IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SEIオプティフロンティア株式会社の特許一覧

特許7395815融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置
<>
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図1
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図2
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図3
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図4
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図5
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図6
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図7
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図8
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図9
  • 特許-融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/22 20060101AFI20231205BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20231205BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20231205BHJP
   G02B 6/255 20060101ALI20231205BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20231205BHJP
   H04W 12/126 20210101ALI20231205BHJP
   H04W 12/63 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
G08B13/22
G08B21/24
G08B25/10 A
G02B6/255
H04W4/029
H04W12/126
H04W12/63
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022145560
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2021005942の分割
【原出願日】2016-06-14
(65)【公開番号】P2022168253
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】大木 一芳
(72)【発明者】
【氏名】宮森 誠
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0238298(US,A1)
【文献】特開2007-272634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0035213(US,A1)
【文献】特表2002-518759(JP,A)
【文献】特開平10-282358(JP,A)
【文献】特開2007-19747(JP,A)
【文献】特開2016-62507(JP,A)
【文献】特開2009-217629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00-15/08
A45F 3/00- 3/04, 3/12
G02B 6/24,6/255, 6/36- 6/40
G08B 13/00-15/02,19/00-31/00
H03J 9/00- 9/06
H04B 7/24- 7/26
H04M 1/00, 1/24- 1/82,99/00
H04Q 9/00- 9/16
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムであって、
前記情報端末が前記融着接続装置との間で無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、
前記融着接続装置において融着接続機構を駆動させるための電力を供給する第1の電源部と、
前記融着接続装置において盗難検知処理を行うための電力を供給する第2の電源部と、を備える、盗難検知システム。
【請求項2】
融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムであって、
前記情報端末が前記融着接続装置との間で無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、
を備え、
前記取得部は、前記融着接続装置において盗難検知以外の他の機能に用いられる無線情報に関するデータを、前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の前記無線状況データとして取得する、盗難検知システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の盗難検知システムに用いられる融着接続装置であって、
光ファイバ同士を融着するための融着部と、
前記情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、
前記情報端末と自らを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
当該融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると判定するための情報であって、前記認証処理により無線接続された前記情報端末との間の無線状況データのための応答を当該情報端末に対して行う応答処理部と、
前記融着接続装置の融着接続機能をロックするロック部と、を備え、
