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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/15 20060101AFI20231205BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20231205BHJP
   A61B 3/12 20060101ALI20231205BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61B3/15
A61B3/10 100
A61B3/10 300
A61B3/12
A61F9/007 200C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020508467
(86)(22)【出願日】2017-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2017070575
(87)【国際公開番号】W WO2019034228
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールレイ、イアン
(72)【発明者】
【氏名】アショック、プラヴィーン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153793(JP,A)
【文献】特開2016-67551(JP,A)
【文献】特開2017-64407(JP,A)
【文献】特開2016-97181(JP,A)
【文献】特開2016-140360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0100612(US,A1)
【文献】特開2012-148003(JP,A)
【文献】特表2014-512239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹面鏡面を備えると共に、被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の焦点に配置されたときに前記眼の網膜の領域を横切って光を走査して前記領域を照明するように構成された照明モジュールであって、
放射セクションと、
前記放射セクションによって放射された光を反射し、向きを変えることによって特定の方向に前記光を走査するように構成された反射面と、
を備え、前記凹面鏡面が、眼科装置の使用中に前記被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の前記焦点に置かれたときに、前記反射面によって反射された光を前記被験者の眼の網膜上に反射するように構成された、照明モジュールと、
前記眼の瞳孔を前記焦点に位置合わせするように構成された瞳孔位置合わせモジュールと、
前記瞳孔位置合わせモジュールによる前記焦点と前記瞳孔の位置合わせに続いて、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点との位置合わせを維持するように構成された瞳孔位置合わせ維持モジュールと、
前記焦点と前記瞳孔との位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間、前記網膜上の前記照明モジュールの走査位置を目標走査位置に位置合わせするように構成された網膜走査位置合わせモジュールと、
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、
前記網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得するプロセスと、
前記取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記目標走査位置に前記走査位置を維持するプロセスと、を実行することによって前記目標走査位置に前記走査位置を維持するように構成された網膜走査位置維持モジュールと、
を備え、
前記照明モジュールは、前記目標走査位置に前記走査位置が維持される間、及び前記焦点への前記瞳孔の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、前記目標走査位置における前記網膜の領域を照明するために前記目標走査位置において走査を実行するように構成され、
前記網膜走査位置合わせモジュールが、
前記網膜上の指定された走査位置と前記照明モジュールによって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定すること、
前記判定されたオフセット指標に基づいて前記照明モジュールを制御し、前記照明モジュールの前記走査位置を前記初期走査位置から前記初期走査位置よりも前記指定された走査位置に近い目的走査位置まで移動させることであって、前記目的走査位置が前記目標走査位置である、移動させること
により、前記網膜上の前記照明モジュールの前記走査位置を前記目標走査位置に位置合わせするように構成される、
眼科装置。
【請求項2】
凹面鏡面を備えると共に、被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の焦点に配置されたときに前記眼の網膜の領域を横切って光を走査して前記領域を照明するように構成された照明モジュールであって、
放射セクションと、
前記放射セクションによって放射された光を反射し、向きを変えることによって特定の方向に前記光を走査するように構成された反射面と、
を備え、前記凹面鏡面が、眼科装置の使用中に前記被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の前記焦点に置かれたときに、前記反射面によって反射された光を前記被験者の眼の網膜上に反射するように構成された、照明モジュールと、
前記眼の瞳孔を前記焦点に位置合わせするように構成された瞳孔位置合わせモジュールと、
前記瞳孔位置合わせモジュールによる前記焦点と前記瞳孔の位置合わせに続いて、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点との位置合わせを維持するように構成された瞳孔位置合わせ維持モジュールと、
前記焦点と前記瞳孔との位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間、前記網膜上の前記照明モジュールの走査位置を目標走査位置に位置合わせするように構成された網膜走査位置合わせモジュールと、
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、
前記網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得するプロセスと、
前記取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記目標走査位置に前記走査位置を維持するプロセスと、を実行することによって前記目標走査位置に前記走査位置を維持するように構成された網膜走査位置維持モジュールと、
を備え、
前記照明モジュールは、前記目標走査位置に前記走査位置が維持される間、及び前記焦点への前記瞳孔の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、前記目標走査位置における前記網膜の領域を照明するために前記目標走査位置において走査を実行するように構成され、
前記眼科装置が、さらに、前記被験者の眼の視線方向を設定するために前記被験者に目標を表示するように構成された目標表示モジュールを備え、前記網膜走査位置合わせモジュールが、
前記網膜上の指定された走査位置と前記照明モジュールによって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定すること、および、
前記判定されたオフセット指標に基づいて、前記目標表示モジュールを制御して、前記照明モジュールの前記走査位置を前記目標走査位置と位置合わせする視線方向に前記被験者の眼の視線を設定するように前記目標を表示すること
により、前記網膜上の前記照明モジュールの前記走査位置を前記目標走査位置に位置合わせするように構成される、
眼科装置。
【請求項3】
さらに、前記被験者の眼の視線方向を設定するために、前記被験者に目標を表示するように構成された目標表示モジュールを備える、請求項1に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記目標表示モジュールが、前記被験者の眼の視線方向を中心視線方向に沿って設定するために目標を前記被験者に表示するように構成され、
前記瞳孔位置合わせモジュールが、前記目標表示モジュールが前記被験者の眼の視線方向を前記中心視線方向に沿って設定するように前記目標を表示している間に、前記眼の瞳孔を前記焦点に位置合わせするように構成され、
前記瞳孔位置合わせ維持モジュールが、前記瞳孔位置合わせモジュールによる前記焦点と前記瞳孔の位置合わせに続いて、前記目標表示モジュールが前記中心視線方向に沿って前記被験者の眼の視線方向を設定するように前記目標を表示している間に、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視すると共に、前記位置合わせを維持するように、前記監視位置に基づいて、前記焦点を調整することによって、前記監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点の位置合わせを維持するように構成される、請求項2又は請求項3記載の眼科装置。
【請求項5】
前記焦点と前記瞳孔の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持され、前記目標表示モジュールが、中央視線方向に沿って前記被験者の眼の視線方向を設定するように前記目標を表示している間、前記網膜走査位置合わせモジュールが、前記網膜上の前記照明モジュールの前記走査位置を前記目標走査位置に位置合わせするように構成され、
前記照明モジュールによって前記目標走査位置において前記走査が実行され、前記目標表示モジュールが、前記中央視線方向に沿って前記被験者の眼の視線方向を設定するように前記目標を表示している間、前記網膜走査位置維持モジュールが、前記位置合わせを維持するように、前記監視位置に基づいて、前記焦点を調整することによって、前記走査位置を前記目標走査位置に維持するように構成されている、請求項2又は請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記瞳孔位置合わせモジュールが、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記監視位置に基づいて、前記照明モジュールの前記焦点を調整して前記焦点を前記瞳孔に位置合わせすることにより、前記眼の瞳孔を前記焦点に位置合わせするように構成される、請求項1、請求項2、または請求項3に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記瞳孔位置合わせ維持モジュールが、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記位置合わせを維持するように、前記監視位置に基づいて、前記照明モジュールの前記焦点を調整することによって前記瞳孔と前記焦点との位置合わせを維持する、
ように構成された、請求項1~請求項3、及び請求項6の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記網膜走査位置維持モジュールが、
前記走査が前記照明モジュールによって実行される間に前記網膜特徴情報として前記網膜の前記監視部分の画像を取得し、
前記走査位置矯正情報として、指定された走査位置と前記網膜の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成し、
前記走査位置矯正情報に基づいて前記照明モジュールを制御して前記走査位置を前記目標走査位置に維持すること
により、前記目標走査位置に前記走査位置を維持するように構成される、請求項1~請求項3、請求項6、及び請求項7の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
凹面鏡面を備えると共に、被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の焦点に配置されたときに前記眼の網膜の領域を横切って光を走査するように構成された照明モジュールであって、
放射セクションと、
前記放射セクションによって放射された光を反射し、向きを変えることによって特定の方向に前記光を走査するように構成された反射面と、
を備え、前記凹面鏡面は、眼科装置の使用中に前記被験者の眼の瞳孔が前記凹面鏡面の前記焦点に置かれたときに、前記反射面によって反射された光を前記被験者の眼の網膜上に反射するように構成された、照明モジュールと、
前記眼の瞳孔を前記焦点に位置合わせするように構成された瞳孔位置合わせモジュールと、
前記瞳孔位置合わせモジュールによる前記焦点と前記瞳孔の位置合わせに続いて、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点との位置合わせを維持するように構成された瞳孔位置合わせ維持モジュールと、
前記焦点と前記瞳孔との位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間、前記網膜上の前記照明モジュールの走査位置を目標走査位置に位置合わせするように構成された、網膜走査位置合わせモジュールと、
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、
前記網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得するプロセスと、
前記取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記目標走査位置に前記走査位置を維持するプロセスと、を実行することによって前記目標走査位置に前記走査位置を維持するように構成された網膜走査位置維持モジュールと、
前記焦点を介して前記網膜の第2の領域を横切って光を走査し、前記眼が前記焦点に配置されたときに前記第2の領域から反射された光を受光するように構成された撮像モジュールと、
