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特許7395824メンテナンス時期調整装置および空気調和システム
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  • 特許-メンテナンス時期調整装置および空気調和システム 図1
  • 特許-メンテナンス時期調整装置および空気調和システム 図2
  • 特許-メンテナンス時期調整装置および空気調和システム 図3
  • 特許-メンテナンス時期調整装置および空気調和システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】メンテナンス時期調整装置および空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/39 20180101AFI20231205BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20231205BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20231205BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
F24F11/39
F24F11/49
F24F11/48
F24F11/54
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019016015
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020122640
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】喜多見 隆一
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
(72)【発明者】
【氏名】河合 智文
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-198362(JP,A)
【文献】特許第5289109(JP,B2)
【文献】特開2017-040449(JP,A)
【文献】特開2014-031950(JP,A)
【文献】特開2005-184064(JP,A)
【文献】特開2018-132235(JP,A)
【文献】特開2001-141290(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134949(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して空気調和機から運転状態情報を収集する運転状態収集部と、
前記運転状態情報に基づいて空気調和機のメンテナンスの要否を判定する判定部と、
前記判定部によりメンテナンスが必要であると判定されたときに、前記運転状態情報に基づいてメンテナンス推奨タイミングを算出するタイミング算出部と、
前記メンテナンス推奨タイミングにメンテナンス推奨信号を通信端末に前記通信網を介して送信する送信部と、
前記運転状態情報に基づいて生成された学習モデルを前記空気調和機に前記通信網を介して送信する学習部とを備え、
前記空気調和機は、前記学習モデルを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された学習モデルに基づいて前記通信網を介さずに制御される
メンテナンス時期調整装置。
【請求項2】
前記タイミング算出部は、空気調和機が利用される頻度が低い期間を前記運転状態情報に基づいて算出し、前記期間に前記メンテナンス推奨タイミングが含まれるように、前記メンテナンス推奨タイミングを算出する
請求項1に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項3】
前記タイミング算出部は、予め入力された期間に前記メンテナンス推奨タイミングが含まれないように、前記メンテナンス推奨タイミングを算出する
請求項1に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項4】
前記タイミング算出部は、空気調和機の利用者が活動する時間帯を前記運転状態情報に基づいて算出し、前記時間帯に前記メンテナンス推奨タイミングが含まれるように、前記メンテナンス推奨タイミングを算出する
請求項1に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項5】
複数の候補日時を示す稼働状態情報をサービス拠点端末から収集する稼働状態収集部をさらに備え、
前記メンテナンス推奨信号は、前記複数の候補日時を含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項6】
空気調和機が配置される地域の気象情報を気象情報サーバから収集する気象情報収集部をさらに備え、
前記タイミング算出部は、前記運転状態情報に加えて前記気象情報に基づいて前記メンテナンス推奨タイミングを算出する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項7】
前記通信端末から出力された提案確認信号を受信する受信部をさらに備え、
