IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-駆動回路 図1
  • 特許-駆動回路 図2
  • 特許-駆動回路 図3
  • 特許-駆動回路 図4
  • 特許-駆動回路 図5
  • 特許-駆動回路 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20231205BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20231205BHJP
   H03K 17/695 20060101ALI20231205BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H03K17/16 D
H03K17/687 F
H03K17/695
H02M1/08 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019043760
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020150304
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 正志
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-200017(JP,A)
【文献】特開2013-179501(JP,A)
【文献】特開2012-175437(JP,A)
【文献】特開2007-6048(JP,A)
【文献】特開2001-196906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/16
H03K17/687-17/695
H02M1/08-1/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される論理入力信号が第1論理レベルから第2論理レベルに変化した時に内部電源によりセット信号を生成するセット側パルス生成回路と、
前記論理入力信号が前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変化した時に前記内部電源によりリセット信号を生成するリセット側パルス生成回路と、
前記セット信号をレベルシフトすることによって、レベルシフト済みセット信号を生成するセット側レベルシフト回路と、
前記リセット信号をレベルシフトすることによって、レベルシフト済みリセット信号を生成するリセット側レベルシフト回路と、
前記レベルシフト済みセット信号に基づいてパワーデバイスをオンさせ、前記レベルシフト済みリセット信号に基づいて前記パワーデバイスをオフさせる制御回路と、
前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時に前記パワーデバイスをオフさせ且つ前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時に前記パワーデバイスをオンさせる状態が維持されるよう、前記論理入力信号に基づいて前記セット側パルス生成回路の出力端子が接続された第1ノード及び前記リセット側パルス生成回路の出力端子が接続された第2ノードのそれぞれをプルアップ又はプルダウンする保証回路と、
を備える駆動回路。

【請求項2】
前記保証回路は、
前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時に前記セット側パルス生成回路の出力の電圧を基準電位によってプルダウンするセット側保証回路と、
前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時に前記リセット側パルス生成回路の出力の電圧を前記基準電位によってプルダウンするリセット側保証回路と、
を備える請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記セット側保証回路は、前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時に前記セット側パルス生成回路の出力の電圧を外部電源によってプルアップし、
前記リセット側保証回路は、前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時に前記リセット側パルス生成回路の出力の電圧を前記外部電源によってプルアップする
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記セット側保証回路が、
前記外部電源に接続され、前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時にオンするとともに前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時にオフする第1スイッチング素子と、
前記基準電位と前記外部電源との間においてセット側抵抗器を介して前記第1スイッチング素子に直列接続され、前記論理入力信号に基づいて前記第1スイッチング素子に対して相補的にオン・オフする第2スイッチング素子と、を有し、
前記セット側抵抗器と前記第2スイッチング素子との間のノードが前記セット側パルス生成回路の出力に接続されている
請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記セット側パルス生成回路が、
前記論理入力信号が前記第1論理レベルから前記第2論理レベルに変化することを検出するセット側エッジ検出回路と、
前記内部電源に接続され、前記セット側エッジ検出回路の出力信号に基づいてオン・オフする第3スイッチング素子と、
前記基準電位と前記内部電源との間において前記第3スイッチング素子に直列接続され、前記セット側エッジ検出回路の出力信号に基づき前記第3スイッチング素子に対して相補的にオン・オフする第4スイッチング素子と、を有し、
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間のノードが前記セット側抵抗器と前記第2スイッチング素子との間のノードに接続され、前記セット側パルス生成回路が、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間のノードの電圧を前記セット信号として前記セット側レベルシフト回路に出力する
請求項4に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第3スイッチング素子のオン時の抵抗値が前記第1スイッチング素子のオン時の抵抗値と前記セット側抵抗器の抵抗値との和よりも小さい
請求項5に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記セット側レベルシフト回路が、
ハイサイド電源と前記基準電位との間に接続され、前記セット信号に基づいてオン・オフするセット側レベルシフトスイッチング素子を有し、
前記セット側レベルシフト回路が、前記セット側レベルシフトスイッチング素子の前記ハイサイド電源の側の端子の電圧を前記レベルシフト済みセット信号として前記制御回路に出力する
請求項5又は6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子がオンし且つ前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子がオフした時の前記セット側パルス生成回路の出力の電圧が前記セット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧よりも低い
請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記セット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧が、前記第4スイッチング素子のオン時の抵抗値を前記第4スイッチング素子のオン時の抵抗値と前記セット側抵抗器の抵抗値と前記第1スイッチング素子のオン時の抵抗値との和によって除して得られた商に、前記外部電源の電圧を乗じて得られた積よりも大きい
請求項7又は8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記セット側パルス生成回路が、
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間のノードの電圧を所定電圧よりも低くクランプするセット側クランプ素子を更に有する
請求項7から9の何れか一項に記載の駆動回路。
【請求項11】
前記セット側クランプ素子が、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間のノードに逆バイアスで接続されたセット側ツェナーダイオードであり、
