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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】配線部材の固定構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20231205BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20231205BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20231205BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
H02G3/30
H05B6/10 371
H01B7/40 307Z
C09J7/35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019194980
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021069243
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-071017(JP,A)
【文献】特開平04-019920(JP,A)
【文献】特開昭59-165314(JP,A)
【文献】特開昭61-047080(JP,A)
【文献】特開平11-196521(JP,A)
【文献】特開昭52-111681(JP,A)
【文献】特開2006-049307(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235788(WO,A1)
【文献】特開2002-371253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
H01B 7/00
H01B 7/40
H01B 13/00
H05B 6/10
C09J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、
前記配線部材が固定されている被着体と、
前記発熱層と前記被着体との間及び前記発熱層と前記配線部材との間の少なくとも一方に設けられた接合層と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記被着体及び前記配線部材の少なくとも一方と前記発熱層とに接合しており、
前記接合層は、前記発熱層と前記被着体との間に設けられて前記発熱層及び前記被着体に接合している被着体側接合層を含み、
前記被着体における固定面は平面であり、前記被着体側接合層は、前記固定面に沿って広がって設けられている、配線部材の固定構造。
【請求項2】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、
前記配線部材が固定されている被着体と、
前記発熱層と前記被着体との間及び前記発熱層と前記配線部材との間の少なくとも一方に設けられた接合層と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記被着体及び前記配線部材の少なくとも一方と前記発熱層とに接合しており、
前記接合層は、前記発熱層と前記被着体との間に設けられて前記発熱層及び前記被着体に接合している被着体側接合層を含み、
前記発熱層のうち前記配線部材の周方向に沿った一部が前記被着体側接合層と接合されており、前記発熱層のうち前記配線部材の周方向に沿って前記被着体側接合層と接合されていない他の一部が露出している、配線部材の固定構造。
【請求項3】
少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、
前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、
前記配線部材が固定されている被着体と、
前記発熱層と前記被着体との間及び前記発熱層と前記配線部材との間の少なくとも一方に設けられた接合層と、
を備え、
前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、
前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記被着体及び前記配線部材の少なくとも一方と前記発熱層とに接合しており、
前記接合層は、前記発熱層と前記被着体との間に設けられて前記発熱層及び前記被着体に接合している被着体側接合層を含み、
前記被着体における固定面は平面であり、前記被着体側接合層は、前記固定面に沿って広がって設けられ、
前記発熱層のうち前記配線部材の周方向に沿った一部が前記被着体側接合層と接合されており、前記発熱層のうち前記配線部材の周方向に沿って前記被着体側接合層と接合されていない他の一部が露出している、配線部材の固定構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記接合層は、前記発熱層と前記配線部材との間に設けられて前記発熱層及び前記配線部材に接合している配線部材側接合層を含む、配線部材の固定構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材の固定構造であって、
前記発熱層は前記配線部材の長手方向に沿って部分的に設けられている、配線部材の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材の固定構造及び発熱層付配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワイヤーハーネスが両面粘着テープによって成形天井に貼付け固定される技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-264137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、成形天井に貼られた両面粘着テープにゴミ等が付着して粘着性が低下する恐れがある。これを防ぐためには、成形天井に貼られた両面粘着テープに剥離紙が設けられたり、成形天井に両面粘着テープが設けられてすぐにワイヤーハーネスが貼り付けられたりする必要がある。前者の場合、ワイヤーハーネスの貼り付け時に剥離紙が剥がされる工程が必要となる。後者の場合、組付工程上の制約となる恐れがある。
