(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車両用ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20231205BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231205BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20231205BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H02G3/04 062
B60R16/02 620A
H02G3/30
H01B7/00 301
H01B7/00 305
(21)【出願番号】P 2019230846
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】今村 粋仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜誠
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136536(JP,A)
【文献】特開2007-259604(JP,A)
【文献】特開平11-215641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0337520(US,A1)
【文献】特開2017-220291(JP,A)
【文献】特開2018-038182(JP,A)
【文献】実開平03-003116(JP,U)
【文献】特開2017-189002(JP,A)
【文献】実開昭58-007383(JP,U)
【文献】特開2019-122114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H02G 3/30
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電状態で電流が流れる長尺状のケーブルと、
シート状に形成されて厚さ方向一方の側に前記ケーブルが配置され、前記ケーブルの長手方向を軸方向とする軸周り方向に撓曲されることによって前記ケーブルを内側に包んだ状態で車両室内における所定の取付部に支持される外装材と、
前記外装材に設けられ、前記ケーブルが前記外装材に包まれた状態で前記外装材において前記外装材の厚さ方向に重なる部分を連結させて、前記ケーブルを包んだ状態で前記外装材を保持する連結部材と、
を備え、
前記外装材における前記連結部材によって連結される部分は、前記外装材の撓曲によって前記外装材の厚さ方向一方の側の面が互いに対向する部分とされ、かつ前記連結部材は、前記外装材における前記連結部材によって連結される部分を前記外装材の厚さ方向に圧縮することによって連結され、
前記外装材において撓曲される方向の一端部における当該外装材の厚さ方向他方の側の面には、前記所定の取付部へ係合されることによって前記ケーブルを包んだ前記外装材を前記所定の取付部に支持させる係合部材が設けられ
、
前記係合部材は、鉤状に曲がった部分を有し、前記係合部材において鉤状に曲がった部分が前記所定の取付部に引っ掛けられることによって前記係合部材が前記所定の取付部に係合される車両用ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記外装材は、少なくとも厚さ方向側の面が起毛され、前記連結部材は、前記外装材における前記連結部材の取付部分とは別の部位で前記外装材の起毛部分に係合されることによって前記外装材の厚さ方向側の面へ連結される請求項1に記載の車両用ワイヤハーネス。
【請求項3】
前記連結部材は、前記外装材の前記連結部材によって連結された部分に対する連結解除方向への外力の付与により前記連結部材による前記外装材の連結解除可能とされた請求項1又は請求項2に記載の車両用ワイヤハーネス。
【請求項4】
前記外装材よりも剛性が高く、前記ケーブルの長手方向に対して交差する方向への前記外装材の曲げを抑制する芯材を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用ワイヤハーネス。
【請求項5】
長手方向中間部よりも一方の側で互いに略平行に配置された前記ケーブルを複数備えると共に、分岐部分で複数の前記ケーブルの少なくとも1つの長手方向他方の側が、他の前記ケーブルの長手方向他方の側とは異なる方向へ延び、
前記外装材は、複数の前記ケーブルの分岐部分を包む分岐外装部を備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における電力の供給や電気信号の送受信するケーブルを車両室内に取り付けるための車両用ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたワイヤハーネスは、複数の電線が結束バンドによって束ねられている。さらに、結束バンドによって束ねられた複数の電線は、不織布外装材によって包まれる。この不織布外装材には、電線を束ねた結束バンドが更に巻き付けられる。これによって、不織布外装材が電線を包んだ状態で保持される。
【0003】
