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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】青果物梱包体、青果物輸送方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20231205BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65D77/04 D
B65D85/50 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019130372
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021014290
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】大槻 彰良
(72)【発明者】
【氏名】高浜 啓造
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292506(JP,A)
【文献】特開2002-037330(JP,A)
【文献】特開2013-220834(JP,A)
【文献】実開平04-102265(JP,U)
【文献】特開2017-190144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体が外装箱を含む梱包材部に収容され、
前記梱包材部は、前記包装フィルムの1000回往復摺動試験による前記包装フィルムの厚み減少量が99%以下の樹脂部分であり前記青果物包装体が接触する面を形成する接触樹脂部を有し、
前記包装フィルムは前記包装フィルムの片面を形成する未延伸ポリプロピレンを含み、
前記梱包材部の前記接触樹脂部における前記青果物包装体が接触する面を形成する部分は直鎖状低密度ポリエチレンフィルムまたは発泡ポリスチレンによって形成され、
前記梱包材部は、前記外装箱に取り出し可能に収容されて前記外装箱の内面に沿って配置された内蔵フィルムを含み、前記接触樹脂部は前記内蔵フィルムに位置し、
前記1000回往復摺動試験は、前記包装フィルムを摺動方向の開き角が4~11度且つ摺動方向に垂直の方向の開き角が80~120度の四角錐状のテーパ状下端部を有するフィルム治具に前記テーパ状下端部を覆って取り付け、前記包装フィルムを受け側材支持台に支持した前記接触樹脂部の形成樹脂に対して前記テーパ状下端部の尖端によって200gの押圧荷重を作用させて接触させた状態にてストローク100mm且つ20回/分の条件を維持して1000回往復動させ前記包装フィルムの厚み減少量を測定するものである青果物梱包体。
【請求項2】
前記内蔵フィルムは前記外装箱に収容された内袋である請求項に記載の青果物梱包体。
【請求項3】
前記接触樹脂部を含む前記外装箱を有する請求項1に記載の青果物梱包体。
【請求項4】
前記包装フィルム内側の気圧が大気圧に比べて低い前記青果物包装体が前記梱包材部内に収容されている請求項1~のいずれか1項に記載の青果物梱包体。
【請求項5】
青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体を外装箱を含む梱包材部に収容した青果物梱包体を輸送する青果物輸送方法であり、
前記梱包材部に、前記包装フィルムの1000回往復摺動試験による前記包装フィルムの厚み減少量が99%以下の樹脂部分であり前記青果物包装体が接触する面を形成する接触樹脂部を有するものを用い、
前記包装フィルムは前記包装フィルムの片面を形成する未延伸ポリプロピレンを含み、
前記梱包材部の前記接触樹脂部における前記青果物包装体が接触する面を形成する部分は直鎖状低密度ポリエチレンフィルムまたは発泡ポリスチレンによって形成され、
前記梱包材部は、前記外装箱に取り出し可能に収容されて前記外装箱の内面に沿って配置された内蔵フィルムを含み、前記接触樹脂部は前記内蔵フィルムに位置し、
前記1000回往復摺動試験は、前記包装フィルムを摺動方向の開き角が4~11度且つ摺動方向に垂直の方向の開き角が80~120度の四角錐状のテーパ状下端部を有するフィルム治具に前記テーパ状下端部を覆って取り付け、前記包装フィルムを受け側材支持台に支持した前記接触樹脂部の形成樹脂に対して前記テーパ状下端部の尖端によって200gの押圧荷重を作用させて接触させた状態にてストローク100mm且つ20回/分の条件を維持して1000回往復動させ前記包装フィルムの厚み減少量を測定するものである青果物輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物梱包体、青果物輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、もやし、葉物野菜、根菜等の青果物は、樹脂フィルム製の包装袋に収容した青果物包装体の状態で出荷、輸送され、小売店にて販売されることが多い(例えば特許文献1、2)。
青果物包装体の輸送は、青果物包装体を複数収容した段ボール箱をトラック等の車両を利用して運ぶことが広く行なわれている。
【0003】
青果物包装体に使用される包装袋には、青果物から流出した果汁等の水分が通過可能なサイズの開口部が存在せず、袋外への水分漏出を防ぐ遮水性を有するタイプ(以下、遮水包囲タイプ、とも言う)のものがある。このタイプの包装袋は、透湿性及びガス透過性が低い樹脂フィルムによって形成されていることが一般的であり、青果物からの水分蒸散を抑制するとともに、袋内を大気に比べ低酸素、高炭酸ガスの環境に保つことにより青果物の呼吸及び代謝を抑制して、青果物の鮮度を保持する。
【0004】
もやしについては、メーカーにてもやしを包装袋を用いて脱気包装した青果物包装体(以下、もやし包装体、とも言う)を製造し、もやし包装体を段ボール箱に複数収容した状態でトラック等を用いて小売店等へ輸送、出荷することが一般的である。
もやし包装体に使用する包装袋(遮水包囲タイプの包装袋)は、ポリプロピレンフィルムによって形成されたものが広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-289712号公報
【文献】特開2003-25524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、もやし包装体を段ボール箱に複数収容した状態でトラック等の車両を利用して輸送した場合、もやし包装体の包装袋に穴開きが生じることがあった。
もやし包装体は、包装袋に穴開きが生じると、袋内への大気流入によりもやしの品質劣化が急速に進行する。
しかしながら、もやし包装体の包装袋の穴開きを防ぐための好適な対策は存在しないのが実情である。
【0007】
本発明の態様が解決しようとする課題は、青果物包装体の輸送中における包装フィルムの穴開きを防ぐことができる青果物梱包体、青果物輸送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様の青果物梱包体は、青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体が外装箱を含む梱包材部に収容され、前記梱包材部は、前記包装フィルムの1000回往復摺動試験による前記包装フィルムの厚み減少量が99%以下の樹脂部分であり前記青果物包装体が接触する面を形成する接触樹脂部を有し、前記1000回往復摺動試験は、前記包装フィルムを摺動方向の開き角が4~11度且つ摺動方向に垂直の方向の開き角が80~120度の四角錐状のテーパ状下端部を有するフィルム治具に前記テーパ状下端部を覆って取り付け、前記包装フィルムを受け側材支持台に支持した前記接触樹脂部の形成樹脂に対して前記テーパ状下端部の尖端によって200gの押圧荷重を作用させて接触させた状態にてストローク100mm且つ20回/分の条件を維持して1000回往復動させ前記包装フィルムの厚み減少量を測定するものである。
前記梱包材部は、前記外装箱に取り出し可能に収容されて前記外装箱の内面に沿って配置された内蔵フィルムを含み、前記接触樹脂部は前記内蔵フィルムに位置していてもよい。
前記内蔵フィルムは前記外装箱に収容された内袋であっても良い。