前記ロック部は、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定し、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動している旨の信号を前記融着接続装置が受信した場合に、前記融着接続機能をロックする、融着接続装置。
【請求項4】
コンピュータによって実行される融着接続装置の盗難検知方法であって、
前記融着接続装置および情報端末の間で無線接続するための認証処理を行うステップと、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定するステップと、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定するステップで判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行うステップと、
を備え、
前記取得するステップでは、前記融着接続装置において盗難検知以外の他の機能に用いられる無線情報に関するデータを、前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の前記無線状況データとして取得する、盗難検知方法。
【請求項5】
融着接続装置および情報端末の間で無線接続するための認証処理を行うステップと、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定するステップと、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定するステップで判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させる盗難検知プログラムであって、
前記取得するステップでは、前記融着接続装置において盗難検知以外の他の機能に用いられる無線情報に関するデータを、前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の前記無線状況データとして取得する、盗難検知プログラム。
【請求項6】
融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムに用いられる融着接続装置であって、
前記盗難検知システムは、
前記情報端末が前記融着接続装置との間で無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、
を備え、
前記取得部による前記無線状況データの取得の総時間と前記判定部による前記融着接続装置の移動判定の総時間とのうち少なくとも一つの条件が設定可能である、融着接続装置。
【請求項7】
融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムに用いられる融着接続装置であって、
前記盗難検知システムは、
前記情報端末が前記融着接続装置との間で無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、
を備え、
前記取得部による前記無線状況データの取得の間隔と当該取得の総時間と前記判定部による前記融着接続装置の移動判定の間隔と当該移動判定の総時間とのうち少なくとも一つの条件が設定可能であり、
設定された前記少なくとも一つの条件に関する情報が、前記情報端末から前記融着接続装置へ送信される、融着接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ同士を接続する装置として、例えば特許文献1に記載の融着接続装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-141357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような融着接続装置は、例えば光ファイバを敷設する現場において使用される。敷設現場では、融着接続装置の使用者は、光ファイバの融着作業以外の作業も行うため、融着接続装置から離れることがあり、この際に融着接続装置が盗難にあってしまうことがある。このような盗難に備え、パスワードによるロック機構といったセキュリティ機能を融着接続装置に設けることが考えられる。しかしながら、パスワードのようなセキュリティ機能では、融着接続装置の盗難そのものを抑止することは難しく、また、パスワードを解除できれば転売されてしまう可能性もあり、盗難の抑止といった観点では更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は、融着接続装置の盗難を抑止することが可能な融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る盗難検知システムは、融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムであって、融着接続装置が情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、融着接続装置が情報端末との間で互いを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、認証処理により互いが無線接続された融着接続装置および情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、取得部により取得される無線状況データの変化に基づいて、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動していると判定部が判定した場合に、情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る融着接続装置の盗難検知システム及び融着接続装置によれば、融着接続装置の盗難を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、融着接続装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示される融着接続装置における光ファイバの融着接続部(内部構造)を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の一態様に係る融着接続装置の盗難検知システムの概要を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示す融着接続装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、図3に示す情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、図3に示す盗難検知システムに含まれる距離データベースの一例を示す図である。