前記送信部は、
前記提案確認信号が受信されたときに、前記メンテナンス推奨信号を前記通信端末に再度送信せず、
前記提案確認信号が受信されないときに、前記メンテナンス推奨信号を前記通信端末に再度送信する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のメンテナンス時期調整装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のメンテナンス時期調整装置と、
空気調和機と、
前記通信端末
とを備える空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メンテナンス時期調整装置および空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタのお手入れ時期や交換時期などを携帯端末に送信する空気調和機が知られている(特許文献1)。さらに、空調機器に関する情報を自動的に抽出して顧客管理センタに送信し、顧客管理センタは送信内容に応じた情報を自動的に空調機器に返信する空調システムが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-87510号公報
【文献】特開2007-218567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機の不具合を自動的に検出する自動点検の機能を有する空気調和機が知られている。自動点検により検出される不具合には、サービス拠点により提供される修理サービスにより解消されるものがある。空気調和機は、その不具合が解消されるまで、冷暖房運転等の空調運転ができなくなることがある。
【0005】
また、空気調和機は、業者による清掃サービスを受けている間、空調運転ができなくなる。利用者は、空気調和機に空調運転をさせたいときに、空気調和機が空調運転されないと不快に感じることがある。
【0006】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、空気調和機のメンテナンスを利用者にとって空調運転が不要となる適切なタイミングで利用者に促すメンテナンス時期調整装置および空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一つの態様におけるメンテナンス時期調整装置は、通信網を介して空気調和機から運転状態情報を収集する運転状態収集部と、前記運転状態情報に基づいて空気調和機のメンテナンスの要否を判定する判定部と、前記運転状態情報に基づいてメンテナンス推奨タイミングを算出するタイミング算出部と、前記メンテナンス推奨タイミングにメンテナンス推奨信号を前記通信端末に前記通信網を介して送信する送信部と、前記運転状態情報に基づいて生成された学習モデルを前記空気調和機に送信する前記通信網を介して学習部とを備え、前記空気調和機は、前記学習モデルを記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された学習モデルに基づいて前記通信網を介さずに制御される。
【発明の効果】
【0008】
開示のメンテナンス時期調整装置および空気調和システムは、空気調和機のメンテナンスを適切なタイミングで利用者に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、アダプタのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、サーバ装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、メンテナンスの推奨に関わる空気調和システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示するメンテナンス時期調整装置および空気調和システムの実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例
【0011】
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図である。図1に示す空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、ルータ4と、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8と、気象情報サーバ51と、サービス拠点端末52とを有する。
【0012】
室内機2は、例えば、室内に配置され、室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機の一部である。尚、室内機2の利用者は、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。室内機2は、本体2Aと、当該本体2Aを制御する制御部2Bとを有する。本体2Aには、室内ファンや室内熱交換器が備えられ、室内熱交換器で冷媒と熱交換を行った室内空気が本体2Aから吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿等が行われる。また、図示しない室外機には、室外ファンや圧縮機等が備えられている。空気調和機は、各種センサを有する自動点検機能を有している。自動点検機能は、リモコン9が操作されることにより「自動点検」が選択されたときに、各種センサの検出結果に基づいて空気調和機における冷媒の漏れ、異音、電気部品の故障などを検出する。通信端末7は、利用者のスマートフォン等の端末装置である。
