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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/02 310F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019101035
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020192227
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松浦 克俊
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-039421(JP,A)
【文献】特開2015-016194(JP,A)
【文献】特開2017-148139(JP,A)
【文献】特開2017-018772(JP,A)
【文献】特開2016-149542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に照射される照射光を射出する発光部と、
前記照射光が前記生体で反射される反射光を受光する受光部と、
前記照射光及び前記反射光が通過する通過部と、
前記発光部から前記受光部に向かって進行する前記照射光を遮光する遮光部と、
前記通過部を支持する不透明な裏蓋と、を備え、
前記発光部から前記通過部に向かう第1方向からの平面視において、前記遮光部は前記発光部と前記受光部との間に配置されている金属板であり、
前記受光部のうち前記第1方向と交差する方向を向く側面において前記遮光部と対向していない前記側面は前記裏蓋と対向し、
前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記側面と前記裏蓋とが接触していることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
生体に照射される照射光を射出する発光部と、
前記照射光が前記生体で反射される反射光を受光する受光部と、
前記照射光及び前記反射光が通過する通過部と、
前記発光部から前記受光部に向かって進行する前記照射光を遮光する遮光部と、
前記通過部を支持する不透明な裏蓋と、を備え、
前記発光部から前記通過部に向かう第1方向からの平面視において、前記遮光部は前記発光部と前記受光部との間に配置されている金属板であり、
前記受光部のうち前記第1方向と交差する方向を向く側面において前記遮光部と対向していない前記側面は前記裏蓋と対向し、
前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記生体側では前記受光部と前記裏蓋の一部とが重なっていることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項3】
生体に照射される照射光を射出する発光部と、
前記照射光が前記生体で反射される反射光を受光する受光部と、
前記照射光及び前記反射光が通過する通過部と、
前記発光部から前記受光部に向かって進行する前記照射光を遮光する遮光部と、
前記通過部を支持する不透明な裏蓋と、を備え、
前記発光部から前記通過部に向かう第1方向からの平面視において、前記遮光部は前記発光部と前記受光部との間に配置されている金属板であり、
前記受光部のうち前記第1方向と交差する方向を向く側面において前記遮光部と対向していない前記側面は前記裏蓋と対向し、
前記通過部は前記遮光部を向く内面が凹んでおり、
前記遮光部は前記通過部を向く側が前記内面に沿って突出していることを特徴とする生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報の1つである脈拍を測定する生体情報測定装置が知られている。この生体情報測定装置に用いられるフォトセンサーが特許文献1に開示されている。それによると、フォトセンサーは発光部としての発光素子及び受光部としての受光素子を備える。発光素子はLED(Light Emitting Diode)を備える。発光素子は透光性樹脂を通して生体に照射光を射出する。受光素子は、透光性樹脂を通って入射した反射光を電気信号である脈波信号に変換する。
【0003】
生体には血液が流動する血管がある。血管の脈動は心臓の動きと連動する。発光部が射出する光の一部を血液が吸収するので、受光部は血管の脈動を反映した反射光を受光する。つまり、受光部が受光する反射光の強度は血管の脈動を反映している。そして、脈波信号は血管の脈動を反映した信号になっている。
【0004】
発光素子が射出する照射光は透光性樹脂を通過して生体を照射する。生体で反射した反射光の一部は透光性樹脂を通過して受光素子を照射する。受光素子は照射される反射光を受光する。発光素子が射出する照射光は進行に伴って広がる。このため、発光素子と生体との距離が短い程、生体に照射される照射光の強度が強くなる。また、生体で反射した反射光も進行に伴って広がる。このため、生体と受光素子との距離が短い程、受光素子が受光する反射光の強度が強くなる。
【0005】
発光素子及び受光素子と生体との距離が短い程、受光素子が受光する反射光の強度を強くできる。そして、受光素子が受光する反射光の強度が強い程、ノイズに対する脈波信号の比率を高くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/094089号
【非特許文献】
【0007】
【文献】野川雅道ほか著、生体医工学 49巻 6号、公益社団法人 日本生体医工学会発行、2011年12月、P.968-976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のフォトセンサーでは発光素子と受光素子との間に遮光性樹脂の壁が配置されていた。遮光性樹脂の壁は発光素子が射出する照射光を遮光して受光素子を直接照射することを抑制する。遮光性樹脂は薄くすると遮光性が不足してしまうため、壁の厚みを厚くする必要があった。遮光性樹脂が厚いので、発光素子と受光素子との間の距離が長くなっていた。発光素子と受光素子との間の距離が長いときは短いときに比べて照射光の進行距離と反射光の進行距離との和の距離が長くなる。光の進行距離が長いと受光素子が受光する反射光の強度が小さくなる。受光素子が受光する反射光の強度が小さいと脈拍の検出精度が低下する。このように、発光素子と受光素子との間の距離が長いので脈拍の検出精度を向上させるには限界があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の生体情報測定装置は、生体に照射される照射光を射出する発光部と、前記照射光が前記生体で反射される反射光を受光する受光部と、前記照射光及び前記反射光が通過する通過部と、前記発光部から前記受光部に向かって進行する前記照射光を遮光する遮光部と、前記通過部を支持する不透明な裏蓋と、を備え、前記発光部から前記通過部に向かう第1方向からの平面視において、前記遮光部は前記発光部と前記受光部との間に配置されている金属板であり、前記受光部のうち前記第1方向と交差する方向を向く側面において前記遮光部と対向していない前記側面は前記裏蓋と対向することを特徴とする。