図7図7は、図3に示す盗難検知システムで検知する融着接続装置の移動(盗難状態)を模式的に示す図である。
図8図8は、図3に示す盗難検知システムにおけるペアリング処理を示すシーケンス図である。
図9図9は、図3に示す盗難検知システムによる融着接続装置の盗難の検知方法を示すフローチャートである。
図10図10は、図3に示す盗難検知システムにおける融着接続装置のロック処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
【0010】
本発明の一態様に係る盗難検知システムは、融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムであって、融着接続装置が情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、融着接続装置が情報端末との間で互いを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、認証処理により互いが無線接続された融着接続装置および情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、取得部により取得される無線状況データの変化に基づいて、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動していると判定部が判定した場合に、情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、を備えている。
【0011】
この盗難検知システムは、融着接続装置および情報端末の間の無線状況データを取得し、これら取得された無線情報データの変化に基づいて融着接続装置の移動を判定し、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動している場合には、情報端末において報知処理を行うようになっている。このため、この盗難検知システムによれば、使用者が常時携行可能な情報端末の位置を基準として、そこから離れる方向に融着接続装置が移動していることを検知して使用者にその事実を容易に知らせることができるため、融着接続装置の盗難を抑止することが可能となる。
【0012】
この盗難検知システムは、融着接続装置および情報端末の間の無線状況データと、融着接続装置および情報端末の間の距離との関係を予め定めた距離テーブルを更に備えてもよく、判定部は、取得部によって取得される無線状況データを距離テーブルに照合して融着接続装置および情報端末の間の距離を算出し、当該算出された距離がその前に算出された距離よりも大きい場合に、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動していると判定してもよい。この盗難検知システムによれば、予め定められた距離テーブルを用いて融着接続装置の移動を判定しているため、判定処理を簡素なものとすることが可能となる。
【0013】
この盗難検知システムでは、取得部は、融着接続装置および情報端末の間の電波強度を含む無線状況データを取得してもよい。また、取得部は、融着接続装置および情報端末の間の無線通信の応答時間を含む無線状況データを取得してもよい。更に、取得部は、融着接続装置および情報端末の間の電波強度と、融着接続装置および情報端末の間の無線通信の応答時間とを含む無線状況データを取得してもよい。このような盗難検知システムによれば、他の機能付加(例えば融着接続装置の一般的なデータ管理など)のために設けられることが多い無線装置に関連する情報を利用して融着接続装置の移動を判定しているため、新たな部品を追加することなく又はその追加を少なくして、盗難防止といった新たな機能を融着接続装置に設けることが可能となる。
【0014】
この盗難検知システムでは、取得部は、無線状況データを所定の周期で継続的に取得してもよい。この盗難検知システムによれば、所定周期で継続的に無線状況データを取得しているため、融着接続装置が移動により情報端末から離れるといったことを継続して検知することができるため、盗難以外の融着接続装置の移動を判定から除外し、融着接続装置の盗難判定をより確実にして、より一層の盗難の抑止を図ることが可能となる。
【0015】
この盗難検知システムでは、融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動していると判定部が判定した場合、又は、融着接続装置および情報端末の間の無線通信が切断されたと判定された場合に、融着接続装置において当該融着接続装置の機能をロックするロック部を更に備えていてもよい。このような盗難検知システムによれば、仮に盗難された場合であっても情報端末側からロック(使用不能処理)されるため、融着接続装置のみを盗難してもロック解除が難しいため、融着接続装置の盗難をより一層、抑止することができる。この場合において、この盗難検知システムは、ロック部によるロックの解除を制御する第1の解除部を更に備え、当該第1の解除部が情報端末側に設けられていてもよい。また、この盗難検知システムは、ロック部によるロックの解除を制御する第2の解除部と、認証処理部により行われた認証情報を取得するサーバと、を更に備え、第2の解除部がサーバに設けられており、サーバは、認証情報を用いて当該ロック部によるロックを解除する信号を融着接続装置に送信可能であってもよい。このような解除手段を設けておくことにより、融着接続装置がロックされた場合であっても、正当な使用者による適正な手続きを経ることにより、当該ロックを解除して、融着接続装置を再度、使用に供することが可能となる。
【0016】
この盗難検知システムでは、融着接続装置の位置情報を取得する位置取得部を更に備えていてもよい。このような位置取得部を備えておくことにより、仮に盗難にあった場合であっても盗難届けや盗難保険における盗難位置に関する位置情報を情報端末側に蓄積しておくことが可能となるため、仮に盗難にあった場合でも、その後の各種の処理を簡素化することができる。
【0017】