を備え、
前記網膜走査位置合わせモジュールが、前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持される間に
前記網膜上の前記撮像モジュールの指定された走査位置と前記撮像モジュールによって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定し、
前記判定されたオフセット指標に基づいて、前記撮像モジュールを制御し、前記撮像モジュールの走査位置を前記初期走査位置から前記初期走査位置よりも前記指定された走査位置に近い目的走査位置まで移動させる、
ように構成され、
前記照明モジュールの前記走査位置が、前記撮像モジュールの前記走査位置と所定の位置関係を有するように前記照明モジュールが前記撮像モジュールの制御中に制御され、前記撮像モジュールの前記走査位置が前記目的走査位置であるとき、前記照明モジュールの前記走査位置が前記照明モジュールの前記目標走査位置であり、
前記照明モジュールは、前記目標走査位置に前記走査位置が維持される間、及び前記焦点への前記瞳孔の位置合わせが前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、前記目標走査位置における前記網膜の領域を照明するために前記目標走査位置において走査を実行するように構成され、
前記撮像モジュールが、走査型レーザ検眼鏡を備え、前記照明モジュールが、さらに、前記網膜の領域の画像を取得するように前記網膜の領域から反射された光を受光するように構成され、前記照明モジュールが、光干渉断層撮像装置、高密度走査レーザ検眼鏡、および高密度共焦点走査レーザ検眼鏡のうちの1つを備える、
眼科装置。
【請求項10】
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが、前記瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持され、前記照明モジュールによる前記目標走査位置における前記走査の実行中に、
前記撮像モジュールから前記網膜特徴情報として前記目的走査位置における前記網膜の一連の画像を取得するプロセスと、
前記撮像モジュールによって取得された一連の画像を処理して前記走査位置矯正情報を生成するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記目的走査位置に前記撮像モジュールの前記走査位置を維持するプロセスと、を実行することにより、
前記網膜走査位置維持モジュールが、前記照明モジュールの前記走査位置を前記目標走査位置に維持するように構成される、請求項9に記載の眼科装置。
【請求項11】
前記網膜走査位置維持モジュールが、
前記取得した一連の画像を処理して、前記走査位置矯正情報として前記一連の画像の取得中に前記網膜の動きを示す網膜位置追跡情報を生成する処理により、
前記目標走査位置に前記照明モジュールの前記走査位置を維持するよう構成され、
前記一連の画像が、
(i)前記網膜の少なくとも1つの画像を受信し、
(ii)前記少なくとも1つの受信画像に基づいて参照画像と画像との間の相互相関を計算して、前記画像と前記参照画像との間のオフセットを取得し、
プロセス(i)および(ii)を繰り返して、前記網膜位置追跡情報として、前記一連の画像のそれぞれのオフセットを取得し、
前記取得した網膜追跡情報を使用して、前記撮像モジュールの前記走査位置を維持することによって前記目標走査位置に前記照明モジュールの前記走査位置を維持するよう構成される、請求項10に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、眼科装置の分野に関し、より具体的には、被験者の眼の網膜の領域にわたって光を走査するための照明モジュールを有する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の網膜を画像化したりまたは適切な波長および強度の光によって眼を治療すたりするためのいくつかの眼科装置は、瞳孔を拡大したりまたは患者の視線方向を変更する必要なく、網膜の略全ての部分が照明または画像化されることを可能にする広視野(FOV)光学系を採用している。そのような広いFOV光学系は、患者が維持するのが容易であるより快適で自然な中心視線を採用することを可能にすることができ、それによって視線固定誤差による場合の問題を軽減しまたは回避することができる。そのような眼科装置の例は、米国特許第5,815,242号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、瞳孔のサイズが小さいと、瞳孔を通過する光走査ビームは、走査中に発生する患者の眼の不随意の動きにより、瞳孔が眼科装置の焦点に対して移動するため、瞳孔のエッジによって「クリッピング」される傾向がある。さらに、患者の視線方向の僅かな変動は、網膜上の眼科装置の走査位置を目標位置に維持することを困難にする可能性がある。したがって、特に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)走査のように、走査が完了するのに長時間かかる場合、成功裏な走査を達成するために、瞳孔位置および視線方向の双方がより正確に保持されるかまたはそれらの変化が効果的に補償される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの点を念頭において、本発明者らは、被験者の眼の網膜の領域にわたって光を走査して前記領域を照明するように配置された照明モジュールを有する眼科装置を動作させる方法を考案した。本方法は、眼の瞳孔を照明モジュールの焦点と位置合わせすることと、瞳孔を焦点と位置合わせした後、焦点に対する瞳孔の位置を監視することと、監視位置に基づいて瞳孔と焦点との位置合わせを維持することとを備える。本方法は、さらに、瞳孔と焦点との位置合わせが監視位置に基づいて維持されながら、網膜上の照明モジュールの走査位置を目標走査位置に位置合わせすることと、網膜の監視部分から網膜の特徴情報を取得し、取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成し、生成された走査位置矯正情報を使用して目標走査位置に走査位置を維持することにより、目標走査位置に走査位置を維持することというプロセスを実行することを備える。本方法は、さらに、目標走査位置における走査を実行し、生成された走査位置矯正情報を使用して走査位置が目標走査位置において維持されている間に目標走査位置における網膜の領域を照明することを備える。
【0005】
本発明者らは、さらに、眼の瞳孔が照明モジュールの焦点に配置されたときに被験者の眼の網膜の領域を照明するように前記領域を横切って光を走査するように構成された照明モジュールを備える眼科装置を考案した。照明モジュールは、放射セクションによって放射された光を反射し、向きを変えることにより特定の方向に光を走査するように構成された反射面と、眼科装置の使用中に被験者の眼が凹面鏡の焦点に置かれたときに、反射面によって被験者の眼の網膜上に反射された光を反射するように構成された凹面鏡面とを備える。眼科装置は、さらに、眼の瞳孔を焦点と位置合わせするように構成された瞳孔位置合わせモジュールと、瞳孔位置合わせモジュールによる焦点と瞳孔の位置合わせに続いて、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて焦点との瞳孔の位置合わせを維持するように構成された瞳孔位置合わせ維持モジュールを備える。眼科装置は、さらに、焦点と瞳孔の位置合わせが瞳孔位置合わせ維持モジュールによって維持されている間に、網膜上の照明モジュールの走査位置を目標走査位置に位置合わせするように構成された網膜走査位置合わせモジュールを備え、照明モジュールは、目標走査位置において網膜の領域を照明するために目標走査位置において走査を実行するように構成されている。眼科装置は、さらに、瞳孔位置合わせ維持モジュールによって瞳孔の焦点との位置合わせが維持されている間に、網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得するプロセス、取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成するプロセス、および生成された走査位置矯正情報を使用して目標走査位置に走査位置を維持するプロセスを実行することにより、目標走査位置に走査位置を維持するように構成された網膜走査位置維持モジュールを備える。
【0006】
ここで、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、ほんの一例として詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1の実施形態にかかる眼科装置の概略図である。
図2図2は、第1の実施形態の眼科装置を動作させる方法を示すフロー図である。
図3図3は、本発明の第2の実施形態にかかる眼科装置の概略図である。
図4図4は、組み合わされたSLO-OCTスキャナの例示的な形態の図3に示された眼科装置の実装を示すブロック図である。
図5図5は、各光源から放射された光を被験者の眼に導く第2の実施形態の光学系の構成例を示す概略斜視図である。
図6図6は、実施形態にかかる眼科装置に含まれる制御部のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態の眼科装置を動作させる方法を示すフロー図である。
図8図8は、第2の実施形態の第1の網膜画像取得モジュールによって取得された参照網膜画像の概略図である。
図9図9は、瞳孔位置判定処理の例を示すフローチャートである。
図10図10は、二値化画像の例を示す図である。
図11図11は、判定用画像の例を示す図である。
図12図12は、判定用画像における判定領域の例を示す図である。
図13図13は、判定用画像における判定領域の例を示す図である。
図14図14は、判定用画像における判定領域の例を示す図である。
図15図15は、参照網膜画像内の位置に基づいて眼科装置のH検流計ミラーおよびV検流計ミラーの走査角を判定するために制御部によって使用されるルックアップテーブルの概略図である。
図16図16は、第2の実施形態の眼科装置の光学系の概略図である。
図17図17は、第2の実施形態の第1の変形例の眼科装置の光学系の概略図である。
図18図18は、第2の実施形態の第2の変形例の眼科装置の光学系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態が詳細に説明される。
【0009】
[実施形態1]
【0010】
図1は、眼の瞳孔が照明モジュール1-1の焦点に置かれたときに被験者の眼の網膜の領域(図1には示されず)を照明するように前記領域にわたって光を走査するように動作可能な照明モジュール1-1を備える、本発明の第1の実施形態にかかる眼科装置10-1の概略図である。照明モジュール1-1は、放射セクションによって放射された走査光を反射し、向きを変えることにより特定の方向に走査光を走査するように構成された反射面と、眼科装置10-1の使用中に被験者の眼が凹面鏡の焦点に置かれたときに、反射面によって被験者の眼の網膜上に反射された走査光を反射するように構成された凹面鏡面とを備える。反射面と凹面鏡面を介して進行する放射セクションからの走査光は、走査が実行されるときに焦点の周りを回動する。放射セクションは、例えば、その特性(波長および強度など)が網膜を治療するのに適している光ビームを放射するように構成されたレーザを備えることができる。照明モジュール1-1の例示的な構成は、以下により詳細に説明される。
【0011】
眼科装置10-1は、さらに、瞳孔位置合わせモジュール2と、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1と、網膜走査位置合わせモジュール4-1と、網膜走査位置維持モジュール5-1とを備え、これらの詳細もまた、以下に詳細に説明される。
【0012】
眼科装置10-1は、本実施形態のように、眼精疲労を軽減または回避し、通常はアイステアリングが使用され且つ被験者が結果として中央以外の視線方向を採用する必要がある場合に発生する固視誤差および不随意の眼球運動を回避するために、被験者が「真っ直ぐに」見えるように、被験者の眼の視線方向、好ましくは中央視線方向を設定するための固視目標を被験者に表示するように構成された目標表示モジュール6をさらに備えることができる。
【0013】
目標表示モジュール6は、患者位置合わせモジュール(PAM)などを使用して固視目標を表示する静的固視モード、および網膜の走査が実行されている間に凹面鏡面を介して1又は複数の固視目標光源から放射される固視目標を表示する動的固視モードで動作可能とすることができる。したがって、目標表示モジュール6は、被験者の視線を固定し、好ましくは中央視線方向に固定したままにするために、本明細書で説明する瞳孔位置合わせモジュール2、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1、網膜走査位置合わせモジュール4-1、および網膜走査位置維持モジュール5-1によって実行される一連の動作全体を通して、被験者に固視目標を表示することができる。
【0014】
網膜走査の実行中に被験者に固視目標を表示する際に(動的固視モードで動作する場合)目標表示モジュール6の機能を共に提供することができる1又は複数の固視目標光源および所望により眼科装置の他のコンポーネントの例示的な構成、およびそれらの動作を制御するための制御構成は、本特許出願と同日に代理人整理番号198 409によって出願された「眼科装置」と題する特許出願人の同時係属出願に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。手短に言えば、その特許出願に記載されている眼科装置は、固視目標光を放射するように配置された少なくとも1つの光源、ならびに上述した反射面および凹面鏡面を備え、被験者の眼が眼科装置の使用中に凹面鏡の焦点に配置され、光源が固視目標光を放射するとき、固視目標光および走査光は、凹面鏡面および焦点の双方を介して伝播する異なる光路を介して被験者の眼の眼底に同時に入射し、被験者の固視光は、被験者の眼の視線を固定するための所定の光路をたどる。そのような眼科装置のいくつかの実施形態が1-5ページに要約され、その後、本特許出願と同日に出願された代理人整理番号198 409の「眼科装置」と題する特許出願人の同時係属出願の図面を参照して詳細に説明される。これらの実施形態のうちの1又は複数の特徴の少なくともいくつかは、本特許出願において主張されることができる。
