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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】印刷用カセット及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/12 20060101AFI20231205BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 17/02 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65H19/12 B
B41J11/00 A
B41J15/04
B41J17/02
B41J17/32 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019178162
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053874
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-068814(JP,A)
【文献】特開平10-193705(JP,A)
【文献】実開昭60-146749(JP,U)
【文献】特開2015-182318(JP,A)
【文献】特開2012-236307(JP,A)
【文献】特開2012-158175(JP,A)
【文献】特開2011-046142(JP,A)
【文献】特開2000-006504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/12
B41J 11/00
B41J 15/04
B41J 17/02
B41J 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、前記プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、を備える印刷装置本体に装着される印刷用カセットであって、
前記印刷ヘッドによって印刷が行われる第1テープと、
回転軸心周りに回転すると共に、前記駆動源の駆動力が伝達される入力部と、
回転軸心周りに回転すると共に、前記入力部に伝達された前記駆動力を前記プラテンローラに伝達する出力部と、
を備え、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記第1テープは、前記プラテンローラによって搬送される、印刷用カセット。
【請求項2】
インクリボンと、
前記インクリボンを巻き取る巻取スプールと、
をさらに備え、
前記巻取スプールは、スプライン歯が設けられた内周面を有し、
前記入力部の前記回転軸心は、前記巻取スプールの前記内周面で規定される中空部を通る、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項3】
前記入力部の前記回転軸心と前記巻取スプールの回転軸心とは、同一直線上に位置する、請求項2に記載の印刷用カセット。
【請求項4】
前記第1テープと貼り合わせられる第2テープをさらに備え、
前記入力部は、前記第1テープと前記第2テープとを貼り合わせる貼り合せローラである、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項5】
インクリボンと、
前記インクリボンを巻き取る巻取スプールと、
をさらに備え、
前記入力部の前記回転軸心と前記巻取スプールの回転軸心とは、同一直線上に位置する、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項6】
前記入力部の前記回転軸心と前記出力部の前記回転軸心とは、同一直線上に位置する、請求項1に記載の印刷用カセット。
【請求項7】
前記入力部と前記出力部とが一体化された回転体を備える、請求項6に記載の印刷用カセット。
【請求項8】
前記回転体は、シングルギアである、請求項7に記載の印刷用カセット。
【請求項9】
前記シングルギアの回転軸心は、前記印刷装置本体への装着方向と平行であり、
前記シングルギアの全歯たけは、前記印刷装置本体への装着方向に沿って小さくなる、請求項8に記載の印刷用カセット。
【請求項10】
前記入力部の前記回転軸心と前記出力部の前記回転軸心とは、互いに異なる直線上に位置する、請求項1から請求項3及び請求項5のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項11】
前記第1テープの少なくとも一部、前記入力部の少なくとも一部、及び前記出力部の少なくとも一部が内部に配置されたケースをさらに備え、
前記入力部の一部は、前記ケースから前記入力部の前記回転軸心と直交する方向に突出する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項12】
前記第1テープの少なくとも一部、前記入力部の少なくとも一部、及び前記出力部の少なくとも一部が内部に配置されたケースをさらに備え、
前記出力部の一部は、前記ケースから前記出力部の前記回転軸心と直交する方向に突出する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項13】
印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、前記プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、前記駆動源から前記プラテンローラへ駆動力を伝達する伝達状態と前記プラテンローラへ前記駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能な駆動力伝達部材と、を備える印刷装置本体に装着される印刷用カセットであって、
前記印刷ヘッドによって印刷が行われる第1テープと、
前記駆動力伝達部材に接触することで、前記駆動力伝達部材を前記非伝達状態から前記伝達状態へと変位させるように構成された接触部と、
を備え、
前記印刷装置本体に装着された状態で、前記接触部は、前記駆動力伝達部材に接触し、前記第1テープは、前記プラテンローラによって搬送される、印刷用カセット。
【請求項14】
前記第1テープの少なくとも一部が内部に配置されたケースをさらに備え、
前記接触部は、前記ケースの外面の一部で構成される、請求項13に記載の印刷用カセット。
【請求項15】
前記接触部は、前記ケースの外面のうち前記印刷装置本体への装着方向における下流側の端面よりも前記装着方向における上流側に位置し、
前記端面と前記接触部との前記装着方向における距離は、前記装着方向と平行な方向における前記ケースの幅に応じて設定される、請求項14に記載の印刷用カセット。
【請求項16】
前記接触部は、前記駆動力伝達部材の一部を前記プラテンローラの回転軸心と平行な方向に移動させるように構成される、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項17】