また、本発明の別態様に係る融着接続装置は、融着接続装置の盗難を情報端末で検知することが可能な融着接続装置であって、情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、情報端末と自らを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、当該融着接続装置が情報端末から離れる方向に移動していると判定するための情報であって、認証処理により無線接続された情報端末との間の無線状況データのための応答を当該情報端末に対して行う応答処理部と、を備えている。このような融着接続装置であれば、上述した盗難検知システムに記載の効果を奏することが可能となる。
【0018】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る融着接続装置の盗難検知システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
まず、盗難検知システム1によって盗難が検知される融着接続装置10を図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は、融着接続装置の外観を示す斜視図であり、図1は、風防カバーが閉じている状態の外観を示し、図2は、風防カバーが開けられて融着接続装置の内部構造が見える状態の外観を示す。融着接続装置10は、光ファイバ同士を融着接続するための装置であり、図1及び図2に示すように、箱状の筐体2を備えている。この筐体2の上部には、光ファイバ同士を融着するための融着部3と、融着部3で融着された光ファイバの融着接続部に被せられたファイバ補強スリーブを加熱収縮させる加熱器4とが設けられている。融着接続装置10は、筐体2の内部に配置されたカメラ(図示せず)によって撮像された光ファイバ同士の融着接続状況を表示するモニタ5を備えている。さらに、融着接続装置10は、融着部3への風の進入を防止するための風防カバー6を備えている。
【0020】
融着部3は、一対のファイバ位置決め部3bと、一対の放電電極3cと、一対の光ファイバホルダ3aを載置可能なホルダ載置部とを有している。融着対象の光ファイバそれぞれは光ファイバホルダ3aに保持固定され、当該光ファイバホルダはそれぞれホルダ載置部に載置固定される。ファイバ位置決め部3bは、光ファイバホルダ3a同士の間に配置され、光ファイバホルダ3aのそれぞれに保持された光ファイバの先端部を位置決めする。放電電極3cは、ファイバ位置決め部3b同士の間に配置され、アーク放電によって光ファイバの先端同士を融着するための電極である。
【0021】
風防カバー6は、このような融着部3を開閉自在に覆うように筐体2に連結されている。風防カバー6の側面6aのそれぞれには、融着部3へ(すなわち光ファイバホルダ31のそれぞれへ)光ファイバを導入するための導入口6bが形成されている。
【0022】
次に、このような構成を有する融着接続装置10の盗難状態を情報端末側で検知するための盗難検知システム1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、本発明の一態様に係る融着接続装置の盗難検知システムの概要を示すブロック図である。図3に示すように、盗難検知システム1は、互いに無線接続されることが可能な融着接続装置10と情報端末20とを備えて構成されている。なお、図3では、1つの融着接続装置10が1つの情報端末20に無線接続される例が示されているが、複数の融着接続装置10が1つの情報端末20に無線接続される構成でもよく、また、1つ又は複数の融着接続装置10が複数の情報端末20に無線接続される構成でもよい。
【0023】
融着接続装置10は、図3に示すように、機能的には、無線通信部11、認証処理部12、表示部13、応答処理部14、及びロック部15を備え、更にこれらを駆動するための電源部(電池)を備えている。なお、融着接続装置10は、図4に示すように、その制御部として、CPU10a、RAM10b、ROM10c、入力装置10d、無線通信モジュール10e、補助記憶装置10f、及び出力装置10g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、後述する融着接続装置10の各機能が発揮される。また、融着接続装置10は、制御部以外としては、各種の融着接続機構10hを含む。
【0024】
無線通信部11は、情報端末20(無線通信部21)との間で無線通信を行う部分である。無線通信部11は、例えば、無線LANカードなどから構成され、IEEE802.11に準拠した2.4GHz帯での無線通信を情報端末20との間で行う。
【0025】
認証処理部12は、無線通信部11,21を介して、情報端末20(認証処理部22)との間でペアリング処理等の認証作業を行う部分である。認証処理部12は、情報端末20からペアリング情報を含むメッセージ信号(例えばテキスト(TXT)ファイル)として送信され無線通信部11により受信された信号からペアリング情報を抽出し、例えばペアリング情報となる4桁の数字情報を取得する。認証処理部12は、この取得した4桁の数字情報を表示部13に受け渡し、その数字を所定時間、モニタ等に表示させると共に、情報端末20との間で「ペアリングをする/しない」の選択画面も表示部13により表示させる。また、認証処理部12は、後述する表示部13から、情報端末20との間で「ペアリングをする」旨の選択情報を受け取った場合には、その旨のメッセージ信号を生成し、無線通信部11を介して、情報端末20(無線通信部21及び認証処理部22)に送信する。
【0026】
表示部13は、例えば上述したモニタ5を含んで構成され、情報端末20との間でのペアリング処理の際に必要となる4桁の数字や情報端末20との間でペアリングをする/しない等の選択画面を、認証処理部12からの指示情報に基づいて表示する。表示部13は、認証処理部12が取得したペアリング情報の4桁の数字に基づいて当該4桁の数字をモニタ5等に表示させると共に、情報端末20との間で「ペアリングをする/しない」の選択画面を表示する。表示部13は、情報端末20との間で「ペアリングをする」が選択された場合には、選択する旨の情報を認証処理部12に受け渡す。
【0027】
応答処理部14は、情報端末20との間でペアリング処理(認証)が完了した後に、情報端末20から所定の周期で送られてくるメッセージ信号(状況確認情報)に対して、所定の応答、例えば1つの受信メッセージに対して1つの送達確認信号の返信を、無線通信部11を介して、下位のプロトコルレベルにて情報端末20に対して行う。なお、情報端末20は、かかる送達確認信号の受信により、後述する無線信号の応答時間(図6参照)を算出することが可能となっている。
