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特許7395860ニードルグリッパーおよびアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ニードルグリッパーおよびアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B25J 7/00 20060101AFI20231205BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B25J7/00
B25J15/08 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019130167
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021013991
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】田口 俊文
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/103725(WO,A1)
【文献】特開昭63-240772(JP,A)
【文献】特開2002-103298(JP,A)
【文献】特開2004-358601(JP,A)
【文献】特開2008-021657(JP,A)
【文献】特開2006-205344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を挟持する2本のニードルと、
互いに離間しており前記2本のニードルの基端部がそれぞれ固定される2つの第1のアームと、前記2つの第1のアームが連結された連結部を有し、前記ニードルを保持する保持部と、
前記保持部を弾性変形させて、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる単一の圧電素子を有し、
前記保持部は、前記連結部に連結された2つの第2のアームを有し、
前記圧電素子は、前記2つの第2のアームの間に配置されており、前記圧電素子の伸縮方向は前記連結部に対して前記第2のアームが延びる方向に直交し、前記圧電素子が前記第2のアームの間隔を変化させることにより、前記2つの第1のアームの間隔を変化させ、
前記圧電素子の伸縮方向の両端面は平坦であり、
前記圧電素子と各第2のアームの間に断面円形のピンが配置され、各第2のアームには前記ピンが嵌め込まれる溝が形成され、前記ピンは前記圧電素子の伸縮方向の両端面に接触することを特徴とするニードルグリッパー。
【請求項2】
物品を挟持する2本のニードルと、
互いに離間しており前記2本のニードルの基端部がそれぞれ固定される2つの第1のアームと、前記2つの第1のアームが連結された連結部を有し、前記ニードルを保持する保持部と、
前記保持部を弾性変形させて、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる単一の圧電素子を有し、
前記保持部は、前記連結部に連結された2つの第2のアームを有し、
前記圧電素子は、前記2つの第2のアームの間に配置されており、前記圧電素子の伸縮方向は前記連結部に対して前記第2のアームが延びる方向に直交し、前記圧電素子が前記第2のアームの間隔を変化させることにより、前記2つの第1のアームの間隔を変化させ、
前記圧電素子の周囲には弾性材料から形成された少なくとも1つのリングが巻かれており、前記リングの外周面が前記連結部に接触している
ことを特徴とするニードルグリッパー。
【請求項3】
前記2つの第2のアームは、前記連結部から前記2つの第1のアームが延びる方向と反対方向に延びている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のニードルグリッパー。
【請求項4】
前記ニードルグリッパーを操作する操作機に取り付けられる取付け軸をさらに有し、
前記取付け軸は前記保持部の前記連結部に固定されており、
前記リングの外周面が前記取付け軸に接触している
ことを特徴とする請求項2に記載のニードルグリッパー。
【請求項5】
前記取付け軸と前記連結部が挟まれる2枚の平板をさらに有し、
前記取付け軸は前記2枚の平板に固定され、
前記連結部は前記2枚の平板に固定され、
前記圧電素子は前記2枚の平板で覆われ、前記リングの外周面が前記2枚の平板に接触している
ことを特徴とする請求項4に記載のニードルグリッパー。
【請求項6】
物品を挟持する2本のニードルと、
互いに離間しており前記2本のニードルの基端部がそれぞれ固定される2つの第1のアームと、前記2つの第1のアームが連結された連結部を有し、前記ニードルを保持する保持部と、
前記保持部を弾性変形させて、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる単一の圧電素子を有し、
前記保持部は、前記連結部と前記連結部から延びる2つのアーム部を有するフレームと、前記2つのアーム部にそれぞれ取り付けられる剛性材料から形成された2つの固定板を有し、
前記第1のアームの各々は、前記アーム部と前記固定板を有し、
前記ニードルの各々の基端部は、前記アーム部と前記固定板の間に挟持されて固定されており、
