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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】積層濾材
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20231205BHJP
   D04H 1/559 20120101ALI20231205BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/16 E
D04H1/559
D04H3/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019191889
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021065824
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】722014321
【氏名又は名称】東洋紡エムシー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 恵子
(72)【発明者】
【氏名】増森 忠雄
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-180808(JP,A)
【文献】特開2004-154760(JP,A)
【文献】特開2010-121261(JP,A)
【文献】国際公開第2019/194244(WO,A1)
【文献】特表2009-535237(JP,A)
【文献】特開2004-105829(JP,A)
【文献】特開2004-019062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
D04H 1/00-18/04
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレートを含む平均繊維径が10~40μmの繊維からなるスパンボンド不織布と、平均繊維径が1~8μmの繊維からなるメルトブロー不織布と、平均繊維径が20~50μmの繊維からなる支持層と、の少なくとも3層が記載順に積層されている積層濾材であり、
前記スパンボンド不織布と前記メルトブロー不織布とは接着されており、
前記支持層は、ポリエチレンテレフタレートのみから構成されるサーマルボンド不織布であることを特徴とする積層濾材。
【請求項2】
請求項1に記載の積層濾材を用いたフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵の捕集性能に優れ、さらには耐酸化性に優れた積層濾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉塵を除去するためのエアフィルター、あるいは液体フィルターの材料として種々の不織布が提案されている。特に近年では、剛性に優れる熱圧着タイプの長繊維不織布がプリーツ形状のフィルターとして好適に使用されている。プリーツ形状のフィルター材を使用すると濾過面積を広く取れるため濾過風速を低減することが可能であり、粉塵の捕集能力の向上や機械圧損の低減を図れるという利点がある。
【0003】
しかしながら、従来ある熱圧着タイプの長繊維不織布では構成繊維の繊維径は細くても10μm程度であり、十分な捕集能力を有するものではなかった。
【0004】
例えば特許文献1には異形繊維からなるフィルター用複合長繊維不織布が提案されている。当該技術によれば、フィルター用不織布の機械的特性や寸法安定性の向上が可能であるが、構成繊維の繊維径は2~15デシテックス、すなわち細くても13μm程度であり、粒径数μm以下の粉塵を十分に捕集出来るものではない。
【0005】
さらに特許文献2には複数の不織布を積層したフィルター用の不織布が提案されている。当該技術によれば目付の高いフィルター用不織布の製造も容易であり、通気性にも優れたフィルター用不織布を得ることができる。しかしながら、当該技術で提案された不織布は、繊維径が7~20μmの不織布と繊維径20~50μmの不織布等を積層一体化させたものであり、特許文献1のものと同様、粒径数μm以下の粉塵を十分に捕集出来るものではない。
【0006】
また、使用環境によっては不織布が酸化によって脆化する現象が稀に発生することがある。脆化した不織布は強度が低下して物理的に破壊され、下流側にダストとして流れ込む可能性があり、製品安全上問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-276529号公報
【文献】特開2004-124317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされ、耐酸化性に優れ、かつ粉塵の捕集性能に優れた積層濾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の積層濾材は、ポリエチレンテレフタレートを含む平均繊維径が10~40μmの繊維からなるスパンボンド不織布と、平均繊維径が1~8μmの繊維からなるメルトブロー不織布と、平均繊維径が20~50μmの繊維からなる支持層と、の少なくとも3層が記載順で積層一体化されてなる。
前記支持層は、ポリエチレンテレフタレートのみから構成されていてもよい。
また、積層濾材を用いたフィルターも本発明の範疇である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記構成によれば、耐酸化性に優れ、かつ粉塵の捕集性能に優れた積層濾材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積層濾材は、ポリエチレンテレフタレートを含む平均繊維径が10~40μmの繊維からなるスパンボンド不織布と、平均繊維径が1~8μmの繊維からなるメルトブロー不織布と、平均繊維径が20~50μmの繊維からなる支持層と、の少なくとも3層が記載順に積層されてなる。
【0012】
本発明のフィルターは本発明の積層濾材を用いて成り、例えば、積層濾材をプリーツ形状に加工し、除塵用フィルターとして使用することが可能である。本発明の積層濾材は、通風に対して、メルトブロー不織布の下流側にポリエチレンテレフタレートのスパンボンド不織布を配置されており、酸化が進んだ場合もプリーツ形状を保持し、除塵効率が低下せず、耐酸化性に優れる。
【0013】
本発明において、支持層は補強を主目的とする層である上流側に配置される支持層は、ポリプロピレンやポリエステルを主原料としたサーマルボンド不織布や樹脂含浸スパンボンド不織布、レジンポンド不織布といった一般的に公知な不織布を好適に用いることが出来る。支持層としては厚みが1.0mm以下でガーレ法剛軟度で1mN以上の繊維層で圧力損失が出来るだけ小さいものを使用することが好ましい。また、抗菌、抗カビ性や難燃性を付与したい場合は、こうした機能を持つ公知の添加剤が添加された繊維を混ぜてもよい。
【0014】