【0015】
以下では、瞳孔位置合わせモジュール2、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1、網膜走査位置合わせモジュール4-1、および網膜走査位置維持モジュール5-1の機能の概要が提供され、第2の実施形態にかかる眼科装置の他の例示的な実装およびその動作のより詳細な説明がその後に続く。
【0016】
瞳孔位置合わせモジュール2は、眼の瞳孔を照明モジュール1-1の焦点(具体的には、照明モジュール1-1の凹面鏡面の焦点)と位置合わせするように構成されている。瞳孔位置合わせモジュール2は、本実施形態のように、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、焦点を瞳孔と位置合わせさせるように監視位置に基づいて照明モジュール1-1の焦点を自動的に調整することにより、眼の瞳孔を焦点に位置合わせするように構成されることができる。焦点は、それを眼の瞳孔と位置合わせさせるように焦点を調整するために、ステッパーモータまたは他の移動機構を制御して眼に対して照明モジュール1-1を移動させ、追加的にまたは代替的に照明モジュール1-1内の光学コンポーネントの構成を当業者にとって既知の技術を使用して変更することによって調整されることができる。
【0017】
あるいは、瞳孔位置合わせモジュール2は、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて眼の瞳孔が焦点と位置合わせするように眼の動きを被験者に案内するための信号(例えば、視覚信号、音声信号および/または例えば、振動グリップ、フットプレートまたは被験者と接触する他の装置の形態の触覚フィードバック信号)を生成することによって焦点と眼の瞳孔を位置合わせするように構成されることができる。瞳孔位置合わせモジュール2は、追加的にまたは代替的に、監視位置に基づいて、前述の種類の信号を生成して、照明モジュール1-1の焦点を瞳孔と位置合わせするように、照明モジュール2に接続された任意の適切なユーザインターフェース(例えばキーボードおよびマウス)を介して、照明モジュール1-1の焦点を制御するように眼科装置10-1の動作を監督している眼科医などを案内することができる。
【0018】
瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、瞳孔位置合わせモジュール2による焦点と瞳孔の位置合わせに続いて、照明モジュール1-1の焦点に対する瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて瞳孔と焦点との位置合わせを維持するように構成される。瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、本実施形態のように、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、位置合わせを維持するように監視位置に基づいて自動的に照明モジュール1-1の焦点を調整することにより、焦点と瞳孔の位置合わせを維持するように構成されることができる。上記のように、眼に対して照明モジュール2を動かし、追加的にまたは代替的に照明モジュール1-1内の光学部品の構成を変更することにより、焦点を調整することができる。
【0019】
あるいは、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて、眼の瞳孔が焦点と位置合わせし続けるように眼を動かす際に被験者を案内するための上述した種類の信号を生成することにより、瞳孔と焦点との位置合わせを維持するように構成されることができる。瞳孔位置合わせモジュール2は、監視位置に基づいて、追加的にまたは代替的に前述の種類の信号を生成して、眼科装置10-1の動作を監視している眼科医などを案内し、照明モジュール1-1の焦点を瞳孔と位置合わせし続けるように照明モジュール1-1の焦点を制御することができる。
【0020】
網膜走査位置合わせモジュール4-1は、瞳孔と照明モジュール1-1の焦点との位置合わせが瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1によって維持されている間に、網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に調整するように構成される。照明モジュール1-1は、その後、目標走査位置において走査を実行して、目標走査位置において網膜の領域を照明するように構成される。
【0021】
網膜走査位置合わせモジュール4-1は、本実施形態のように、網膜上の指定された走査位置と照明モジュール1-1によって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定することにより、網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせすることができる。オフセット指標は、任意の適切なまたは望ましい方法で判定されてもよく、オフセット指標を判定する例示的な方法が以下に説明される。そして、網膜走査位置合わせモジュール4-1は、判定されたオフセット指標に基づいて照明モジュール1-1を制御し、照明モジュール1-1の走査位置を初期走査位置から初期走査位置よりも指定された走査位置に近い目的走査位置に移動させることができ、目的走査位置は、目標走査位置である。あるいは、照明モジュール1-1の(視野の中心である)撮像軸が焦点の周りで回転されることができない実施形態では、網膜走査位置合わせモジュール4-1は、判定されたオフセット指標に基づいて、目標表示モジュール6を制御することによって網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせし、照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置と位置合わせする視線方向に被験者の眼の視線を設定するように目標を表示するように構成されることができる。
【0022】
網膜走査位置維持モジュール5-1は、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1によって瞳孔と焦点の位置合わせが維持されながら、(i)網膜の監視部分から網膜の特徴情報を取得するプロセス、(ii)取得した網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成するプロセス、および(iii)生成された走査位置矯正情報を使用して目標走査位置において走査位置を維持するプロセスを実行することにより、走査位置を目標走査位置に維持するように構成される。
【0023】
網膜走査位置維持モジュール5-1は、本実施形態のように、走査が照明モジュール1-1によって実行されるときに網膜特徴情報として網膜の監視部分の画像を取得し、走査位置矯正情報として、指定された走査位置と網膜の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成し、走査位置矯正情報に基づいて照明モジュール1-1を制御して走査位置を目標走査位置に維持することにより、目標位置に走査位置を維持するように構成されることができる。あるいは、照明モジュール1-1の撮像軸が焦点の周りで回転されることができない実施形態では、網膜走査位置維持モジュール5-1は、網膜特徴情報として、走査が照明モジュール1-1によって実行されている間に網膜の監視部分の画像を取得し、走査位置矯正情報として、指定された走査位置と網膜上の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成し、被験者の眼の視線方向を維持し且つ走査位置を目標走査位置に維持するように走査位置矯正情報に基づいて目標表示モジュール6を制御して表示された目標の特性(例えば、その色)を変化させることにより、目標位置に走査位置を維持するように構成されることができる。網膜走査位置維持モジュール5-1の例示的な実装は、以下により詳細に説明される。
【0024】
図2は、図1に示される眼科装置10-1を動作させて網膜上の目標走査位置において走査を実行し、目標走査位置において網膜の領域を照明する方法を示すフローチャートである。
【0025】
プロセスS10では、瞳孔位置合わせモジュール2は、眼の瞳孔を照明モジュール1-1の焦点に位置合わせする。このプロセス中、目標表示モジュール6は、本実施形態のように、静的固視モードで動作して、被験者の眼38の視線を中央視線方向に固定するための固視目標を表示することができる。プロセスS10では、例えば、取得された眼の画像から瞳孔位置を判定するように構成された立体カメラを有する患者位置合わせモジュール(PAM)を使用して、当業者にとって既知の技術を使用して瞳孔位置合わせが達成されることができる。このように瞳孔位置合わせモジュール2によって監視される瞳孔位置は、照明モジュール1-1の焦点の位置と比較されて、瞳孔を焦点と位置合わせさせるのに必要な矯正を判定することができる。上述したように、本実施形態の瞳孔位置合わせモジュール2は、代わりに、矯正に基づいて、前述の種類の信号を生成して、眼の瞳孔が焦点と位置合わせするように眼を動かすように被験者を案内することができるが、判定された矯正を使用して焦点を瞳孔と位置合わせするように照明モジュール1-1の焦点の位置(x、yおよびz方向)を自動的に調整する。例えば、瞳孔位置合わせモジュール2は、目標表示モジュール6を制御して、瞳孔と焦点との現在の位置合わせ度に関するフィードバックを被験者に提供するために表示された固視目標の特性(例えば、その色)を変化させることができる。瞳孔位置合わせモジュール2は、監視位置に基づいて、追加的にまたは代替的に、照明モジュール1-1の焦点を瞳孔と位置合わせするように、眼科装置10-1の操作を監督している眼科医などを案内して照明モジュール1-1の焦点を制御するために、必要な矯正を示す前述の種類の信号を生成することができる。
【0026】
瞳孔と焦点の位置合わせに続いて、眼科装置10-1は、網膜の一部の走査を実行する手順を開始し、目標表示モジュール6は、静的固視モードにおける動作から動的固視モードにおける動作に切り替わる。
【0027】
プロセスS20では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、焦点に対する瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて、焦点と瞳孔の位置合わせを能動的に維持する。監視された瞳孔位置は、照明モジュール1-1の焦点の位置と比較されて、瞳孔と焦点との位置合わせを維持するために必要な矯正を判定することができる。上述したように、本実施形態の瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、(換言すれば、閉ループ制御システムを使用して瞳孔の動きを少なくとも部分的に補償するために)焦点と瞳孔の位置合わせを維持するように、判定された矯正を使用して、照明モジュール1-1の焦点の位置を(x、yおよびz方向に)自動的に調整し、あるいは、瞳孔と焦点の位置合わせを維持するように、眼を動かす際に被験者を案内するために、矯正に基づいて上述した種類の信号を生成することができる。例えば、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、目標表示モジュール6を制御して、瞳孔と焦点との現在の位置合わせ度に関するフィードバックを被験者に提供するために表示された固視目標の特性(例えば、その色)を変化させることができる。瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1は、追加的にまたは代替的に、監視位置に基づいて、必要な矯正を示す前述の種類の信号を生成することができ、これらの信号(例えば、従来のパーソナルコンピュータのものなどの当業者にとって既知の任意の適切なユーザインターフェース(UI)を介して伝達されることができる音声および/または視覚信号)は、照明モジュール1-1の焦点と瞳孔との位置合わせを維持するように、照明モジュール1-1の焦点を制御するために眼科装置10-1の動作を監督している眼科医などを案内するために使用されることができる。
【0028】
プロセスS30では、瞳孔の焦点との位置合わせが、監視位置に基づいて瞳孔位置合わせ維持モジュール3-1によって維持されている間、網膜走査位置合わせモジュール4-1は、網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせする。本実施形態では、網膜走査位置合わせモジュール4-1は、前述のオフセット指標を判定し、判定されたオフセット指標に基づいて、照明モジュール1-1を制御することにより、網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせを行い、照明モジュール1-1の走査位置を初期走査位置から初期走査位置よりも指定された走査位置に近い目的走査位置に移動させ、目的走査位置は、目標走査位置である。あるいは、網膜走査位置合わせモジュール4-1は、前述のオフセット指標を判定し、判定されたオフセット指標に基づいて、目標表示モジュール6を制御することにより、照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせする視線方向に被験者の眼の視線を設定するように目標を表示するために、網膜上の照明モジュール1-1の走査位置を目標走査位置に位置合わせすることができる。網膜走査位置合わせモジュール4-1は、網膜上の照明モジュール1-1の目標走査位置への現在の位置合わせ度に関するフィードバックを被験者に提供するために、目標表示モジュール6をさらに制御して、表示された固視目標の特性(例えば、その色)を変化させることができる。
【0029】
そして、網膜走査位置維持モジュール5-1は、プロセスS40からS60を実行することにより、走査位置を目標走査位置に維持する。
【0030】
プロセスS40では、網膜走査位置維持モジュール5-1は、網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得する。網膜走査位置維持モジュール5-1は、本実施形態のように、網膜特徴情報として、照明モジュール1-1により走査が実行されている間に網膜の監視部分の画像を取得することができる。