【0013】
アダプタ3は、室内機2とルータ4との間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に配置するものである。ルータ4は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)等を使用してアダプタ3と通信網8とを無線通信で接続するアクセスポイントの装置である。通信網8は、例えば、インターネット等の通信網である。サーバ装置5は、室内機2を制御するAIの学習モデルを生成する機能や運転履歴データ等を記憶するデータベース等を有する。尚、サーバ装置5は、例えば、データセンタに配置されている。中継装置6は、通信網8と通信で接続すると共に、サーバ装置5と通信で接続する機能を有する。中継装置6は、通信網8経由で室内機2に適用される学習モデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等をアダプタ3からサーバ装置5に送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。尚、中継装置6は、例えば、データセンタ等に配置されている。
【0014】
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3とサーバ装置5との間でAI制御に関わる各種データを送信する。第1の中継部6Aは、アダプタ3から受信した学習モデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等を通信網8経由でサーバ装置5に送信すると共に、サーバ装置5が生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。第2の中継部6Bは、利用者が外出先から通信端末7を使用して設定した室内機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度など)を取得し、これを室内機2に送信する。第3の中継部6Cは、例えば、インターネット等の通信網8から天気予報等の外部データを取得し、取得した外部データをサーバ装置5に送信する。また、第3の中継部6Cは、外部データを通信網8経由でアダプタ3に送信する。
【0015】
気象情報サーバ51は、通信網8に接続される装置に気象予報を送信している。気象予報は、複数の地域毎の複数の時間帯の気象データを含んでいる。例えば、ある地域におけるある時間帯の気象データは、当該の天気、気温、および、降水確率の各予想である。サービス拠点端末52は、空気調和機の取り付け、空気調和機の修理、空気調和機の清掃、などの空気調和機に関わる様々なサービスを提供するサービス拠点に設置される。サービス拠点端末52は、サービス拠点の稼働状態情報が入力され、間欠的に、通信網8を介してサービス拠点の稼働状態を示す情報(以降、稼働状態情報と記載する)をサーバ装置5に送信する。稼働状態情報は、サービス拠点が提供する様々なサービスの日毎の実施スケジュールであり、複数の日時に複数の稼働状態が対応付けられている。例えば、空気調和機の清掃または修理についての稼働状態は、サービス拠点がその日時に空気調和機の清掃または修理を引き受ける余裕の有無を示している。稼働状態情報は、さらに、サービス拠点の稼働率が所定値より大きい繁忙期を示している。
【0016】
図2は、アダプタ3の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すアダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)14とを有する。第1の通信部11は、室内機2内の制御部2Bと通信接続する、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)である。第2の通信部12は、ルータ4と通信接続する、例えば、WLAN等の通信IF等の通信部である。記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU14は、アダプタ3全体を制御する。
【0017】
CPU14は、取得部24と送信部25と受信部26と学習制御部27とを有する。取得部24は、第1の通信部11を介して室内機2の制御部2Bから運転履歴データを取得し、その取得された運転履歴データを記憶部13に記憶する。送信部25は、取得部24により取得された運転履歴データ等を通信網8経由でサーバ装置5に送信する。受信部26は、通信網8経由でサーバ装置5から学習モデルを受信し、受信した学習モデルを記憶部13に記憶する。
【0018】
