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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】調光シート、および、調光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20231205BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1334
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019192568
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021067784
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政之
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110333619(CN,A)
【文献】中国実用新案第204855991(CN,U)
【文献】特開平04-106523(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104538089(CN,A)
【文献】国際公開第2017/175796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する第1透明電極層と、
第2端子を有する第2透明電極層と、
前記第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、を備え、
前記第1端子と前記第2端子とは、調光シートにおける長軸方向の両端に位置し、
前記第1端子と前記第2端子との間に印加される電圧が駆動電圧Vinであり、
単位面積を有した閾値特定用の調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonであり、
前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)であり、
前記端子間距離Lが、1.8(m)以上4.0(m)以下である、
調光シートであって、
前記閾値特定用の調光シートは、
前記調光シートの一部であって前記長軸方向と直交する幅方向と前記長軸方向とにそれぞれ0.1(m)を有した部分と同一の層構成を備え、前記閾値特定用の調光シートが備える端子間に前記電圧が印加されたときの前記閾値が、前記閾値電圧Vonであり、
前記閾値特定用の調光シートが備える端子は、
前記閾値特定用の調光シートにおける前記長軸方向の両端に配置され、前記閾値特定用の前記第1透明電極層に接続された端子と、前記閾値特定用の調光シートの前記第2透明電極層に接続された端子と、から構成され、当該端子における前記幅方向の長さが0.1(m)であり、前記長軸方向の長さが5(mm)であり、
前記透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を50%以下で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記不透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を95%以上で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の表面抵抗率Rs(Ω/sq)が式(1)を満たす、
Rs≦(-A×Vt+B)×L-C … 式(1)
Vt=Von/Vin,A=1.5×10,B=1.5×10,C=1.9、
調光シート。
【請求項2】
前記液晶層の容量値は、5×10-2(μF)以上1×10-1(μF)以下であり、
前記液晶層の抵抗値は、0.5M(Ω/sq)以上1.5M(Ω/sq)以下である
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記駆動電圧Vinが、50(V)以下である、
請求項1または2に記載の調光シート。
【請求項4】
前記駆動電圧Vinが、42(V)以下である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光シート。
【請求項5】
第1端子を有する第1透明電極層と、
第2端子を有する第2透明電極層と、
前記第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、
を備える調光シートと、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加する駆動部と、
を備え、
前記第1端子と前記第2端子とは、前記調光シートにおける長軸方向の両端に位置し、
単位面積を有した閾値特定用の調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonであり、
前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)であり、
前記端子間距離Lが、1.8(m)以上4.0(m)以下であり、
前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の単位面積あたりの抵抗値が表面抵抗率Rs(Ω/sq)であり、
前記閾値特定用の調光シートは、
前記調光シートの一部であって前記長軸方向と直交する幅方向と前記長軸方向とにそれぞれ0.1(m)を有した部分と同一の層構成を備え、前記閾値特定用の調光シートが備える端子間に前記電圧が印加されたときの前記閾値が、前記閾値電圧Vonであり、
前記閾値特定用の調光シートが備える端子は、
前記閾値特定用の調光シートにおける前記長軸方向の両端に配置され、前記閾値特定用の前記第1透明電極層に接続された端子と、前記閾値特定用の調光シートの前記第2透明電極層に接続された端子と、から構成され、当該端子における前記幅方向の長さが0.1(m)であり、前記長軸方向の長さが5(mm)であり、
前記透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を50%以下で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記不透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を95%以上で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記駆動部は、式(1)を満たすように前記電圧として駆動電圧Vinを印加する、
Rs≦(-A×Vt+B)×L-C … 式(1)
Vt=Von/Vin,A=1.5×10,B=1.5×10,C=1.9、
調光装置。
【請求項6】
前記駆動電圧Vinが、50(V)以下であり、
前記閾値電圧Vonが、40(V)以下であり、
前記表面抵抗率Rsが、30(Ω/sq)以下である、
請求項5に記載の調光装置。
【請求項7】