【0028】
ロック部15は、所定の条件が満たされなかった場合に、融着接続装置10の融着接続機能(アーク放電によるファイバ同士の融着やファイバ補強スリーブの加熱等の融着接続機構10h)の全部又は一部をロックして、使用不能とさせる部分である。ロック部15は、例えば、後述するように、情報端末20から所定周期で無線送信されてくるメッセージ信号の存在やファイル内のペアリング番号を確認し、メッセージ信号が所定周期毎に送られてきていることが確認できた場合やペアリング番号が合致した場合、受け取ったメッセージ信号を削除する処理を行う。一方、ロック部15は、所定周期での確認処理を行った際にメッセージ信号が存在しない(送信がなかった)又はペアリング番号が不一致だった場合には、融着接続装置10が盗難状態にあると判定し、融着接続装置10の融着接続機能の全部又は一部を電子的にロックする。また、ロック部15は、メッセージ信号の非存在又はペアリング番号の不一致が規定回数(例えば3回)連続して発生した場合に、かかるロック処理を行うようにしてもよい。これにより、融着接続装置10が盗難状態であることをより高精度に判定することができる。なお、ロック部15は、かかるロック処理を行う際、警察への自動通報処理や防犯用のブザー報知等を併せて行うようにしてもよい。
【0029】
電源部(電池)は、融着接続装置10の筐体内部に収容される。この電源部からは盗難検知システム1に対し、常時、電力が供給されることが好ましい。これによって、融着接続装置10(融着接続機能)の使用状態に影響されず、常時、盗難検知システムが動作することが可能となる。なお、当該電源部は、融着接続機構を駆動するためのものと共用してもよい。安全性を優先するのであれば、融着接続機構を駆動するものとは異なるものとし、盗難検知システム用の電源部は容易にユーザが取り出せない場所に収容することとしてもよい。
【0030】
情報端末20は、例えば、スマートフォンなどの携帯型無線通信端末から構成され、無線通信部21、認証処理部22、表示部23、取得部24、判定部25、報知部26、解除部27、位置取得部28、及び距離テーブル29を備えている。なお、情報端末20は、図5に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、入力装置20d、無線通信モジュール20e、補助記憶装置20f、及び出力装置20g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、後述する情報端末20の各機能が発揮される。
【0031】
無線通信部21は、無線通信モジュール20eから構成され、融着接続装置10の無線通信部11との間で無線通信により各種のメッセージ信号の送受信を行う。無線通信部21は、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどから構成され、無線通信部11の無線規格に対応するように、例えばIEEE802.11に準拠した2.4GHz帯での通信を行う。なお、無線通信部11との間で無線通信を行うことができれば、他の帯域や通信規格であってもよい。
【0032】
認証処理部22は、融着接続装置10(認証処理部12)との間でペアリング処理等の認証作業を行う。認証処理部22は、融着接続装置10との間でペアリング処理を行うためのペアリング情報である4桁の数字を、後述する表示部23により表示させると共に、当該4桁の数字を含むメッセージ信号を、無線通信部21を介して、融着接続装置10(認証処理部12)に送信する。また、認証処理部22は、融着接続装置10(認証処理部12)からの、「ペアリングをする」旨の情報が含まれたメッセージ信号を受け取った場合には、融着接続装置10との間でのペアリング処理を完了させる。認証処理部22は、融着接続装置10からの「ペアリングをする」旨の情報を受け取った際には、かかる情報を盗難検知システムを含むシステムを統括する管理サーバ(不図示)に送信しておいてもよい。
【0033】
表示部23は、情報端末20における各種の情報を表示する部分である。表示部23は、認証処理部22で生成したペアリングのための4桁の数字を情報端末20のディスプレイに所定時間(例えば、ペアリング待機時間10秒)表示させる。また、表示部23は、盗難検知システム1で盗難の可否を検知する間隔(例えば、1分毎、10分毎、1時間毎、1日毎)や盗難の可否を検知する総時間(10分間、1時間、1日、30日など)を選択画面としてディスプレイに表示し、作業者が選択した希望間隔や希望総時間を取得部24に受け渡す。
【0034】
取得部24は、認証処理により互いが無線接続された融着接続装置10と情報端末20との間の無線状況データを取得する。取得部24は、無線状況データとして、例えば、融着接続装置10と情報端末20との間の無線電波強度や通信の応答時間を、所定の周期(上述した検知間隔)で取得する。取得部24は、無線状況データとして、融着接続装置10と情報端末20との間の無線電波強度のみを取得してもよいし、融着接続装置10と情報端末20との間の通信の応答時間のみを取得してもよいし、無線電波強度と応答時間との両方を取得してもよい。取得部24で取得する無線状況データは、上記のものに限定されるわけではなく、融着接続装置10と情報端末20との間の距離の変化に対応する無線関連の情報であれば、他の情報を取得して用いてもよい。
【0035】
判定部25は、取得部24により取得される無線状況データの変化に基づいて、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動しているか否かを判定する。具体的には、判定部25は、取得部24により取得される無線状況データ(電波強度及び/又は応答時間)を、距離テーブル29(図6参照)に照合して、融着接続装置10と情報端末20との間の距離を算出する。距離テーブル29には、例えば図6に示すように、融着接続装置10と情報端末20との間の無線状況データ(電波強度及び応答時間)と、融着接続装置10と情報端末20との間の距離との関係が予め定められている。なお、距離テーブル29に記載の距離情報等は、現場で得られた電波強度や応答時間に応じて、微調整されるように所定の関係式を予め含めるようにしておいてもよい。
【0036】
