(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】洗面器装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/242 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
E03C1/242
(21)【出願番号】P 2019202917
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊博
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正樹
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-077654(JP,A)
【文献】実開昭57-171476(JP,U)
【文献】特開2004-324061(JP,A)
【文献】特開2006-275689(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222747(JP,U)
【文献】特開平05-148875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22-1/242
E03C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吐出する吐水部と、
前記吐水部から吐出される水をボウル面で受けるボウルと、
前記ボウル面に形成された開口であり、前記ボウル内から水を排出する排水口と、
前記排水口を開閉する開閉部と、
前記ボウル内の水位を検知する水位センサと、
前記ボウル内の水位に基づいて前記開閉部の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記ボウルは、前記ボウル面を形成する周壁の少なくとも一部が一重の中実構造であり、前記ボウル面には前記排水口以外の開口が排除されており、
前記水位センサは、前記周壁を透過して検知可能な透過型であり、前記周壁の一重の中実構造部分の外側に配置され、
前記制御部は、前記水位センサが所定の水位を検知すると、前記開閉部を駆動して前記排水口を開放する、洗面器装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ボウル内における水位の単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には前記排水口を開放する、請求項1に記載の洗面器装置。
【請求項3】
前記水位センサは、貼付型の静電容量センサであり、前記周壁の一重の中実構造部分の外面に貼り付けられる、請求項1または2に記載の洗面器装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記吐水部からの吐水を制御し、前記水位センサが所定の水位を検知すると、前記吐水部からの吐水を停止する、請求項1~
3のいずれか一つに記載の洗面器装置。
【請求項5】
音声による指示を認識して指示信号を生成する音声認識部をさらに備え、
前記制御部は、前記音声認識部の指示信号に基づいて、前記開閉部および前記吐水部の少なくともいずれかを制御する、請求項
4に記載の洗面器装置。
【請求項6】
水を吐出する吐水部と、
前記吐水部から吐出される水をボウル面で受けるボウルと、
前記ボウル面に形成された開口であり、前記ボウル内から水を排出する排水口と、
前記排水口を開閉する開閉部と、
前記ボウル内の水位を検知する水位センサと、
前記ボウル内の水位に基づいて前記開閉部の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記ボウルは、前記ボウル面を形成する周壁の少なくとも一部が一重の中実構造であり、前記ボウル面には前記排水口以外の開口が排除されており、
前記ボウルは、前記周壁の外側において当該ボウルの外観の一部を形成する外周部を有し、
前記水位センサは、前記周壁を透過して検知可能な透過型であり、前記周壁の内周部および前記外周部の間に配置され、
前記制御部は、前記水位センサが所定の水位を検知すると、前記開閉部を駆動して前記排水口を開放する、洗面器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、洗面器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面器には、ボウルからの溢水を防止するためにボウル面に形成されるオーバーフロー穴がないものがある。このような洗面器では、たとえば、ボウルに水を溜めてカランから給水(吐水)しながら使用しても、一定の水位に達すると水位センサが検知し、水位センサの出力に応じて排水栓を開閉する駆動手段が作動し、排水栓が開いて排水することで溢水を防止している(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗面器や手洗い器では、オーバーフロー穴があると、デザイン面や衛生面の観点から好ましくない。具体的には、デザイン面においては、オーバーフロー穴が使用者に見えることで美観が損なわれてしまう。また、オーバーフロー流路があるため、たとえば、オーバーフロー流路を形成するスペースを確保する必要があり、洗面器全体が大型化してしまう。
【0005】
衛生面においては、オーバーフロー穴やその周囲の清掃が煩雑になり雑菌が残りやすい、または、オーバーフロー穴からオーバーフロー流路の雑菌などが入り込みやすく、また、感染性の微生物やウィルスが流出するおそれがあるなど、衛生的ではなく、たとえば、医療機関においては感染リスクも懸念される。