学習制御部27は、記憶部13に記憶された学習モデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する。尚、説明の便宜上、学習制御部27は、学習モデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する場合を例示したが、学習制御部27は、学習モデルに基づき、室内機2の本体2Aを直接的に制御しても良い。また、学習制御部27は、学習モデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信する。つまり、学習制御部27が、制御部2Bを介して本体2Aを間接的に制御するようにしても良く、適宜変更可能である。
【0019】
図3は、サーバ装置5の機能構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置5は、CPU31と記憶装置32とを有する。運転状態収集部41と学習部42と判定部43と気象情報収集部44と稼働状態収集部45とタイミング算出部46と送信部47と受信部48とを有する。
【0020】
運転状態収集部41は、複数の室内機2の各アダプタ3と接続してルータ4、通信網8及び中継装置6を経由して、アダプタ3から運転履歴データを受信する。学習部42は、運転状態収集部41により受信された運転履歴データを使用して学習し、学習結果に基づき、各室内機2の学習モデルを生成又は更新する。学習部42は、生成又は更新した学習モデルを記憶装置32に記憶する。学習部42は、さらに、中継装置6、通信網8及びルータ4経由で、学習部42により生成又は更新された学習モデルをアダプタ3に送信する。
【0021】
判定部43は、運転状態収集部41により収集された複数の運転状態情報に基づいて運転積算時間を算出する。運転積算時間は、空気調和機が「暖房」「冷房」「除湿」「送風」を運転した時間の総和を示している。判定部43は、点検用閾値と清掃用閾値とが予め設定されている。判定部43は、運転積算時間と点検用閾値とに基づいて、空気調和機に点検が必要であるか否かを判定する。判定部43は、運転積算時間と清掃用閾値とに基づいて、空気調和機に清掃が必要であるか否かを判定する。
【0022】
気象情報収集部44は、通信網8および中継装置6を介して気象情報サーバ51から気象情報を収集する。気象情報収集部44は、さらに、その収集された気象情報を記憶装置32に記憶する。稼働状態収集部45は、通信網8および中継装置6を介してサービス拠点端末52から送信された稼働状態情報を収集する。稼働状態収集部45は、さらに、その収集された稼働状態情報を記憶装置32に記憶する。
【0023】
タイミング算出部46は、気象情報収集部44により収集された気象情報に基づいて不使用期間を推測する。不使用期間は、空気調和機が利用されないと推測される複数の期間を示している。タイミング算出部46は、運転状態収集部41により収集された運転状態情報に基づいて低使用頻度期間を推測する。低使用頻度期間は、空気調和機が利用される頻度が低いと推測される複数の期間を示している。タイミング算出部46は、さらに、運転状態収集部41により収集された運転状態情報に基づいて高使用頻度期間(以下、活動時間帯と称する)を推測する。活動時間帯は、空気調和機の利用頻度が高く、利用者が活動すると推測される複数の時間帯を示している。
【0024】
タイミング算出部46は、さらに、判定部43により空気調和機に点検が必要であると判定されたときに、点検推奨タイミングを算出する。点検推奨タイミングは、不使用期間に含まれ、かつ、低使用頻度期間に含まれ、かつ、活動時間帯に含まれ、かつ、稼働状態収集部45により収集された稼働状態情報が示す、予め入力された期間としてのサービス拠点の繁忙期から外れている。
【0025】
タイミング算出部46は、さらに、判定部43により空気調和機に清掃が必要であると判定されたときに、清掃推奨タイミングを算出する。清掃推奨タイミングは、不使用期間に含まれ、かつ、低使用頻度期間に含まれ、かつ、活動時間帯に含まれ、かつ、稼働状態収集部45により収集された稼働状態情報が示す、予め入力された期間としてのサービス拠点の繁忙期から外れている。
【0026】
送信部47は、判定部43により空気調和機に点検が必要であると判定されたときに、タイミング算出部46により算出された点検推奨タイミングに、点検推奨信号を通信端末7に送信する。通信端末7は、点検推奨信号を受信したときに、点検提案確認信号を受信部48に送信する。送信部47は、判定部43により空気調和機に清掃が必要であると判定されたときに、タイミング算出部46により算出された清掃推奨タイミングに、清掃推奨信号を通信端末7に送信する。通信端末7は、清掃推奨信号を受信したときに、清掃提案確認信号を受信部48に送信する。点検推奨信号と清掃推奨信号とは、稼働状態収集部45により収集された稼働状態情報に含まれる複数の候補日時を含んでいる。
【0027】
受信部48は、通信端末7から送信された点検提案確認信号を受信し、通信端末7から送信された清掃提案確認信号を受信する。送信部47は、点検推奨信号が通信端末7に送信されてから所定期間(例えば、1日)経過後に、受信部48により通信端末7から点検提案確認信号が受信されないときに、点検推奨信号を通信端末7に再度送信する。送信部47は、清掃推奨信号が通信端末7に送信されてから所定期間(例えば、1日)経過後に、受信部48により通信端末7から清掃提案確認信号が受信されないときに、清掃推奨信号を通信端末7に再度送信する。
【0028】
[空気調和システム1の動作]
空気調和システム1の動作について説明する。空気調和システム1は、空気調和機のAI制御に関わる動作と、メンテナンスの推奨に関わる動作とを行う。