上述の青果物包梱包体は、前記接触樹脂部を含む前記外装箱を有する構成であっても良い。
上述の青果物梱包体は、記包装フィルム内側の気圧が大気圧に比べて低い前記青果物包装体が前記梱包材部内に収容されている構成であっても良い。
第2の態様の青果物輸送方法は、青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体を外装箱を含む梱包材部に収容した青果物梱包体を輸送する青果物輸送方法であり、前記梱包材部に、前記包装フィルムの1000回往復摺動試験による前記包装フィルムの厚み減少量が99%以下の樹脂部分であり前記青果物包装体が接触する面を形成する接触樹脂部を有するものを用い、前記1000回往復摺動試験は、前記包装フィルムを摺動方向の開き角が4~11度且つ摺動方向に垂直の方向の開き角が80~120度の四角錐状のテーパ状下端部を有するフィルム治具に前記テーパ状下端部を覆って取り付け、前記包装フィルムを受け側材支持台に支持した前記接触樹脂部の形成樹脂に対して前記テーパ状下端部の尖端によって200gの押圧荷重を作用させて接触させた状態にてストローク100mm且つ20回/分の条件を維持して1000回往復動させ前記包装フィルムの厚み減少量を測定するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、青果物包装体の輸送中における包装フィルムの穴開きを防ぐことができる。このため、包装フィルム内側の酸素濃度及び炭酸ガス濃度をそれぞれ一定範囲内に保つことができ、包装フィルムによって包装された青果物の輸送中の品質変化抑制を依り確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る青果物梱包体の第1実施形態を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は側断面図である。
図2】本発明に係る青果物梱包体の第2実施形態を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は側断面図である。
図3】本発明に係る青果物梱包体の第3実施形態の樹脂層付き外装箱の接触樹脂層付近を示す部分拡大断面図である。
図4】本発明に係る青果物梱包体の第4実施形態を示す正断面図である。
図5】青果物包装体の一例を示す図であり、合掌袋である包装袋に青果物を収容、収容した青果物包装体の包装袋の胴部軸線方向中央部を示す断面図である。
図6図5の青果物包装体を示す斜視図である。
図7】往復摺動試験装置の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る青果物梱包体、青果物輸送方法について、図面を参照して説明する。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明者等は、種々検証を通じて、段ボール箱に入れてトラック等の車両を用いて輸送した青果物包装体の包装袋の穴開きの原因を検討した。
本発明者等の検証、検討の結果、段ボール箱に入れてトラック等の車両を用いて輸送した青果物包装体の包装袋の穴開きは、包装袋の摩耗によるものと想定される。
【0013】
穴開きが生じた青果物包装体(具体的にはもやし包装体)の包装袋の穴付近の表面をマイクロスコープを用いて観察した。その結果、包装袋表面には穴の周囲に擦り線が存在し、包装袋の穴は擦り線の延長上に位置していた。
【0014】
もやし包装体は、未延伸ポリプロピレンフィルムによって形成した包装袋(以下、未延伸フィルム包装袋、とも言う)にもやしを収容したもの、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムによって形成した包装袋(以下、延伸フィルム包装袋、とも言う)にもやしを収容したもの、を用いた。これらもやし包装体の包装袋のそれぞれを形成する包装フィルムはそれぞれ厚み25μmのものを用いた。
未延伸フィルム包装袋を形成する未延伸ポリプロピレンフィルムは、具体的には、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムポリマー、ポリエチレンがこの順でこれらの厚みの比が1:3:2となるように積層されたものを用いた。この未延伸ポリプロピレンフィルムを、以下、2層CPP/PEフィルム、とも言う。
【0015】
包装袋の表面観察を行なったもやし包装体はピロー状に形成されている。
もやし包装体の包装袋は、もやしを収容して断面扁平で延在する筒状の胴部(以下、筒状胴部、とも言う)を有する。
包装袋の穴は、包装袋の筒状胴部の断面長手方向の端部のみに存在していた。
【0016】
包装袋は1枚の樹脂フィルムによって形成されている。
包装袋の筒状胴部の断面長手方向両端部は、包装袋を形成する樹脂フィルムが屈曲成形された折れ角部である。なお、筒状胴部の断面長手方向両側の折れ角部には、包装袋を形成する樹脂フィルムの端部同士のシール部は存在しない。
包装袋の筒状胴部は、内部に収容したもやしによって両側の折れ角部間に位置する部分が膨らんだ断面扁平の筒状になっている。
【0017】
本発明者等は、それぞれ厚さ25μmの2層CPP/PEフィルム及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いて、ゲルボフレックス試験、針の突き刺し、フィルムに形成した折れ角部の段ボール表面との摺動、のそれぞれによる穴見本を作製した。
ゲルボフレックス試験、針の突き刺しによる穴見本はそれぞれ、フィルム表面に擦り線を確認できなかった。これに対して、フィルムに形成した折れ角部の段ボール表面との摺動によって得た穴見本のフィルム表面には穴の周囲に擦り線が存在し、フィルムの穴は擦り線の延長上に位置していた。
【0018】
穴開きを生じた包装袋表面の擦り線は、もやし包装体の包装袋が輸送中の振動によって段ボール箱内面に対して摺動し摩耗して形成されたものと考えられる。包装袋の穴は、包装袋を形成するフィルムの段ボール箱内面との摺動による摩耗が進行し、摩耗部分が包装袋内面に到達して形成されたものと考えられる。
【0019】
輸送中の振動によってもやし包装体の包装袋の筒状胴部の折れ角部が段ボール箱内面に押圧されるときには、包装袋の筒状胴部の断面長手方向に垂直の断面幅方向片側の面が段ボール箱内面に押圧されるときに比べて、押圧力の局所的集中が生じやすい。
このため、もやし包装体の包装袋の穴は、包装袋の筒状胴部の断面長手方向の端部を形成する折れ角部に集中的に形成されるものと考えられる。
【0020】
本発明に係る実施形態の青果物梱包体は、青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体が外装箱を含む梱包材部に複数収容されたものである。
この青果物梱包体の梱包材部は、青果物包装体の包装フィルムの1000回往復摺動試験(後述)による厚み減少量が99%以下の樹脂部分であり青果物包装体が接触する面(以下、包装体接触面、とも言う)を形成する接触樹脂部を有する。
【0021】
梱包材部において、接触樹脂部は、梱包材部内面の青果物包装体が接触される部分全体を形成するように存在する。梱包材部内側の青果物包装体は、梱包材部に対して接触樹脂部(具体的には包装体接触面)のみに当接される。
青果物梱包体は、トラック等の車両を用いた輸送中の振動によって梱包材部の接触樹脂部に対する青果物包装体の摺動が生じても、青果物包装体の包装フィルムの摩耗を生じにくく、包装フィルムの穴開きを防ぐことができる。
【0022】
梱包材部の外装箱の構造は、蓋部材等の開閉操作可能な開閉部を有し、開閉部の操作によって開放したときに、青果物包装体の収容、取り出しが可能なものであれば良く、種々構造のものを採用可能である。
【0023】
梱包材部の接触樹脂部の形成樹脂は、青果物包装体の包装フィルムの1000回往復摺動試験のものであれば良く、特に限定は無い。
接触樹脂部の形成樹脂は、青果物包装体の包装フィルムの摺動による摩耗を抑える点で、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等を好適に採用できる。
【0024】