結束バンドには、係止頭部が設けられており、係止頭部が車体パネルの挿通孔に挿通されることでワイヤハーネスが車体パネルに取り付けられる。ところで、このようなワイヤハーネスは、電線を束ねる結束バンドと、結束バンドによって束ねられた電線を包む不織布外装材とによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、構成部品の低減が可能な車両用ワイヤハーネスを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用ワイヤハーネスは、通電状態で電流が流れる長尺状のケーブルと、シート状に形成されて厚さ方向一方の側に前記ケーブルが配置され、前記ケーブルの長手方向を軸方向とする軸周り方向に撓曲されることによって前記ケーブルを内側に包んだ状態で車両室内における所定の取付部に支持される外装材と、前記外装材に設けられ、前記ケーブルが前記外装材に包まれた状態で前記外装材において前記外装材の厚さ方向に重なる部分を連結させて、前記ケーブルを包んだ状態で前記外装材を保持する連結部材と、を備え、前記外装材における前記連結部材によって連結される部分は、前記外装材の撓曲によって前記外装材の厚さ方向一方の側の面が互いに対向する部分とされ、かつ前記連結部材は、前記外装材における前記連結部材によって連結される部分を前記外装材の厚さ方向に圧縮することによって連結され、前記外装材において撓曲される方向の一端部における当該外装材の厚さ方向他方の側の面には、前記所定の取付部へ係合されることによって前記ケーブルを包んだ前記外装材を前記所定の取付部に支持させる係合部材が設けられ、前記係合部材は、鉤状に曲がった部分を有し、前記係合部材において鉤状に曲がった部分が前記所定の取付部に引っ掛けられることによって前記係合部材が前記所定の取付部に係合される。
【0007】
請求項1に記載の車両用ワイヤハーネスによれば、ケーブルが外装材の厚さ方向一方の側に配置された状態で外装材がケーブルの長手方向を軸方向とする軸周りに撓曲される。これによって、ケーブルが外装材の内側に包まれる。この状態で、外装材において外装材の厚さ方向に対向する部分が連結部材によって連結されると、外装材は、ケーブルを包んだ状態で保持される。この状態の外装材は、例えば、車両室内等におけるシートの骨格部材や車両の車体等の所定の取付部に支持される。
【0008】
このように、本車両用ワイヤハーネスでは、外装材に連結部材が設けられており、外装材と連結部材とは、実質的に1部材とみなすことができる。このため、外装材によってケーブルを包んだ状態で保持するために要する部品点数を低減できる。
【0010】
また、本発明によれば、外装材の厚さ方向一方の側に配置されたケーブルの長手方向を軸方向とする軸周りに外装材が撓曲されてケーブルが外装材に包まれた状態で、外装材の厚さ方向一方の側の面が互いに対向される。この状態で、外装材の厚さ方向一方の側の面が互いに対向された部分が外装材の厚さ方向に圧縮されると、外装材において外装材の厚さ方向一方の側の面が互いに対向された部分は、連結手段によって互いに連結される。これによって、外装材は、ケーブルを包んだ状態で保持される。
さらに、本発明によれば、外装材において撓曲される方向の一端部における当該外装材の厚さ方向他方の側の面には係合部材が設けられ、係合部材が車両室内における所定の取付部へ係合されることによってケーブルを包んだ外装材が車両室内における所定の取付部に支持される。このように、車両室内における所定の取付部へ取付けるための係合部材が外装材に設けられるため、実質的に外装材と係合部材とが1部品になる。これによって、部品点数の低減を図ることができる。
また、係合部材において鉤状に曲がった部分が所定の取付部に引っ掛けられることによって係合部材が所定の取付部に係合される。このため、係合部材を所定の取付部へ係合させる作業が容易である。
【0011】
請求項2に記載の車両用ワイヤハーネスは、請求項1に記載の車両用ワイヤハーネスにおいて、前記外装材は、少なくとも厚さ方向側の面が起毛され、前記連結部材は、前記外装材における前記連結部材の取付部分とは別の部位で前記外装材の起毛部分に係合されることによって前記外装材の厚さ方向側の面へ連結される。
【0012】
請求項2に記載の車両用ワイヤハーネスによれば、外装材の少なくとも厚さ方向側の面は起毛され、連結部材は、外装材における連結部材の取付部分とは別の部位で外装材の起毛部分に係合されることによって外装材の厚さ方向側の面へ連結される。このように、連結部材は、外装材に直接係合されて外装材における連結部材の取付部分を外装材の他の部分へ連結させて、外装材がケーブルを包んだ状態で保持する。
【0013】
請求項3に記載の車両用ワイヤハーネスは、請求項1又は請求項2に記載の車両用ワイヤハーネスにおいて、前記連結部材は、前記外装材の前記連結部材によって連結された部分に対する連結解除方向への外力の付与により前記連結部材による前記外装材の連結解除可能とされている。
【0014】
請求項3に記載の車両用ワイヤハーネスによれば、外装材の連結部材によって連結された部分に対して連結解除方向への外力が付与されると、連結部材による外装材の連結解除が可能とされる。したがって、このようにして連結部材による外装材の連結が解除されると、ケーブルが外装材によって包まれた状態の解除ができ、ケーブルの交換等のメンテナンス等を容易にできる。
