(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】シート製造装置
(51)【国際特許分類】
D04H 1/736 20120101AFI20231205BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20231205BHJP
B27N 3/04 20060101ALI20231205BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20231205BHJP
B02C 4/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
D04H1/736
D04H1/732
B27N3/04 Z
B02C18/14 A
B02C4/08
(21)【出願番号】P 2019158892
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】本橋 弘次
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163944(JP,A)
【文献】特開2016-113711(JP,A)
【文献】特開2016-113735(JP,A)
【文献】特開2016-160561(JP,A)
【文献】特開昭50-069306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0264391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
B27N1/00-9/00
B02C1/00-7/18
B02C15/00-17/24
B02C13/00-13/31
B02C18/00-18/38
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む原料シートを供給する原料供給部と、
回転する第1粗砕刃を有し、前記原料供給部から供給された前記原料シートを粗砕する第1粗砕部と、
前記第1粗砕部で生成された粗砕片を解繊する解繊部と、
前記解繊部で生成された解繊物を堆積する堆積部と、
前記堆積部で生成された堆積物に対し、加熱および加圧を行いシートに成型する加熱加圧部と、
前記シートを切断する切断部と、
切断された前記シートを排出する排出部と、を備え、
互いに直交し、かつ、鉛直方向とそれぞれ直交するx軸およびy軸を設定したとき、前記x軸方向の一方の側に、前記原料供給部と前記排出部が設けられており、
前記第1粗砕刃の回転軸は、前記y軸に沿っており、
前記原料供給部は、前記排出部よりも鉛直方向下方側に配置され、かつ、前記第1粗砕部は、前記切断部よりも鉛直方向下方側に配置され
、
鉛直方向から見たとき、前記原料供給部と前記排出部とは、少なくとも一部が重なっており、
前記x軸方向から見たとき、前記原料供給部と前記排出部とは、重なっておらず、
前記y軸方向から見たとき、前記原料供給部と前記排出部とは、重なっておらず、
鉛直方向から見たとき、前記切断部と前記第1粗砕部とは、少なくとも一部が重なっていることを特徴とするシート製造装置。
【請求項2】
前記第1粗砕部、前記解繊部、前記加熱加圧部および前記切断部を収納するケーシングを備える請求項
1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
前記堆積部は、前記ケーシングの上段に配置され、
前記解繊部は、前記ケーシングの下段に配置されている請求項
2に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記切断部は、前記シートを前記y軸方向に切断する第1切断部と、前記シートの余剰分を前記x軸方向に切断する第2切断部と、を有する請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のシート製造装置。
【請求項5】
回転する第2粗砕刃を有し、前記第2切断部によって切断された前記余剰分を粗砕する第2粗砕部を備える請求項
4に記載のシート製造装置。
【請求項6】
前記第1粗砕部と前記第2粗砕部とは、鉛直方向から見たとき、少なくとも一部が重なっている請求項
5に記載のシート製造装置。
【請求項7】
前記第2切断部は、回転する回転刃を有し、
前記回転刃の回転軸と、前記第2粗砕刃の回転軸とは、それぞれ、前記y軸に沿っている請求項
5または
6に記載のシート製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、特許文献1に示すように、水を極力利用しない乾式によるシート製造装置が提案されている。特許文献1のシート製造装置は、例えば、ターボカッターと、乾式で離解、調整、混合するターボミルと、異物を除去するサイクロンと、未解繊維等を除去するスクリーンと、シートを形成するシート形成装置と、ピックアップ装置と、スムーズプレスと、ドライヤー部と、製造されたシートを排出するホープリールと、を有する。また、特許文献1に記載されているシート製造装置では、これらの各部が、鉛直方向から見たとき1列に配置されている。
【0003】
また、特許文献1に記載されているシート製造装置では、原料を供給する部分であるターボカッターと、シートを排出する部分であるホープリープとが、互いに反対側に位置している。すなわち、特許文献1に記載されているシート製造装置では、装置の一方側から原料を供給し、他方側から製造されたシートが排出される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたシート製造装置は、各処理部が1列に配置された構成であるため、全長が長くなってしまう。このため、例えば屋内等の限られたスペースに設置する場合には、設置スペースを十分に確保できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
【0007】
本発明のシート製造装置は、繊維を含む原料シートを供給する原料供給部と、
回転する第1粗砕刃を有し、前記原料供給部から供給された前記原料シートを粗砕する第1粗砕部と、
前記第1粗砕部で生成された粗砕片を解繊する解繊部と、
前記解繊部で生成された解繊物を堆積する堆積部と、
前記堆積部で生成された堆積物に対し、加熱および加圧を行いシートに成型する加熱加圧部と、
前記シートを切断する切断部と、