【0031】
プロセスS50では、網膜走査位置維持モジュール5-1は、取得された網膜特徴情報を処理して、走査位置矯正情報を生成する。網膜走査位置維持モジュール5-1は、本実施形態のように、走査位置矯正情報として、指定された走査位置と網膜上の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成することができる。
【0032】
プロセスS60では、網膜走査位置維持モジュール5-1は、生成された走査位置矯正情報を使用して、目標走査位置に走査位置を維持する。網膜走査位置維持モジュール5-1は、本実施形態のように、走査位置矯正情報に基づいて照明モジュール1-1を制御して、走査位置を目標走査位置に維持することができる。あるいは、網膜走査位置維持モジュール5-1は、走査位置矯正情報に基づいて目標表示モジュール6を制御して、表示された目標の特性(例えば、その色)を変化させ、被験者の眼の視線方向を維持し、走査位置を目標走査位置に保持することができる。
【0033】
プロセスS70では、生成された走査位置矯正情報を使用して走査位置が目標走査位置に維持されている間に、照明モジュール1-1は、目標走査位置において走査を実行し、目標走査位置において網膜の領域を照明する。
【0034】
プロセスS10からS70の実行により、眼科装置10-1は、患者の快適さを維持しながら、長期間にわたって網膜の目標領域を確実に照明することができる。
【0035】
[実施形態2]
【0036】
本発明の第2の実施形態にかかる眼科装置10-2が図3に示されており、同様の構成要素には同じ符号が付されている。眼科装置10-2は、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2、網膜走査位置合わせモジュール4-2、および網膜走査位置維持モジュール5-1の構成により、ならびに焦点を介して被験者の眼の網膜の第2の領域を横切る光を走査し、眼が焦点に配置されたときに第2の領域から反射された光を受光するように構成された第1の網膜画像取得モジュール7の例示的な形態の撮像モジュールをさらに備えることにより、眼科装置10-1とは異なる。
【0037】
この実施形態では、照明モジュールは、網膜の領域を照明するだけでなく、照明された領域から反射された光を受光し処理して、領域の画像を取得するように構成される第2の網膜画像取得モジュール1-2の例示的な形態をとる。第2の網膜画像取得モジュール1-2は、第1の網膜画像取得モジュール7とは異なり、第1の網膜画像取得モジュール7よりも長い網膜画像取得時間を有することができる。第2の網膜画像取得モジュール1-2は、例えば、OCT撮像装置(以下により詳細に説明するように)、あるいは、高密度走査レーザ検眼鏡(SLO)もしくは高密度共焦点SLOとすることができる。
【0038】
第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2は、図3の実施形態のように、複合撮像モードで動作して、共通の光路に沿って光を送受光し、網膜の略同じ領域を同時に撮像することができる。しかしながら、第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2は、複合撮像モードで動作可能であり、互いに固定された位置関係を有するそれぞれの光路に沿って光を送受光し、互いに異なる網膜のそれぞれの領域を同時に撮像することができる。したがって、第2の網膜画像取得モジュール1-2は、複合撮像モードで動作可能であり、検査中の眼についての(第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置に提供される)第1の網膜画像取得モジュール7の同時に撮像された撮像領域に対する所定の位置関係を有する(第2の網膜画像取得モジュール1-2の走査位置に提供される)網膜の撮像領域の網膜画像であって、第1の網膜画像取得モジュール7の同時に撮像された撮像領域とサイズが同じである必要はない網膜の撮像領域の網膜画像を取得することができる。換言すれば、第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2によって同時に撮像される網膜上のそれぞれの撮像領域は、例えば、較正によって判定されることができる、一致しないが既知の方向に既知量だけ互いにオフセットされた中心(例えば、幾何学的中心)を有することができる。
【0039】
眼科装置10-2は、図4の実施形態に示されるように、SLOユニット32、OCTユニット34、および共有光学系36を含む装置本体12を備える複合SLOおよびOCTスキャナの例示的な形態をとることができる。眼科装置10-2はまた、瞳孔位置合わせモジュール2、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2、網膜走査位置合わせモジュール4-2、および網膜走査位置維持モジュール5-2の機能を実装する制御部3を備える装置本体制御部13を有する。
【0040】
したがって、眼科装置10-2は、SLOを使用して撮像する機能であるSLO撮像システム機能、およびOCTを使用して撮像する機能であるOCT撮像システム機能を含む。SLO撮像システムの機能は、装置本体制御部13、SLOユニット32、および共有光学系36によって実装される。OCT撮像システム機能は、装置本体制御部13、OCTユニット34、および共有光学系36によって実装される。図4に示すSLOユニット32、共有光学系36、およびSLO画像生成器18は、図3の第1の網膜画像取得モジュール7の例を共に提供し、OCTユニット34、共有光学系36、およびOCT画像生成器16は、第2の網膜画像取得モジュール1-2の例を共に提供する。したがって、本実施形態では、第1および第2の網膜撮像モジュール7および1-2は、いくつかの光学部品(すなわち、共有光学系36)を共有する。しかしながら、第1および第2の網膜撮像モジュール7および1-2は、代替的に、いずれの光学部品をも共有しない別個のユニットとして提供されてもよい。
【0041】
眼科装置10-2は、SLO撮像システム機能を実行する動作モードであるSLOモード、OCT撮像システム機能を実行する動作モードであるOCTモード、およびSLO撮像システム機能およびOCT撮像システム機能の双方を同時に実行する前述の複合撮像モードで動作可能である。これらの動作モードは、ユーザの指示またはシーケンス制御にしたがって選択的に設定されることができる。
【0042】
SLOユニット32は、本実施形態のように、放射セクション40、ビームスプリッタ42、ポリゴンミラー44、光検出器セクション46、およびモータ48を含み、これらは、被験者の眼38の網膜の2次元画像を生成するように構成される。
【0043】
以下、例えば、眼科装置10-2が水平面に設置される場合、説明の便宜上、水平面に略垂直な方向(図示せず)を「Y方向」と表記する。例えば、水平面に略平行な方向であって、前眼部が眼科装置10-2の接眼レンズ(図示せず)に面している状態に位置する被験者の眼38の深さ方向である方向は、眼科装置10-2が水平面に設置される場合、説明の便宜上、以下では「Z方向」と表記する。以下、説明の便宜上、Y方向およびZ方向の双方に略垂直な方向を「X方向」と表記する。
【0044】
放射セクション40は、光源40Aとバンドパスフィルタ40Bとを含む。光源40Aは、SLOを用いた撮像用の光源であり、約400ナノメートルから約1100ナノメートルの範囲内の波長を有する光を放射することができる。光源40Aから放射された光は、特定の波長を有する光のみがビームスプリッタ42に放射されるように、バンドパスフィルタ40Bを通過する。
【0045】
本実施形態では、放射セクション40から放射された光は、可視の赤および緑(RG)光と、スペクトルの近赤外領域の波長を有する光である近赤外光とに広く分裂される。
【0046】
本実施形態では、光源40Aによって生成される光の波長を変化させ、光源40Aによって生成される光にバンドパスフィルタ40Bを適用することにより、放射セクション40からRG光および近赤外光が選択的に放射される。
【0047】
説明の便宜上、以下、説明が両者を区別する必要がない場合、放射セクション40から放射される光として機能するRG光および近赤外光を単に「SLO光」と呼ぶ。
【0048】
ビームスプリッタ42は、SLO光を透過させることにより、SLO光をポリゴンミラー44に導き、第1の網膜反射光を光検出器セクション46に導く。ここで、第1の網膜反射光は、SLO光から生じる網膜によって反射された光を意味する。網膜によって反射された光は、網膜によって反射され、次いで共有光学系36に入射した光を意味する。
【0049】
ポリゴンミラー44は、ビームスプリッタ42からのSLO光を共有光学系36に送る。そして、図5に例として示すように、ポリゴンミラー44は、モータ48の駆動力を受けて矢印Aの方向に回転することにより、Y方向にSLO光を走査する。
【0050】
光検出器セクション46は、光検出器46Aと光学フィルタ46Bとを含む。光学フィルタ46Bは、光検出器46Aの受光面46A1とビームスプリッタ42の反射面42Aとの間の位置に配置され、受光面46A1を覆っている。受光面46A1には、近赤外光からなる第1の網膜反射光とRG光からなる第1の網膜反射光とが選択的に入射される。
【0051】
光検出器46Aは、光学フィルタ46Bを介して入射した第1の網膜反射光に基づく画像信号であるSLO画像信号を生成し、生成したSLO画像信号を出力する。
【0052】
OCTユニット34は、網膜の断層画像を生成するために使用され、本実施形態のように、超発光ダイオード(SLD)50、光カプラ52、参照光光学系54、分光光度計56、ラインセンサ58、V検流計ミラー60、およびモータ62を含むことができる。
【0053】
SLD50は、低コヒーレンス光を放射する。例えば、低コヒーレンス光は、放射セクション40から放射される近赤外光よりも長波長を有し且つ数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する近赤外領域の光を包含する光を意味する。
【0054】
SLD50から放射された低コヒーレンス光は、第1の光ファイバ(図示せず)を介して光カプラ52に供給され、参照光と信号光とに分裂される。参照光は、第2の光ファイバ(図示せず)を介して参照光光学系54に導かれ、信号光は、第3の光ファイバ(図示せず)を介してV検流計ミラー60に導かれる。
【0055】
参照光光学系54は、眼38と光カプラ52との間の光路長に一致する光遅延線である。
【0056】
参照ミラーは、参照光を反射することにより、同じ光路を介して参照光を光カプラ52に戻す。参照ミラーは、参照光の光軸の方向に移動可能な可動ミラーであり、参照光の光路の長さは、光軸上の参照ミラーの位置を移動することにより調整される。
【0057】
V検流計ミラー60は、信号光を共有光学系36に送る。そして、図5に例として示すように、V検流計ミラー60は、モータ62の駆動力を受けて矢印Bの方向に回転振動することにより、信号光をY方向に走査する。
【0058】
さらに、V検流計ミラー60は、第2の網膜反射光を第4の光ファイバを介して光カプラ52に導く。ここで、第2の網膜反射光とは、信号光から生じる網膜によって反射された光を意味する。
【0059】
光カプラ52により導かれた第2の網膜反射光は、光カプラ52により参照光光学系から光カプラ52に導かれた参照光に重畳され、干渉が生じる。発生した干渉により得られた干渉光は、分光光度計56により分光され、分光された干渉光は、ラインセンサ58に導かれる。
【0060】
ラインセンサ58は、入射干渉光に基づく画像信号であるOCT画像信号を生成し、生成したOCT画像信号を出力する。
【0061】
共有光学系36は、本実施形態のように、ダイクロイックミラー64、楕円形の凹面反射面を有するスリットミラー66、H検流計ミラー68(その反射面が第1の実施形態で述べた「反射面」の例を提供する)、楕円ミラー70、およびモータ72を含むことができる。
【0062】
ダイクロイックミラー64は、SLOユニット32のポリゴンミラー44からのSLO光を透過させることによりSLO光をスリットミラー66へ導き、OCTユニット34のV検流計ミラー60からの信号光を反射させることにより信号光をスリットミラー66へ導く。
【0063】
説明の便宜上、以下、説明で両者を区別する必要がない場合、信号光およびSLO光を「放射光」と表記する。
【0064】
スリットミラー66は、入射放射光をH検流計ミラー68に向けて反射する。H検流計ミラー68は、スリットミラー66からの放射光を反射して、楕円ミラー70の鏡面70Aに送る。そして、図5の例に示すように、H検流計ミラー68は、モータ48からの駆動力を受けて矢印Cの方向に回転振動することにより、放射光をX方向に走査する。
【0065】
楕円ミラー70は、(第1の実施形態で述べた「凹面鏡面」の例としての)鏡面70Aに入射した放射光を反射することにより、放射光を網膜に導く。網膜に導かれた放射光は、網膜によって反射される。そして、網膜反射光は、放射光と同じ光路に沿って、共有光学系36内のダイクロイックミラー64に導かれる。ダイクロイックミラーは、第1の網膜反射光をSLOユニット32に導き、第2の網膜反射光をOCTユニット34に導く。2つの楕円面によって構成される網膜撮像光学系の基本構成は、PCT出願PCT/GB94/02465号明細書(国際公開第95/13012号パンフレット)およびPCT出願PCT/GB2007/002208号明細書(国際公開第2008/009877号パンフレット)に記載されている構成と類似しており、それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