前記接触部は、前記駆動力伝達部材の一部を前記プラテンローラの回転軸心と交差する平面内で移動させるように構成される、請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の印刷用カセット。
【請求項18】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の印刷用カセットと、
前記印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、
を備え、
前記印刷装置本体は、
印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、
を備える、印刷装置。
【請求項19】
請求項13から請求項17のいずれか1項に記載の印刷用カセットと、
前記印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、
を備え、
前記印刷装置本体は、
印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、
前記プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、
前記駆動源から前記プラテンローラへ駆動力を伝達する伝達状態と前記プラテンローラへ前記駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能な駆動力伝達部材と、
を備える、印刷装置。
【請求項20】
被印刷テープに印刷するための印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドに対向し、前記被印刷テープを搬送するためのプラテンローラと、
前記被印刷テープ、入力部、及び前記入力部と駆動連結された出力部を有する印刷用カセットが装着可能なカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着される前記印刷用カセットの前記入力部と係合可能な位置に配置され、前記プラテンローラを駆動するための駆動部と、
前記カセット装着部に装着される前記印刷用カセットの前記出力部と係合可能な位置に配置され、前記プラテンローラに駆動連結された被駆動部と、
を備える、印刷装置。
【請求項21】
前記被駆動部は、前記プラテンローラに連結されたプラテンギアである、請求項20に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷用カセット及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに印刷を行う印刷装置では、印刷用テープを収納したカセットを本体に着脱することで、印刷用テープの交換及び供給が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-234772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の印刷装置では、本体に設けられたプラテンローラによってカセット内の印刷用テープをカセット外に向けて搬送する。プラテンローラは、例えばモーター等の駆動源によって回転駆動される。
【0005】
しかし、カセットが本体に装着されていない場合にプラテンローラが回転すると、予期せぬ不具合が発生するおそれがある。例えば、カセットの装着途中でプラテンローラが回転すると、印刷用テープのジャムが発生するおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、プラテンローラの不測の回転を抑制できる印刷用カセット及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、を備える印刷装置本体に装着される印刷用カセットである。
【0008】
印刷用カセットは、印刷ヘッドによって印刷が行われる第1テープと、回転軸心周りに回転すると共に、駆動源の駆動力が伝達される入力部と、回転軸心周りに回転すると共に、入力部に伝達された駆動力をプラテンローラに伝達する出力部と、を備える。印刷用カセットが印刷装置本体に装着された状態で、第1テープは、プラテンローラによって搬送される。
【0009】
本開示の別の態様は、印刷用カセットと、印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、を備える印刷装置である。印刷装置本体は、印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、を備える。
【0010】
これらのような構成によれば、駆動源からの駆動力が印刷用カセット内の入力部及び出力部を介してプラテンローラに伝達される。つまり、印刷装置本体に印刷用カセットが装着された状態で初めてプラテンローラに駆動力が伝達される。そのため、印刷用カセットが装着されていない状態におけるプラテンローラの不測の回転を抑制できる。
【0011】
本開示のさらに別の態様は、印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、駆動源からプラテンローラへ駆動力を伝達する伝達状態とプラテンローラへ駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能な駆動力伝達部材と、を備える印刷装置本体に装着される印刷用カセットである。
【0012】
印刷用カセットは、印刷ヘッドによって印刷が行われる第1テープと、駆動力伝達部材に接触することで、駆動力伝達部材を非伝達状態から伝達状態へと変位させるように構成された接触部と、を備える。印刷用カセットが印刷装置本体に装着された状態で、接触部は、駆動力伝達部材に接触し、第1テープは、プラテンローラによって搬送される。
【0013】
本開示のさらに別の態様は、印刷用カセットと、印刷用カセットが装着される印刷装置本体と、を備える印刷装置である。印刷装置本体は、印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対向するプラテンローラと、プラテンローラを回転駆動するための駆動源と、駆動源からプラテンローラへ駆動力を伝達する伝達状態とプラテンローラへ駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能な駆動力伝達部材と、を備える。
【0014】
これらのような構成によれば、接触部の接触によって駆動力伝達部材が非伝達状態から伝達状態へと変位するため、印刷装置本体に印刷用カセットが装着された状態で初めてプラテンローラに駆動力が伝達される。そのため、印刷用カセットが装着されていない状態におけるプラテンローラの不測の回転を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態における印刷装置の模式的な斜視図である。
