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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20231205BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 2/447 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02B3/00 A
H04N1/028 L
B41J2/447 101C
H01L31/12 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019079676
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020177152
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087185(JP,A)
【文献】特開2011-235484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0027129(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0044451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00
H04N 1/028
B41J 2/447
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、
前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズを通る光の一部を遮る壁を形成する遮光体と
を有し、
前記遮光体は、
前記複数のレンズの光軸からずれた位置で当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って設けられる基部と、
前記複数のレンズにおけるレンズ同士の間で、前記基部から前記並び方向と交差する交差方向に突出し前記壁を形成する複数の突出部と
を有し、
前記複数のレンズは、前記並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、
前記遮光体は、
前記第1列のレンズの光軸からずれた位置で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、
前記第2列のレンズの光軸からずれた位置で、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の第2突出部とを有する第2遮光体とを有し、
前記第1遮光体の前記第1基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の前記第1突出部の先端は、当該交差方向において、前記第2遮光体の前記第2基部から当該交差方向に突出し当該壁を形成する複数の前記第2突出部の先端よりも当該第2基部側に配置されることを特徴とする
光学装置。
【請求項2】
前記第1列のレンズおよび前記第2列のレンズは、前記交差方向において、互いに重複する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1列のレンズは、当該レンズの光軸に沿う方向に見て前記第1遮光体の前記基部から離間していることを特徴とする請求項2記載の光学装置。
【請求項4】
前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1遮光体および前記第2遮光体を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該第1遮光体および当該第2遮光体の対向する領域を覆う覆い部材を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項5】
前記覆い部材は、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域を有することを特徴とする請求項4記載の光学装置。
【請求項6】
前記覆い部材は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1遮光体および前記第2遮光体よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項5記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のレンズが列状に並び、かつ光入射用の複数の第1のレンズ面および光出射用の複数の第2のレンズ面を有する少なくとも1つのレンズアレイと、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第1のレンズ面の正面に位置するようにしてレンズアレイの正面を覆う第1の遮光マスクと、を備えている、レンズアレイユニットであって、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第2のレンズ面の背後に位置するようにレンズアレイの背後に配された第2の遮光マスクをさらに備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-302504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体に対して、例えば迷光を抑制するため、レンズを通る光の一部を遮る遮光体を設けることがある。また、このような遮光体としては、各レンズに対応する位置に光を通す貫通孔を設ける構成が知られている。ここで、レンズ体におけるレンズ間の距離を小さくしようとすると、遮光体における貫通孔間の距離も小さくすることが必要となる。しかしながら、貫通孔間の距離を小さくすると、遮光体の整形不良が発生しやすくなる。
【0005】
そこで、本発明では、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、遮光体の整形不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズを通る光の一部を遮る壁を形成する遮光体とを有し、前記遮光体は、前記複数のレンズの光軸からずれた位置で当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って設けられる基部と、前記複数のレンズにおけるレンズ同士の間で、前記基部から前記並び方向と交差する交差方向に突出し前記壁を形成する複数の突出部とを有し、前記複数のレンズは、前記並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、前記遮光体は、前記第1列のレンズの光軸からずれた位置で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、前記第2列のレンズの光軸からずれた位置で、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の第2突出部とを有する第2遮光体とを有し、前記第1遮光体の前記第1基部から前記交差方向に突出し前記壁を形成する複数の前記第1突出部の先端は、当該交差方向において、前記第2遮光体の前記第2基部から当該交差方向に突出し当該壁を形成する複数の前記第2突出部の先端よりも当該第2基部側に配置されることを特徴とする光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1列のレンズおよび前記第2列のレンズは、前記交差方向において、互いに重複する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1列のレンズは、当該レンズの光軸に沿う方向に見て前記第1遮光体の前記基部から離間していることを特徴とする請求項2記載の光学装置である。