前記所定電圧が前記セット側ツェナーダイオードの降伏電圧であり、
前記セット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧が前記セット側ツェナーダイオードの降伏電圧よりも低い
請求項10に記載の駆動回路。
【請求項12】
前記リセット側保証回路が、
前記外部電源に接続され、前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時にオンするとともに前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時にオフする第5スイッチング素子と、
前記基準電位と前記外部電源との間においてリセット側抵抗器を介して前記第5スイッチング素子に直列接続され、前記論理入力信号に基づいて前記第5スイッチング素子に対して相補的にオン・オフする第6スイッチング素子と、
を有し、
前記リセット側抵抗器と前記第6スイッチング素子との間のノードが前記リセット側パルス生成回路の出力に接続されている
請求項3から11の何れか一項に記載の駆動回路。
【請求項13】
前記リセット側パルス生成回路が、
前記論理入力信号が前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変化することを検出するリセット側エッジ検出回路と、
前記内部電源に接続され、前記リセット側エッジ検出回路の出力信号に基づいてオン・オフする第7スイッチング素子と、
前記基準電位と前記内部電源との間において前記第7スイッチング素子に直列接続され、前記リセット側エッジ検出回路の出力信号に基づき前記第7スイッチング素子に対して相補的にオン・オフする第8スイッチング素子と、を有し、
前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子との間のノードが前記リセット側抵抗器と前記第6スイッチング素子との間のノードに接続され、前記リセット側パルス生成回路が、前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子との間のノードの電圧を前記リセット信号として前記リセット側レベルシフト回路に出力する
請求項12に記載の駆動回路。
【請求項14】
前記第7スイッチング素子のオン時の抵抗値が前記第5スイッチング素子のオン時の抵抗値と前記リセット側抵抗器の抵抗値との和よりも小さい
請求項13に記載の駆動回路。
【請求項15】
前記リセット側レベルシフト回路が、
ハイサイド電源と前記基準電位との間に接続され、前記リセット信号に基づいてオン・オフするリセット側レベルシフトスイッチング素子を有し、
前記リセット側レベルシフト回路が、前記リセット側レベルシフトスイッチング素子の前記ハイサイド電源の側の端子の電圧を前記レベルシフト済みリセット信号として前記制御回路に出力する
請求項13又は14に記載の駆動回路。
【請求項16】
前記第5スイッチング素子及び前記第8スイッチング素子がオンし且つ前記第6スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子がオフした時の前記リセット側パルス生成回路の出力の電圧が前記リセット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧よりも低い
請求項15に記載の駆動回路。
【請求項17】
前記リセット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧が、前記第8スイッチング素子のオン時の抵抗値を前記第8スイッチング素子のオン時の抵抗値と前記リセット側抵抗器の抵抗値と前記第5スイッチング素子のオン時の抵抗値との和によって除して得られた商に、前記外部電源の電圧を乗じて得られた積よりも大きい
請求項15又は16に記載の駆動回路。
【請求項18】
前記リセット側パルス生成回路が、
前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子との間のノードの電圧を所定電圧よりも低くクランプするリセット側クランプ素子を更に有する
請求項15から17の何れか一項に記載の駆動回路。
【請求項19】
前記リセット側クランプ素子が、前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子との間のノードに逆バイアスで接続されたリセット側ツェナーダイオードを更に有し、
前記所定電圧が前記リセット側ツェナーダイオードの降伏電圧であり、
前記リセット側レベルシフトスイッチング素子の閾値電圧が前記リセット側ツェナーダイオードの降伏電圧よりも低い
請求項18に記載の駆動回路。
【請求項20】
前記セット信号がローレベルからハイレベルに変化したとき、前記保証回路は前記セット側レベルシフト回路の入力がハイレベルであることを維持し、
前記リセット信号がローレベルからハイレベルに変化したとき、前記保証回路は前記リセット側レベルシフト回路の入力がハイレベルであることを維持する請求項1または2に記載の駆動回路。
【請求項21】
前記セット信号がローレベルからハイレベルに変化してからハイレベルからローレベルに戻った後、前記保証回路は前記セット側レベルシフト回路の入力がローレベルであることを維持し、
前記リセット信号がローレベルからハイレベルに変化してからハイレベルからローレベルに戻った後も、前記保証回路は前記リセット側レベルシフト回路の入力がローレベルであることを維持する請求項20に記載の駆動回路。
【請求項22】
前記セット信号がローレベルからハイレベルに変化したとき、前記保証回路は前記リセット側レベルシフト回路の入力がローレベルであることを維持し、
前記リセット信号がローレベルからハイレベルに変化したとき、前記保証回路は前記セット側レベルシフト回路の入力がローレベルであることを維持する請求項21に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーデバイスを駆動する駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に開示されているように、ハーフブリッジ回路は、電源の高電位端子と低電位端子との間において直列接続された第1及び第2のパワースイッチング素子を有しており、第1パワースイッチング素子と第2パワースイッチング素子との間のノードがモータ等の負荷に接続されている。第1パワースイッチング素子がオン・オフし、第2パワースイッチング素子が第1パワースイッチング素子に対して相補的にオン・オフすることによって、負荷が駆動される。第2パワースイッチング素子は、電源の低電位端子の電位を基準電位として動作するローサイド制御回路によって駆動されることにより、オン・オフする。第1パワースイッチング素子は、第1パワースイッチング素子と第2パワースイッチング素子との間のノードの電位を基準電位として動作するハイサイド制御回路によって駆動されることにより、オン・オフする。
【0003】
ハイサイド制御回路の前段にはレベルシフト回路が接続され、レベルシフト回路の前段には前段回路が接続されている。ハイサイド制御回路及びレベルシフト回路は高電圧で動作するものであり、前段回路は低電圧で動作するものである。前段回路は、外部からの論理入力信号に基づいてパルス型のセット信号及びリセット信号を生成し、レベルシフト回路は、セット信号及びリセット信号をレベルシフトする。ハイサイド制御回路は、レベルシフト済みのセット信号及びリセット信号に基づいて駆動信号を生成して、その駆動信号に従って第1パワースイッチング素子をオン・オフさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/163142号