図2図2Aは、図1の印刷装置における印刷用カセットの模式的な斜視図であり、図2Bは、図1の印刷装置における印刷装置本体の模式的な斜視図である。
図3図3は、図1の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図である。
図4図4Aは、図2の印刷用カセットにおける巻取スプールの模式的な斜視図であり、図4Bは、図2の印刷用カセットにおける主ギアの模式的な斜視図である。
図5図5は、図3とは異なる実施形態の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図である。
図6図6Aは、図3及び図5とは異なる実施形態の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図であり、図6Bは、出力ギアの歯の模式的な部分斜視図である。
図7図7は、図3図5及び図6Aとは異なる実施形態の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図である。
図8図8は、図3図5から図7とは異なる実施形態の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図である。
図9図9は、図3図5から図8とは異なる実施形態の印刷装置におけるテープの搬送構造を説明する模式図である。
図10図10Aは、図1とは異なる実施形態における印刷装置の模式的な平面図であり、図10Bは、図10Aの印刷装置の模式的な正面図である。
図11図11Aは、図10Aの印刷装置における印刷装置本体の模式的な平面図であり、図11Bは、図11Aの印刷装置本体の模式的な正面図である。
図12図12Aは、図11Bとは異なる実施形態における印刷装置本体の模式的な正面図であり、図12B及び図12Cは、図12Aの印刷装置本体に印刷用カセットを装着した状態の模式的な正面図である。
図13図13Aは、図1及び図10Aとは異なる実施形態における印刷装置の模式的な平面図であり、図13Bは、図13Aの印刷装置の模式的な正面図である。
図14図14Aは、図13Aの印刷装置における印刷装置本体の模式的な平面図であり、図14Bは、図14Aの印刷装置本体の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す印刷装置1は、印刷用カセット10(図2A参照)と、印刷装置本体100とを備える。印刷装置1は、テープ状の印刷媒体に印刷を行う装置である。
【0017】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100は、図2Bに示すように、筐体101と、印刷ヘッド102と、駆動源110と、第1駆動シャフト111Aと、第2駆動シャフト111Bとを備える。また、印刷装置本体100は、図3に示すように、プラテンローラ103と、押圧ローラ104と、プラテンギア113と、押圧ギア114とを備える。
【0018】
本実施形態では、プラテンローラ103の軸方向を上下方向とし、上下方向と垂直な方向のうちプラテンローラ103と印刷ヘッド102とが対向する方向を前後方向とし、上下方向と前後方向との双方に垂直な方向を左右方向とする。
【0019】
(筐体)
図2Bに示す筐体101は、印刷用カセット10が上下方向に装着される凹部を有する。筐体101は、印刷用カセット10の位置決め機能を有する。
【0020】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド102は、印刷用カセット10が保持する被印刷テープ(第1テープの一例)に印刷するための装置である。
【0021】
印刷ヘッド102は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、被印刷テープ及びインクリボンと前後方向に重なる位置に配置される。印刷ヘッド102は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0022】
後述するプラテンローラ103によって印刷ヘッド102と重なる位置に搬送された被印刷テープは、インクリボンを介して発熱素子が発熱した印刷ヘッド102に押し付けられる。これにより、インクリボンの表面に配置されたインクの一部が被印刷テープに転写され、被印刷テープに文字、記号等が印刷される。
【0023】
(駆動源)
駆動源110は、プラテンローラ103を回転駆動する。駆動源110としては、例えばモーターが使用できる。
【0024】
(駆動シャフト)
第1駆動シャフト111A及び第2駆動シャフト111Bは、印刷用カセット10に挿入されることで、駆動源110が発生させた駆動力を印刷用カセット10に入力する。駆動シャフト111A,111Bの中心軸は、上下方向と平行である。
【0025】
(プラテンローラ)
図3に示すプラテンローラ103は、被印刷テープを印刷用カセット10内から外部に向けて搬送するためのローラである。プラテンローラ103の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0026】
プラテンローラ103は、筐体101の内部において、印刷ヘッド102と対向する位置に配置されている。プラテンローラ103は、被印刷テープに当接し、被印刷テープを印刷ヘッド102に押し当てる。
【0027】
(押圧ローラ)
押圧ローラ104は、印刷用カセット10の貼り合せローラ15と共に、ラミネートテープ(第2テープの一例)を印刷後の被印刷テープに押し付ける。押圧ローラ104の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0028】
(プラテンギア)
プラテンギア113は、プラテンローラ103に連結されている。本実施形態では、プラテンギア113は、押圧ギア114と係合している。プラテンギア113は、押圧ギア114から伝達される駆動力によってプラテンローラ103を回転させる。
【0029】
(押圧ギア)
押圧ギア114は、押圧ローラ104に連結されている。また、本実施形態では、押圧ギア114は、プラテンギア113と係合している。ただし、押圧ローラ104は被印刷テープ31の搬送に伴って回転するため、押圧ギア114は、必ずしも押圧ローラ104と連結されなくてもよい。
【0030】
また、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、押圧ギア114は、印刷用カセット10の貼り合せギア22と係合する。押圧ギア114は、貼り合せギア22から伝達される駆動力をプラテンギア113に伝達する。
【0031】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10は、印刷媒体を格納している。印刷用カセット10は、印刷装置本体100に着脱可能である。印刷用カセット10の交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、色、材質等)の変更ができる。
【0032】