請求項4に記載の発明は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1遮光体および前記第2遮光体を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該第1遮光体および当該第2遮光体の対向する領域を覆う覆い部材を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項5に記載の発明は、前記覆い部材は、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域を有することを特徴とする請求項4記載の光学装置である。
請求項6に記載の発明は、前記覆い部材は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1遮光体および前記第2遮光体よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項5記載の光学装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、遮光体の整形不良を抑制することができ、レンズの列が複数である構成において、迷光が抑制される。
請求項2の発明によれば、第1列のレンズと第2列のレンズの交差方向のレンズ間を狭くできる。
請求項3の発明によれば、第1列のレンズがレンズの光軸に沿う方向に見て第1遮光体の基部から離間しない場合と比較して、迷光をより抑制する位置に第1遮光体を配置できる。
請求項4の発明によれば、覆い部材を有しない場合と比較して、迷光がより抑制される。
請求項5の発明によれば、覆い部材が通過領域を有しない場合と比較して、迷光がより抑制される。
請求項6の発明によれば、レンズの光軸に沿う方向において、覆い部材が第1遮光体および第2遮光体よりも厚い場合と比較して、光学装置の寸法を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態が適用される原稿読取装置の概略構成図である。
図3】本実施の形態が適用されるレンズアレイユニットの分解斜視図である。
図4】(a)および(b)は、遮光壁を説明するための図である。
図5-1】(a)および(b)は、遮光壁の配置を説明するための図である。
図5-2】(c)および(d)は、別の形態における遮光壁の配置を説明するための図である。
図6】(a)乃至(d)は、第1遮光フィルムの変形例を示す図である。
図7】(a)および(b)は、第1遮光フィルムの形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。
図8】壁部材の変形例を説明する図である。
図9】(a)および(b)は、壁部材の他の変形例を説明する図である。
図10】(a)乃至(c)は、壁部材の変形例を説明する図である。
図11】(a)および(b)は、壁部材の変形例を説明する図である。
図12】第1壁部材および第2壁部材の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Sに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Sを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Sを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0010】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0011】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Sに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Sに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。
【0012】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Sを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Sを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Sを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0013】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Sが送り出される。そして、記録紙Sは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0014】
<原稿読取装置1>
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図である。
次に、図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。図2に示すように、原稿読取装置1は、透明板70と、透明板70を支持する合成樹脂製のケース71と、ケース71の底面部に組み付けられた基板72とを備えている。基板72の表面上には、主走査方向(紙面と直交する方向)に間隔を隔てて列状に並べられた複数の点状の光源73と、これら複数の光源73と同方向に並べられた複数の受光素子74とが設けられている。各光源73は、例えば発光ダイオードを用いて構成されている。各受光素子74は、光電変換機能を有するものであり、光を受けると、その受光量に対応した出力レベルの信号、具体的には画像信号を出力する。
【0015】
ここで、原稿読取装置1は、透明板70と各受光素子74との間に、レンズアレイユニット10を備えている。レンズアレイユニット10の詳細な構成は後述するが、図示のレンズアレイユニット10は、ケース71に設けられた凹溝75内に配置されている。また、図示の透明板70の表面部のうち、レンズアレイユニット10に対向する部分は、主操作方向に延びる画像読み取り領域Laとなっている。この画像読み取り領域Laには、各光源73から光が照射される。
【0016】