【0010】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記側面と前記裏蓋とが離れていることが好ましい。
【0011】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記側面と前記裏蓋とが接触していることが好ましい。
【0012】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記生体側では前記受光部と前記裏蓋の一部とが重なっていることが好ましい。
【0013】
上記の生体情報測定装置では、前記通過部は前記遮光部を向く内面が凹んでおり、前記遮光部は前記通過部を向く側が前記内面に沿って突出していることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態にかかわる生体情報測定装置の構成を示す概略斜視図。
図2】生体情報測定装置の装着状態を説明するための概略斜視図。
図3】生体情報測定装置の構造を示す模式平面図。
図4】生体情報測定装置の構造を示す模式側断面図。
図5】センサー部の構造を示す概略斜視図。
図6】光の進路を説明するための要部模式側断面図。
図7】光の進路を説明するための要部模式側断面図。
図8】受光部の構造を示す模式側断面図。
図9】血管の脈動を検出する方法を説明するための模式図。
図10】血管内外圧差と血管内容積の関係を説明するための図。
図11】血管内容積の経時変化を示す図。
図12】生体情報測定装置の電気制御ブロック図。
図13】第2の実施形態にかかわるセンサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図。
図14】センサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図。
図15】第3の実施形態にかかわるセンサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図。
図16】センサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図。
図17】第4の実施形態にかかわる生体情報測定装置の装着状態を説明するための模式図。
図18】生体情報測定装置の構成を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態では、血管の脈動を検出する生体情報測定装置の特徴的な例について、図1図12に従って説明する。図1は、生体情報測定装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、生体情報測定装置1は所定の厚みを有する箱状のケース2を備えている。ケース2の厚み方向の一方には裏蓋3が設置されている。裏蓋3には光が通過可能な通過部4が配置されている。ケース2の内部には発光部5及び受光部6を備えるセンサー部7等が配置されている。発光部5は生体に照射される照射光を射出する。照射光が生体内で反射した反射光を受光部6が受光する。
【0017】
ケース2の側面にはケース2を挟むように第1バンド8及び第2バンド9が配置されている。第1バンド8の一端には第1バンド8と第2バンド9とを連結する図示しない連結部が配置されている。図中発光部5から受光部6に向かう方向をX方向とする。第2バンド9から第1バンド8に向かう方向をY方向とする。ケース2から裏蓋3に向かう方向をZ方向とする。X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ直交する方向になっている。X方向と逆の方向を-X方向とする。Y方向と逆の方向を-Y方向とする。Z方向と逆の方向を-Z方向とする。
【0018】
生体情報測定装置1は無線通信を行う機能を備えている。そして、生体情報測定装置1は測定した脈拍データをスマートフォン11等の電子機器に無線通信にて送信する。そして、生体情報測定装置1が測定した脈拍データをスマートフォン11が表示する。
【0019】
図2は生体情報測定装置の装着状態を説明するための概略斜視図である。図2に示すように、人体の生体としての腕12に生体情報測定装置1が装着される。第1バンド8及び第2バンド9を腕12に巻いて連結部にて第1バンド8及び第2バンド9を連結する。このように、生体情報測定装置1は腕12に装着されて人体の生体情報を測定するウエアラブル機器である。生体情報測定装置1は脈波信号を検出し、脈拍数を演算する。尚、脈波信号は血管の脈動の圧変化または容積変化を観測したものである。脈拍数は1分間に含まれる脈波信号のピークの数である。
【0020】
裏蓋3が腕12と接触するように生体情報測定装置1が装着される。このとき、裏蓋3及び通過部4が腕12と接触する。ケース2の側面にはUSB(Universal Serial Bus)の外部コネクター13が配置されている。生体情報測定装置1は外部コネクター13を通じて充電される。
【0021】
図3は生体情報測定装置の構造を示す模式平面図であり、生体情報測定装置1を裏蓋3側から見た図である。図4は生体情報測定装置の構造を示す模式側断面図であり、図3のA-A線に沿う断面側から見た図である。図5はセンサー部の構造を示す概略斜視図である。
【0022】
図3から図5に示すように、通過部4の外形は円形である。通過部4はZ方向側の面がZ方向側に突出している。通過部4は-Z方向側の面がZ方向側に凹んでいる。従って、通過部4は板状になっている。裏蓋3は通過部4を-Z方向側から支持する。裏蓋3は不透明である。裏蓋3には発光部5及び受光部6のZ方向側に穴3bが配置されている。穴3bを覆って裏蓋3に通過部4がかぶせてあるので、穴3bは通過部4に塞がれている。通過部4は透明であり、穴3bを通して発光部5、受光部6及び遮光部15が見えるので、図3では発光部5、受光部6及び遮光部15が実線で示されている。
【0023】