本発明におけるメルトブロー不織布は、溶融したポリマーを口金より押し出し、これに加熱高速ガス流体等を吹き当てながら該溶融ポリマーを引き伸ばすことにより極細繊維化し、捕集してシートとする方法に代表される、いわゆるメルトブロー法により製造されたものである。
【0015】
前記メルトブロー不織布を構成する繊維の平均繊維径は、1~8μmであり、必要とされる除塵の捕集効率によって選定される。平均繊維径が1μmよりも小さいときは、ポリマーを引き伸ばして極細繊維化する際に、繊維が切れやすくなり、塊状のポリマーが混入する場合があり好ましくない。さらには不織布の通気性が低下する傾向もあり好ましくない。平均繊維径が8μmを超える場合は、繊維が太くなり過ぎるため、粉塵の捕集性能が低下する傾向があり好ましくない。なお、ここでいう平均繊維径は、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500~3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維直径を測定し、平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求められるものをいう。
【0016】
また、本発明におけるメルトブロー不織布は、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維など一般的な繊維が用いられる。
【0017】
さらに前記メルトブロー不織布の原料樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等を添加してもよい。また、本来の機能を損なうことがなければ、微量の共重合体成分を含むものでもよい。
【0018】
本発明におけるスパンボンド不織布は、ポリエステルテレフタレートを含むことが好ましい。ポリエステル系不織布は、融点が高いため耐熱性に優れ、さらには剛性にも優れることから好ましいものである。また、本発明の特徴でもある耐酸化性にも非常に優れており、除塵性能、形状保持の観点からも好ましい。前記ポリエステルテレフタレートを含む不織布は、ポリエチレンテレフタレートのみからなるスパンボンド不織布あるいは、芯部がポリエチレンテレフタレートを含んでなり、鞘部が芯部のポリマーより融点の低い共重合ポリエステルを含んでなる芯鞘型繊維からなるスパンボンド不織布が、不織布の強度や剛性の点から好ましい形態である。前記共重合ポリエステルは、芯部に含まれるポリエチレンテレフタレートと比較して、15℃以上融点が低いことが好ましい。また、前記共重合ポリエステルは、共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましく、共重合成分としてはイソフタル酸、アジピン酸が好ましい。
【0019】
前記スパンボンド不織布を構成する繊維の平均繊維径は、10~40μmであり、好ましくは、12~35μmの範囲である。平均繊維径が10μmよりも小さい場合は、不織布の通気性が低下し、不織布の剛性も低下する傾向があり好ましくない。またスパンボンド不織布製造時に、糸切れが生じやすく生産安定性の面からも好ましくない方向である。平均繊維径が40μmよりも大きい場合は、スパンボンド不織布製造時に、糸条の冷却不良により糸切れが生じやすく生産安定性の面から好ましくない。なお、ここでいう平均繊維径は、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500~3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維直径を測定し、平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求められるものをいう。
【0020】
さらに前記スパンボンド不織布を構成する繊維の断面形状は何ら制限されるものではないが、円形、中空丸形、楕円形、扁平型、あるいはX型、Y型等の異形型、多角型、多葉型、等が好ましい形態である。円形でない繊維の繊維径は、繊維断面に対して外接円と、内接円を取り、それぞれの直径の平均値を繊維径とすればよい。
【0021】
また、本発明におけるスパンボンド不織布の原料樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等を添加してもよい。また、本来の機能を損なうことがなければ、微量の共重合体成分を含むものでもよい。
【0022】
本発明におけるメルトブロー不織布、スパンボンド不織布、支持層の一体化は、公知の方法で積層することで、積層濾材を製造できる。積層方法としては、例えば、ウォータージェットパンチ加工やニードルパンチ加工により機械的に絡合させた後に部分的熱圧着を行う方法や、熱エンボスロールによる熱接着、ホットメルト樹脂の吹付・塗布による接着などが挙げられる。
【0023】
また、本発明におけるメルトブロー不織布とスパンボンド不織布の積層方法は何ら制限されるものではないが、一旦メルトブロー不織布とスパンボンド不織布をそれぞれ製作した後に積層一体化する方法、一旦製作したスパンボンド不織布の上にメルトブロー法にて糸条を噴射し積層する方法、一旦製作したメルトブロー不織布の上にスパンボンド法にて糸条を噴射し積層する方法、さらにはこれらの組み合わせにより実施することが出来る。また、メルトブローウェブとスパンボンドウェブを連続的に積層させた後に、熱圧着などにより一体化させ不織布とする方法でも実施することができる。
【0024】
また、本発明におけるメルトブロー不織布(M)とスパンボンド不織布(S)の積層形態は何ら制限されるものではないが、SM積層、SMS積層、SMMS積層等が好ましい形態である。なお、例えばSMS積層とは、1層のメルトブロー不織布が両側からそれぞれ1層のスパンボンド不織布に挟まれた状態で積層された積層体を指す。メルトブロー不織布やスパンボンド不織布を複数積層する場合、それぞれの構成繊維の平均繊維径や繊維形状が異なっていても、前述の平均繊維径や繊維形状の範囲内であれば何ら問題ない。
【0025】
本発明の積層濾材には、本発明の効果を損なわない範囲で、防カビ剤や抗菌剤、難燃剤、親水剤、顔料、染料等が部分的あるいは全体に付与されていてもよい。
【0026】
本発明の積層濾材は剛性に優れているため、プリーツ形状の加工も容易であり、またプリーツ形態の保持性にも優れている。従って、プリーツ状のフィルターとして使用するのが好ましい形態である。
【実施例
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更することも可能である。そして、それら適宜変更したものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0028】
まず、実施例および比較例中で測定した特性値およびその測定方法を以下に示す。
[測定方法]
【0029】
(1)平均繊維径(μm)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500~3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維直径を測定し、平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出する。