また、判定部25は、距離テーブル29に照合して算出された距離がその前に算出された距離よりも大きい場合(変化があった場合)、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定する(図7参照)。判定部25は、この判定の際、算出された距離がその前に算出された距離よりも大きいといった判定が所定回数(例えば3回)連続した場合に、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定してもよい。この場合、盗難でない場合の融着接続装置10の移動を間違って盗難状態として検出することをより確実に排除できる。
【0037】
報知部26は、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定部25が判定した場合に、情報端末20において所定の報知処理を行い、作業者に知らせる部分である。報知部26は、このような盗難状態が検知された場合には、音(ブザー)、画面メッセージ表示、又は、振動付与などの報知手段により使用者に報知する。これにより、情報端末20を保持している使用者が、融着接続装置10の盗難状況を検知することが可能となる。
【0038】
解除部27は、融着接続装置10のロック部15が融着機構をロックした場合に、そのロックを解除するための部分である。解除部27は、所定の条件によりロックされた融着接続装置10のロックの解除指示を使用者からの入力処理により受け付けると、認証処理部22で保有しているペアリング情報を含む解除信号を生成し、無線通信部21を介して、当該解除信号を融着接続装置10に送信する。融着接続装置10側では、解除信号を受信すると、解除信号に含まれているペアリング情報を照合し、融着接続装置10側で保持しているペアリング情報と一致した場合、ロック部15により、当該ロック処理を解除する。これにより、ロック部15によるロックを解除することができる。なお、上述した解除部27の機能を、盗難検知システム1を含む統合システムのサーバ上に設けるようにしてもよい。この場合でも、サーバは、上記と同様に、予め取得している認証情報であるペアリング情報を用いて当該ロック部15によるロックを解除する信号をいずれかの無線通信手段を介して融着接続装置10に送信してロック解除処理を行うことができる。
【0039】
位置取得部28は、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定部25が判定した場合、又は、融着接続装置10と情報端末20との間の無線通信が切断されたと判定された場合に、融着接続装置10が盗難されたと判断し、融着接続装置10の位置情報を取得する。融着接続装置10が仮に盗難された場合には盗難届けや盗難保険の申請等を行うことになるが、その際、盗難場所を示す必要がある。そこで、情報端末20がこのような盗難位置の近似情報を取得しておくことにより、かかる申請の際に位置情報の証明を容易なものとすることができる。位置取得部28は、例えばGPS等を含んで構成され、GPS等による位置情報を取得する。なお、位置取得部28は、融着接続装置10の位置情報を常時或いは定期的に取得する構成とし、上記判定された際に当該位置情報を特定位置情報として取得するようにしてもよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る盗難検知システム1におけるペアリング処理(認証処理)について、図8を参照して説明する。図8は、盗難検知システム1において、融着接続装置10と情報端末20との間でペアリング処理を行うためのシーケンス図である。
【0041】
図8に示すように、盗難検知システム1では、まず情報端末20側で、盗難検知システムのためのアプリケーションが使用者により起動される(ステップS1)。情報端末20では、このアプリケーションが起動されると、盗難防止システム用の画面が表示され、その画面にペアリング用の4桁の数字が表示部23により所定時間(例えばペアリング待機時間として10秒)表示される(ステップS2)。情報端末20は、ステップS2の画面表示と略同時に、相互認証するためのペアリング情報を含むメッセージ信号(例えばTXTファイル)の融着接続装置10へのアップロード(送信)を無線通信部21により行う(ステップS3)。なお、このメッセージ信号はテキストファイルに限られるものではない。
【0042】
次に、ペアリング情報を含むメッセージ信号を無線通信部11により受け取った融着接続装置10側では、メッセージ信号に含まれるペアリングのための4桁の数値情報を認証処理部12が抽出し、モニタ等に4桁の数字を表示する。また、融着接続装置10は、情報端末20との間でペアリングする/しない等の選択画面を認証処理部12によりモニタに表示させる。そして、融着接続装置10の使用者(情報端末20の使用者と同じ)がペアリングする/しないの何れかの選択項目を選択する(ステップS5)。融着接続装置10は、ペアリングをする旨の選択を認証処理部12により受け付けた場合には、ペアリングをする旨のメッセージ信号(ペアリング選択結果情報)を生成して、無線通信部11を介して情報端末20へ送信(アップロード)する(ステップS6)。なお、融着接続装置10は、ペアリングしない旨の選択を受け付けた場合には、認証処理部12により処理を終了する(ステップS7)
【0043】
次に、ペアリングする旨の情報(ペアリング選択結果情報)を受け取った情報端末20は、盗難検知、電波強度、応答時間等の検知を行う所定の周期の設定を取得部24により行う。情報端末20は、例えば、表示部23により、盗難検知システム1で盗難の可否等を検知する間隔(例えば、1分毎、10分毎、1時間毎、1日毎)や盗難の可否を検知する総時間(10分間、1時間、1日、30日など)を選択画面としてディスプレイに表示し、作業者が選択した希望間隔や総時間を取得部24により設定する。また、情報端末20は、かかる希望間隔や総時間といった情報(ペアリング設定情報)をペアリングされた融着接続装置10へ送信する(ステップS9)。なお、情報端末20は、融着接続装置10より受け取ったペアリング情報(ペアリング選択結果情報)を、システム全体を統括する管理サーバに送信してもよい(ステップS8)。なお、ステップS8については、上記検知間隔、総時間等を設定した後に、これらの情報(ペアリング選択結果情報、ペアリング設定情報)を管理サーバに送信することとしてもよい。以上の処理により、盗難検知システム1による盗難検知が開始される。
【0044】