第1端子を有する第1透明電極層と、
第2端子を有する第2透明電極層と、
前記第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、
を備える調光シートと、
前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加する駆動部と、
を備え、
前記第1端子と前記第2端子とは、前記調光シートにおける長軸方向の両端に位置し、
単位面積を有した閾値特定用の調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonであり、
前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)であり、
前記端子間距離Lが、1.8(m)以上4.0(m)以下であり、
前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の単位面積あたりの抵抗値が表面抵抗率Rs(Ω/sq)であり、
前記閾値特定用の調光シートは、
前記調光シートの一部であって前記長軸方向と直交する幅方向と前記長軸方向とにそれぞれ0.1(m)を有した部分と同一の層構成を備え、前記閾値特定用の調光シートが備える端子間に前記電圧が印加されたときの前記閾値が、前記閾値電圧Vonであり、
前記閾値特定用の調光シートが備える端子は、
前記閾値特定用の調光シートにおける前記長軸方向の両端に配置され、前記閾値特定用の前記第1透明電極層に接続された端子と、前記閾値特定用の調光シートの前記第2透明電極層に接続された端子と、から構成され、当該端子における前記幅方向の長さが0.1(m)であり、前記長軸方向の長さが5(mm)であり、
前記透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を50%以下で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記不透明が前記閾値特定用の調光シートのヘイズ値を95%以上で前記電圧に対して変化しなくさせる状態であり、
前記駆動部は、前記電圧として駆動電圧Vinを印加するとき、前記駆動部に入力された前記端子間距離Lが大きいほど前記駆動電圧Vinを高めると共に、前記駆動部に入力された前記閾値電圧Vonが高いほど前記駆動電圧Vinを高める、
調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明電極層を備えた調光シート、および、調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、第1透明電極層と第2透明電極層とに挟まれた液晶組成物を備える。液晶組成物は、第1透明電極層と第2透明電極層との間の電圧が印加されるときに、液晶分子の配向状態を変化させて、透明から不透明、あるいは、不透明から透明に変わる。調光シートは、ノーマル型とリバース型とに分類される。ノーマル型調光シートは、通電によって不透明から透明に変わり、リバース型の調光シートは、通電によって透明から不透明に変わる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-321562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調光シートが適用される対象がビルのエントランスや大型スクリーンなどのように広がる一途である近年では、調光シートの面内において透過率の均一性を高めるという新たな課題が生じている。
【0005】
本発明は、調光シートの面内において透過率の均一性を向上可能とした調光シート、および、調光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための調光シートは、第1端子を有する第1透明電極層と、第2端子を有する第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、を備える。前記第1端子と前記第2端子とは、調光シートにおける長軸方向の両端に位置し、前記第1端子と第2端子との間に印加される電圧が駆動電圧Vinである。単位面積あたりの調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonである。前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)である。そして、前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の表面抵抗率Rs(Ω/sq)が式(1)を満たす。
【0007】
Rs≦(-A×Vt+B)×L-C … 式(1)
なお、式(1)において、Vt=Von/Vin,A=1.5×10,B=1.5×10,C=1.9である。
【0008】
本発明者による回路シミュレーションによれば、第1端子と第2端子とから離れた位置において、第1透明電極層と第2透明電極層との間の電圧降下が生じる。調光シートの面内における部分的な電圧降下は、調光シートの面内における透過率の均一性を低下させる。この点、上記構成によれば、各透明電極層の表面抵抗率Rsが上記式を満たす値であるため、仮に、透明電極層間の電圧降下が生じたとしても、透明電極層間に印加される電圧が調光シートにおける長軸方向の全体で閾値電圧Von以上となる。結果として、調光シートの面内で透過率の均一性が高まる。
【0009】
上記調光シートにおいて、前記液晶層の容量値は、5×10-2(μF)以上1×10-1(μF)以下であり、前記液晶層の抵抗値は、0.5M(Ω/sq)以上1.5M(Ω/sq)以下であってもよい。この構成によれば、調光シートの面内で透過率の均一性を高める効果が得られることの実効性が高まる。
【0010】
上記調光シートにおいて、前記駆動電圧Vinが50(V)以下であってもよい。この構成によれば、調光シートの駆動に用いられる電圧が特別低電圧以下であるため、調光シートの駆動において安全性が高まる。
【0011】
上記調光シートにおいて、前記駆動電圧Vinが42(V)以下であってもよい。この構成によれば、調光シートの駆動に用いられる電圧が安全特別低電圧以下であるため、調光シートの駆動において安全性が、さらに高まる。
【0012】
上記課題を解決するための調光装置は、第1端子を有する第1透明電極層と、第2端子を有する第2透明電極層と、前記第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加する駆動部と、を備える。前記第1端子と前記第2端子とは、調光シートにおける長軸方向の両端に位置する。単位面積あたりの調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonである。前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)である。前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の単位面積あたりの抵抗値が表面抵抗率Rs(Ω/sq)である。そして、前記駆動部は、上記式を満たすように前記電圧として駆動電圧Vinを印加してもよい。