【文献】国際公開第2016/009719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、第1及び第2のパワースイッチング素子のオン・オフが切り替わると、第1パワースイッチング素子と第2パワースイッチング素子との間のノードの電位が負荷のインダクタンスの影響によって電源の低電位端子の電位よりも低下して、そのノードの電圧が負電圧となることがある。そのような負電圧が発生すると、前段回路の動作が安定せず、セット信号及びリセット信号が前段回路から安定して出力されない。そのノードの電圧が負電圧状態から正常状態に復帰する際も、セット信号及びリセット信号のレベルが誤ったものとなる虞もあり、ハイサイド制御回路が誤動作する虞がある。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、パワーデバイスに接続されるノードに負電圧が発生した後でも、そのパワーデバイスを駆動する制御回路を正常に動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、外部から入力される論理入力信号が第1論理レベルから第2論理レベルに変化した時に内部電源によりセット信号を生成するセット側パルス生成回路と、前記論理入力信号が前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変化した時に前記内部電源によりリセット信号を生成するリセット側パルス生成回路と、前記セット信号をレベルシフトすることによって、レベルシフト済みセット信号を生成するセット側レベルシフト回路と、前記リセット信号をレベルシフトすることによって、レベルシフト済みリセット信号を生成するリセット側レベルシフト回路と、前記レベルシフト済みセット信号に基づいてパワーデバイスをオンさせ、前記レベルシフト済みリセット信号に基づいて前記パワーデバイスをオフさせる制御回路と、前記論理入力信号が前記第1論理レベルである時に前記パワーデバイスをオフさせ且つ前記論理入力信号が前記第2論理レベルである時に前記パワーデバイスをオンさせる状態を、前記論理入力信号に基づいて保証する保証回路と、を備える駆動回路である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施態様によれば、パワースイッチング素子を駆動する制御回路を正常に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】駆動回路、出力回路、負荷及び外部電源を示す図である。
図2】ハイサイドの入力信号、ローサイドの入力信号、セット信号、レベルシフト済みセット信号、リセット信号、レベルシフト済みリセット信号、ラッチ回路の出力及び出力信号の関係を時間軸で表したタイミングチャートである。
図3】外部電源及び駆動回路の前段回路を示す図である。
図4】ハイサイドの入力信号と各スイッチング素子の状態との関係を時間軸で表したタイミングチャートである。
図5】ハイサイドのパワースイッチング素子がオンからオフに切り替わった後の各ノードの電圧、入力信号、出力信号、各パルス生成回路の出力信号の関係を時間軸で表したタイイングチャートである。
図6】ハイサイドのパワースイッチング素子がオフからオンに切り替わった後の各ノードの電圧、入力信号、出力信号、各パルス生成回路の出力信号の関係を時間軸で表したタイイングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
=====本実施形態=====
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
<<<1. 駆動回路及び出力回路の概要>>>
図1は、駆動回路1、出力回路5、負荷9及び外部電源4を示す図である。図2は、入力信号HIN、入力信号LIN、セット信号set、レベルシフト済みセット信号setdrn、リセット信号res、レベルシフト済みリセット信号resdrn、ラッチ回路222の出力及び出力信号HOの関係を表したタイミングチャートである。
【0012】
外部電源4は、一定の直流電圧を生成して、その直流電圧を駆動回路1に供給する。
外部電源4には、容量の大きなコンデンサ4aが接続されている。そのため、駆動回路1及び出力回路5等で発生するノイズがコンデンサ4aによって除去され、外部電源4はそのノイズの影響を受けない。従って、外部電源4の出力電圧は安定している。
【0013】
ハイサイド側の入力信号HIN及びローサイド側の入力信号LINがマイコン(不図示)から駆動回路1に入力されることによって、駆動回路1が動作する。入力信号HIN及び入力信号LINは、第1論理レベルと第2論理レベルに繰り返し切り替わる論理入力信号である。ここで、第1論理レベルとはローレベルのことをいい、第2論理レベルとはハイレベルのことをいう。
【0014】
入力信号HINと入力信号LINは一般的に相補的な関係にある。つまり、入力信号HINがハイレベルである時には、入力信号LINがローレベルであり、入力信号HINがローレベルである時には、入力信号LINがハイレベルである。
なお、マイコンは駆動回路1及び出力回路5等で発生するノイズの影響を受けない。そのため、マイコンは安定して入力信号HIN及び入力信号LINを出力する。
【0015】
駆動回路1がハイサイド側の入力信号HIN及びローサイド側の入力信号LINに基づいて出力回路5を駆動すると、その出力回路5が負荷9を高圧直流電源8の電圧を印加する電圧印加状態と接地電圧を印加する接地電圧印加状態とに交互に繰り返し切り替わる。
【0016】
出力回路5は、ハーフブリッジを構成するパワースイッチング素子51,52を含んで構成される。パワースイッチング素子51,52はNチャネル型のパワーMOSFETであるが、IGTB又はバイポーラトランジスタ等といったパワーデバイスであってもよい。パワースイッチング素子51,52が高圧直流電源8の高電位出力端子と低電位出力端子との間に直列接続されている。パワースイッチング素子52と高圧直流電源8の低電位出力端子との間のノードN1が接地されて、そのノードN1が基準電位とされている。パワースイッチング素子51とパワースイッチング素子52との間のノードN2が負荷9の一端に接続されている。負荷9の他端が接地されている。ノードN2はハイサイド直流電源6の低電位出力端子に接続されている。
【0017】
駆動回路1は、ハイサイド側の入力信号HINに基づいて、パワースイッチング素子51をオン・オフさせる。更に、駆動回路1は、ローサイド側の入力信号LINに基づいて、パワースイッチング素子51に対して相補的にパワースイッチング素子52をオン・オフさせる。パワースイッチング素子51がオンし且つパワースイッチング素子52がオフすると、ノードN2の電位が高圧直流電源8の出力電圧となり、負荷9が電圧印加状態となる。パワースイッチング素子51がオフし且つパワースイッチング素子52がオンすると、ノードN2の電位が基準電位になり、負荷9が接地電圧印加状態となる。従って、ノードN2の電位は基準電位から高圧直流電源8の出力電圧までの間で変動し得る。ここで、負荷9が電圧印加状態からデッドタイムを経て接地電圧印加状態に切り替わるが、そのデッドタイムではパワースイッチング素子51,52が共にオフすることによって、高圧直流電源8のショート及び貫流電流が防止される。同様に、負荷9が接地電圧印加状態からデッドタイムを経て電圧印加状態に切り替わる。
【0018】
<<<2. 駆動回路の構成>>>
駆動回路1は前段回路10、後段回路20及びローサイド制御回路40を含んで構成される。
駆動回路1は1つのチップに内蔵されている。但し、前段回路10及び後段回路20が共通のチップに内蔵され、ローサイド制御回路40が別のチップに内蔵されていてもよい。或いは、前段回路10及びローサイド制御回路40が共通のチップに内蔵され、後段回路20が別のチップに内蔵されていてもよい。後段回路20及びローサイド制御回路40が共通のチップに内蔵され、前段回路10が別のチップに内蔵されていてもよい。或いは、前段回路10、後段回路20及びローサイド制御回路40が別々のチップに内蔵されていてもよい。
【0019】
前段回路10は低電圧で動作し、後段回路20は高電圧で動作する。
前段回路10は内部電源11、入力回路12、パルス生成回路13、バッファー回路14を含んで構成される。後段回路20はレベルシフト回路21、ハイサイド制御回路22及びダイオード28,29を含んで構成される。
【0020】
<<<2-1. ローサイド制御回路>>>
ローサイド制御回路40には、ローサイドの直流電源7から電力が供給されるとともに、マイコンから入力信号LINが入力される。ローサイド制御回路40は、入力信号LINに基づいて、パワースイッチング素子51に対して相補的にパワースイッチング素子52をオン・オフさせる。
【0021】
<<<2-2. 内部電源>>>
内部電源11は、外部電源4から電力の供給を受けるとともに、外部電源4の出力電圧よりも低い一定の直流電圧を外部電源4の電力から生成する。内部電源11は、その直流電圧を入力回路12及びパルス生成回路13に供給する。
【0022】
<<<2-3. 入力回路>>>
図3は、入力回路12、パルス生成回路13、バッファー回路14及び入力制御状態保証回路15を示す図である。図4は、パルス生成回路13の各スイッチング素子133a,134a,133b,134bの状態と入力制御状態保証回路15の各スイッチング素子151a,152a,151b,152bの状態と入力信号HINとの関係を示したタイミングチャートである。
【0023】
入力回路12はコンパレータ121及びノイズフィルタ122を含んで構成される。コンパレータ121は、内部電源11により生成された参照電圧Refと入力信号HINのレベルとを比較する。入力信号HINのレベルが参照電圧Refよりも高ければ、コンパレータ121の出力信号がハイレベルである。入力信号HINのレベルが参照電圧Refよりも低ければ、コンパレータ121の出力信号がローレベルである。
【0024】
