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特許7395958建装材製造システム、サーバ装置及び建装材の柄提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】建装材製造システム、サーバ装置及び建装材の柄提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231205BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231205BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231205BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06Q50/08
B41J29/38 801
B41J29/00 Z
G06F3/12 373
G06F3/12 303
G06F3/12 344
G06F3/12 356
G06F3/12 343
G06F3/12 388
G06F3/12 387
G06F3/12 339
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019194643
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021068312
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】塩田 歩
(72)【発明者】
【氏名】佐川 浩一
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-232910(JP,A)
【文献】特開2019-144698(JP,A)
【文献】特開2015-022663(JP,A)
【文献】特開2001-315289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B41J 29/38
B41J 29/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用可能な端末と、前記端末に対し通信網を介して接続され、前記ユーザに対し建装材の任意の色調の柄を選択的に提供するサーバ装置と、前記端末及び前記サーバ装置に対し前記通信網を介して接続され、前記ユーザが選択した柄をインクジェットにより印刷可能でさらに前記ユーザが利用可能な印刷装置と、
を備え、
前記端末は、
前記サーバ装置から前記通信網を介して送られた柄の表示データを表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された柄に対し前記ユーザが取得指示を入力した場合に、前記サーバ装置に対し前記通信網を介して前記印刷装置で印刷する柄の取得要求を送信する取得要求送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記ユーザに対応付けて、前記印刷装置に対し前記通信網から割り当てられた加入者情報、及び前記印刷装置の機能を表す情報をそれぞれ記憶したデータベースと、
前記表示データを生成する表示データ生成手段と、
前記表示データ生成手段により生成された前記表示データを前記端末に対し送信する表示データ送信手段と、
前記端末から前記取得要求が送られた場合に、前記取得要求と、前記データベースに記憶された前記ユーザに対応する前記印刷装置の機能を表す情報とに基づいて、前記柄を画像処理して前記印刷装置に合わせた色調の調整を行う画像処理手段と、
前記印刷装置の機能に基づき作成され前記印刷装置の動作を制御するための印刷制御情報を、前記画像処理手段により処理された柄画像に付した柄データを生成する柄データ生成手段と、
前記加入者情報に基づいて、前記柄データ生成手段により生成された前記柄データを前記通信網を介して前記印刷装置に送信する柄データ送信手段と、
前記印刷装置による前記柄の印刷処理に基づく料金の請求処理を実行する請求処理手段と、
を備え、
前記印刷装置は、
前記サーバ装置から前記柄データを受信した場合に、前記柄画像に付された前記印刷制御情報に基づいて前記柄の印刷処理を実行する印刷処理手段と、
を備える建装材製造システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、前記柄の印刷処理が終了するごとに印刷の分量及び状態を表すログを記録媒体に記録し、前記記録媒体に記録されたログ情報を定期的に前記サーバ装置へ前記通信網を介して送信するログ送信手段を備え、