【0005】
そこで、配線部材と被着体とが簡易に固定されることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材の固定構造は、少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、前記配線部材が固定されている被着体と、前記発熱層と前記被着体との間及び前記発熱層と前記配線部材との間の少なくとも一方に設けられた接合層と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記被着体及び前記配線部材の少なくとも一方と前記発熱層とに接合している、配線部材の固定構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材と被着体とが簡易に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態にかかる配線部材の固定構造を示す斜視図である。
図2図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3図3は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
図4図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造を示す斜視図である。
図5図5図4におけるV-V線に沿った断面図である。
図6図6は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材の固定構造は、次の通りである。
【0011】
(1)少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、前記配線部材が固定されている被着体と、前記発熱層と前記被着体との間及び前記発熱層と前記配線部材との間の少なくとも一方に設けられた接合層と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層であり、前記接合層は誘導加熱時に前記発熱層から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層であり、前記被着体及び前記配線部材の少なくとも一方と前記発熱層とに接合している、配線部材の固定構造である。接合層を介して配線部材が被着体に固定されている。発熱層を用いた誘導加熱によって接合層が接合性を呈するようになる。接合層は、剥離紙を必要とせず、また任意のときに熱が加えられることによって接合性を呈するようになる。これらより、線状伝送部材と被着体とが簡易に固定される。
【0012】
(2)前記接合層は、前記発熱層と前記被着体との間に設けられて前記発熱層及び前記被着体に接合している被着体側接合層を含んでいてもよい。これにより、被着体側接合層によって発熱層が被着体に固定される。
【0013】
(3)前記被着体側接合層は、前記発熱層の周囲を囲むように設けられていてもよい。被着体側接合層が発熱層の周囲を囲むように設けられているため、配線部材において周方向に沿った任意の部分が被着体に固定されやすい。
【0014】
(4)前記接合層は、前記発熱層と前記配線部材との間に設けられて前記発熱層及び前記配線部材に接合している配線部材側接合層を含んでいてもよい。これにより、配線部材側接合層によって発熱層が配線部材に固定される。
【0015】
(5)前記発熱層は前記配線部材の長手方向に沿って部分的に設けられていてもよい。これにより、発熱層が設けられる領域が小さくなる分、軽量化、コストダウン等を図ることができる。
【0016】
(6)また、本開示の発熱層付配線部材は、少なくとも1本の線状伝送部材を含む配線部材と、前記配線部材の周囲を囲むように設けられた発熱層と、を備え、前記発熱層は誘導加熱によって発熱可能な層である、発熱層付配線部材である。発熱層付配線部材が被着体上に布線されると共に接合層が発熱層と被着体との間に位置する状態で、発熱層が誘導加熱されることによって、接合層が接合性を呈するようになって、発熱層及び被着体に接合する。これにより、発熱層付配線部材と被着体とが簡易に固定される。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の固定構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材の固定構造について説明する。図1は実施形態1にかかる配線部材の固定構造10を示す斜視図である。図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
【0019】
配線部材の固定構造10は、配線部材20と発熱層30と被着体40と接合層50とを備える。
【0020】
配線部材20は、車両に搭載される。配線部材20は、車両に設けられた各部品に、電気又は光等を伝送する配線である。配線部材20は複数(図1に示す例では2つ)設けられているが、1つであってもよい。また配線部材20は、被着体40上において直線状に配置されている。配線部材20は、被着体40上において曲がって配置されていてもよい。配線部材20は、被着体40上において分岐していない。配線部材20は、被着体40上において分岐していてもよい。また複数の配線部材20は被着体40上において平行である。複数の配線部材20は、被着体40上において平行でなくともよい。各配線部材20は、少なくとも1本の線状伝送部材22を含む。
【0021】
線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する伝送線本体を含む。線状伝送部材22は、伝送線本体を覆う被覆層を含んでいてもよい。例えば、線状伝送部材22は、被覆電線、裸導線、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0022】