【0019】
請求項4に記載の車両用ワイヤハーネスは、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用ワイヤハーネスにおいて、前記外装材よりも剛性が高く、前記ケーブルの長手方向に対して交差する方向への前記外装材の曲げを抑制する芯材を備えている。
【0020】
請求項4に記載の車両用ワイヤハーネスによれば、ケーブルの長手方向に対して交差する方向への外装材の曲げが芯材によって抑制される。このため、ケーブルを包んだ外装材が曲がることによってケーブルが曲がることを抑制できる。なお、芯材による外装材の曲げの抑制、ひいては、ケーブルの曲げの抑制とは、外装材及びケーブルが直線状に延びた状態から曲がることを抑制することのみならず、所定形状に曲がった外装材及びケーブルが、異なる曲げ状態や直線状に延びた状態に変化することを抑制することも含んでいる。
【0021】
請求項5に記載の車両用ワイヤハーネスは、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用ワイヤハーネスにおいて、長手方向中間部よりも一方の側で互いに略平行に配置された前記ケーブルを複数備えると共に、分岐部分で複数の前記ケーブルの少なくとも1つの長手方向他方の側が、他の前記ケーブルの長手方向他方の側とは異なる方向へ延び、前記外装材は、複数の前記ケーブルの分岐部分を包む分岐外装部を備えている。
【0022】
請求項5に記載の車両用ワイヤハーネスには、複数のケーブルが設けられる。これらのケーブルの長手方向中間部よりも一方の側で略平行に配置される。これに対して、これらのケーブルは、分岐部分において少なくとも1つのケーブルの長手方向他方の側が、他のケーブルの長手方向他方の側へ延びている。
【0023】
ここで、本車両用ワイヤハーネスでは、分岐外装部が外装材に形成され、ケーブルの分岐部分が分岐外装部によって包まれる。このため、ケーブルの分岐部分を保護できる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、本発明に係る車両用ワイヤハーネスは、構成部品を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスが適用された車両の室内を車幅方向左側から見た側面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの展開状態の分解斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの組付状態の斜視図である。
【
図4】
図3の4-4線に沿って切った断面図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの展開状態の分解斜視図である。
【
図6】
図4に対応した第2の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの断面図である。
【
図7】(A)は、第2の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの展開状態の平面図で、(B)は、第1外装部、第2外装部が折り畳まれた状態を示し、(C)は、分岐外装部がケーブルの分岐部近傍に巻き付けられた状態を示し、(D)は、第3外装部が折り畳まれた状態を示す。
【
図8】(A)は、第3の実施の形態に係る車両用ワイヤハーネスの展開状態の平面図で、(B)は、第5外装部、第6外装部が巻かれた状態を示し、(C)は、(B)におけるC-C線に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の各実施の形態を
図1から
図8の各図に基づいて説明する。なお、各図において適宜示される矢印Lは、車両用ワイヤハーネス10(ケーブル26、展開状態の外装材30)の長手方向一方の側を示す。また、矢印Wは、展開状態での外装材30の幅方向一方の側を示す。さらに、矢印Tは、展開状態での外装材30の厚さ方向一方の側を示す。また、矢印FRは、本車両用ワイヤハーネス10が適用された車両12の前側を示し、矢印LHは、車両12の車幅方向左側を示し、矢印UPは、車両12の上側を示す。
【0027】
また、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0028】
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、本車両用ワイヤハーネス10は、例えば、車両12の車両用シート14の車両下側に設けられる。車両用シート14は、シートバック18と共にシート本体16を構成するシートクッション20を備えており、シートクッション20は、概ね、車両前後方向に長いアッパレール22に支持されている。
【0029】
アッパレール22の車両下側には、概ね、車両前後方向に長いロアレール24が設けられており、アッパレール22は、ロアレール24に案内されて車両前後方向へスライドできる。車両用シート14にはシート移動手段としてのスライド用モータ(図示省略)が設けられており、アッパレール22は、スライド用モータの駆動力によってロアレール24に対して車両前後方向へスライドされる。