ノイズフィルタ122は例えばローパスフィルタである。ノイズフィルタ122はコンパレータ121の出力信号のノイズを除去する。ノイズフィルタ122によるノイズ除去後の信号が入力回路12の出力信号であり、その出力信号がパルス生成回路13に入力される。入力回路12の遅延を考慮しなければ、入力回路12の出力信号は入力信号HINに同期する。
【0025】
<<<2-4. パルス生成回路>>>
パルス生成回路13は、セット側パルス生成回路13aとリセット側パルス生成回路13bとを含んで構成される。セット側パルス生成回路13aは、入力回路12の出力信号がローレベルからハイレベルに立ち上がる時においてパルスを発生させるとともに、そのパルス発生時にハイレベルであるとともにそのパルス消失時にローレベルであるセット信号set(図2参照)を出力する。また、リセット側パルス生成回路13bは、入力回路12の出力信号がハイレベルからローレベルに立ち下がる時においてパルスを発生させて、そのパルス発生時にハイレベルであるとともにそのパルス消失時においてローレベルであるリセット信号res(図2参照)を出力する。セット信号setがハイレベルであるタイミングとリセット信号resがハイレベルであるタイミングは時間的にずれている。セット信号set及びリセット信号resは後段回路20のレベルシフト回路21に入力される。
【0026】
セット側パルス生成回路13aはセット側エッジ検出回路131a、インバータ132a,スイッチング素子(第3スイッチング素子)133a、スイッチング素子(第4スイッチング素子)134a及びセット側ツェナーダイオード(セット側クランプ素子)135aを含んで構成される。リセット側パルス生成回路13bはリセット側エッジ検出回路131b、インバータ132b,スイッチング素子(第7スイッチング素子)133b、スイッチング素子(第8スイッチング素子)134b及びリセット側ツェナーダイオード(リセット側クランプ素子)135bを含んで構成される。
【0027】
セット側エッジ検出回路131aは、入力回路12の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する立ち上がりエッジを検出すると、パルスを発生させる。セット側エッジ検出回路131aは、パルス発生時にハイレベルであるとともにそのパルス消失時にローレベルである信号をインバータ132aに出力する。インバータ132aは、セット側エッジ検出回路131aの出力信号を反転させて、反転後の信号をスイッチング素子133a及びスイッチング素子134aのゲートに出力する。
【0028】
スイッチング素子133aはPチャネル型のMOSFETであり、スイッチング素子134aがNチャネル型のMOSFETである。スイッチング素子133aのソースが内部電源11に接続され、スイッチング素子133aのドレインがスイッチング素子134aのドレインに接続され、スイッチング素子134aのソースが接地されて基準電位とされている。
【0029】
セット側ツェナーダイオード135aがノードN3と接地との間に逆バイアス的に接続されている。つまり、セット側ツェナーダイオード135aのカソードがノードN3に接続され、セット側ツェナーダイオード135aのアノードが接地に接続されて基準電位とされている。なお、セット側ツェナーダイオード135aの降伏電圧(例えば5.5V)は、内部電源11の出力電圧(例えば、5V)より高く、外部電源4の出力電圧(例えば、30V)より低い。したがって、セット側ツェナーダイオード135aは、後述するセット側レベルシフトスイッチング素子211aのゲートが接続されるノードN3の電圧が必要以上に高くならないよう、ノードN3の電圧を降伏電圧にクランプする。
【0030】
インバータ132aの出力信号がローレベルである時、つまり入力信号HINが立ち上がる時、スイッチング素子133aがオンするとともにスイッチング素子134aがオフする(図4参照)。そのため、ノードN3には内部電源11の電圧が印加され、ノードN3がハイレベルとなる。インバータ132aの出力信号がハイレベルである時、スイッチング素子133aがオフするとともにスイッチング素子134aがオンする。そのため、ノードN3がローレベルの基準電位になる。ノードN3の電圧がセット信号setとして出力される。
【0031】
リセット側エッジ検出回路131bは、入力回路12の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する立ち下がりエッジを検出すると、パルスを発生させる。リセット側エッジ検出回路131bは、パルス発生時にハイレベルであるとともにそのパルス消失時にローレベルである信号をインバータ132bに出力する。インバータ132bは、リセット側エッジ検出回路131bの出力信号を反転させて、反転後の信号をスイッチング素子133b及びスイッチング素子134bのゲートに出力する。
【0032】
スイッチング素子133bはPチャネル型のMOSFETであり、スイッチング素子134bがNチャネル型のMOSFETである。スイッチング素子133bのソースが内部電源11に接続され、スイッチング素子133bのドレインがスイッチング素子134bのドレインに接続され、スイッチング素子134bのソースが接地されて基準電位とされている。
【0033】
リセット側ツェナーダイオード135bがノードN4と接地との間に逆バイアス的に接続されている。つまり、リセット側ツェナーダイオード135bのカソードがノードN4に接続され、リセット側ツェナーダイオード135bのアノードが接地に接続されて基準電位とされている。なお、リセット側ツェナーダイオード135bの降伏電圧(例えば5.5V)も、セット側ツェナーダイオード135aと同様である。このため、リセット側ツェナーダイオード135bは、後述するリセット側レベルシフトスイッチング素子211bのゲートが接続されるノードN4の電圧が必要以上に高くならないよう、ノードN4の電圧を降伏電圧にクランプする。
【0034】
インバータ132bの出力信号がローレベルである時、つまり入力信号HINが立ち下がる時、スイッチング素子133bがオンするとともにスイッチング素子134bがオフする(図4参照)。そのため、ノードN4には内部電源11の電圧が印加され、ノードN4がハイレベルとなる。インバータ132bの出力信号がハイレベルである時、スイッチング素子133bがオフするとともにスイッチング素子134bがオンする。そのため、ノードN4がローレベルの基準電位になる。
【0035】
<<<2-5. レベルシフト回路及びクランプダイオード>>>
図1に示すように、レベルシフト回路21は、セット側レベルシフト回路21aとリセット側レベルシフト回路21bとを含んで構成される。セット側レベルシフト回路21aは、セット側パルス生成回路13aにより出力されたセット信号setを反転しつつ直流レベルをシフトし、レベルシフト済みセット信号setdrn(図2参照)としてハイサイド制御回路22に出力する。更に、リセット側レベルシフト回路21bは、リセット側パルス生成回路13bにより出力されたリセット信号resを反転しつつ直流レベルをシフトし、レベルシフト済みリセット信号resdrn(図2参照)としてハイサイド制御回路22に出力する。
【0036】
セット側レベルシフト回路21aは、セット側レベルシフトスイッチング素子211a及び抵抗器212aを含んで構成される。リセット側レベルシフト回路21bは、リセット側レベルシフトスイッチング素子211b及び抵抗器212bを含んで構成される。
【0037】
レベルシフトスイッチング素子211a,211bは高耐圧のNチャネル型MOSFETであるが、バイポーラトランジスタであってもよい。セット側レベルシフトスイッチング素子211aの閾値電圧(例えば、1.5V)はセット側ツェナーダイオード135aの降伏電圧(例えば、5.5V)よりも低く設定され、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bの閾値電圧はリセット側ツェナーダイオード135bの降伏電圧よりも低く設定されている。閾値電圧とは、レベルシフトスイッチング素子211a,211bがオンする時のゲート―ソース間の電圧である。なお、レベルシフトスイッチング素子211a,211bがバイポーラトランジスタである場合、閾値電圧は、バイポーラトランジスタがオンするときの電圧(例えば、0.7V)である。
【0038】
抵抗器212aとセット側レベルシフトスイッチング素子211aとはハイサイド直流電源6の高電位出力端子と接地との間において直列接続されている。つまり、セット側レベルシフトスイッチング素子211aのドレインが抵抗器212aを介してハイサイド直流電源6の高電位出力端子に接続され、セット側レベルシフトスイッチング素子211aのソースが接地に接続されている。
【0039】