【0030】
(2)目付(g/m
不織布を200mm角の寸法で切り出し、試料の重量をそれぞれ測定し、単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入する。
【0031】
(3)捕集効率(%)
60mm角のアクリルカラムにサンプルをセットし、線束5cm/sに設定した空気を流して、積層濾材の上流側と下流側の空気をサンプリングし、パーティクルカウンター(RION社製:KC-01)を用いて1.0~5.0μの粒子の粒子数をカウントする。捕集効率の計算式は下式を用いて求める。
捕集効率(%)=〔1-(D1/D2)〕×100 ここで、D1:下流の粒子数(2回の合計)、D2:上流の粒子数(2回の合計)である。
【0032】
(4)酸化比率(耐酸化性)
積層濾材について10cm角のサンプルを採取し、このサンプルのスパンボンド不織布が最下流になり支持層が上流側になるように配置させて、オゾン濃度10ppm、通過風速1m/sでオゾンを一定時間通風させ、サンプルの酸化度合を次のように測定した。オゾンの通風に対して最下流に配置させたスパンボンド不織布をFT-IRにて測定し、PPのスパンボンド不織布については1710cm-1/1460cm-1の比率、PETのスパンボンド不織布については、1610cm-1/1580cm-1の比率を算出し、オゾン負荷前を1としたときの比率を酸化比率とした。値が大きくなるほど酸化が進んでいることがわかる。
【0033】
次に、積層濾材について説明する。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付20g/m)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリエチレンテレフタレート製サーマルボンド不織布(平均繊維径40μm、目付45g/m)を積層し、カレンダーロールを通して実施例1の積層濾材を作製した。実施例1の積層濾材については、通風において、PETのスパンボンド不織布が最下流、PETのサーマルボンド不織布が最上流になる。表1に実施例1の積層濾材の測定値を示す。
【0034】
[実施例2]
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付10g/m)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリエチレンテレフタレート製サーマルボンド不織布(平均繊維径40μm、目付45g/m)を積層し、カレンダーロールを通して実施例2の積層濾材を作製した。実施例2の積層濾材については、通風において、PETのスパンボンド不織布が最下流、PETのサーマルボンド不織布が最上流になる。表1に実施例2の積層濾材の測定値を示す。
【0035】
参考例3]
まず、以下のように積層シートAを作製した。
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付15g/m2)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/m2で噴射し、支持層としてポリプロピレン・ポリエステル製の不織布(平均繊維径28μm、目付30g/m2)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートAを作製した。
次に、ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付20g/m2)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/m2で噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m2)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/m2で噴射し、上記の積層シートAの支持層側を接着し、カレンダーロールを通して比較例3の積層濾材を作製した。比較例3の積層濾材については、通風において、PETのスパンボンド不織布が最下流、PPのスパンボンド不織布が最上流になる。表1に比較例3の積層濾材の測定値を示す。
【0036】
[比較例1]
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付15g/m)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリエチレンテレフタレート製サーマルボンド不織布(平均繊維径40μm、目付45g/m)を積層し、カレンダーロールを通して比較例1の積層濾材を作製した。比較例1の積層濾材については、通風において、PPのスパンボンド不織布が最下流、PETのサーマルボンド不織布が最上流になる。表1に比較例1の積層濾材の測定値を示す。
【0037】
[比較例2]
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(平均繊維径30μm、目付30g/m)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、積層シートAの支持層側を接着し、カレンダーロールを通して比較例2の積層濾材を作製した。比較例2の積層濾材については、通風において、PPのスパンボンド不織布が最下流、積層シートAのPPのスパンボンド不織布が最上流になる。表1に比較例2の積層濾材の測定値を示す。
【0038】
[比較例3]
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(平均繊維径40μm、目付15g/m)に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、ポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3μm、目付30g/m)を積層し、カレンダーロールを通して積層シートを作製し、さらに作製したシートのメルトブロー側に合成ゴム系接着剤を霧状に2g/mで噴射し、積層シートAの支持層側を接着し、カレンダーロールを通して比較例3の積層濾材を作製した。比較例3の積層濾材については、通風において、PPのスパンボンド不織布が最下流、積層シートAのPPのスパンボンド不織布が最上流になる。表1に比較例3の積層濾材の測定値を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から、本発明の実施例の積層濾材は、比較例1~3と比較して、酸化度合いが小さく、耐酸化性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の積層濾材は耐酸化性に優れる上に、粉塵捕集性能に優れ、機械的強度も良好である。よって、例えば、工業用のエアフィルターや液体フィルターとして好適に利用することができる。