【0030】
また、車両用シート14では、シートバック18がシートクッション20に対してシートバック18の車両下側部分でシートクッション20の車両後側部分を中心に車幅方向を軸方向とする軸周り方向へ回動可能とされている。さらに、車両用シート14は、シートバック傾動手段としてのリクライニングモータ(図示省略)を備えており、シートバック18は、リクライニングモータの駆動力によってシートクッション20に対して回動する。
【0031】
さらに、車両用シート14のシートクッション20の車幅方向側方には、車両12のシートベルト装置を構成するバックル装置のバックル25が設けられている。シートベルト装置は、シートベルトリトラクタを含んで構成されており、シートベルトリトラクタに設けられたスプール(巻取軸)には、長尺帯状のウェビングが長手方向基端側から巻き取られて収納されている。ウェビングには、タングが設けられている。車両用シート14に着座した車両12の乗員の身体にウェビングが掛け回された状態でタングがバックル25に挿入されるとタングがバックル25に保持される。この状態では、乗員の身体がウェビングによって拘束されたウェビング装着状態になる。
【0032】
バックル25の内側にはバックルスイッチが設けられている。バックルスイッチは、車両12に搭載されたバッテリーへ電気的に接続されている。また、バックルスイッチは、車両に搭載された制御装置を介してシートベルトリマインダへ電気的に接続されている。シートベルトリマインダは、音響警告装置や車両12のインパネに設けられたインジケータを含んで構成されている。タングがバックル25に保持されていない状態で、車両12が走行すると、インジケータを点灯又は点滅させ或いは音響警告装置が警報音を出すことで、タングがバックル25に保持されていないことを報知する。
【0033】
図2から
図4の各々に示されるように、本車両用ワイヤハーネス10は、複数のケーブル26を備えている。ケーブル26の長手方向一方の端部は、
図1に示されるコネクタ28に機械的且つ電気的に接続されている。コネクタ28は、例えば、車両12に搭載された制御装置(図示省略)やバッテリー(図示省略)へ他のケーブルを介して間接的に接続されている。これに対して、複数のケーブル26の長手方向他方の端部は、直接又は他のコネクタやケーブル等を介して上述したスライド用モータ、リクライニングモータ、バックルスイッチ等、電力が供給されることによって作動する車載電気機器へ電気的に接続されている。
【0034】
また、
図2及び
図4に示されるように、本車両用ワイヤハーネス10は、外装材30を備えている。外装材30は、シート状の不織布によって形成されている。また、外装材30の長手方向は、ケーブル26において外装材30が設けられる部分でのケーブル26の長手方向とされる。上記の複数のケーブル26は、展開状態(
図2図示状態、
図4の二点鎖線状態)の外装材30の長手方向一方の側に配置される。
【0035】
外装材30は、幅方向略中間部における厚さ方向一方の側を曲率の中心として撓曲される。これによって、複数のケーブル26は、外装材30によって包まれる。
図3及び
図4に示されるように、この状態で、外装材30の幅方向一方の端部における厚さ方向一方の面と、外装材30の幅方向他方の端部における厚さ方向一方の面とが対向される。
【0036】
さらに、外装材30の幅方向一方の端部における厚さ方向一方の側には、連結部材32が設けられている。連結部材32は、シート状とされ、外装材30の厚さ方向一方の面へ縫合等によって一体的に固定されている。連結部材32の厚さ方向一方の面(外装材30の厚さ方向に外装材30とは反対側の面)には、フック状に起毛されたフック部34(
図4において一点鎖線の矩形で囲まれた(A)部を参照)が多数形成されている。すなわち、連結部材32は、所謂「面ファスナのフック側」と同様の構成とされている。
【0037】
複数のケーブル26を包んだ状態で連結部材32は、外装材30の幅方向他方の端部における厚さ方向一方の側の面へ押し付けられる。これによって、連結部材32のフック部34が、外装材30の幅方向他方の端部における厚さ方向一方の側の面の繊維36(
図4において一点鎖線の矩形で囲まれた(A)部を参照)に係合される。これによって、外装材30の幅方向両端部が連結され、外装材30は、略筒状にされ、外装材30において略筒状となった部分の内側に上記の複数のケーブル26が配置される。
【0038】
一方、展開状態の外装材30の幅方向他方の端部における厚さ方向他方の側には、係合部材38が設けられている。係合部材38は、平板状の基部を備えており、この係合部材38の基部が縫合等によって外装材30へ一体的に固定されている。係合部材38の基部における外装材30の幅方向他方の側には、曲部が形成され、曲部は、展開状態の外装材30の厚さ方向他方の側へ湾曲され、更に、展開状態の外装材30の幅方向一方の側へ延びている。すなわち、係合部材38は、係合部材38の曲部の曲率の中心軸方向に見て、鉤状(略J字状)とされている。
【0039】