抵抗器212bとリセット側レベルシフトスイッチング素子211bがハイサイド直流電源6の高電位出力端子と接地との間で直列接続されている。つまり、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bのドレインが抵抗器212bを介してハイサイド直流電源6の高電位出力端子に接続され、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bのソースが接地に接続されている。
【0040】
ダイオード28のアノードがノードN2に接続され、ダイオード28のカソードが抵抗器212aとセット側レベルシフトスイッチング素子211aとの間のノードN5に接続されている。ダイオード28がノードN5の電位をノードN2の電位にクランプするので、ノードN5の電圧がノードN2の電位を基準とする。そのため、過電圧がハイサイド制御回路22に入力されないようになっている。
【0041】
ダイオード29のアノードがノードN2に接続され、ダイオード29のカソードが抵抗器212bとリセット側レベルシフトスイッチング素子211bとの間のノードN6に接続されている。ダイオード29がノードN6の電位をノードN2の電位にクランプするので、ノードN6の電圧がノードN2の電位を基準とする。そのため、過電圧がハイサイド制御回路22に入力されないようになっている。
【0042】
セット側レベルシフトスイッチング素子211aのゲートがセット側パルス生成回路13aの出力端子に、つまりスイッチング素子133aとスイッチング素子134aとの間のノードN3に接続されている。セット側パルス生成回路13aによって出力されたセット信号setがセット側レベルシフトスイッチング素子211aのゲートに入力される。セット側レベルシフトスイッチング素子211aはセット信号setに基づいてオン・オフする。セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオフすると、ドレイン電圧(ノードN5の電圧)がハイサイド直流電源6によって引き上げられてハイレベルとなる。セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンすると、ノードN5の電圧が接地によって引き下げられてローレベルとなる。ノードN5の電圧がレベルシフト済みセット信号setdrnとしてハイサイド制御回路22に入力される。
【0043】
リセット側レベルシフトスイッチング素子211bのゲートがリセット側パルス生成回路13bの出力端子に、スイッチング素子133bとスイッチング素子134bとの間のノードN4に接続されている。リセット側パルス生成回路13bによって出力されたリセット信号resがリセット側レベルシフトスイッチング素子211bのゲートに入力される。リセット側レベルシフトスイッチング素子211bはリセット信号resに基づいてオン・オフする。リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオフすると、ノードN6の電圧がハイサイド直流電源6によって引き上げられてハイレベルとなる。リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンすると、ノードN6の電圧が接地によって引き下げられてローレベルとなる。ノードN6の電圧がレベルシフト済みリセット信号resdrnとしてハイサイド制御回路22に入力される。
【0044】
レベルシフト済みセット信号setdrnがローレベルであるタイミングとレベルシフト済みリセット信号resdrnがローレベルであるタイミングは時間的にずれている。
【0045】
<<<2-6. ハイサイド制御回路>>>
ハイサイド制御回路22は、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmに基づいて出力信号HOを生成して、その出力信号HOをパワースイッチング素子51のゲートに出力する。これにより、ハイサイド制御回路22がパワースイッチング素子51をオン・オフさせる。レベルシフト済みセット信号setdrnがローレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがハイレベルである場合、ハイサイド制御回路22が出力信号HOをハイレベルにする。レベルシフト済みセット信号setdrnとレベルシフト済みリセット信号resdrmが共にローレベル又はハイレベルである場合、ハイサイド制御回路22が出力信号HOのレベルを維持する。レベルシフト済みセット信号setdrnがハイレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがローレベルである場合、ハイサイド制御回路22が出力信号HOをローレベルにする。
【0046】
ハイサイド制御回路22は保護回路221、ラッチ回路222及びハイサイドドライバ223を含んで構成される。
【0047】
保護回路221には、ノードN2の電位を基準としたハイサイド直流電源6の電圧が与えられる。また、保護回路221には、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmが入力される。保護回路221は、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmに基づいて、ラッチ回路222を制御する。図2に示すように、レベルシフト済みセット信号setdrnがローレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがハイレベルである場合、保護回路221がハイレベルの信号をラッチ回路222に出力する。レベルシフト済みセット信号setdrnがハイレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがローレベルである場合、保護回路221がローレベルの信号をラッチ回路222に出力する。レベルシフト済みセット信号setdrnとレベルシフト済みリセット信号resdrmが共にローレベル又はハイレベルである場合、保護回路221が出力をハイインピーダンスにする。
【0048】
ラッチ回路222には、ノードN2の電位を基準としたハイサイド直流電源6の出力電圧が供給される。ラッチ回路222は保護回路221の出力に応じて制御される。ラッチ回路222は、保護回路221の出力(ラッチ回路222の入力)がハイレベル又はローレベルであればその値を記憶して出力する。また、ラッチ回路222は、保護回路221の出力が高インピーダンスになると、保護回路221の出力が高インピーダンスになる直前に記憶した値を保持・出力する。
【0049】
ここで、駆動回路1が正常の場合、レベルシフト済みセット信号setdrnがローレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがハイレベルである時には、ラッチ回路222の出力がハイレベルとなる。その後、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmが共にローレベルである時には、ラッチ回路222の出力がハイレベルに保持される。レベルシフト済みセット信号setdrnがハイレベルであり且つレベルシフト済みリセット信号resdrmがローレベルである時には、ラッチ回路222の出力がローレベルである。その後、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmが共にローレベルである時には、ラッチ回路222の出力がローレベルに保持される。
【0050】
一方、ノードN5,N6の電位が変動すると、レベルシフトスイッチング素子211a,211bの寄生容量等に起因したdv/dtノイズが発生して、電流がレベルシフトスイッチング素子211a,211bに同時に流れてしまう。そうすると、レベルシフト済みセット信号setdrn及びレベルシフト済みリセット信号resdrmが共に誤ってローレベルになる。そのため、保護回路221の出力がハイインピーダンスになり、ラッチ回路222の出力のレベルが保持される。
【0051】
ハイサイドドライバ223には、ノードN2の電位を基準としたハイサイド直流電源6の出力電圧が供給される。また、ハイサイドドライバ223には、ラッチ回路222の出力が入力される。ハイサイドドライバ223は、ラッチ回路222の出力に応じた出力信号HOを生成して、その出力信号HOをパワースイッチング素子51のゲートに出力する。つまり、ハイサイドドライバ223は、ラッチ回路222の出力がローレベルであれば、出力信号HOをローレベルにし、ラッチ回路222の出力がハイレベルであれば、出力信号HOをハイレベルにする。
【0052】
なお、ハイサイド制御回路22の構成要素が特許第3429937号公報に開示されたものであってもよい。
【0053】
<<<2-7. バッファー回路>>>
図1及び図3に示すように、バッファー回路14には、外部電源4の出力電圧が供給される。