前記第1のアームには、前記ニードルの前記基端部に接触して、前記ニードルの前記第1のアームからの突出長さを調整するための第1の調整機構が設けられている
ことを特徴とするニードルグリッパー。
【請求項7】
前記アーム部または前記固定板には、貫通する第1の調整ネジ孔が形成されており、
前記第1の調整機構は、前記第1の調整ネジ孔にねじ込まれる第1の調整ネジを有し、前記第1の調整ネジの端部に前記ニードルの前記基端部の端面に接触する傾斜面が形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のニードルグリッパー。
【請求項8】
物品を挟持する2本のニードルと、
互いに離間しており前記2本のニードルの基端部がそれぞれ固定される2つの第1のアームと、前記2つの第1のアームが連結された連結部を有し、前記ニードルを保持する保持部と、
前記保持部を弾性変形させて、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる単一の圧電素子を有し、
前記保持部は、前記連結部と前記連結部から延びる2つのアーム部を有するフレームと、前記2つのアーム部にそれぞれ取り付けられる2つの固定板を有し、
前記第1のアームの各々は、前記アーム部と前記固定板を有し、
前記ニードルの各々の基端部は、前記アーム部と前記固定板の間に挟持されて固定されており、
前記保持部は、前記連結部に対する前記第1のアームの撓みを調整し、前記フレームと前記固定板の厚さ方向における前記ニードルの先端部の位置を調整するための第2の調整機構を有する
ことを特徴とするニードルグリッパー。
【請求項9】
前記保持部は、前記連結部から延びて、前記2つのアーム部にそれぞれ対面する2つのブロック部を有し、
前記ブロック部には、貫通する第2の調整ネジ孔が形成されており、
前記第2の調整機構は、前記第2の調整ネジ孔にねじ込まれる第2の調整ネジを有し、前記第2の調整ネジ孔内の前記第2の調整ネジの端部が前記アーム部に接触している
ことを特徴とする請求項8に記載のニードルグリッパー。
【請求項10】
前記ニードルグリッパーを操作する操作機に取り付けられる取付け軸をさらに有し、
前記取付け軸は前記保持部の前記連結部に固定されている
ことを特徴とする請求項1から3、6から9のいずれか1項に記載のニードルグリッパー。
【請求項11】
前記保持部は、剛性材料から形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のニードルグリッパー。
【請求項12】
請求項4,5,10のいずれか1項に記載のニードルグリッパーと、
前記操作機を有し、
前記操作機は、前記ニードルグリッパーを前記取付け軸の軸線を中心として回転させる機構と、前記ニードルグリッパーを前記取付け軸の軸線方向に沿って移動させる機構を有する
ことを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードルグリッパーおよびニードルグリッパーを有するアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単数あるいは複数のニードルを操作するマイクロハンドが開示されている。特許文献2には、物品を挟持する2本のニードルを操作するマイクロマニピュレータが開示されている。特許文献3にも、物品を挟持する2本のニードルを操作するマイクロマニピュレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-358601号公報
【文献】特開2008-21657号公報
【文献】特開2006-205344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロハンドまたはマイクロマニピュレータは、ニードルを操作するのに複雑な構造を有し、大型な機構を有する。また、ニードルに例えば静電気により異物または挟持する物品が付着した場合、異物または物品を除去することが考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明は、構造が簡単で小型であり、ニードルに付着した物をニードルから簡単に除去することができるニードルグリッパーおよびニードルグリッパーを有するアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係るニードルグリッパーは、物品を挟持する2本のニードルと、互いに離間しており前記2本のニードルの基端部がそれぞれ固定される2つの第1のアームと、前記2つの第1のアームが連結された連結部を有し、前記ニードルを保持する保持部と、前記保持部を弾性変形させて、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる単一の圧電素子を有する。
【0007】
この態様によれば、単一の圧電素子が保持部を弾性変形させるだけで、第1のアームに固定された2本のニードルの先端部の間隔が微小に変化し、ニードルが物品を保持することができる。したがって、ニードルグリッパーの構造を簡単にし、ニードルグリッパーを小型にすることができる。また、ニードルの先端部に異物または挟持する物品が付着したとしても、圧電素子を駆動することにより、ニードルを振動させて、異物または物品をニードルの先端部から簡単に除去することができる。