【0013】
上記構成によれば、各透明電極層の表面抵抗率が上記式を満たすため、仮に、透明電極層間の電圧降下が生じたとしても、第1透明電極層と第2透明電極層との間に印加される電圧は、調光シートにおける長軸方向の全体で閾値電圧Von以上となる。結果として、調光シートの面内で透過率の均一性が高まる。
【0014】
上記調光装置において、前記端子間距離が1.8(m)以下であり、前記駆動電圧Vinが50(V)以下であり、前記閾値電圧Vonが40(V)以下であり、前記表面抵抗率が120(Ω/sq)以下であってもよい。
【0015】
上記調光装置によれば、表面抵抗率が120(Ω/sq)以下であるため、駆動電圧Vinが特別低電圧以下でありながら、閾値電圧Vonである40(V)以上の電圧を透明電極層間の全体に印加できる。それゆえに、端子間距離が1.8(m)以下の調光シートにおいて、調光シートの面内における透過率の均一性を高めることの実効性が高まる。
【0016】
上記調光装置において、前記端子間距離が4.0(m)以下であり、前記駆動電圧Vinが50(V)以下であり、前記閾値電圧Vonが40(V)以下であり、前記表面抵抗率が30(Ω/sq)以下であってもよい。
【0017】
上記調光装置によれば、表面抵抗率が30(Ω/sq)以下であるため、駆動電圧Vinが特別低電圧以下でありながら、閾値電圧Vonである40(V)以上の電圧を透明電極層間の全体に印加できる。それゆえに、端子間距離が4.0(m)以下の調光シートにおいて、調光シートの面内における透過率の均一性を高めることの実効性が高まる。
【0018】
上記課題を解決するための調光装置は、第1端子を有する第1透明電極層と、第2端子を有する第2透明電極層と、前記第1透明電極層と第2透明電極層との間に位置する液晶層であって、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、前記空隙を埋める液晶組成物とを備えた前記液晶層と、前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加する駆動部と、を備える。前記第1端子と前記第2端子とは、調光シートにおける長軸方向の両端に位置する。単位面積あたりの調光シートが前記電圧の印加によって不透明から透明、あるいは、透明から不透明に変わるときの前記電圧の閾値が閾値電圧Vonである。前記第1端子と前記第2端子との間の最短距離が端子間距離L(m)である。前記第1透明電極層、および、前記第2透明電極層の単位面積あたりの抵抗値が表面抵抗率Rs(Ω/sq)である。そして、前記駆動部は、前記電圧として駆動電圧Vinを印加するとき、前記駆動部に入力された前記端子間距離Lが大きいほど前記駆動電圧Vinを高めると共に、前記駆動部に入力された前記閾値電圧Vonが高いほど前記駆動電圧Vinを高める。
【0019】
上述したように、第1端子と第2端子とから離れた位置では、透明電極層間の電圧降下が生じる。この際、端子間距離Lが大きいほど、透明電極層間の電圧降下は大きい。また、閾値電圧Vonが高いほど、電圧降下に起因して、透過率が変わりにくい。この点、上記構成によれば、駆動部に入力された端子間距離Lが大きいほど、駆動電圧Vinを高めると共に、駆動部に入力された閾値電圧Vonが高いほど、駆動電圧Vinを高める。そのため、仮に、透明電極層間の電圧降下が生じたとしても、透明電極層間に印加される電圧は、調光シートにおける長軸方向の全体で閾値電圧Von以上となりやすい。結果として、調光シートの面内において透過率の均一性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ノーマル型調光シートにおける断面構造の一例を示す断面図。
図2】リバース型調光シートにおける断面構造の一例を示す断面図。
図3】単位領域を有した調光シートを示す正面図。
図4】単位領域におけるピークピーク値とヘイズ値との関係を示すグラフ。
図5】回路シミュレーションに用いられる調光シートを示す平面図。
図6】回路シミュレーションに用いられる調光シートの等価回路図。
図7】回路シミュレーションに用いられる交流電圧の波形を示すグラフ。
図8】単位領域における各透明電極層の電圧波形を示すグラフ。
図9】各単位領域における電極間電圧の分布を示すグラフ。
図10】端子間距離と閾値抵抗率との関係を駆動電圧ごとに示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図10を参照して、調光シート、および、調光装置を説明する。
調光シートは、例えば、車両や航空機などの移動体が備える窓に取り付けられる。また、調光シートは、例えば、住宅、駅、空港などの各種の建物が備える窓、オフィスに設置されたパーティション、店舗に設置されたショーウインドウ、ビルのエントランスなどに取り付けられる。また、調光シートは、映像を投影するスクリーンなどに用いられる。調光シートの形状は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。調光シートの形状は、調光シートが取り付けられる対象の形状に追従した形状であってもよいし、調光シートが取り付けられる対象とは異なる形状であってもよい。調光シートの型式は、ノーマル型であってもよいし、リバース型であってもよい。
【0022】
まず、図1,2を参照して、ノーマル型、および、リバース型の調光シートを備えた調光装置の構成例を説明する。次いで、図3,4を参照して、電圧の印加によって調光シートが不透明から透明に変わるときの閾値電圧Vonについて説明する。
【0023】
次に、図5から図7を参照して、回路シミュレーションに用いられる条件を説明する。そして、図8から図10を参照して、回路シミュレーションから得られた結果と共に、調光シートが備える透明電極層の表面抵抗率を説明する。
【0024】
[ノーマル型]
図1が示すように、調光装置の1つの例は、ノーマル型調光シート10N、および、駆動部30を備える。ノーマル型調光シート10Nは、液晶層11、一対の透明電極層12、一対の透明支持層13、および、一対の端子20を備える。
【0025】
液晶層11は、複数の空隙を区画する高分子透明樹脂層と、空隙を埋める液晶組成物とを備える。液晶層11が液晶組成物を保持する型式は、ポリマーネットワーク型、高分子分散型、カプセル型からなる群から選択されるいずれか一種である。
【0026】
ポリマーネットワーク型は、3次元の網目状を有した高分子透明樹脂層を備える。高分子透明樹脂層は、相互に連通した網目状の空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を区画する高分子透明樹脂層を備え、高分子透明樹脂層のなかに分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を高分子透明樹脂層のなかに保持する。
【0027】