切断された前記シートを排出する排出部と、を備え、
互いに直交し、かつ、鉛直方向とそれぞれ直交するx軸およびy軸を設定したとき、前記x軸方向の一方の側に、前記原料供給部と前記排出部が設けられており、
前記第1粗砕刃の回転軸は、前記y軸に沿っており、
前記原料供給部は、前記排出部よりも鉛直方向下方側に配置され、かつ、前記第1粗砕部は、前記切断部よりも鉛直方向下方側に配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のシート製造装置の実施形態を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシート製造装置の各部の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のシート製造装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、本発明のシート製造装置の実施形態を示す概略側面図である。
図2は、
図1に示すシート製造装置の各部の位置関係を示す模式図である。
図3は、
図2中破線で囲んだ領域を示す拡大図である。
図4は、
図2矢印A方向から見た図である。
図5は、
図2中矢印B方向から見た図である。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、
図2~
図5に示すように、互いに直交する3軸をx軸、y軸およびz軸を設定している。また、x軸とy軸を含むx-y平面が水平となっており、z軸が鉛直となっている。また、各軸の矢印が向いた方向を「+」、その反対方向を「-」と言う。また、
図1~
図4の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」とも言う。
【0012】
また、本明細書において、「水平」とは、完全に水平な場合のみならず、水平に対して±5°の範囲内で傾斜している場合も含む。同様に、本明細書において、「鉛直」とは、完全に鉛直な場合のみならず、鉛直に対して±5°の範囲内で傾斜している場合も含む。
【0013】
なお、
図1は、原料シートM1からシートSを製造するまでの一連の過程を説明するためにわかりやすく作成した模式図である。このため、
図1では、シート製造装置100の各部の位置関係は、実際の位置関係とは大きく異なっている。まず、シート製造装置100の全体構成について説明する。
【0014】
図1および
図5に示すように、シート製造装置100は、原料供給部11と、第1粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、ほぐし部18と、第2ウェブ形成部19と、加熱加圧部20と、切断部21と、排出部22と、第2粗砕部29と、回収部27と、制御部28と、ケーシング50と、を備えている。また、ほぐし部18と第2ウェブ形成部19とにより堆積部30が構成される。これら各部のうち、原料供給部11および排出部22以外の各部は、
図2に示すように、ケーシング50に収納されている。なお、制御部28は、ケーシング50の内部に収納されていてもよく、外部に設置されていてもよい。
【0015】
また、
図2に示すように、ケーシング50は、原料シートM1を導入する導入口51Aと、シートSを排出する排出口52Bとを有する。原料供給部11から供給された原料シートM1は、導入口51Aからケーシング50内に導入され、後述するような処理が行われてシートSに成形される。そして、成形されたシートSは、排出口52Bを介して、ケーシング50の外側の排出部22に排出される。
【0016】
原料供給部11、第1粗砕部12、解繊部13、選別部14、第1ウェブ形成部15、細分部16、混合部17、ほぐし部18、第2ウェブ形成部19、加熱加圧部20、切断部21、排出部22、第2粗砕部29および回収部27は、制御部28とそれぞれ電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0017】
また、
図1に示すように、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、シート製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
【0018】
これら、加湿部231~加湿部236およびブロアー261~ブロアー263は、制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0019】
また、シート製造装置100では、原料供給工程と、第1粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、加熱加圧工程と、切断工程と、第2粗砕工程と、排出工程とがこの順に実行される。なお、第2粗砕工程および排出工程は、同時に行われてもよく、どちらが先に行われてもよい。
【0020】
以下、各部の構成について説明する。
図1および
図2に示すように、原料供給部11は、第1粗砕部12に原料シートM1を供給する原料供給工程を行なう部分である。この原料シートM1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロースを主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースの他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料シートM1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料シートM1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよいし、リサイクルペーパーでなくてもよい。また、本実施形態では、原料シートM1は、使用済みまたは不要となった古紙である。
【0021】
原料供給部11は、
図2に示すように、ケーシング110と、ケーシング110内に収納されたストック部111と、図示しない送り出し機構と、を有する。ケーシング110は、ケーシング50の外側、すなわち、-x軸側に配置されている。また、ケーシング110は、ケーシング50の-x軸側に位置する側壁に固定されている。また、ケーシング110は、-x軸側の側壁に設けられ、原料シートM1を排出する排出口112を有する。
【0022】