前記請求処理手段は、前記印刷装置から送信されたログ情報に基づいて、請求処理を実行する請求項1に記載の建装材製造システム。
【請求項3】
前記請求処理手段は、前記ユーザから料金の前払いがある場合に、前記印刷装置に対し前記料金の分の印刷処理を許可する請求項1に記載の建装材製造システム。
【請求項4】
印刷装置が、プリペイドカードを挿脱自在に装着するカードスロットを備え、このカードスロットに装着されたプリペイドカードから印刷を許可するための管理データを読み出し、この管理データに基づいて印刷動作を制限する機能を備えている場合に、
前記請求処理手段は、前記ユーザから前払いするべく料金分の管理データを記録する機能を備える請求項3に記載の建装材製造システム。
【請求項5】
ユーザが利用可能な端末に対し通信網を介して接続可能で、前記ユーザに対し建装材の任意の色調の柄を選択的に提供し、前記ユーザが選択した柄をインクジェットにより印刷可能でさらに前記ユーザが利用可能な印刷装置に対し前記通信網を介して接続可能なサーバ装置であって、
前記ユーザに対応付けて、前記印刷装置に対し前記通信網から割り当てられた加入者情報、及び前記印刷装置の機能を表す情報をそれぞれ記憶したデータベースと、
前記柄の表示データを生成する表示データ生成手段と、
前記表示データを前記端末に対し前記通信網を介して送信する表示データ送信手段と、
前記端末から前記印刷装置で印刷する柄の取得要求が送られた場合に、前記取得要求と、前記データベースに記憶された前記ユーザに対応する前記印刷装置の機能を表す情報とに基づいて、前記柄を画像処理して前記印刷装置に合わせた色調の調整を行う画像処理手段と、
前記印刷装置の機能に基づき作成され前記印刷装置の動作を制御するための印刷制御情報を、前記画像処理手段により処理された柄画像に付すことで柄データを生成する柄データ生成手段と、
前記加入者情報に基づいて、前記柄データ生成手段により生成された前記柄データを前記通信網を介して前記印刷装置に送信する柄データ送信手段と、
前記印刷装置による前記柄の印刷処理に基づく料金の請求処理を実行する請求処理手段と、
を備えるサーバ装置。
【請求項6】
前記請求処理手段は、前記印刷装置から送信された印刷の分量及び状態を表すログ情報に基づいて、請求処理を実行する請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記請求処理手段は、前記ユーザから料金の前払いがある場合に、前記印刷装置に対し前記料金の分の印刷処理を許可する請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項8】
印刷装置が、プリペイドカードを挿脱自在に装着するカードスロットを備え、このカードスロットに装着されたプリペイドカードから印刷を許可するための管理データを読み出し、この管理データに基づいて印刷動作を制限する機能を備えている場合に、
前記請求処理手段は、前記ユーザから前払いするべく料金分の管理データを記録する機能を備える請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記請求処理手段は、オリジナル柄、既存柄でオリジナルカラー、既存柄で既存色で請求する料金が異なる請求項5から8のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項10】
ユーザが利用可能な端末に対し通信網を介して接続可能で、前記ユーザが選択した柄をインクジェットにより印刷可能でさらに前記ユーザが利用可能な印刷装置に対し前記通信網を介して接続可能なサーバ装置が、前記ユーザに対し建装材の任意の色調の柄を提供する方法であって、
前記サーバ装置が、前記ユーザに対応付けて、前記印刷装置に対し前記通信網から割り当てられた加入者情報、前記印刷装置の機能を表す情報をそれぞれデータベースに記憶し、
前記サーバ装置が、前記柄の表示データを生成し、
前記サーバ装置が、前記表示データを前記端末に対し前記通信網を介して送信し、
前記端末から前記印刷装置で印刷する柄の取得要求が送られた場合に、前記サーバ装置が、前記取得要求と、前記データベースに記憶された前記ユーザに対応する前記印刷装置の機能を表す情報とに基づいて、前記柄を画像処理して前記印刷装置に合わせた色調の調整を行い、
前記サーバ装置が、前記機能を表す情報に基づき作成された前記印刷装置の動作を制御するための印刷制御情報を、柄画像に付すことで柄データを生成し、
前記サーバ装置が、前記データベースに記憶された該当する前記加入者情報に基づいて、前記生成された前記柄データを前記通信網を介して前記印刷装置に送信し、
前記サーバ装置が、前記印刷装置による前記柄の印刷処理に基づく料金の請求処理を実行する、