【0008】
好ましくは、前記保持部は、剛性材料から形成されている。
好ましくは、前記保持部は、前記連結部に連結された2つの第2のアームを有し、前記圧電素子は、前記2つの第2のアームの間に配置されており、前記圧電素子の伸縮方向は前記連結部に対して前記第2のアームが延びる方向に直交し、前記圧電素子が前記第2のアームの間隔を変化させることにより、前記2つの第1のアームの間隔を変化させる。この場合には、2つの第2のアームの間に配置された圧電素子が伸縮するだけで、第2のアームの間隔が弾性的に微小に変化し、第1のアームに固定された2本のニードルの先端部の間隔も微小に変化し、ニードルが物品を保持することができる。
好ましくは、前記2つの第2のアームは、前記連結部から前記2つの第1のアームが延びる方向と反対方向に延びている。
【0009】
好ましくは、前記圧電素子と各第2のアームの間に断面円形のピンが配置されている。この場合には、圧電素子と第2のアームの間のがたつきがピンにより防止され、圧電素子の伸縮が第2のアームに無駄なく伝達される。また、2つの第2のアームの間の間隔の許容誤差を大きく確保することができる。
【0010】
好ましくは、前記圧電素子の周囲には弾性材料から形成された少なくとも1つのリングが巻かれており、前記リングの外周面が前記連結部に接触している。この場合には、弾性材料から形成されたリングにより圧電素子に大きな負荷を与えずに、連結部に対して圧電素子を固定することができる。
【0011】
好ましくは、前記保持部は、前記連結部と前記連結部から延びる2つのアーム部を有するフレームと、前記2つのアーム部にそれぞれ取り付けられる剛性材料から形成された2つの固定板を有し、前記第1のアームの各々は、前記アーム部と前記固定板を有し、前記ニードルの各々の基端部は、前記アーム部と前記固定板の間に挟持されて固定されており、前記第1のアームには、前記ニードルの前記基端部に接触して、前記ニードルの前記第1のアームからの突出長さを調整するための第1の調整機構が設けられている。この場合には、アーム部と固定板の間に挟持されて固定されたニードルの第1のアームからの突出長さを、第1の調整機構を利用して調整することができる。
【0012】
好ましくは、前記アーム部または前記固定板には、貫通する第1の調整ネジ孔が形成されており、前記第1の調整機構は、前記第1の調整ネジ孔にねじ込まれる第1の調整ネジを有し、前記第1の調整ネジの端部に前記ニードルの前記基端部の端面に接触する傾斜面が形成されている。この場合には、第1の調整ネジ孔内の第1の調整ネジを回転させると、第1の調整ネジの端部の傾斜面がニードルの基端部の端面を押圧する。これにより、アーム部と固定板の間に挟持されて固定されたニードルはニードルの長手方向に沿って移動し、この結果、ニードルの第1のアームからの突出長さを調整することができる。したがって、ニードルの突出長さを簡単に調整することができる。
【0013】
好ましくは、前記保持部は、前記連結部と前記連結部から延びる2つのアーム部を有するフレームと、前記2つのアーム部にそれぞれ取り付けられる2つの固定板を有し、前記第1のアームの各々は、前記アーム部と前記固定板を有し、前記ニードルの各々の基端部は、前記アーム部と前記固定板の間に挟持されて固定されており、前記保持部は、前記連結部に対する前記第1のアームの撓みを調整し、前記フレームと前記固定板の厚さ方向における前記ニードルの先端部の位置を調整するための第2の調整機構を有する。この場合には、第2の調整機構を利用して、連結部に対する第1のアームの撓みを調整し、アーム部と固定板の間に挟持されて固定されたニードルの先端部の、フレームと前記固定板の厚さ方向における位置を調整することができる。
【0014】
好ましくは、前記保持部は、前記連結部から延びて、前記2つのアーム部にそれぞれ対面する2つのブロック部を有し、前記ブロック部には、貫通する第2の調整ネジ孔が形成されており、前記第2の調整機構は、前記第2の調整ネジ孔にねじ込まれる第2の調整ネジを有し、前記第2の調整ネジ孔内の前記第2の調整ネジの端部が前記アーム部に接触している。この場合には、第2の調整ネジ孔内の第2の調整ネジの端部がアーム部に接触しているので、第2の調整ネジ孔内の第2の調整ネジを回転させると、連結部に対するアーム部ひいては第1のアームの撓みが調整される。したがって、ニードルの先端部の、フレームと前記固定板の厚さ方向における位置を簡単に調整することができる。
【0015】
好ましくは、ニードルグリッパーは、前記ニードルグリッパーを操作する操作機に取り付けられる取付け軸をさらに有し、前記取付け軸は前記保持部の前記連結部に固定されている。この場合には、取付け軸を用いてニードルグリッパーを操作機に取り付けることができる。
【0016】
好ましくは、ニードルグリッパーは、前記ニードルグリッパーを操作する操作機に取り付けられる取付け軸をさらに有し、前記取付け軸は前記保持部の前記連結部に固定されており、前記リングの外周面が前記取付け軸に接触している。この場合には、弾性材料から形成されたリングにより圧電素子に大きな負荷を与えずに、連結部と取付け軸に対して圧電素子を固定することができる。
【0017】