ストック部111は、原料シートM1をz軸方向に重ねてストックする部分である。また、ストック部111にストックされた原料シートM1は、図示しない送り出し機構によって枚葉でストック部111から送り出される。送り出された原料シートM1は、排出口112および導入口51Aを介してケーシング50の内部、すなわち、第1粗砕部12に送り出される。この送り出し機構としては、特に限定されず、例えば、送り出しローラー等を用いることができる。
【0023】
第1粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料シートM1を大気中等の気中で粗砕する第1粗砕工程を行なう部分である。第1粗砕部12は、一対の第1粗砕刃121と、シュート122とを有している。
【0024】
図3に示すように、一対の第1粗砕刃121は、それぞれ、y軸に沿った回転軸O121回りに回転する。各第1粗砕刃121は、y軸方向に延在する円柱状または円筒状をなしている。各第1粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料シートM1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。
【0025】
また、各第1粗砕刃121がy軸方向に沿った回転軸O121回りに回転する構成であるため、x軸方向に搬送されてきた原料シートM1を、y軸方向に進路を変更することなく粗砕することができる。
【0026】
シュート122は、一対の第1粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、第1粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
【0027】
また、
図1に示すように、シュート122の上方には、加湿部231が一対の第1粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含む図示しないフィルターを有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する温風気化式の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
【0028】
シュート122は、管241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
【0029】
解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0030】
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
【0031】
また、解繊部13は、回転刃の回転により、第1粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0032】
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
【0033】
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さの大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。その平均長さは、1μm以上30μm以下であるのが好ましい。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0034】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
【0035】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
【0036】
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち、上流側が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0037】
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0038】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0039】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0040】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0041】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0042】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0043】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0044】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0045】
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
【0046】
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0047】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0048】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と樹脂P1とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、樹脂供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0049】
管172は、細分部16のハウジング部162と、ほぐし部18のハウジング部182とを接続しており、細分体M6と樹脂P1との混合物M7が通過する流路である。
【0050】
管172の途中には、樹脂供給部171が接続されている。樹脂供給部171は、スクリューフィーダー174を有している。このスクリューフィーダー174が回転駆動することにより、樹脂P1を粉体または粒子として管172に供給することができる。管172に供給された樹脂P1は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0051】