眼科装置10-2の動作中、制御部3は、眼38の網膜上の共通の撮像領域、例えばラスタパターンにわたって、スリットミラー66、H検流計ミラー68および楕円ミラー70を介して放射光が走査されるように、第1の網膜画像取得モジュール7(具体的には、図4の例では、モータ72に送信される駆動信号を介したH検流計ミラー68の回転、およびモータ48に送信される駆動信号を介したポリゴンミラー44の回転)、および第2の網膜画像取得モジュール1-2(具体的には、図4の例では、モータ72に送信される駆動信号を介したH検流計ミラー68の回転、およびモータ62に送信される駆動信号を介したV検流計ミラー60の回転)を制御する。網膜上の共通撮像領域の形状は限定されるものではなく、本実施形態のように、例えば、略矩形(例えば、略正方形)、または代替的に線であってもよい。しかしながら、上記のように、SLOユニット32からのSLO光およびOCTユニット34からの信号光は、網膜上の共通撮像領域にわたって走査される必要はなく、代わりに、異なるにもかかわらず互いに対して既知の位置オフセットを有するそれぞれの撮像領域にわたって走査されてもよい。例えば、他の実施形態では、SLO光の走査によって撮像される撮像領域は、信号光の走査によって撮像される撮像領域内、またはその逆でああってもよく、いずれの場合にも撮像領域の中心は、互いに対して一致またはオフセットしている。
【0067】
以下において、第1の網膜画像取得モジュール7からの領域光(その例ではSLO光)が走査される第1の網膜画像取得モジュール7(例えば、図4の例ではSLOユニット32、共有光学系36およびSLO画像生成器18を備える)によって撮像された眼38の網膜の領域は、「第1の網膜画像取得モジュール7の撮像領域」と呼ばれる。同様に、第2の網膜画像取得モジュール1-2からの領域光(その例では信号光)が走査される第2の網膜画像取得モジュール1-2(例えば、図4の例では、OCTユニット34、共有光学系36およびOCT画像生成器16を備える)によって撮像される眼38の網膜の領域は、「第2の網膜画像取得モジュール1-2の撮像領域」と呼ばれる。第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2の撮像領域は、第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2のそれぞれの走査位置に設けられる。
【0068】
以下により詳細に説明するように、共有光学系36の構成要素の配置により、第1の網膜画像取得モジュール7は、「参照網膜画像」として超広視野(UWF)網膜画像を取得することができ、これは、以下でより詳細に説明するように、網膜の所望の領域に向かって第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2の撮像領域の動きを導くための「ナビゲーションマップ」とみなすことができる。より具体的には、制御部3は、網膜から反射されて光検出器46Aによって変換される光が、参照網膜画像として、眼38の中心Oにおいて測定される網膜の最大200度の走査を生成するように、スリットミラー66および楕円ミラー70を介したSLO光の光路を変化させるために、ポリゴンミラー44およびH検流計ミラー68の動きを制御するように構成される。このようにして、UWF網膜画像は、網膜の最大約80%~85%をカバーすることができる。したがって、網膜の走査領域は、被験者の眼38の(幾何学的)中心Oの周りで最大約200度の角度にわたる弧を有する。他の実施形態では、この角度は、例えば、最大120度、または最大80度とすることができる。UWF網膜画像が取得されている間、第1の網膜画像取得モジュール7は、それにより放射される光ビームの方向を焦点の周りで少なくともθの角度だけ回転させることができ、ここで、θは、例えば、30度、60度および100度である。
【0069】
第1および第2の網膜画像取得モジュール7および1-2の撮像領域の位置に対する前述の変更中に、第1の網膜画像取得モジュール7は、その面積が参照網膜画像において撮像される参照撮像領域よりも小さい網膜領域の1又は複数の網膜画像を取得するように構成される。
【0070】
装置本体制御部13は、装置本体12との間で各種情報を交換することにより、装置本体12の動作を制御する。さらに、装置本体制御部13は、光検出器46Aから取得したSLO画像信号に基づいて、網膜の表面の態様を示す2次元画像を生成する。装置本体制御部13はまた、ラインセンサ58からのOCT画像信号から生成された断層画像に基づいて、網膜の3次元(3D)画像を生成する。
【0071】
本実施形態では、SLOユニット32を使用して取得される2次元画像は、RG光に基づく有彩色画像と近赤外光に基づく無彩色画像とに広く分裂される。さらにまた、OCTユニット34を使用して取得される断層画像は、無彩色画像である。SLOユニット32を使用して取得される2次元画像およびOCTユニット34を使用して取得される断層画像は、静止画像として表示されてもよく、ライブビュー画像として表示されてもよい。
【0072】
装置本体制御部13は、制御部3、OCT画像生成器16、SLO画像生成器18、ユーザ入力インターフェース(I/F)20、少なくとも1つのユーザ入力装置22、表示制御部24、ディスプレイ26、通信I/F28、およびバスライン30を含む。
【0073】
制御部3、OCT画像生成器16、SLO画像生成器18、ユーザ入力I/F20、表示制御部24、および通信I/F28は、バスライン30により互いに接続されている。したがって、制御部3は、OCT画像生成器16、SLO画像生成器18、ユーザ入力I/F20、表示制御部24、および通信I/F28と様々な情報項目を交換することができる。
【0074】
制御部3は、通信I/F28を介して、モータ48、62および72に対応する各モータ駆動回路(図示せず)を制御することにより、モータ48、62および72の駆動を制御する。
【0075】
さらにまた、制御部3は、通信I/F28を介して光源40Aに対応する光源駆動回路(図示せず)を制御することにより、光源40Aの点灯と消灯との切り替え、光源40Aによって生成される光量の調整、光の波長の変更などを行う。
【0076】
さらにまた、制御部3は、通信I/F28を介してSLD50に対応するSLD駆動回路(図示せず)を制御することにより、SLD50によって生成されるSLD50の点灯と消灯との切り替え、光量の調整、光の波長の変更などを行う。
【0077】
さらにまた、制御部3は、通信I/F28を介して、バンドパスフィルタ40Bの動作、光学フィルタ46Bの動作、参照光光学系54の参照ミラーの動作を制御する。
【0078】
少なくとも1つのユーザ入力装置22は、本実施形態のように、キーボードおよびマウスを含むことができ、ユーザから様々な指示を受信するように動作可能である。ユーザ入力装置22は、追加的にまたは代替的に、タッチパネルなどを含むことができる。
【0079】
ユーザ入力装置22は、ユーザ入力I/F20に接続されており、受信した指示の内容を示す指示内容信号をユーザ入力I/F20に出力するように構成されている。制御部3は、ユーザ入力I/F20から入力された指示内容信号入力にしたがって処理動作を実行するように構成されている。
【0080】
ディスプレイ26は、例えば、LCDまたは有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OELD)とすることができる。ディスプレイ26は、表示制御部24に接続されている。制御部3の制御下で、表示制御部24は、ディスプレイ26を制御して、SLOユニット32を使用して取得した2次元画像と、OCTユニット34を使用して取得した断層画像に基づく網膜の3D表現とをディスプレイ26に表示する。制御部3の制御下で、表示制御部24はまた、ディスプレイ26を制御することにより、メニュー画面などの様々な画面を表示することもできる。
【0081】
通信I/F28は、装置本体12の電気系統に接続されており、制御部3の制御下で動作して、制御部3と装置本体12との間の各種情報の交換を管理する。
【0082】
SLO画像生成器18は、通信I/F28を介してSLOユニット32の光検出器46AからSLO画像信号を取得し、本実施形態のように、取得したSLO画像信号に基づいて2次元画像を生成するように処理動作を行うように構成された専用回路とすることができる。
【0083】
SLO画像生成器18は、本実施形態のように、生成された2次元画像のフレームを、ライブ追跡SLOフィードにおいて通常は毎秒数十フレームのフレームレートで表示制御部24に出力するように構成されることができる。表示制御部24は、制御部3の指示にしたがって、SLO画像生成器18から入力された2次元画像をライブ画像としてディスプレイ26に表示することができる。さらに、表示制御部24は、制御部3の指示にしたがって、SLO画像生成器18から入力された2次元画像を静止画像としてディスプレイ26に表示することができる。
【0084】
OCT画像生成器16は、通信I/F28を介してOCTユニット34のラインセンサ58からOCT画像信号を取得するように構成され、本実施形態のように、取得したOCT画像信号に基づいて断層画像を生成するための処理動作を行うように構成された専用回路とすることができる。
【0085】
OCT画像生成器16は、本実施形態のように、当業者にとって既知の画像処理技術を使用して断層画像(通常は毎秒数十フレームのレートで取得されることもできる)を組み合わせることにより網膜の3D画像を生成するように構成されることができる。断層画像は、網膜表面から異なる深さで網膜を通る「スライス」を表し、OCT画像生成器16によって組み合わされて、網膜の撮像部分の3D画像を生成する。表示制御部24は、制御部3からの指示にしたがって、OCT画像生成器16から入力された3D画像をディスプレイ26に表示することができる。
【0086】
本実施形態では、OCT画像生成器16およびSLO画像生成器18は、CPU、ROM、およびRAMを含むコンピュータによってそれぞれ実装されるが、本明細書に開示された技術は、これに限定されるものではなく、OCT画像生成器16およびSLO画像生成器18の一方または双方は、代わりに、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって実装されてもよく、特定用途向け集積回路(ASIC)によって実装されてもよい。さらに、OCT画像生成器16およびSLO画像生成器18は、それぞれ、ハードウェア構成とソフトウェアとの組み合わせによって実装されてもよい。
【0087】
図6は、プログラマブル信号処理ハードウェアにおける制御部3の例示的な実装を示している。図6に示す信号処理装置100は、バス30からデータを受信し、バスに制御信号を送信するための通信I/F110を備える。信号処理装置100は、さらに、眼科装置10-2の全体の動作を制御するプロセッサ(CPU)120、作業メモリ130(例えばランダムアクセスメモリ)、およびプロセッサ120によって実行されると、眼科装置10-2を制御するためにプロセッサ120に以下に説明する処理動作を実行させるコンピュータ可読命令を記憶する命令ストア140を備える。命令ストア140は、コンピュータ可読命令がプリロードされたROM(例えば、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)またはフラッシュメモリの形態)を備えてもよい。あるいは、命令ストア140は、RAMまたは同様のタイプのメモリを備えてもよく、コンピュータ可読命令は、CD-ROMなどのコンピュータ可読記憶媒体150などのコンピュータプログラム製品、または、コンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号160からそれに入力されることができる。
【0088】
本実施形態では、プロセッサ120、作業メモリ130および命令ストア140を備える図6に示すハードウェア構成要素の組み合わせ170は、制御部3の機能、特に、瞳孔位置合わせモジュール2、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2、網膜走査位置合わせモジュール4-2、および網膜走査位置維持モジュール5-2の機能を実装するように構成され、これについては、図7図15を参照して詳細に説明する。
【0089】
図7は、眼科装置10-2を動作させて網膜上の目標走査位置において走査を実行し、目標走査位置において網膜の領域のOCT画像を照明および取得する方法を示すフローチャートである。
【0090】
この方法を実行する前に、目標走査位置が取得されることができる。このために、制御部3は、第1の網膜画像取得モジュール7を制御して、上述した参照網膜画像を取得することができる。このプロセス中、目標表示モジュール6は、静的固視モードで動作して、被験者の眼38の視線を中央視線方向に固定するための固視目標を表示する。そして、制御部3の制御下で、SLOユニット32の光源40AからRG光が放射され、SLOユニット32および共有光学系36の動作により、被験者の眼38のUWF網膜像が撮像される。UWF RG-SLO画像は、参照網膜画像の例としてSLO画像生成器18から取得される。あるいは、光源40Aからの近赤外光を使用して、UWF IR-SLO画像を参照網膜画像として取得してもよいことに留意されたい。
【0091】
患者の視線方向は、本実施形態のように、以下に説明する後続の撮像プロセスの全ての間、固定されたままとすることができ、ここで、眼科装置10-2は、患者が視線方向を変更することなくUWF参照網膜画像に示される網膜の異なる領域を撮像するように動作可能である。これらの撮像プロセス中、制御部3は、第1の網膜画像取得モジュール7からのライブ追跡SLOフィードを監視して、固視の質を示す動き測定基準を測定し、必要に応じて、固視を改善するために被験者に表示される視覚的合図(例えば、固視目標の色の変更、固視目標の点滅、または固視目標のパターンの変更)のための信号を生成する。
【0092】
制御部3の制御下で、表示制御部24は、図8に示すように、取得された参照網膜画像400(本明細書では「計画画像」とも呼ばれる)を表示するようにディスプレイ26を制御する。そして、ユーザは、ディスプレイ26上でUWF参照網膜画像400(以下、「UWF網膜画像400」と呼ばれる)を観察し、例えば、障害の兆候が疑われてOCTを実行することが望ましい関心領域を特定することができる。
【0093】
制御部3は、網膜上の目標走査位置に対応するUWF網膜画像400内の目標を指定する。目標は、複数の異なる方法のうちの1つにおいて、UWF網膜画像400のどこでも(網膜の周辺部分を含む)制御部3によって指定されてもよい。一例として、本実施形態では、ユーザは、入力装置22を使用して(例えば、マウスを動かすことにより)、表示されたUWF網膜画像400上に重ねられたカーソル402を動かす。ユーザは、例えばカーソル402がそのポイントにある間にマウスのボタンをクリックすることにより、表示されたUWF網膜画像400上の関心のあるポイントを任意の望ましい方法で指定することができる。制御部3は、例えば、ユーザ指定(例えば、マウスクリック)が発生したときのカーソル402のUWF網膜画像400内の位置に対応するUWF網膜画像400内の画素位置を記録することにより目標を指定する。したがって、目標を囲むUWF網膜画像400の領域は、OCT撮像のために選択される。