好ましくは、ニードルグリッパーは、前記取付け軸と前記連結部が挟まれる2枚の平板をさらに有し、前記取付け軸は前記2枚の平板に固定され、前記連結部は前記2枚の平板に固定され、前記圧電素子は前記2枚の平板で覆われ、前記リングの外周面が前記2枚の平板に接触している。この場合には、2枚の平板で圧電素子が保護され、弾性材料から形成されたリングにより圧電素子に大きな負荷を与えずに、平板に対して圧電素子を固定することができる。
【0018】
本発明のある態様に係るアクチュエータは、前記のニードルグリッパーと、前記操作機を有し、前記操作機は、前記ニードルグリッパーを前記取付け軸の軸線を中心として回転させる機構と、前記ニードルグリッパーを前記取付け軸の軸線方向に沿って移動させる機構を有する。このアクチュエータによれば、ニードルグリッパーひいてはニードルグリッパーで挟持する物品の向きおよび位置を簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るニードルグリッパーの斜視図である。
図2】実施形態に係るニードルグリッパーの平面図である。
図3図2のIII-III線矢視断面図である。
図4】実施形態に係るニードルグリッパーの分解斜視図である。
図5】実施形態に係るニードルグリッパーのフレームの斜視図である。
図6】前記フレームの平面図である。
図7図2のVII-VII線に相当するニードルグリッパーの一部の断面図である。
図8図2のVIII-VIII線に相当するニードルグリッパーの一部の断面図である。
図9】実施形態に係るニードルグリッパーを有するマニピュレータシステムを示す正面図である。
図10図10のマニピュレータシステムの斜視図である。
図11】実施形態に係るニードルグリッパーを有するアクチュエータを示す斜視図である。
図12図11のアクチュエータの操作機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
【0021】
図1から図3に示すように、実施形態に係るニードルグリッパー1は、物品を挟持する2本のニードル2、ニードル2を保持する保持部4、および取付け軸5を有する。ニードル2、保持部4および取付け軸5は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されている。
【0022】
各ニードル2は真っ直ぐで長尺な棒であり、保持部4に取り付けられる基端部と、保持部4から突出する先端部を有する。先端部はテーパ状であり尖っている。
【0023】
保持部4は、互いに離間した2つの第1のアーム8と、2つの第1のアーム8が連結された連結部10を有する。2つの第1のアーム8には、2本のニードル2の基端部がそれぞれ固定されている。
【0024】
保持部4の連結部10には、取付け軸5が固定されている。後述するように、取付け軸5は、ニードルグリッパー1を操作するアクチュエータの操作機に取り付けられる。
【0025】
図3および図4に示すように、保持部4は、フレーム12と、2つの固定板14を有する。フレーム12は、連結部10と、連結部10から延びる2つのアーム部16を有する。フレーム12と固定板14は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されている。各固定板14は、ほぼ矩形な薄い平板である。アーム部16は、固定板14とほぼ同形な薄い平板であり、連結部10からニードルグリッパー1の長手方向に沿って並行して延びており、互いに離間している。
【0026】
第1のアーム8の各々は、フレーム12のアーム部16と固定板14を有する。各ニードル2の基端部は、1つのアーム部16と1つの固定板14の間に挟持されて固定されている。各アーム部16には、ニードル2の基端部を受け入れる直線状の溝16aが形成され、各固定板14には、ニードル2の基端部を受け入れる直線状の溝14aが形成されている。溝14a,16aの向きは、溝14a,16aで構成された円柱状の2つの空間に嵌め込まれた2つのニードル2の先端部が互いに接触または近接するように、ニードルグリッパー1の長手方向に対して傾斜している。
【0027】
各アーム部16と、そのアーム部16に重ねられた固定板14は、頭部を有するネジ18によって固定されている。固定板14にはネジ18が通過する貫通孔14bが形成され、アーム部16にはネジ18がねじ込まれるネジ孔16bが形成されている。逆に、固定板14にはネジ18がねじ込まれるネジ孔が形成されて、アーム部16にはネジ18が通過する貫通孔が形成されてもよい。あるいは、アーム部16と固定板14は、ボルトとナットで固定されてもよい。
【0028】
図5および図6に示すように、フレーム12は、連結部10に連結された2つの第2のアーム20をさらに有する。第2のアーム20は、ニードルグリッパー1の長手方向に沿って並行して延びており、互いに離間している。この実施形態では、第2のアーム20は、連結部10から第1のアーム8が延びる方向と反対方向に延びている。
【0029】