なお、樹脂P1は、後の工程で繊維同士を結着させるものであり、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
【0052】
なお、樹脂供給部171から供給されるものとしては、樹脂P1の他に、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や樹脂P1の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤等が含まれていてもよい。または、予めそれらを樹脂P1に含ませて複合化したものを樹脂供給部171から供給してもよい。
【0053】
また、管172の途中には、樹脂供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と樹脂P1とが混合される。また、ブロアー173は、ほぐし部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と樹脂P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と樹脂P1とが均一に分散した状態で、ほぐし部18に流入することができる。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0054】
ほぐし部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐすほぐし工程を行なう部分である。ほぐし部18は、ドラム部181と、ドラム部181を収納するハウジング部182とを有する。
【0055】
ドラム部181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部181には、混合物M7が流入してくる。そして、ドラム部181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム部181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされることとなる。
【0056】
ハウジング部182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、加湿部231と同様の気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング部182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング部182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0057】
また、ドラム部181でほぐされた混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7から第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0058】
メッシュベルト191は、無端ベルトであり、混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
【0059】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0060】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0061】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0062】
このようなほぐし部18および第2ウェブ形成部19により、解繊部13で生成された解繊物M3を堆積する堆積部30が構成される。
【0063】
ほぐし部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
【0064】
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
【0065】
第2ウェブ形成部19の下流側には、加熱加圧部20が配置されている。加熱加圧部20は、第2ウェブM8からシートSを形成する加熱加圧工程を行なう部分である。この加熱加圧部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0066】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、このときの加圧の程度としては、例えば、樹脂P1を溶融させない程度であるのが好ましい。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0067】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、樹脂P1が溶融して、この溶融した樹脂P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0068】
加熱加圧部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1切断部211と、第2切断部212とを有する。
【0069】
第1切断部211は、シートSの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
【0070】
第2切断部212は、第1切断部211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの両側端部、すなわち、
図3および
図5に示すように、+y軸方向および-y軸方向の端部の不要な余剰分を除去して、シートSの幅を整えるものである。また、切断除去された余剰分は、いわゆる「みみ」と呼ばれるものであり、以下では、シートS’と言う。
【0071】
図5に示すように、第2切断部212は、シートSの+Y軸方向の端部を切断する第1切断ユニット213と、シートSの-Y軸方向の端部を切断する第2切断ユニット214とを有している。第1切断ユニット213および第2切断ユニット214は、+Y軸側からこの順で所定距離離間して配置されている。第1切断ユニット213および第2切断ユニット214は、同様の構成であるため、以下、第1切断ユニット213について代表的に説明する。
【0072】