【0029】
空気調和機のAI制御に関わる動作では、アダプタ3は、5分周期の取得タイミングに室内機2から運転履歴データを取得し、その取得された空気調和機の運転履歴データを記憶部13に記憶する。アダプタ3は、48時間毎に、記憶部13に記憶された運転履歴データのうちの48時間分の運転履歴データをサーバ装置5に送信する。サーバ装置5は、アダプタ3から送信された運転履歴データを受信し、運転履歴データを記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、記憶装置32に記憶された運転履歴データに基づいて学習モデルを生成し、その生成された学習モデルを記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、中継装置6を介して記憶装置32に記憶された学習モデルをアダプタ3に送信する。アダプタ3は、サーバ装置5から送信された学習モデルを受信したときに、その受信された学習モデルを記憶部13に記憶する。アダプタ3は、記憶部13に記憶された学習モデルに基づいて、室内機2の制御部2Bを制御し、制御部2Bを介して室内機2の本体2Aを間接的に制御する。
【0030】
学習モデルには、例えば、各家庭の空気調和機の運転状態に応じて室内の利用者に対する5分後の体感温度を予測し、予測する体感温度に応じて空気調和機を制御する体感温度設定予測モデルがある。従来、空気調和機は、室内温度が目標温度になるように温度を調整することになるため、利用者にはその温度変化が体感的に不快に感じる場合がある。これに対して、体感温度設定予測モデルは、例えば、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転履歴データに応じて、利用者が快適に感じるように空気調和機を調整する際に実行するプログラムである。例えば、空気調和機は、体感温度設定予測モデルに基づいて制御されることにより、利用者が快適に感じるように、利用者により設定された温度と異なる温度に空気調和機の設定温度が変更される。このような動作によれば、空気調和システム1は、空気調和機が学習モデルに基づいて制御されることにより、空気調和機の利用者が快適になるように、空気調和機を適切に運転させることができる。
【0031】
図4は、メンテナンスの推奨に関わる空気調和システム1の動作の一例を示すフローチャートである。アダプタ3は、48時間毎に、記憶部13に記憶された48時間分の空気調和機の運転履歴データを含む運転状態情報をサーバ装置5に送信する(ステップS1)。サーバ装置5は、アダプタ3から送信された空気調和機の運転状態情報を受信したときに、運転状態情報に基づいて、空気調和機にメンテナンスが必要であるか否かを判定する(ステップS2)。メンテナンスは、点検と清掃とを含んでいる。たとえば、サーバ装置5は、運転状態情報が示す空気調和機の運転履歴データに基づいて空気調和機の運転積算時間を算出する。サーバ装置5は、その算出された運転積算時間が点検用閾値より大きいときに空気調和機に点検が必要であると判定する。サーバ装置5は、その算出された運転積算時間が清掃用閾値より大きいときに空気調和機に清掃が必要であると判定する。
【0032】
サーバ装置5は、空気調和機にメンテナンスが必要であると判定されたときに(ステップS2、Yes)、メンテナンス推奨タイミングを算出する(ステップS3)。メンテナンス推奨タイミングは、点検推奨タイミングと清掃推奨タイミングとを含んでいる。たとえば、サーバ装置5は、気象情報サーバ51から収集された気象情報に基づいて、空気調和機が利用されない不使用期間を推測する。サーバ装置5は、運転状態情報に基づいて、空気調和機が利用される頻度が低い低使用頻度期間を推測する。サーバ装置5は、さらに、運転状態情報に基づいて、空気調和機の利用者が活動する活動時間帯を推測する。サーバ装置5は、空気調和機に点検が必要であると判定されたときに、点検推奨タイミングが不使用期間に含まれ、かつ、低使用頻度期間に含まれ、かつ、活動時間帯に含まれ、かつ、サービス拠点端末52から送信された稼働状態情報が示す繁忙期から外れるように、点検推奨タイミングを算出する。サーバ装置5は、空気調和機に清掃が必要であると判定されたときに、清掃推奨タイミングが不使用期間に含まれ、かつ、低使用頻度期間に含まれ、かつ、活動時間帯に含まれ、かつ、サービス拠点端末52から送信された稼働状態情報が示す繁忙期から外れるように、清掃推奨タイミングを算出する。
【0033】
サーバ装置5は、その算出された点検推奨タイミングに、点検推奨信号を通信端末7に送信する(ステップS4)。通信端末7は、サーバ装置5から送信された点検推奨信号を受信すると、空気調和機の自動点検を促すメッセージを表示し、空気調和機の利用者に点検を促す(ステップS5)。
【0034】
通信端末7は、自動点検を促すメッセージが表示された後に、点検提案確認信号をサーバ装置5に送信する(ステップS6)。サーバ装置5は、ステップS4で点検推奨信号が通信端末7に送信されてから所定期間(例えば30秒)経過後までに通信端末7から点検提案確認信号が受信されたか否かを判定する(ステップS7)。サーバ装置5は、通信端末7から点検提案確認信号が受信されないときに(ステップS7、No)、ステップS4に戻って点検推奨信号を通信端末7に再度送信する(ステップS4)。