建装材の柄提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築内装材及びインテリア製品(以下、建装材と称する)の製造に使用する建装材製造システム、建装材の柄をユーザに提供するサーバ装置及び建装材の柄提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁紙やテーブル等に使用される木目柄や石目柄等の建装材に用いられる柄画像には、素材を撮影したときのフィルムが使用されて印刷に用いられる版が作成され、印刷が行われていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
例えば特許文献2に示すように、顧客先から壁紙が欲しいという要望があった場合、図9に示すように、従来は、営業担当者が実際の壁紙の一部を切り出したサンプル品を例えばMOディスクに格納したものを携行し(図9(1-1))、MOディスクからサンプル品を読み出し顧客に見せていた(図9(1-2))。そして、営業担当者は、顧客が選定した柄に対して希望の色を聞き、その希望の色を基にデザイナーが色変換作業を実施し、尺角版を作成する(図9(2))。この作成された尺角版を顧客に見せ(図9(3-1))、この時点でOKであれば尺角校正刷りを行い(図9(3-2))、本版を作成する(図9(4))。この作成された本版を顧客に見せ(図9(5-1))、この時点でOKであれば本版校正刷りを行い(図9(5-2))、量産する(図9(6))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4742457号
【文献】特許第4229430号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところがこのような従来の方法では、顧客との間で色柄を決定し、建装材を製造する作業まで、顧客との間で複数回のやりとりが必要であり、多くの手間と時間がかかっていた。さらに、有版印刷で作業を行っていたため、製版にも時間とコストがかかっていた。また、顧客からは、どのくらい料金がかかるのか知りたいという要望も出ている。
【0006】
本発明の目的は、版作成のための所要時間の短縮と、コスト及び労力の低減を可能とし、しかも柄データの乱用や転用も防ぐことを可能とする建装材製造システム、サーバ装置及び建装材の柄提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様に係る建装材製造システムは、ユーザが利用可能な端末と、端末に対し通信網を介して接続され、ユーザに対し建装材の任意の色調の柄を選択的に提供するサーバ装置と、サーバ装置に対し通信網を介して接続され、ユーザが選択した柄をインクジェットにより印刷可能な印刷装置と、を備え、端末は、サーバ装置から通信網を介して送られた柄の表示データを表示する表示手段と、表示手段により表示された柄に対しユーザが取得指示を入力した場合に、サーバ装置に対し通信網を介して柄の取得要求を送信する取得要求送信手段と、を備え、サーバ装置は、ユーザに予め付与した個別識別情報に対応付けて、印刷装置に対し通信網から割り当てられた加入者情報、及び印刷装置の機能を表す情報をそれぞれ記憶したデータベースと、表示データを生成する表示データ生成手段と、表示データ生成手段により生成された表示データを端末に対し送信する表示データ送信手段と、端末から取得要求が送られた場合に、取得要求と、データベースに記憶されたユーザに対応する印刷装置の機能を表す情報とに基づいて、柄を画像処理して印刷装置に合わせた色調の調整を行う画像処理手段と、印刷装置の機能に基づき作成され印刷装置の動作を制御するための印刷制御情報を、画像処理手段により処理された柄画像に付した柄データを生成する柄データ生成手段と、加入者情報に基づいて、柄データ生成手段により生成された柄データを通信網を介して印刷装置に送信する柄データ送信手段と、印刷装置による柄の印刷処理に基づく料金の請求処理を実行する請求処理手段と、を備え、印刷装置は、サーバ装置から柄データを受信した場合に、柄画像に付された印刷制御情報に基づいて柄の印刷処理を実行する印刷処理手段と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、版作成のための所要時間の短縮と、コスト及び労力の低減を可能とし、しかも柄データの乱用や転用も防ぐことを可能とする建装材製造システム、サーバ装置及び建装材の柄提供方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係わる建装材製造システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