接触樹脂部の形成樹脂としては、例えば、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、6ナイロンなどのポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらはホモポリマーで用いてもかまわないし、2種類以上のコポリマーで用いても構わない。また、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であっても差し支え無い。例えば、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体としては高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン-直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマーやエチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-α-オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどでも構わないし、これらあるいはこれらと他樹脂との2種類以上のブレンド物でもかまわない。
【0025】
図5図6は青果物包装体50の一例を示す図であり、図5は断面図、図6は斜視図である。
なお、図6では、青果物包装体50の包装フィルムが形成する包装袋51内側に収容された青果物の図示を省略している。
【0026】
図5に例示した青果物包装体50は、包装フィルムが形成する包装袋51内側に青果物52を収容したものである。
青果物52は、特に限定は無く、例えば、もやし、葉物野菜、カット野菜、果実、根菜等を採用できる。
【0027】
包装袋51を形成する包装フィルムは、青果物の包装に用いることのできる樹脂フィルムであれば良く、種々構成のもの採用できる。
包装フィルムの形成樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。
【0028】
包装フィルムは、例えば上述の形成樹脂の単層フィルムであるが、上述の形成樹脂から選択された1つからなる樹脂層が複数積層一体化された構成の多層フィルムであっても良い。
包装フィルムは、防曇剤等の添加物が分散混入された樹脂層を有していても良い。
包装フィルムは、二軸延伸処理等の延伸処理が施された延伸フィルム、延伸処理が施されていない未延伸フィルムのいずれも採用可能である。
【0029】
包装フィルムは、その主面を形成する表層であるシーラント層を含む構成も採用可能である。包装フィルムは、片面側のみにシーラント層を有する構成、フィルムの厚みの両側にそれぞれシーラント層を有する構成、のいずれも採用可能である。
包装フィルムは、何らかの機能を付与するためにコーティング層が形成されたものであっても良い。
包装フィルムは、透明であっても、不透明であっても良く、また印刷をしたものであっても何等差し支えはない。
包装フィルムは、その厚さが15~150μmのものを好適に用いることができる。
【0030】
青果物包装体50の包装袋51は、青果物から流出した果汁等の水分が通過可能なサイズの開口部が存在せず、袋外への水分漏出を防ぐ遮水性を有する遮水包囲タイプの袋体である。
青果物の脱気包装に使用する包装袋51は、袋内外への空気流通を可能とする開口部が存在しない密封タイプの袋体を好適に採用できる。密封タイプの包装袋51は空気流通可能な開口部が存在しない無孔タイプの包装フィルムによって形成された袋体である。
但し、包装袋51は、例えば、その内面及び外面のそれぞれにおける開口径が10~100μm程度の微細な通気孔が複数存在する包装フィルム(以下、微細孔形成フィルム、とも言う)によって形成されたものも採用可能である。微細孔形成フィルムは遮水性を有するものを採用する。
【0031】
青果物包装体50は、青果物52を密封タイプの包装袋51を用いて脱気包装したもの、青果物52を包装袋51を用いて包装袋51内の脱気を行なわずに包装したもの、青果物52を収容した密封タイプの包装袋51内に窒素ガス等の空気以外のガスが充填されたもの、等を採用できる。
【0032】
もやし包装体は、無孔タイプの包装フィルムによって形成された密封タイプの包装袋に、その内容物であるもやしを脱気包装した構成のものを用いることができる。もやし包装体の包装袋を形成する包装フィルムとしては、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルム、ポリプロピレン層にポリエチレン層が積層された未延伸複合フィルム(以下、未延伸PP/PEフィルム、とも言う)等を好適に用いることができる。未延伸PP/PEフィルムは、例えば、すでに述べた2層CPP/PEフィルム等であっても良い。
未延伸PP/PEフィルムはポリエチレン層が袋内側の向きで包装袋の形成に用いる。この複合フィルムのポリエチレン層はシーラント層の役割を果たす。
【0033】
図5図6に例示した包装袋51は1枚の包装フィルムによって形成された合掌袋である。但し、青果物包装体50の包装袋は、合掌袋に限定されず、例えば、1枚の包装フィルムを用いて形成した二方袋、2枚の包装フィルムを用いて形成した三方袋、1または複数枚の包装フィルムを用いて形成したガゼット袋、等も採用可能である。
【0034】
青果物梱包体10の梱包材部に収容する青果物包装体50は、包装フィルムによって青果物を包装したものであれば良く、包装袋内に青果物を収容したものに限定されない。
袋内外への空気流通が可能なサイズの開口部が存在しない包装フィルムあるいは微細孔形成フィルム(包装フィルム)を用いて青果物を包装した場合は、包装フィルムによって、フィルム内側と外側との間の空気流通が規制または抑制される。その結果、青果物からの水分蒸散を抑制できるとともに、包装フィルムに取り囲まれた内側を青果物自体の呼吸によって大気と比べて低酸素、高炭酸ガスの環境とすることができる。
【0035】
青果物包装体は、包装フィルムの穴開きを防止できれば、包装フィルムに取り囲まれた内側が大気と比べて低酸素、高炭酸ガスの状態を安定に保つことができ、青果物の鮮度保持を安定に実現できる。
青果物包装体に使用される密封タイプの包装袋は、通気孔等の空気流通可能な開口部が存在しない無孔タイプの包装フィルムによって形成される。密封タイプの包装袋を使用した青果物包装体は、包装袋の穴開きを防止できれば、包装袋内側が大気と比べて低酸素、高炭酸ガスの状態を安定に保つことができる。
微細孔形成フィルムによって形成された包装袋を使用した青果物包装体も、包装袋の穴開きを防止できれば、包装袋内側が大気と比べて低酸素、高炭酸ガスの状態を安定に保つことができる。
【0036】
青果物梱包体の梱包材部は、例えば、図1(a)、(b)に示すように外装箱12と外装箱12内に設けられる内袋13とを有する構成(内袋使用型梱包材部11)や、図2(a)、(b)に示すように、外装箱12と、外装箱12内面に沿って配置されるシート状の内蔵フィルム22とを有する構成(フィルム介装型梱包材部21)を採用可能である。
図1(a)、(b)の内袋13は、その内面全体を形成する接触樹脂部を含む。
【0037】
図3に示すように、梱包材部は、箱基材32に層状に設けられた接触樹脂部33(以下、接触樹脂層、とも言う)が箱内面34を形成する構成の外装箱31(樹脂層付き外装箱)、であっても良い。図3の樹脂層付き外装箱31は梱包材部全体を構成する。
図4に示すように、梱包材部は、箱内面を形成する全ての構成部材が接触樹脂部によって形成された外装箱(接触樹脂外装箱41)であっても良い。接触樹脂外装箱41の内面41a(箱内面)は、その全体が、接触樹脂外装箱41の接触樹脂部が形成する包装体接触面によって構成されている。
【0038】
図1(a)、(b)は、外装箱12と外装箱12内に設けられた内袋13とを有する梱包材部11、及び青果物が包装フィルムによって包装された青果物包装体50が梱包材部11の内袋13内側に複数収容された構成の青果物梱包体10(第1実施形態)を示す。
【0039】
内袋13は、例えばポリエチレンフィルム等の柔軟なフィルムによって形成されている。内袋13は外装箱12内に設けられた内蔵フィルムである。内袋13は、外装箱12内面全体を覆うことが可能なサイズを有し、外装箱12内面全体に沿って配置されている。青果物包装体50は内袋13内に収容され、外装箱12に直接接触しないようになっている。