【0035】
利用者は、自動点検を促すメッセージを通信端末7で確認した後に、リモコン9を操作することにより空気調和機に自動点検を実行させる。利用者は、自動点検により空気調和機に不具合が発見されたときに、通信端末7により受信された点検推奨信号に含まれる複数の候補日時から依頼日時を選択し、依頼日時に出向いてもらう修理をサービス拠点に依頼する。サービス拠点は、利用者からの修理の依頼を受けると、空気調和機を修理するサービスを空気調和機の利用者に提供する。
【0036】
空気調和システム1は、空気調和機の利用者が活動する活動時間帯に点検推奨タイミングが含まれることにより、自動点検を促すメッセージの利用者による閲覧をより確実にし、空気調和機の自動点検の実行をより確実にする。空気調和システム1は、さらに、点検推奨タイミングがサービス拠点の繁忙期から外れていることにより、利用者が自動点検を実行させる日時をサービス拠点の繁忙期以外に誘導することができる。空気調和システム1は、自動点検の日時が繁忙期以外に誘導されることにより、空気調和機を修理する依頼日時を繁忙期以外に誘導することができ、繁忙期にサービス拠点の作業負荷の増加を抑制することができ、サービス拠点の業務効率を向上させることができる。空気調和システム1は、空気調和機を修理する依頼日時が繁忙期以外に誘導されることにより、不具合の発見から修理までの期間を短縮することができ、その期間に空調運転されないことによる利用者の不快感を低減することができる。空気調和システム1は、さらに、空気調和機が利用される頻度が低い低使用頻度期間、または、空気調和機が利用されない不使用期間に点検推奨タイミングが含まれることにより、修理のために空調運転されないことによる不快感を低減することができる。
【0037】
サーバ装置5は、さらに、点検推奨信号を点検推奨タイミングに通信端末7に送信する場合と同様に、算出された清掃推奨タイミングに清掃推奨信号を通信端末7に送信する(ステップS4)。通信端末7は、サーバ装置5から送信された清掃推奨信号を受信すると、空気調和機の清掃を促すメッセージを表示し、空気調和機の利用者に清掃を促す(ステップS5)。
【0038】
通信端末7は、清掃を促すメッセージが表示された後に、清掃提案確認信号をサーバ装置5に送信する(ステップS6)。サーバ装置5は、ステップS4で清掃推奨信号が通信端末7に送信されてから所定期間(例えば30秒)経過後までに通信端末7から清掃提案確認信号が受信されたか否かを判定する(ステップS7)。サーバ装置5は、通信端末7から清掃提案確認信号が受信されないときに(ステップS7、No)、清掃推奨信号を通信端末7に再度送信する(ステップS4)。
【0039】
利用者は、清掃を促すメッセージを通信端末7で確認した後に、通信端末7により受信された清掃推奨信号に含まれる複数の候補日時から依頼日時を選択し、依頼日時の清掃をサービス拠点に依頼する。サービス拠点は、利用者からの清掃の依頼を受けると、空気調和機を清掃するサービスを空気調和機の利用者に提供する。
【0040】
空気調和システム1は、空気調和機の利用者が活動する活動時間帯に清掃推奨タイミングが含まれることにより、清掃を促すメッセージの利用者による閲覧をより確実にし、空気調和機の清掃の依頼をより確実にする。空気調和システム1は、さらに、清掃推奨タイミングがサービス拠点の繁忙期から外れていることにより、利用者が清掃を依頼する依頼日時をサービス拠点の繁忙期以外に誘導することができる。空気調和システム1は、清掃の依頼日時が繁忙期以外に誘導されることにより、繁忙期にサービス拠点の作業負荷の増加を抑制することができ、サービス拠点の業務効率を向上させることができる。空気調和システム1は、さらに、空気調和機が利用される頻度が低い低使用頻度期間、または、空気調和機が利用されない不使用期間に清掃推奨タイミングが含まれることにより、清掃のために空調運転されないことによる不快感を低減することができる。
【0041】
[実施例のメンテナンス時期調整装置の効果]
実施例のメンテナンス時期調整装置であるサーバ装置5は、運転状態収集部41と判定部43とタイミング算出部46と送信部47とを備えている。運転状態収集部41は、室内を冷暖房する空気調和機のアダプタ3から運転状態情報を収集する。判定部43は、運転状態情報に基づいて空気調和機の点検の要否を判定する。タイミング算出部46は、判定部43により点検が必要であると判定されたときに、運転状態情報に基づいて点検推奨タイミングを算出する。送信部47は、点検推奨タイミングに点検推奨信号を通信端末7に送信する。また、判定部43は、運転状態情報に基づいて空気調和機の清掃の要否を判定する。タイミング算出部46は、判定部43により清掃が必要であると判定されたときに、運転状態情報に基づいて清掃推奨タイミングを算出する。送信部47は、清掃推奨タイミングに清掃推奨信号を通信端末7に送信する。
【0042】
空気調和機が利用される頻度が低い低使用頻度期間、および、空気調和機が利用されない不使用期間は、空気調和機の運転状態情報に基づいて推測されることができる。サーバ装置5は、点検推奨タイミングが低使用頻度期間または不使用期間に含まれるように、運転状態情報に基づいて点検推奨タイミングを算出することで、点検による不具合の発見から修理までの期間に冷暖房されないことによる不快感を低減することができる。また、サーバ装置5は、清掃推奨タイミングが低使用頻度期間または不使用期間に含まれるように、運転状態情報に基づいて清掃推奨タイミングを算出することで、清掃時に空調運転されないことによる不快感を低減することができる。