図2】第1の実施形態に係わるサーバ装置の第1データベースの記憶内容の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係わるサーバ装置の第2データベースの記憶内容の一例を示す図である。
図4図1に示した建装材製造システムにおいて実施される建装材の柄提供方法の手順を示す概略シーケンス図である。
図5図1に示した端末に表示される柄の表示データの一例を示す図である。
図6図1に示したIJ印刷機のプロファイルの作成手順を示す画面図である。
図7図1に示したIJ印刷機による印刷結果の一例を示す図である。
図8】本発明に係わる建装材製造システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
図9】従来の建装材の柄提供方法の手順を示す概略シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係わる建装材製造システムの第1の実施形態を示す概略構成図であり、クラウド上に設けられる100は建装材の柄をユーザに提供する企業のサーバ装置であり、200は当該企業と契約を結んだ顧客であるユーザが利用する端末であり、300は当該ユーザが利用するIJ(インクジェット)印刷機である。
【0012】
端末200は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナル・コンピュータであってもよい。さらに、端末200は、ユーザが所持する端末でもよく、屋内に固定的に設置された端末であってもよい。IJ印刷機300は、ユーザの近くに配置されてもよく、ユーザがいる屋内から離れた場所に配置されてもよい。また、IJ印刷機300は、パーソナル・コンピュータとインクジェットプリンタとが接続されたものであってもよい。
【0013】
端末200及びIJ印刷機300は、通信網NWを介してサーバ装置100に接続される。通信網NWは、インターネット等のコンピュータ・ネットワークにより構成される。
【0014】
サーバ装置100は、モデム110と、制御部120と、記憶部121と、データベース130と、表示データ生成部140と、画像処理部150と、柄データ生成部160と、表示部170と、入力部180と、料金請求処理部190とを備えている。
【0015】
モデム110は、通信網NWを介して端末200及びIJ印刷機300との間で通信を行うもので、端末200への柄の表示データの送信と、端末200からの柄の取得要求の受信と、取得要求に応じてIJ印刷機300への柄データの送信と、IJ印刷機300からのアップロードデータの受信とを行う。
【0016】
入力部180は、データベース130へのユーザの登録など、制御部120に対し種々の動作指示を入力するために使用される。
制御部120は、記憶部121に記憶される各種プログラムに基づき、サーバ装置100全体の制御動作を司り、柄の表示データ送信機能と、柄データ送信機能とを備える。データベース130には、第1データベース131と、第2データベース132とが設けられる。
【0017】
第1データベース131には、図2に示すように、各ユーザごとに割り当てられた個別識別情報(ユーザ名)に対応付けて、通信網NWより割り当てられたIJ印刷機300の加入者情報(IPアドレス)と、IJ印刷機300の機能を表す情報とがそれぞれ記憶されている。IJ印刷機300の機能を表す情報としては、例えば「Aタイプ」、「Bタイプ」があり、例えば「Aタイプ」の方が「Bタイプ」より高い印刷精度で印刷可能である。
【0018】
第2データベース132には、図3に示すように、料金ごとに、提供される柄の種類が記憶されている。「松」であれば、顧客オリジナル柄が提供され、「梅」であれば、既存柄でオリジナルカラーが提供され、「竹」であれば既存柄で既存色が提供される。例えば、「竹」が最も安価であり、その次に「梅」が安価である。例えば、「松」が最も料金が高い。
【0019】
表示データ生成部140は、ユーザに対し提案すべき柄を含む表示データを生成する。この生成された表示データは、記憶部121に記憶され、表示部170に供給されて表示されると共に、制御部120による制御の下、モデム110により通信網NWを介して端末200へ送信される。
【0020】
画像処理部150は、制御部120による制御の下、端末200から送られた柄の取得要求と、データベース130に記憶されたユーザに対応するIJ印刷機300の機能を表す情報とに基づいて、柄を画像処理してIJ印刷機300に合わせた色調の調整を行う。
【0021】