次に、図9を参照して、ペアリングがされた融着接続装置10の盗難を情報端末20で検知するための方法について説明する。図9は、盗難検知システム1での盗難検知の方法を示すフローチャートである。
【0045】
図9に示すように、ペアリング処理がされた融着接続装置10と情報端末20とを1m以内に配置し、その際の(基準位置での)融着接続装置10と情報端末20との間の電波強度を取得部24により測定する(ステップS11)。本実施形態では、例えば、この際の電波強度が-40dBmとする。
【0046】
続いて、情報端末20は、盗難検知処理が開始されてから所定の時間(例えば1時間)経過したか否かを取得部24により判断する(ステップS12)。ステップS12の所定の時間経過の判断の結果、所定時間が経過していた場合、情報端末20は、融着接続装置10と情報端末20との間の電波強度を取得部24により再度測定する。情報端末20の判定部25は、この測定された電波強度を距離テーブル29に照合し、融着接続装置10と情報端末20との間の距離を算出する。この距離がその前に測定された電波強度に基づく距離よりも大きい場合、ステップS15に進む。
【0047】
情報端末20では、ステップS14での判定で、測定された電波強度及び距離テーブル29に基づいて照合算出された融着接続装置10と情報端末20との間の距離が、その前に測定された電波強度に基づく距離よりも大きいと判定されることが所定回数(例えば連続して3回)あった場合(ステップS15)、判定部25は、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動している、即ち、融着接続装置10が盗難状態にあると検知する(ステップS16)。そして、情報端末20では、融着接続装置10が盗難状態にあると検知された場合、ブザーなどの報知処理を行い、使用者に放置する(ステップS17)。使用者は、かかる報知により、融着接続装置10が盗難情報であることを知ることができる。なお、このような盗難状態であってかつ融着接続装置10へかかる情報を送信できる場合(まだ無線が切断までされていない場合)には、融着接続装置10へ情報端末20から離れる方向に移動している旨の信号を送信して、融着接続装置10でのロック部15によるロックを行ってもよい。また、上述した例では、電波強度を例にとって、盗難検知の判定方法を示したが、図6に示す応答時間を用いて盗難検知をする場合でも同様である。
【0048】
次に、図10を参照して、融着接続装置10における融着接続機構のロック処理について説明する。なお、図10に示すシーケンスの一部又は全部は、図9に示す盗難検知フローと実質的に重複する処理であることもあるが、別々に行うようにしてもよい。
【0049】
まず、情報端末20では、所定の検知間隔が経過すると(ステップS21)、融着接続装置10が盗難されていないかどうかのメッセージ信号(状況確認情報)(例えばTXTファイル)を融着接続装置10へ送信(アップロード)する(ステップS22)。この信号には、ペアリング番号を含むペアリング情報が含まれている。なお、このメッセージ信号はテキストファイルに限られるものではない。
【0050】
続いて、これを受け取った融着接続装置10では、かかる信号からペアリング番号を抽出し、ロック部15がファイル内のペアリング番号を確認する(ステップS23)。そして、ロック部15は、ペアリング番号が予め自機に記憶されている番号と一致する場合には、受信したメッセージ信号(状況確認情報)を削除する(ステップS24)。ステップS24でペアリング番号が一致しない場合には、ステップS23に戻る。融着接続装置10では、この確認作業を予め定められた所定の周期で行い、ペアリング番号の不一致、若しくは、情報端末20からのメッセージ信号の未受信(非確認)が所定回数連続しているかどうかを確認する(ステップS25)。
【0051】
続いて、融着接続装置10では、ロック部15は、ステップS25での判定で、ペアリング番号の不一致、若しくは、情報端末20からのメッセージ信号の未受信(非確認)が所定回数連続していると判断した場合には、融着接続装置10が盗難状態にあると判断し、ステップS26に進み、融着接続装置10の融着機能をロックする(ステップS26)。これにより、融着接続装置10が盗難された場合には、その使用を不能にすることができる。
【0052】
以上、本発明に係る盗難検知システム1によれば、使用者が常時携行可能な情報端末20の位置を基準として、そこから離れる方向に融着接続装置10が移動していることを検知して使用者にその事実を容易に知らせることができるため、融着接続装置10の盗難を抑止することが可能となる。
【0053】
また、盗難検知システム1は、融着接続装置10と情報端末20との間の無線状況データと、融着接続装置10と情報端末20との間の距離との関係を予め定めた距離テーブル29を備えており、判定部25が、取得部24によって取得される無線状況データを距離テーブル29に照合して融着接続装置10と情報端末20との間の距離を算出し、当該算出された距離がその前に算出された距離よりも大きい場合に、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定している。このため、盗難検知システム1によれば、予め定められた距離テーブル29を用いて融着接続装置10の移動を判定しているため、判定処理を簡素なものとすることが可能となる。
【0054】
また、盗難検知システム1では、取得部24は、融着接続装置10と情報端末20との間の電波強度や無線通信の応答時間とを含む無線状況データを取得している。このため、盗難検知システム1によれば、他の機能付加(例えば融着接続装置の一般的なデータ管理など)のために設けられることが多い無線装置に関連する情報を利用して融着接続装置10の不正な移動を判定しているため、新たな部品を追加することなく又はその追加を少なくして、盗難防止といった新たな機能を融着接続装置10に設けることが可能となる。
【0055】
また、盗難検知システム1では、取得部24は、無線状況データを所定の周期で継続的に取得している。このように所定周期で継続的に無線状況データを取得しているため、融着接続装置10が移動により情報端末20から離れるといったことを継続して検知することができるため、盗難以外の融着接続装置10の移動を判定から除外し、融着接続装置10の盗難判定をより確実にして、より一層の盗難の抑止を図ることが可能となる。
【0056】