高分子透明樹脂層を形成する材料は、例えば、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂である。液晶層11は、液晶層11の厚さを保つため、また、液晶層11の厚さがノーマル型調光シート10Nの面内でばらつくことを抑えるため、スペーサーを備えてもよい。スペーサーは、例えば、粒状スペーサーである。粒状スペーサーは、球状スペーサー、および、非球状スペーサーを含む。非球状スペーサーは、直方体状スペーサー、十字状スペーサー、および、棒状スペーサーを含む。
【0028】
液晶組成物は、例えば、ネマティック液晶を構成する液晶分子、スメクティック液晶を構成する液晶分子、および、コレスティック液晶を構成する液晶分子のいずれかの液晶分子を含む。液晶分子は、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子の長軸方向の誘電率が液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系の液晶分子である。液晶組成物は、液晶分子以外の構成要素として、二色性色素や紫外線吸収剤などを含むことも可能である。
【0029】
一対の透明電極層12は、第1透明電極層12A、および、第2透明電極層12Bから構成される。第1透明電極層12Aと、第2透明電極層12Bとは、液晶層11の厚さ方向において、液晶層11を挟む。液晶層11は、第1透明電極層12Aと、第2透明電極層12Bとの間に位置する。
【0030】
各透明電極層12は、無色透明、あるいは、有色透明であり、可視光領域の光を透過する。各透明電極層12を構成する材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択されるいずれか一種である。
【0031】
各透明電極層12が有する表面抵抗率Rs(Ω/sq)は、0.1(m)×0.1(m)の大きさである単位面積あたりの電気抵抗率である。表面抵抗率Rsは、シート抵抗、あるいは、面抵抗率である。各透明電極層12が有する表面抵抗率Rsは、透明電極層12の厚さが大きいほど小さい。
【0032】
一対の透明支持層13は、第1透明支持層13A、および、第2透明支持層13Bから構成される。第1透明支持層13Aと、第2透明支持層13Bとは、液晶層11の厚さ方向において、一対の透明電極層12を挟む。一対の透明電極層12は、第1透明支持層13Aと、第2透明支持層13Bとの間に位置する。各透明支持層13は、無色透明、あるいは、有色透明であり、可視光領域の光を透過する。
【0033】
各透明支持層13は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー、および、トリアセチルセルロースからなる群から選択されるいずれか一種である。
【0034】
一対の端子20は、第1端子20A、および、第2端子20Bから構成される。第1端子20Aと、第2端子20Bとは、各別の透明電極層12に接続されている。第1端子20Aは、幅方向の全体にわたり第1透明電極層12Aに接続されている。第2端子20Bは、幅方向の全体にわたり第2透明電極層12Bに接続されている。第1端子20Aと、第2端子20Bとは、調光シート10Nにおける長軸方向DLの両端に位置する。
【0035】
第1透明電極層12Aにおける長軸方向DLの先端部は、第2透明電極層12B、および、第2透明支持層13Bから露出している。第1端子20Aは、第1透明電極層12Aにおける長軸方向DLの先端部と、駆動部30とに電気的に接続されている。第2透明電極層12Bにおける長軸方向DLの基端部は、第1透明電極層12A、および、第1透明支持層13Aから露出している。第2端子20Bは、第2透明電極層12Bにおける長軸方向DLの基端部と、駆動部30とに電気的に接続されている。
【0036】
長軸方向DLにおける第1端子20Aと第2端子20Bとの間の最短距離は、端子間距離L(m)である。調光シート10Nが矩形シート状であるとき、調光シート10Nにおける幅方向の長さは、シート幅W(m)である。
【0037】
各端子20は、例えば、導電性ペースト、導電性テープ、および、半田部の順に、透明電極層12に積層された積層体である。各端子20を構成する導電性ペーストは、透明電極層12に接続されている。各端子20を構成する半田部は、駆動部30に接続されている。また、各端子20は、例えば、導電性ペースト、および、金属テープや導電性フィルムなどの導電性接着層の順に、透明電極層12に積層された積層体である。各端子20を構成する導電性接着層は、フレキシブル基板などの配線基板を通じて、駆動部30に電気的に接続されている。
【0038】
駆動部30は、第1端子20A、および、第2端子20Bに接続されている。駆動部30は、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に交流電圧を印加する。交流電圧の波形は、例えば、正弦波、方形波、三角波からなる群から選択されるいずれか一種である。駆動電圧Vinは、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に印加される交流電圧のピークピーク値である。駆動電圧Vinは、例えば、40(V)以上160(V)以下である。駆動周波数fは、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に印加される交流電圧の周波数である。駆動周波数fは、例えば、30(Hz)以上200(Hz)以下である。
【0039】
第1端子20Aと第2端子20Bとの間に駆動電圧Vinが印加されていないとき、液晶分子が有する分極方向の並びが不規則であり、ノーマル型調光シート10Nは不透明状態である。液晶層11は、液晶分子の配向の変化に基づいて、透明状態と不透明状態とに切り替わる。駆動部30は、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に交流電圧を印加して、ノーマル型調光シート10Nが不透明状態から透明状態に変わるように、液晶分子の配向を変える。
【0040】
[リバース型]
図2が示すように、調光装置の他の例は、リバース型調光シート10R、および、駆動部30を備える。リバース型調光シート10Rは、液晶層11、一対の透明電極層12、一対の透明支持層13、および、一対の端子20に加えて、一対の配向層14を備える。
【0041】
一方の配向層14は、第1配向層14A、および、第2配向層14Bから構成される。第1配向層14Aと、第2配向層14Bとは、液晶層11の厚さ方向において、液晶層11を挟む。第1配向層14Aは、液晶層11と第1透明電極層12Aとの間に位置して、液晶分子に配向規制力を加える。第2配向層14Bは、液晶層11と第2透明電極層12Bとの間に位置して、液晶分子に配向規制力を加える。
【0042】
配向層14は、例えば、透明な垂直配向膜である。配向層14を構成する材料は、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエステル、および、ポリアクリレートなどであってよい。ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなどである。ポリアクリレートは、例えば、ポリメチルメタクリレートである。なお、配向層14を形成するための配向処理には、例えば、ラビング処理、偏光照射処理、および、微細加工処理などを用いることも可能である。