柄データ生成部160は、IJ印刷機300の機能に基づき作成されIJ印刷機300の動作を制御するための印刷制御情報としてのプロファイルを、画像処理部150により処理された柄画像に埋め込むことで柄データを生成する。この生成された柄データは、制御部120による制御の下、データベース130に記憶されたIJ印刷機300のIPアドレスに基づいて、通信網NWを介してIJ印刷機300に送信される。
【0022】
料金請求処理部190は、IJ印刷機300から送信される印刷の分量及び状態を表すログ情報に基づいて、ユーザに対しIJ印刷機300による柄の印刷処理に基づく料金の請求処理を実行する。例えば、IJ印刷機300が顧客オリジナル柄を印刷した場合、料金請求処理部190は第2データベース132を参照し、「松」を請求する。
【0023】
一方、端末200は、モデム210と、制御部220と、記憶部230と、表示部240と、入力部250とを備えている。モデム210は、通信網NWを介してサーバ装置100との間で通信を行うもので、サーバ装置100から送られる柄の表示データの受信と、サーバ装置100への柄の取得要求の送信とを行う。
【0024】
入力部250は、端末200の制御部220に対し種々の動作指示を入力するために使用するもので、表示部240に表示される柄に対する色調の修正値の入力にも使用される。
【0025】
制御部220は、記憶部230に記憶される各種プログラムに基づき、端末200全体の制御動作を司り、サーバ装置100から通信網NWを介して送られた柄の表示データを表示部240に供給して表示させる。
【0026】
IJ印刷機300は、サーバ装置100から柄データを含むダウンロードデータを受信した場合に、柄画像に埋め込まれたプロファイルに基づいてインクジェットを用いた柄の印刷処理を実行する印刷処理部310を備えている。また、IJ印刷機300は、柄の印刷処理が終了するごとに印刷の分量及び状態を表すログをメモリに記録し、メモリに記録されたログ情報を定期的にサーバ装置100へ通信網NWを介して送信するログ送信制御部320を備えている。
【0027】
(柄データの提供手順)
次に、以上のシステムにおいてユーザに対し建装材の柄データを提供する方法を説明する。図4は、建装材の柄データを提供する場合におけるサーバ装置100と、端末200と、IJ印刷機300との間における情報の送受信動作を示す概略シーケンス図である。
【0028】
先ず、ユーザは、サーバ装置100を所有する企業(提供元)と契約を結ぶ。その際、提供元は、ユーザの名前や住所、連絡先の電話番号又は端末200のIPアドレス等の属性情報を、顧客データベースに登録するとともに、ユーザの個別識別情報に対応付けて、利用するIJ印刷機300のIPアドレス、IJ印刷機300の機能を第1データベース131に登録する。
【0029】
サーバ装置100は、ユーザから建装材の依頼を受け付けると、ユーザに提案する柄の表示データを生成し(図4(1-1))、この柄の表示データS1を通信網NWを介してユーザの端末200に送信する。また、柄の表示データS1を記憶部121に一時記憶保持する。
【0030】
端末200は、サーバ装置100から通信網NWを介して送られた柄の表示データS1を受信し、この受信表示データS1を記憶部230に記憶すると共に表示部240に表示させる(図4(1-2))。
【0031】
表示部240に表示される画面は、例えば図5に示すような画面である。この画面では、各色ボタン、明るさ調整ボタンが押されると、それに合わせてサムネイル画像の配色調整が行われ、配色結果が表示されるようになっている。
【0032】
図5(a)に示される配色調整の画面30において、現在のサムネイル画像31、そのカラーパッチ32、製版番号33及び柄名34が表示される。これらの表示と共に、色ボタン36a~36f、明るさ調整ボタン37a及び37b、リセットボタン38、詳細配色ボタン39、保存名欄41、得意先コード42、配色結果保存ボタン43及びリターンボタン44が表示される。
【0033】
図5(a)に示す画面30内のサムネイル画像31は、例えば「赤」の色ボタン36aがある回数押されることによって、図5(b)に示されるようなサムネイル画像31’が表示される。同時に、色情報を示すカラーパッチ32はカラーパッチ47に変更されて表示される。但し、ここでは、図5(a)に示されるサムネイル画像31の色が図5(b)に示されるサムネイル画像31’の色に変化されたことは、斜線の間隔の変化によって表されるものとする。
【0034】
この状態でユーザが、上記表示部240に表示される柄を取得するべく入力部250において取得指示を入力したとする。そうすると端末200は、通信網NWを介してサーバ装置100に対し柄の取得要求S2を送信する。柄の取得要求S2には、取得を希望する柄が含まれ、また色調を修正した場合にはその修正値が含まれる。