ケース2、裏蓋3及び通過部4にて囲まれた内部の通過部4側にセンサー部7が配置されている。センサー部7は裏蓋3に支持されたセンサー基板14を備えている。センサー基板14はリジッド基板である。センサー基板14の通過部4側には発光部5、受光部6、遮光部15及び駆動部16が配置されている。
【0024】
発光部5は腕12に照射される照射光を射出する。発光部5は発光体5aとレンズ体5b等により構成されている。発光体5aはLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が樹脂によって封止されたLEDチップである。発光体5aは、発光素子が封止樹脂によって封止されていないベアチップであってもよい。発光体5aが射出する光は緑色光である。緑色光は肌の浅い部分で反射するので、細動脈を照射できる。尚、発光体5aが射出する光は緑色光以外の光であってもよい。
【0025】
レンズ体5bは照射光を腕12の所定の深さに集光させる。この所定の深さとは細動脈が存在する深さである。レンズ体5bの材質は光透過性があれば良く特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等を用いることができる。
【0026】
受光部6は照射光が腕12で反射される反射光を受光する。そして、反射光の受光光量を示す検出信号を受光部6が出力する。この検出信号が脈波信号である。受光部6は、詳しい図示を省略するが、PD(Photodiode)である受光素子が封止樹脂によって封止されたPDチップである。受光部6は、受光素子が樹脂によって封止されていないベアチップであってもよい。
【0027】
第1方向17からの平面視において受光部6は平面が長方形の板状の直方体である。-X方向を向く受光部6の側面を第1側面6eとする。第1側面6eは遮光部15と対向する。Y方向を向く受光部6の側面を第2側面6fとする。X方向を向く受光部6の側面を第3側面6gとする。-Y方向を向く受光部6の側面を第4側面6hとする。第1側面6e、第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hは受光部6のうち第1方向17と交差する方向を向く側面に相当する。遮光部15と対向していない第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hはそれぞれ裏蓋3の穴3bの側面と対向する。
【0028】
受光素子はシリコン基板側のn型半導体領域と、受光面側のp型半導体領域とを有する。p型半導体領域に十分に大きなエネルギーを持つ光が入射されると、光起電力効果によって電流を出力する。受光部6には反射光と略同じ波長の光を通過させて、反射光以外の光を通過させない波長制限フィルターが設けられている。
【0029】
遮光部15は発光部5と受光部6との間に配置されている。発光部5から通過部4に向かう方向を第1方向17とする。第1方向17はZ方向と同じ方向である。第1方向17からの平面視において、遮光部15は発光部5と受光部6との間に配置されている金属板である。遮光部15の材質は特に限定されないが本実施形態では、例えば、洋白を用いている。プレス機械により形成されている。遮光部15の表面には錫めっきが施されているので、センサー基板14にはんだにて接合し易くなっている。遮光部15は発光部5から受光部6に向かって進行する照射光を遮蔽する。発光部5から射出された照射光が腕12を介さずに受光部6に直接入射されてしまうことを遮光部15が抑制する。他にも、遮光部15は腕12で反射した反射光以外の迷光が受光部6に入射することを抑制する。遮光部15は光の反射を抑制する表面処理を施しても良い。
【0030】
駆動部16は発光部5及び受光部6を駆動する回路である。駆動部16は発光部5に供給する電力を制御する。そして、電力の供給の開始及び停止を制御する。さらに、駆動部16はAFE(Analog Front End)として機能する。受光部6が出力する電気信号を駆動部16が増幅する。そして、駆動部16はフィルターを備え、フィルターは増幅した電気信号に含まれるノイズを除去する。さらに、駆動部16はADC(Analog Digtal converter)を備えており、ADCはアナログの電気信号をデジタルデータの電気信号に変換して出力する。
【0031】
センサー基板14のケース2側の面には第1コネクター18が配置されている。センサー基板14のケース2側にはメイン基板19が配置されている。メイン基板19のセンサー基板14側の面には第2コネクター21が配置されている。第2コネクター21と第1コネクター18とが電気的に接続されている。
【0032】
メイン基板19の両面にはCPU、メモリー、チップ抵抗、チップコンデンサー、アンテナ等の電気素子22が実装されている。メイン基板19にはセンサー基板14から反射光の受光光量を示す検出信号が入力される。そして、メイン基板19は脈拍数を演算する。そして、メイン基板19は脈拍数のデータを無線通信にて送信する。
【0033】
メイン基板19のケース2側には2次電池23が配置されている。2次電池23は外部コネクター13から供給される電力を蓄電する。そして、センサー基板14及びメイン基板19に電力を供給する。2次電池23にはリチウム電池が用いられている。
【0034】
通過部4は光透過性を有する。従って、発光部5が射出する照射光は通過部4を通過する。そして、腕12にて反射する反射光も通過部4を通過する。通過部4の第1方向17側の部分を外面部4aとする。外面部4aは腕12と接触する。また、裏蓋3が腕12と接触する面を接触面3aとする。外面部4aは接触面3aより第1方向17に突出する凸面である。
【0035】
通過部4において外面部4aとは表裏の関係にある部分を内面としての内面部4bとする。第1方向17と直交する方向の1つを第2方向25とする。第2方向25は発光部5から受光部6に向かう方向とする。第2方向25はX方向と同じ方向である。第2方向25から見た断面視において内面部4bは凹面になっている。
【0036】
外面部4aはドーム状をなした球面である。通過部4の断面では円弧であり、内面部4bは外面部4aより一回り小さな同心円の円弧形状となっており、肉厚は均一となっている。通過部4の内面部4b側が空間となっているため、遮光部15を外面部4aの近くまで配置できる。
【0037】
発光部5及び受光部6は裏蓋3の穴3bに収納されている。発光部5の一部は接触面3aより第1方向17に突出している。通過部4の内面部4b側が空間となっているため、発光部5を外面部4aの近くまで配置できる。発光部5と腕12との間の距離が短いため、腕12は強い照射光を受けることができる。