2つの第2のアーム20の間には、単一の圧電素子22が配置されている。圧電素子22は、保持部4を弾性限度内で弾性変形させて、2つのアーム部16ひいては2つの第1のアーム8の間隔を変化させる。具体的には、圧電素子22の伸縮方向(図6の矢印Aで示す)は、ニードルグリッパー1の長手方向(連結部10に対して第2のアーム20が延びる方向)に直交する。したがって、圧電素子22が伸縮すると、2つの第2のアーム20の間隔が弾性的に微小に変化し、この結果、第2のアーム20の反対側にある2つのアーム部16ひいては2つの第1のアーム8の間隔が弾性的に微小に変化し、第1のアーム8に固定された2本のニードル2の先端部の間隔が微小に変化する。より具体的には、圧電素子22が縮小すると、第2のアーム20の間隔が縮小し、第1のアーム8の間隔ひいてはニードル2の先端部の間隔が拡大する。逆に、圧電素子22が伸長すると、第2のアーム20の間隔が拡大し、第1のアーム8の間隔ひいてはニードル2の先端部の間隔が縮小する。
【0030】
圧電素子22と各第2のアーム20の間には、断面円形のピン24が配置されている。各第2のアーム20の圧電素子22に対向する面には、第2のアーム20の厚さ方向に延びる溝26が形成されており、ピン24は溝26に嵌め込まれている。ピン24は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されている。ピン24は、圧電素子22の伸縮方向の両側に配置されており、圧電素子22と第2のアーム20の間のがたつきがピン24により防止され、圧電素子22の伸縮が第2のアーム20に無駄なく伝達される。また、2つの第2のアーム20の間の間隔の許容誤差を大きく確保することができる。
【0031】
圧電素子22の周囲には弾性材料(例えばエラストマー)から形成された少なくとも1つのリング28が巻かれている。この実施形態では、2つのリング28が圧電素子22の周囲に巻かれている。各リング28は、圧電素子22の伸縮方向に直交するよう配置されている。リング28は、例えばOリングであってよいが、他の種類のリングであってもよい。
【0032】
リング28の外周面は、フレーム12の連結部10に接触している。したがって、弾性材料で形成されたリング28により圧電素子22に大きな負荷を与えずに、連結部10に対して圧電素子22を固定することができる。
【0033】
図7に示すように、各第1のアーム8には、その第1のアーム8が保持するニードル2の基端部に接触して、ニードル2の第1のアーム8からの突出長さを調整するための第1の調整機構30が設けられている。この実施形態では、各第1の調整機構30は、固定板14に形成され固定板14を貫通する第1の調整ネジ孔14cと、第1の調整ネジ孔14cにねじ込まれる第1の調整ネジ32を有する。第1の調整ネジ孔14cは、ニードル2を受け入れる溝14aの延長方向に配置されている。第1の調整ネジ孔14c内の第1の調整ネジ32の端部には、テーパ状の傾斜面34が形成されている。つまり、第1の調整ネジ32は尖り先止めネジである。傾斜面34は、ニードル2の基端部の端面に接触する。
【0034】
第1の調整ネジ孔14c内の第1の調整ネジ32を回転させて、第1の調整ネジ32を締結方向に進行させると、第1の調整ネジ32の端部の傾斜面34がニードル2の基端部の端面を押圧する。これにより、アーム部16と固定板14の間に挟持されて固定されたニードル2はニードル2の長手方向に沿って移動し、この結果、ニードル2の第1のアーム8からの突出長さを調整することができる。したがって、アーム部16と固定板14の間に挟持されて固定されたニードル2の突出長さを簡単に調整することができる。
【0035】
アーム部16には、第1の調整ネジ32の端部を受け入れることが可能な貫通孔16cが形成されている。貫通孔16cは、ニードル2を受け入れる溝16aの延長方向に配置されている。第1の調整ネジ32をある程度、締結方向に進行させると、第1の調整ネジ32の端部が貫通孔16cに進入する。したがって、ニードル2の長手方向の調整可能ストロークを大きく確保することができる。
【0036】
但し、孔16cはアーム部16を貫通しなくてもよい。また、孔16cは必ずしも不可欠ではない。ニードル2の直径および/または必要とされるニードル2の長手方向の調整可能ストロークに応じて、孔16cを設けるべきか否かを選択することができ、孔16cの深さを設計することができる。
【0037】
この実施形態では、第1の調整ネジ32は六角穴付ネジであるので、ニードルグリッパー1の軽量化に寄与する。但し、第1の調整ネジ32は、頭部を有するネジであってもよい。
【0038】
この実施形態では、固定板14に第1の調整ネジ孔14cが形成されているが、第1の調整ネジ32がねじ込まれる第1の調整ネジ孔をアーム部16に形成してもよい。
【0039】
図8に示すように、保持部4は、連結部10に対する第1のアーム8の撓みを調整し、フレーム12と固定板14の厚さ方向におけるニードル2の先端部の位置を調整するための第2の調整機構40を有する。この実施形態では、各第2の調整機構40は、連結部10から延びるブロック部42と、ブロック部42に形成されブロック部42を貫通する第2の調整ネジ孔44と、第2の調整ネジ孔44にねじ込まれる第2の調整ネジ46を有する。2つのブロック部42は、ニードルグリッパー1の長手方向に沿って並行して延びており、互いに離間している。2つのブロック部42は、2つのアーム部16にそれぞれ対面する。ブロック部42とアーム部16の間には、間隙43が設けられている。第2の調整ネジ孔44内の第2の調整ネジ46の端部は、アーム部16に接触している。