【0035】
これに対しサーバ装置100は、取得要求S2を受信すると、データベース130から該当するIJ印刷機300の機能を表す情報を読み出す。端末200のユーザのユーザ名が例えば「JOHN」であれば、「Aタイプ」を読み出す。そして、取得要求S2と、IJ印刷機300の機能を表す情報とに基づいて、柄を画像処理してIJ印刷機300に合わせた色調の調整を行う(図4(2))。
【0036】
続いて、サーバ装置100は、IJ印刷機300のプロファイルを画像処理された柄画像に付すことで柄データを生成する(図4(3))。ここでは、IJ印刷機300のプロファイルを柄画像の中に埋め込む。
【0037】
IJ印刷機300のプロファイルは、図6に示す手順で作成する。
(1)IJ印刷機300を用いて単色の階調を少なくとも10点以上印刷して第1印刷データを得る(図6(a))。
(2)IJ印刷機300を用いてフルカラーを用いた階調を少なくとも10点以上印刷して第2印刷データを得る(図6(b))。
(3)IJ印刷機300を用いて第1印刷データ及び第2印刷データを反映させたカラーパッチを少なくとも400点以上印刷して第3印刷データを得る(図6(c))。
(4)第1印刷データ、第2印刷データ及び第3印刷データを用いてプロファイルの作成を行う。この作成されたプロファイルは、IJ印刷機300の機能「Aタイプ」に対応付けて記憶部121に記憶される。
【0038】
サーバ装置100は、柄データを生成すると、当該柄データを記憶部121に記憶し、データベース130に記憶されユーザ「JOHN」に対応するIJ印刷機300のIPアドレス「xxx.yxy.zzm」に基づいて、IJ印刷機300に対し通信網NWを介して柄データを送信する(図4(4))。この場合、例えばサーバ装置100はIJ印刷機300に対しダウンロードの着信を知らせ、この着信に対しIJ印刷機300にて記憶部121に記憶された柄データをダウンロードするようにしてもよい。
【0039】
IJ印刷機300は、提供元のサーバ装置100から柄データを受信すると、柄画像に埋め込まれたプロファイルに基づいて、柄のインクジェット印刷処理を実行する(図4(5))。このインクジェット印刷処理を終了するとIJ印刷機300は、印刷処理が正常に終了した旨の情報、及び印刷の分量及び状態を表すログ情報をアップロードデータとしてサーバ装置100に送信する(図4(6))。なお、ログ情報には、例えば印刷される柄が顧客オリジナル柄であるか、既存柄でオリジナルカラーであるか、既存色の既存柄であるかを表す情報、及びそれぞれの印刷回数または印刷数量のいずれかを表す情報が含まれる。
【0040】
かくして、ユーザが希望した柄がIJ印刷機300で印刷され、これにより所望の柄の建装材を得ることができる(図4(7))。このようにして印刷された柄画像の例が、図7に示される。印刷された柄画像51を表す色情報として、カラーパッチ52、文字情報として製品番号53、柄名54が付けられている。
【0041】
サーバ装置100は、IJ印刷機300から送られるログ情報を受信すると、このログ情報を記憶部121に蓄積する。そして、請求日になると、サーバ装置100は記憶部121に蓄積されているログ情報に基づいて提供した柄についてその請求金額を計算し、請求書を作成する(図4(8))。この請求書は、ユーザに送られる。この請求書の送付方法には、請求書データを通信網NWを経由してファクシミリあるいは電子メールの添付ファイルとして送信する方法、郵送による方法がある。
【0042】
また、サーバ装置100は、例えばクレジット会社にアクセスして提供した柄についてその請求金額の決済を依頼することも可能である。この場合、ユーザのクレジット番号及び請求書データを決済依頼情報に含めてクレジット会社へ送信する。クレジット会社は、この決済依頼情報を受信すると、決済依頼情報に含まれるユーザのクレジット番号をもとにユーザ認証と取引の可否判定を行う。そして、取引可能であれば、上記決済依頼情報に含まれる請求書データをもとに代金の決済受付処理を行う。そして、この決済受付処理の終了後に依頼元のサーバ装置100に対し依頼決済を受け付けた旨の応答を返送する。
【0043】
サーバ装置100は、クレジット会社から上記決済依頼の受信応答を受け取ると、請求書データと代金引き落としの旨の情報をユーザの端末200に送信する。
【0044】
(第1の実施形態の作用効果)