この係合部材38に対応して、「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22の壁部には、孔部40が形成されている。孔部40は、アッパレール22の壁部を車幅方向に貫通形成されており、係合部材38の曲部は、孔部40を貫通している。これによって、係合部材38の曲部は、車両下側から孔部40の内周部の車両下側部分に支持され(引っ掛けられ)、外装材30、ひいては、車両用ワイヤハーネス10が「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22に支持される。
【0040】
<第1の実施の形態の作用、効果>
本車両用ワイヤハーネス10では、連結部材32及び係合部材38が縫合等によって外装材30に予め固定される。この状態で、複数のケーブル26が、
図4の二点鎖線で示される外装材30の厚さ方向一方の側に配置される。この状態で、外装材30の幅方向一方の側は、
図4における矢印C1方向側へ撓曲され、外装材30の幅方向他方の側は、
図4における矢印C2方向側へ撓曲される。
【0041】
図4において実線で示されるように、このように撓曲された外装材30の幅方向一方の端部の厚さ方向一方の面は、外装材30の幅方向他方の端部の厚さ方向一方の面と対向される。この状態で、外装材30の幅方向一方の端部が外装材30の幅方向他方の端部へ相対的に押し付けられる(すなわち、この状態での外装材30の幅方向両端部の厚さ方向に外装材30の幅方向両端部が圧縮される)。
【0042】
これによって、外装材30の幅方向一方の端部に固定された連結部材32のフック部34が、外装材30の幅方向他方の端部の繊維36に係合される。これによって、外装材30の幅方向両端部が連結され、外装材30は、長手方向両端が開口した略筒状とされ、複数のケーブル26は、略筒状となった外装材30の内側に配置される。
【0043】
この状態で、外装材30に固定された係合部材38の曲部が、「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22の壁部に形成された孔部40に貫通配置される。これによって、係合部材38の曲部は、車両下側から孔部40の内周部の車両下側部分に支持される。これによって、外装材30、ひいては、車両用ワイヤハーネス10が「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22に支持される。これによって、車両用ワイヤハーネス10が、「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22に取り付けられる。
【0044】
ここで、本車両用ワイヤハーネス10は、連結部材32及び係合部材38が縫合等によって外装材30に予め固定され、外装材30、連結部材32、係合部材38は、実質的い一体の1つの部品とされる。したがって、複数のケーブル26を1部品で束ねて保持し、しかも、「車両12の室内における所定の係合部」の一態様である上記のアッパレール22に取り付けることができる。このため、本車両用ワイヤハーネス10は、部品点数を低減でき、低コストにできる。
【0045】
また、連結部材32を外装材30の幅方向他方の端部から引き離せば、外装材30による複数のケーブル26の保持を容易に解消できる。このため、本車両用ワイヤハーネス10では、ケーブル26の交換等のメンテナンスが容易である。しかも、複数のケーブル26は、外装材30によって束ねられている。このため、本車両用ワイヤハーネス10では、上記のように、外装材30による複数のケーブル26の保持を解消することによって、例えば、1本のケーブル26のみを交換することが可能で、メンテナンス等における作業性も向上する。
【0046】
さらには、本車両用ワイヤハーネス10では、連結部材32を外装材30の幅方向他方の端部から引き離した後に、再度、連結部材32を外装材30の幅方向他方の端部へ押し付ければ、外装材30の幅方向両端部が再び連結される。このように、本車両用ワイヤハーネス10では、連結部材32による外装材30の幅方向両端部の連結と連結の解消とを繰り返すことが可能である。
【0047】
さらに、係合部材38の曲部が「車両12の室内における所定の係合部」の一態様であるアッパレール22の孔部40を貫通するだけで、本車両用ワイヤハーネス10の取り付けが可能であるため、車両用ワイヤハーネス10の取付作業の作業性を向上できる。しかも、係合部材38の曲部をアッパレール22の孔部40から抜けば、車両用ワイヤハーネス10をアッパレール22から外すことができる。このように、車両用ワイヤハーネス10の取外作業が容易であることから、この意味でも、メンテナンス等における作業性の向上を図ることができる。
【0048】
また、本車両用ワイヤハーネス10は、シート状の外装材30を撓曲させて外装材30で複数のケーブル26を包む構成である。このため、外装材30で包むケーブル26の数の自由度が高い。しかも、外装材30に包まれたケーブル26の長手方向に各ケーブル26は、外装材30に対して相対移動できる。このため、例えば、外装材30や複数のケーブル26の少なくとも1つの長手方向両端部が互いに接離する方向へ移動されるような部位に本車両用ワイヤハーネス10が取り付けられた場合でも、ケーブル26が外装材30に対して相対移動されることで、曲げ等によるケーブル26への負荷が軽減される。
【0049】