【0040】
第2の調整ネジ46の端部がアーム部16に接触しているので、第2の調整ネジ46を回転させると、厚さが大きい連結部10に対するアーム部16ひいては第1のアーム8の撓みが調整される。したがって、アーム部16と固定板14の間に挟持されて固定されたニードル2の先端部の、フレーム12と固定板14の厚さ方向における位置を簡単に調整することができる。
【0041】
この実施形態では、第2の調整ネジ46は六角穴付ネジであるので、ニードルグリッパー1の軽量化に寄与する。但し、第2の調整ネジ46は、頭部を有するネジであってもよい。
【0042】
この実施形態では、第2の調整ネジ46は、アーム部16に接触する先端に凹部45が形成されたくぼみ先ネジである。但し、第2の調整ネジ46は、平先ネジまたは棒先ネジであってもよい。
【0043】
この実施形態では、ブロック部42は、アーム部16にとって固定板14と同じ側に配置されているので、ニードルグリッパー1の厚さを大きくしなくても済む。但し、ブロック部42を、アーム部16にとって固定板14の反対側に配置してもよい。
【0044】
上記の通り、図1から図4に示すように、保持部4の連結部10には、取付け軸5が固定されている。取付け軸5は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されている。取付け軸5は、ネジ部50、ストッパー52、および角棒部54を有し、これらはニードルグリッパー1の長手方向に沿って配列されている。ネジ部50とストッパー52は、ストッパー52に同心に連結されている。ネジ部50は、アクチュエータの操作機にねじ込まれて取り付けられる。ストッパー52は、ネジ部50よりも大きな断面積を有し、ネジ部50を操作機にねじ込む際のストッパーとして使用される。角棒部54は、直方体形状を有する棒である。
【0045】
角棒部54の表面と裏面には、それぞれ平板56が接触させられている。平板56は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されている。
【0046】
取付け軸5の角棒部54は、2枚の矩形の平板56を介して保持部4の連結部10に連結されている。具体的には、2枚の平板56は、連結部10の表面と裏面にそれぞれ接触させられており、連結ピン60とワッシャー62で連結部10に連結されている。また、各平板56は、2つの固定ネジ68で角棒部54に固定されている。したがって、取付け軸5の角棒部54と保持部4の連結部10は、2枚の平板56の間に挟まれており、取付け軸5は2枚の平板56に固定され、連結部10は2枚の平板56に固定されている。
【0047】
各平板56には、連結ピン60が挿入される貫通孔が形成されている。また、保持部4の連結部10には、連結ピン60が通過するスリット64が形成されている。ワッシャー62は、連結ピン60の端部に形成された周溝に嵌め込まれている。
【0048】
図5および図6に示すように、スリット64は、連結部10の厚さ方向に延びるほぼ円柱状の溝であり、アーム部16の間の直線状の溝66に交差する。スリット64はアーム部16の開始端であると考えてもよい。圧電素子22が伸縮して2つの第2のアーム20の間隔が変化すると、2つのアーム部16は、スリット64に挿入された連結ピン60の周囲で弾性変形し、アーム部16の間隔が変化する。
【0049】
各平板56には、2つの固定ネジ68がそれぞれ通過する2つの貫通孔が形成され、取付け軸5の角棒部54の表面と裏面の各々には、2つの固定ネジ68がねじ込まれる2つのネジ孔が形成されている。但し、取付け軸5の角棒部54は、ボルトとナットなどの他の方式で2枚の平板56に固定されてもよい。保持部4の連結部10も、他の方式で2枚の平板56に固定されてもよい。
【0050】
図3および図4に示すように、リング28が巻かれた圧電素子22は、相互に固定された連結部10と角棒部54の間に挟まれている。リング28の外周面は、一方では連結部10に接触し、他方では角棒部54に接触する。弾性材料から形成されたリング28により、圧電素子22に大きな負荷を与えずに、連結部10と取付け軸5に対して圧電素子22を固定することができる。
【0051】
圧電素子22は2枚の平板56で覆われ、リング28の外周面は、連結部10と角棒部54だけでなく2枚の平板56にも接触している。したがって、2枚の平板56で圧電素子22が保護され、弾性材料から形成されたリング28により圧電素子22に大きな負荷を与えずに、平板56に対して圧電素子22を固定することができる。
【0052】
各平板56には、圧電素子22に給電するリード線70が通過する貫通孔72が形成されている。
【0053】
以上のように、このニードルグリッパー1によれば、単一の圧電素子22が保持部4を弾性変形させるだけで、第1のアーム8に固定された2本のニードル2の先端部の間隔が微小に変化し、ニードル2が物品を保持することができる。したがって、ニードルグリッパー1の構造を簡単にし、ニードルグリッパー1を小型にすることができる。また、ニードル2の先端部に異物または挟持する物品が付着したとしても、圧電素子22を駆動することにより、ニードル2を振動させて、異物または物品をニードル2の先端部から簡単に除去することができる。