原稿読取装置1においては、自動原稿搬送部107(図1参照)によって透明板70の表面上に導かれた原稿Gに対して、光源73からの光が照射される。原稿Gに照射された光の反射光は、レンズアレイユニット10に向けて進行する。すると、レンズアレイユニット10の作用によって、画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像が、複数の受光素子74上に正立等倍で結像する。このため、複数の受光素子74からは、原稿Gの画像に対応する1ライン分の画像信号が出力される。このような読み取り処理は、原稿Gが例えば自動原稿搬送部107が有するプラテンローラ77によって副走査方向に搬送される過程において、複数回にわたって繰り返し実行される。
【0017】
なお、以下の説明においては、画像読み取り領域Laから受光素子74に向かう方向、すなわち図2における上下方向を光軸方向ということがある。
【0018】
<レンズアレイユニット10>
図3は、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10の分解斜視図である。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10について説明をする。
【0019】
図3に示すように、レンズアレイユニット10は、第1遮光フィルム110と、遮光壁130と、第2遮光フィルム150と、第1レンズアレイ170と、第2レンズアレイ180と、第3遮光フィルム190とを有する。さらに説明をすると、図示の例のレンズアレイユニット10においては、第1遮光フィルム110、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190がこの順で積層されるとともに、接着剤などによって互いに接着され一体化している。以下、レンズアレイユニット10が有する各部材について説明をする。
【0020】
まず、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180について説明をする。
第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、各々略直方体状の部材である。さらに説明をすると、図示の第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、1対のレンズ部材であり、互いに一致する形状である。
【0021】
第1レンズアレイ170は、略直方体状の第1支持体171と、第1支持体171の表裏面に形成された複数の第1レンズ173とを有する。複数の第1レンズ173は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。なお、複数の第1レンズ173の光軸が互いに沿うとは、第1レンズ173の各々が画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像を、複数の受光素子74上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第1レンズ173の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。また、複数の第1レンズ173は、主走査方向に沿った第1列R71および第2列R72に並べて設けられる。ここで、複数の第1レンズ173は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R71を構成する第1レンズ173と、第2列R72を構成する第1レンズ173とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R71における第1レンズ173は、予め定めた間隔、すなわちピッチで配置されている。また、第2列R72における第1レンズ173は、第1列R71と同一の間隔で配置されている。
【0022】
第2レンズアレイ180は、略直方体状の第2支持体181と、第2支持体181の表裏面に形成された複数の第2レンズ183とを有する。複数の第2レンズ183は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。なお、複数の第2レンズ183の光軸が互いに沿うとは、第2レンズ183の各々が画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像を、複数の受光素子74上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第2レンズ183の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。また、複数の第2レンズ183は、主走査方向に沿った第1列R81および第2列R82に並べて設けられる。ここで、複数の第2レンズ183は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R81を構成する第2レンズ183と、第2列R82を構成する第2レンズ183とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R81における第2レンズ183は、予め定めた間隔で配置されている。また、第2列R82における第2レンズ183は、第1列R81と同一の間隔で配置されている。
【0023】
図示の例においては、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、第1レンズ173および第2レンズ183の各々が互いに対向するように配置される。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とが一致するように揃えて配置されている。また、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の各々は、例えば透光性を有する光学樹脂を用いて射出成形することにより、一体的に形成される。なお、以下の説明において、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とを区別する必要がない場合、単に「第1レンズ173の光軸」と呼ぶことがある。
【0024】
次に、第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190について説明をする。第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、各々長尺状の薄板部材である。図示の例における第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状である。
【0025】
第1遮光フィルム110は、平面視略長方形状の第1板面111を有する。この第1板面111には、複数の第1貫通孔113が形成されている。ここで、各第1貫通孔113は、略円形である。また、各第1貫通孔113の位置は、第1レンズ173および第2レンズ183に対応する。すなわち、各第1貫通孔113は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第1貫通孔113は、主走査方向に沿った第1列R11および第2列R12に並べて設けられる。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸一つ一つ(各光軸)に通過領域である第1貫通孔113が各々対応している。