【0038】
図6及び図7は光の進路を説明するための要部模式側断面図である。図6図3のB-B線に沿う断面側から見た図である。図7図3のA-A線に沿う断面側から見た図である。図6及び図7に示すように、第1方向17からの平面視における発光部5の中心5dを通る中心線を発光部中心線5cとする。発光部5の中心5dは第1方向17からの平面視における図形の重心である。第1方向17からの平面視において、受光部6の中心6dを通る中心線を受光部中心線6cとする。受光部6の中心6dは第1方向17からの平面視における図形の重心である。さらに、第1方向17からの平面視において、外面部4aの頂点4gを通り第1方向17に延びる線を頂点指示線4fとする。外面部4aの頂点4gは外面部4aのうち最も第1方向17に突出する点を示す。
【0039】
発光部中心線5cと頂点指示線4fとの間の距離を第1距離26とする。受光部中心線6cと頂点指示線4fとの間の距離を第2距離27とする。このとき、第1距離26と第2距離27とは同じ距離になっている。
【0040】
外面部4aの頂点4gは腕12を強く加圧する。加圧された場所では血管の脈動の変化が大きくなる。従って、腕12の頂点指示線4f上の部分で血管の脈動の変化が大きくなる。発光部5の発光部中心線5cと受光部6の受光部中心線6cの中間を通る第1方向17の線を中間線28とする。中間線28は頂点指示線4fと重なる。中間線28及び頂点指示線4fの第1方向17における腕12の内部を被測定部29とする。
【0041】
発光部5が射出する照射光31が腕12の内部に進行する。そして、腕12の内部で反射した反射光32の一部が受光部6に向かって進行する。発光部5から被測定部29までの距離と被測定部29から受光部6までの距離を加算した距離を第1距離とする。第1方向17から見た平面視で、被測定部29以外の任意の部分を参照部とする。そして、発光部5から参照部までの距離と参照部から受光部6までの距離を加算した距離を第2距離とする。このとき、第1距離は第2距離より短い。発光部5から受光部6の間で光の進行する距離が短い程、受光部6は強い光を受光する。
【0042】
従って、被測定部29は生体情報測定装置1が血管の脈動の変化を感度良く測定できる場所である。外面部4aの頂点4gは被測定部29を加圧するので、生体情報測定装置1は血管の脈動の変化が大きい場所を感度良く測定できる。そして、運動中等において腕12の表面に沿って生体情報測定装置1の外面部4aが移動するときにも、センサー部7は外面部4aが押圧する被測定部29の血管の脈動を測定する。つまり、生体情報測定装置1は血管の脈動の変化が大きい場所を感度良く測定する。従って、生体情報測定装置1は血管の脈動を安定して測定できる。
【0043】
照射光31の強度変化は脈拍を反映していないので、受光部6が照射光31を受光してもノイズ成分になる。受光部6が照射光31を受光しないときの方が脈拍の検出精度が良くなる。照射光31の一部は腕12を通過せずに受光部6に向かって進行する。遮光部15は発光部5と受光部6との間に配置されている。受光部6に向かって進行する照射光31を遮光部15が遮る。遮光部15は照射光31が受光部6に受光されることを抑制する。
【0044】
受光部6が受光する反射光32の強度が強い方が弱いときより脈拍の検出精度が高い。発光部5と被測定部29との距離が短い程、被測定部29に強い強度の照射光31が照射される。受光部6と被測定部29との距離が短い程、強い強度の反射光32が受光部6に受光される。
【0045】
発光部5、被測定部29、受光部6を頂点とする三角形において、発光部5と被測定部29との間の距離が照射光31の進行距離である。受光部6と被測定部29との間の距離が反射光32の進行距離である。発光部5と受光部6との間の距離が短いときは長い時に比べて第1距離を短くできる。照射光31及び反射光32は収束性がないので第1距離が短い程、受光部6は強い強度の反射光32を受光する。
【0046】
遮光部15は金属板なので薄くしても剛性を有し、確実に光を遮ることができる。従って、発光部5と受光部6との間の距離を短くできるので生体情報測定装置1は精度良く脈拍を検出できる。
【0047】
受光部6のうち第1方向17と交差する方向を向く側面において遮光部15と対向していない第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hは裏蓋3と対向する。通過部4は曲面を有する板状である。照射光31の一部は通過部4の内部で内部反射をする。通過部4の内部で内部反射する光は迷光である。迷光の一部は受光部6に向かって進行する。裏蓋3は不透明であり、受光部6に向かって進行する迷光の一部を裏蓋3が遮ることができる。
【0048】
図6におけるY方向の通過部4の内部から受光部6に向かって進行する迷光は裏蓋3を照射するので、受光部6に到達しない。-Y方向の通過部4の内部から受光部6に向かって進行する迷光も裏蓋3を照射するので、受光部6に到達しない。図7におけるX方向の通過部4の内部から受光部6に向かって進行する迷光は裏蓋3を照射するので、受光部6に到達しない。
【0049】
図6及び図7に示すように、他にも、裏蓋3は被測定部29から離れた場所から受光部6に向かって進行する反射光32を遮ることができる。受光部6はノイズ成分になる迷光の受光を抑制できるので生体情報測定装置1は精度良く脈拍を検出できる。
【0050】
図6に示すように、通過部4は遮光部15を向く内面部4bが凹んでいる。遮光部15は通過部4を向く側が内面部4bに沿って突出している。例えば、通過部4を向く側の遮光部15が平のときや凹んでいるときに比べて、通過部4と遮光部15との間の隙間を狭くできる。従って、通過部4で反射し通過部4と遮光部15との間の隙間を通過する迷光を受光部6が受光することを抑制できる。
【0051】
図6及び図7に示すように、第1方向17からの平面視において、受光部6の第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hと裏蓋3とが離れている。受光部6の第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hと裏蓋3との間に隙間があるので、受光部6と裏蓋3とを容易に組み立てることができる。
【0052】