【0043】
また、サーバ装置5のタイミング算出部46は、予め入力された繁忙期に点検推奨タイミングが含まれないように、点検推奨タイミングを算出し、繁忙期に清掃推奨タイミングが含まれないように、清掃推奨タイミングを算出する。このとき、サーバ装置5は、修理または清掃の依頼日時を繁忙期以外に誘導することができる。サーバ装置5は、修理または清掃の依頼日時が繁忙期以外に誘導されることにより、繁忙期にサービス拠点の作業負荷の増加を抑制することができ、サービス拠点の業務効率を向上させることができる。
【0044】
また、サーバ装置5のタイミング算出部46は、空気調和機の利用者が活動する活動時間帯を運転状態情報に基づいて算出する。タイミング算出部46は、さらに、活動時間帯に点検推奨タイミングが含まれるように、点検推奨タイミングを算出し、活動時間帯に清掃推奨タイミングが含まれるように、清掃推奨タイミングを算出する。このとき、サーバ装置5は、利用者の活動時間帯に点検推奨信号または清掃推奨信号を通信端末7に送信することができ、通信端末7をより確実に利用者に確認させることができ、点検または清掃をより確実に利用者に促すことができる。
【0045】
また、サーバ装置5は、複数の候補日時を含む稼働状態情報をサービス拠点端末52から収集する稼働状態収集部45をさらに備えている。点検推奨信号は、複数の候補日時を含み、清掃推奨信号は、複数の候補日時を含んでいる。サーバ装置5は、サービス拠点が清掃または修理を引き受ける余裕がある複数の候補日時を利用者に通知することができ、サービス拠点に空気調和機を清掃してもらう依頼日時を利用者が決定することを容易にすることができる。ところで、点検推奨信号と清掃推奨信号とは、複数の候補日時を含んでいるが、複数の候補日時を含まなくてもよい。サーバ装置5は、点検推奨信号と清掃推奨信号とが複数の候補日時を含んでいない場合でも、空気調和機の点検または清掃を適切なタイミングで利用者に促すことができる。
【0046】
また、サーバ装置5は、空気調和機が配置される地域の気象情報を気象情報サーバ51から収集する気象情報収集部44をさらに備えている。タイミング算出部46は、運転状態情報に加えて気象情報に基づいて点検推奨タイミングを算出し、運転状態情報に加えて気象情報に基づいて清掃推奨タイミングを算出する。空気調和機が利用される頻度が低い低使用頻度期間、および、空気調和機が利用されない不使用期間は、気象情報に基づいて高精度に推測されることができる。サーバ装置5は、このように点検推奨タイミングまたは清掃推奨タイミングを算出することで、点検による不具合の発見から修理までの期間に、または、清掃時に、空調運転されないことによる不快感を低減することができる。ところで、点検推奨タイミングと清掃推奨タイミングとは、気象情報に基づいて算出される期間に含まれないように算出されているが、気象情報に無関係に算出されてもよい。サーバ装置5は、点検推奨タイミングと清掃推奨タイミングとが気象情報に無関係である場合でも、空気調和機の点検または清掃を適切なタイミングで利用者に促すことができる。
【0047】
また、サーバ装置5は、通信端末7から出力された点検提案確認信号と清掃提案確認信号とを受信する受信部48をさらに備えている。送信部47は、点検提案確認信号が受信されたときに、点検推奨信号を通信端末7に再度送信せずに、点検提案確認信号が受信されないときに、点検推奨信号を通信端末7に再度送信する。また、送信部47は、清掃提案確認信号が受信されたときに、清掃推奨信号を通信端末7に再度送信せずに、清掃提案確認信号が受信されないときに、清掃推奨信号を通信端末7に再度送信する。このとき、サーバ装置5は、通信端末7に点検推奨信号または清掃推奨信号をより確実に送信することができ、点検または清掃をより確実に利用者に促すことができる。ところで、サーバ装置5は、点検提案確認信号と清掃提案確認信号とが受信されないときに点検推奨信号および清掃推奨信号を再送しているが、このような再送を省略してもよい。サーバ装置5は、このような再送をしない場合でも、空気調和機の点検または清掃を適切なタイミングで利用者に促すことができる。
【0048】
ところで、空気調和システム1は、空気調和機から収集された運転履歴データに基づいてサーバ装置5がAIに学習させて学習モデルを生成し、その学習モデルに基づいて空気調和機の運転が制御されているが、AIを用いたこのような制御が省略されてもよい。サーバ装置5は、AIを用いた制御が省略された場合でも、空気調和機の点検または清掃を適切なタイミングで利用者に促すことができる。
【0049】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 :空気調和システム
3 :アダプタ
5 :サーバ装置
7 :通信端末
51 :気象情報サーバ
52 :サービス拠点端末
24 :取得部
25 :送信部
26 :受信部
27 :学習制御部
41 :運転状態収集部
43 :判定部
44 :気象情報収集部
45 :稼働状態収集部
46 :タイミング算出部
47 :送信部
48 :受信部
図1
図2
図3
図4