【0094】
このように、本実施形態では、ユーザによる表示されたUWF網膜画像400上のポイントの選択に基づいて目標が指定されるが、代わりに、(例えば、例えばUWF網膜画像400内のボックスを定義するためのマウス上の「クリック、ドラッグおよびリリース」操作により)UWF網膜画像400における線または2次元領域のユーザによる指定に基づいて目標が指定されてもよい。例えば、UWF網膜画像400内の2次元領域がユーザによって選択される場合、制御部3は、2次元領域の重心(幾何学的中心)の座標(UWF網膜画像400の座標系における)として目標を指定してもよい。ユーザによって選択された2次元領域のサイズが使用され、網膜上の撮像領域のサイズを定義することができる。あるいは、目標は、例えば、参照網膜画像400内の1又は複数の関心領域(通常、障害に関連する特徴が位置する場所)を識別するためのパターンマッチングアルゴリズムを使用して制御部3によって自動的に指定されてもよい。
【0095】
プロセスS110では、瞳孔位置合わせモジュール2は、眼の瞳孔を第2の網膜画像取得モジュール1-2の焦点と位置合わせする。このプロセスは、図2を参照して上述したプロセスS10と実質的に同じであるため、ここではこれ以上説明しない。
【0096】
瞳孔と焦点の位置合わせに続いて、眼科装置10-2は、網膜の一部の走査を実行する手順を開始し、目標表示モジュール6は、静的固視モードでの動作から動的固視モードでの動作に切り替わる。
【0097】
OCT画像などが超広角領域にわたって撮像される場合、すなわち、OCT画像の撮像目標領域が被験者の眼38の周辺部である場合、OCT画像を撮像するためにSLD50から放射される光の光軸は、被験者の眼38の瞳孔から外れやすい傾向があり、OCT画像の質は、瞳孔と焦点との不整合によって引き起こされる口径食のために劣化しやすい傾向がある。
【0098】
したがって、プロセスS120では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、焦点に対する瞳孔の位置の監視を開始し、監視位置に基づいて焦点と瞳孔の位置合わせを維持する。瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、本実施形態のように、第1の網膜画像取得モジュール7から被験者の眼38の画像を受信し、受信画像の瞳孔領域の少なくとも一部が受信画像内の所定の許容領域内であるか否かを判定し、判定を示す出力信号を生成することができ、瞳孔領域は、眼38の瞳孔の少なくとも一部の画像である。あるいは、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、受信画像の瞳孔領域の少なくとも一部によって占有される受信画像の所定の許容領域の割合が所定の閾値以上であるか否かを判定し、判定を示す出力信号を生成してもよい。出力信号を使用して、是正措置を講じることができるように、瞳孔と焦点の位置合わせが不十分であることを被験者および/または操作者に警告するために警告メッセージ指標を生成および表示することができる(または他の、例えば音声および/または視覚を提供する)。あるいは、出力信号は、被験者の動きによって引き起こされることがある瞳孔および焦点の任意の不整合を自動的に補償するために、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2による瞳孔と焦点の相対的な位置決めの閉ループ制御に使用されてもよい。
【0099】
瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、被験者の眼38の受信画像を二値化することにより二値画像を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、受信画像から(または前述の二値画像が生成される実施形態では二値画像から)受信画像瞳孔領域以外の不要な領域を除去することにより判定用画像を生成するように構成されてもよく、受信画像瞳孔領域は、受信画像(または場合によっては二値画像)の瞳孔の少なくとも一部の画像である;それらの実施形態では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、判定用画像に基づいて判定を実行するように構成される。
【0100】
ここで、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2が瞳孔と焦点との位置合わせを維持することができるプロセスの例が図9を参照して説明される。
【0101】
まず、プロセスS121では、第1の網膜画像取得モジュール7によるIR-SLO画像の撮像が開始される。すなわち、光源40Aから近赤外光が放射され、SLOユニット32は、UWF網膜画像400中の指定された目標に対応する網膜上の目標走査位置が走査されて狭域IR-SLO画像が撮像されるように制御される。本実施形態では、IR-SLO画像が撮像される場合について説明するが、RG-SLO画像(または他の種類の画像)が撮像されてもよい。
【0102】
プロセスS122では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、第1の網膜画像取得モジュール7によって撮像された狭域IR-SLO画像を取得する。
【0103】
プロセスS123では、取得されたIR-SLO画像に対して二値化処理が所望により実行され、二値化画像が生成されることができる。例えば、IR-SLO画像の各画素について、画素値が所定の二値化閾値以上である場合、白画素が与えられ、画素値が二値化閾値未満である場合、黒画素が与えられる。図10は、そのような二値化画像の例を示している。
【0104】
図10に示す二値化画像300の白色領域は、被験者の眼38に向けて放射されるIR-SLO撮像用の光の反射光が検出された領域であり、その中の白色領域302は、被験者の眼の瞳孔領域を表す。さらに、白色領域304は、瞳孔以外の領域、例えばまつげまたはまぶたの領域である。白色領域302および白色領域304は、接続されることがあることに留意されたい。さらに、黒色領域306は、被験者の眼38に向けて放射されたIR-SLO撮像用の光の反射光が検出されていない領域である。図10に示すように、例えば、血管などの黒色領域308は、瞳孔領域を表す白色領域302に現れることがある。
【0105】
したがって、白色領域は、瞳孔領域だけでなく、まつげおよびまぶたの領域も表すことがある。しかしながら、まつげおよびまぶたの白色領域304は、瞳孔の位置が許容範囲内にあるか否かを判定する場合に必要とされない領域である。さらに、瞳孔領域を表す白色領域302に出現した血管などの黒色領域308もまた、瞳孔の位置が許容範囲内であるか否かを判定する場合に必要とされない領域である。
【0106】
したがって、プロセスS124では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、所望により、プロセスS123において生成された二値化画像300から(または二値化が行われない場合には受信画像から)瞳孔以外の不要な領域を除去することにより、判定用画像を生成する。換言すれば、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、二値化画像300から二値画像瞳孔領域以外の不要な領域を除去することにより、判定用画像を生成し、二値画像瞳孔領域は、二値化画像300の瞳孔の少なくとも一部の画像である。より具体的には、例えば、不要領域である白色領域304および黒色領域308は、二値化画像300に対して既知の形態学的操作を実行することにより、二値化画像300から除去される。
【0107】
ここで、形態学的操作とは、処理被験者画像に対してダウンスケール処理およびアップスケール処理を繰り返し行うことにより、画像の特徴部分(本例示的な実施形態では瞳孔)を残し、その他の不要な領域を除去する処理である。二値化画像300に対してこのような形態学的操作を実行することにより、図11に示すように、不要な領域が除去された判定用画像310が生成される。なお、本例示的な実施形態では、形態学的操作により不要領域が除去される場合について説明したが、不要領域を除去する処理は、形態学的操作に限定されるものではないことに留意されたい。例えば、不要な領域は、既知の特徴抽出処理、パターンマッチング処理などを使用して除去されてもよい。
【0108】
プロセスS125では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、判定用画像310の瞳孔領域の少なくとも一部が判定用画像310内の所定の許容領域内にある(瞳孔領域が被験者の眼38の瞳孔の少なくとも一部の画像である)か否かを判定するしたがって、プロセスS124において生成された判定用画像310に基づいて、瞳孔の位置が許容範囲内にあるか否かが判定される。
【0109】
あるいは、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、判定用画像310の瞳孔領域の少なくとも一部によって占有される判定用画像310の所定の許容領域の割合が所定の閾値以上であるか否かを判定してもよい。換言すれば、判定用画像310の所定の判定領域において瞳孔が占める領域の割合が所定の閾値以上であるか否かが判定されてもよい。本例示的な実施形態における判定領域は、例えば、図12に示すように、判定用画像310の幅方向(X方向)に沿った線312に設定される。そして、線312上の総画素数に対する線312上の白色画素(瞳孔を表す画素)が占める画素数の比が閾値以上であるか否かが判定される。ここで、閾値は、白色画素の数が閾値以上である場合に、その後に撮像されるOCT画像の質が許容範囲内になるような値に設定される。
【0110】
線312上の総画素数に対する線312上の白色画素が占める画素数の比が閾値以上である場合、処理は、プロセスS126に進み、停止基準が満たされたか否かが判定される。停止基準は、例えば、第2の網膜画像取得モジュール1-2によるOCT撮像が完了したこととすることができる。停止基準が満たされた場合、処理は停止し、そうでない場合、処理は、プロセスS122に戻る。あるいは、プロセスS125において、比が閾値未満であると判定された場合、処理は、プロセスS127に移行する。
【0111】
プロセスS127では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、プロセスS127における判定を示す出力信号を生成する。一次制御部14は、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2によって生成された出力信号に基づいて表示制御部24を制御して、ディスプレイ26に表示される表示内容を設定し、例えば、OCT画像が正常に撮像されないことを述べる警告メッセージを表示することができる。そして、操作者は、患者に固視目標を見るように指示する。したがって、出力信号を使用して、焦点に対する被験者の眼38の位置を矯正し、瞳孔位置を焦点と位置合わせし続けることができる。
【0112】
あるいは、プロセスS127では、瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2は、生成された出力信号を使用して、眼38の動きを補償するために、したがって瞳孔と焦点との位置合わせを維持するために、眼38の瞳孔に対して楕円ミラー70の焦点の位置決めを調整するように眼科装置10-2のXYZステージなどを制御することができる。プロセスS127の実行に続いて、処理は、プロセスS122に戻り、他の取得されたIR-SLO画像が上述したように処理される。
【0113】
なお、図12の線312は、判定用画像310の幅方向に沿った線であるが、図13に示すように、線312は、判定用画像310の幅方向に対して傾斜していてもよい。さらに、判定領域は、図14に示すように、矩形領域314であってもよい。さらに、判定領域は、矩形以外の自由に選択された多角形領域であってもよい。
【0114】
図9図13を参照して上述した瞳孔位置判定処理のさらなる詳細は、本特許出願と同日に代理人整理番号198 411によって出願された特許出願人の同時係属出願「眼球画像撮像装置」に提供され、その内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。この相互参照された開示の特徴の少なくともいくつかは、本特許出願において主張されることができる。
【0115】
再び図7を参照すると、プロセスS130では、網膜走査位置合わせモジュール4-2として機能する制御部3は、網膜上の第2の網膜画像取得モジュール1-2の走査位置を目標走査位置に位置合わせする。プロセスS130は、瞳孔と焦点との位置合わせが瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2によって維持されている間に実行される。制御部3は、網膜上の第1の網膜画像取得モジュール7の指定された走査位置と第1の網膜画像取得モジュール7によって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定し、判定されたオフセット指標に基づいて、第1の網膜画像取得モジュール7を制御し、初期走査位置から初期走査位置よりも指定された走査位置に近い目的走査位置まで第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置を移動させることにより、網膜上の第2の網膜画像取得モジュール1-2の走査位置を目標走査位置に位置合わせすることができ、第2の網膜画像取得モジュール1-2の目標走査位置は、第2の網膜画像取得モジュール1-2の走査位置である一方で、第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置は、目的走査位置である。
【0116】