図3に示すように、第1切断ユニット213は、2つの回転刃215を有する。各回転刃215は、シートSの搬送経路を介してz軸に沿って並んで配置されている。また、各回転刃215は、円板状をなし、厚さ方向がy軸方向に沿った向きで配置されている。回転刃215の外縁部は、鋭利な刃先となっており、各回転刃215の間を通過した際にシートSをx軸方向に沿って切断することができる。これにより、みみ、すなわち、シートS’が形成される。この第2切断部212によって切断されたシートS’は、落下して、第2切断部212の下方に位置する第2粗砕部29に供される。
【0073】
このように、切断部21は、シートSをy軸方向に切断する第1切断部211と、シートSの余剰分をx軸方向に切断する第2切断部212と、を有する。これにより、シートSの長さおよび幅を所望の寸法に調整することができる。
【0074】
第2粗砕部29は、落下してきたシートS’を大気中等の気中で粗砕する第2粗砕工程を行なう部分である。第2粗砕部29は、一対の第2粗砕刃291を有している。
【0075】
図3に示すように、一対の第2粗砕刃291は、それぞれ、y軸に沿った回転軸O291回りに回転する。各第2粗砕刃291は、y軸方向に延在する円柱状または円筒状をなしている。各第2粗砕刃291は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間でシートS’を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2’にすることができる。粗砕片M2’の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。
【0076】
このような第2粗砕部29により生成された粗砕片M2’は、シュート122に落下し解繊部13に供給される。これにより、シートSのサイズ調整で生じた余剰分を原料として再利用することができる。よって、原料コストの観点から有利である。また、第2粗砕部29は、
図5に示すように、z軸方向から見たとき、シュート122と重なっている。このため、生成された粗砕片M2’は、シュート122に自然落下して解繊部13に供される。
【0077】
このように、シート製造装置100は、回転する第2粗砕刃291を有し、第2切断部212によって切断された余剰分であるシートS’を粗砕する第2粗砕部29を備える。これにより、シートSのサイズ調整で生じた余剰分を原料として再利用することができる。
【0078】
また、第1粗砕部12は、z軸方向から見たとき、シュート122と重なっている。このように、第1粗砕部12と第2粗砕部29とで、シュート122を共有する構成であるため、第1粗砕部12と第2粗砕部29とで、別個にシュートを設ける構成に比べて部品点数を減らすことができ、その分、小型化を図ることができる。
【0079】
また、第1粗砕部12の一対の第1粗砕刃121と、第2粗砕部29の一対の第2粗砕刃291とは、z軸方向から見たとき、重なっている。すなわち、第1粗砕部12と第2粗砕部29とは、z軸方向から見たとき、すなわち、鉛直方向から見たとき、少なくとも一部が重なっている。これにより、シュート122の開口が比較的小さい場合であっても、第1粗砕部12と第2粗砕部29とで、1つのシュート122を共有することができる。よって、シュート122の小型化を図ることができ、ひいては、シート製造装置100のx軸方向の長さを短くすることができる。
【0080】
また、第2切断部212は、回転する回転刃215を有する。そして、回転刃215の回転軸O215と、第2粗砕刃291の回転軸O291とは、それぞれ、y軸に沿っている。これにより、第2切断部212で切断されたシートS’の長手方向と、第2粗砕刃291への挿入方向とが略一致する。よって、第2切断部212で切断されたシートS’が、そのまま第2粗砕部29で粗砕される。よって、切断工程から第2粗砕工程への移行を円滑に行うことができる。
【0081】
また、第2粗砕部29を設けずに、第2切断部212で切断されたシートS‘を第1粗砕部12に導き、裁断して粗砕片M2’にすることもできる。このようにすることで、第2粗砕部29を設けるのを省略することができる。第2切断部212は、回転する回転刃215を有する。そして、回転刃215の回転軸O215と、第1粗砕刃121の回転軸O121とは、それぞれ、y軸に沿っている。よって、第2切断部212で切断されたシートS’が、そのまま第1粗砕部12で粗砕される。よって、切断工程から第2粗砕工程への移行を円滑に行うことができる。
【0082】
なお、切断部21で幅、長さが所望の寸法に調整されたシートSは、ケーシング50の排出口52Bを介して排出部22に搬送される。
図2に示すように、排出部22は、排出工程を実行する部分であり、ケーシング220と、ケーシング220内に設けられたストック部221と、搬送機構222と、ケーシング220の外側、すなわち、-x軸側に設けられた排紙トレイ223と、を有する。
【0083】
ケーシング220は、ケーシング50の-x軸側で、かつ、原料供給部11のケーシング110の+z軸側に設置されている。また、ケーシング220は、ケーシング50の-x軸側の側壁の外面に固定されている。また、ケーシング220は、+x軸側の壁部に設けられた導入口224と、-x軸側の壁部に設けられた排出口225とを有する。切断部21で切断されたシートSは、ケーシング50の排出口52Bから排出され導入口224からケーシング220内に導入される。そして、搬送機構222によって、ストック部221および排紙トレイ223のうちのいずれか一方に搬送される。なお、排出部22は、搬送機構222がシートSをストック部221および排紙トレイ223のいずれに搬送するかを切り替える図示しない切替部を有する。
【0084】
また、本実施形態では、搬送機構222は、複数のローラー226で構成されており、各ローラー226は、ストック部221に向かう搬送経路および排紙トレイ223に向かう搬送経路にそれぞれ配置されている。
【0085】
排紙トレイ223は、ケーシング220の-z軸側に配置された板部材である。この排紙トレイ223上に排出口225から排出されたシートSが重ねられた状態でストックされる。
【0086】
以上説明したシート製造装置100が備える各部は、制御部28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御部28によって制御される。