以上のように上記第1の実施形態によれば、ユーザへの柄の提案からユーザ側に配置されたIJ印刷機300によるインクジェットを用いた柄の印刷処理までの手順が通信網NWを介して行われることになる。このため、提供元の営業担当者の出張が一切不要となり、ユーザにとっては希望の柄の建装材を短時間のうちに得ることができ、一方提供元にとっては希望の柄の建装材の提供に必要な労力とコストを大幅に低減することができる。
【0045】
また、上記第1の実施形態によれば、IJ印刷機300に印刷の分量や状態のログを記録しておくことで、柄データの乱用や転用が抑えられ、柄データ価値の保護ができる。従って、ユーザに提供した柄が無限に印刷されてしまうことを防ぎ、柄データの価値低下を防ぐことができる。
【0046】
また、上記第1の実施形態によれば、オリジナル柄、既存柄でオリジナルカラー、既存柄かつ既存色で請求する料金を異ならせることで、ユーザの要望に沿った付加価値の提案ができるようになる。
【0047】
(第2の実施形態)
図8は、本発明に係わる建装材製造システムの概略構成図である。なお、図8において、上記図1と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
IJ印刷機300には、プリペイドカードPRを挿脱自在に装着するカードスロット330を備える。IJ印刷機300による柄の印刷処理動作は、プリペイドカードPRに書き込まれている管理データとしてのカウント数に相当する時間又は回数だけ可能になる。
【0049】
プリペイドカードPRは、ユーザが提供元またはカード販売契約店から購入する。プリペイドカードPRは例えばフラッシュメモリからなり、上記カウント数がゼロになった後に例えば提供元またはカード販売契約店により回収される。
【0050】
次に、以上のように構成されたシステムの柄データの提供手順について説明する。
先ず提供元は、サーバ装置100の料金請求処理部190によりプリペイドカードPRに柄の印刷期間または印刷可能な柄の個数に対応する管理データを、つまりカウント数を書き込む。そして、これらカウント数を書き込んだプリペイドカードPRを、例えばカード販売契約店に販売委託する。
【0051】
これに対し、建装材の柄の取得を希望するユーザは、カード販売契約店からプリペイドカードPRを購入する。
【0052】
さて、提供元から提供される柄を印刷する場合ユーザは、プリペイドカードPRをIJ印刷機300のカードスロット330に装着する。そうすると、プリペイドカードPRに記載されたカウント数がIJ印刷機300に読み込まれ、IJ印刷機300はこのカウント数により規制される時間または印刷回数だけ、以後柄の印刷処理が可能となる。
【0053】
(第2の実施形態の作用効果)
以上のように上記第2の実施形態によれば、印刷枚数をユーザの予算内で管理、運用することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、プロファイルを柄画像に埋め込む例について説明したが、柄画像にプロファイルを付すものであってもよい。
【0055】
また、上記第2の実施形態では、プリペイドカードPRにより印刷回数を管理する例について説明した。しかしこれに限るものではない。例えば、スマートフォンの課金アプリケーション等で支払いを行うと、QRコード(登録商標)がダウンロードされる。IJ印刷機300の出力ツールにQRコードを読み取らせると、課金分がツールに登録され、ダウンロードした柄データを課金以内で自由に出力できる。
【0056】
その他、建装材製造システムの構成やサーバ装置100の構成、端末200の構成及び種類、IJ印刷機300の種類、建装材の柄データの提供手順等についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【符号の説明】
【0057】
30 画面
31、31’ サムネイル画像
32、47、52 カラーパッチ
33 製版番号
34 柄
36a~36f 色ボタン
37a、37b 明るさ調整ボタン
38 リセットボタン
39 詳細配色ボタン
41 保存名欄
42 得意先コード
43 配色結果保存ボタン
44 リターンボタン
51 柄画像
53 製品番号
54 柄名
100 サーバ装置
110、210 モデム
120、220 制御部
121、230 記憶部
130 データベース
131 第1データベース
132 第2データベース
140 表示データ生成部
150 画像処理部
160 柄データ生成部
170、240 表示部
180、250 入力部
190 料金請求処理部
200 端末
300 IJ印刷機
310 印刷処理部
320 ログ送信制御部
330 カードスロット
NW 通信網
PR プリペイドカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9