【0006】
一方で、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくても、ボウルからの溢水は防止する必要がある。すなわち、使用者が誤って過剰な量の水を洗面器に供給することもあり、オーバーフロー対応は不可避のものである。
【0007】
たとえば、上記したような従来の洗面器は、オーバーフロー穴がなくても溢水を防止することができるため、衛生的で使い勝手のよいものであるが、水位センサがボウル面に露出されているため、水位センサが使用者に見えてしまい美観が損なわれるなど、デザイン性について改善の余地があることから、デザイン性および使い勝手を両立させるものではなかった。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、衛生的であり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる洗面器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る洗面器装置は、水を吐出する吐水部と、前記吐水部から吐出される水をボウル面で受けるボウルと、前記ボウル面に形成された開口であり、前記ボウル内から水を排出する排水口と、前記排水口を開閉する開閉部と、前記ボウル内の水位を検知する水位センサと、前記ボウル内の水位に基づいて前記開閉部の駆動を制御する制御部とを備え、前記ボウルは、前記ボウル面を形成する周壁の少なくとも一部が一重の中実構造であり、前記ボウル面には前記排水口以外の開口が排除されており、前記水位センサは、前記周壁を透過して検知可能な透過型であり、前記周壁の一重の中実構造部分の外側に配置され、前記制御部は、前記水位センサが所定の水位を検知すると、前記開閉部を駆動して前記排水口を開放する。
【0010】
このような構成によれば、水位センサが所定の水位を検知すると排水口が開放されるため、ボウル面に開口形成されるオーバーフロー穴や、オーバーフロー穴に流れ込む水を排水配管に排出するためのオーバーフロー流路がなくても、ボウルからの溢水を防止することができる。
【0011】
オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がないため、たとえば、オーバーフロー穴のないデザインや、たとえば、オーバーフロー流路のない薄型デザインが採用可能になるなど、デザイン上の制約が少なくなる。デザイン上の制約が少ないことは、デザイン性の向上につながり、ひいては自由な創作活動を実現させることになる。
【0012】
そして、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウルからの溢水を防止することができるため、使用者が安心してボウルに水を張ることができるなど、使い勝手のよいものとなり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる。
【0013】
また、清掃が煩雑になりさらには感染リスクの懸念もあるオーバーフロー穴がないため、衛生的でもある。
【0014】
また、上記した洗面器装置では、前記制御部は、前記ボウル内における水位の単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には前記排水口を開放する。
【0015】
このような構成によれば、ボウル内における水位の単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には排水口が開放されるため、ボウルからの溢水をより確実に防止することができる。たとえば、ボウル面に向けて花瓶などの水を流した場合には水位が急に上昇するが、このような場合でも排水口が開放されるため、ボウルからの溢水を防止することができる。
【0016】
また、上記した洗面器装置では、前記水位センサは、貼付型の静電容量センサであり、前記周壁の一重の中実構造部分の外面に貼り付けられる。このような構成によれば、水位センサが貼付型の静電容量センサであり厚み方向に小さい(薄い)ことから水位センサが目立たない。このため、水位センサが外観デザインに与える影響を抑えることができる。
【0017】
また、上記した洗面器装置では、前記ボウルは、前記周壁の外側において当該ボウルの外観の一部を形成する外周部を有し、前記水位センサは、前記周壁の内周部および前記外周部の間に配置される。このような構成によれば、水位センサがさらに目立たなくなり、また、水位センサの電源線や信号線に対する耐久構造が不要であり、水位センサが外観デザインに与える影響をさらに抑えることができる。
【0018】
また、上記した洗面器装置では、前記制御部は、前記吐水部からの吐水を制御し、前記水位センサが所定の水位を検知すると、前記吐水部からの吐水を停止する。このような構成によれば、水位センサが所定の水位を検知すると吐水部からの吐水が停止されるため、ボウルからの溢水をより確実に防止することができる。
【0019】
また、上記した洗面器装置では、音声による指示を認識して指示信号を生成する音声認識部をさらに備え、前記制御部は、前記音声認識部の指示信号に基づいて、前記開閉部および前記吐水部の少なくともいずれかを制御する。このような構成によれば、たとえば、吐水停止を指示する言葉を発すると吐水部からの吐水を停止したり、排水を指示する言葉を発すると開閉部を駆動して排水口を開放したりするなど、使い勝手をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態の一態様によれば、衛生的であり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る洗面器装置の説明図である。