【0026】
図示の例においては、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも、厚さが薄い。すなわち、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも光軸方向の寸法が小さい。また、第1遮光フィルム110は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)により形成されている。この第1遮光フィルム110は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない構成を遮断する。さらに説明をすると、第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側、言い替えると遮光壁130の上面に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する。この第1遮光フィルム110は、後述する第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bの対向する領域を覆う覆い部材の一例である。なお、覆い部の一例である第1遮光フィルム110は、2ずつの第1レンズ173を覆うなど、複数の第1レンズ173と複数の第1レンズ173の光軸を通過させてもよい。
【0027】
上記のように第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状であるため、詳細な説明は省略するが、第2遮光フィルム150は、複数の第2貫通孔153が形成された第2板面151を有する。ここで、各第2貫通孔153は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第2貫通孔153は、第1列R51および第2列R52に並べて設けられる。
【0028】
また、第3遮光フィルム190は、複数の第3貫通孔193が形成された第3板面191を有する。ここで、各第3貫通孔193は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第3貫通孔193は、第1列R91および第2列R92に並べて設けられる。
【0029】
なお、詳細は後述するが、図3のように遮光壁130の光軸溝135を略U字で構成せず、図8のように湾曲面がない遮光壁230のような構成の場合は、さらに第1遮光フィルム110による影響は大きくなる。言い換えれば、第1遮光フィルム110の形状が覆う部分における形状は、後述の遮光壁230よりもレンズの形状に近いものとするとなお良い。遮光壁230は第1遮光フィルム110よりも光軸方向において長いので、寸法の精度を出すことが相対的に難しくなることがあるが、第1遮光フィルム110は薄いので相対的に形状を操作しやすい。遮光壁230に対し第1遮光フィルム110を合わせた際の第1レンズ173に入る光は、遮光壁130の形状にした際に第1レンズ173に入る光に近づく。
【0030】
<遮光壁130>
図4(a)および(b)は、遮光壁130を説明するための図である。より詳細には、図4(a)は第1壁部材131Aの斜視図であり、図4(b)は第1壁部材131Aの上面図である。
図5-1(a)および(b)は、遮光壁130の配置を説明するための図である。より詳細には、図5-1(a)は第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bの位置関係を示す図であり、図5-1(b)は図5-1(a)のVBにおける拡大図である。図5-2(c)および(d)は、別の形態における遮光壁730の配置を説明するための図である。より詳細には、図5-2(c)は第1壁部材731Aおよび第2壁部材731Bの位置関係を示す図であり、図5-2(d)は図5-2(c)のVDにおける拡大図である。
【0031】
次に、図3図4(a)および(b)、図5-1(a)および(b)を参照しながら、遮光壁130について説明をする。
図3に示すように、遮光壁130は、各々略直方体状の2つの壁部材131、すなわち第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを並べて構成される。さらに説明をすると、遮光壁130は、第1レンズ173の光軸を挟んで互いに対向して設けられる第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを有する。
【0032】
第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂)により形成されている。なお、図示の例においては、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは同一の部材である。そこで、以下においては、第1壁部材131Aを例に詳細な構造を説明する。
【0033】
図4(a)および(b)に示すように、第1壁部材131Aは、略直方体状の部材である。この第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って配置される。例えば、第1壁部材131Aは、主走査方向の長さL1が300mmであり、光軸方向の長さL2が5mmであり、副走査方向の長さL3が2mmである。第1壁部材131Aは、法線が副走査方向に沿う面である第1側面133を有する。なお、この第1側面133は、第1壁部材131Aにおいて第2壁部材131B(図3参照)と対向する面として捉えることができる。
【0034】
この第1壁部材131Aは、主走査方向に複数の壁を有した櫛歯型である。さらに説明をすると、第1側面133に光軸方向に沿って形成される複数の光軸溝135を有する。この複数の光軸溝135は、予め定めた間隔で主走査方向に複数並べて設けられる。複数の光軸溝135の各々は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。付言すると、主走査方向における光軸溝135の間隔は、第1レンズアレイ170における第1レンズ173の間隔、および第2レンズアレイ180における第2レンズ183の間隔と一致する。
【0035】
ここで、図4(b)に示すように、第1側面133に複数の光軸溝135が形成された第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って伸びる基部132と、基部132から副走査方向に突出する複数の突出部137を有する構成として捉えることができる。ここで、突出部137の先端138は、主走査方向において予め定められた間隔で配置されている。また、光軸溝135の底部139は、主走査方向において予め定められた間隔で配置されている。なお、第1壁部材131Aにおける突出部137とは、主走査方向において光軸溝135の間に挟まれる部分であって、光軸溝135の底部139を結ぶ仮想線ILから第1レンズ173の光軸側の部分をいう。また、第1壁部材131Aにおける基部132とは、光軸溝135の底部139を結ぶ仮想線ILから第1レンズ173の光軸側とは反対の側の部分をいう。図4(b)に示す例においては、基部132は平面視略長方形状の部分である。