【0040】
図1(a)、(b)の梱包材部11の外装箱12は段ボール箱である。
段ボール箱である外装箱12は、1または複数枚の段ボールシートによって形成されている。
【0041】
図1(a)、(b)に示す外装箱12は、4枚の側板12aによって角筒状に形成された側壁部12bと、側壁部12bの軸線方向一端内側を塞ぐ底壁部12cと、側壁部12bの軸線方向他端内側の開口部(以下、上部開口部、とも言う)を塞ぐ天壁部12dとを有する。
【0042】
底壁部12cは、側壁部12bの軸線方向一端から延出された複数の底壁形成板12eを閉じ合わせ、粘着テープ等の接合用資材を用いて底壁形成板12e同士の閉じ合わせ状態を維持して構成される。
底壁部12cは、底壁形成板12e同士の係合によって組み立てられたものであっても良い。
また、底壁部12cは、複数の底壁形成板12eによって組み立てられた構成に限定されず、外装箱12を形成する段ボールシートに確保された1枚の板状部によって全体が形成された構成であっても良い。
【0043】
天壁部12dは、側壁部12bの軸線方向他端から延出された複数の天壁形成板12fを閉じ合わせ、粘着テープ等の接合用資材を用いて天壁形成板12f同士の閉じ合わせ状態を維持して構成される。
天壁部12dは、天壁形成板12f同士の係合によって組み立てられたものであっても良い。
【0044】
外装箱12の天壁形成板12fは、接合用資材を用いた天壁形成板12f同士の閉じ合わせ状態の維持、あるいは天壁形成板12f同士の係合、を行なっていない状態では、側壁部12bに対して天壁形成板12fと側壁部12bとの境界部を構成する折り曲げ部12gを中心に回転可能であり、回転によって側壁部12bの上部開口部を開閉できる。
天壁形成板12fは、外装箱12において開閉操作可能な開閉部を構成する。
【0045】
内袋13は、その全体が接触樹脂部である樹脂フィルム(フィルム)によって形成された構成を採用できる。
また、内袋13を形成するフィルムは、樹脂、紙、金属箔等からなる基材層と接触樹脂部の層(接触樹脂層)とを含む複数層が積層一体化された多層フィルム(フィルム)であっても良い。但し、この多層フィルムはその厚み方向両端の最外層(表層部)の一方または両方が接触樹脂層である構成のものを採用する。この多層フィルムは、最外層の接触樹脂層が内袋13の内側となる向きで内袋13の形成に使用される。この多層フィルムによって形成された内袋13の内面13aは、多層フィルムの最外層の接触樹脂層の片面(基材層とは逆側の露出面)である。
【0046】
内袋13は、その内面13a全体を形成する接触樹脂部を有するものである。
内袋13の内面13aは、内袋13内に収容された青果物包装体50が接触される包装体接触面の役割を果たす。
【0047】
内袋13を形成するフィルム(以下、内袋形成フィルム、とも言う)はその厚みが10 ~150μm程度のものを好適に採用できる。
内袋13は柔軟性に優れ、外装箱内面に対する追従性を充分に確保でき、外装箱内面全体に接触させることが可能なものを採用する。
【0048】
青果物梱包体10を組み立てるには、側壁部12bの軸線方向一端内側の開口部が底壁部12cによって塞がれた外装箱12を用意し、開放状態とされた側壁部12bの上部開口部から青果物包装体50を予め外装箱12内に収容した内袋13内に挿入、収容した後、外装箱12の天壁部12dを組み立てて側壁部12bの上部開口部を塞ぐ。
青果物梱包体10を組み立てることは、梱包材部11を用いて青果物包装体50を梱包することに該当する。
【0049】
組み立て状態の青果物梱包体10は、天壁部12dに設けられた接合用資材を撤去(あるいは天壁形成板12f同士の係合解除)して天壁形成板12fを側壁部12bに対して回転させることで天壁部12dを解体して側壁部12bの上部開口部を開放できる。
側壁部12bの上部開口部を開放すれば、青果物梱包体10内の青果物包装体50を内袋13から上部開口部を介して箱外へ取り出すことができる。
【0050】
外装箱内に収容される内袋13を含む構成の梱包材部を、以下、内袋使用型梱包材部、とも言う。
内袋使用型梱包材部の外装箱は段ボール箱に限定されず、例えば、角筒状の側壁部及び側壁部の軸線方向一端内側を塞ぐ底壁部を備える箱本体と、側壁部における底壁部とは逆側の上端部内側の上部開口部を開閉する蓋部材とを有する構成も採用可能である。蓋部材は、側壁部上端部にヒンジ部を介して連結されヒンジ部を中心とする回転によって側壁部の上部開口部を開閉するもの、箱本体から撤去可能で側壁部上端部への脱着によって側壁部の上部開口部を開閉可能なもの、等を採用可能である。
【0051】
また、内袋使用型梱包材部の外装箱の形成材料は、段ボールシート以外に、合成樹脂、木材や合板等の木質材、金属板等も採用可能である。
箱本体と、箱本体とは別体の蓋部材とを有する外装箱の箱本体及び蓋部材の形成材料は互いに同じでも良いし異なっていても良い。
合成樹脂製の外装箱は、例えば、角筒状の側壁部と、側壁部の軸線方向一端内側を塞ぐ板状の底壁部と、側壁部における底壁部とは逆側の上端部に側壁部に対して回転自在に設けられて側壁部上端部内側の上部開口部を開閉する蓋板部とを有する、一体成形品(いわゆるプラ段)も採用可能である。
【0052】
図2(a)、(b)は、フィルム介装型梱包材部21の一例、及び、青果物包装体50をフィルム介装型梱包材部21を用いて梱包した青果物梱包体20(第2実施形態)を示す正断面図である。
フィルム介装型梱包材部21は、内袋使用型梱包材部について内袋13にかえて外装箱内に収容されるシート状の内蔵フィルム22を使用するものである。
【0053】
フィルム介装型梱包材部21の外装箱は、内袋使用型梱包材部の外装箱として使用可能な種々構成のものを採用できる。
図2(a)、(b)に例示したフィルム介装型梱包材部21は、図1(a)、(b)に例示した外装箱12を使用している。
【0054】
内蔵フィルム22は袋状ではなくシート状に形成されている。
内蔵フィルム22は、内袋13に使用可能なフィルムと同様の構成のフィルムを採用できる。
また、内蔵フィルム22は、接触樹脂部が外装箱12内側となる向きで外装箱12内に設けられている。
【0055】
フィルム介装型梱包材部21の内蔵フィルム22は外装箱12とは別体のフィルムである。図2(a)、(b)に示すように、内蔵フィルム22は、外装箱12に青果物包装体50を収容して梱包する際に、外装箱12内面と外装箱12内に収容する青果物包装体50との間に介装配置される。
青果物梱包体20において、内蔵フィルム22は、箱状に組み立てた状態の外装箱12の側壁部12b内面、底壁部12c内面、天壁部12d内面、に沿って、外装箱12内面全体を覆うように配置される。
【0056】
図2(a)、(b)では、外装箱12の側壁部12b内面に沿って配置された内蔵フィルム22、底壁部12c内面に沿って配置された内蔵フィルム22、天壁部12d内面に沿って配置された内蔵フィルム22の複数の内蔵フィルム22を含む構成の梱包材部21を例示した。但し、内蔵フィルム22は、適宜屈曲させて、外装箱12の側壁部12b内面、底壁部12c内面、天壁部12d内面から選択される複数に沿って配置したものが存在していても良い。フィルム介装型梱包材部21の内蔵フィルム22は1枚のみであっても良い。
【0057】
内蔵フィルム22の外装箱12の天壁部12d内面に沿って配置された部分は、天壁部12dに取り付けずに外装箱12内に設けられ、側壁部12bの上部開口部が開放された状態において外装箱12から撤去可能とされている。
内蔵フィルム22の外装箱12の天壁部12d内面に沿って配置された部分は、外装箱12の側壁部12bの上部開口部が開放された状態において外装箱12から撤去することで、青果物包装体50の側壁部12bに対する挿入、取り出しの障害にならない。
【0058】
図3は、樹脂層付き外装箱31の一例、及び、青果物包装体50を樹脂層付き外装箱31内に収容して梱包した青果物梱包体30(第3実施形態)を示す部分正断面図である。
樹脂層付き外装箱31の箱基材32は、内袋使用型梱包材部の外装箱として使用可能な種々構成のものを採用できる。
図3に例示した樹脂層付き外装箱31は、図1(a)、(b)の青果物梱包体10の外装箱12を箱基材32に用いている。
【0059】
