、CsOH)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、Be(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2)、及び式NR1R2R3R4OH(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖又は分岐鎖のC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル)、C1-C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ)及び置換又は非置換のC6-C10アリール(例えば、ベンジル)からなる群から選択される。R1、R2、R3及びR4がすべてメチル基になることはない。R1、R2、R3及びR4は、好ましくは直鎖又は分岐鎖のC2-C6アルキルである。)を有する化合物が含まれる。市販されているテトラアルキルアンモニウム水酸化物には、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、水酸化コリン、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、トリエチルメチルアンモニウム水酸化物、トリスヒドロキシエチルメチルアンモニウム水酸化物及びそれらの組合せが含まれ、それらを使用することができる。代わりに、又は加えて、少なくとも一種の四級塩基は、式(PR1R2R3R4)OH(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに同じでも、異なっていてもよく、水素、直鎖のC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、分岐鎖のC1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ)、置換C6-C10アリール、非置換C6-C10アリール(例えば、ベンジル)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。)の化合物、例えば、テトラブチルホスホニウム水酸化物(TBPH)、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物であり得る。一実施態様において、pH調整剤はKOHを含む。別の実施態様において、pH調整剤は水酸化コリンを含む。別の実施態様において、pH調整剤は、本明細書に列挙した少なくとも一種のアルカリ金属水酸化物及び少なくとも一種の別の水酸化物を含む。別の実施態様において、pH調整剤は、KOH及び本明細書に列挙した少なくとも一種の別の水酸化物を含む。さらに別の実施態様において、pH調整剤は、KOH及び水酸化コリンを含む。
【0022】
<有機添加剤について>
本発明の処理液に含まれてもよい有機添加剤とは、特に限定されないが、例えば、2-ピロリジノン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリジノン(HEP)、グリセロール、1,4-ブタンジオール、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジメチルスルホン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラグライム、ジグリム、グリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBE)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(EGHE)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEGHE)、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(ドワノールPnB)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(ドワノールPPh))及びそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。代わりに、又は加えて、有機添加剤は、ホスホン酸及びその誘導体、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、それらの塩及びそれらの誘導体を含むことができる。代わりに、又は加えて、有機添加剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンモノマーを使用して調製された任意のポリマー、ポリアクリル酸エステル及びポリアクリル酸エステルの類似体、ポリアミノ酸(例えば、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリグリシン)、ポリアミドヒドロキシウレタン、ポリラクトン、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、キトサン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン(PEI)、糖アルコール、例えばソルビトール及びキシリトール、アンヒドロソルビトールのエステル、二級アルコールエトキシレート、例えばTERGITOL、及びそれらの組合せを含むことができる。好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤はHEDPを含む。別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールn-ブチルエーテル又はプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルを含む。さらに別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、HEDP、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル又はプロピレングリコールn-ブチルエーテル又はプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルを含む。さらに別の好ましい実施態様において、少なくとも一種の有機添加剤は、HEC、又はHEDP及びHECの組合せ、又はHEC、HEDP、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル若しくはプロピレングリコールn-ブチルエーテル若しくはプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルの組合せ、又はHEC、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル若しくはプロピレングリコールn-ブチルエーテル若しくはプロピレングリコールフェニルエーテルを含む少なくとも一種のグリコールエーテルの組合せを含む。
