(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】フィルムヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/84 20060101AFI20231205BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20231205BHJP
B60S 1/02 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
H05B3/84
H05B3/03
B60S1/02 300
(21)【出願番号】P 2019214228
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小田 修三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】小倉 太郎
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-46683(JP,A)
【文献】特開昭62-154494(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106427901(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/84
H05B 3/03
B60S 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において光が透過する光透過部材(3)に取り付けられるフィルムヒータであって、
通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜(13)と、
前記透明導電膜に接続される第1電極(11)と、
前記透明導電膜に接続される第2電極(12)と、を備え、
前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部(131)を有し、
前記発熱部の外縁(131a)は、短辺(S1)、前記短辺よりも長くかつ前記短辺に対向して伸びる長辺(S2)、前記短辺の一方側の端部から前記長辺の一方側の端部に近付くように伸びる第1斜辺(S3)、前記短辺の他方側の端部から前記長辺の他方側の端部に近付くように伸びる第2斜辺(S4)を含み、
前記第1電極は、前記短辺、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポート(P11-P15)にそれぞれ対応する複数の第1接続部(111)を有し、
前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポート(P21-P26)にそれぞれ対応する複数の第2接続部(121)を有し、
前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部(134、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部(135、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる、フィルムヒータ。
【請求項2】
前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つは、前記第1斜辺の中央よりも長辺側に位置することを特徴とする請求項1に記載のフィルムヒータ。
【請求項3】
前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つは、前記短辺に位置し、
前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つは、前記長辺のうち前記短辺と対向する位置にある、請求項1または2に記載のフィルムヒータ。
【請求項4】
前記発熱部の外縁は、前記第1斜辺の前記一方側の端部から前記長辺の前記一方側の端部に伸びるカット辺(S5)を有し、
前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つは、前記カット辺に配置される、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項5】
前記複数の第1電流抑制部のうち1つの第1電流抑制部の、前記発熱部の前記外縁に沿った長さは、前記複数の第2電流抑制部のうち1つの第2電流抑制部の、前記発熱部の前記外縁に沿った長さよりも、長い、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項6】
前記複数の第1接続部のうち或る第1接続部から対応する第1ポートまでの電流が流れる経路における、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、前記複数の第1接続部のうち別の第1接続部から対応する第1ポートまでの、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値と、異なっている、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項7】
前記複数の第2接続部のうち或る第2接続部から対応する第2ポートまでの電流が流れる経路における、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、前記複数の第2接続部のうち別の第2接続部から対応する第2ポートまでの、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値と、異なっている、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項8】
前記複数の第1ポートのうち前記短辺の中央と前記長辺の中央を結ぶ中央線(CL)から前記一方側に最も遠い位置にある第1ポートよりも、前記複数の第2ポートのうち前記中央線から前記一方側に最も遠い位置にある第2ポートの方が、前記中央線から遠い、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項9】
前記第1電極は、給電部またはグラウンドに接続される取出部(110)と、前記取出部に接続されると共に前記複数の第1接続部に接続される抵抗増大部(113)と、を備え、
前記取出部、前記抵抗増大部、前記複数の第1接続部、前記発熱部の順に、またはこの逆順に、電流が流れ、
前記抵抗増大部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、前記取出部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のフィルムヒータ。
【請求項10】
前記抵抗増大部は前記取出部よりも幅が狭い請求項9に記載のフィルムヒータ。
【請求項11】
前記取出部は第1取出部であり、
前記抵抗増大部は第1抵抗増大部であり、
前記第2電極は、前記給電部または前記グラウンドのうち前記第1取出部が接続されていない方に接続される第2取出部(120)と、前記第2取出部に接続されると共に前記複数の第2接続部に接続される第2抵抗増大部(123)と、を備え、
前記第2取出部、前記第2抵抗増大部、前記複数の第2接続部、前記発熱部の順に、またはこの逆順に、電流が流れ、