【0043】
一対の配向層14が垂直配向膜である場合、第1端子20Aと第2端子20Bとの間における交流電圧の印加が停止されると、液晶分子の分極方向は、垂直配向に配向する。そして、調光シート10Rに入射した光は、液晶層11においてほぼ散乱されることなく、液晶層11を透過する。結果として、リバース型調光シート10Rは、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に交流電圧が印加されていないときに、透明状態となる。
【0044】
一対の配向層14が垂直配向層である場合、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に駆動電圧Vinが印加されると、液晶分子の分極方向は、例えば、垂直配向から水平配向に変わる。そして、調光シート10Rに入射した光は、液晶層11によって散乱される。結果として、リバース型の液晶層11は、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に交流電圧が印加されるときに、不透明状態となる。
【0045】
なお、リバース型、および、ノーマル型の各調光シートが矩形シート状を有するとき、調光シートの長辺に沿う方向が長軸方向DLであり、また、調光シートの表面内において、長軸方向DLと直交する方向が幅方向である。なお、調光シートが楕円シート状を有するとき、調光シートの長軸に沿う方向が長軸方向DLであり、調光シートの表面内において、短軸に沿う方向が短軸方向である。調光シートが円形シート状を有するとき、調光シートの直径に沿う方向が長軸方向DLである。すなわち、調光シートにおける長軸方向DLは、液晶層11と対向する位置から見て、液晶層11の中心を通る直線の延在方向であって、当該直線と調光シートの縁とが交差する2点間の距離が他の全ての直線以上となる方向である。
【0046】
また、リバース型、および、ノーマル型の各調光シートにおいて、透明状態の調光シートは、観測対象の輪郭を、調光シートを通して視覚認識可能とする。不透明状態の調光シートは、観測対象の輪郭を、調光シートを通して視覚認識不能とする。不透明状態の調光シートにおけるJIS K 7136:2000に準拠したヘイズ値は、例えば、95%以上である。透明状態の調光シートにおけるJIS K 7136:2000に準拠したヘイズ値は、例えば、50%以下である。
【0047】
また、リバース型、および、ノーマル型の各調光シートは、液晶層11と透明電極層12との間にバリア層をさらに備えてもよい。また、調光シートは、液晶層11の端面や透明電極層12の端面などを覆うバリア層をさらに備えてもよい。バリア層は、水や酸素などの透過を抑える機能、および、紫外線の透過を抑える機能の少なくとも一方を備える。
【0048】
また、リバース型、および、ノーマル型の各調光シートは、液晶層11と透明電極層12との間、もしくは、透明電極層12と透明支持層13との間にアンダーコート層をさらに備えてもよい。また、調光シートは、液晶層11の端面や透明電極層12の端面などを覆うアンダーコート層をさらに備えてもよい。アンダーコート層は、液晶層11と透明電極層12との密着性を向上させる機能、透明電極層12と透明支持層13との密着性を向上させる機能、透明電極層12と外部との電気的接続を保護する機能などを備える。
【0049】
また、リバース型、および、ノーマル型の各調光シートは、透明支持層13の外側に、ハードコート層や透明基材などの光透過層をさらに備えてもよい。光透過層は、調光シートの機械的な強度を高める機能を有する。また、調光シートは、液晶層11と透明電極層12との間や透明電極層12と透明支持層13との間に光透過層をさらに備えてもよい。
【0050】
光透過層を構成する材料の一例は、ガラスやシリコンなどの透明無機材料、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホンなどの透明有機材料である。
【0051】
[表面抵抗率]
各調光シート10N,10Rが備える透明電極層12の表面抵抗率Rs(Ω/sq)は、電圧比Vtと端子間距離Lとの関係式である下記式(1)を満たす。式(1)における定数A,B,Cを以下に示す。式(1)における電圧比Vtは、閾値電圧Vonに対する駆動電圧Vinの比である。
Rs≦(-A×Vt+B)×L-C … 式(1)
A=1.5×10,B=1.5×10,C=1.9
Vt=Von/Vin
【0052】
[閾値電圧Von]
次に、図3、および、図4を参照して、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に印加される交流電圧のピークピーク値とヘイズ値との関係、および、閾値電圧Vonを説明する。図3では、第2透明支持層13Bと対向する視点から見て、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとが重なる領域に濃いドットを付す。濃いドットが付された領域は、閾値電圧Vonを特定するための単位領域Nである。なお、図3では、第2透明電極層12Bのみが位置する領域に薄いドットを付す。
【0053】
閾値電圧Vonは、単位領域Nのノーマル型調光シート10Nの全体が交流電圧の印加によって不透明から透明に変わるとき、すなわち、不透明から透明に変わりヘイズ値が変化しなくなるときのピークピーク値の閾値である。閾値電圧Vonは、単位領域Nのリバース型調光シート10Rの全体が交流電圧の印加によって透明から不透明に変わるとき、すなわち、透明から不透明に変わりヘイズ値が変化しなくなるときのピークピーク値の閾値である。
【0054】
閾値電圧Vonを特定するための単位領域Nは、表面抵抗率Rsを特定するための最小単位の大きさでもある。閾値電圧Vonを特定するための単位領域Nにおける寸法、および、調光シート10に印加される交流電圧を以下に示す。
・端子間距離L : 0.1(m)
・シート幅W : 0.1(m)
・端子幅LD : 5(mm)
・交流電圧波形 : 正弦波
・駆動周波数f : 50(Hz)
【0055】
単位領域Nにおける透明電極層12A,12Bの間での抵抗値である液晶抵抗R1、および、単位領域Nにおける透明電極層間での容量値である液晶容量C1を以下に示す。また、各端子20A,20Bが接続される幅方向の大きさである端子幅LD、および、各端子20A,20Bと透明電極層12との接触抵抗を以下に示す。
・液晶抵抗R1 : 1M(Ω/sq)
・液晶容量C1 : 8×10-2(μF)
・接触抵抗値 : 1(Ω/sq)以上10(Ω/sq)以下
【0056】