【0036】
さて、図5-1(a)に示すように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、互いに光軸溝135が形成された面である第1側面133(図4(a)参照)を対向させて配置される。そして、図5-1(a)に示すように光軸方向に沿って見ると、光軸溝135は、各々第1レンズ173および第2レンズ183と一致する位置に配置される。
【0037】
このように構成された第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない光を遮断する。さらに説明をすると、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおいては、副走査方向に突出する複数の突出部137が、主走査方向において第1レンズ173の各々の間で光を遮断する壁を形成する。この突出部137により、光軸とは交差する向き、言い替えると角度がついて第1レンズ173および第2レンズ183に入射する光が遮断される。このことにより、第1レンズ173および第2レンズ183のうちの1つのレンズから主走査方向において隣接する他のレンズに入る光が低減される。
【0038】
その結果、第1レンズ173および第2レンズ183の画角が狭められ、焦点深度が増加し得る。また、第1レンズ173および第2レンズ183を通過する光において、迷光が生じにくくなり得る。なお、ここでの画角とは、光軸方向に対する光線の見込み角度(法線と光線とのなす角度)のことをいう。また、迷光とは、物体面の物点から出た光線が、像面上の対応する像点以外に到達する光のことをいう。
【0039】
また、上記のように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、黒色顔料を混ぜた樹脂材料により構成されている。したがって、突出部137の表面、言い替えると光軸溝135の内側面も黒色である。このように突出部137の表面を黒色とすることにより、突出部137によって遮断した光が、突出部137において反射することが抑制される。
【0040】
さて、図5-1(a)に示すように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、主走査方向における位置が互いにずれて配置される。具体的には、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、第1レンズアレイ170における第1レンズ173の間隔、あるいは第2レンズアレイ180における第2レンズ183の間隔の半分の長さだけ、主走査方向にずれて配置されている。このことにより、第1壁部材131Aの光軸溝135は、第1列R71の第1レンズ173、あるいは第1列R81の第2レンズ183の各々に対応する位置に配置される。また、第2壁部材131Bの光軸溝135は、第2列R72の第1レンズ173、あるいは第2列R82の第2レンズ183に対応する位置に配置される。
【0041】
また、図5-1(b)に示すように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおける一方の先端138は、他方の光軸溝135の内部に進入した位置に配置される。さらに説明をすると、副走査方向において、第2壁部材131Bの先端138の位置P0は、第1壁部材131Aの先端138の位置P1よりも、第1壁部材131Aの底部139(図4(b)参照)側に突出している。さらに説明をすると、第2壁部材131Bの先端138は、第1レンズ173における第2壁部材131B側の頂点174の位置P2よりも突出している。
【0042】
このように、第1壁部材131Aの突出部137および第2壁部材131Bの突出部137は、副走査方向において、重なる部分、いわゆるオーバーハング部分(図中、領域GA参照)を形成する。このオーバーハング部分によって、第1レンズ173および第2レンズ183のうちの対象とする1つのレンズから、主走査方向において隣接する他のレンズに光が入ることがより確実に低減される。特に図5-1(a)のように、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の距離、すなわち第1レンズ173および第2レンズ183の主走査方向に交差する方向における間隔が狭くなると、例えば受光素子74(図2参照)に到達する光の光量が増加するなど、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の光学性能が向上する。このようにレンズ同士がオーバーラップしている構成にした場合に、突出部137にオーバーハング部分をつくると、突出部137の先端138で反対側のレンズの一部を覆ってしまうが、その構成にすることで、遮光する対象のレンズへの光をオーバーハングさせない構成より、より遮光することができる。
【0043】
さて、一般的には、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180におけるレンズピッチ、すなわち第1レンズ173および第2レンズ183の主走査方向における間隔が狭くなると、例えば受光素子74(図2参照)に到達する光の光量が増加するなど、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の光学性能が向上する。
【0044】
ここで、本実施の形態とは異なり、例えば遮光壁130を1つの直方体で形成し、第1レンズ173の光軸に対応する位置に、複数の貫通孔(不図示)が形成された構成も採用され得る。しかしながら、このような構成が採用された場合において、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180における狭いレンズピッチにあわせて、遮光壁130の貫通孔(不図示)同士の距離を狭めると、例えば貫通孔の間の肉壁が薄くなる。そして、例えばこの肉壁が150μm以下となるなど予め定めた厚さよりも薄くなると、射出成形を行う際に、薄い部分における樹脂材料の流動性が悪化し、成形不良が発生し得る。
【0045】
一方で、本実施の形態の遮光壁130のように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを有する構成においては、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおける光軸溝135の間隔を小さくした場合であっても、上記のような整形不良が抑制され得る。
【0046】
さて、図示の光軸溝135は、断面略U字状である。言い替えると、光軸溝135の底部139は、半円形状である。さらに言い替えると、突出部137は、第1レンズ173などの外周に沿い湾曲した形状である湾曲面を有する。このように、突出部137が第1レンズ173などの外周の一部に沿う形状をしていることにより、上記のような迷光がより生じにくくなる。なお、突出部137が第1レンズ173などの外周の一部に沿うとは、例えば突出部137が第1レンズ173の外周面との間隙が予め定めた大きさである形状に限定されるものではなく、例えば第1レンズ173などの外周と同じ向きに湾曲するなど、突出部137から第1レンズ173の外周面までの距離が変化する形状であってもよい。また、突出部137は、根元側から先端138に向かうに従い、主走査方向の長さ、すなわち突出部137の幅が減少する。このことにより、例えば図示の例とは異なり先端138が他の部分よりも幅広である構成と比較して、射出成形の工程において型から突出部137を抜く作業が容易となる。