さらに、外装材30は、不織布によって形成されている。このため、車両12の走行時等に外装材30が揺れて、外装材30がアッパレール22等へ衝突しても、衝突音の発生を軽減できる。
【0050】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0051】
図5及び
図6に示されるように、本実施の形態に係る車両用ワイヤハーネス10は、芯材としてのプレート材52を備えている。プレート材52は、合成樹脂材によって板状に形成されており、外装材30の展開状態でのプレート材52の長手方向は、外装材30の長手方向に沿い、プレート材52の幅方向は、外装材30の幅方向に沿っている。プレート材52は、展開状態での外装材30の厚さ方向一方の側で縫合等によって外装材30に固定されている。このため、プレート材52は、外装材30と複数のケーブル26との間に配置されている。
【0052】
ここで、プレート材52の剛性は、外装材30の剛性よりも高く設定されており、プレート材52は、外装材30よりも曲がりにくい。このため、複数のケーブル26及びプレート材52が外装材30によって包まれた状態(
図5図示状態)で、外装材30内のケーブル26の長手方向に対して交差する方向の外力が外装材30の外側から外装材30に付与されても、外装材30及び外装材30内の複数のケーブル26が、外力によって曲げられることを抑制できる。したがって、ケーブル26に曲げ荷重を付与したくないような箇所にプレート材52を配置することによってケーブル26への曲げ荷重の付与を抑制できる。
【0053】
また、本実施の形態では、プレート材52が合成樹脂材によって形成されている。このため、ケーブル26が外装材30に固定されたプレート材52に接触した状態でケーブル26の長手方向に相対移動されても、ケーブル26のプレート材52による損傷等を抑制できる。
【0054】
さらに、プレート材52は、外装材30に縫合等によって予め固定される。このため、外装材30とプレート材52とは実質的に1つの部品とみなすことができ、部品点数を低減できる。
【0055】
なお、本実施の形態では、プレート材52を外装材30の厚さ方向一方の側に設けたが、プレート材52を外装材30の厚さ方向他方の側で縫合等によって外装材30に固定してもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、プレート材52は、合成樹脂材によって形成されていた。しかしながら、プレート材52は、鉄等の金属や木材等、合成樹脂材以外の材質であってもよい。
【0057】
さらに、本実施の形態では、芯材が板状のプレート材52であった。しかしながら、例えば、芯材は、外装材30内でのケーブル26の長手方向に長尺の棒状であってもよい。すなわち、芯材の形状は、板状に限定されることなく広く適用できる。
【0058】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について
図7(A)から
図7(D)の各図に基づいて説明する。なお、
図7(A)から
図7(D)の各図において矢印Xは、
図7(A)から
図7(D)の各図の紙面左右方向右側を示し、矢印Yは、
図7(A)から
図7(D)の各図の紙面上下方向上側を示す。また、本実施の形態の説明では、
図7(A)から
図7(D)の各図の紙面右側、紙面左側、紙面上側、紙面下側の各々を単に上側、下側、右側、左側と称する。
【0059】
図7(A)に示されるように、本実施の形態では、外装材30は、第1外装部62、第2外装部64、第3外装部66、分岐外装部68を備えている。第1外装部62は、展開状態で略矩形とされており、第1外装部62の左右方向中間部に2本のケーブル26の長手方向が上下方向に沿うように配置される。第1外装部62における左側の端部には連結部材32が設けられており、連結部材32は、第1外装部62へ縫合等によって固定されている。左右方向略中央部分(
図7(A)における一点鎖線部分)で第1外装部62が谷折りされると、第1外装部62の連結部材32が第1外装部62の右側の部分へ連結される。
【0060】
第2外装部64は、展開状態で略矩形とされており、第1外装部62の上側に配置されている。第2外装部64には、2本のケーブル26のうちの1本が配置されており、第2外装部64上でケーブル26の長手方向は、上下方向とされている。第2外装部64における左側の端部には連結部材32が設けられており、連結部材32は、第2外装部64へ縫合等によって固定されている。第2外装部64の左右方向略中央部分(
図7(A)における一点鎖線部分)で第2外装部64が谷折りされると、第2外装部64の連結部材32が第2外装部64の右側の部分へ連結される。
【0061】
第3外装部66は、展開状態で略矩形とされており、第1外装部62の右側に配置されている。第3外装部66には、2本のケーブル26のうちの他の1本が配置される。この他の1本のケーブル26は、第1外装部62における上側の端部近傍で右側へ曲がって第3外装部66側へ延びている。したがって、第3外装部66上でのケーブル26の長手方向は、左右方向とされている。すなわち、2本のケーブル26は、第1外装部62における上側の端部近傍で分岐されている。
【0062】
第3外装部66の下側の端部には連結部材32が設けられており、連結部材32は、第3外装部66へ縫合等によって固定されている。第3外装部66における上下方向略中央部分(