バッファー回路14は、入力信号HINに対して同相の信号及び逆相の信号を入力制御状態保証回路15に出力する。
【0054】
バッファー回路14は、インバータ141,142を含んで構成される。
インバータ141には、入力信号HINが入力される。インバータ141は、入力信号HINを反転することによって、入力信号HINに対して逆相の信号をインバータ142及び入力制御状態保証回路15に出力する。インバータ142は、インバータ141の出力信号を反転することによって、入力信号HINに対して同相の信号を入力制御状態保証回路15に出力する。
【0055】
なお、入力信号HINの代わりに入力回路12の出力信号がバッファー回路14に入力されてもよい。
【0056】
<<<2-8. 入力制御状態保証回路>>>
入力制御状態保証回路15には、外部電源4の出力電圧が供給される。
入力制御状態保証回路15は、セット側入力制御状態保証回路15aとリセット側入力制御状態保証回路15bとを含んで構成される。
【0057】
セット側入力制御状態保証回路15aは、バッファー回路14のインバータ141の出力信号に基づいて、入力信号HINがハイレベルである時に、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧、つまりスイッチング素子133aとスイッチング素子134aとの間のノードN3の電圧を外部電源4によってプルアップする。更に、セット側入力制御状態保証回路15aは、バッファー回路14のインバータ141の出力信号に基づいて、入力信号HINがローレベルである時に、ノードN3の電圧を接地によってプルダウンする。ここで、ノードN3の電圧のプルアップ及びプルダウンは、セット側パルス生成回路13aによるセット側レベルシフトスイッチング素子211aのオン・オフ動作に影響を及ぼすものではない。
【0058】
リセット側入力制御状態保証回路15bは、バッファー回路14のインバータ142の出力信号に基づいて、入力信号HINがローレベルである時に、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧、つまりスイッチング素子133bとスイッチング素子134bとの間のノードN4の電圧を外部電源4によってプルアップする。更に、リセット側入力制御状態保証回路15bは、バッファー回路14のインバータ142の出力信号に基づいて、入力信号HINがハイレベルである時に、ノードN4の電圧を接地によってプルダウンする。ノードN4の電圧のプルアップ及びプルダウンは、リセット側パルス生成回路13bによるリセット側レベルシフトスイッチング素子211bのオン・オフ動作に影響を及ぼすものではない。
【0059】
セット側入力制御状態保証回路15aはスイッチング素子(第1スイッチング素子)151a、スイッチング素子(第2スイッチング素子)152a及びセット側抵抗器153aを含んで構成される。リセット側入力制御状態保証回路15bはスイッチング素子(第5スイッチング素子)151b、スイッチング素子(第6スイッチング素子)152b及びリセット側抵抗器153bを含んで構成される。スイッチング素子151a,151bはPチャネル型のMOSFETであり、スイッチング素子152a,152bがNチャネル型のMOSFETである。
【0060】
スイッチング素子151aのソースが外部電源4に接続されている。セット側抵抗器153aがスイッチング素子151aのドレインとスイッチング素子152aのドレインとの間に接続されている。スイッチング素子152aのソースが接地されて基準電位とされている。スイッチング素子151a及びスイッチング素子152aのゲートがバッファー回路14のインバータ141の出力端子に接続されている。セット側抵抗器153aとスイッチング素子152aの間のノードが、セット側パルス生成回路13aの出力端子に、つまりスイッチング素子133aとスイッチング素子134aとの間のノードN3に接続されている。
【0061】
スイッチング素子151bのソースが外部電源4に接続されている。リセット側抵抗器153bがスイッチング素子151bのドレインとスイッチング素子152bのドレインとの間に接続されている。スイッチング素子152bのソースが接地されて基準電位とされている。スイッチング素子151b及びスイッチング素子152bのゲートがバッファー回路14のインバータ142の出力端子に接続されている。リセット側抵抗器153bとスイッチング素子152bの間のノードが、リセット側パルス生成回路13bの出力端子に、つまりスイッチング素子133bとスイッチング素子134bとの間のノードN4に接続されている。
【0062】
インバータ141の出力信号がスイッチング素子151a,152aのゲートに入力され、これによりスイッチング素子151aが入力信号HINと同相的にオン・オフし、スイッチング素子152aがスイッチング素子151aに対して相補的にオン・オフする。入力信号HINがハイレベルである時、つまりインバータ141の出力信号がローレベルである時、スイッチング素子151aがオンするとともにスイッチング素子152aがオフする。そのため、セット側パルス生成回路13aの出力端子(つまり、ノードN3)の電圧が外部電源4によってプルアップされる。一方、入力信号HINがローレベルである時、つまりインバータ141の出力信号がハイレベルである時、スイッチング素子151aがオフするとともにスイッチング素子151bがオンする。そのため、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧が接地によってプルダウンされる。
【0063】
ここで、スイッチング素子133aのオン時の抵抗値をR133a [Ω] とし、セット側抵抗器153aの抵抗値をR153a [Ω] とし、スイッチング素子151aのオン時の抵抗値をR151a [Ω] とした場合、次式(1)が成立する。
【0064】
【数1】
【0065】
そのため、スイッチング素子133a,151aがオンし且つスイッチング素子134a,152aがオフした時には、ノードN3の電圧は外部電源4の影響を殆ど受けず、内部電源11の電圧、スイッチング素子133aのオン時の抵抗によって決まる。つまり、ハイレベルであるセット信号setのレベルは外部電源4によって僅かにしかプルアップされない。それゆえ、セット側スイッチング素子211aのゲートが過電圧となることはない。
【0066】
また、スイッチング素子134aのオン時の抵抗値をR134a [Ω] とし、外部電源4の出力電圧の値をVCC [V] とし、セット側レベルシフトスイッチング素子211aの閾値電圧の値をVTHa[V] とした場合、次式(2)が成立する。
【数2】
【0067】
そのため、スイッチング素子134a,151aがオンし且つスイッチング素子133a,152aがオフした時には、たとえノードN3の電圧が外部電源4によってプルアップされたものとしても、ノードN3の電圧がセット側レベルシフトスイッチング素子211aの閾値電圧よりも低い。そのため、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオフする。なお、スイッチング素子151aのオン時の抵抗値が十分に大きければ、セット側抵抗器153aが無くてもよく、その場合、上述の2つの式においてR153a=0である。
【0068】
インバータ142の出力信号がスイッチング素子151b,152bのゲートに入力され、これによりスイッチング素子151bが入力信号HINの反転信号と同相的にオン・オフし、スイッチング素子152bがスイッチング素子151bに対して相補的にオン・オフする。入力信号HINがハイレベルである時、つまりインバータ142の出力信号がハイレベルである時、スイッチング素子152bがオンするとともにスイッチング素子151bがオフする。そのため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子(つまり、ノードN4)の電圧が接地によってプルダウンされる。一方、入力信号HINがローレベルである時、つまりインバータ142の出力信号がローレベルである時、スイッチング素子152bがオフするとともにスイッチング素子151bがオンする。そのため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧が外部電源4によってプルアップされる。
【0069】
ここで、スイッチング素子133bのオン時の抵抗値をR133b [Ω] とし、リセット側抵抗器153bの抵抗値をR153b [Ω] とし、スイッチング素子151bのオン時の抵抗値をR151b [Ω] とし、スイッチング素子134bのオン時の抵抗値をR134b [Ω] とし、外部電源4の出力電圧の値をVCC [V] とし、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bの閾値電圧の値をVTHb[V] とした場合、次式(3),(4)が成立する。