図8は受光部の構造を示す模式側断面図である。図8に示すように、受光部6はシリコン基板33を備えている。シリコン基板33はP型基板である。シリコン基板33の内部には第1方向17側にN型拡散層34とP型拡散層35とが平面方向に交互に配置されている。そして、N型拡散層34とシリコン基板33との間のpn接合によりフォトダイオード36が形成される。さらに、N型拡散層34とP型拡散層35との間のpn接合によりフォトダイオードが形成される。N型拡散層34がフォトダイオードのカソードになり、P型拡散層35及びシリコン基板33がアノードになる。
【0053】
シリコン基板33の第1方向17側には角度制限フィルター37が配置されている。角度制限フィルター37には第2方向25に遮光物38が等間隔に配置されている。遮光物38は第2方向25が薄い膜である。遮光物38の材質にはアルミニウムやタングステン等が用いられる。遮光物38の間には透光物41が配置されている。透光物41の材質はフォトダイオード36が受光する波長の反射光32を通過できれば良い。本実施形態では、例えば、透光物41の材質に2酸化シリコンを用いている。
【0054】
角度制限フィルター37にはN型拡散層34と電気的に接続する第1配線42が配置されている。さらに、P型拡散層35と電気的に接続する第2配線43が配置されている。第1配線42及び第2配線43において第1方向17に長い部分にはタングステンが用いられている。第1配線42及び第2配線43において第2方向25に長い部分にはアルミニウムが用いられている。
【0055】
遮光物38に到達する反射光32は光の強さが減衰するので、強い強度の反射光32がフォトダイオード36に到達する角度は制限角度46内に制限される。透光物41の第1方向17の長さを第1長さ44とする。透光物41の第2方向25の長さを第2長さ45とする。そして、反射光32を制限する制限角度46はarctan(第2長さ45/第1長さ44)になる。第1長さ44及び第2長さ45を設定することにより制限角度46が設定される。本実施形態では、例えば、第1長さ44が5μmであり、第2長さ45が3μmである。このとき、制限角度46は31°である。
【0056】
角度制限フィルター37の第1方向17側には保護膜47が配置されている。保護膜47の材質には透光物41と同じ2酸化シリコンが用いられる。
【0057】
保護膜47の第1方向17側にはバンドパスフィルター48が配置されている。バンドパスフィルター48は、保護膜47の上に形成されたロングパスフィルター51と、ロングパスフィルター51の上に形成されたショートパスフィルター52により構成される。ロングパスフィルター51は長波長側の光を通過して短波長側の光を減衰する機能を持ったフィルターである。ショートパスフィルター52は短波長側の光を通過して長波長側の光を減衰する機能を持ったフィルターである。本実施形態では、例えば、波長が500nm~600nmの光をバンドパスフィルター48が通過させている。ロングパスフィルター51とショートパスフィルター52は薄膜が積層された薄膜フィルターである。尚、ロングパスフィルター51とショートパスフィルター52の第1方向17の位置は入れ替わってもよい。
【0058】
受光部6の概略の製造方法を説明する。まずフォトダイオード36を形成する。フォトダイオード36はP型基板であるシリコン基板33上にN型拡散層34及びP型拡散層35を形成する。N型拡散層34はシリコン基板33の所定のパターンにリンやヒ素等のV族の元素を注入して形成される。P型拡散層35はシリコン基板33の所定のパターンにボロン等のIII族の元素が注入されて形成される。
【0059】
次に、角度制限フィルター37を形成する。まず、ステップ1にて2酸化シリコンの膜をスパッタリング法にて成膜する。次に、ステップ2にてフォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて穴を形成する。次に、ステップ3にて、この穴の中及び2酸化シリコンの膜上に、スパッタリング法を用いてアルミニウムまたはタングステンの金属膜を配置する。そして、ステップ4にてCMP(chemical mechanical polishing)により2酸化シリコンの膜を平坦にする。
【0060】
以上のステップ1からステップ4を繰り返して遮光物38及び透光物41を形成する。第1配線42及び第2配線43においてシリコン基板33の平面方向の配線を形成するときにはステップ3で形成した金属膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて形成する。そして、ステップ1に移行する。このようにして、角度制限フィルター37が形成される。角度制限フィルター37に重ねて保護膜47を形成する。保護膜47は2酸化シリコンの膜をスパッタリング法にて成膜する。
【0061】
次に、保護膜47に重ねてバンドパスフィルター48を形成する。そして、保護膜47に異方性ドライエッチング及びCMPによる研磨を行い傾斜構造体の傾斜面を形成する。次に、チタン酸化膜のスパッタリングと2酸化シリコン膜のスパッタリングとを交互に行い、傾斜面に多層薄膜を形成する。チタン酸化膜は高屈折率の薄膜であり、2酸化シリコン膜は低屈折率の薄膜である。ロングパスフィルター51及びショートパスフィルター52の光学特性に合わせてチタン酸化膜の膜厚及び2酸化シリコン膜の膜厚を調整する。以上の工程により受光部6が完成する。
【0062】
図9は血管の脈動を検出する方法を説明するための模式図である。図9に示すように、腕12の内部に細動脈の血管53が配置されている。血管53の内部には血液54が流れている。血液54の拍出により血管53の膨らみが伝播する。所定の長さの血管53内の血液54の体積を血管内容積とする。血管内容積は血管53において血液54が流れる領域の断面積と比例する。血管53が膨らむとき血管内容積が大きくなり、血管53が縮むとき血管内容積が小さくなる。心臓の動きと同期して血管内容積が変動する。心臓の動きは血管の脈動と連動するので、血管内容積の変動は血管の脈動と連動する。
【0063】
発光部5から射出された照射光31の一部は血液54内のヘモグロビンに吸収される。ヘモグロビンに吸収されない照射光31の一部が反射光32として受光部6に受光される。血管内容積が大きくなると、射出される照射光31に対するヘモグロビンに吸収される照射光31の比率が大きくなる。血管内容積が大きくなると、受光部6に受光される反射光32が小さくなる。従って、受光部6が受光する反射光32の光強度は血管内容積の変動と連動する。
【0064】