【0023】
<腐食抑制剤について>
本発明の処理液に含まれてもよい腐食抑制剤とは、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、グリセリン酸、グリセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リジン、無水マレイン酸、マンデル酸、2,4-ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール、キナ酸、セリン、ソルビトール、チロシン、バリン、キシリトール、タンニン酸、ピコリン酸、1,3-シクロペンタンジオン、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツル酸、1,3-ジメチルバルビツル酸、ピルビン酸、プロパンチオール、ベンゾヒドロキサム酸類、2,5-ピリジンジカルボン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、N-アミノエチルピペラジン(N-AEP)、チオウレア、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、グリシン、システイン、イソロイシン、メチオニン、ピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ピロリジン、スレオニン、トリプトファン、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、サリチルヒドロキサム酸、5-スルホサリチル酸及びそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。
【0024】
<界面活性剤について>
本発明の処理液に含まれてもよい界面活性剤とは、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性イオン性界面活性剤、例えば:アルギン酸及びその塩;カルボキシメチルセルロース;デキストラン硫酸及びその塩;ポリ(ガラクツロン酸)及びその塩;(メタ)アクリル酸及びその塩、マレイン酸、マレイン酸無水物、スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルスルホン酸及びその塩のホモポリマー;(メタ)アクリル酸及びその塩、マレイン酸、マレイン酸無水物、スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルスルホン酸及びその塩のコポリマー;キトサン;カチオン澱粉;ポリリシン及びその塩;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメタアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(ベータ-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、ジアリルジ(ベータ-エトキシエチル)アンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、N,N’-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド酸付加塩及び四級塩、アリルアミン、ジアリルアミン、ビニルアミン、ビニルピリジンのホモポリマー; 並びにジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメタアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(ベータ-ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、ジアリルジ(ベータ-エトキシエチル)アンモニウムクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート酸付加塩及び四級塩、N,N’-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド酸付加塩及び四級塩、アリルアミン、ジアリルアミン、ビニルアミン、ビニルピリジンのコポリマー;ココジメチルカルボキシメチルベタイン;ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン;ラウリルジメチル-アルファ-カルボキシエチルベタイン;セチルジメチルカルボキシメチルベタイン;ラウリル-ビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン;ステアリル-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン;オレイルジメチル-ガンマ-カルボキシプロピルベタイン;ラウリル-ビス-(2-ヒドロキシプロピル)アルファ-カルボキシエチルベタイン;ココジメチルスルホプロピルベタイン;ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン;ラウリル-ビス-(2-ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン;ドデシル硫酸ナトリウム;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム;ポリエチレングリコール分岐鎖ノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩;2-ドデシル-3-(2-スルホナトフェノキシ)二ナトリウム;PEG25-PABA;ポリエチレングリコールモノ-C10-16-アルキルエーテル硫酸ナトリウム塩;(2-N-ブトキシエトキシ)酢酸;ヘキサデシルベンゼンスルホン酸;セチルトリメチルアンモニウム水酸化物;ドデシルトリメチルアンモニウム水酸化物;ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド;セチルトリメチルアンモニウムクロリド;N-アルキル-N-ベンジル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド;ドデシルアミン;ポリオキシエチレンラウリルエーテル;ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド;エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート);並びにそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。存在するとき、少なくとも一種の界面活性剤は、本発明の処理液中に、処理液の全重量に基づいて、約0.00001重量%~約1重量%、好ましくは約0.00001重量%~約0.2重量%の量で存在する場合が好ましい。