図4は、閾値電圧Vonを特定するために行われるヘイズ値の測定結果である。ピークピーク値とヘイズ値との関係を、ノーマル型調光シート10Nを例として示す。なお、ノーマル型調光シート10Nにおけるヘイズ値は、ピークピーク値が高いほど低い一方で、リバース型調光シート10Rにおけるヘイズ値は、ピークピーク値が高いほど高い。ノーマル型調光シート10Nにおける閾値電圧Vonの特定と、リバース型調光シート10Rにおける閾値電圧Vonの特定とは、交流電圧の印加によってヘイズ値が低まるか、あるいは、高まるかが異なる一方で、その他の点において共通する。以下では、ノーマル型調光シート10Nにおいて閾値電圧Vonを特定する例を示し、リバース型調光シート10Rにおいて閾値電圧Vonを特定する例に関しては、重複した説明を割愛する。
【0057】
図4が示すように、第1端子20Aと第2端子20Bとの間に印加される交流電圧のピークピーク値が0(V)から10(V)までの範囲では、調光シート10におけるヘイズ値がほぼ100(%)で飽和している。第1端子20Aと第2端子20Bとの間に印加される交流電圧のピークピーク値が10(V)から40(V)に変わるとき、調光シート10におけるヘイズ値が100(%)から急峻に低下して10(%)に到達する。第1端子20Aと第2端子20Bとの間に印加される交流電圧のピークピーク値が40(V)を越える範囲では、調光シート10におけるヘイズ値が10(%)で飽和している。
【0058】
このとき、ノーマル型調光シート10Nが電圧の印加によって不透明から透明に変わるときのピークピーク値の閾値は、調光シート10Nのヘイズ値が10(%)で飽和するときの最低のピークピーク値である。すなわち、閾値電圧Vonは、40(V)である。
【0059】
[関係式]
次に、図5から図10を参照して、電圧比Vtと端子間距離Lとを用いた関係式である上記関係式の導出を説明する。電圧比Vtと端子間距離Lとの関係式は、調光シートの等価回路を回路シミュレーションに適用することによって導出される。調光シートの回路シミュレーションは、下記シート条件、素子条件、および、電源条件を満たす範囲で行われる。
【0060】
まず、図5図6とを参照して、回路シミュレーションに適用される等価回路を、シート条件、および、素子条件と共に説明する。次に、図7図8とを参照して、回路シミュレーションに適用される交流電圧を、電源条件と共に説明する。次いで、図9図10とを参照して、回路シミュレーションの結果の一例、および、各透明電極層12A,12Bの表面抵抗率Rsを説明する。
【0061】
回路シミュレーションに適用される調光シートの一例を図5に示す。図5では、第2透明支持層13Bと対向する視点から見て、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとが重なる領域に濃いドットを付す。濃いドットが付された領域は、長軸方向DL、および、幅方向に複数の単位領域Nを含む。なお、図5では、第2透明電極層12Bのみが位置する領域に薄いドットを付す。
【0062】
回路シミュレーションに適用される調光シートのシート幅W、および、端子幅LDは、以下のシート条件を満たす。なお、回路シミュレーションソフトウェアは、LTSPICE IV(Linear Technology Corporation社製)である。
【0063】
[シート条件]
・シート幅W : 1.5(m)
・端子幅LD : 5(mm)
【0064】
回路シミュレーションに適用される調光シートの等価回路を図6に示す。
図6が示すように、調光シートの等価回路は、単位領域Nを示す等価回路の集合である。すなわち、単位領域Nでの液晶層11における等価回路は、液晶抵抗R1と液晶容量C1との並列回路として近似される。さらに、複数の単位領域Nを備えた調光シートの等価回路は、幅方向の表面抵抗R2によって幅方向に並列接続された単位領域Nの並列回路、かつ、長軸方向DLの表面抵抗R2によって長軸方向DLに並列接続された単位領域Nの等価回路の集合として近似される。
【0065】
第1透明電極層12Aの幅方向における表面抵抗R2は、単位領域Nに含まれる第1透明電極層12Aである単位電極層D1での幅方向の表面抵抗率Rsに基づく抵抗である。第2透明電極層12Bの幅方向における表面抵抗R2は、単位領域Nに含まれる第2透明電極層12Bである単位電極層D2での幅方向の表面抵抗率Rsに基づく抵抗である。
【0066】
第1透明電極層12Aの長軸方向DLにおける表面抵抗R3もまた、単位領域Nに含まれる第1透明電極層12Aである単位電極層での長軸方向DLの表面抵抗率Rsに基づく抵抗である。第2透明電極層12Bの長軸方向DLにおける表面抵抗R3もまた、単位領域Nに含まれる第2透明電極層12Bである単位電極層での幅方向の表面抵抗率Rsに基づく抵抗である。
【0067】
回路シミュレーションに適用される調光シートの液晶抵抗R1、液晶容量C1、各端子20A,20Bの接触抵抗は、以下の素子条件を満たす。
[素子条件]
・液晶層の抵抗値: 1M(Ω/sq)
・液晶層の容量値: 8×10-2(μF)
・接触抵抗値 : 1(Ω/sq)以上10(Ω/sq)以下
【0068】
回路シミュレーションに適用される電源電圧は、以下の電源条件を満たす。すなわち、図7が示すように、回路シミュレーションに適用される交流電圧は、50(Hz)の駆動周波数fを有した正弦波である。駆動電圧Vinは、40(V)以上160(V)以下である。図7が示す例では、駆動電圧Vinが140(V)である。そして、調光シートの等価回路に、50(Hz)の駆動周波数を有した駆動電圧Vinが印加される。
[電源条件]
・電源電圧波形 : 正弦波
・駆動周波数f : 50(Hz)
・駆動電圧Vin: 40(V)以上160(V)以下
調光シートの回路シミュレーションは、単位領域Nの液晶容量C1に印加されている電圧を、単位領域Nごとに電極間電圧Vnとして算出する。電極間電圧Vnは、単位領域Nにおいて第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に印加されている交流電圧のピーク値である。
【0069】
図8は、1つの単位領域Nにおける電極間電圧Vnの一例を示す。図8では、1つの単位領域Nにおける第1透明電極層12Aの電圧である第1電圧VinAを実線で示す。第1電圧VinAは、調光シートにおける接地側の電圧である。また、図8では、1つの単位領域Nにおける第2透明電極層12Bの電圧である第2電圧VinBを破線で示す。第2電圧VinBは、調光シートにおける電源側の電圧である。
【0070】
図8が示すように、第1電圧VinAは、ピークピーク値が0.5(V)以下であって、ほぼ0(V)を有する。第2電圧VinBは、ピーク値が70(V)であって、電源電圧から90°だけ進んだ波形を有する。1つの単位領域Nにおける電極間電圧Vnは、当該単位領域Nにおける第1電圧VinAと第2電圧VinBとの差のピーク値である。
【0071】
調光シートの回路シミュレーションは、全ての単位領域Nのなかから、電極間電圧Vnが最小値となる単位領域Nを、端子間距離Lと駆動電圧Vinとの組みに1つずつ算出する。端子間距離Lは、1.8(m)以上4.0(m)以下のいずれかであり、例えば、1.8(m)から0.2(m)ずつ変更される。駆動電圧Vinは、40(V)以上160(V)以下であり、例えば、40(V)から2(V)ずつ昇圧される。