非特許文献1には血管53に加える圧力と血管内容積の変動の関係の情報が開示されている。それによると、血管53に対して血圧に近い圧力を印加すると血管内容積の変動が大きくなる。図10は血管内外圧差と血管内容積の関係を説明するための図である。図10において、横軸は血管内外圧差を示す。血管内外圧差は“血管内部の平均圧力”から“血管に外側から加えられる圧力”を減算したものである。横軸の図中左側は右側より血管53に外側から加える圧力が高くなっている。通過部4の外面部4aが腕12から離れているとき、血管内外圧差は横軸の図中右側の状態になる。通過部4の外面部4aが腕12を押圧するとき、血管内外圧差は横軸の“0”に近い状態になる。血管内外圧差は横軸の“0”の状態は、血管53内の血圧の平均値と通過部4の外面部4aが血管53に加える圧力とが同じ状態である。
【0065】
縦軸は血管内容積を示し、図中上側は下側より血管内容積が大きくなっている。圧容積曲線55は血管内外圧差と血管内容積との関係を示す。圧容積曲線55の変化率は圧容積曲線55の傾きを示す。圧容積曲線55の傾きが大きいとき血管内容積の変化率が大きく、圧容積曲線55の傾きが小さいとき血管内容積の変化率が小さい。血管内外圧差が“0”のとき血管内容積の変化率が大きく、血管内外圧差が“0”から離れるに従い血管内容積の変化率が小さくなっている。
【0066】
接触面3aが腕12と接触し通過部4の外面部4aが腕12を押圧するときの血管内外圧差の変動を第1圧力変動56とする。第1圧力変動56の幅は拍出により変化する血管内外圧差を示す。第1圧力変動56は血管内外圧差が“0”の付近で変動する。そして、第1圧力変動56に対応する血管内容積を第1容積変動57とする。
【0067】
接触面3aが腕12と離れたときの血管内外圧差の変動を第2圧力変動58とする。第1圧力変動56と第2圧力変動58との変動圧差の幅は同じである。第2圧力変動58では血管53が通過部4の外面部4aに押圧されていないので、第2圧力変動58は第1圧力変動56より図中右側になっている。そして、第2圧力変動58に対応する血管内容積を第2容積変動61とする。
【0068】
第1圧力変動56における圧容積曲線55の傾きは第2圧力変動58における圧容積曲線55の傾きより急になっている。つまり、圧容積曲線55の変化率が大きくなっている。このため、第1容積変動57の変動幅は第2容積変動61の変動幅より大きくなる。
【0069】
図11は血管内容積の経時変化を示す図である。図11の横軸は時間の経過を示し、時間は図中左側から右側へ推移する。縦軸は血管内容積を示し、図中上側は下側より血管内容積が大きくなっている。第1波形62は第1容積変動57に対応する波形であり、第2波形63は第2容積変動61に対応する波形である。第1波形62と第2波形63との波形は相似形である。そして、血管内容積のピークは第1波形62が第2波形63より大きくなっている。従って、通過部4の外面部4aが腕12を押圧して血管53に適正が圧力を加えることにより、変化する血管内容積の振幅が大きくなる。このとき、センサー部7は血管53の脈動を検出し易くなる。
【0070】
図12は生体情報測定装置の電気制御ブロック図である。図12において、生体情報測定装置1は生体情報測定装置1の動作を制御する制御部64を備えている。そして、制御部64は各種の演算処理を行う信号処理部65と、各種情報を記憶する記憶部66を備えている。信号処理部65にはセンサー部7及び通信部67が接続されている。
【0071】
通信部67は無線通信を行うための変調回路や復調回路を備えている。そして、通信部67にはアンテナ68が接続されている。通信部67はスマートフォン11等の端末装置との間で、例えば、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信の通信処理を行う。具体的には通信部67はアンテナ68からの信号の受信処理やアンテナ68への信号の送信処理を行う。通信部67の機能は通信用のプロセッサー或いはASIC(application specific integrated circuit)等の論理回路により実現できる。信号処理部65が演算した脈拍数等の脈拍情報を通信部67がアンテナ68からスマートフォン11へ無線通信する。
【0072】
操作者はスマートフォン11を操作して生体情報測定装置1の動作の設定や指示を行う。そして、スマートフォン11は生体情報測定装置1に指示情報を送信する。通信部67はスマートフォン11から指示情報を受信する。従って、生体情報測定装置1への動作指示や生体情報測定装置1が検出した脈波や脈拍数のデータの表示をスマートフォン11が行う。
【0073】
記憶部66は、RAM、ROM等といった半導体メモリーで構成される。記憶部66は生体情報測定装置1の動作の制御手順や脈波の演算手順が記述されたプログラムを記憶する。他にも、記憶部66はセンサー部7が出力する脈波信号のデータを記憶する。他にも、信号処理部65が動作するためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域を備える。
【0074】
信号処理部65は、例えば、記憶部66をワークエリアとして、各種の信号処理や制御処理を行うものである。例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー或いはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の論理回路により信号処理部65が実現される。
【0075】
信号処理部65は脈波演算部71を有する。脈波演算部71はセンサー部7から脈波信号のデータを入力して脈拍情報の演算処理を行う。脈拍情報は例えば脈拍数等の情報である。具体的には、脈波演算部71は脈波信号に対してFFT(fast Fourier transform)等の周波数解析処理を行って脈波信号のスペクトルを求める。求めたスペクトルにおいて強度が大きい周波数を60倍にして脈拍数を算出する。尚、脈拍情報は脈拍数そのものには限定されず、例えば、脈波の周波数や周期等でもよい。他にも、脈拍情報は脈拍数の経時変化のデータを含んでも良い。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、生体情報測定装置の一実施形態について図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14はセンサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図である。図13図3のB-B線に沿う断面側から見た図に相当する。図14図3のA-A線に沿う断面側から見た図に相当する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、センサー部7と裏蓋3との間の隙間が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0077】