ここでは各配線部材20は複数の線状伝送部材22を含む。配線部材20は、外装部材を含んでいてもよい。外装部材は、複数の線状伝送部材22を覆う部材である。外装部材は、シートであってもよい。シートは、例えば、複数の線状伝送部材22の周りに巻かれる部材である。外装部材は、チューブ、プロテクタなどであってもよい。チューブ、プロテクタは、複数の線状伝送部材22を収容する部材である。外装部材は、結束部材であってもよい。結束部材は、複数の線状伝送部材22を結束する部材である。結束部材としては、例えば粘着テープ、結束バンド等が採用されてもよい。
【0023】
発熱層30は誘導加熱によって発熱可能な層である。例えば、発熱層30は、アルミニウム箔、銅箔などの導体箔を材料として形成された導体層である。誘導加熱は、電磁誘導を利用した加熱方法である。発熱層30は、誘導加熱によって以下のように発熱する。すなわち、誘導加熱は、発熱層30を貫通する磁界の変化を生じさせる。例えば、発熱層30と離れた位置において、発熱層30とは別の回路に高周波電流が流されることによって、発熱層30を貫通する磁界の変化が起こされる。発熱層30を貫通する磁界の変化によって、発熱層30に誘導電流(渦電流)が流れる。この誘導電流によって、発熱層30にジュール熱が生じる。このジュール熱によって、発熱層30が発熱する。
【0024】
発熱層30は、配線部材20の周囲を囲むように設けられている。図2に示す例では、配線部材20に発熱層30が1周巻かれている。配線部材20に発熱層30が巻かれる領域は、特に限定されるものではない。配線部材20に発熱層30が1周より少なく(例えば4分の1周又は2分の1周)巻かれていてもよいし、1周より多く巻かれていてもよい。1周、2分の1周、4分の1周は、厳密な意味での1周、2分の1周、4分の1周を意味するものではなく、1周、2分の1周、4分の1周とみなされる範囲であれば本発明の効果を奏する範囲で幅を持つ意味である。例えば、図2に示す例では、配線部材20に発熱層30が1周よりわずかに多く巻かれているが、この状態も配線部材20に発熱層30が1周巻かれているととらえることができる。
【0025】
発熱層30は配線部材20の長手方向に沿って部分的に設けられている。配線部材20において被着体40上に配線された部分のうち一部に重なるように発熱層30が設けられている。発熱層30は、配線部材20のうち長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所(ここでは4箇所)に設けられている。
【0026】
被着体40は、車両に設けられる部材である。被着体40は、ルーフトリム、ドアトリムなどの内装部材であってもよい。被着体40は、車体骨格をなすボディ本体であってもよい。被着体40は、ルーフパネル、ドアパネルなどのボディパネルなどであってもよい。被着体40の固定面に配線部材20が固定されている。ここでは被着体40の固定面は平面であるが、曲面であってもよい。被着体40の固定面は樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。被着体40には、配線部材20が固定されている。被着体40と配線部材20との固定に接合層50が用いられている。
【0027】
接合層50は誘導加熱時に発熱層30から伝わる熱によって接合性を呈するようになる層である。接合層50は、発熱層30と被着体40との間及び発熱層30と配線部材20との間の少なくとも一方に設けられている。接合層50は、発熱層30に接合している。接合層50は、被着体40及び配線部材20の少なくとも一方に接合している。ここでは接合層50は、発熱層30と被着体40との間に設けられている。接合層50は、発熱層30及び被着体40に接合している。発熱層30と被着体40との間に設けられた接合層50は、被着体側接合層50である。本例では、接合層50は被着体40上に広がっている。
【0028】
例えば、接合層50は誘導加熱時に発熱層30から伝わる熱によって溶けて接合可能となる層であってもよい。この場合、接合層50の材料は、熱可塑性樹脂であってもよい。接合層50は、ホットメルト接着剤などであってもよい。このほか、例えば、接合層50は熱硬化性接着剤などであってもよい。接合層50は、室温において表面がなるべくべたつかないように形成されていてもよい。接合層50は、剥離紙が不要であると良い。
【0029】
図2に示す例では、配線部材20のうち発熱層30が設けられた部分には平面を有する外装部材が設けられていない。また配線部材20のうち接合層50を介して被着体40に固定された部分では、配線部材20と被着体40とが面接触していない。配線部材20のうち発熱層30が設けられた部分には平面を有する外装部材が設けられていてもよい。また配線部材20のうち接合層50を介して被着体40に固定された部分では、配線部材20と被着体40とが面接触していてもよい。
【0030】
図3は配線部材20が被着体40に固定される様子を示す説明図である。
【0031】
図3に示す例では、発熱層30は、被着体40に固定されるより先に配線部材20に固定されている。配線部材20と発熱層30との固定態様は特に限定されるものではない。例えば、配線部材20の長手方向に沿った発熱層30の端部と当該端部から延びる配線部材20との周囲に片面粘着テープが巻かれることによって発熱層30が配線部材20に固定されてもよい。また例えば、発熱層30は片面粘着テープ、結束バンドなどの結束部材が周囲に巻かれることによって配線部材20と結束固定されてもよい。また例えば、発熱層30と配線部材20との間に設けられた接着剤、粘着剤などによって発熱層30が配線部材20に固定されてもよい。この発熱層30が設けられた配線部材20は、発熱層付配線部材100と称されてもよい。発熱層付配線部材100は、配線部材20と、配線部材20の周囲を囲むように設けられた発熱層30とを備えている。
【0032】