【0047】
なお、図5-2(c)および(d)に示すように、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の距離、すなわち第1レンズ173および第2レンズ183の主走査方向に交差する方向における間隔が、図5-1(a)および(b)に示す実施の形態よりも広く、レンズ同士がオーバーラップしない構成であってもよい。この実施の形態における第1壁部材731Aおよび第2壁部材731Bでは、副走査方向において、第2壁部材731Bの先端138の位置P0は、第1壁部材731Aの先端138の位置P1よりも、第1壁部材731Aの底部139(図4(b)参照)側に突出している。さらに説明をすると、第2壁部材731Bの先端138は、第1レンズ173における第1壁部材131A側の頂点176の位置P3よりも突出している。
【0048】
<変形例1>
図6(a)乃至(d)は、第1遮光フィルム110の変形例を示す図である。
次に、図6(a)乃至(d)を参照しながら、第1遮光フィルム110の変形例について説明をする。上記の説明においては、第1遮光フィルム110(図6(a)参照)が、平面視略長方形状の第1板面111に形成された略円形の第1貫通孔113を有することを説明したが、これに限定されない。第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する構成であれば、その形状は特に限定されない。
【0049】
例えば、図6(b)に示す第1遮光フィルム210のように、平面視略長方形状の第1板面211に形成された略半円状の第1貫通孔213を有する構成であってもよい。ここで、図6(b)に示す第1遮光フィルム210は、第1遮光フィルム110(図6(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム210の幅方向長さW2は0.75mmとなる。
【0050】
また、図6(c)に示す第1遮光フィルム310のように、平面視略長方形状の第1板面311に形成された第1貫通孔313を有する構成であってもよい。第1貫通孔313は、略半円、より具体的には、半円よりも領域が狭い円弧と弦によって形成される所謂弓形である。図6(c)に示す第1遮光フィルム310は、第1遮光フィルム110(図6(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム310の幅方向長さW3は0.6mmとなる。
【0051】
また、図6(d)に示す第1遮光フィルム410のように、平面視略長方形状であってもよい。すなわち、第1貫通孔113(図6(a)参照)を有しない構成であってもよい。第1遮光フィルム410は、副走査方向における第1レンズ173の第1列R71および第2列R72の間において、第1列R71および第2列R72に沿って配置される長尺状部材として捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム410の幅方向長さW4は0.18mmである。
【0052】
図7(a)および(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。より詳細には、図7(a)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、主走査方向の焦点深度と解像度(CTF:Contrast Transfer Function)との関係のシミュレーション結果を示す図である。また、図7(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、副走査方向における焦点深度と、解像度との関係のシミュレーション結果を示す図である。
【0053】
なお、図7(a)および(b)における解像度は、書き込む線画像データの濃度コントラストを100%とした場合の、原稿G上の読取画像の濃度コントラストの相対値である。また、シミュレ―ションの条件としては、図2に示すレンズアレイユニット10のように、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190をこの順に積層したものに対して、各形状の第1遮光フィルム110などを配置することとした。
【0054】
なお、「半円0.6」とは、第1遮光フィルム110の副走査方向の両側を切り落とし、第1遮光フィルムの幅方向長さを0.6mmとしたものである。また、比較対象として、第1遮光フィルム110を設けない条件を「フィルム無し」とした。また、「線0.18」は図6(d)の第1遮光フィルム410であり、「半円0.6」は図6(c)の第1遮光フィルム310であり、「半円0.75」は図6(b)の第1遮光フィルム210であり、「円」は図6(a)の第1遮光フィルム110である。
【0055】
次に、図6(a)乃至(d)、図7(a)および(b)を参照しながら、第1遮光フィルム110の形状を変化させた際のシミュレーション結果について説明をする。
図7(a)および(b)に示すように、上記第1遮光フィルム110、210、310、410、および「半円0.65」の第1遮光フィルム(不図示)の各々において、主走査方向における焦点深度および解像度の関係、および副走査方向における焦点深度および解像度との関係をシミュレーションした。
【0056】
図7(a)および(b)によれば、「線0.18」、「半円0.6」、「半円0.65」、「半円0.75」、および「円」のいずれにおいても、「フィルム無し」と比較して、より大きな解像度が得られた。すなわち、第1遮光フィルム110などを配置することによって、レンズアレイユニット10の光学性能が向上することが確認された。なお、「線0.18」である第1遮光フィルム410においては、図7(b)に示す副走査方向における解像度が「フィルム無し」と比較して大きくなることが確認された。
【0057】
<変形例2>
図8は、遮光壁130の変形例を説明する図である。
図9(a)および(b)は、遮光壁130の他の変形例を説明する図である。
次に、図8図9(a)および(b)を参照しながら遮光壁130の変形例について説明をする。なお、以下の説明において、上記の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0058】
上記の説明においては、遮光壁130に形成された光軸溝135が、断面略U字状であり、第1レンズ173および第2レンズ183の外周に沿う形状をしていることを説明したが、これに限定されない。光軸溝135は、遮光壁130において、第1レンズ173の光軸に沿って空間を形成する構成であればよい。
【0059】