図3に示すように、樹脂層付き外装箱31の接触樹脂層33は、外装箱12における、箱状の組み立て状態とした樹脂層付き外装箱31内側に向けられる面に形成されている。接触樹脂層33は、樹脂層付き外装箱31を箱状の組み立て状態としたときの箱内面34全体を形成するように外装箱12に形成されている。接触樹脂層33は、樹脂層付き外装箱31の箱内面34を形成する表層部である。
図3において、接触樹脂部33は、外装箱12の側壁部12b内面だけでなく、底壁形成板12e及び天壁形成板12fの外装箱12内側に向けられる側の面全体にも形成されている。
【0060】
接触樹脂層33は、例えば、外装箱12に被着一体化されたフィルム(以下、ライニングフィルム、とも言う)の樹脂層(特に、樹脂フィルムにおいて外装箱12とは逆側の面を形成する樹脂層)を採用できる。ライニングフィルムは、図1(a)、(b)に例示した内袋13の形成に使用可能なフィルムを用いることができる。ライニングフィルムは、フィルム片面を形成する接触樹脂層を含み、接触樹脂層が形成するフィルム片面が樹脂層付き外装箱31の箱内面34を形成する向きで外装箱12に被着一体化される。
外装箱12が段ボール箱である場合は、例えば、段ボールシートの片面側にライニングフィルムがラミネート(被着一体化)されたフィルム付き段ボールシートを用いて作製された段ボール箱を好適に採用できる。
【0061】
樹脂層付き外装箱31の接触樹脂層33は、外装箱12に塗布した硬化性液状樹脂材料の硬化等によっても形成できる。
ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる接触樹脂層33は、その形成樹脂を加熱溶融したもの(硬化性液状樹脂材料)を外装箱12に塗布後、冷却硬化させて形成できる。
外装箱12が段ボール箱である場合は、例えば、段ボールシートの片面側への硬化性液状樹脂材料の塗布、硬化によって接触樹脂層33が形成された樹脂層付き段ボールシートを用いて作製された段ボール箱を好適に採用できる。
【0062】
外装箱12は段ボール箱等、内袋使用型梱包材部の外装箱として使用可能な種々構成のものを採用可能であるが、合成樹脂製の外装箱は段ボール箱等に比べて凹凸の少ない滑らかな箱表面を形成することが容易である。青果物包装体の包装フィルムの摺動による摩耗を抑制する点では、接触樹脂層33が形成する包装体接触面の凹凸を少なくすることが有利である。合成樹脂製の外装箱は滑らかな箱表面を容易に形成できるため、接触樹脂層33が形成する包装体接触面の凹凸を少なくする点では合成樹脂製の外装箱を採用することが有利である。
【0063】
樹脂層付き外装箱31の箱内面34は、その全体が接触樹脂層33に形成された面となっている。接触樹脂層33の箱基材32とは逆側の面のうち箱内面34を形成する部分は包装体接触面の役割を果たす。箱内面34はその全体が包装体接触面に該当する。
【0064】
なお、接触樹脂層33は、樹脂層付き外装箱31における箱内面34を形成する部分のみに設けられていても良い。
接触樹脂層33は、例えば、外装箱12の底壁形成板12e及び天壁形成板12fのうち、底壁形成板12e同士、天壁形成板12f同士が互いに重なり合って接触樹脂層33が箱内面34を形成し得ない領域には必ずしも形成されていなくても良い。
【0065】
樹脂層付き外装箱31は、外装箱12を形成する段ボールシートの外装箱12内側に向けられる側の面に接触樹脂層33が形成された点以外は図1(a)、(b)の外装箱12と同様の構成になっている。
樹脂層付き外装箱31は、外装箱12の側壁部12b内面側に接触樹脂層33が形成された側壁部と、接触樹脂層33が形成された天壁形成板12fの側壁部に対する回転によって側壁部の上部開口部を開閉可能な天壁部(開閉部)とを有する。
【0066】
図3に示す青果物梱包体30を組み立てるには、側壁部の上部開口部とは逆側の開口部が接触樹脂層33付きの底壁部12cによって塞がれた外装箱12を用意し、側壁部にその開放状態とされた上部開口部から青果物包装体50を挿入、収容した後、天壁部を組み立てて側壁部の上部開口部を塞ぐ。
青果物梱包体30を組み立てることは、梱包材部31を用いて青果物包装体50を梱包することに該当する。
【0067】
図4は、接触樹脂外装箱41の一例、及び、青果物包装体50を接触樹脂外装箱41内に収容して梱包した青果物梱包体40(第4実施形態)を示す正断面図である。
図4に例示した接触樹脂外装箱41は、角筒状の側壁部42a及び側壁部42aの軸線方向一端内側を塞ぐ底壁部42bを備える箱本体42と、箱本体42の側壁部42aにおける底壁部42bとは逆側の上端部に脱着されて側壁部42a上端部内側の上部開口部を開閉する蓋部材43とを有する。箱本体42及び蓋部材43は、それぞれ、その全体が接触樹脂部の形成樹脂からなる1又は複数の部材によって構成されている。
【0068】
なお、接触樹脂外装箱の構造は、図4に例示した構造のものに限定されず、内袋使用型梱包材部の外装箱として使用可能な種々構造のものを採用できる。
接触樹脂外装箱は、例えば、接触樹脂部によって図1(a)、(b)に例示した外装箱12と同様の構造に形成されたもの等も採用可能である。
【0069】
接触樹脂外装箱は、軽量化等の点で、少なくとも側壁部及び底壁部が接触樹脂部の形成樹脂の発泡体(合成樹脂発泡体)によって形成された構成を好適に採用できる。例えば、図4の接触樹脂外装箱41は、箱本体42及び蓋部材43のうち少なくとも箱本体42が接触樹脂部の形成樹脂の合成樹脂発泡体の一体成形品である構成を好適に採用できる。
但し、接触樹脂外装箱は、合成樹脂発泡体を含む構成に限定されず、箱内面を形成する全ての構成部材が気泡を含まない中実の樹脂部材(ソリッド樹脂部材)である構成を採用できる。
【0070】
なお、内袋使用型梱包材部の外装箱、フィルム介装型梱包材部の外装箱、樹脂層付き外装箱の外装箱は、ソリッド樹脂部材のみによって構成されたもの、合成樹脂発泡体のみによって構成されたもの、ソリッド樹脂部材及び合成樹脂発泡体の両方を用いて構成されたもの、のいずれも採用可能である。
【0071】
次に、図5図6を参照して、青果物包装体50の一例を説明する。
すでに述べたように、図5図6に例示した青果物包装体50は1枚の包装フィルムによって形成された合掌袋である包装袋51に青果物52を収容したものである。
【0072】
図6に示すように、青果物包装体50の包装袋51は、包装フィルムの両側の端部同士のシールによって筒状に形成された筒状胴部51aと、包装フィルムにおける筒状胴部51a軸線方向両側がシールされた端部シール部51bと、包装フィルムの両側の端部同士のシール部である背貼り部51cとを有する。
背貼り部51cは包装袋51の筒状胴部51aの軸線方向に沿って延在形成されている。
【0073】
包装袋51を形成する包装フィルムは、筒状胴部51a軸線方向両側の端部シール部51b及び背貼り部51cを開放して展開したときの形状が長方形である。
図5に示すように、包装袋51の背貼り部51cは、長方形の包装フィルムの長手方向の端部同士をヒートシールによって密封したシール部である。
図6に示す包装袋51の端部シール部51bは、長方形の包装フィルムの短手方向の端部をヒートシールによって密封したシール部である。
【0074】
包装袋51を形成する包装フィルムは高い柔軟性を有する。図5に示す包装袋51の筒状胴部51aは包装袋51内の青果物52によって筒状に膨らんだ状態となっている。
図5に示すように、包装袋51の周方向に均等の2箇所には包装フィルムが屈曲成形された折れ角部51dが形成されている。一対の折れ角部51dは筒状胴部51a軸線方向に延在形成されている。
【0075】
図5に示すように、包装袋51は一対の折れ角部51d間に位置する一対の袋面形成フィルム部(前面フィルム部51e及び背面フィルム部51f)を有する。
包装袋51の背貼り部51cは背面フィルム部51fから包装袋51外側へ延出するフィン状に形成されている。
図6に示すように包装袋51の一対の袋面形成フィルム部51e、51fは矩形状に形成されている。一対の袋面形成フィルム部の周囲は一対の端部シール部51bと一対の折れ角部51dとによって取り囲まれている。
【0076】
青果物包装体50は、青果物52を包装袋51を用いて脱気包装し収容したもの、包装袋51内を脱気せずに青果物52を包装袋51によって包装、収容したもの、のいずれも採用可能である。
