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特許7395833シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/14 20060101AFI20231205BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65H1/14 310A
G03G15/00 407
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019049726
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020152464
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 美帆
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-076837(JP,U)
【文献】特開平09-077272(JP,A)
【文献】特開2008-094570(JP,A)
【文献】特開2008-222430(JP,A)
【文献】特開平02-225222(JP,A)
【文献】特開2002-332121(JP,A)
【文献】特開2014-101202(JP,A)
【文献】特開2004-238160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/14
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載されるシート積載台と、
前記シート積載台上の前記シートの有無を検出する検出手段と、
前記シート積載台から前記シートを1枚ずつ送り出す送り出し手段と、
シート積載方向に沿って前記シートを移動させ、前記送り出し手段のシート送り出し位置に最上位シートを配置するシート積載台昇降手段と、
前記検出手段により前記シートが検出された場合、前記送り出し手段による前記シートの送り出しが開始される前に、前記シート積載台を前記シート送り出し位置と下方に降下した降下位置との間で移動する昇降動作を少なくとも1回行うように、前記シート載台を昇降させる制御手段と、
前記シート積載台が前記シート送り出し位置に上昇する際に、前記シート積載台の上昇に伴って回転駆動される欠歯歯車を介して前記シートの送り出し方向と交差する方向に繰り返し移動して前記シートの側端に接触して前記シートを撓ませる突き当て手段と、を備えた、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記シートの単位時間当たりの送り出し可能枚数をより多くし生産性を重視した生産性優先モードと、前記シートの傾きをゼロに近づけるように補正する傾き補正処理を重視した補正優先モードのうち、いずれかのモードを選択する入力を受け付け、
前記制御手段は、選択されたモードに応じて前記シート積載台の昇降動作を行うか否かを決定し、前記傾き補正処理を行うと決定した場合には選択されたモードに応じて前記昇降動作の回数を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート積載台は、前記降下位置で送り出し方向に向かって低くなるように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記シート積載台が前記降下位置に降下した際に、前記シートの最下面に接触して前記シートを撓ませる突状部を備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記突状部は、複数の突起からなり、前記シートの送り出し方向と交差する方向の中央部で、搬送が許可されている最小シートサイズに接触する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記突状部は、積載が許可されている最大積載枚数の前記シートが積載された前記シート積載台が前記シート送り出し位置に上昇した位置で前記シートの最下面に接触しない、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートの画像を読み取る撮像手段と、
前記撮像手段が前記シートを読み取る読取り位置に前記シートを搬送する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
前記シートの画像を読み取る請求項7に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙が積載される上下に昇降可能な用紙積載板と、用紙積載板上に積載された用紙の上面に圧接され、圧接面を所定方向に移動させて用紙を順次送出する送出手段と、用紙積載板を昇降させる昇降手段と、昇降手段の駆動を制御する制御手段と、用紙積載板上に積載された用紙の上面を検知する上面検知手段と、を備えた給紙装置において、制御手段は、昇降手段により用紙積載板を基準給紙位置まで上昇させる際、上面検知手段が用紙の上面を検知したタイミング及び昇降手段が停止したタイミングに基づいて基準給紙位置からのずれ量を算出し、算出されたずれ量だけ用紙積載板を下降させる給紙装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