【0054】
図9および図10は、実施形態に係るニードルグリッパー1を有するマニピュレータシステムを示す。このマニピュレータシステムは、ニードルグリッパー1の用途の一例であり、ニードルグリッパー1によって物品に対する加工などの処理を行う。
【0055】
マニピュレータシステムは、顕微鏡ユニット80、第1のマニピュレータ81、および第2のマニピュレータ82を有する。顕微鏡ユニット80は、マニピュレータシステムの左右方向中央に配置されており、第1のマニピュレータ81と第2のマニピュレータ82は、顕微鏡ユニット80の左右両側に配置されている。
【0056】
顕微鏡ユニット80は、物品が置かれるテーブル83、顕微鏡84、およびカメラ85を有する。顕微鏡84は、テーブル83の直上に配置されている。カメラ85は、顕微鏡84に接続されており、テーブル83の上に置かれた物体の画像は、顕微鏡84で拡大され、カメラ85で撮影される。
【0057】
第1のマニピュレータ81は、顕微鏡ユニット80の紙面右側に配置されている。第1のマニピュレータ81は、アクチュエータ86と駆動装置87を有する。駆動装置87は、アクチュエータ86を支持するとともに、図示しないコントローラの指令を受けて、アクチュエータ86を図10に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に3次元的に移動させる。
【0058】
アクチュエータ86は、操作機88とニードルグリッパー1を有する。操作機88の基端部は、駆動装置87に取り付けられており、操作機88の先端にはニードルグリッパー1が取り付けられている。駆動装置87だけでなく、操作機88自体も図示しないコントローラの指令を受けて駆動される。ニードルグリッパー1も図示しないコントローラの指令を受けて駆動される。
【0059】
第2のマニピュレータ82は、顕微鏡ユニット80の紙面左側に配置されている。第2のマニピュレータ82は、支持ツール89と駆動装置90を有する。駆動装置90は、支持ツール89を支持するとともに、図示しないコントローラの指令を受けて、支持ツール89を図10に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に3次元的に移動させる。支持ツール89の基端部は、駆動装置90に取り付けられている。
【0060】
第2のマニピュレータ82において、駆動装置90は、支持ツール89を駆動して、テーブル83上に置かれた物品を支持ツール89の先端でテーブル83上に押さえつける。第1のマニピュレータ81において、駆動装置87は、アクチュエータ86を駆動して、テーブル83上に置かれた物品にニードルグリッパー1の先端のニードルを接近させる。また、ニードルグリッパー1は、図示しないコントローラの指令を受けて、圧電素子の伸縮を行い、ニードルの先端部の間隔を微小に変化させ、ニードルによってテーブル83上に置かれた物品に対して所望の処理を行う。例えば、ニードルグリッパー1は、ニードルによって物品から異物を剥がし取ってもよいし、ニードルによって物品に他の物品を取り付けてもよい。あるいは、ニードルグリッパー1は、ニードルによって物品を引き延ばしてもよい。また、アクチュエータ86の操作機88は、ニードルグリッパー1の前記所望の処理を補助するために、図示しないコントローラの指令を受けて、ニードルグリッパー1をニードルグリッパー1の長手方向に沿って移動(例えば振動)させたり、ニードルグリッパー1を回転させたりする。
【0061】
このマニピュレータシステムでは、第2のマニピュレータ82には、支持ツール89が設けられているが、支持ツール89の代わりに、第1のマニピュレータ81のアクチュエータ86と同様のアクチュエータを駆動装置90に取り付けてもよい。
【0062】
次に、図11および図12を参照しながら、アクチュエータ86、特に操作機88について説明する。図11における左下側がアクチュエータ86の先端側であり、右上側がアクチュエータ86の基端側である。また、図12における左側がアクチュエータ86の先端側であり、右側がアクチュエータ86の基端側である。
【0063】
操作機88は、ハウジング100、回転軸101、軸ホルダー102、2つの玉軸受103,104、圧電素子105、およびモータ106を有する。
【0064】
ハウジング100は、円筒状であり、先端側と基端側とが開口している。ハウジング100の内部には、玉軸受103,104が配置されている。
【0065】
玉軸受103,104の各々は、内輪、外輪、および複数のボールを有する。玉軸受103,104の内輪は、円筒状の軸ホルダー102に嵌め合わせられて固定されており、外輪はハウジング100の内周面に嵌め合わせられて固定されている。軸ホルダー102には回転軸101が挿入され、軸ホルダー102はクランピング107によって回転軸101に固定されている。したがって、玉軸受103,104は、回転軸101を回転可能に支持している。玉軸受103,104の内輪の間には、スペーサ108が配置されている。
【0066】