発熱層付配線部材100が被着体40上に布線される。このとき、発熱層30と被着体40との間に接合層50Bが設けられる。接合層50Bは、固定相手(ここでは発熱層30と被着体40との少なくとも一方)に固定される前の状態である。接合層50Bにおいて、固定相手(ここでは発熱層30と被着体40との少なくとも一方)に固定されていないこと以外の構成については、上記接合層50と同様の構成が採用可能である。発熱層30の誘導加熱によって接合層50Bが接合性を呈するようになる。これにより、接合性を呈するようになった接合層50が発熱層30及び被着体40の両者に接合されて配線部材20が被着体40に固定される。なお、接合層50Bは、導体層及び被着体40の両者に接合される前に、予め発熱層30に接合されていてもよいし、予め被着体40に接合されていてもよいし、両者のいずれにも接合されていなくてもよい。
【0033】
以上のように構成された配線部材の固定構造10によると、接合層50を介して配線部材20が被着体40に固定されている。発熱層30を用いた誘導加熱によって接合層50が接合性を呈するようになる。接合層50は、剥離紙を必要とせず、また任意のときに熱が加えられることによって接合性を呈するようになる。これらより、配線部材20と被着体40とが簡易に固定される。
【0034】
また被着体側接合層50によって発熱層30が被着体40に固定される。
【0035】
また発熱層30は配線部材20の長手方向に沿って部分的に設けられているため、発熱層30が設けられる領域が小さくなる分、軽量化、コストダウン等を図ることができる。
【0036】
また発熱層付配線部材100によると、発熱層付配線部材100が被着体40上に布線されると共に接合層50Bが発熱層30と被着体40との間に位置する状態で、発熱層30が誘導加熱されることによって、接合層50Bが接合性を呈するようになって、発熱層30及び被着体40に接合する。これにより、配線部材20と被着体40とが簡易に固定される。
【0037】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材の固定構造について説明する。図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造110を示す斜視図である。図5図4におけるV-V線に沿った断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
配線部材の固定構造110では、接合層150の形状が、配線部材の固定構造10における接合層50の形状とは異なっている。接合層150は、被着体側接合層150である。接合層150は、発熱層30の外周を囲むように設けられている。接合層150は、配線部材20の周方向に沿って曲がっている。接合層150は、配線部材20の周囲全体を囲んでいる。接合層150のうち周方向の一部のみが被着体40に接合している。接合層150は、発熱層30全体を覆っている。接合層150は発熱層30の一部のみを覆っていてもよい。
【0039】
また配線部材の固定構造110では、発熱層30と配線部材20との間に接合層152が設けられている。接合層152は、発熱層30及び配線部材20に接合している。これにより発熱層30が配線部材20に固定されている。接合層152は配線部材側接合層152である。接合層152は、発熱層30全体を覆っている。接合層152は発熱層30の一部のみを覆っていてもよい。
【0040】
発熱層30の一方主面側に接合層150が設けられている。発熱層30の他方主面側に接合層152が設けられている。このため発熱層30は、接合層150、152の基材であるとも言える。
【0041】
図6は配線部材20が被着体40に固定される様子を示す説明図である。
【0042】
図6に示す例では、接合層150Bは、配線部材20が被着体40に固定されるより先に配線部材20に固定されている。接合層150Bは接合層150が被着体40に固定される前の状態である。接合層150Bは、発熱層30と共に配線部材20に固定されている。従って、発熱層付配線部材200は、接合層150Bをさらに備える。接合層150Bは、露出している。接合層150B及び発熱層30が積層したものは、接合部材と称されてもよい。配線部材20に接合部材が設けられているととらえることもできる。この接合部材と配線部材20との固定態様は、実施形態1における発熱層30と配線部材20との固定態様と同様の固定態様が採用可能である。
【0043】
このとき、接合層152も、配線部材20が被着体40に固定されるより先に配線部材20に固定されている。接合層152は、発熱層30と共に配線部材20に固定されている。従って、発熱層付配線部材200は、接合層152をさらに備える。接合層152も配線部材20に固定されるより先に、接合部材に積層されていてもよい。接合部材は、発熱層30の両面にそれぞれ接合層150B及び接合前の接合層152が積層されたものであってもよい。
【0044】
この発熱層付配線部材200が被着体40上に所定の経路に沿って布線される共に、発熱層30が誘導加熱されることによって接合層150Bが接合性を呈するようになる。これにより、接合性を呈するようになった接合層150が被着体40に接合されて固定される。なお、発熱層付配線部材200の布線と、発熱層30の誘導加熱とは、布線が先であってもよいし、誘導加熱が先であってもよいし、同時であってもよい。
【0045】
以上のように構成された配線部材の固定構造110によると、接合層150が発熱層30の外周を囲むように設けられているため、配線部材20において周方向に沿った任意の部分が被着体40に固定されやすい。
【0046】
また接合層152によって発熱層30が配線部材20に固定される。
【0047】
[変形例]
各実施形態において、少なくとも発熱層30と被着体40との間に接合層50、150が設けられていたが、このことは必須の構成ではない。発熱層30と被着体40との間に接合層50、150が設けられずに発熱層30と配線部材20との間に接合層152が設けられるように構成されていてもよい。
【0048】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0049】
10、110 配線部材の固定構造
20 配線部材
22 線状伝送部材
30 発熱層
40 被着体
50、50B 接合層(被着体側接合層)
150、150B 接合層(被着体側接合層)
152 接合層(配線部材側接合層)
100、200 発熱層付配線部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6