図7(A)における一点鎖線部分)で第3外装部66が谷折りされると、第3外装部66の連結部材32が第3外装部66上側の部分へ連結される。
【0063】
分岐外装部68は、展開状態で略矩形とされている。分岐外装部68は、第2外装部64の右側で第3外装部66の上側に配置されており、分岐外装部68の左下側の端部は、第1外装部62の右上側の端部、第2外装部64の右下側の端部、第3外装部66の左上側の端部に繋がっている。
【0064】
分岐外装部68の左下側の部分(
図7(A)の一点鎖線部分)で分岐外装部68が第1外装部62及び第2外装部64側へ谷折りされると、第1外装部62の上側部分及び第2外装部64の下側部分が
図7(A)の紙面手前側から分岐外装部68によって覆われる(
図7(C)参照)。この状態で、分岐外装部68が第1外装部62の上側部分及び第2外装部64の下側部分へ巻き付けられると、第1外装部62の上側部分及び第2外装部64の下側部分によって包まれる。
【0065】
分岐外装部68の右上側の部分には、連結部材32が設けられている。上記のように分岐外装部68が第1外装部62の上側部分及び第2外装部64の下側部分へ巻き付けられた状態で、分岐外装部68において分岐外装部68の連結部材32に対して
図7(A)の紙面手前側又は紙面奥行き側で対向する部分に分岐外装部68の連結部材32が連結される。これによって、分岐外装部68が固定される。
【0066】
このような本実施の形態では、第1外装部62及び第2外装部64の各々が、第1外装部62及び第2外装部64の各々における左右方向略中央部(
図7(A)の一点鎖線部分)で谷折りされる。この状態で、第1外装部62の連結部材32が第1外装部62の右側部分へ連結され、第2外装部64の連結部材32が第2外装部64の右側部分へ連結される。これによって、第1外装部62及び第2外装部64の各々は、上下方向に貫通した略筒状とされ、略筒状となった第1外装部62及び第2外装部64の各々の内側にケーブル26が配置される(
図7(B)図示状態)。
【0067】
次いで、分岐外装部68の左下側の部分(
図7(A)の一点鎖線部分)で分岐外装部68が第1外装部62及び第2外装部64側へ谷折りされ、更に、分岐外装部68が第1外装部62の上側部分及び第2外装部64の下側部分へ巻き付けられる。この状態で、分岐外装部68において分岐外装部68の連結部材32に対して
図7(A)の紙面手前側又は紙面奥行き側で対向する部分に分岐外装部68の連結部材32が連結される。これによって、分岐外装部68が固定される。これによって、2本のケーブル26の分岐部分が、分岐外装部68によって包まれる(
図7(C)図示状態)。
【0068】
次いで、第3外装部66における上下方向略中央部分(
図7(A)における一点鎖線部分)で第3外装部66が谷折りされる。この状態で、第3外装部66の連結部材32が第3外装部66の上側部分へ連結される。これによって、第3外装部66は、左右方向に貫通した略筒状とされ、略筒状となった第3外装部66の内側にケーブル26が配置される(
図7(D)図示状態)。
【0069】
このようにして、長手方向中間部で分岐された2本のケーブル26が外装材30に包まれる。ここで、本実施の形態では、2本のケーブル26の分岐部分が分岐外装部68に包まれる。これによって、分岐外装部68の外部からの外力等に対して2本のケーブル26の分岐部分を保護できる。
【0070】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について
図8(A)から
図8(C)の各図に基づいて説明する。なお、
図8(A)及び
図8(B)の各図において矢印Xは、
図8(A)及び
図8(B)の各図の紙面左右方向右側を示し、矢印Yは、
図8(A)及び
図8(B)の各図の紙面上下方向上側を示す。また、本実施の形態の説明では、
図8(A)及び
図8(B)の各図の紙面右側、紙面左側、紙面上側、紙面下側の各々を単に上側、下側、右側、左側と称する。
【0071】
図8(A)に示されるように、本実施の形態では、外装材30は、第4外装部72、第5外装部74、第6外装部76を備えている。第4外装部72の右下側端は、第4外装部72よりも右下側を曲率中心として湾曲されている。第5外装部74は、第4外装部72の左側に設けられている。第5外装部74は、展開状態で略矩形とされており、展開状態での第5外装部74の右側端が第4外装部72に繋がっている。第5外装部74の左側の端部には、連結部材32が設けられており、この連結部材32は、縫合等によって第5外装部74に固定されている。
【0072】
これに対して、第6外装部76は、第4外装部72の上側に設けられている。第6外装部76は、展開状態で略矩形とされており、展開状態での第6外装部76の右側端が第4外装部72に繋がっている。第6外装部76の上側の端部には、連結部材32が設けられており、この連結部材32は、縫合等によって第6外装部76に固定されている。
【0073】
このような構成の外装材30に包まれるケーブル26の長手方向は、長手方向中間部よりも一方の側で上下方向とされている。さらに、ケーブル26は、長手方向中間部で湾曲され、ケーブル26の長手方向中間部よりも他方の側でケーブル26の長手方向は左右方向とされている。