軸ホルダー102の外周面の先端側と基端側には雄ネジが形成されており、先端側にはロックナット109がねじ込まれ、基端側にはロックナット110がねじ込まれている。このようにして、玉軸受103の内輪、スペーサ108、および玉軸受104の内輪が、ロックナット109,110により挟み付けられており、ロックナット109,110によって、回転軸101の軸方向に動かないように固定されている。
【0067】
回転軸101は円柱状であり、中実であってもよく、中空であってもよい。回転軸101の先端部101aには、軸線方向に延びる穴が形成されている。この穴には雌ネジが形成されており、ニードルグリッパー1の取付け軸5のネジ部50(図1から図4参照)がねじ込まれる。このようにして、ニードルグリッパー1は回転軸101の先端部101aに固定されている。但し、ニードルグリッパー1の取付け軸5は、他の方式で回転軸101に取り付けられてもよい。
【0068】
ハウジング100の内部には、カップリング111が配置されている。カップリング111は、モータ106の軸106aと回転軸101を連結し、モータ106の回転を回転軸101に伝達する。軸106aの先端側の端面と回転軸101の基端側の端面の間には隙間が設けられており、カップリング111は、回転軸101が軸線方向に変位することが可能なように(すなわち隙間が可変であるように)、軸106aと回転軸101を連結する。つまり、カップリング111は、回転軸101の軸線方向に高い弾性を有しており、回転軸101の軸線方向の変位を吸収し、この変位をモータ106の軸106aに伝達しない。
【0069】
したがって、回転軸101ひいてはニードルグリッパー1は、玉軸受103,104に支持されて、矢印Bで示すように、モータ106によって回転させられる。モータ106の正回転と逆回転を繰り返すことにより回転軸101の軸線を中心として、ニードルグリッパー1を回転方向に振動させることもできる。
【0070】
モータ106は、例えばステッピングモータであるが、回転軸101を回転させる他のモータであってもよい。
【0071】
モータ106の先端側の面には、円環状のスペーサ112が固定されている。モータ106の軸106aは、スペーサ112の中心の孔を通過する。
【0072】
ハウジング100の内部には、円筒状の圧電素子105と円筒状のスペーサ113が配置されている。圧電素子105はカップリング111の径方向外側に配置され、スペーサ113はロックナット110の径方向外側に配置されている。圧電素子105の基端側の端面は、スペーサ112に接触させられ、圧電素子105の先端側の端面は、スペーサ113の基端側の端面に接触させられている。スペーサ113の先端側の端面は玉軸受104の外輪に接触させられている。したがって、圧電素子105、スペーサ112およびスペーサ113は、モータ106の先端側の面と玉軸受104の外輪の間に挟み付けられている。
【0073】
ハウジング100の基端側の端面は、スペーサ112に接触させられ、ハウジング100の先端側の端面には蓋114が固定されている。蓋114はロックナット109の径方向外側に配置されている。蓋114の基端側の端面は玉軸受103の外輪に接触させられている。
【0074】
圧電素子105は、回転軸101の軸線方向に沿って伸縮する。圧電素子105の伸縮は、スペーサ113によって玉軸受104の外輪に伝達され、玉軸受104の外輪が回転軸101の軸線方向に沿って変位する。玉軸受104は、剛性材料、例えば金属(例えば鋼)から形成されているが、わずかに弾性変形する。したがって、玉軸受104の外輪が回転軸101の軸線方向に沿って変位すると、玉軸受104の内輪も回転軸101の軸線方向に沿って変位する。玉軸受の内輪は、軸ホルダー102に固定されており、軸ホルダー102はクランピング107によって回転軸101に固定されている。したがって、圧電素子105が伸縮すると、矢印Cで示すように、回転軸101ひいてはニードルグリッパー1は、回転軸101の軸線方向に沿って変位する。圧電素子105の伸縮を繰り返すことにより、ニードルグリッパー1を回転軸101の軸線方向に沿って振動させることもできる。
【0075】
以上のように、アクチュエータ86の操作機88は、ニードルグリッパー1を回転軸101の軸線(取付け軸5の軸線)を中心として回転させる機構と、ニードルグリッパー1を回転軸101の軸線方向(取付け軸5の軸線方向)に沿って移動させる機構を有する。このアクチュエータ86によれば、ニードルグリッパー1ひいてはニードルグリッパー1で挟持する物品の向きおよび位置を簡単に変更することができる。
【0076】
アクチュエータ86の操作機88の一例を詳細に説明したが、操作機は他のタイプであってもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
【符号の説明】
【0078】
1 ニードルグリッパー
2 ニードル
4 保持部
5 取付け軸
8 第1のアーム
10 連結部
12 フレーム
14 固定板
16 アーム部
20 第2のアーム
22 圧電素子
24 ピン
28 リング
30 第1の調整機構
14c 第1の調整ネジ孔
32 第1の調整ネジ
34 傾斜面
40 第2の調整機構
42 ブロック部
44 第2の調整ネジ孔
46 第2の調整ネジ
56 平板
86 アクチュエータ
88 操作機
105 圧電素子
106 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12