【
図2】
図2は、溢水防止制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る洗面器装置の説明図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態に係る洗面器装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する洗面器装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1および
図2を参照して第1実施形態に係る洗面器装置11について説明する。まず、
図1を参照して第1実施形態に係る洗面器装置11の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る洗面器装置11の説明図である。
図1には、ボウル311の側断面を示すとともに、吐水・排水の駆動制御系の構成を示している。
【0024】
なお、
図1には、説明の便宜上、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。このような直交座標系は、他の図においても示している場合がある。
【0025】
図1に示すように、洗面器装置11は、カウンターCの上面に取り付けられ、使用者が主に洗顔や手洗いを行う場合に用いられる。洗面器装置11は、吐水部20と、ボウル31と、開閉部40と、水位センサ60と、制御部70とを備える。吐水部20は、水道源(図示せず)などから供給される水を、後述するボウル31に向けて吐出する。なお、「水」とは、上水(水道水)などの常温の水の他、湯や湯水混合水を含む。
【0026】
吐水部20は、吐水口21を備える。吐水口21は、ボウル31に向けて水を吐出(吐水)する。吐水部20は、いわゆるスパウトである。吐水部20は、水の流量および温度が使用者により調整可能なものであってもよいし、予め設定された一定の流量および温度で吐水するものであってもよい。
【0027】
また、吐水部20は、開閉弁(図示せず)を備える。開閉弁40は、たとえば、電磁弁や上下動する各種アクチュエータである。開閉部40は、吐水駆動部22により駆動され、吐水口21から吐出される水が流れる流路を開閉する。吐水部20では、開閉弁40が開放されると吐水し、開閉弁40が閉鎖されると吐水を停止する。なお、吐水駆動部22は、後述する制御部70により制御される。
【0028】
ボウル31は、吐水部20の吐水口21よりも下方に配置される。ボウル31は、陶器製である。なお、ボウル31は、陶器製に限定されず、たとえば、樹脂製であってもよいし、樹脂および陶器を組み合わせて製造されたものであってもよい。ボウル31は、周壁311と、ボウル面312と、排水口313とを備える。
【0029】
周壁311は、ボウル31の外観を形成する。周壁311の内面は、後述するボウル面を形成する。周壁311の外面は、ボウル31の化粧面を形成する。周壁311の側周面の少なくとも一部は、一重の中実構造である。
【0030】
ボウル面312は、吐水部20から吐出される水を受ける面である。ボウル面312は、周壁311に囲まれた面(内周面)であり、側面および底面を有する。側面および底面は、それぞれ区切られた面であってもよいし、区切りのない連続する曲面であってもよい。
【0031】
排水口313は、ボウル面312の底面に形成された開口である。排水口313には、S字トラップなどの排水配管50が接続される。排水口313は、ボウル面312の水を、排水配管50に排出する。
【0032】
開閉部40は、排水口313を開閉する。開閉部40は、開閉弁体41を備える。開閉部40は、たとえば、排水駆動部42により開閉弁体41が駆動される、駆動式のいわゆる排水金具であり、開閉弁体41が上下方向に移動することで、排水口313を開閉する。
【0033】
開閉弁40は、たとえば、排水口313を開放する「大」、「大」よりも小さい開度で排水口313を開放する「小」などの複数種類の開度で排水口313を開放可能である。なお、排水駆動部42は、後述する制御部70により制御される。
【0034】
水位センサ60は、ボウル31内の水位WLを検知する。ボウル31では、開閉部40により排水口313が閉鎖されると水が溜まるが、水位センサ60は、このようなボウル31内に溜まった水の水位WLを検知する。水位センサ60は、ボウル31における周壁311の一重の中実構造部分の外側に配置される。
【0035】
水位センサ60は、周壁311を透過してボウル31内の水位WLを検知可能ないわゆる透過型のセンサであり、好ましくは、静電容量センサである。水位センサ60が静電容量センサの場合、制御部70に電気的に接続され、静電容量によって水の体積を測定することでボウル31内の水位WLを検知する。
【0036】
また、水位センサ60が静電容量センサの場合、水位センサ60は、電極部(図示せず)と、測定部(図示せず)とを備え、たとえば、電極部における静電容量を測定部で測定し、測定値(静電容量値)を制御部70に送信する。制御部70では、受信した測定値に基づいて水位WLを算出する。
【0037】
水位センサ60は、薄型の静電容量センサであることが好ましい。また、水位センサ60は、薄型であり、かつ、貼付型の静電容量センサであることがより好ましい。この場合、水位センサ60は、周壁311の一重の中実構造部分の外面(周壁311の外周面)に貼り付けられる。なお、水位センサ60は、静電容量センサに限定されず、陶器製の周壁311を透過可能な電波センサ(マイクロ波センサなど)であってもよい。
【0038】