【0087】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)281と、記憶部282とを有している。CPU281は、例えば、各種の判断や各種の命令等を行なうことができる。
【0088】
記憶部282は、例えば、シートSを製造するプログラム等の各種プログラム等が記憶されている。
【0089】
また、この制御部28は、シート製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、外部機器とシート製造装置100との接続は、有線であってもよく、無線であってもよく、インターネット等のようなネットワークを介して接続されていてもよい。
【0090】
また、CPU281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、CPU281がシート製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部282がシート製造装置100に内蔵され、CPU281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0091】
次に、
図2~
図5を用いて、シート製造装置100の各部の位置関係について説明する。
図2に示すように、前述したシート製造装置100の各部は、ケーシング50に収納されている。なお、
図2では、シート製造装置100の主要部のみを図示しており、その他の部分は省略している。ケーシング50は、-z軸側に位置する下段50Aと、+z軸側に位置する上段50Bとを有する。
図2には、x軸方向に沿った仮想線Kを図示しており、この仮想線Kを介した-z軸側を下段50Aとし、この仮想線Kを介した+z軸側を上段50Bとしている。すなわち、仮想線Kを境界線として-z軸側が下段50Aであり、+z軸側が上段50Bである。
【0092】
下段50Aには、第1粗砕部12、第2粗砕部29、解繊部13、選別部14および混合部17が収納されている。解繊部13、選別部14および混合部17は、-x軸側からこの順で配置されている。解繊部13は、-x軸側に偏在しており、混合部17は、+x軸側に偏在している。
【0093】
また、下段50Aにおいて、解繊部13の+z軸側には、第1粗砕部12および第2粗砕部29が設置されている。第1粗砕部12および第2粗砕部29は、-x軸側からこの順で配置されている。
【0094】
また、原料供給部11は、ケーシング50の外側の下段50Aに対応する位置に設置されている。すなわち、原料供給部11は、ケーシング50の外側において、第1粗砕部12および解繊部13の-x軸側に設置されている。
【0095】
上段50Bには、堆積部30と、加熱加圧部20と、切断部21とが収納されている。堆積部30、加熱加圧部20および切断部21は、+x軸側からこの順で配置されている。切断部21は、-x軸側に偏在しており、堆積部30は、+x軸側に偏在している。
【0096】
また、排出部22は、ケーシング50の外側の上段50Bに対応する位置に設置されている。すなわち、排出部22は、ケーシング50の外側において、切断部21の-x軸側に設置されている。
【0097】
このように、シート製造装置100では、原料供給部11と排出部22とは、ケーシング50のx軸方向の一方側、すなわち、-x軸側に設置された構成である。また、第1粗砕刃121の回転軸O121は、y軸に沿っている。そして、原料供給部11は、排出部22よりも-z軸側、すなわち、鉛直方向下方側に配置され、かつ、第1粗砕部12は、切断部21よりも-z軸側、すなわち、鉛直方向下方側に配置されている。
【0098】
このようなシート製造装置100では、原料供給部11から供給された原料シートM1は、まず、ケーシング50の下段50Aに供給される。そして、下段50Aにおいて、第1粗砕部12、解繊部13、選別部14、混合部17を経て混合物M7となる。そして、混合物M7は、ケーシング50の上段50Bに移行し、堆積部30、加熱加圧部20および切断部21を経て、シートSとして、ケーシング50の上段50Bから排出される。そして、ケーシング50から排出されたシートSは、排出部22によって排出される。すなわち、原料シートM1は、下段50Aの-x軸側から供給されて、下段50Aの+x軸側で上段50Bに移行するとともに-x軸側に折り返されて、上段50Bから-x軸側にシートSとして排出される構成である。さらに換言すれば、原料シートM1は、下段50A内を往路とし、上段50Bを復路とする搬送経路を辿ってシートSとなる。
【0099】
このように、原料シートM1の搬送経路が途中で折り返される構成であるため、従来のような-x軸側から+x軸側に向かう一方向の搬送経路で処理される構成に比べて、シート製造装置100の全長、すなわち、x軸方向の長さを短くすることができる。よって、例えば、限られたスペースしかない屋内であっても、シート製造装置100を設置可能な場所が増えて、様々な場所にシート製造装置100を設置しやすくなる。
【0100】
また、往路と復路とがz軸方向に重なっているため、往路と復路とがy軸方向に重なっている構成に比べて、シート製造装置100の幅、すなわち、y軸方向の長さを、狭くすることができる。よって、さらに、様々な場所にシート製造装置100を設置しやすくなる。
【0101】
このように、シート製造装置100は、繊維を含む原料シートM1を供給する原料供給部11と、回転する第1粗砕刃121を有し、原料供給部11から供給された原料シートM1を粗砕する第1粗砕部12と、第1粗砕部12で生成された粗砕片M2を解繊する解繊部13と、解繊部13で生成された解繊物M3を堆積する堆積部30と、堆積部30で生成された堆積物である第2ウェブM8に対し、加熱および加圧を行いシートSに成型する加熱加圧部20と、シートSを切断する切断部21と、切断されたシートSを排出する排出部22と、を備える。また、互いに直交し、かつ、鉛直方向とそれぞれ直交するx軸およびy軸を設定したとき、x軸方向の一方の側に、原料供給部11と排出部22が設けられており、第1粗砕刃121の回転軸O121は、y軸に沿っており、原料供給部11は、排出部22よりも鉛直方向下方側、すなわち、-z軸側に配置され、かつ、第1粗砕部12は、切断部21よりも鉛直方向下方側に配置されている。これにより、シート製造装置100の全長、すなわち、x軸方向の長さを従来よりも短くすることができる。さらに、シート製造装置100の幅、すなわち、y軸方向の長さを狭くすることができる。よって、様々な場所にシート製造装置100を設置しやすくなる。