シートを積載する給紙トレイと、この給紙トレイ上に積載されたシートを分離して給紙する給紙手段と、給紙手段で給送されるシートの先端を予め定められた突き当て量を突き当てることによってシートの先端を整合するレジスト手段と、を備えたシート給紙装置において、給紙トレイ上に積載された異なる幅のシートを給紙するための混載モード信号を受信する受信手段と、受信手段が混載モード信号を受信したことによってレジスト手段へのシート突き当て量を予め定められた突き当て量よりも大きくするように給紙手段の駆動を制御する制御手段を備えたシート給紙装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-1091号公報
【文献】特開2004-106995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、積載部の昇降動作を行わない構成に比べて、積載部に積載されたシートが送り出される前にシートの傾きを補正することができるシート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のシート搬送装置は、
シートが積載されるシート積載台と、
前記シート積載台上の前記シートの有無を検出する検出手段と、
前記シート積載台から前記シートを1枚ずつ送り出す送り出し手段と、
シート積載方向に沿って前記シートを移動させ、前記送り出し手段のシート送り出し位置に最上位シートを配置するシート積載台昇降手段と、
前記検出手段により前記シートが検出された場合、前記送り出し手段による前記シートの送り出しが開始される前に、前記シート積載台を前記シート送り出し位置と下方に降下した降下位置との間で移動する昇降動作を少なくとも1回行うように、前記シート載台を昇降させる制御手段と、
前記シート積載台が前記シート送り出し位置に上昇する際に、前記シート積載台の上昇に伴って回転駆動される欠歯歯車を介して前記シートの送り出し方向と交差する方向に繰り返し移動して前記シートの側端に接触して前記シートを撓ませる突き当て手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記シートの単位時間当たりの送り出し可能枚数をより多くし生産性を重視した生産性優先モードと、前記シートの傾きをゼロに近づけるように補正する傾き補正処理を重視した補正優先モードのうち、いずれかのモードを選択する入力を受け付け、
前記制御手段は、選択されたモードに応じて前記シート積載台の昇降動作を行うか否かを決定し、前記傾き補正処理を行うと決定した場合には選択されたモードに応じて前記昇降動作の回数を決定する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシート搬送装置において、
前記シート積載台は、前記降下位置で送り出し方向に向かって低くなるように傾斜している、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、
前記シート積載台が前記降下位置に降下した際に、前記シートの最下面に接触して前記シートを撓ませる突状部を備えた、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のシート搬送装置において、
前記突状部は、複数の突起からなり、前記シートの送り出し方向と交差する方向の中央部で、搬送が許可されている最小シートサイズに接触する位置に配置されている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載のシート搬送装置において、
前記突状部は、積載が許可されている最大積載枚数の前記シートが積載された前記シート積載台が前記シート送り出し位置に上昇した位置で前記シートの最下面に接触しない、
ことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために、請求項に記載の画像読取装置は、
シートの画像を読み取る撮像手段と、
前記撮像手段が前記シートを読み取る読取り位置に前記シートを搬送する請求項1ないしのいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために、請求項8に記載の画像形成装置は、