【0074】
このような状態のケーブル26は、外装材30の厚さ方向一方の側に配置される。この状態で、第5外装部74が第4外装部72側へ折られ、渦巻状に第5外装部74が上下方向を軸方向とする軸周り方向に巻き付けられる。この状態で、
図8(C)に示されるように、第5外装部74において第5外装部74の連結部材32に対して第5外装部74の厚さ方向に対向する部分に第5外装部74の連結部材32が連結される。これによって、第5外装部74が固定される。
【0075】
さらに、第6外装部76が第4外装部72側へ折られ、渦巻状に第6外装部76が左右方向を軸方向とする軸周り方向に巻き付けられる。この状態で、第6外装部76において第6外装部76の連結部材32に対して第6外装部76の厚さ方向に対向する部分に第6外装部76の連結部材32が連結される。これによって、第6外装部76が固定される。
【0076】
このように、本実施の形態では、第5外装部74の内側ではケーブル26の長手方向が上下方向とされ、第6外装部76の内側ではケーブル26の長手方向が左右方向とされる。このため、ケーブル26を湾曲した状態で外装材30によって保持できる。
【0077】
なお、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、外装材30において連結部材32が設けられた側の面同士が連結部材32によって連結される構成であった。また、上記の第3の実施の形態では、外装材30の第1外装部62から第3外装部66の各々における連結部材32が設けられた側の面同士が連結部材32によって連結される構成であった。
【0078】
しかしながら、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において外装材30が渦巻状に巻かれ、外装材30において連結部材32が設けられた側とは反対側の面が連結部材32に係合して連結される構成であってもよい。さらに、第3の実施の形態において外装材30の第1外装部62、第2外装部64、第3外装部66の少なくとも1つが渦巻状に巻かれ、連結部材32が設けられた側とは反対側の面が連結部材32に係合して連結される構成であってもよい。
【0079】
また、上記の各実施の形態では、車両用ワイヤハーネス10の取付部分である「車両12の室内における所定の係合部」を車両用シート14のアッパレール22とした。しかしながら、車両用ワイヤハーネス10の取付部分である「車両12の室内における所定の係合部」は、車両用ワイヤハーネス10を支持できる機械的強度と剛性を有していれば、車両用シート14のアッパレール22に限定されることなく、車両12の室内の如何なる部分であってもよい。
【0080】
さらに、上記の各実施の形態では、係合部材38は、係合部材38が係合される「所定の取付部」としてのアッパレール22の壁部に形成された孔部40に貫通配置されることによって孔部40の内周部に支持される構成であったが、例えば、アッパレール22に沿って配置されたワイヤに係合部材38が引っ掛けられて係合部材38がワイヤに支持される構成としてもよい。すなわち、係合部材38が係合される所定の取付部は、係合部材38の曲部が引っ掛けられることによって係合部材38を支持できる構成であれば、その具体的な態様に限定されるものではない。
【0081】
さらに、上述した第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、係合部材38に関して言及していない。しかしながら、第3の実施の形態及び第4の実施の形態の各々に関しても、「車両12の室内における所定の係合部」に応じて係合部材38を適宜に設けてもよい。
【0082】
また、上記の各実施の形態では、連結部材32は、フック部34を有する構成で、所謂「面ファスナのフック側」と同様の構成とされていた。しかしながら、連結部材32を面ファスナのフック側と面ファスナのループ側とで構成し、外装材30の幅方向一方の端部に面ファスナのフック側を設け、外装材30の幅方向他方の端部に面ファスナのループ側を設ける構成であってもよい。すなわち、連結部材は、略筒状にされてケーブル26を包んだ状態で外装材30を保持できる構成であれば、その具体的な態様に限定されることなく広く適用できる。
【0083】
さらに、上記の各実施の形態では、外装材30は、不織布によって形成されていた。しかしながら、上記のように、連結部材によって外装材を略筒状で保持できれば、外装材の材質については、特に限定されることなく広く適用できる。
【0084】
また、上記の各実施の形態は、車両用ワイヤハーネス10の車両12での設置位置として車両12の車両用シート14の車両下側を例に説明したが、例えば、車両用ワイヤハーネス10の設置位置は、車両用シート14の車両後側であってもよいし、車両用シート14の内部であってもよい。すなわち、車両用ワイヤハーネス10の車両12での設置位置は、車両12の室内であれば、その具体的な位置に限定されることなく広く適用できる。
【符号の説明】
【0085】
10 車両用ワイヤハーネス
12 車両
22 アッパレール(車両室内における所定の係合部)
26 ケーブル
30 外装材
32 連結部材
38 係合部材
40 孔部
52 プレート材(芯材)
68 分岐外装部