例えば、図8に示す遮光壁230のように、第1壁部材231Aおよび第2壁部材231Bが断面略矩形の光軸溝235を有する構成であってもよい。この構成においては、突出部237は、光軸方向に見て略直方体状である。ここで、光軸方向に見て、光軸溝235の各々には、第1レンズ173および第2レンズ183が配置される。なお、上記図5などに示す光軸溝135と比較すると、光軸方向に見て、光軸溝235内における突出部237と第1レンズ173および第2レンズ183との距離が大きい。したがって、図8に示す構成においては、第1レンズアレイ170における第1レンズ173の外周、および第2レンズアレイ180における第2レンズ183の外周に遮光膜(不図示)を形成し、迷光を遮断することが好ましい。
【0060】
また、上記の説明においては、第1レンズアレイ170が、複数列の第1レンズ173を有することを説明したがこれに限定されない。例えば、図9(a)に示すように、第1レンズアレイ170が、1列の第1レンズ173を有する構成であってもよい。このように、第1レンズアレイ170が1列の第1レンズ173を有する構成においては、遮光壁330が、1つの第1壁部材331Aにより構成されてもよい。この第1壁部材331Aには、複数の光軸溝135が形成され、光軸溝135の各々に第1レンズ173が配置される。
【0061】
また、図9(b)に示すように、第1レンズアレイ170が2列の第1レンズ173を有する構成において、遮光壁430が1つの第1壁部材431Aにより構成されてもよい。
この構成においては、突出部237が、第1列R71および第2列R72の両者と交差するよう形成される。具体的には、突出部237は、第1列R71の第1レンズ173同士の間にて副走査方向に延びる第1部437Aと、第1部437Aから副走査方向に対して傾斜する向きに延びる傾斜部437Bと、傾斜部437Bから副走査方向に延び第2列R72の第1レンズ173同士の間を通る第2部437Cとを有する。付言すると、図9(b)に示す例とは異なり、突出部137が副走査方向に延びる部分を有さない構成であってもよい。例えば、突出部137全体が、副走査方向に対して傾斜する向きに延びる構成であってもよい。
【0062】
<変形例3>
図10(a)乃至(c)は、遮光壁130の変形例を説明する図である。より詳細には、図10(a)は遮光壁530を光軸走査方向に沿って見た図であり、図10(b)は位置決めピン194によって支持される遮光壁530を光軸方向に沿って見た図であり、図10(c)は位置決めピン194によって支持される遮光壁530を主走査方向に沿って見た図である。
次に、図10(a)乃至(c)を参照しながら、遮光壁130の他の変形例について説明をする。
【0063】
上記の説明においては、光軸溝135が、断面略U字状であり、第1レンズ173および第2レンズ183の外周に沿う形状をしていることを説明したが、これに限定されない。例えば、図10(a)に示す遮光壁530のように、光軸方向に見て、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bに形成される光軸溝535の底部539、すなわち壁の内側が、第1レンズ173から離間する位置となるように、光軸溝535が形成されてもよい。言い替えると、光軸方向に見て、第1レンズ173が基部532から離間する構成としてもよい。さらに言い替えると、光軸溝535の深さを、第1レンズ173の直径よりも領域GA分、深く形成してもよい。
【0064】
このように光軸溝535を深く形成することにより、遮光壁530を組み立てる作業が容易となる。以下、遮光壁530を第1レンズアレイ170に固定する工程について具体的に説明をする。なお、図示の工程においては、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bのそれぞれの位置を決める複数の位置決めピン194と、複数の位置決めピン194を支持し駆動源(不図示)からの駆動を受けて移動する支持部材195と、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bを押圧するスプリング197とが用いられる。また、位置決めピン194はU字部分の曲率の径と同じにしている。
【0065】
また、図示の例においては、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bの位置決めに、それぞれ3つの位置決めピン194が用いられる。さらに説明をすると、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531B各々の、主走査方向に並ぶ光軸溝535のうち、両端および中央に位置する光軸溝535に各々位置決めピン194が配置される。
【0066】
まず、第1レンズアレイ170に対して、位置決めピン194が予め位置が定められた位置となるように、駆動源(不図示)からの駆動を受けた支持部材195が配置される。そして、第1レンズアレイ170に対して位置が定められた位置決めピン194に、スプリング197によって押圧された第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bが押し当てられる。すなわち、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bにおける上記両端および中央の光軸溝535内に、各々位置決めピン194が配置される。
【0067】
そして、上記のように第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bの位置が決められた状態において、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bと第1レンズアレイ170との間に、例えば紫外線硬化型の接着剤192が塗布される。そして、この接着剤192に紫外線が照射されることで、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bが第1レンズアレイ170に固定される。固定された後は、位置決めピン194は取りのぞく。位置決めピン194を取り除く構成にすると、第1レンズ173の光軸上に位置決めピン194を配置することが可能になり、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bと第1レンズ173の距離が近づく。
【0068】
ここで、図10(b)に示すように、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bが第1レンズアレイ170に固定された状態において、光軸方向に見ると、光軸溝535の底部539は第1レンズ173から離間した位置となる。このことにより、第1壁部材531Aの位置を決める位置決めピン194は、第2壁部材531Bにおける突出部537の先端538と干渉しない。また、第2壁部材531Bの位置を決める位置決めピン194は、第1壁部材531Aにおける突出部537の先端538と干渉しない。このような配置により、第1壁部材131Aの突出部137および第2壁部材131Bの突出部137は、副走査方向において、オーバーハング部分(図中、領域GA参照)を形成することができる。
【0069】
<変形例4>
図11(a)および(b)は、遮光壁130の変形例を説明する図である。より詳細には、図11(a)は第1壁部材631Aを示す図であり、図11(b)は第1壁部材731Aを示す図である。