【0025】
本発明の処理液に含まれてもよい成分(F)以外の有機溶剤は、水溶性であっても非水溶性であっても良い。
非水溶性溶剤としては、例えば、炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等)を挙げることができる。
水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1-C6アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2-C6ジオール、又はC2-C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール若しくはチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(トリオール)などが挙げられる。なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
【0026】
[pHについて]
本発明の処理液は、pHが6.5以上8.5以下である場合が好ましい。
処理液のpHとして更に好ましい範囲としての上限は、好ましい順に8.4、8.3、8.2、8.1、8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3であり特に好ましくは7.2である。また下限としては、好ましい順に6.6、6.7、6.8、6.9、7.0であり特に好ましくは7.1である。すなわちpHの範囲はより好ましい順に6.6以上8.4以下、6.6以上8.3以下、6.6以上8.2以下、6.6以上8.1以下、6.6以上8.0以下、6.6以上7.9以下、6.6以上7.8以下、6.6以上7.7以下、6.7以上7.6以下、6.8以上7.5以下、6.9以上7.4以下、7.0以上7.3以下、7.1以上7.2以下である。
なお、pHは組成によっては特別な調整を必要としない場合もあり、また上記pH調整剤によって調整することもできる。
【0027】
<製造方法>
本発明の処理液は、例えば以下の方法で製造することができる。ただし、この製造方法に限定されるものではない。
まず、必要に応じて用いる成分(F)水を成分(A)分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸)、成分(B)有機アミン化合物と混合し、必要に応じて成分(C)成分(A)以外の多価カルボン酸を添加し、完全溶解させる。有機カルボン酸と有機アミン化合物との混合により発熱があるので、15~30℃で混合し一液とする。
次に必要に応じて成分(E)非プロトン性極性有機溶剤を追加して混合攪拌する。この際にも混合熱により発熱を起こすことがあるので、成分(E)は徐々に添加することが望ましい。溶液が均一になったら、成分(D)やその他成分を必要に応じて追加し、さらに溶液を攪拌し混合する。
【0028】
<本発明の処理液の使用方法>
本発明の処理液の使用方法としては、露光後のレジスト膜を処理する現像液として、基板加工後に基板表面に残存したレジストを剥離する剥離液として、前記剥離工程や現像工程後に基板表面に残存したレジストを処理する剥離液として、基板表面を洗浄するリンス液として、使用する方法がある。
本発明の処理液は好ましくは金属、シリコン、シリケート等のエッチング剤として使用することができ、特に好ましくはp-TEOS(テトラエチルオルトシリケートを原料としてプラズマCVDで形成したSiO2膜)のエッチング剤として使用することができる。
例えば、p-TEOSのエッチングレートは24時間経過時で10~16Å/分程度が最適であり、それより遅いと生産性に影響がある一方、それより速いと制御が困難である。
【実施例】
【0029】
[実施例1~11、比較例1の処理液製造]
表1に記載の成分(A)~(C)を常温で成分(F)に添加し30分攪拌混合し、成分(E)を添加した。溶液が常温まで下がるのを待ち、次いで成分(D)を添加し10分攪拌混合することで、実施例1~11、および比較例1の処理液を得た。
なお、以下本文及び表1中、実施例9、10、11はそれぞれ、参考例1、2、3と読み替えるものとする。
【0030】
[評価1:p-TEOSエッチング性と変化率]
p-TEOSの膜厚の測定は、反射分光膜厚計FE-3000(大塚電子製)を用いた。約100nmの膜厚を成膜したブランケットp-TEOSウェハ(テトラエチルオルトシリケートを原料としてプラズマCVDでSiO2膜を表面に成膜したウェハ)を2.5×2.5cmに小片化し、初期の膜厚を測定した。膜厚を測定した後、サンプルを25℃の実施例1~11および比較例1の処理液に30分間浸漬し、純水を用いて1分間リンスを実施し、窒素を用いてブロー乾燥をした後、再び反射分光膜厚計を用い処理後の膜厚を測定した。膜厚の減少分(Å/分)をエッチングレートとして表1に示す。
次いで、実施例1~11、比較例1の処理液を以下条件で放置した後、25℃に戻し、上記方法でp-TEOSのエッチングレートを評価した。得られた結果と以下式(1)によって算出されるエッチングレート変化率を表1に示す。
<放置条件>
各処理液100gを直径50mmのポリプロピレン容器に入れて蓋は閉めずに開けたままとする。容器の開口部は直径31.5mmとし、容器の高さは93mmのものを使用した。容器は40℃に温調された水に満たされた恒温バス内に固定し24時間または48時間放置した。
エッチングレート変化率=放置後p-TEOS膜エッチングレート/初期p-TEOS膜エッチングレート 式(1)
【0031】
[評価2:pH変化]
pHの測定はF-74(堀場アドバンスドテクノ製)を用いた。実施例1~11および比較例1の処理液を調整し25℃にしてからpHを測定した。その後、上記<放置条件>で各処理液を放置し、24時間または48時間経過後の処理液も、25℃に戻した後でpHを測定した。結果を表1に示す。
【表1】
【0032】
表1の結果より、本発明の処理液は、経時安定性が高く、エッチングレート、pH共に変化しにくいものである。すなわち薬液の交換頻度も抑えられ、実用性の高いものであることが確認された。
【0033】
本出願は、2022年3月14日出願の日本特許出願2022-38932に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の処理液は、特にp-TEOSのエッチングレートが高く、かつ経時安定性に優れるため、半導体デバイスや液晶デバイスの製造をより簡便に、かつ経済的に行うことに資するものである。
【要約】
本発明は、分子内に窒素原子を有する多価カルボン酸である成分(A)と、有機アミン化合物である成分(B)とを含有し、前記成分(A)と前記成分(B)の含有量(質量%)が下記式(1)を満たす処理液に関する。1.0 ≦ 成分(B)の含有量/成分(A)の含有量 ≦5.5 (1)