より詳細には、制御部3は、第1の網膜画像取得モジュール7を制御して、参照撮像領域内にある網膜の初期撮像領域の現在の網膜画像を取得する。この目的のために、本実施形態のように、制御部3は、命令ストア140に記憶されたルックアップテーブル(図15の404に示す)を使用することができ、これは、それらのポイントにおける画像情報が撮像プロセス中に取得されたときに設定されたH検流計ミラー(H-Galvo)68の対応する傾斜角θおよびV検流計ミラー(V-Galvo)60のφとUWF網膜画像400における画素位置とを相関させる。そのようなルックアップテーブルが使用される場合、制御部3は、参照網膜画像内の目標に最も近い事前に記憶されたポイントに関連する走査角θおよびφをルックアップし、H-Galvo68およびV-Galvo60の駆動を制御し、それらの走査角を中心とする角度範囲にわたってSLO光を偏向することができ、走査の角度範囲は、網膜の撮像領域のサイズを定義する。このようにして、放射光は、指定された目標を中心とするものに対応する、意図された撮像領域に近い網膜上の撮像領域にわたって走査されることができる。初期撮像領域をより正確に設定するために、ルックアップテーブルの値を外挿することで走査角が判定されることができる。しかしながら、参照撮像領域内の初期撮像領域を撮像するための走査角のそのような初期設定は、省略することができ、走査角θおよびφは、代わりに、撮像される参照撮像領域内の初期撮像領域を可能にする任意の他の値に設定されることもできる。
【0117】
そして、制御部3は、目標およびUWF網膜画像400を「グローバルマップ」として使用して、第1の網膜画像取得モジュール7の撮像領域を初期撮像領域から網膜上の目的撮像領域まで移動させ、目的撮像領域の網膜画像を取得するために第1の網膜画像取得モジュール7を制御する。途中で、制御部3は、第1の網膜取得モジュール7によって取得された1又は複数の網膜画像を使用して、グローバルマップ上に画像の現在位置を「ランドマーク」し、目的撮像領域に到達するために必要となる可能性がある撮像領域の位置への任意のさらなる調整を判定することを可能にすることができる。したがって、制御部3は、ルックアップテーブル404に存在する種類の走査位置マッピングを必要とせずに、光学撮像システムの系統的変動による走査位置誤差および固視誤差の影響を受けることなく、段階的に撮像領域を関心のある目的撮像領域に移動させることができる。より具体的には、制御部3は、第1の網膜画像取得モジュール7を制御して、本特許出願と同日に代理人整理番号198 408によって出願された特許出願人の同時係属出願中の「眼科装置」の図5Bを参照して説明される一連のプロセスS42からS48を少なくとも一度実行することにより、第1の網膜画像取得モジュール7の目的撮像領域の網膜画像を取得することができ、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。この相互参照された開示の特徴の少なくともいくつかは、本特許出願において主張されることができる。
【0118】
そして、網膜走査位置維持モジュール5-2は、焦点と瞳孔の位置合わせが瞳孔位置合わせ維持モジュール3-2によって維持されている間に、以下のように、図7に示すプロセスS140からS160を実行することにより、目標走査位置に第2の網膜画像取得モジュール1-2の走査位置を維持する。
【0119】
プロセスS140では、網膜走査位置維持モジュール5-2は、第1の網膜画像取得モジュール7から網膜の一連の画像を取得する一方で、第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置は、目的走査位置に設定される。
【0120】
プロセスS150では、網膜走査位置維持モジュール5-2は、取得された画像を処理して走査位置矯正情報を生成する。網膜走査位置維持モジュール5-2は、本実施形態のように、一連の画像を処理して、走査位置矯正情報として、一連の画像の取得中に網膜の動きを示す網膜位置追跡情報を生成することができる。この場合、網膜走査位置維持モジュール5-2は、(i)網膜の少なくとも1つの画像を受信すること、(ii)少なくとも1つの受信画像に基づいて参照画像と画像との間の相互相関を計算して、画像と参照画像との間のオフセットを取得すること、および網膜位置追跡情報としてシーケンス内の画像のそれぞれのオフセットを取得するプロセス(i)および(ii)を繰り返すことによって処理される一連の画像を処理する。
【0121】
プロセスS160では、網膜走査位置維持モジュール5-2は、生成された走査位置矯正情報を使用して、第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置を目的走査位置に維持し、したがって、第2の網膜画像取得モジュール1-2の位置を目標走査位置に維持する。より具体的には、網膜走査位置維持モジュール5-2は、生成された網膜位置追跡情報を使用してH-Galvo68およびV-Galvo60の駆動を制御し、SLO光走査を目的走査位置に実質的に維持し、したがって眼の動きを少なくとも部分的に矯正することにより、目的走査位置に第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置を維持することができる。あるいは、網膜走査位置維持モジュール5-2は、網膜位置追跡情報に基づいて目標表示モジュール6を制御し、表示された目標の特性(例えば、その色)を変化させて被験者の眼の視線方向を維持して走査位置を安定に保持することができる。
【0122】
一連の網膜画像を処理して一連の画像の取得中に網膜の動きを示す網膜位置追跡情報を生成する有利な方法は、本特許出願と同日に代理人整理番号198 407によって出願された「網膜位置追跡」と題する特許出願人の同時係属出願に記載されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、その特許出願に記載されている処理方法は、受信画像の2つ以上の画素の対応する位置の領域間の類似性の尺度を判定し、判定された類似性の尺度に基づいて参照画像内の他の特徴に関連して撮像された網膜の構造を表す参照画像内の特徴を強調することにより、プロセス(i)および(ii)が繰り返されている間に参照画像を変更することを備える。この相互参照された特許出願に記載された処理方法の特徴の少なくともいくつかは、本特許出願において主張されることができる。
【0123】
図7に示すプロセスS170では、制御部3は、第1の網膜画像取得モジュール7の走査位置が目的走査位置にある間に、第2の網膜画像取得モジュール1-2を制御して網膜画像を取得する。一例として、制御部3は、(約1-2秒の期間にわたって)現在の撮像領域の複数の断層画像を取得し、3D画像を生成するためにOCT画像生成器16によって断層画像を処理することにより、第2の網膜画像取得モジュール1-2を制御して、第2の網膜画像取得モジュール1-2の現在の撮像領域の3D画像を照明して取得することができる。
【0124】
プロセスS170における第2の網膜画像取得モジュール1-2による複数の断層画像の取得中、第1の網膜画像取得モジュール7は、ライブ追跡モードで動作して、第1の網膜画像取得モジュール7の撮像領域が以前に設定されたままである間、網膜の1又は複数のさらなる画像を「後登録画像」として取得することができる。
【0125】
そして、制御部3は、1又は複数の網膜画像に基づいてマーカ網膜画像を生成することができ、また、UWF網膜画像400の少なくとも一部に基づいて比較画像を生成することができる。マーカ網膜画像は、第2の網膜画像取得モジュール1-2が複数の断層画像を取得している間に第1の網膜画像取得モジュール7によって取得された単一の後登録画像に対応することができ、または、例えば、後登録画像の2つ以上の平均の計算によりもしくは画質などの選択基準に応じた複数の後登録画像からの画像の選択により、第2の網膜画像取得モジュール1-2が断層画像を取得している間に第1の網膜画像取得モジュール7によって取得された2つ以上の後登録画像を処理することによって取得されることができる。比較画像は、本実施形態のように、UWF網膜画像400全体に対応してもよく、あるいはUWF網膜画像400の一部のみであってもよい(例えば、網膜走査が行われる可能性が最も高い網膜の領域をカバーする)。そして、制御部3は、マーカ網膜画像を比較画像400と比較し、比較に基づいて、比較画像内のマーカ網膜画像の位置を示すマーカを生成することができる。制御部3は、例えば、マーカ網膜画像と比較画像との間の計算された相互相関に基づいてマーカを生成してもよい。
【0126】
そして、制御部3は、比較画像に関連してマーカを記憶してもよい。マーカは、比較画像に関連するだけでなく、追加的にまたは代替的に、(i)第2の網膜画像取得モジュール1-2によって取得された(3D)網膜画像、(ii)第1の網膜画像取得モジュール7によって取得された1又は複数の後登録網膜画像の少なくとも1つ、(iii)マーカ網膜画像、(iv)参照網膜画像400、および(v)参照網膜画像400のクリップされた領域のうちの1又は複数に関連して記憶されてもよく、ここで、クリップされた領域は、参照網膜画像400内のマーカ網膜画像の判定された位置に配置され、後登録画像と同じサイズ(または好ましくはそれよりも大きい)とすることができる。
【0127】
[変更および変形]
【0128】
上述した実施形態に対して多くの変更および変形を行うことができる。
【0129】
上述した実施形態では、ダイクロイックミラー64の光入射側に、Y方向に走査するポリゴンミラー44と、Y方向に走査するV検流計ミラー60とが配置されている。しかしながら、ダイクロイックミラー64は、スリットミラー66の焦点から光軸方向に離れた位置に配置されてもよく、Y方向に走査するポリゴンミラー44またはV検流計ミラー60は、スリットミラー66の焦点位置に配置されてもよい。そのような場合、ポリゴンミラー44またはV検流計ミラー60は、SLO画像取得およびOCT画像取得中に使用される共有走査光学系として機能する。
【0130】
さらにまた、SLO用の光およびOCT用の光が通過する共有光軸が、ダイクロイックミラー64によって生成される例が説明されたが、ダイクロイックミラー64の代わりに、偏光ビームスプリッタなどのビームスプリッタまたはハーフミラーなどの光学部材が使用されてもよい。
【0131】
上記実施形態では、ポリゴンミラー44およびV検流計ミラー60は、ダイクロイックミラー64の光入射側に配置され、SLOおよびOCTによって共有されるX方向走査用のH検流計ミラー68は、図4に示すように、ダイクロイックミラー64の光放射側に配置される。図16は、図4に示したSLOユニット32、OCTユニット34、および共有光学系36に対応する構成を示している。図16に示すように、装置本体は、ダイクロイックミラー1064、SLOエンジン1032A、およびOCTエンジン1034Aを含む。走査系1044は、ダイクロイックミラー1064とSLOエンジン1032Aとの間に配置されている。さらに、他の走査系1060は、ダイクロイックミラー1064とOCTエンジン1034Aとの間に配置されている。さらなる走査系1068は、ダイクロイックミラー1064と被験者の眼1038との間に配置されている。
【0132】
なお、走査系1044は、ポリゴンミラー44に対応し、SLOエンジン1032Aは、図4のSLOユニット32からポリゴンミラー44を取り除くことによって得られた部分であることに留意されたい。走査系1060は、V検流計ミラー60に対応し、OCTエンジン1034Aは、図4のOCTユニット34からV検流計ミラー60を取り除くことによって得られた部分である。走査系1068は、H検流計ミラー68に対応する。
【0133】
走査光学系に以下の変更を加えることができる。
【0134】
図17は、実施形態の第1の変形例の眼科装置の光学系の概略図である。図17に示すように、ダイクロイックミラー1064の一方の光入射側(SLOエンジン1032A側)にSLO用の2次元走査光学系1104が配置され、ダイクロイックミラー1064の他方の光入射側(OCTエンジン1034A側)にOCT用の2次元走査光学系1102が配置されている。
【0135】
図18は、実施形態の第2の変形例の眼科装置の光学系の概略図である。図18に示すように、SLOおよびOCTによって使用される共有の2次元走査光学系1200は、ダイクロイックミラー1064の光放射側に配置される。
【0136】
さらにまた、上述した全ての走査光学系において、X方向とY方向を入れ替えることにより同様の走査を行うことができる。
【0137】
走査を中継する光学部材として楕円ミラーが使用される例について説明したが、放物面ミラーなどの他の凹面鏡が使用されてもよく、凹面鏡の代わりにレンズなどの光学部材が使用されてもよい。走査を中継する光学部材として、複数の焦点を含む光学部材が使用されてもよい。そのような場合、光学部材、走査光学系、および被験者の眼の位置関係は、以下の態様を採用することができる。
【0138】
第1の態様では、被験者の眼は、1つの焦点位置f1に配置され、SLOおよびOCTによって使用される共有2次元走査光学系は、他の1つの焦点位置f2に配置される。
【0139】
第2の態様では、被験者の眼は、1つの焦点位置f1に配置され、SLOによって使用される2次元走査光学系は、他の1つの焦点位置f2に配置され、OCTによって使用される2次元走査光学系は、さらに他の1つの焦点位置f3に配置される。
【0140】
第3の態様では、被験者の眼は、1つの焦点位置f1に配置され、SLOおよびOCTの双方によって使用されて第1の方向に光を走査する共有1次元走査光学系は、他の1つの焦点位置f2に配置され、SLOによって使用される第1の方向(例えば、直交方向)と交差する第2の方向に光を走査する1次元走査光学系は、さらに他の1つの焦点位置f3に配置され、OCTによって使用される第2の方向に光を走査する1次元走査光学系は、他の1つの焦点位置f3と光学的に等価な位置に配置される。
【0141】
なお、上記各態様において、被験者の眼および走査光学系は、焦点位置の代わりに、焦点位置と光学的に等価な位置に配置されてもよいことに留意されたい。
【0142】
上述した例示的な実施形態では、ポリゴンミラー44の代わりに、微小電気化学システム(MEMS)ミラー、回転ミラー、プリズム、共振ミラーなどが使用されてもよい。
【0143】
上述した例示的な実施形態では、V検流計ミラー60およびH検流計ミラー68の代わりに、MEMSミラー、回転ミラー、プリズム、多角形スキャナ、または共振ミラーが使用されてもよい。
【0144】
上記の例示的な実施形態のそれぞれでは、スリットミラー66および楕円ミラー70によって一対の凹面ミラーが構成される例が説明されたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、スリットミラー66の代わりに、傾斜球面ミラー、非球面ミラー、一対のパラボラミラー、一対の放物面ミラー、レンズ系、またはこれらの適切な組み合わせを採用した光学系が使用されてもよい。