制御部70は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMCU(Micro Controller Unit)によって、記憶部に記憶されるプログラムがRAMを作業領域として実行されることで実現される。記憶部は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などで実現される。
【0039】
制御部70は、水位センサ60により検知された水位WLに基づいて、排水駆動部42を制御して開閉部40の駆動を制御する。制御部70は、たとえば、使用者により排水口313を閉鎖する操作が行われた場合には、開閉部40を駆動して、排水口313を閉鎖するように開閉弁体41を下降させる。
【0040】
また、制御部70は、水位センサ60が所定の水位WLを検知すると、開閉部40を駆動して、排水口313を開放するように開閉弁体41を上昇させる。制御部70は、このような制御を行うことで、ボウル31内からの溢水を防止する。
【0041】
次に、
図2を参照して、制御部70による溢水防止制御の処理手順の一例について説明する。
図2は、溢水防止制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、水位センサ60によりボウル31内の水位WLが検知されると(ステップS101)、制御部70は、水位センサ60の検知結果から、たとえば、判定部(図示せず)において予め設定された所定の水位WLか否かを判定する(ステップS102)。
【0042】
制御部70は、所定の水位WLであると判定した場合(ステップS102:Yes)、すなわち、水位センサ60が所定の水位WLを検知した場合、排水駆動部42に開閉部40の開閉弁体41を下降させる駆動信号を送信する。開閉部40は、制御部70からの駆動信号に基づいて、開閉弁体41を下降して排水口313を開放し(ステップS103)、溢水防止制御を終了する。
【0043】
また、
図2に示すように、制御部70は、ステップS102の処理において所定の水位WLでないと判定した場合(ステップS102:No)、水位センサ60の検知結果から、たとえば、判定部においてボウル31内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回ったか否か(たとえば、所定の値以上か否か)を判定する(ステップS104)。
【0044】
なお、水位センサ60が静電容量センサの場合、この水位センサ60は、水の体積変化から推定して間接的に水位を測定するが、たとえば、圧力センサや距離センサ(超音波センサなど)の場合のように直接的に水位を測定するものと同様に用いることができる。
【0045】
制御部70は、ボウル31内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回ったと判定した場合(ステップS104:Yes)、たとえば、ボウル面312に向けて花瓶などの水を流した場合には水位WLが急に上昇してボウル31から溢水する可能性が高まるため、排水口313を開放する(ステップS103)。
【0046】
なお、制御部70は、ステップS104の処理において、ボウル31内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回っていないと判定した場合(ステップS104:No)、ステップS101の処理に戻り、水位センサ60が所定の水位WLを検知するまでステップS101およびステップS102の処理を繰り返す。
【0047】
以上のように説明した第1実施形態によれば、水位センサ60が所定の水位WLを検知すると排水口313が開放されるため、ボウル面312に開口形成されるオーバーフロー穴や、オーバーフロー穴に流れ込む水を排水配管50に排出するためのオーバーフロー流路がなくても、ボウル31からの溢水を防止することができる。
【0048】
また、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がないため、たとえば、オーバーフロー穴のないデザインや、たとえば、オーバーフロー流路のない薄型デザインが採用可能になるなど、デザイン上の制約が少なくなる。このように、デザイン上の制約が少ないことは、デザイン性の向上につながり、ひいては自由な創作活動を実現させることになる。
【0049】
そして、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウル31からの溢水を防止することができるため、使用者が安心してボウル31に水を張ることができるなど、使い勝手のよいものとなり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる。
【0050】
また、清掃が煩雑になりさらには感染リスクの懸念もあるオーバーフロー穴がないため、衛生的でもある。
【0051】
また、ボウル31内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には排水口313を開放するため、たとえば、ボウル面312に向けて花瓶などの水を流した場合のように水位WLが急に上昇するなど、溢水につながる事態が発生しても、ボウル31からの溢水を防止することができる。
【0052】
また、水位センサ60が薄型であり貼付型の静電容量センサであり、ボウル31の周壁311の一重の中実構造部分の外面に貼り付けられるため、水位センサ60が厚み方向に小さい(薄い)ことから水位センサ60が目立たない。また、水位センサ60の電源線や信号線に対する耐久構造が不要である。このため、水位センサ60が外観デザインに与える影響を抑えることができる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、
図3を参照して第2実施形態に係る洗面器装置12について説明する。