前記第2抵抗増大部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、前記第2取出部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい、請求項9または10に記載のフィルムヒータ。
【請求項12】
前記第2抵抗増大部は前記第2取出部よりも幅が狭い請求項11に記載のフィルムヒータ。
【請求項13】
前記第2抵抗増大部の抵抗値は前記第1抵抗増大部の抵抗値よりも高い、請求項11または12に記載のフィルムヒータ。
【請求項14】
車両において光が透過する光透過部材(3)に取り付けられるフィルムヒータであって、
通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜(13)と、
前記透明導電膜に接続される第1電極(11)と、
前記透明導電膜に接続される第2電極(12)と、を備え、
前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部(131)を有し、
前記発熱部の外縁(131a)は、長辺(S2)、第1斜辺(S3)、第2斜辺(S4)を含み、
前記第1斜辺は、一端において前記第2斜辺に接続し、他端において前記長辺の一端に接続し、
前記第2斜辺は、一端において前記第1斜辺の一端に接続し、他端において前記長辺の他端に接続し、
前記第1電極は、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポート(P151-P153)にそれぞれ対応する複数の第1接続部(111)を有し、
前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポート(P21-P26)にそれぞれ対応する複数の第2接続部(121)を有し、
前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部(134、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部(135、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる、フィルムヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において光が透過する光透過部材に取り付けられ、通電されることで発熱するフィルムヒータが知られている。例えば、車両のウインドシールドのうちセンサの視野部分に貼り付けられて発熱することで、当該視野部分の防曇を行うフィルムヒータがある。
【0003】
車両の光透過部材に取り付けられるフィルムヒータに通電する形態としては、フィルムヒータにおいて発熱させたい透明な発熱部よりも上側および下側に、不透明の一対の電極を配置することが知られている。このような配置により、一方の電極からフィルムヒータの発熱部を通って他方の電極へと電流が流れることで、発熱部が通電されて発熱する。
【0004】
しかし、車両において光透過部材に取り付けられるフィルムヒータには、取付対象の形状、センサの視野の形状等の種々の制約により、光を透過させたい部分の形状が矩形でないものが多い。例えば、略台形形状、略三角形状等のものがある。
【0005】
フィルムヒータにおいて光を透過させたい部分の形状が矩形でない場合、一方の電極から他方の電極までのフィルムヒータに沿った距離が場所によって異なってしまう。これは、フィルムヒータの発熱部における電流密度の不均一ひいては温度の不均一をもたらす原因となり得る。
【0006】
この対策として、特許文献1では、フィルムヒータの発熱部の膜厚をある箇所では厚く別の箇所では薄くすることが記載されている。これにより、発熱部の抵抗密度および発熱密度が調整され、ひいては、発熱部における温度の均一化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の技術は、フィルムヒータの膜厚を非一様にするため、膜厚の不均一が光学的な均一性すなわち光透過性能の均一性を損なってしまう恐れがある。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、フィルムヒータの発熱部の膜厚を変更する以外の方法で、フィルムヒータの矩形形状でない発熱部における温度分布の偏りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両において光が透過する光透過部材(3)に取り付けられるフィルムヒータが、
通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜(13)と、
前記透明導電膜に接続される第1電極(11)と、
前記透明導電膜に接続される第2電極(12)と、を備え、
前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部(131)を有し、
前記発熱部の外縁(131a)は、短辺(S1)、前記短辺よりも長くかつ前記短辺に対向して伸びる長辺(S2)、前記短辺の一方側の端部から前記長辺の一方側の端部に近付くように伸びる第1斜辺(S3)、前記短辺の他方側の端部から前記長辺の他方側の端部に近付くように伸びる第2斜辺(S4)を含み、
前記第1電極は、前記短辺、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポート(P11-P15)にそれぞれ対応する複数の第1接続部(111)を有し、
前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポート(P21-P26)にそれぞれ対応する複数の第2接続部(121)を有し、
前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部(135、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部(136、CX、CY、CZ14)が、前記外縁に沿って配され、
前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる。
【0011】
このように、第1電極と発熱部の内部との間で流れる電流の通り口となる複数の第1ポートが、短辺、第1斜辺および第2斜辺において互いに間を開けて位置している。そして、第2電極と発熱部の内部との間で流れる電流の通り口となる複数の第2ポートが、長辺において互いに間を開けて位置している。したがって、複数の第1ポートと複数の第2ポートの位置を工夫することで、発熱部の光学的な均一性を損なう可能性を抑えながら、発熱部における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するための請求項14に記載の発明は、車両において光が透過する光透過部材(3)に取り付けられるフィルムヒータが、
通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜(13)と、
前記透明導電膜に接続される第1電極(11)と、
前記透明導電膜に接続される第2電極(12)と、を備え、
前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部(131)を有し、
前記発熱部の外縁(131a)は、長辺(S2)、第1斜辺(S3)、第2斜辺(S4)を含み、
前記第1斜辺は、一端において前記第2斜辺に接続し、他端において前記長辺の一端に接続し、
前記第2斜辺は、一端において前記第1斜辺の一端に接続し、他端において前記長辺の他端に接続し、