【0072】
例えば、回路シミュレーションは、端子間距離Lが1.8(m)、かつ、駆動電圧Vinが42(V)である組みでの電極間電圧Vnが、長軸方向DLの中央に位置する単位領域Nで最小となることを算出する。また、回路シミュレーションは、端子間距離Lが2.0(m)、かつ、駆動電圧Vinが42(V)である組みでの電極間電圧Vnが、長軸方向DLの中央に位置する単位領域Nで最小となること、を算出する。
【0073】
回路シミュレーションは、電極間電圧Vnが最小値となる単位領域Nについて、電極間電圧Vnを各表面抵抗率Rsに1つずつ算出する。すなわち、回路シミュレーションは、端子間距離L、駆動電圧Vin、表面抵抗率Rsの1つの組みについて、1つの電極間電圧Vnを算出する。表面抵抗率Rsは、1(Ω/sq)以上250(Ω/sq)以下のなかのいずれかであり、例えば、1(Ω/sq)から10(Ω/sq)ずつ高まる値である。
【0074】
例えば、回路シミュレーションは、端子間距離Lが1.8(m)、かつ、駆動電圧Vinが42(V)である1つの組みについて、長軸方向DLの中央に位置する単位領域Nでの電極間電圧Vnを、1(Ω/sq)以上250(Ω/sq)以下の各表面抵抗率Rsを用いて算出する。また、回路シミュレーションは、端子間距離Lが2.0(m)、かつ、駆動電圧Vinが42(V)である1つの組みについて、長軸方向DLの中央に位置する単位領域Nでの電極間電圧Vnを、1(Ω/sq)以上250(Ω/sq)以下の各表面抵抗率Rsを用いて算出する。
【0075】
回路シミュレーションは、端子間距離Lと駆動電圧Vinとの組みごとに、全ての表面抵抗率Rsを用いた電極間電圧Vnのなかから、電極間電圧Vnが閾値電圧Vonの半分以上となる表面抵抗率Rsを特定する。そして、回路シミュレーションは、特定された表面抵抗率Rsのなかの最大値を、その端子間距離Lと駆動電圧Vinとの組みに対応する閾値抵抗率とする。
【0076】
例えば、回路シミュレーションは、端子間距離Lが1.8(m)、かつ、駆動電圧が42(V)である1つの組みについて、電極間電圧Vnが閾値電圧Vonの半分以上となる表面抵抗率Rsとして、1(Ω/sq)以上50(Ω/sq)以下を特定する。そして、回路シミュレーションは、端子間距離Lが1.8(m)、かつ、駆動電圧が42(V)である組みについて、閾値抵抗率が50(Ω/sq)であることを算出する。また、回路シミュレーションは、端子間距離Lが2.0(m)、かつ、駆動電圧が42(V)である1つの組みについて、電極間電圧Vnが閾値電圧Vonの半分以上となる表面抵抗率Rsとして、1(Ω/sq)以上40(Ω/sq)以下を特定する。そして、回路シミュレーションは、端子間距離Lが2.0(m)、かつ、駆動電圧が42(V)である組みについて、閾値抵抗率が40(Ω/sq)であることを算出する。
【0077】
図9は、端子間距離L、駆動電圧Vin、および、表面抵抗率Rsが下記条件を満たすときの、単位領域Nごとの電極間電圧Vnの分布例を示す。図9では、長軸方向DLにおける第1端子20Aからの距離、および、幅方向の1つの端からの距離に対する、単位領域Nでの電極間電圧Vnを示す。
・端子間距離L : 4.0(m)
・駆動電圧Vin: 50(V)
・表面抵抗率Rs: 200(Ω/sq)
【0078】
図9が示すように、第1端子20Aから離れるほど、かつ、第2端子20Bから離れるほど、電極間電圧Vnは低い。第1端子20Aと第2端子20Bとの間の長軸方向DLでの中央である中央位置Sに向けて、電極間電圧Vnは徐々に低下する。一方、幅方向における1つの端から他方の端まで、電極間電圧Vnはほぼ等しい。すなわち、全ての単位領域Nにおける電極間電圧Vnのなかの最小値は、中央位置Sでの電極間電圧Vnである。
【0079】
このように、中央位置Sでの電極間電圧Vnが、全ての単位領域Nのなかの最小値であるという傾向は、他の端子間距離L、他の駆動電圧Vin、および、他の表面抵抗率Rsでも共通する。言い換えれば、中央位置Sの電極間電圧Vnが閾値電圧Von以上となる表面抵抗率Rsを有した調光シートであれば、各単位領域Nにおいてほぼ等しい透過率が得られる、すなわち、調光シートの面内において透過率の均一性を向上できると言える。
【0080】
図10は、電極間電圧Vnの最小値が閾値電圧Von(=40(V))以上であることを満たす表面抵抗率Rsの最大値であって、当該最大値における端子間距離Lの依存性を駆動電圧Vinごとに示すグラフである。電極間電圧Vnの最小値が閾値電圧Von以上であることを満たす表面抵抗率Rsの最大値は、上述した閾値抵抗率である。図10では、端子間距離L、および、駆動電圧Vinが下記条件を満たすときの閾値抵抗率の例を示す。
・端子間距離L : 1.8(m)以上4(m)以下
・駆動電圧Vin: 42(V)以上60(V)以下
【0081】
図10の一点鎖線が示すように、駆動電圧Vinが42(V)であり、端子間距離Lが1.8(m)であるときの閾値抵抗率は、50(Ω/sq)である。すなわち、表面抵抗率Rsが50(Ω/sq)以下であれば、端子間距離Lが1.8(m)である調光シートの全ての単位領域Nで、透過率が飽和し、調光シートの全面が不透明から透明に変わる。こうした閾値抵抗率は、端子間距離Lが大きいほど低い。例えば、駆動電圧Vinが42(V)であって、端子間距離Lが4.0(m)であるときの閾値抵抗率は、10(Ω/sq)である。
【0082】
図10の破線が示すように、駆動電圧Vinが50(V)であり、端子間距離Lが1.8(m)であるときの閾値抵抗率は、120(Ω/sq)である。この閾値抵抗率は、駆動電圧Vinが42(V)であるときの閾値抵抗率よりも高い。すなわち、表面抵抗率Rsが120(Ω/sq)以下であれば、端子間距離Lが1.8(m)である調光シートの全ての単位領域Nで、透過率が飽和し、調光シートの全面が不透明から透明に変わる。
【0083】
なお、端子間距離Lが1.8(m)以上4.0(m)以下の全範囲にわたり、駆動電圧Vinが50(V)であるときの閾値抵抗率は、駆動電圧Vinが42(V)である場合よりも高い。例えば、駆動電圧Vinが50(V)であり、端子間距離Lが4.0(m)であるときの閾値抵抗率は、30(Ω/sq)である。
【0084】
また、駆動電圧Vinが50(V)であるときの、端子間距離Lの増大に対する閾値抵抗率の低下の度合いは、駆動電圧Vinが42(V)である場合よりも大きい。
図10の実線が示すように、駆動電圧Vinが60(V)であり、端子間距離Lが1.8(m)であるときの閾値抵抗率は、180(Ω/sq)である。この閾値抵抗率は、駆動電圧Vinが42(V)や50(V)であるときよりも高い。すなわち、表面抵抗率Rsが180(Ω/sq)以下であれば、端子間距離Lが1.8(m)である調光シートの全ての単位領域Nで、透過率が飽和し、調光シートの全面が不透明から透明に変わる。
【0085】
なお、端子間距離Lが1.8(m)以上4.0(m)以下の全範囲にわたり、駆動電圧Vinが60(V)であるときの閾値抵抗率は、駆動電圧Vinが50(V)である場合よりも高い。例えば、駆動電圧Vinが60(V)であり、端子間距離Lが4.0(m)であるときの閾値抵抗率は、40(Ω/sq)である。