【0102】
また、
図5に示すように、z軸方向から見たとき、原料供給部11と排出部22とは、重なっている。本実施形態では、原料供給部11と排出部22とは、原料供給部11の全部が排出部22に包含されるように重なっている。これにより、原料供給部11と排出部22とがy軸方向に沿って並んで設置される場合に比べてシート製造装置100の幅、すなわち、y軸方向の長さを短くすることができる。よって、さらに効果的に、様々な場所にシート製造装置100を設置しやすくなる。
【0103】
なお、z軸方向から見たとき、原料供給部11と排出部22とは、全部が重なっていなくてもよく、これらが一部でも重なっていたら、上述した効果を発揮することができる。すなわち、
図5に示すように、原料供給部11の中心軸O11と、排出部22の中心軸O22とは、y軸方向にずれていても、原料供給部11および排出部22が重なっていれば上記効果を発揮することができる。なお、中心軸O11は、原料供給部11をz軸方向に投影した投影形状の重心を通過し、かつ、x軸方向と平行な直線とする。また、中心軸O22は、排出部22をz軸方向に投影した投影形状の重心を通過し、かつ、x軸方向と平行な直線とする。
【0104】
このように、z軸方向から見たとき、すなわち、鉛直方向から見たとき、原料供給部11と排出部22とは、少なくとも一部が重なっている。これにより、さらに効果的に、様々な場所にシート製造装置100を設置しやすくなる。
【0105】
また、シート製造装置100は、前述したように、第1粗砕部12、解繊部13、加熱加圧部20および切断部21を収納するケーシング50を備える。これにより、これら各部を保護することができる。
【0106】
また、堆積部30は、ケーシング50の上段50Bに配置され、解繊部13は、ケーシング50の下段50Aに配置されている。このような配置とすることにより、前述したように、原料シートM1は、下段50A内を+x軸側に向かい、折り返して、上段50Bを-x軸側に向かう経路を辿ってシートSとなる。これにより、前述した効果をより確実に発揮することができる。
【0107】
また、
図2に示すように、y軸方向から見たとき、切断部21と第1粗砕部12とは、x軸方向において重なっている。換言すれば、切断部21と第1粗砕部12とは、鉛直方向から見たとき、少なくとも一部が重なっている。これにより、ケーシング50内におけて、往路の始点と復路の終点との位置をできるだけ同じにすることができる。よって、シート製造装置100のx軸方向の長さをより短くすることができる。
【0108】
また、
図5に示すように、ケーシング50は、アクセス口51と、アクセス口52と、アクセス口51を開閉する開閉扉53と、アクセス口52を開閉する開閉扉54と、を有する。
【0109】
アクセス口51は、ケーシング50の+y軸側の側壁55に設けられた開口である。アクセス口52は、ケーシング50の-y軸側の側壁56に設けられた開口である。開閉扉53および開閉扉54は、それぞれ、2枚の回動可能な板材を有するいわゆる観音開きの扉である。開閉扉53または開閉扉54を開閉することにより、アクセス口51またはアクセス口52を開閉し、ケーシング50の内部にアクセスすることができる。よって、例えば、内部の点検や、メンテナンス等を行うことができる。
【0110】
このような構成によれば、例えば、ケーシング50のアクセス口51が壁等に臨むようにシート製造装置100を設置したとしても、アクセス口52側から内部にアクセスすることができる。また、反対に、ケーシング50のアクセス口52が壁等に臨むようにシート製造装置100を設置したとしても、アクセス口51側から内部にアクセスすることができる。さらに、前述したように、原料供給部11および排出部22が-x軸方向の一方側、すなわち、-x軸側に設置された構成であるため、ケーシング50の+x軸側の側壁57と、側壁55および側壁56のうちの一方の側壁とが壁等に臨むようにシート製造装置100を設置したとしても、側壁55および側壁56のうちの他方の側壁側のアクセス口からアクセスすることができる。よって、さらに設置場所の自由度が高まる。
【0111】
なお、開閉扉53および開閉扉54は、それぞれ、1枚の回動可能な板材を有する扉であってもよく、スライド式の扉であってもよい。
【0112】
以上、本発明のシート製造装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、シート製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
11…原料供給部、12…第1粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…ほぐし部、19…第2ウェブ形成部、20…加熱加圧部、21…切断部、22…排出部、27…回収部、28…制御部、29…第2粗砕部、30…堆積部、50…ケーシング、50A…下段、50B…上段、51…アクセス口、51A…導入口、52…アクセス口、52B…排出口、53…開閉扉、54…開閉扉、55…側壁、56…側壁、57…側壁、100…シート製造装置、110…ケーシング、111…ストック部、112…排出口、121…第1粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、171…樹脂供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム部、182…ハウジング部、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1切断部、212…第2切断部、213…第1切断ユニット、214…第2切断ユニット、215…回転刃、220…ケーシング、221…ストック部、222…搬送機構、223…排紙トレイ、224…導入口、225…排出口、226…ローラー、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…CPU、282…記憶部、291…第2粗砕刃、K…仮想線、M1…原料シート、M2…粗砕片、M2’…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、O11…中心軸、O22…中心軸、O121…回転軸、O215…回転軸、O291…回転軸、S…シート、S’…シート、P1…樹脂