【0070】
【数3】
【0071】
式(3)が成立することによって、スイッチング素子133b,151bがオンし且つスイッチング素子134b,152bがオフした時には、ハイレベルであるリセット信号resのレベルは外部電源4によって僅かにしかプルアップされない。そのため、リセット側スイッチング素子211bのゲートが過電圧となることはない。
また、式(4)が成立することによって、スイッチング素子134b,151bがオンし且つスイッチング素子133b,152bがオフした時には、たとえノードN4の電圧が外部電源4によってプルアップされたものとしても、ノードN4の電圧がリセット側レベルシフトスイッチング素子211bの閾値電圧よりも低い。そのため、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオフする。なお、スイッチング素子151bのオン時の抵抗値が十分に大きければ、リセット側抵抗器153bが無くてもよく、その場合、上述の式においてR153b=0である。
【0072】
上記のバッファー回路14とセット側入力制御状態保証回路15aの組合せの動作遅延時間は、入力回路12とセット側パルス生成回路13aの組合せの動作遅延時間よりも小さい。これは、入力回路12のノイズフィルタ122がローパスフィルタであり、ノイズフィルタ122の出力信号が入力信号に対して遅延するためである。
同様に、バッファー回路14とリセット側入力制御状態保証回路15bの組合せの動作遅延時間は、入力回路12とリセット側パルス生成回路13bの組合せの動作遅延時間よりも小さい。
【0073】
<<<3. 負電圧の発生時>>>
入力信号HIN及び出力信号HOの立ち上がり又は立ち下がりの後、つまりパワースイッチング素子51,52のオン・オフ切り替わり後、負荷9のインダクタンスとdv/dtの影響によって、図5及び図6のチャートに示すようにノードN2が負電圧になる虞がある。また、三相電流、雷サージ、ESDサージ等といった外来ノイズの発生時にも、ノードN2が負電圧になる虞がある。
【0074】
ノードN2が負電圧になった場合、前段回路10が後段回路20の影響を受けて、前段回路10の動作が不安定になる。特に、内部電源11が正常に動作せず、入力回路12及びパルス生成回路13も正常に動作しない。具体的には、内部電源11からの出力電圧が低下し、パルス生成回路13の出力がハイインピーダンス状態となることがある。そうした場合、セット側パルス生成回路13a及びリセット側パルス生成回路13bの出力信号(セット信号set、リセット信号res)が安定しない。そのため、ノードN2が負電圧状態から正常状態に復帰した時には、セット側パルス生成回路13a及びリセット側パルス生成回路13bの出力信号が不定となってしまう。
【0075】
ところが、入力信号HINを出力するマイコン及び外部電源4は後段回路20の影響を受けないため、たとえノードN2が負電圧になっても、マイコン及び外部電源4が正常に動作する。そのため、外部電源4が供給されるバッファー回路14、セット側入力制御状態保証回路15aとリセット側入力制御状態保証回路15bは正常に動作する。そうすると、ノードN2が負電圧状態から正常状態に復帰した時にセット側パルス生成回路13a及びリセット側パルス生成回路13bの出力信号が不定であっても、ハイサイド制御回路22が誤動作しない。そのため、ハイサイド制御回路22の出力信号HOは、復帰後も、ノードN2が負電圧になる前の状態を維持する。このことについて、より具体的に以下に説明する。
【0076】
<<<3-1. 出力信号HOがローレベルである場合>>>
入力信号HINが立ち下がると、リセット側パルス生成回路13bの出力信号(リセット信号res)が一旦ハイレベルになった後に、リセット側パルス生成回路13bの出力信号とセット側パルス生成回路13aの出力信号(セット信号set)が共にローレベルになる(図2参照)。そのため、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルになる。
【0077】
そして、パワースイッチング素子51,52のオン・オフの切替後、負荷9のインダクタンスとdv/dtの影響によって又は外来ノイズ等の影響によって図5に示すようにノードN2が負電圧になると、セット側パルス生成回路13aの出力信号が不安定であるものの、スイッチング素子152aがオンするため、セット側パルス生成回路13aの出力端子(つまり、ノードN3)の電圧が接地によってプルダウンされる。それゆえ、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンせず、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。一方、スイッチング素子151bがオンするため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子(つまり、ノードN4)の電圧が外部電源4によってプルアップされる。それゆえ、リセット側パルス生成回路13bの出力信号が不安定であり、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンしようがしまいが、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。
【0078】
その後、ノードN2が負電圧状態から正常状態に復帰し、内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が復帰する。その際、スイッチング素子152aがオンするため、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧が接地によってプルダウンされている。そのため、復帰時にセット側パルス生成回路13aの出力信号が不定であっても、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンせず、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。一方、スイッチング素子151bがオンするため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧が外部電源4によってプルアップされる。それゆえ、リセット側パルス生成回路13bの出力信号が不定であっても、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンしようがしまいが、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。なお、ここで、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンする場合とは、例えば、スイッチング素子134bがオフし、ノードN4がプルアップされ、ノードN4の電圧がリセット側ツェナーダイオード135bの降伏電圧となっている場合である。一方、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオフする場合とは、例えば、スイッチング素子134bがオンし、ノードN4の電圧が閾値電圧より低い場合である。
【0079】
ここで、上述のように、バッファー回路14とセット側入力制御状態保証回路15aの組合せの動作遅延時間は、入力回路12とセット側パルス生成回路13aの組合せの動作遅延時間よりも小さい。そのため、ノードN3の電圧は、セット側パルス生成回路13aの出力信号が不安定又は不定になる前に、セット側入力制御状態保証回路15aの出力の影響を受ける。それゆえ、セット側レベルシフトスイッチング素子211aの誤動作を防止できる。
【0080】
<<<3-2. 出力信号HOがハイレベルである場合>>>