【0145】
さらにまた、上記例示的な実施形態のそれぞれにおいて説明した固視目標光制御処理は、単なる例にすぎない。したがって、言うまでもなく、不要なステップが省略されたり、新たなステップが追加されたり、処理シーケンスが再配置されたりしてもよい。さらに、OCT撮像処理の各項目は、FPGA、ASICなどのハードウェア構成のみによって実装されてもよく、ソフトウェア構成とハードウェア構成とを使用するコンピュータの組み合わせによって実装されてもよい。
以上開示された実施の形態による方法が、以下の付記(1)~(22)に要約される。
(付記1)
被験者の眼(38)の網膜の領域を横切って光を走査して、前記領域を照明するように構成された照明モジュール(1-1;1-2)を有する眼科装置(10-1;10-2)を動作させる方法において、
前記眼の瞳孔を前記照明モジュール(1-1;1-2)の焦点に位置合わせするプロセスと、
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせに続いて、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点の位置合わせを維持するプロセスと、
前記監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点の位置合わせが維持されながら、
前記網膜上の前記照明モジュール(1-1;1-2)の走査位置を目標走査位置に位置合わせするプロセスと、
前記網膜の監視部分から網膜特徴情報を取得し、
前記取得された網膜特徴情報を処理して走査位置矯正情報を生成し、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して前記目標走査位置に前記走査位置を維持すること
により、前記目標走査位置に前記走査位置を維持するプロセスとを実行するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記走査位置が前記目標走査位置に維持されている間に、前記目標走査位置において前記網膜の領域を照明するために前記目標走査位置において走査を実行するプロセスとを備える、方法。
(付記2)
前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記焦点を前記瞳孔に位置合わせするように、前記監視位置に基づいて前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記焦点を調整することにより、前記眼(38)の瞳孔が前記焦点と位置合わせされる、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記眼(38)の瞳孔が、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記監視位置に基づいて、
前記瞳孔が前記焦点と位置合わせするように前記被験者に前記眼を移動させる信号、および、
前記焦点を前記瞳孔と一致させるように前記眼科装置(10-1;10-2)の操作者に前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記焦点を制御させる信号
のうちの少なくとも1つを生成することによって前記焦点と位置合わせされる、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記焦点に対する前記瞳孔の位置合わせが、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記監視位置に基づいて、前記位置合わせを維持するように、前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記焦点を調整することによって維持される、付記1~付記3の何れか1項に記載の方法。
(付記5)
前記焦点と前記瞳孔の位置合わせが、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記監視位置に基づいて、
前記位置合わせを維持するように前記被験者に前記眼を移動させる信号、および、
前記位置合わせを維持するように前記眼科装置(10-1;10-2)の操作者に前記照明モジュール(1-1;1-2)の焦点を制御させる信号
のうちの少なくとも1つを生成することによって維持される、付記1~付記3の何れか1項に記載の方法。
(付記6)
前記信号が、音声信号、視覚信号、および触覚フィードバック信号のうちの少なくとも1つを含む、付記3または付記5に記載の方法。
(付記7)
前記網膜上の前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置が、
前記網膜上の指定された走査位置と前記照明モジュールによって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定すること、および
前記判定されたオフセット指標に基づいて前記照明モジュール(1-1;1-2)を制御し、前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置を前記初期走査位置から前記初期走査位置よりも前記指定された走査位置に近い目的走査位置まで移動させることであって、前記目的走査位置が前記目標走査位置である、移動させること
によって前記目標走査位置に位置合わせされる、付記1~付記6の何れか1項に記載の方法。
(付記8)
前記眼科装置(10-1;10-2)が、さらに、前記被験者の眼(38)の視線方向を設定するために前記被験者に目標を表示するように構成された目標表示モジュール(6)を備え、前記網膜上の前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置が、
前記網膜上の指定された走査位置と前記照明モジュール(1-1;1-2)によって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定すること、および、
前記判定されたオフセット指標に基づいて、前記目標表示モジュール(6)を制御して、前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置を前記目標走査位置と位置合わせする視線方向に前記被験者の眼(38)の視線を設定するように前記目標を表示すること
によって前記目標走査位置に位置合わせされる、付記1~付記6の何れか1項に記載の方法。
(付記9)
前記走査が前記照明モジュール(1-1;1-2)によって実行される間に前記網膜特徴情報として前記網膜の監視部分の画像を取得し、
前記走査位置矯正情報として、指定された走査位置と前記網膜の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成し、
前記走査位置矯正情報に基づいて前記照明モジュール(1-1;1-2)を制御して前記走査位置を前記目標走査位置に維持することにより、
前記走査位置が前記目標走査位置に維持される、付記1~付記8の何れか1項に記載の方法。
(付記10)
さらに、前記被験者の眼(38)の視線方向を設定するために前記被験者に目標を表示するように構成された目標表示モジュール(6)を備え、
前記網膜特徴情報として前記走査が前記照明モジュール(1-1;1-2)によって実行されている間に前記網膜の監視部分の画像を取得し、
前記走査位置矯正情報として、指定された走査位置と前記網膜上の取得画像の走査位置との間のそれぞれのオフセットの指標を生成し、
前記被験者の眼(38)の視線方向を維持し且つ前記走査位置を前記目標走査位置に維持するように前記走査位置矯正情報に基づいて前記目標表示モジュール(6)を制御して前記表示された目標の特性を変化させることにより、
前記走査位置が前記目標走査位置に維持される、付記1~付記8の何れか1項に記載の方法。
(付記11)
さらに、前記被験者の眼の視線方向を設定するために、前記被験者に目標を表示することを備える、付記1~付記10の何れか1項に記載の方法。
(付記12)
中心視線方向に沿って前記被験者の眼の視線方向を設定するための目標が、前記被験者に表示される、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記目標が、中央視線方向に沿って前記被験者の眼の視線方向を設定するために表示される間、
前記眼の瞳孔を前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記焦点に位置合わせするプロセスと、
前記瞳孔と前記焦点の位置合わせに続いて、前記焦点に対する前記瞳孔の位置を監視し、前記監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点の位置合わせを維持するプロセスとを備える、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記監視位置に基づいて前記瞳孔と前記焦点との位置合わせを維持しながら、前記中心視線方向に沿って前記被験者の眼(38)の視線方向を設定するために前記目標が表示される間、
前記網膜上の前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置を前記目標走査位置に設定するプロセスと、
前記走査位置の位置合わせに続いて、前記目標走査位置において前記網膜の領域を照明するために前記目標走査位置において走査を実行し、前記走査が実行されている間、前記走査位置を前記目標走査位置に維持するプロセスとを実行することを備える、付記12または付記13に記載の方法。
(付記15)
前記眼科装置(10-2)が、さらに、前記焦点を介して前記網膜の第2の領域を横切って光を走査し、前記眼(38)が前記焦点に配置されたときに前記第2の領域から反射された光を受光するように構成された撮像モジュール(7)を備え、前記方法が、前記瞳孔と前記焦点との位置合わせが前記監視位置に基づいて維持されている間に、
前記網膜上の前記撮像モジュール(7)の指定された走査位置と前記撮像モジュール(7)によって実行される走査の初期走査位置との間のオフセットを示すオフセット指標を判定し、
前記判定されたオフセット指標に基づいて、前記撮像モジュール(7)を制御し、前記撮像モジュール(7)の前記走査位置を前記初期走査位置から前記初期走査位置よりも前記指定された走査位置に近い目的走査位置まで移動させる
ことにより、前記網膜上の前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置を前記目標走査位置に設定することを備え、前記照明モジュール(7)の前記目標走査位置が、前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置であり、前記撮像モジュール(7)の前記走査位置が前記目的走査位置であり、前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置が、前記照明モジュール(1-1;1-2)および前記撮像モジュール(7)の同時動作中に、前記撮像モジュール(7)の前記走査位置と所定の位置関係を有する、付記1~付記6の何れか1項に記載の方法。
(付記16)
前記照明モジュール(1-1;1-2)の前記走査位置の前記目標走査位置への位置合わせに続いて、前記目標走査位置において前記走査を実行して前記目標走査位置において前記網膜の領域を照明することを備え、前記走査が実行されている間、
前記撮像モジュール(7)から、前記網膜特徴情報として、前記目的走査位置における前記網膜の一連の画像を取得するプロセスと、
前記撮像モジュール(7)によって取得された前記一連の画像を処理して前記走査位置矯正情報を生成するプロセスと、
前記生成された走査位置矯正情報を使用して、前記目的走査位置における前記撮像モジュール(7)の前記走査位置を維持するプロセスとを実行する、付記15に記載の方法。
(付記17)
前記撮像モジュール(7)の前記走査位置が、
前記一連の画像を処理して、前記走査位置矯正情報として、前記一連の画像の取得中に前記網膜の動きを示す網膜位置追跡情報を生成することにより、前記目的走査位置に維持され、前記一連の画像が、
(i)前記網膜の少なくとも1つの画像を受信し、
(ii)前記少なくとも1つの受信画像に基づいて参照画像と画像との間の相互相関を計算して、前記画像と前記参照画像との間のオフセットを取得し、
プロセス(i)および(ii)を繰り返して、前記網膜位置追跡情報として、前記一連の画像のそれぞれのオフセットを取得し、
前記取得した網膜追跡情報を使用して、前記撮像モジュール(7)の前記走査位置を維持する
ことによって処理される、付記16に記載の方法。
(付記18)
さらに、前記プロセスの少なくともいくつかの間に、前記被験者の眼(38)の視線方向を中心視線方向に沿って設定するための目標を前記被験者に表示することを備える、付記15~付記17の何れか1項に記載の方法。
(付記19)
前記撮像モジュール(7)が、それによって放射される光ビームの方向を前記焦点の周りで少なくともθの角度だけ回転させることによって、ここでθが、30度、60度、および100度のいずれかであり、且つ前記網膜からの反射光を受光することによって、前記網膜の広視野画像を取得するように構成される、付記15~付記18の何れか1項に記載の方法。
(付記20)
前記撮像モジュール(7)が、走査型レーザ検眼鏡を備え、前記照明モジュール(1-2)が、さらに、前記網膜の領域の画像を取得するように前記瞳孔の領域から反射された光を受光して取得するように構成され、前記照明モジュール(1-2)が、光干渉断層撮像装置、高密度走査レーザ検眼鏡、および高密度共焦点走査レーザ検眼鏡のうちの1つを備える、付記15~付記19の何れか1項に記載の方法。
【0146】
以上、図面を参照して本発明の例示的な実施形態について説明したが、例示的な実施形態の具体的な構成は、これらに限定されるものではなく、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で設計などを包含するものである。
【0147】
本明細書で言及される全ての出版物、特許出願および技術標準は、個々の出版物、特許出願、または技術標準が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18