前記シートの画像を読み取る請求項7に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、に記載の発明によれば、シート積載台の昇降動作を行わない構成に比べて、積載部に積載されたシートが送り出される前にシートの傾きを補正することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、生産性優先モードにおいても、積載部に積載されたシートが送り出される前にシートの傾きを補正することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、積載されたシート束の先端を揃えて整列させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、シート束に空気を介在させてシートを移動しやすい状態にすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、最小シートサイズのシート束に空気を介在させてシートを移動しやすい状態にすることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、シートの送り出し時にシートの最上面が撓まないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】画像形成装置の内部構成を示す断面模式図である。
図2】画像読取装置の内部構成を示す断面構成図である。
図3】画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】シート積載部の構成を示す断面模式図であり、(a)は昇降プレートがシート送り出し位置に上昇した状態、(b)は昇降プレートが降下した状態を示す断面模式図である。
図5】シート積載部の動作の流れを示すフローチャートである。
図6】シートが載置された昇降プレートの動作を示す断面模式図であり、(a)は昇降プレートにシートが載置された状態、(b)は昇降プレートが降下する際の状態、(c)は昇降プレートが降下してシートが揃えられた状態を示す断面模式図である。
図7】変形例1に係るシート積載部の構成を示す断面模式図である。
図8】変形例1に係るシート積載部における突状部の配置を示す平面模式図である。
図9】昇降プレート上に載置されたシート束の状態を説明する断面模式図である。
図10】変形例2に係るシート積載部の構成を説明する断面模式図である。
図11】昇降プレート上に載置されたシート束の状態を説明する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0026】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す断面模式図、図2は画像読取装置2の内部構成を示す断面構成図、図3は画像形成装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0027】
(1.1)全体構成
画像形成装置1は、原稿等のシートSから画像を読み取って画像データに変換する読取手段としての画像読取装置2、読み取った画像データを記録媒体としての用紙に印刷する画像記録手段としての画像形成部3、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4、画像処理部5、を備えて構成されている。
【0028】
画像読取装置2は、シート積載部21と、自動シート送り部22と、撮像手段の一例としての画像読取部23とを備えて構成されている。自動シート送り部22は、シート積載部21に置かれたシートSを画像読取部23の読取位置に搬送し、画像読取部23のCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のイメージセンサ(不図示)で読み取られた画像は電気信号である画像データに変換される。
【0029】
画像形成部3は、給紙装置32、露光装置33、感光体ユニット34、現像装置35、転写装置36、定着装置37を備えて構成され、画像処理部5から受け取った画像情報を給紙装置32から送り込まれた用紙P上にトナー像として形成する。
【0030】
画像読取装置2の前面側には、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4が配置されている。操作情報部4は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置1の使用者は、操作情報部4を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置1の使用者へ各種情報を表示する。
【0031】
画像処理部5は、読取部2で読み取られた画像及び外部機器(例えばパーソナルコンピュータ等)から送信された印刷情報から画像データを生成する。
【0032】
(1.2)画像形成部
画像形成部3では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置32から印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙Pが画像形成部3へ送り込まれる。
【0033】
感光体ユニット34は、給紙装置32の上方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム341を備えている。露光装置33により静電潜像が形成されたそれぞれの感光体ドラム341上には、それぞれの現像装置34によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0034】