青果物52の脱気包装は、通気孔等の空気流通可能な開口部が無い無孔タイプの包装フィルムを用いて形成された包装袋51内に青果物52を密封包装する。青果物52を包装袋51を用いて脱気包装した青果物包装体50の包装袋51内側の気圧は大気圧に比べて低くなっている。
【0077】
本発明に係る実施形態の青果物輸送方法は、青果物包装体50を梱包材部に収容、梱包して青果物梱包体を組み立て、この青果物梱包体を輸送する、ものである。
梱包材部は、青果物包装体50が接触する面全体が、接触樹脂部が形成する包装体接触面となっている。梱包材部に収容された青果物包装体50は、梱包材部に対しては、青果物包装体50の包装フィルムの1000回往復摺動試験による厚み減少量が99%以下の接触樹脂部のみに接触する。
このため、この輸送方法では、青果物梱包体を例えばトラック等の車両を用いて輸送したとき、輸送中の振動によって梱包材部内面に対して青果物包装体50の包装袋が摺動しても包装袋を形成する包装フィルムの摩耗を生じにくく、包装フィルムの穴開きを防ぐことができる。
【0078】
図7は、1000回往復摺動試験に使用する試験装置(往復摺動試験装置)を示す。
図7に示す往復摺動試験装置60は、フィルム(供試受け側材F1)が載置される平坦な受け側材支持面61aを有する受け側材支持台61と、フィルム治具63の受け側材支持台61の受け側材支持面61aに沿う方向の往復動によりフィルム治具63に巻き掛けた供試フィルムF2を受け側材支持面61a上の供試受け側材F1に摺動させるフィルム往復動装置62とを有する。
【0079】
図7に示すように、フィルム往復動装置62は、フィルム治具63と、フィルム治具63を受け側材支持台61の受け側材支持面61aに沿って往復動させる治具往復動装置64とを有する。
フィルム治具63は、下方(図7下側)に行くにしたがって先細りの四角錐状に形成されたテーパ状下端部63aを有する。フィルム治具63は、治具往復動装置64によって、その中心軸線(テーパ状下端部63aの軸線)が受け側材支持台61の受け側材支持面61aに垂直の向きで受け側材支持面61a上に支持された状態で受け側材支持台61の受け側材支持面61a上を受け側材支持面61aに沿った方向に往復動される。
【0080】
図7に示すように供試フィルムF2は、フィルム治具63のテーパ状下端部63aにその下端の尖端を含んで覆うように設けられる。また、供試フィルムF2は、テーパ状下端部63aを覆う部分から上方へ延在させた部分をフィルム治具63上側に設けられたフィルム固定機構65に把持固定してテーパ状下端部63aを覆った状態を維持する。供試フィルムF2は、フィルム治具63のテーパ状下端部63aの下端の尖端を含む部分に密着した状態でフィルム治具63に取り付けられる。
【0081】
供試フィルムF2におけるフィルム治具63の四角錐状のテーパ状下端部63a下端の尖端を覆う部分にはテーパ状下端部63aのテーパ形状によって擬似的に折れ角部が形成される。
【0082】
テーパ状下端部63aは、その軸線(下端の尖端を通る軸線)に垂直の断面が長方形状の四角錐状に形成されている。テーパ状下端部63aは、その軸線に垂直の断面長手方向がフィルム治具63の受け側材支持台61に対する往復動方向に垂直、断面短手方向がフィルム治具63の受け側材支持台61に対する往復動方向に平行、となる向きで治具往復動装置64によって支持される。
【0083】
フィルム治具63のテーパ状下端部63a下端の尖端は、四角錐状のテーパ状下端部63aの上端が位置する仮想平面(上端仮想平面)の中心を通り上端仮想平面に垂直の直線上に位置する。テーパ状下端部63aの軸線は、四角錐状のテーパ状下端部63aの上端仮想平面の中心を通り上端仮想平面に垂直の直線である。
【0084】
テーパ状下端部63aの受け側材支持台61に対する往復動方向に一致する方向における断面(下端の尖端を含む断面)の開き角(以下、横断面開き角、とも言う)は4~11度である。テーパ状下端部63aの受け側材支持台61に対する往復動方向に垂直の断面(下端の尖端を含む断面)の開き角(以下、縦断面開き角、とも言う)は80~120度である。
【0085】
フィルム治具63は金属製部材あるいは樹脂製部材を採用することが好ましい。金属製のフィルム治具63の形成金属は、例えば、ステンレス、鉄、炭素鋼、アルミニウム、銅-亜鉛合金、銅-ニッケル合金、等を採用できる。樹脂製のフィルム治具63の形成樹脂は、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン等を採用できる。
【0086】
往復摺動試験装置60のフィルム往復動装置62は、フィルム治具63に取り付けた供試フィルムF2をフィルム治具63とともに、受け側材支持台61に取り付けられて受け側材支持台61の受け側材支持面61aに沿って配置された供試受け側材F1に対して200gの押圧荷重を作用させて押圧しながら治具往復動装置64によって往復動させる。その結果、フィルム治具63に取り付けた供試フィルムF2を、フィルム治具63のテーパ状下端部63a下端の尖端によって供試受け側材F1に対して押圧、接触された状態を維持して摺動させる。供試フィルムF2は、フィルム治具63のテーパ状下端部63a下端の尖端によって供試受け側材F1に対して点接触あるいは点接触に近い僅かな接触面積で押圧、接触される。
治具往復動装置64は、フィルム治具63を、受け側材支持台61の受け側材支持面61aに対して10cmの往復動ストロークで1分間に10~20回往復動させる。
【0087】
図7に示す往復摺動試験装置60を使用した、青果物包装体50の包装フィルムの梱包材部の接触樹脂部の形成樹脂に対する1000回往復摺動試験では、梱包材部の接触樹脂部の形成樹脂によって形成された表層部(以下、接触樹脂表層部、とも言う)を含む供試受け側材F1を用いる。また、供試フィルムF2として青果物包装体50の包装フィルムを用いる。そして、供試受け側材の接触樹脂表層部に供試フィルムF2として用いた包装フィルムを1000回往復摺動させる。
【0088】
図7において、供試受け側材F1はシート状に形成されたものを用いている。図7のシート状の供試受け側材F1は受け側材支持台61の受け側材支持面61aに沿って配置し、受け側材支持台61に設けられた受け側材固定機構66によって把持固定して受け側材支持台61の受け側材支持面61aに沿って配置した状態を維持する。但し、供試受け側材F1は、接触樹脂表層部が受け側材支持台61の受け側材支持面61aとは逆側に存在する向きで受け側材支持面61a上に配置した状態を維持する。
【0089】
なお、受け側材支持台61はシート状の供試受け側材F1以外、例えば板状、ブロック状等の種々形状の供試受け側材F1を受け側材支持面61a上に配置した状態に固定できる。受け側材固定機構66は、受け側材支持面61a上に配置した供試受け側材F1の形態に応じて、供試受け側材F1を受け側材支持面61a上に配置した状態に固定可能なものを選択使用可能である。
但し、受け側材支持面61a上に配置する供試受け側材F1は、受け側材支持面61a上にガタ付くことなく安定固定可能、且つ、受け側材支持面61aに固定したときに受け側材支持面61aとは逆側に受け側材支持面61aに沿う方向のフィルム治具63の往復動に依る供試フィルムF2の安定摺動が可能な平面を有するもの、を採用する。
【0090】
包装フィルムは、フィルム治具63のテーパ状下端部63aの下端の尖端を含む部分を覆ってフィルム治具63上側のフィルム固定機構64に把持固定してフィルム治具63に対する取り付け状態を維持する。フィルム治具63に取り付けた包装フィルムには、フィルム治具63のテーパ状下端部63aによって、青果物包装体の包装袋の折れ角部が擬似的に形成される。
【0091】
図7に示す往復摺動試験装置60を使用した1000回往復摺動試験では、フィルム治具63に取り付けた包装フィルムに形成された折れ角部を受け側材支持台61の受け側材支持面61a上に配置された供試受け側材F1の接触樹脂表層部に往復摺動させる。
【0092】
接触樹脂部の形成樹脂は、供試受け側材F1の表層部に対する1000回往復摺動試験(但し、テーパ状下端部の尖端によって200gの押圧荷重を作用させて、ストローク100mm且つ20回/分の条件を維持して1000回往復動)による包装フィルムの厚み減少(厚み減少量)が99%以下のものを採用できる。