また、盗難検知システム1は、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定部25が判定した場合、又は、融着接続装置10と情報端末20との間の無線通信が切断されたと判定された場合に、融着接続装置10において当該融着接続装置の機能をロックするロック部15を更に備えている。このような盗難検知システム1によれば、仮に盗難された場合であっても情報端末20側からロック(使用不能処理)されるため、融着接続装置10のみを盗難してもロック解除が難しいため、融着接続装置10の盗難をより一層、抑止することができる。なお、この場合において、この盗難検知システム1は、ロック部15によるロックを解除する解除部27を更に備えていてもよい。このような解除手段を設けておくことにより、融着接続装置10がロックされた場合であっても、正当な使用者による適正な回復手続きを経ることにより、当該ロックを解除して、融着接続装置10を再度、使用に供することが可能となる。なお、このような解除部が、認証処理部22により行われた認証情報を取得するサーバ側に設けられてもよく、サーバが、認証情報を用いて当該ロック部15によるロックを解除する信号を融着接続装置10に送信するようにしてもよい。この場合も同様の効果を奏することができる。
【0057】
また、盗難検知システム1は、融着接続装置10の位置情報を取得する位置取得部28を更に備えている。このため、仮に盗難にあった場合であっても盗難届けや盗難保険における盗難位置に関する位置情報を情報端末20側に蓄積しておくことが可能となるため、仮に盗難にあった場合でも、その後の各種の処理を簡素化することができる。当該位置情報については、融着接続装置10が情報端末20から離れる方向に移動していると判定部25が判定した場合、又は、融着接続装置10と情報端末20との間の無線通信が切断されたと判定された場合に取得するようにしてもよいし、所定時間間隔で定期的に位置情報を取得、保存、更新し、上記のように判定された場合に取得した最新の位置情報を保存しておくようにしてもよい。
【0058】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
融着接続装置の盗難を情報端末で検知するための盗難検知システムであって、
前記融着接続装置が前記情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、
前記融着接続装置が前記情報端末との間で互いを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
前記認証処理により互いが無線接続された前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線状況データを取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記無線状況データの変化に基づいて、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動しているか否かを判定する判定部と、
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合に、前記情報端末において所定の報知処理を行う報知部と、
を備える盗難検知システム。
(付記2)
前記融着接続装置および前記情報端末の間の前記無線状況データと、前記融着接続装置および前記情報端末の間の距離との関係を予め定めた距離テーブルを更に備え、
前記判定部は、前記取得部によって取得される前記無線状況データを前記距離テーブルに照合して前記融着接続装置および前記情報端末の間の距離を算出し、当該算出された距離がその前に算出された距離よりも大きい場合に、前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると判定する、付記1に記載の盗難検知システム。
(付記3)
前記取得部は、前記融着接続装置および前記情報端末の間の電波強度を含む前記無線状況データを取得する、付記1又は2に記載の盗難検知システム。
(付記4)
前記取得部は、前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線通信の応答時間を含む前記無線状況データを取得する、請求項1~3の何れか一つに記載の盗難検知システム。
(付記5)
前記取得部は、前記無線状況データを所定の周期で継続的に取得する、付記1~4の何れか一つに記載の盗難検知システム。
(付記6)
前記融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると前記判定部が判定した場合、又は、前記融着接続装置および前記情報端末の間の無線通信が切断されたと判定された場合に、前記融着接続装置において当該融着接続装置の機能をロックするロック部を更に備える、付記1~5の何れか一つに記載の盗難検知システム。
(付記7)
前記ロック部によるロックの解除を制御する第1の解除部を更に備え、当該第1の解除部が前記情報端末側に設けられている、付記6に記載の盗難検知システム。
(付記8)
前記ロック部によるロックの解除を制御する第2の解除部と、
前記認証処理部により行われた認証情報を取得するサーバと、を更に備え、
前記第2の解除部が前記サーバに設けられており、前記サーバは、前記認証情報を用いて当該ロック部によるロックを解除する信号を前記融着接続装置に送信可能である、付記6又は7に記載の盗難検知システム。
(付記9)
前記融着接続装置の位置情報を取得する位置取得部を更に備える、付記1~8の何れか一つに記載の盗難検知システム。
(付記10)
融着接続装置の盗難を情報端末で検知することが可能な融着接続装置であって、
前記情報端末との間で無線通信するための無線通信部と、
前記情報端末と自らを無線接続するための認証処理を行う認証処理部と、
当該融着接続装置が前記情報端末から離れる方向に移動していると判定するための情報であって、前記認証処理により無線接続された前記情報端末との間の無線状況データのための応答を当該情報端末に対して行う応答処理部と、を備える融着接続装置。
【符号の説明】
【0059】
1…盗難検知システム、10…融着接続装置、11,21…無線通信部、12,22…認証処理部、13,23…表示部、14…応答処理部、15…ロック部、20…情報端末、24…取得部、25…判定部、26…報知部、27…解除部、28…位置取得部、29…距離テーブル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10