各感光体ユニット34の感光体ドラム341に形成された各色トナー像は、転写装置36の中間転写ベルト361上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト361上の重畳トナー像は、レジストローラ対321から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ362によって一括転写される。
【0035】
定着装置37は一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372の圧接領域によって定着ニップFN(定着領域)が形成される。
転写装置36においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイド363を介して定着装置37の定着ニップNFに搬送され、一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372により、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0036】
定着トナー像が形成された用紙Pは、切替ゲートG1にガイドされ、第1排出ローラ対373から画像形成装置1上面の排紙トレイ部TR1に排出・収容される。また、両面印刷のために反転したり、画像記録面を上側にして排出する場合は、切替ゲートG1で搬送路375に向って搬送方向が切り替えられる。
【0037】
(1.3)画像読取装置
画像読取装置2は、シート積載部21と、自動シート送り部22と、画像読取部23とを備えている。なお、シート積載部21と自動シート送り部22は、画像読取部23の上方へ開閉可能に連結されている。
【0038】
シート積載部21は、画像が記録されたシートSが置かれる昇降プレート212を備えている。昇降プレート212は、積載されるシートSの枚数に応じて昇降可能で、シートSの上面がナジャーローラ221に接触するよう上昇した位置でシートSを保持する。
【0039】
自動シート送り部22は、昇降プレート212上に積載されたシートSを上から順に取り出すナジャーローラ221と、フィードローラ222とフィードローラ222に圧接するリタードローラ223からなる分離部224を備えている。
分離部224では、フィードローラ222とリタードローラ223とが対となって、シートSが重なってニップ部Nに送り出された場合に、シートSを分離して(捌いて)、一枚ずつ画像読取部23に搬送する。
【0040】
搬送路Gには、シートSの搬送方向に対して、フィードローラ222の下流側の位置に、搬送ローラ225が配置されている。搬送ローラ225は、フィードローラ222で送り出されるシートSを、プレレジローラ226へ搬送する。
【0041】
プレレジローラ226の下流側には、シートSの搬送タイミングを調整するレジローラ227が配置されている。プレレジローラ226は停止しているレジローラ227にシートSの先端を突き当てた状態でループを形成して斜行を補正する。レジローラ227は読み取りの開始タイミングに合わせて回転駆動され、シートSは搬送ローラ225及びプレレジローラ226でループを保持された状態でプラテンローラ228によって、シート通過面PG1に押し当てられて表面を画像読取部23で読み取られる。
【0042】
シート通過面PG1の右方には、操作者が載置したシートSが支持されるシート載置面PG2が配置されている。シート通過面PG1と、シート載置面PG2との間には、シートガイドPG3が配置され、シート通過面PG1を通過したシートSはシートガイドPG3に案内されて読取センサ232へ搬送される。表面を画像読取部23で読み取られたシートSは、読取センサ232で裏面を読み取られながら、排出ローラ229でシート積載部21の下方に形成された排紙部217に排出される。
【0043】
シート載置面PG2の下部には、シートSの画像を光学的に読み取って電気信号に変換する画像読取センサ231が設けられており、シート通過面PG1上を通過するシートS、又は、シート載置面PG2上に載置されたシートSの画像を読み取る。読み取った画像は、電気信号である画像データに変換される。
【0044】
(1.4)画像形成装置のブロック構成
画像形成装置1は、画像出力制御部11、読取制御部12、電源制御部13、露光制御部14、定着温度制御部15を含むシステム制御装置10を備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置1全体の動作制御を行う。
【0045】
画像出力制御部11は、画像形成部3が備える給紙装置32、露光装置33、感光体ユニット34、現像装置35、転写装置36、定着装置37等に対して、動作制御指示を与える。
又、画像出力制御部11は、システム制御装置10が備える電源制御部13、露光制御部14、定着温度制御部15に対して、それぞれ動作制御指示を与える。すなわち、画像形成部3を構成する給紙装置32、露光装置33、感光体ユニット34、現像装置35、転写装置36、定着装置37等への給電、駆動を行うか否かを決定し、その決定結果をそれぞれの制御部に対して指示する。