印刷用カセット10は、第1供給スプール11と、巻取スプール12と、第2供給スプール13と、第3供給スプール14と、貼り合せローラ15と、主ギア21と、貼り合せギア22と、第1カセット側伝達ギア23と、第2カセット側伝達ギア24と、被印刷テープ31と、インクリボン32と、ラミネートテープ33と、ケース40とを有する。
【0033】
(第1供給スプール)
第1供給スプール11は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転可能である。第1供給スプール11は、プラテンローラ103による被印刷テープ31の搬送に伴って回転することで、被印刷テープ31を印刷ヘッド102に供給する。
【0034】
(巻取スプール)
巻取スプール12は、回転軸心周りに回転可能である。巻取スプール12の回転軸心は、第1供給スプール11の回転軸心と平行である。
【0035】
図4Aに示すように、巻取スプール12は、円筒状であり、内周面12Aで規定される中空部を有する。巻取スプール12の内周面12Aにはスプライン歯12Bが設けられている。スプライン歯12Bには、第1駆動シャフト111Aが連結される。巻取スプール12は、第1駆動シャフト111Aによって回転され、インクリボン32を巻き取る。
【0036】
(第2供給スプール)
図3に示す第2供給スプール13は、回転軸心周りに回転可能である。第2供給スプール13の回転軸心は、第1供給スプール11の回転軸心と平行である。第2供給スプール13は、インクリボン32の巻取スプール12による巻き取りに伴って回転することで、インクリボン32を印刷ヘッド102に供給する。
【0037】
(第3供給スプール)
第3供給スプール14は、回転軸心周りに回転可能である。第3供給スプール14の回転軸心は、第1供給スプール11の回転軸心と平行である。第3供給スプール14は、貼り合せローラ15及び押圧ローラ104によるラミネートテープ33の搬送に伴って回転することで、ラミネートテープ33を送り出す。
【0038】
(貼り合せローラ)
貼り合せローラ15は、押圧ローラ104と共に、ラミネートテープ33を印刷後の被印刷テープ31に押し付けることで、被印刷テープ31とラミネートテープ33とを貼り合わせる。貼り合せローラ15は、印刷ヘッド102よりも被印刷テープの搬送方向の下流に配置されている。貼り合せローラ15の回転軸心は、上下方向と平行である。
【0039】
(主ギア)
主ギア21は、回転軸心周りに回転すると共に、駆動源110の駆動力が伝達される入力部である。
【0040】
図4Bに示すように、主ギア21は、ギア本体21Aと、ギア本体21Aに固定されると共に、内周面にスプライン歯21Cを有する円筒状のスプール21Bとを有する。ギア本体21Aは、スプール21Bに入力された駆動力によってスプール21Bと一体回転する。
【0041】
主ギア21の回転軸心(つまり、ギア本体21Aの回転軸心及びスプール21Bの回転軸心)は、巻取スプール12の回転軸心と同一直線上に配置されている。つまり、主ギア21の回転軸心は、巻取スプール12の中空部を通る。
【0042】
そのため、第1駆動シャフト111Aは、巻取スプール12と主ギア21とに同時に挿通される。その結果、主ギア21は、巻取スプール12と直接連結はされていないが、巻取スプール12と共通の駆動源110によって回転される。
【0043】
本実施形態では、主ギア21は、第1カセット側伝達ギア23と係合している。主ギア21は、第1カセット側伝達ギア23及び第2カセット側伝達ギア24を介して、貼り合せギア22に第1駆動シャフト111Aの駆動力を伝達する。
【0044】
(貼り合せギア)
貼り合せギア22は、回転軸心周りに回転すると共に、主ギア21に伝達された駆動力をプラテンローラ103に伝達するための出力部である。
【0045】
貼り合せギア22の回転軸心は上下方向と平行である。また、主ギア21の回転軸心と貼り合せギア22の回転軸心とは、互いに異なる直線上に位置する。つまり、主ギア21と貼り合せギア22とは前後方向及び左右方向にずれて配置されている。
【0046】
貼り合せギア22は、貼り合せローラ15に連結されている。本実施形態では、貼り合せギア22は、第2カセット側伝達ギア24と係合している。また、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態で、貼り合せギア22は、押圧ギア114と係合する。
【0047】
貼り合せギア22は、第2カセット側伝達ギア24から伝達される駆動力によって貼り合せローラ15を回転させると共に、押圧ギア114に駆動力を伝達する。ただし、貼り合せローラ15は搬送される被印刷テープ31へのラミネートテープ33の貼り合せに伴って回転するため、貼り合せギア22は、必ずしも貼り合せローラ15と連結されなくてもよい。
【0048】
(カセット側伝達ギア)
第1カセット側伝達ギア23及び第2カセット側伝達ギア24は、主ギア21に入力された駆動力を貼り合せギア22に伝達するカセット側伝達機構を構成している。
【0049】
第1カセット側伝達ギア23は、主ギア21と第2カセット側伝達ギア24とに係合している。第2カセット側伝達ギア24は、第1カセット側伝達ギア23と貼り合せギア22とに係合している。
【0050】
なお、カセット側伝達機構は、1つのギアで構成されてもよいし、3つ以上のギアで構成されてもよい。また、カセット側伝達機構は、ローラ、ベルト等を含んでもよい。
【0051】
(被印刷テープ)
被印刷テープ31の表面には、印刷ヘッド102及びインクリボン32によって印刷が行われる。被印刷テープ31は、第1供給スプール11に巻回されている。被印刷テープ31は、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態でプラテンローラ103によって搬送され、第1供給スプール11から引き出される。
【0052】
(インクリボン)
インクリボン32は、被印刷テープ31と重ね合わされ、印刷ヘッド102による印刷に供される。インクリボン32は、第2供給スプール13に巻回されており、巻取スプール12による巻き取りによって第2供給スプール13から引き出される。
【0053】
(ラミネートテープ)
ラミネートテープ33は、被印刷テープ31の保護に用いられる。ラミネートテープ33は、印刷ヘッド102によって印刷が行われた被印刷テープ31に貼り合わされる接着面を有する。
【0054】
ラミネートテープ33は、第3供給スプール14に巻回されている。ラミネートテープ33は、貼り合せローラ15によって被印刷テープ31に貼り合わせられることで、第3供給スプール14から引き出される。
【0055】
(ケース)
ケース40には、被印刷テープ31の少なくとも一部、インクリボン32の少なくとも一部、ラミネートテープ33の少なくとも一部、主ギア21の少なくとも一部、及び貼り合せギア22の少なくとも一部が内部に配置されている。
【0056】
<駆動力の伝達>