次に、図11(a)および(b)を参照しながら、遮光壁130の他の変形例について説明をする。
【0070】
上記変形例3においては、第1壁部材531Aおよび第2壁部材531Bの突出部537にオーバーハング部分を形成するための構成として、全ての光軸溝535を第1レンズ173の寸法よりも深く形成することを説明したが、これに限定されない。
【0071】
例えば、図11(a)に示す第1壁部材631Aのように、一部の光軸溝635Aを、他の光軸溝635Bよりも深く形成してもよい(図中、距離GB参照)。この深く形成された一部の光軸溝635Aに位置決めピン194が配置されることによって、位置決めピン194が配置されない他の光軸溝635Bにおける第1レンズ173との距離を抑制しながら、上記オーバーハング部分が形成される。
【0072】
また、例えば、図11(b)に示す第1壁部材731Aのように、複数の光軸溝735を形成し、複数の突出部737を備える構成において、一部の突出部737Aの先端738Aを、他の突出部737Bの先端738Bよりも低く形成してもよい(図中、距離GC参照)。この低く形成された一部の突出部737Aと対向する位置に位置決めピン194が配置されることによって、他の突出部737Bにおける第1レンズ173との距離を抑制しながら、上記オーバーハング部分が形成される。
また、遮光壁130に湾曲面が無い構成を位置決めピン194で位置決めしてもよく、その場合は点接触での位置決めになる。さらにその場合、隣り合う突出部137同士の隙間が直径に相当する位置決めピン194を使用し、3面が位置決めピン194に接触するような構成にするとなおよい。
位置決めピン194の形状は真円以外も可能であるが、真円にすると汎用品を使用しやすく、位置決めもしやすい。また真円の径を湾曲部の径より小さくして、第1レンズ173と底部139を離さない構成にした場合は、位置決め精度は落ちるが、第1レンズ173と底部139の差は生じにくい。
位置決めピン194と相手側の突出部137は接触するように構成してもよいが、干渉する可能性を低減するため、寸法誤差分は離しておいて、突出部137ではなく、底部139で位置がでるように構成した方がなおよい。
【0073】
<変形例5>
図12は、第1壁部材831Aおよび第2壁部材831Bの位置関係を示す図である。
次に、図12を参照しながら、遮光壁130の他の変形例について説明をする。
【0074】
上記図5(a)および(b)などにおいて示す例においては、光軸方向に見て、突出部137が第1レンズ173および第2レンズ183と重複しない構成を説明したが、これに限定されない。例えば、図12に示す遮光壁830のように、光軸方向にみて、突出部837が第1レンズ173および第2レンズ183(図3参照)と重複する構成であってもよい。
【0075】
さらに説明をすると、例えば第1レンズ173および第2レンズ183の直径が0.4mmであり、突出部837の幅W1が0.1mm~0.15mmである場合には、例えば、突出部837の先端838から0.1mmの部分(図中、距離GD参照)が第1レンズ173および第2レンズ183と重複する構成であってもよい。すなわち、光軸方向に見て、突出部837における第1レンズ173および第2レンズ183と重複する寸法(図中、距離GD参照)を、第1レンズ173および第2レンズ183の直径の1/2以下、さらに説明をすると第1レンズ173および第2レンズ183の1/4以下としてもよい。このような構成とすると、光軸方向に見て、突出部137が第1レンズ173および第2レンズ183と重複しない構成と比較して、オーバーハング部分(図中、領域GA参照)がより長くなり、主走査方向における隣のレンズに入る光がより確実に低減される。
【0076】
<他の変形例>
上記の説明においては、第1遮光フィルム110を設けることを説明したが、フィルム状の形状や材質に限定されるものではない。例えば、フィルムよりも剛性が高い板状部材によって第1遮光フィルム110を構成してもよい。すなわち、第1遮光フィルム110に替えて、遮光板として構成してもよい。さらに、第1遮光フィルム110を設けない構成であってもよい。
【0077】
また、第1遮光フィルム110などにおいて、第1貫通孔113、213、313を設けることを説明したが、光を透過させる構成であれば、これに限定されない。例えば、光源73からの光に対して透明なフィルムや板などにより、第1貫通孔113、213、313が覆われている構成であってもよい。
また、上記の説明におけるレンズアレイユニット10においては、遮光壁130が、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180を挟んで受光素子74と反対側に設けられることを説明したが、遮光壁130が、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180よりも受光素子74側に設けられる構成であってもよい。
【0078】
また、レンズアレイユニット10は、原稿読取装置1における位置が固定されるものでもない。例えば、レンズアレイユニット10は、直線状の読取方向(副走査方向)に往復移動する移動手段に設けられてもよい。さらに説明をすると、この移動手段が、原稿に対して光を照射する照射部と、レンズアレイユニット10と、レンズアレイユニット10を通る光を受光する受光部とを備える構成であってもよい。
【0079】
また、レンズアレイユニット10を原稿読取装置1に設けることを説明したが、これに限定されない。例えば、発光ダイオードが発光する光を像保持体に結像する像形成装置など、原稿読取装置1以外の光学装置にレンズアレイユニット10を設けてもよい。
【0080】
なお、上記の説明における第1レンズ173は、レンズ体の一例である。遮光壁130は、遮光体の一例である。第1壁部材131Aは、第1遮光体の一例である。第2壁部材131Bは、第2遮光体の一例である。第1壁部材131Aの基部132は、第1基部の一例である。第1壁部材131Aの突出部137は、第1突出部の一例である。第2壁部材131Bの基部132は、第2基部の一例である。第2壁部材131Bの突出部137は、第2突出部の一例である。第1遮光フィルム110は、覆い部材の一例である。第1貫通孔113は、通過領域の一例である。光軸溝135の内側面は、レンズの光軸に沿う側面の一例である。光源73は、照射部の一例である。受光素子74は、受光素子の一例である。原稿読取装置1は、画像読取装置の一例である。主走査方向は、並び方向の一例である。副走査方向は、交差方向の一例である。第1壁部材131Aの先端138は、第1先端の一例である。第2壁部材131Bの先端138は、第2先端の一例である。
【0081】
上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1…原稿読取装置、10…レンズアレイユニット、100…画像形成装置、110…第1遮光フィルム、130…遮光壁、131A…第1壁部材、131B…第2壁部材、132…基部、135…光軸溝、137…突出部
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
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図12