【0046】
更に、画像出力制御部11は、読取制御部12との間の情報授受を行い、操作情報部4を介して画像読取の指示を受け付けた場合に、予め定められた画像読取制御を行う。
【0047】
読取制御部12は、画像読取装置2の動作を制御してシート積載部21に積載されたシートSを自動シート送り部22を介して画像読取部23へ搬送しながら走査によってシートSの画像を読み取り、読み取られた画像データを受け入れる。受け入れた画像データは記憶部(HDD)に蓄積される。
【0048】
(2)シート積載部の構成と動作
図4はシート積載部21の構成を示す断面模式図であり、(a)は昇降プレート212がシート送り出し位置に上昇した状態、(b)は昇降プレート212が降下した状態を示す断面模式図、図5はシート積載部21の動作の流れを示すフローチャート、図6はシートが載置された昇降プレート212の動作を示す断面模式図であり、(a)は昇降プレート212にシートが載置された状態、(b)は昇降プレート212が降下する際の状態、(c)は昇降プレート212が降下してシートが揃えられた状態を示す断面模式図である。以下、図面を参照しながら、シート積載部21と分離部224からなるシート送り出し部の構成と動作について説明する。
【0049】
(2.1)シート積載部の全体構成
シート積載部21は、トレイ本体211にシート積載台の一例としての昇降プレート212を昇降可能に支持し、異なるサイズのシート、すなわちシート搬送方向に沿った距離であるシート長と、シート搬送方向と交差(直交)する方向に沿った距離であるシート幅との少なくとも一方が異なるシートSを積載可能となっている。
【0050】
トレイ本体211のシート送り出し側にはシート端揃え部213が形成されている。シート端揃え部213には、昇降プレート212に積載されたシートSの一端側(シート搬送方向における先端側)が接触して先端揃えがなされる。
シート搬送方向に交差(直交)する方向の両端側にはサイドガイド215(図8参照)が配置され、サイズの異なるシートSは、シート幅方向の両側端がサイドガイド215を基準として幅方向揃えがなされるセンターレジストレーション方式が取られている。
【0051】
シート端揃え部213の上方には、フィードローラ222に近接してナジャーローラ221が配置されている。ナジャーローラ221は、待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、シート送り出し時にニップ位置(シート送り出し位置)へ降下して昇降プレート212上の最上位のシートSを送り出す。
【0052】
図4において、昇降プレート212は、トレイ本体211の上方に回転中心212aを中心として回転可能に支持されている。昇降プレート212の上面には、シートSの積載面212bが形成されている。
昇降プレート212のシート送り出し方向における一端側の下面には、昇降プレート212をシート送り出し位置と降下位置との間で昇降させる昇降ロッド214が接触している。昇降ロッド214は、ステッピングモータ等の駆動源(不図示)からの駆動が回転中心214aに伝達可能に構成され、昇降ロッド214が回転する(図4(a)中 矢印R参照)ことで、昇降プレート212の一端側が昇降する。
【0053】
図4(a)は、昇降プレート212がシート送り出し位置に上昇している状態を示している。昇降プレート212が上下した状態では、積載面212b上に載置されたシートSは一端側(シート搬送方向における先端側)は不揃いになっている場合がある(図6(a) 参照)。
図4(b)は、昇降プレート212が降下位置に降下した状態を示している。昇降プレート212は、一端側からシート搬送方向における上流側に離れた位置に設けられた回転中心212aを中心として回転しながら降下するために、降下位置では一端側が送り出し方向に向かって低くなるように傾斜した状態になる(図4(b)中 H参照)。これにより、積載面212b上に載置されたシートSは一端側(シート搬送方向における先端側)がシート端揃え部213に向かって移動しやすい状態になっている(図6(c)参照)。
【0054】
(2.2)シート積載部の動作
画像形成装置1の使用者は、シートSの画像読み取りを行う場合、シートSを昇降プレート212の積載面212b上に載置し、サイドガイド215を移動させてシートSの幅方向が揃うようにセットする。
【0055】
読取制御部12は、シート積載部21の昇降プレート212上にシートSがセットされ、シート検知センサS1がオンになる(S101)と、シートSの読み取りがシートSの傾きをゼロに近づけるように補正する補正優先モードであるか、シートSの単位時間当たりの送り出し可能枚数をより多くし生産性を重視した生産性優先モードのいずれであるのか、判断する(S102)。補正優先モード及び生産性優先モードは、シートSの読み取りに際し、使用者が操作情報部4を介して設定してもよく、予め画像形成装置1に設定されていてもよい。
【0056】