包装フィルムの供試受け側材F1の表層部に対する1000回往復摺動試験による減少(厚み減少量)(%)は、包装フィルムの1000回往復摺動試験による厚み寸法の減少量の、1000回往復摺動試験の実施前の包装フィルムの厚み寸法に対する割合(%)を指す。
【0093】
一般に紙製の段ボールシートは、樹脂部材表面に比べて表面粗さが大きく、樹脂部材表面と同等の滑らかな面を形成することは困難である。
図7に示す往復摺動試験装置60を利用して、紙製の段ボールシートを供試受け側材F1に使用してフィルム治具に取り付けた包装フィルムの1000回往復摺動試験を行なった場合、包装フィルムの厚み減少量は供試受け側材F1に滑らかな表面を有する樹脂部材を用いた場合に比べて大きくなる傾向がある。
梱包材部に接触樹脂部を設けることは、段ボールシート等の外装箱の接触樹脂部が存在しない部分への青果物包装体の包装フィルムの直接接触、及びそれによる摩耗に起因する穴開きを防ぎ、包装袋内側の酸素濃度及び炭酸ガス濃度をそれぞれ一定範囲内に保つこと
に有効に寄与する。
【実施例
【0094】
本発明者は、試作した梱包材部に青果物包装体を収容した青果物梱包体(実施例1~4)、及び段ボール箱に青果物収容体を収容した比較例梱包体(比較例1~5)を用意し、青果物梱包体及び比較例梱包体のそれぞれについてトラックを用いて輸送する輸送試験(検証試験。輸送距離約600km)を行ない、輸送後の青果物包装体の包装フィルム(具体的には包装袋)のピンホール(穴開き)の有無を確認した。
その結果を表1に纏めて示した。
【0095】
【表1】
【0096】
青果物包装体は、緑豆もやし200gを密封タイプの包装袋を用いて脱気包装したもやし包装体を用いた。もやし包装体は、もやしを2層CPP/PEフィルム(包装フィルム)製の包装袋を用いて脱気包装したもやし包装体(表1の実施例1~4、比較例1~4)、及びもやしを二軸延伸ポリプロピレンフィルム(包装フィルム。表1の比較例5の「包装体フィルム種類」欄の「OPP」)製の密封タイプの包装袋を用いて脱気包装したもやし包装体(表1の比較例5)を用意した。各もやし包装体の包装袋は合掌袋である(図5図6参照)。
【0097】
但し、表1に示すように、もやし包装体は、もやしをフィルム厚25μmの2層CPP/PEフィルムを用いて形成した包装袋に収容した第1もやし包装体、及びもやしをフィルム厚30μmの2層CPP/PEフィルムを用いて形成した包装袋に収容した第2もやし包装体、もやしをフィルム厚25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いて形成した包装袋に収容した第3もやし包装体(第5比較例)、の3種を用意した。
【0098】
表1の「包装体フィルム厚」は、各もやし包装体の包装袋を形成する包装フィルムのフィルム厚を指す。
なお、第1もやし包装体、第2もやし包装体のそれぞれの包装袋は、使用した包装フィルムのフィルム厚以外の構成(材質、面方向外寸、容積等)が互いに同様のものを使用している。
【0099】
試作した梱包材部は、段ボール箱(外装箱)と段ボール箱に収容される内袋とを有する構成のもの(表1の実施例1、2の「包装」欄の「段ボールA+PE内袋」。内袋使用型梱包材部)、及び発泡ポリスチレン製の接触樹脂外装箱(表1の実施例3、4の「包装」欄の「発泡箱」。以下、発泡箱、とも言う)を用意した。
【0100】
内袋使用型梱包材部(実施例1、2)の段ボール箱は、30個のもやし包装体(もやし包装体)を1列に5個配列させた段を6段重ねにした場合の安定収容に適する内寸を有するもの(段ボールA)である。
内袋使用型梱包材部の内袋は、具体的には、もやし包装体の包装フィルムの1000回往復摺動試験による厚み減少量が99%以下の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムによって形成されたものを用いた。内袋に使用した直鎖状低密度ポリエチレンフィルムのフィルム厚は25μmである。
【0101】
もやし包装体の包装フィルムの内袋使用型梱包材部の内袋の形成フィルムに対する1000回往復摺動試験は図7に示す往復摺動試験装置60を用いて行なった。
フィルム治具63はステンレスによって形成されたものを用いた。
使用したフィルム治具63のテーパ状下端部63aは、40mmの高さ寸法(テーパ状下端部63aの軸線方向寸法)を有する四角錐状である。このフィルム治具63のテーパ状下端部63aの上端仮想平面は、摺動方向5mm、摺動方向に垂直方向90mm、の長方形状である。テーパ状下端部63aのその軸線を通る摺動方向の断面の開き角(横断面開き角)は約7.2度、テーパ状下端部63aのその軸線を通る摺動方向に垂直の断面の開き角(縦断面開き角)は約96.8度である。
【0102】
もやし包装体の包装フィルムの内袋使用型梱包材部の内袋に対する1000回往復摺動試験は、内袋に使用した直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを受け側材支持台61に取り付けて受け側材支持面61a上に配置し、もやし包装体の包装フィルムを取り付けたフィルム治具63を受け側材支持面61a上のフィルムに対して10cmの往復動ストロークで1分間に10~20回往復動させて行なった。
なお、往復摺動試験装置60を用いた1000回往復摺動試験において、フィルム治具63の1分間の往復動回数が10~20回の範囲であれば、受け側材支持面61a上のフィルムに対するフィルム治具63に取り付けた包装フィルムの厚み減少量は、フィルム治具63の1分間の往復動回数に依らず実質的に同等の結果が得られる。
【0103】
表1の実施例1の青果物梱包体は、段ボールAと内袋とを有する構成の梱包材部(表1の「包装」欄の「段ボールA+PE内袋」を用いて、第1もやし包装体(フィルム厚25μm)を段ボール箱Aの底壁部に沿う平置きの向きで1列に5個配列させた段を4段重ねにして20個を収容、梱包したものである。
実施例2の青果物梱包体は、実施例1の青果物梱包体について第1もやし包装体にかえて第2もやし包装体(フィルム厚30μm)を採用したものである。実施例2の青果物梱包体内のもやし包装体の数(表1の「包装体数」)、向き、及び1列に5個配列させた段を4段重ねにした収容状態は実施例1と同様である。
【0104】
実施例3、4にて使用した発泡箱は、図4に例示したように、角筒状の側壁部42a及び側壁部42aの軸線方向一端内側を塞ぐ底壁部42bを備える箱本体42と、箱本体42の側壁部42aにおける底壁部42bとは逆側の上端部に脱着されて側壁部42a上端部内側の上部開口部を開閉する蓋部材43とを有する構造のものである。この発泡箱の箱本体42及び蓋部材43は、それぞれ発泡ポリスチレン製の一体成形品である。
この発泡箱の箱本体42及び蓋部材43は、それぞれもやし包装体の包装フィルムの1000回往復摺動試験による厚み減少量が99%以下の発泡ポリスチレンによって形成されている。
【0105】
もやし包装体の包装フィルムの発泡箱を形成する発泡ポリスチレンに対する1000回往復摺動試験は、もやし包装体の包装フィルムの内袋使用型梱包材部の内袋の形成フィルムに対する1000回往復摺動試験について、内袋の形成フィルムを発泡箱から切り出した厚さ10mmの板材に変更して実施した。
【0106】
発泡箱は、30個のもやし包装体を安定収容可能な内寸を有するものを用いた。
実施例3は発泡箱に20個の第1もやし包装体を収容した青果物梱包体、実施例3は発泡箱に20個の第2もやし包装体を収容した青果物梱包体、をそれぞれ使用したものである。
なお、実施例3、4の青果物梱包体は、もやし包装体を発泡箱に内袋等を使用することなく直接収容したものである。発泡箱内のもやし包装体は発泡箱内面に直接接触可能な状態になっている。
また、実施例3、4の青果物梱包体では、20個のもやし包装体を向きを揃えず、ランダムな向きで発泡箱に収容している。
【0107】
表1の比較例1の比較例梱包体は、第1もやし包装体を段ボール箱Aに段ボール箱Aの底壁部に沿う平置きの向きで1列に5個配列させた段を4段重ねにして20個を収容、梱包したものである。