印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着された状態において、第1駆動シャフト11Aが主ギア21に係合すると共に押圧ギア114が貼り合せギア22に係合する。
【0057】
この状態で第1駆動シャフト111Aにより主ギア21が回転されることで貼り合せギア22が回転され、貼り合せギア22の回転により押圧ギア114及びプラテンギア113が回転する。その結果、プラテンローラ103が回転し、被印刷テープ31が搬送される。
【0058】
また、印刷用カセット10が印刷装置本体100に装着されていない状態では、プラテンギア113に駆動源110からの駆動力が伝達されないので、プラテンローラ103は回転駆動されない。
【0059】
<第1実施形態の変形例>
本実施形態において、貼り合せローラ15に第2駆動シャフト111Bとの係合部を設けることで、貼り合せローラ15を駆動源110の駆動力が伝達される入力部として用いることができる。
【0060】
このように貼り合せローラ15を入力部とする場合には、巻取スプール12と主ギア21とを連結し、第1駆動シャフト111Aを巻取スプール12及び主ギア21に係合させないことで、貼り合せローラ15から入力された駆動力によって巻取スプール12が回転する。つまり、貼り合せローラ15のみが印刷用カセット10の入力部とされる。
【0061】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)駆動源110からの駆動力が印刷用カセット10内の入力部(つまり主ギア21)及び出力部(つまり貼り合せギア22)を介してプラテンローラ103に伝達される。つまり、印刷装置本体100に印刷用カセット10が装着された状態で初めてプラテンローラ103に駆動力が伝達される。そのため、印刷用カセット10が装着されていない状態におけるプラテンローラ103の不測の回転を抑制できる。
【0062】
例えば、プラテンローラ103にジャムした被印刷テープ31が挟まっている場合に、プラテンローラ103に駆動源110の駆動力が伝達されているとプラテンローラ103を強制的に回転させてジャムした被印刷テープ31を取り外すことが難しい。しかし、印刷用カセット10を印刷装置本体100から外すことでプラテンローラ103への駆動源110からの駆動力の伝達が途切れるので、ジャムした被印刷テープ31を簡単に取り外すことができる。
【0063】
(1b)1つの駆動シャフト111から、巻取スプール12と主ギア21とに駆動力を伝達することができる。そのため、駆動シャフト111の挿入方向と垂直な方向(つまり前後方向及び左右方向)における印刷用カセット10のサイズの大型化を抑制しながら、巻取スプール12と主ギア21との双方に駆動力を入力できる。
【0064】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態の印刷装置は、第1実施形態の印刷装置において、印刷用カセット及び印刷装置のギア列の配置を変更したものである。そのため、第1実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、第2実施形態の印刷装置本体100Aは、第1実施形態の印刷装置本体100に第1本体側伝達ギア115と、第2本体側伝達ギア116とを追加したものである。
【0066】
第1本体側伝達ギア115及び第2本体側伝達ギア116は、印刷用カセット10Aの出力ギア25から出力された駆動力をプラテンギア113に伝達する本体側伝達機構を構成している。第1本体側伝達ギア115は、第2本体側伝達ギア116に係合している。第2本体側伝達ギア116は、第1本体側伝達ギア115とプラテンギア113とに係合している。
【0067】
なお、本体側伝達機構は、1つのギアで構成されてもよいし、3つ以上のギアで構成されてもよい。また、本体側伝達機構は、ローラ、ベルト等を含んでもよい。
【0068】
第2実施形態の印刷用カセット10Aは、第1実施形態の印刷用カセット10において、貼り合せギア22、第1カセット側伝達ギア23及び第2カセット側伝達ギア24に代えて、出力ギア25、第1カセット側伝達ギア23A及び第2カセット側伝達ギア24Aを設けたものである。
【0069】
出力ギア25は、上下方向と平行な回転軸心周りに回転すると共に、主ギア21に伝達された駆動力をプラテンローラ103に伝達するための出力部である。主ギア21の回転軸心と出力ギア25の回転軸心とは、互いに異なる直線上に位置する。また、出力ギア25の一部は、ケース40から出力ギア25の回転軸心と直交する方向(つまり前後方向)に突出している。
【0070】
本実施形態では、出力ギア25は、第2カセット側伝達ギア24Aと係合している。第2カセット側伝達ギア24Aは、第1カセット側伝達ギア23Aを介して主ギア21に係合している。また、印刷用カセット10Aが印刷装置本体100Aに装着された状態で、出力ギア25は、第1本体側伝達ギア115と係合する。
【0071】
出力ギア25は、第1カセット側伝達ギア23A及び第2カセット側伝達ギア24Aを介して主ギア21から伝達される駆動力を、第1本体側伝達ギア115及び第2本体側伝達ギア116を介してプラテンギア113に伝達する。
【0072】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)印刷装置本体100Aに伝達機構(つまり第1本体側伝達ギア115及び第2本体側伝達ギア116)を設けることで、印刷用カセット10Aを小型化できる。
【0073】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態の印刷装置は、第2実施形態の印刷装置において、印刷用カセット及び印刷装置のギア列の配置を変更したものである。そのため、第2実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0074】
図6Aに示すように、第3実施形態の印刷装置本体100Bは、第2実施形態の印刷装置本体100Aに駆動力入力ギア117を追加したものである。駆動力入力ギア117は、駆動源110と駆動連結されている。また、第3実施形態の印刷装置本体100Bは、駆動シャフト111A,111Bを備えない。
【0075】
印刷用カセット10Bが印刷装置本体100Bに装着された状態で、駆動力入力ギア117は、印刷用カセット10Bの出力ギア25Bと係合し、駆動源110の駆動力を出力ギア25Bに伝達する。
【0076】
第2実施形態の印刷用カセット10Bは、第2実施形態の印刷用カセット10Aにおいて、出力ギア25、第1カセット側伝達ギア23A及び第2カセット側伝達ギア24Aに代えて、出力ギア25B、及び供給ギア26を設けたものである。
【0077】
出力ギア25Bは、上下方向と平行な回転軸心周りに回転するシングルギアである。出力ギア25Bは、駆動力入力ギア117から駆動源110の駆動力が伝達される入力部であると共に、自身に伝達された駆動力をプラテンローラ103に伝達するための出力部である。
【0078】