本実施形態に係る読取部2は、シート検知センサS1によりシートSが検出された場合、自動シート送り部22によるシートSの送り出しが開始される前に、昇降プレート212をシート送り出し位置と下方に降下した降下位置との間で移動する昇降動作を少なくとも1回行い、昇降プレート212に積載されたシートSが送り出される前にシートSの傾きを補正することができる。
【0057】
シートSの読み取りが補正優先モードである場合(S102:A)、シートSの送り出しに際し、昇降プレート212の昇降回数N1を受け付ける(S103)。係る昇降回数N1は、予め画像形成装置1に設定されていてもよく、使用者が操作情報部4を介して設定してもよい。
そして、昇降プレート212の昇降動作を少なくとも1回行う(S104、S105)。昇降動作は、図6(a)に示すように、昇降プレート212が送り出し位置に位置する状態から、昇降ロッド214が回転駆動され、降下位置に降下し、再度送り出し位置に上昇する。係る昇降動作において、昇降プレート212が降下位置に降下するときに、図6(b)、(c)に模式的に示すように、昇降プレート212が送り出し方向に向かって低くなるように傾斜し、降下位置に降下する際の衝撃でシートSがシート端揃え部213に向かって移動する。
【0058】
昇降動作が設定された昇降回数N1に達した場合(S106:Yes)、昇降プレート212は送り出し位置に上昇(S107)し、傾きが補正されたシートSが送り出し可能な状態になる。
【0059】
シートSの読み取りが生産性優先モードである場合(S102:B)、昇降動作が設定されているか否か判断される(S108)。昇降動作が設定されている場合(S108:Yes)、昇降プレート212の昇降回数N2を受け付ける(S109)。そして、昇降プレート212の昇降動作を少なくとも1回行い(S110、S111)、昇降動作が設定された昇降回数N2に達した場合(S112:Yes)、昇降プレート212は送り出し位置に上昇(S113)し、傾きが補正されたシートSが送り出し可能な状態になる。
【0060】
図6には、昇降プレート212の昇降動作によるシート先端側の傾き補正を模式的に示している。図6(a)に示すように、シートSが昇降プレート212の積載面212b上に載置された状態では、シートSの先端部(シート搬送方向における先端側)は不揃いになっている場合がある。特に、シート積載部21上のどの位置にシートSを載置してシート領域を識別することが可能な、いわゆるフリーレジ方式の読取部2においては、昇降プレート212上に載置されたシートSの送り出し方向の位置が不揃いになっている。
【0061】
係る状態から、昇降プレート212を降下位置に向かって降下させると、図6(b)に示すように、昇降プレート212が送り出し方向に向かって低くなるように傾斜するために、昇降プレート212の積載面212b上にあるシートSは、シート端揃え部213に向かって滑るように移動する(図6(b)中 矢印R参照)。
そして、図6(c)に示すように、昇降プレート212が、降下位置まで降下すると、昇降プレート212には降下位置で停止する際の衝撃も伝わり、積載面212b上にあるシートSは、シート端揃え部213に突き当たり先端部が整列した状態となる。これにより、シート積載台としての昇降プレート212の昇降動作を行わない構成に比べて、シート積載部21に積載されたシートが送り出される前にシートの傾きを補正することができる。
【0062】
「変形例1」
図7は変形例1に係るシート積載部21Aの構成を示す断面模式図、図8は変形例1に係るシート積載部21Aにおける突状部211Aの配置を示す平面模式図、図9は昇降プレート212上に載置されたシート束SBの状態を説明する模式図である。
図7に示すように、変形例に係るシート積載部21Aは、トレイ本体211の上面に昇降プレート212に向かって突出するように形成された突状部211Aを備えている。
【0063】
突状部211Aは、図7に示すように、積載が許可されている最大積載枚数のシートSが積載された昇降プレート212が上昇してシート送り出し位置に位置する状態では、昇降プレート212の積載面212bから突出せず(図7(a)参照)、昇降プレート212が降下位置に下降した際に、昇降プレート212の積載面212bから突出する(図7(b) h参照)ようにその突出高さが設定されている。
【0064】
また、突状部211Aは、図8に模式的に示すように、シートSの送り出し方向と交差する幅方向に沿って複数設けられ、シートSの幅方向の中央部で、搬送が許可されている最小シートサイズに接触する位置に配置されている。
【0065】
このように構成された突状部211Aがトレイ本体211の上面に設けられていることで、図9(a)に示すように複数のシートSがシート束SBとして昇降プレート212の積載面212b上に積載されている場合、昇降プレート212が降下位置に下降した際に、突状部211Aが、シートSの最下面に接触してシート束SBを撓ませるように作用する。シート束SBに突状部211Aが下側から接触してシート束SBが上方に凸になるように撓むと、シート束SBのシート間に空気層ALが形成される。
【0066】