【0086】
また、駆動電圧Vinが60(V)であるときの、端子間距離Lの増大に対する閾値抵抗率の低下の度合いは、駆動電圧Vinが50(V)である場合よりも大きい。
上述した閾値抵抗率は、閾値電圧Vonに対する駆動電圧Vinの比である電圧比Vtと、端子間距離Lと、を変数として、近似式である上記関係式によって示される。上記関係式は、調光シート、および、調光装置が、以下の[特性1]から[特性4]を有していることを示す。
【0087】
[特性1]閾値電圧Vonが相互に等しく、かつ、端子間距離Lが相互に異なる場合、端子間距離Lが大きいほど、表面抵抗率Rsが低い。
[特性2]閾値電圧Vonが相互に等しく、かつ、端子間距離Lが相互に異なる場合、端子間距離Lが大きいほど、駆動電圧Vinが高い。
【0088】
[特性3]閾値電圧Vonが相互に異なり、かつ、端子間距離Lが相互に異なる場合、端子間距離Lが大きいほど、また、閾値電圧Vonが高いほど、表面抵抗率Rsが低い。
[特性4]閾値電圧Vonが相互に異なり、かつ、端子間距離Lが相互に異なる場合、端子間距離Lが大きいほど、また、閾値電圧Vonが高いほど、駆動電圧Vinが高い。
【0089】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)各透明電極層12の表面抵抗率Rsが上記関係式を満たすため、仮に、透明電極層12A,12Bの間の電圧降下が生じたとしても、透明電極層12A,12Bの間に印加される電圧が調光シートにおける長軸方向DLの全体で閾値電圧Von以上となる。結果として、調光シートの面内で、透過率の均一性が高まる。
【0090】
(2)液晶容量C1が5×10-2(μF)以上1×10-1(μF)以下であり、液晶抵抗R1が、0.5M(Ω/sq)以上1.5M(Ω/sq)以下である場合には、上述した回路シミュレーションに基づく効果、すなわち、透過率の均一性が高まることの実効性が高まる。
【0091】
(3)駆動電圧Vinが50(V)以下である場合には、調光シートを特別低電圧以下で駆動できるため、調光シートの駆動における安全性を高めることが可能となる。
(4)駆動電圧Vinが42(V)以下である場合には、調光シートを安全特別低電圧以下で駆動できるため、調光シートの駆動における安全性を、さらに高めることが可能となる。
【0092】
(5)端子間距離Lが1.8m以下、駆動電圧Vinが50(V)以下、閾値電圧Vonが40(V)以下、表面抵抗率が120(Ω/sq)以下である場合、駆動電圧Vinが特別低電圧以下でありながら、閾値電圧Vonである40V以上の電圧を、透明電極層12A,12Bの間の全体に印加できる。それゆえに、端子間距離が1.8(m)以下の調光シートにおいて、調光シートの面内で透過率の均一性が高まることの実効性が高まる。
【0093】
(6)端子間距離Lが4.0(m)以下、駆動電圧Vinが50(V)以下、閾値電圧Vonが40(V)以下、表面抵抗率が30(Ω/sq)以下である場合、駆動電圧Vinが特別低電圧以下でありながら、閾値電圧Vonである40V以上の電圧を、透明電極層12A,12Bの間の全体に印加できる。それゆえに、端子間距離が4.0(m)以下の調光シートにおいて、調光シートの面内で透過率の均一性が高まることの実効性が高まる。
【0094】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
[駆動部]
・駆動部30は、端子間距離L、および、閾値電圧Vonの少なくとも一方を、外部から入力する入力部と、各種のデータを記憶する記憶部とを備えることも可能である。
【0095】
・例えば、駆動部30が備える記憶部は、閾値電圧Vonの初期値として40(V)を記憶し、表面抵抗率Rsの初期値として100(Ω/sq)を記憶し、さらに上記式(2)に示す関係式を記憶する。そして、駆動部30は、入力部から入力される端子間距離L、および、各初期値を上記関係式に適用し、上記関係式を満たす電圧を駆動電圧Vinとして算出して、算出された駆動電圧Vinを交流電圧として出力してもよい。なお、駆動部30は、上記関係式に基づく駆動電圧Vinの出力に限らず、駆動部に入力された端子間距離Lが大きいほど、駆動電圧Vinを高めるように、駆動電圧Vinを出力すればよい。
【0096】
・例えば、駆動部30が備える記憶部は、端子間距離Lの初期値として1.8(m)を記憶し、表面抵抗率Rsの初期値として100(Ω/sq)を記憶し、さらに上記式(2)に示す関係式を記憶する。そして、駆動部30は、入力部から入力される閾値電圧Von、および、各初期値を上記関係式に適用し、上記関係式を満たす電圧を駆動電圧Vinとして算出して、算出された駆動電圧Vinを交流電圧として出力してもよい。なお、駆動部30は、上記関係式に基づく駆動電圧Vinの出力に限らず、駆動部に入力された閾値電圧Vonが大きいほど、駆動電圧Vinを高めるように、駆動電圧Vinを出力すればよい。
【0097】
・例えば、駆動部30が備える記憶部は、表面抵抗率Rsの初期値として100(Ω/sq)を記憶し、さらに上記関係式を記憶する。そして、駆動部30は、入力部から入力される端子間距離L、入力部から入力される閾値電圧Von、および、各初期値を上記関係式に適用し、上記関係式を満たす電圧を駆動電圧Vinとして算出して、算出された駆動電圧Vinを交流電圧として出力してもよい。なお、駆動部30は、上記関係式に基づく駆動電圧Vinの出力に限らず、駆動部に入力された端子間距離Lが大きいほど、駆動電圧Vinを高めると共に、駆動部に入力された閾値電圧Vonが高いほど、駆動電圧Vinを高めるように、駆動電圧Vinを出力すればよい。
【0098】
・液晶容量C1は、5×10-2(μF)以上1×10-1(μF)以下であってもよい。液晶抵抗R1は、0.5M(Ω/sq)以上1.5M(Ω/sq)以下であってもよい。これらの範囲を満たす調光シートであれば、上述した回路シミュレーションと同様の結果が得られると共に、同結果から導出される近似式である上記関係式を満たすとに基づく効果、すなわち、調光シートの面内で透過率の均一性を高める効果が得られることの実効性が高まる。なお、液晶層11と透明電極層12との間に配向層14などの他の機能層が介在する場合には、液晶層11の容量に他の機能層の容量を含めた容量を液晶容量C1とし、また、液晶層11の抵抗値に他の機能層の抵抗値を含めた抵抗を液晶抵抗R1とする。
【符号の説明】
【0099】
DL…長軸方向、L…端子間距離、N…単位領域、Rs…表面抵抗率、Von…閾値電圧、Vin…駆動電圧、10,10N,10R…調光シート、11…液晶層、12…透明電極層、12A…第1透明電極層、12B…第2透明電極層、13…透明支持層、13A…第1透明支持層、13B…第2透明支持層、14…配向層、14A…第1配向層、14B…第2配向層、20…端子、20A…第1端子、20B…第2端子、30…駆動部。
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