つまり、本実施形態の出力ギア25Bは、入力部と出力部とが一体化された回転体である。また、本実施形態では、入力部の回転軸心と出力部の回転軸心とが同一直線上に位置する。出力ギア25Bの一部は、ケース40から出力ギア25Bの回転軸心と直交する方向(つまり前後方向)に突出している。
【0079】
出力ギア25Bの回転軸心は、印刷用カセット10Bの印刷装置本体100Bへの装着方向と平行である。また、図6Bに示すように、出力ギア25Bの全歯たけTは、印刷装置本体100Bへの装着方向に沿って(つまり下方に向かうに連れて)小さくなっている。これにより、印刷装置本体100Bへの印刷用カセット10Bの挿入、並びに出力ギア25Bの駆動力入力ギア117及び第1本体側伝達ギア115への係合が容易になる。
【0080】
供給ギア26は、第3供給スプール14に連結されると共に、主ギア21に係合している。供給ギア26は、ラミネートテープ33の引き出しに伴って回転する第3供給スプール14の回転を、巻取スプール12に連結された主ギア21に伝達する。
【0081】
本実施形態では、印刷用カセット10Bが印刷装置本体100Bに装着された状態で、出力ギア25Bは、駆動力入力ギア117と第1本体側伝達ギア115とに係合する。出力ギア25Bは、駆動力入力ギア117から伝達される駆動力を第1本体側伝達ギア115に伝達する。
【0082】
[3-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)巻取スプール12を回転させるための駆動力を印刷用カセット10Bに入力する必要がないため、印刷装置の構造を簡略化できる。
【0083】
[4.第4実施形態]
[4-1.構成]
第4実施形態の印刷装置は、第3実施形態の印刷装置において、印刷用カセット及び印刷装置のギア列の配置を変更したものである。そのため、第3実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0084】
図7に示すように、第4実施形態の印刷装置本体100Cは、第3実施形態の印刷装置本体100Bにおいて、駆動力入力ギア117を駆動力入力ギア117Cに置き換えたものである。
【0085】
印刷用カセット10Cが印刷装置本体100Cに装着された状態で、駆動力入力ギア117Cは、印刷用カセット10Cの入力ギア27と係合し、駆動源110の駆動力を入力ギア27に伝達する。
【0086】
第4実施形態の印刷用カセット10Cは、第3実施形態の印刷用カセット10Bにおいて、出力ギア25B及び供給ギア26に代えて、出力ギア25、第1カセット側伝達ギア23A、第2カセット側伝達ギア24A、及び入力ギア27を設けたものである。
【0087】
出力ギア25、第1カセット側伝達ギア23A、第2カセット側伝達ギア24Aは、第2実施形態の印刷用カセット10Aと同じものである。入力ギア27は、第2カセット側伝達ギア24Aに係合している。入力ギア27は、回転軸心周りに回転すると共に、駆動力入力ギア117Cから駆動源110の駆動力が伝達される入力部である。
【0088】
本実施形態では、印刷用カセット10Cが印刷装置本体100Cに装着された状態で、出力ギア25が第1本体側伝達ギア115に係合し、入力ギア27が駆動力入力ギア117Cに係合する。出力ギア25は、入力ギア27を介して駆動力入力ギア117Cから伝達される駆動力を第1本体側伝達ギア115に伝達する。
【0089】
[4-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)入力ギア27から巻取スプール12とプラテンギア113とに駆動力を同時に伝達できるため、印刷装置の構造を簡略化できる。
【0090】
[5-1.構成]
第5実施形態の印刷装置は、第1実施形態の印刷装置において、印刷用カセット及び印刷装置のギア列の配置を変更したものである。そのため、第1実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0091】
図8に示すように、第5実施形態の印刷装置本体100Dは、第1実施形態の印刷装置本体100に、駆動力入力ギア117Dと、本体側伝達ギア115Dとを追加したものである。駆動力入力ギア117Dは、駆動源110と駆動連結されている。また、第5実施形態の印刷装置本体100Dは、駆動シャフト111A,111Bを備えない。
【0092】
印刷用カセット10Dが印刷装置本体100Dに装着された状態で、駆動力入力ギア117Dは、印刷用カセット10Dの主ギア21と係合し、駆動源110の駆動力を主ギア21に伝達する。
【0093】
また、駆動力入力ギア117Dは、上下方向に印刷用カセット10Dと重なる位置に配置されている。つまり、印刷用カセット10Dが印刷装置本体100Dに装着された状態で、駆動力入力ギア117Dの一部は、印刷用カセット10Dのケース40の内部に配置される。
【0094】
本体側伝達ギア115Dは、押圧ギア114とプラテンギア113とに係合している。本体側伝達ギア115Dは、押圧ギア114に伝達された駆動力をプラテンギア113に伝達する。
【0095】
第5実施形態の印刷用カセット10Dは、第1実施形態の印刷用カセット10において、第1カセット側伝達ギア23及び第2カセット側伝達ギア24に代えて、カセット側伝達ギア23Dを設けたものである。カセット側伝達ギア23Dは、主ギア21と貼り合せギア22とに係合している。また、巻取スプール12は、主ギア21と連結されている。
【0096】
本実施形態では、印刷用カセット10Dが印刷装置本体100Dに装着された状態で、貼り合せギア22が押圧ギア114に係合し、主ギア21が駆動力入力ギア117Dに係合する。貼り合せギア22は、主ギア21を介して駆動力入力ギア117Dから伝達される駆動力を押圧ギア114に伝達する。
【0097】
[5-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(5a)駆動シャフトに代えて駆動力入力ギア117Dを主ギア21に係合させることで、印刷用カセット10D及び印刷装置本体100Dにおける部材の配置自由度を高められる。
【0098】
[6-1.構成]
第6実施形態の印刷装置は、第5実施形態の印刷装置において、印刷用カセット及び印刷装置のギア列の配置を変更したものである。そのため、第5実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0099】
図9に示すように、第6実施形態の印刷装置本体100Eは、押圧ローラ104、押圧ギア114及び本体側伝達ギア115Dを有しない点を除いて、第5実施形態の印刷装置本体100Dと同じものである。
【0100】
第6実施形態の印刷用カセット10Eは、第5実施形態の印刷用カセット10Dにおいて、巻取スプール12、第2供給スプール13、第3供給スプール14、貼り合せローラ15、主ギア21、貼り合せギア22、カセット側伝達ギア23D、インクリボン32及びラミネートテープ33に代えて、入力部と出力部とが一体化された出力ギア25Eを設けたものである。
【0101】