比較例2の比較例梱包体は、比較例1について、第1もやし包装体にかえて第2もやし包装体を採用したものである。比較例2の比較例梱包体内のもやし包装体の数(表1の「包装体数」)、向き、及び1列に5個配列させた段を4段重ねにした収容状態は比較例1と同様である。
【0108】
表1の比較例3、4の比較例梱包体は、段ボールAに比べて底壁部の面方向サイズ、側壁部の断面サイズが大きい段ボール箱Bを使用するものである。
段ボール箱Bは、もやし包装体を段ボール箱Bの底壁部に沿う平置きの向きで5個ずつ2列に配列させた段を3段重ねにして30個収容した場合の安定収容に適する内面寸法を有するものである。
【0109】
比較例3の比較例梱包体は、第1もやし包装体を段ボール箱Bに段ボール箱Bの底壁部に沿う平置きの向きで5個ずつ2列に配列させた段を2段重ねにして20個を収容、梱包したものである。
比較例4の比較例梱包体は、比較例3について第1もやし包装体にかえて第2もやし包装体を採用したものである。比較例2の比較例梱包体内のもやし包装体の数(表1の「包装体数」)、向き、及び5個ずつ2列に配列させた段を2段重ねにした収容状態は比較例3と同様である。
【0110】
比較例5の比較例梱包体は、20個の第3もやし包装体(もやしをフィルム厚25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム製の包装袋に収容したもやし包装体)を段ボール箱Aに内袋を使用せずに直接収容して梱包したものである。20個の第3もやし包装体は、段ボール箱Aにその底壁部に沿う平置きの向きで1列に5個配列させた段を4段重ねにして収容した。
【0111】
比較例1~5の比較例梱包体は、もやし包装体を段ボール箱に内袋等を使用することなく直接収容したものである。段ボール箱内のもやし包装体は段ボール箱内面に直接接触可能な状態になっている。
【0112】
トラックに積んで走行距離約600kmの輸送を行なった青果物梱包体、比較例梱包体は開封して、各もやし包装体の包装袋のピンホールの有無を確認した。
表1の「穴開き数」は、輸送試験後のピンホール確認にてピンホールの形成(穴開き)が確認されたもやし包装体の数を示す。
【0113】
表1の通り、接触樹脂部を有する梱包材部を用いた実施例1~4では、青果物梱包体の輸送試験後に包装袋にピンホールの形成(穴開き)が確認されたもやし包装体が存在しなかった。
比較例1~5は、いずれも、比較例梱包体の輸送試験後に包装袋にピンホールの形成(穴開き)が確認されたもやし包装体が存在した。
【0114】
比較例1と比較例3とは、使用した段ボール箱のみが異なる。
比較例2と比較例4とは、使用した段ボール箱のみが異なる。
段ボール箱Bを用いる比較例3は、段ボールAを使用した比較例1に比べて、比較例梱包体の輸送試験後に包装袋にピンホールが確認されたもやし包装体の数が少なかった。
段ボール箱Bを用いる比較例4は、段ボールAを使用した比較例2に比べて、比較例梱包体の輸送試験後に包装袋にピンホールが確認されたもやし包装体の数が少なかった。
【0115】
比較例1、2と比較例3、4との対比から、段ボールAよりも段ボールBの使用の方がもやし包装体の包装袋のピンホール形成の抑制の点で有利であることを把握した。
実施例1、2は、もやし包装体のピンホール形成抑制の点で段ボール箱Bよりも不利な段ボール箱Aを使用しているにも拘わらず、ピンホールの形成が確認されたもやし包装体が存在しなかった。
【0116】
比較例1と比較例5とは、もやし包装体の包装袋を形成するフィルムの材質のみが異なる。表1を参照して判るように、もやし包装体の包装袋を形成する包装フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムである比較例5は、包装袋を形成する包装フィルムが2層CPP/PEフィルムである比較例1に比べてピンホールが確認されたもやし包装体の数が少なかった。
また、比較例5は、もやし包装体の包装袋を形成する包装フィルムがフィルム厚30μmの2層CPP/PEフィルムである比較例2よりもピンホールが確認されたもやし包装体の数が少なかった。
また、比較例5のピンホールが確認されたもやし包装体の数は、比較例3よりも少なく、比較例4よりも多かった。
【0117】
比較例1~5のもやし包装体の包装袋のピンホールは、合掌袋である包装袋の両側の折れ角部(図5図6の折れ角部51dを参照)のうち、段ボール箱内面に接触配置あるいは接近配置されて輸送中の振動等により段ボール箱内面に接触し得る部分のみに存在していた。
包装袋において、互いに隣り合う包装袋の袋面形成フィルム部(図5図6の前面フィルム部51e及び背面フィルム部51f)同士が互いに重なるように接触して段ボール箱内面に接触し得えない領域にはピンホールは存在していなかった。
また、包装袋の袋面形成フィルム部における段ボール箱内面に直接接触する部分についてもピンホールの存在は確認できなかった。
【0118】
もやし包装体の包装袋のフィルム厚のみが異なる実施例1、2の対比、実施例3、4の対比、比較例1、2の対比、比較例3、4の対比では、第1もやし包装体に比べて包装袋のフィルム厚が大きい第2もやし包装体を使用した場合の方が、輸送試験後のもやし包装体の穴開き数が少なかった。
【0119】
実施例1、2は、接触樹脂部が内面を形成する内袋の使用がもやし包装体の包装袋のピンホール形成防止に有効に寄与したものと考えられる。
実施例3、4は、全体が接触樹脂部である発泡箱の採用がもやし包装体の包装袋のピンホール形成防止に有効に寄与したものと考えられる。
【0120】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
青果物包装体は、青果物から流出した果汁等の水分が通過可能なサイズの開口部が存在せず、袋外への水分漏出を防ぐ遮水性を有する遮水包囲タイプの包装袋に青果物を収容したものに限定されない。青果物包装体は、例えば、青果物が枚葉タイプの包装フィルムによって包み込まれ、青果物が包装フィルムによって空気の自由流通が遮断された内側の環境下にある構成のもの等も採用可能である。
【0121】
梱包材部の外装箱の具体的形状は、角筒状の側壁部を有する構成に限定されず、例えば円筒状の側壁部を有する構成、角筒状以外の六角形等の断面多角形状の側壁部を有する構成、等種々構成を採用できる。
外装箱は、側壁部と側壁部の軸線方向片端を塞ぐ底壁部とを有するものであれば良く、側壁部のその軸線方向において底壁部とは逆側の上部開口部を塞ぐ天壁部や蓋部材を有していない構成のもの(上部開放型外装箱)も採用可能である。上部開放型外装箱は、青果物包装体を収容して輸送に使用する際に、側壁部の上部開口部が開放状態のまま使用したり、あるいは図2(a)、(b)の内蔵フィルム22と同様の構成の被せフィルムを上部開口部から挿入するか粘着テープ等の取り付け材を用いて側壁部に上部開口部を塞ぐように取り付けた状態で使用する。被せフィルムは、その片面を形成する接触樹脂層が、上部開放型外装箱に収容した青果物包装体に臨む向きで使用する。
【符号の説明】
【0122】
10…青果物梱包体、11…梱包材部(内袋使用型梱包材部)、12…外装箱、12a…側板、12b…側壁部、12c…底壁部、12d…天壁部、12e…底壁形成板、12f…天壁形成板、12g…折り曲げ部、13…内袋、13a…包装体接触面(内袋内面)、20…青果物梱包体、21…梱包材部(フィルム介装型梱包材部)、22…内蔵フィルム、30…青果物梱包体、31…梱包材部(樹脂層付き外装箱)、32…箱基材、33…接触樹脂部(接触樹脂層)、34…箱内面、40…青果物梱包体、41…梱包材部(接触樹脂外装箱)、41a…箱内面、42…箱本体、42a…側壁部、42b…底壁部、43…蓋部材、50…青果物包装体、51…包装袋、52…青果物、51a…胴部、51b…端部シール部、51c…背貼り部、51d…折れ角部、51e…前面フィルム部、51f…背面フィルム部、60…往復摺動試験装置、61…受け側材支持台、61a…受け側材支持面、62…フィルム往復動装置、63…フィルム治具、63a…テーパ状下端部、64…治具往復動装置、65…(フィルム治具の)フィルム固定機構、66…(受け側材支持台の)受け側材固定機構、F1…供試受け側材、F2…供試フィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7