すなわち、本実施形態では、図13及び図14に示すように、生体情報測定装置75は裏蓋76を備えている。裏蓋76には発光部5及び受光部6のZ方向側に穴76bが配置されている。穴76bは通過部4に塞がれている。第1方向17からの平面視において、穴76bでは受光部6の第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hと裏蓋76とが接触している。
【0078】
受光部6及び裏蓋76の形状を精度良く形成して受光部6と裏蓋76とを組み立てる。裏蓋76は不透明であり、受光部6に向かって進行する迷光の一部を裏蓋76が遮ることができる。裏蓋76は受光部6と接触して配置されているので、裏蓋76は受光部6との間に隙間があるときに比べて、受光部6が迷光を受光することを裏蓋76が抑制できる。他にも、裏蓋76は被測定部29から離れた場所から受光部6に向かって進行する反射光32を遮ることができる。裏蓋76は受光部6の第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hと接触して配置されているので、裏蓋76は受光部6の第2側面6f、第3側面6g及び第4側面6hとの間に隙間があるときに比べて、受光部6が不要な反射光32を受光することを裏蓋76が抑制できる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、生体情報測定装置の一実施形態について図15及び図16を用いて説明する。図15及び図16はセンサー部及び裏蓋の構成を示す要部模式側断面図である。図15図3のB-B線に沿う断面側から見た図に相当する。図16図3のA-A線に沿う断面側から見た図に相当する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、受光部6の第1方向17では受光部6と裏蓋の一部が重なっている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0080】
すなわち、本実施形態では、図15及び図16に示すように、生体情報測定装置80は裏蓋81を備えている。裏蓋81には発光部5及び受光部6のZ方向側に穴81bが配置されている。穴81bは通過部4に塞がれている。第1方向17からの平面視において、受光部6の腕12側では受光部6と裏蓋81の一部とが重なっている。重なっている場所は受光部6の外周側である。
【0081】
そして、裏蓋81は不透明であり、受光部6に向かって進行する迷光の一部を裏蓋81が遮ることができる。受光部6の腕12側では裏蓋81の一部が受光部6側に突出している。裏蓋81の突出した部分に照射される迷光を裏蓋81が吸収する。従って、受光部6が迷光を受光することを裏蓋81が抑制できる。他にも、第1方向17に対して斜めに進行する反射光32の一部は裏蓋81に遮光される。他にも、太陽や蛍光灯等から射出される外来光を受光部6が受光することを裏蓋81が抑制できる。裏蓋81は被測定部29から離れた場所から受光部6に向かって進行する反射光32を遮ることができる。従って、受光部6が不要な反射光32を受光することを裏蓋81が抑制できる。
【0082】
(第4の実施形態)
次に、生体情報測定装置の一実施形態について図17及び図18を用いて説明する。図17は生体情報測定装置の装着状態を説明するための模式図である。図18は、生体情報測定装置の構成を示す概略斜視図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、生体情報測定装置が表示部を備えている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0083】
図17に示すように、生体情報測定装置85の外観は時計と類似する。生体情報測定装置85はユーザーの腕12に装着され、脈波情報等の生体情報を検出する。生体情報測定装置85はケース86、第1バンド87及び第2バンド88を有する。第1バンド87及び第2バンド88はケース86をユーザーに装着する。尚、生体情報測定装置85が腕12に装着する時計タイプの脈拍計である場合を例にとり説明する。この例に限定されない。例えば、生体情報測定装置85は指、上腕、胸等に装着されて生体情報を検出するものであってもよい。また、生体情報測定装置85の検出対象となる生体情報も、脈波には限定されない。例えば、生体情報測定装置85は脈波以外の、血液中の酸素飽和度、体温、心拍、血圧等を検出する装置であってもよい。
【0084】
ケース86にはLCD(Liquid Crystal Display)等の第1表示部89が設けられている。第1表示部89には脈拍数や消費カロリーや時間等の各種情報が表示される。生体情報測定装置85はスマートフォン11と通信接続され、データのやり取りが行われる。スマートフォン11はLCD等の第2表示部11aを備える。スマートフォン11の第2表示部11aに、脈拍数や消費カロリー等の各種の情報が表示されきる。尚脈拍数や消費カロリー等の情報の演算処理を生体情報測定装置85が実行してもよいし、少なくとも一部の演算処理をスマートフォン11が実行してもよい。
【0085】
図18に示すように、第1表示部89と反対側のケース86には裏蓋90が設置されている。裏蓋90の中央には光が通過可能な通過部91が配置されている。ケース86の内部には発光部5、受光部6及び遮光部15を備えるセンサー部7等が配置されている。裏蓋90には発光部5及び受光部6と対向する場所に穴90bが配置されている。穴90bは通過部91に塞がれている。通過部91が透明であり穴90bを通して発光部5、受光部6及び遮光部15が見えるので、図18では発光部5、受光部6及び遮光部15が実線で示されている。
【0086】
第1方向17からの平面視において、遮光部15は発光部5と受光部6との間に配置されている金属板である。受光部6のうち第1方向17と交差する方向を向く側面において遮光部15と対向していない側面は裏蓋90と対向する。
【0087】
生体情報測定装置85においても遮光部15は金属板なので薄くしても剛性を有し、確実に光を遮ることができる。従って、発光部5と受光部6との間の距離を短くできるので生体情報測定装置85は精度良く脈拍を検出できる。受光部6に向かって進行する迷光の一部を裏蓋90が遮ることができる。他にも、裏蓋90は被測定部29から離れた場所から受光部6に向かって進行する反射光32を遮ることができる。