出力ギア25Eは、印刷用カセット10Eのケース40の内部に全体が配置されている。また、印刷用カセット10Eでは、被印刷テープ31として感熱紙が用いられる。
【0102】
本実施形態では、印刷用カセット10Eが印刷装置本体100Eに装着された状態で、出力ギア25Eがプラテンギア113と駆動力入力ギア117Dとに係合する。出力ギア25Eは、駆動力入力ギア117Dから伝達される駆動力をプラテンギア113に伝達する。
【0103】
[6-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(6a)入力部と出力部とが一体化された出力ギア25Eを用いることで、印刷用カセット10Eの内部構造を簡略化できる。
【0104】
[7.第7実施形態]
[7-1.構成]
図10A,10Bに示す印刷装置1Fは、印刷用カセット10Fと、印刷装置本体100Fとを備える。
【0105】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100Fは、図11A,11Bに示すように、印刷ヘッド102と、プラテンローラ103と、押圧ローラ104と、ホルダ105と、レバー106と、排出ローラ107と、排出ガイド108と、駆動源110と、第1駆動シャフト111Aと、第2駆動シャフト111Bと、駆動力伝達部材120とを備える。
【0106】
印刷ヘッド102、プラテンローラ103、押圧ローラ104、駆動源110、第1駆動シャフト111A及び第2駆動シャフト111Bは、第1実施形態の印刷装置1と同じものであるため、説明を省略する。
【0107】
(ホルダ)
ホルダ105は、上下方向と垂直な面内で揺動可能な部位である。プラテンローラ103及び押圧ローラ104は、ホルダ105に支持されている。
【0108】
(レバー)
レバー106は、ホルダ105と連結されている。レバー106を上下方向に揺動させることで、ホルダ105に支持されたプラテンローラ103及び押圧ローラ104が移動する。
【0109】
(排出ローラ及び排出ガイド)
排出ローラ107は、排出ガイド108と対向して配置されている。排出ローラ107は、排出ガイド108に沿って、印刷後の被印刷テープ31を印刷装置本体100Fから排出する。
【0110】
(駆動力伝達部材)
駆動力伝達部材120は、駆動源110からプラテンローラ103へ駆動力を伝達する伝達状態とプラテンローラ103へ駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能である。
【0111】
本実施形態では、駆動力伝達部材120は、第1ギア121と、第2ギア122と、第3ギア123と、第4ギア124と、第5ギア125と、第6ギア126と、第7ギア127と、変位部131とを有する。なお、駆動力伝達部材120が含むギアの数は特に限定されない。また、駆動力伝達部材120は、ローラ、ベルト等を含んでもよい。
【0112】
第1ギア121は、小ギア121Aと、小ギア121Aよりも径が大きい大ギア121Bとが同軸上に並んで配置された段ギアである。大ギア121Bは、駆動源110に駆動連結されている。
【0113】
図10A,10Bに示す伝達状態では、小ギア121Aは、第2ギア122と係合する。一方、図11A,11Bに示す非伝達状態では、小ギア121Aは、第2ギア122と離間する。
【0114】
第2ギア122は、変位部131によって支持され、上下方向に移動可能に構成されている。第2ギア122は、伝達状態では小ギア121Aに係合し、非伝達状態では小ギア121Aよりも上方に保持される。
【0115】
第3ギア123は、第2ギア122に係合すると共に、第1駆動シャフト111Aに連結されている。第4ギア124は、第5ギア125に係合している。第6ギア126は、第5ギア125と、プラテンローラ103に連結されたプラテンギア(図示省略)とに係合している。第7ギア127は、第5ギア125に係合すると共に、第2駆動シャフト111Bに連結されている。
【0116】
変位部131は、第2ギア122を下方から支持するバネである。変位部131は、上下方向に伸縮可能に配置されている。第2ギア122に力が作用していない場合は、変位部131は、第2ギア122を第1ギア121の小ギア121Aよりも上方に保持する。第2ギア122に下向きの力が加わると、変位部131が上下方向に縮むことで、第2ギア122が第1ギア121と係合する。
【0117】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10Fは、印刷装置本体100Fに着脱可能である。印刷用カセット10Fは、第1供給スプール(図示省略)と、巻取スプール(図示省略)と、第2供給スプール(図示省略)と、被印刷テープ31と、インクリボン(図示省略)と、ケース40Fとを有する。
【0118】
第1供給スプール、巻取スプール、第2供給スプール、被印刷テープ31、及びインクリボンは、第1実施形態の印刷用カセット10と同じものである。また、印刷用カセット10Fは、第3供給スプールと、貼り合せローラと、ラミネートテープとをさらに有してもよい。
【0119】
ケース40Fには、被印刷テープ31の少なくとも一部、インクリボンの少なくとも一部が内部に配置されている。
【0120】
図10Bに示すように、ケース40Fの外面のうち、印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Fに装着された状態で駆動力伝達部材120の第2ギア122と対向する下面の一部は、第2ギア122の上端に接触する接触部41を構成している。接触部41は、第2ギア122への接触により駆動力伝達部材120を非伝達状態から伝達状態へと変位させるように構成されている。
【0121】
接触部41は、印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Fに装着された状態で、第2ギア122に上方から接触する。接触部41は、駆動力伝達部材120の一部(つまり第2ギア122)をプラテンローラ103の回転軸心と平行な方向(つまり上下方向)に移動させるように構成されている。
【0122】
印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Fに装着された状態では、接触部41の接触によって第2ギア122が第1ギア121と係合するため、駆動力伝達部材120が伝達状態となる。その結果、駆動源110の駆動力によってプラテンローラ103が回転駆動され、被印刷テープ31がプラテンローラ103によって搬送される。
【0123】
また、図12A,12B,12Cに示すように、印刷用カセット10Fは、ケース40Fの印刷装置本体100Fへの装着方向における下流側(つまり下方)の端面である底面42よりも装着方向における上流側(つまり上方)に位置する接触部41Aを有してもよい。
【0124】