昇降プレート212が降下位置に下降した際に、多数のシートSが束になったシート束SBのシート間に空気層ALが形成されることで、シートSがシート端揃え部213に向かってより移動しやすい状態になる。
【0067】
また、突状部211Aは、シートSの幅方向の中央部で、搬送が許可されている最小シートサイズ(例えばA5サイズ)に接触する位置に配置されているために、最小シートサイズのシート束SBに空気を介在させてシートSを移動しやすい状態にすることができる。
尚、突状部211Aは、図9(b)に示すように、積載が許可されている最大積載枚数のシートSが積載された昇降プレート212が送り出し位置に上昇した位置でシートSの最下面に接触しない高さに設定されているために、シートSの送り出し時にシートSの最上面が撓まないようにしている。
【0068】
「変形例2」
図10は変形例2に係るシート積載部21Bの構成を説明する断面模式図、図11は昇降プレート212上に載置されたシート束SBの状態を説明する断面模式図である。
変形例2に係るシート積載部21Bは、昇降プレート212が送り出し位置に上昇する際に、シートSの送り出し方向と交差する方向でシートSの側端に接触してシート束SBを撓ませる突き当て手段の一例としてのサイドガイド215Aを備えている。
【0069】
図10に模式的に示すように、昇降プレート212の両側部には、昇降プレート212の昇降方向に沿うようにラック歯212cが昇降プレート212と一体に形成されている。
また、サイドガイド215Aは、昇降プレート212を挟んで昇降プレート212の裏面側にサイドガイド215Aの移動方向(シートの送り出し方向と交差する方向)に沿うようにラック歯215aがサイドガイド215Aと一体に形成されている。
【0070】
トレイ本体211には、欠歯歯車216が回転可能に支持されている。本実施形態に係る欠歯歯車216は、図10に示すように、周方向の等間隔で3箇所に歯部216aを有し、いずれかの歯部216aが、昇降プレート212に形成されたラック歯212c及びサイドガイド215Aに形成されたラック歯215aと噛み合うようになっている。
【0071】
このように構成された、シート積載部21Bにおいては、昇降プレート212が降下位置から送り出し位置に上昇する際に、昇降プレート212に一体に形成されたラック歯212cが欠歯歯車216の歯部216aと噛み合うと、昇降プレート212の上昇に伴って欠歯歯車216が歯部216aが形成されている範囲で回転する。このとき、欠歯歯車216の歯部216aがサイドガイド215Aに形成されたラック歯215aと噛み合う機会があれば、サイドガイド215Aは、欠歯歯車216が回転する範囲でシートSの幅方向に移動(図11(a)矢印R1参照)してシート束SBの両端部に接触し、シート束SBを撓ませる。
【0072】
シート束SBを撓ませるように移動したサイドガイド215Aは、欠歯歯車216の回転に伴ってラック歯215aとの噛み合いが解除されると、撓ませたシート束SBの復元力によってその間隔が広がるように逆方向に移動する(図11(b)矢印R2参照)。
【0073】
欠歯歯車216は、周方向に3箇所の歯部216aが形成されているために、昇降プレート212の上昇動作中、欠歯歯車216は間欠回転(図11(a) 矢印参照)することになり、同時に欠歯歯車216と噛み合うラック歯215aを有するサイドガイド215Aも間欠的に移動(図11(a)矢印R1参照)してシート束SBを繰り返し撓ませる。
これにより、図11(a)に模式的に示すように、シート間に空気層ALを介在させてシートSを移動しやすい状態にすることができる。すなわち、昇降プレート212が降下位置から送り出し位置に上昇する際に、多数のシートSが束になったシート束SBのシート間に空気層ALを繰り返し形成することで、シート束SBの両端部(幅方向)を揃えるとともに、シートSがシート端揃え部213に向かってより移動しやすい状態になる。
【0074】
本実施形態に係るシート積載部21によれば、自動シート送り部22によるシートSの送り出しが開始される前に、昇降プレート212をシート送り出し位置と下方に降下した降下位置との間で移動する昇降動作を少なくとも1回行い、昇降プレート212に積載されたシートSが送り出される前にシートSの傾きを補正することができる。
【符号の説明】
【0075】
1・・・画像形成装置
2・・・画像読取装置
21・・・シート積載部
211・・・トレイ本体
212・・・昇降プレート
213・・・シート端揃え部
215、215A・・・サイドガイド
22・・・自動シート送り部
221・・・ナジャーローラ
222・・・フィードローラ
223・・・リタードローラ
225・・・搬送ローラ
226・・・プレレジローラ
227・・・レジローラ
228・・・プラテンローラ
229・・・排出ローラ
23・・・画像読取部
3・・・画像形成部
4・・・操作情報部
5・・・画像処理部
10・・・システム制御装置
11・・・画像出力制御部
12・・・読取制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11