【0088】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、遮光部15は通過部4を向く側が突出していた。通過部4の遮光部15を向く側の内面部4bが平面のときには、遮光部15は通過部4を向く側が平面でもよい。通過部4の遮光部15を向く側の内面部4bが突出するときには、遮光部15は通過部4を向く側が凹んでもよい。遮光部15の形状は通過部4の形状に対応する形状にしても良い。
【0089】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、生体情報測定装置1が人体の腕12に装着された。生体情報測定装置1は腕12以外に装着されても良い。例えば、生体情報測定装置85は指、上腕、胸等に装着されて生体情報を検出するものであってもよい。人体以外の動物に生体情報測定装置1が装着されても良い。また、生体情報測定装置1の検出対象となる生体情報も、脈波には限定されない。例えば、生体情報測定装置1は脈波以外の、血液中の酸素飽和度、体温、心拍、血圧等を検出する装置であってもよい。
【0090】
以下に、実施形態から導きだされる内容を記載する。
【0091】
生体情報測定装置は、生体に照射される照射光を射出する発光部と、前記照射光が前記生体で反射される反射光を受光する受光部と、前記照射光及び前記反射光が通過する通過部と、前記発光部から前記受光部に向かって進行する前記照射光を遮光する遮光部と、前記通過部を支持する不透明な裏蓋と、を備え、前記発光部から前記通過部に向かう第1方向からの平面視において、前記遮光部は前記発光部と前記受光部との間に配置されている金属板であり、前記受光部のうち前記第1方向と交差する方向を向く側面において前記遮光部と対向していない前記側面は前記裏蓋と対向することを特徴とする。
【0092】
この構成によれば、生体情報測定装置は発光部及び受光部を備えている。発光部は生体に向けて照射光を射出する。発光部と生体との間には通過部が配置されている。照射光は通過部を通過して生体に向かって進行する。生体に向かって進行する照射光は生体で反射する。生体で反射する反射光の一部は受光部に向かって進行する。受光部と生体との間には通過部が配置されている。反射光は通過部を通過して受光部に向かって進行する。受光部は反射光を受光する。
【0093】
生体の血管では血液が照射光の一部を吸収する。血管では血液が脈流になっているので反射光は血液の脈流を反映した強度の経時変化を有する。生体情報測定装置は反射光を測定することにより血管の脈動を検出する。照射光は脈拍を反映した強度の経時変化を有していないので受光部が照射光を受光してもノイズ成分になる。受光部が照射光を受光しないときの方が脈拍の検出精度が良くなる。
【0094】
照射光の一部は受光部に向かって進行する。遮光部は発光部と受光部との間に配置されている。受光部に向かって進行する照射光を遮光部が遮る。遮光部は照射光が受光部に受光されることを抑制する。照射光の一部は通過部の内部で内部反射をする。通過部の内部で内部反射する光を迷光という。迷光の一部は受光部に向かって進行する。遮光部と対向していない受光部の側面と裏蓋とが対向している。そして、裏蓋は不透明であり、受光部に向かって進行する迷光の一部を裏蓋が遮る。受光部はノイズ成分になる迷光の受光を抑制できるので生体情報測定装置は精度良く脈拍を検出できる。
【0095】
受光部が受光する反射光の強度が強い方が弱いときより脈拍の検出精度が高い。発光部と生体との距離が短い程、生体に強い強度の照射光が照射される。受光部と生体との距離が短い程、強い強度の反射光が受光される。
【0096】
発光部、生体、受光部を頂点とする三角形において、発光部と生体との間の距離が照射光の進行距離である。受光部と生体との間の距離が反射光の進行距離である。発光部と受光部との間の距離が短いときは長い時に比べて照射光の進行距離と反射光の進行距離との和の距離を短くできる。照射光及び反射光は収束性がないので照射光及び反射光の進行距離が短い程、受光部は強い強度の反射光を受光する。
【0097】
遮光部は金属板なので薄くしても剛性を有し、確実に光を遮ることができる。従って、発光部と受光部との間の距離を短くできるので生体情報測定装置は精度良く脈拍を検出できる。
【0098】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記側面と前記裏蓋とが離れていることが好ましい。
【0099】
この構成によれば、受光部の側面と裏蓋とが離れている。つまり、受光部の側面と裏蓋との間に隙間があるので、受光部と裏蓋とを容易に組み立てることができる。
【0100】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記側面と前記裏蓋とが接触していることが好ましい。
【0101】
この構成によれば、受光部の側面と裏蓋とが接触している。受光部及び裏蓋の形状を精度良く形成できるときには受光部と裏蓋とを組み立てられる。裏蓋は受光部と近い場所に配置されているので、受光部が迷光を受光することを裏蓋が抑制できる。
【0102】
上記の生体情報測定装置では、前記第1方向からの平面視において、前記受光部の前記生体側では前記受光部と前記裏蓋の一部とが重なっていることが好ましい。
【0103】
この構成によれば、受光部の生体側では裏蓋の一部が受光部側に突出している。裏蓋の一部に照射される迷光を裏蓋が吸収する。従って、受光部が迷光を受光することを裏蓋が抑制できる。
【0104】
上記の生体情報測定装置では、前記通過部は前記遮光部を向く内面が凹んでおり、前記遮光部は前記通過部を向く側が前記内面に沿って突出していることが好ましい。
【0105】
この構成によれば、遮光部は発光部と受光部との間に配置されている。発光部及び受光部の生体側に通過部が配置されている。従って、遮光部の生体側には通過部が配置されている。通過部は遮光部を向く内面が凹んでいる。遮光部は通過部を向く側が内面に沿って突出している。このとき、通過部を向く側の遮光部が平または凹んでいるときに比べて、通過部と遮光部との間の隙間を狭くできる。従って、通過部で反射し通過部と遮光部との間の隙間を通過する迷光を受光部が受光することを抑制できる。
【符号の説明】
【0106】
1,75,80,85…生体情報測定装置、3,76,81,90…裏蓋、4,91…通過部、5…発光部、6…受光部、6e…側面としての第1側面、6f…側面としての第2側面、6g…側面としての第3側面、6h…側面としての第4側面、12…生体としての腕、15…遮光部、17…第1方向、31…照射光、32…反射光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18