具体的には、接触部41Aは、ケース40Fの底面42から上方に向かって凹んだ凹部43の内部に配置されている。凹部43は、第2ギア122の軸部122Aが挿通されるように構成されている。接触部41Aは、ケース40の外に露出した外面の一部であり、凹部43に挿通された第2ギア122の軸部122Aの先端が当接する位置に配置されている。
【0125】
底面42と接触部41Aとの上下方向における距離Dは、上下方向におけるケース40Fの幅(つまり厚み)に応じて設定される。例えば、図12Cに示す印刷用カセット10Fは、図12Bに示す印刷用カセット10Fよりも厚みが小さいが、底面42と接触部41Aとの上下方向における距離Dが図12Bに示す印刷用カセット10Fよりも小さい。
【0126】
そのため、図12B図12Cとで、接触部41Aと第2ギア122との接触位置は同じである。つまり、1つの印刷装置本体100Fに、異なる厚みの印刷用カセット10Fを選択して装着することができる。
【0127】
[7-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(7a)接触部41の接触によって駆動力伝達部材120が非伝達状態から伝達状態へと変位するため、印刷装置本体100Fに印刷用カセット10Fが装着された状態で初めてプラテンローラ103に駆動力が伝達される。そのため、印刷用カセット10Fが装着されていない状態におけるプラテンローラ103の不測の回転を抑制できる。
【0128】
[8.第8実施形態]
[8-1.構成]
図13A,13B,13Cに示す印刷装置1Gは、印刷用カセット10Fと、印刷装置本体100Gとを備える。
【0129】
<印刷装置本体>
印刷装置本体100Gは、図14A,14B,14Cに示すように、第7実施形態の印刷装置本体100Fにおいて、駆動力伝達部材120を駆動力伝達部材120Gに置き換えたものである。印刷装置本体100Gのその他の構成は、以下に説明する点を除き、第7実施形態の印刷装置本体100Fと同じであるため、説明を省略する。
【0130】
(駆動力伝達部材)
駆動力伝達部材120Gは、駆動源110からプラテンローラ103へ駆動力を伝達する伝達状態と、プラテンローラ103へ駆動力を伝達しない非伝達状態とに変位可能である。
【0131】
本実施形態では、駆動力伝達部材120Gは、第1ギア121と、第2ギア122Gと、第3ギア123と、第4ギア124と、第5ギア125と、第6ギア126と、第7ギア127と、変位部131Gとを有する。第1ギア121、第3ギア123、第4ギア124、第5ギア125、第6ギア126、及び第7ギア127は、第7実施形態の駆動力伝達部材120と同じものである。
【0132】
第2ギア122Gは、変位部131Gに連結され、前後方向に移動可能に構成されている。第2ギア122Gは、伝達状態では第1ギア121の小ギア121Aに係合し、非伝達状態では小ギア121Aに対し後方にずれた位置に保持される。
【0133】
変位部131Gは、移動部132と、バネ133とを有する。
移動部132は、第2ギア122Gの軸部と連結され、前後方向にスライド可能に構成されている。移動部132は、前後方向と交差する壁面を有する。
【0134】
バネ133は移動部132を前方から支持するバネである。バネ133は、前後方向に伸縮可能に配置されている。移動部132に力が作用していない場合は、バネ133は、第2ギア122が第1ギア121の小ギア121Aから離間する位置に移動部132を保持する。移動部132に前向きの力が加わると、バネ133が前後方向に縮むことで、移動部132が前方に移動し、第2ギア122が第1ギア121と係合する。
【0135】
<印刷用カセット>
印刷用カセット10Fは、以下に説明する点を除き、第7実施形態の印刷用カセット10Fと同じものである。
【0136】
本実施形態では、図13A,13Cに示すように、ケース40Fの外面のうち、印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Gに装着された状態で駆動力伝達部材120Gの移動部132と対向する前面の一部は、移動部132の壁面に接触する接触部41Gを構成している。接触部41Gは、移動部132への接触により駆動力伝達部材120Gを非伝達状態から伝達状態へと変位させるように構成されている。
【0137】
接触部41Gは、印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Gに装着された状態で、移動部132に後方から接触する。接触部41Gは、駆動力伝達部材120Gの一部(つまり変位部131G)をプラテンローラ103の回転軸心と交差する平面内で(つまり前後方向に)移動させるように構成されている。
【0138】
印刷用カセット10Fが印刷装置本体100Gに装着された状態では、接触部41Gの変位部131Gへの接触によって第2ギア122が第1ギア121と係合するため、駆動力伝達部材120Gが伝達状態となる。その結果、駆動源110の駆動力によってプラテンローラ103が回転駆動され、被印刷テープ31がプラテンローラ103によって搬送される。
【0139】
[8-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(8a)駆動力伝達部材120Gの一部をプラテンローラ103の回転軸心と交差する方向に移動するように構成することで、印刷装置本体100Gの設計自由度を高めることができる。
【0140】
[9.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0141】
(9a)上記実施形態の印刷用カセットにおいて、駆動源の駆動力が伝達される入力部は、ギア又はスプールに限定されない。例えば、入力部として、ローラが用いられてもよい。また、入力部に伝達された駆動力をプラテンローラに伝達する出力部は、ギアに限定されない。例えば、出力部として、ローラ又はスプールが用いられてもよい。
【0142】
(9b)上記第7実施形態及び第8実施形態の印刷用カセットにおいて、接触部は、必ずしもケースの外面の一部で構成されなくてもよい。印刷用カセットは、ケースとは独立した接触部を有してもよい。
【0143】
(9c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0144】
1…印刷装置、10…印刷用カセット、11…第1供給スプール、
12…巻取スプール、13…第2供給スプール、14…第3供給スプール、
15…貼り合せローラ、21…主ギア、22…貼り合せギア、
23,24…カセット側伝達ギア、25…出力ギア、26…供給ギア、
27…入力ギア、31…被印刷テープ、32…インクリボン、
33…ラミネートテープ、40…ケース、41…接触部、100…印刷装置本体、
102…印刷ヘッド、103…プラテンローラ、104…押圧ローラ、
110…駆動源、111A,111B…駆動シャフト、113…プラテンギア、
114…押圧ギア、115,116…本体側伝達ギア、117…駆動力入力ギア、
120…駆動力伝達部材、131…変位部。
図1
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