図3は、第2実施形態に係る洗面器装置12の説明図である。
図3には、ボウル322の側断面を示すとともに、吐水・排水の駆動制御系の構成を示している。
【0054】
なお、以下で説明する第2実施形態は、ボウル32の形状および水位センサ60の取り付け位置が上記した第1実施形態とは異なる。また、第2実施形態において上記した第1実施形態と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、これらの説明を省略する。
【0055】
図3に示すように、洗面器装置12は、吐水部20と、ボウル32と、開閉部40と、水位センサ60と、制御部70とを備える。ボウル32は、周壁321と、ボウル面322と、排水口323とを備える。周壁321は、ボウル32の外観を形成する。周壁321は、内周部321aと、外周部321bとを備える。
【0056】
内周部321aの内面、すなわち、周壁321の内面は、ボウル面322を形成する。外周部321bは、ボウル32の外観の一部を形成する。外周部321bは、周壁321の外側においてボウル32の化粧面を形成する。周壁321は、内周部321aのみの部分が一重の中実構造となり、内周部321aおよび外周部321bが側面視で並んでいる部分(一重の中実構造が二重になっている部分)が二重の中実構造となる。
【0057】
ボウル面322は、吐水部20から吐出される水を受ける面である。ボウル面322は、周壁321の内周部321aに囲まれた面(内周面)であり、側面および底面を有する。側面および底面は、それぞれ区切られた面であってもよいし、区切りのない連続する曲面であってもよい。
【0058】
排水口323は、ボウル面322の底面に形成された開口である。排水口323には、S字トラップなどの排水配管50が接続される。排水口323は、ボウル面322の水を、排水配管50に排出する。
【0059】
水位センサ60は、周壁321の内周部321aおよび外周部321bの間に配置される。水位センサ60は、貼付型の静電容量センサの場合、内周部321aの外周面に貼り付けられる。すなわち、水位センサ60は、周壁321の一重の中実構造部分の外面(内周部321aの外周面)に貼り付けられる。
【0060】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、開閉弁40は、たとえば、排水口323を開放する「大」、「大」よりも小さい開度で排水口323を開放する「小」などの複数種類の開度で排水口323を開放可能である。また、第2実施形態においても、制御部70は、
図2に示すような第1実施形態と同様の処理手順で溢水防止制御を行う。
【0061】
以上のように説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。すなわち、第2実施形態によれば、水位センサ60が所定の水位WLを検知すると排水口323が開放されるため、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウル32からの溢水を防止することができる。
【0062】
また、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がないため、デザイン上の制約が少なくなり、デザイン性の向上、自由な創作活動の実現が可能となる。
【0063】
そして、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウル32からの溢水を防止することができるため、使用者が安心してボウル32に水を張ることができるなど、使い勝手のよいものとなり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる。
【0064】
また、清掃が煩雑になりさらには感染リスクの懸念もあるオーバーフロー穴がないため、衛生的でもある。
【0065】
また、ボウル32内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には排水口323を開放するため、溢水につながる事態が発生しても、ボウル32からの溢水を防止することができる。
【0066】
また、第2実施形態によれば、水位センサ60が周壁321の内周面321aおよび外周面321bの間に配置されるため、水位センサ60がさらに目立たなくなり、また、水位センサ60の電源線や信号線に対する耐久構造が不要であるため、水位センサ60が外観デザインに与える影響をさらに抑えることができる。
【0067】
<第3実施形態>
次に、
図4を参照して第3実施形態に係る洗面器装置13について説明する。
図4は、第3実施形態に係る洗面器装置13の説明図である。
図4には、ボウル312の側断面を示すとともに、吐水・排水の駆動制御系の構成を示している。
【0068】
なお、以下で説明する第3実施形態は、使用者の音声を認識する構成を有する点で上記した第1実施形態とは異なる。また、第3実施形態において上記した第1実施形態と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、これらの説明を省略する。
【0069】
図4に示すように、洗面器装置13は、吐水部20と、ボウル31と、開閉部40と、水位センサ60と、制御部70と、マイク80と、表示部90とを備える。なお、第3実施形態においても、制御部70は、
図2に示すような第1実施形態と同様の処理手順で溢水防止制御を行う。また、
図4に示すように、制御部70は、音声認識部71を備える。
【0070】