入力信号HINが立ち上がった後にリセット側パルス生成回路13bの出力信号とセット側パルス生成回路13aの出力信号(セット信号set)が共にローレベルである時には、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルである。その際、図6に示すようにノードN2が外来ノイズ等の影響によって負電圧になると、リセット側パルス生成回路13bの出力信号が不安定であるものの、スイッチング素子152bがオンするため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧が接地によってプルダウンされる。それゆえ、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンせず、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルに維持される。その後、ノードN2が負電圧状態から正常状態に復帰する時も、スイッチング素子152aがオンするため、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧が接地によってプルダウンされている。そのため、復帰時にリセット側パルス生成回路13bの出力信号が不定であっても、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンせず、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルに維持される。また、スイッチング素子151aがオンするため、セット側パルス生成回路13aの出力端子が外部電源4によってプルアップされる。そのため、ノードN2が負電圧状態である時やその後正常状態に復帰する時、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンしようがしまいが、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルに維持される。なお、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンするか否かは、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンするか否かと同様に、スイッチング素子134aの状態に応じて変化する。
【0081】
<<<4. まとめ>>>
(1) ノードN2が負電圧になった場合、内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が正常に動作しない虞があるが、バッファー回路14及び入力制御状態保証回路15は外部電源4及び入力信号HINによって正常に動作する。それゆえ、以下の(2)~(5)のような有利な効果が生じる。
【0082】
(2) 入力信号HINがローレベルである時、セット側パルス生成回路13aの出力端子(つまり、ノードN3)の電圧が接地によってプルダウンされる。そのため、ノードN2が負電圧になったものとしても、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンしない。それゆえ、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。
【0083】
(3) 入力信号HINがハイレベルである時、リセット側パルス生成回路13bの出力端子(つまり、ノードN4)の電圧が接地によってプルダウンされる。そのため、ノードN2が負電圧になったものとしても、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンしない。それゆえ、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルに維持される。
【0084】
(4) 入力信号HINがローレベルである時、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧が外部電源4によってプルアップされる。それゆえ、ノードN2が負電圧になったものとしても、リセット側レベルシフトスイッチング素子211bがオンしやすい。それゆえ、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがローレベルに維持される。
【0085】
(5) 入力信号HINがハイレベルである時、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧が接地によってプルアップされる。それゆえ、ノードN2が負電圧になったものとしても、セット側レベルシフトスイッチング素子211aがオンしやすい。それゆえ、ハイサイド制御回路22の出力信号HOがハイレベルに維持される。
【0086】
(6) 内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が正常に動作している際に、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧が外部電源4によってプルアップされたものとしても、セット信号setがハイレベルである時に、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧がセット側スイッチング素子211aの耐圧を超えることがない。これは、上記式(1)を満たしているためである。同様に、上記(3)を満たしているため、リセット信号resがハイレベルである時に、リセット側パルス生成回路13bの出力端子の電圧がリセット側スイッチング素子211bの耐圧を超えることがない。
【0087】
(7) 内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が正常に動作している際に、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧が外部電源4によってプルアップされたものとしても、セット信号setがローレベルである時に、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧がセット側スイッチング素子211aの閾値電圧を超えず、セット側スイッチング素子211aがオフする。これは、上記式(2)を満たしているためである。同様に、上記(4)を満たしているため、リセット信号resがローレベルである時に、リセット側スイッチング素子211bがオフする。
【0088】
(8) ノードN2が負電圧になることによって、内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が正常に動作しない場合、スイッチング素子133a,134aが共にオフすることがある。そうした場合、入力信号HINによってスイッチング素子151aがオンし且つスイッチング素子152aがオフした時、セット側パルス生成回路13aの出力端子の電圧がセット側ツェナーダイオード135aの降伏電圧を超えないように、その出力端子の電圧がセット側ツェナーダイオード135aによってクランプされる。よって、スイッチング素子211aのゲートに過電圧が印加されず、スイッチング素子211aの破壊防止できる。内部電源11、入力回路12及びパルス生成回路13が正常に動作しない場合にスイッチング素子151bがオンし且つスイッチング素子152bがオフした時にも同様にして、スイッチング素子211bのゲートに過電圧が印加されず、スイッチング素子211bの破壊防止できる。
【0089】
(9) バッファー回路14と入力制御状態保証回路15の組合せの動作遅延時間は、入力回路12とパルス生成回路13の組合せの動作遅延時間よりも小さい。そのため、ノードN2が負電圧になることによってパルス生成回路13の出力信号が不安定又は不定になる前に、ノードN3,N4の電圧は入力制御状態保証回路15の出力の影響を受ける。それゆえ、レベルシフトスイッチング素子211a,211bの誤動作を防止できる。
【0090】
<<<5. 変形例>>>
なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0091】
例えば、入力回路12とパルス生成回路13の遅延時間を、バッファー回路14と入力制御状態保証回路15の遅延時間より長くするため、入力回路12に遅延回路を設けても良い。
【符号の説明】
【0092】
1…駆動回路
4…外部電源
6…ハイサイド直流電源(ハイサイド電源)
11…内部電源
13a…セット側パルス生成回路
13b…リセット側パルス生成回路
15a…セット側入力制御状態保証回路
15b…リセット側入力制御状態保証回路
21a…セット側レベルシフト回路
21b…リセット側レベルシフト回路
22…ハイサイド制御回路(制御回路)
51…パワースイッチング素子(パワーデバイス)
131a…セット側エッジ検出回路
131b…リセット側エッジ検出回路
133a…スイッチング素子(第3スイッチング素子)
133b…スイッチング素子(第7スイッチング素子)
134a…スイッチング素子(第4スイッチング素子)
134b…スイッチング素子(第8スイッチング素子)
135a…セット側ツェナーダイオード(セット側クランプ素子)
135b…リセット側ツェナーダイオード(リセット側クランプ素子)
151a…スイッチング素子(第1スイッチング素子)
151b…スイッチング素子(第5スイッチング素子)
152a…スイッチング素子(第2スイッチング素子)
152b…スイッチング素子(第6スイッチング素子)
153a…セット側抵抗器
153b…リセット側抵抗器
211a…セット側レベルシフトスイッチング素子
211b…リセット側レベルシフトスイッチング素子
N3…ノード(第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間のノード)
N4…ノード(第7スイッチング素子と第8スイッチング素子との間のノード)
図1
図2
図3
図4
図5
図6