音声認識部71は、後述するマイクで集音した音声(音声データ)を受信する。制御部70は、音声データに基づいて指示信号を生成する。そして、制御部70は、音声認識部71において生成した指示信号を吐水駆動部22や排水駆動部42、後述する表示部90に向けて送信する。なお、音声認識部71は、制御部70の外部(たとえば、マイク80の内部)にあってもよい。
【0071】
マイク80は、使用者の音声を集音する。マイク80は、音声データを音声認識部71に送信する。表示部90は、たとえば、ボウル31をライトアップするためにボウル31やボウル31の周辺に向けて光を照射する。表示部90は、たとえば、LED照明である。
【0072】
このように構成することで、制御部70は、マイク80を介して使用者の指示を認識し、使用者が、たとえば、吐水停止を指示する言葉を発すると、吐水部20からの吐水を停止し、たとえば、排水を指示する言葉を発すると、開閉部40を駆動して排水口313を開放し、たとえば、ボウル31のライトアップを指示する言葉を発すると、表示部90によりボウル31をライトアップする。このように、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0073】
以上のように説明した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。すなわち、第3実施形態によれば、水位センサ60が所定の水位WLを検知すると排水口313が開放されるため、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウル31からの溢水を防止することができる。
【0074】
また、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がないため、デザイン上の制約が少なくなり、デザイン性の向上、自由な創作活動の実現が可能となる。
【0075】
そして、オーバーフロー穴やオーバーフロー流路がなくてもボウル31からの溢水を防止することができるため、使用者が安心してボウル31に水を張ることができるなど、使い勝手のよいものとなり、デザイン性および使い勝手を両立させることができる。
【0076】
また、清掃が煩雑になりさらには感染リスクの懸念もあるオーバーフロー穴がないため、衛生的でもある。
【0077】
また、ボウル31内における水位WLの単位時間あたりの上昇率が所定の値を上回った場合には排水口313を開放するため、溢水につながる事態が発生しても、ボウル31からの溢水を防止することができる。
【0078】
また、水位センサ60が薄型であり貼付型の静電容量センサであり、ボウル31の周壁311の一重の中実構造部分の外面に貼り付けられるため、水位センサ60が厚み方向に小さい(薄い)ことから水位センサ60が目立たない。また、水位60センサの電源線や信号線に対する耐久構造が不要である。このため、水位センサ60が外観デザインに与える影響を抑えることができる。
【0079】
また、第3実施形態によれば、たとえば、使用者の洗顔や手洗い中にこの使用者が言葉で指示することができるため、たとえば、使用者の両手が濡れているときに、吐水部20からの水の吐出を停止したり、排水口を開放したり、ボウル31をライトアップしたり、様々な動作を行うことができる。すなわち、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0080】
なお、上記した第1~第3実施形態において、たとえば、制御部70は、
図2に示すように、所定の水位WLであると判定した場合、判定部による排水口313(323)が閉鎖されているか否かの判定を行う処理を行ってもよい。
【0081】
この場合、制御部70は、排水口313(323)が閉鎖されていると判定すると、排水口313(323)を開放する。また、制御部70は、排水口313(323)が閉鎖されていないと判定すると、排水詰まりが発生している可能性があるため、洗面器装置11(12,13)がさらに備える報知部(図示せず)に報知信号を送信する。
【0082】
報知部は、制御部70からの報知信号を受信すると、光や音で排水詰まりが発生していることを報知する。なお、第3実施形態においては、表示部90から照射する光の態様によって異常を報知することも可能である。この場合、異常の種類に応じて光の態様を変えることで、異常の種類を区別して報知することも可能である。
【0083】
このような構成によれば、排水口313(323)が閉鎖されていない場合にボウル31内の水位WLが上昇するのは排水詰まりをはじめとする溢水につながる要因があると考えられ、この場合にも排水口313(323)が開放されるため、ボウル31(32)からの溢水をより確実に防止することができる。
【0084】
また、上記した第1~第3実施形態において、たとえば、制御部70は、排水口313(323)を開放するとともに、吐水部20からの吐水を停止するように吐水駆動部22を制御してもよい。このような構成によれば、水位センサ60が所定の水位WLを検知すると吐水部20からの吐水が停止されるため、ボウル31(32)からの溢水をより確実に防止することができる。
【0085】
また、上記した第1~第3実施形態において、たとえば、制御部70は、開閉弁40の開度の「大」、「小」などを吐水部20の吐水量に応じて調整することで、たとえば、排水口313(323)を開放したままでもボウル31(32)内の水位WLを一定に保持するなど、様々な制御を実現させることができる。
【0086】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
11,12 洗面器装置
20 吐水部
31,32 ボウル
311,321 周壁
312,322 ボウル面
313,323 排水口
321a 内周部
321b 外周部
40 開閉部
60 水位センサ
70 制御部
90 音声認識部
WL 水位