前記第1電極は、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポート(P151-P153)にそれぞれ対応する複数の第1接続部(111)を有し、
前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポート(P21-P26)にそれぞれ対応する複数の第2接続部(121)を有し、
前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部(135、CX、CY、CZ、14)が、前記外縁に沿って配され、
前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部(136、CX、CY、CZ14)が、前記外縁に沿って配され、
前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる。
【0013】
このように、第1電極と発熱部の内部との間で流れる電流の通り口となる複数の第1ポートが、第1斜辺および第2斜辺において互いに間を開けて位置している。そして、第2電極と発熱部の内部との間で流れる電流の通り口となる複数の第2ポートが、長辺において互いに間を開けて位置している。したがって、複数の第1ポートと複数の第2ポートの位置を工夫することで、発熱部の光学的な均一性を損なう可能性を抑えながら、発熱部における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0014】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態における車両のウインドシールドに取り付けられたフィルムヒータを示す斜視図である。
【
図2】フィルムヒータ、ウインドシールド、画像センサの正面図である。
【
図3】フィルムヒータを電極の層で切った断面図である。
【
図4】フィルムヒータを透明導電膜の層で切った断面図である。
【
図11】第1電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図12】第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図13】第1実施形態における発熱部の温度分布を示す等高線図である。
【
図14】比較例における発熱部の温度分布を示す等高線図である。
【
図15】第2実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図16】第3実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図17】第3実施形態における発熱部の温度分布を示す等高線図である。
【
図18】第4実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図19】第5実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図20】第6実施形態における第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図21】第7実施形態における第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図22】第8実施形態における第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図23】第9実施形態における第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図24】第10実施形態における第2電極と透明導電膜の一部拡大斜視図である。
【
図25】第11実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図26】第12実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図27】第13実施形態における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図28】変形例1における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【
図29】変形例2における
図3と同様の断面で切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るフィルムヒータ1は、薄膜形状の電気ヒータであり、車両2のガラス製のウインドシールド3の、車室側の面に貼り付けられる。あるいは、重ねられた2枚のガラス板をウインドシールド3が含んでいる場合、フィルムヒータ1は、それら2枚のガラス板の間に配置されてもよい。以下、方向に言及する場合は、特に別言しない限り、車両の進行方向に向いた場合の方向を意味する。なお、ウインドシールド3は窓部材および光透過部材に対応する。
【0017】
図1、
図2に示すように、車室内のフィルムヒータ1の近傍には、画像センサ4が搭載されている。画像センサ4は、車両2の前方からウインドシールド3およびフィルムヒータ1を透過して車室内に入射した光(例えば、紫外線、可視光線、近赤外線)を受け、受けた光に応じた映像信号を出力する。出力された映像信号は、車両2の前方の障害物の検出等の画像認識処理に用いられる。あるいは、画像センサ4自体が、映像信号に基づいて車両2の前方の障害物の検出等の画像認識処理を行い、認識結果を車両2に搭載された他の装置(例えば、車両の走行を制御する装置)に出力してもよい。
【0018】
図2に示すように、画像センサ4は、筐体41と、カメラモジュール42と、不図示の回路部とを有している。筐体41は、カメラモジュール42と回路部とを収容するケーシングである。筐体41はウインドシールド3の面に直交する方向にフィルムヒータ1と重なってフィルムヒータ1またはウインドシールド3の内面に接触する開口部41aが形成されている。
【0019】
カメラモジュール42は、画像センサ4の光学系であり、集光用のレンズ群と、レンズ群によって集光された光に応じて電気信号を出力する固体撮像素子と、レンズ群と固体撮像素子を収容するホルダとを、備えている。カメラモジュール42は、光軸がフィルムヒータ1のうち開口部41aに囲まれる部分を通過するよう、筐体41に収容されている。したがって、開口部41aの内側が画像センサ4の視野範囲のとなり、開口部41aが、画像センサ4の視野範囲の境界となる。このように、画像センサ4の視野範囲は、筐体41の形状等によって規定される。
【0020】
回路部は、カメラモジュールの固体撮像素子が出力した電気信号に基づいて、カメラモジュールによって撮影された車両2の前方の画像を生成し、生成した画像を示す映像信号を出力する。また、回路部は、上述した画像認識処理を行ってもよい。
【0021】
フィルムヒータ1は、
図3-
図12に示すように、第1電極11、第2電極12、透明導電膜13、透明絶縁膜14を有しており、全体としてフィルム状に形成されている。
【0022】
透明絶縁膜14は、電気的絶縁性を有する透明の材質から成る薄膜である。透明絶縁膜14は、例えば、ポリカーボネートにより構成されていてもよいし、それ以外の材料から構成されていてもよい。
【0023】
透明導電膜13は、透明絶縁膜14とほぼ同じ形状で、透明絶縁膜14の前方側の面に積層される。透明導電膜13は、
図4-
図10に示すように、導電性を有すると共に透明な膜である。例えば透明導電膜13は、ITO膜上にクロムおよびクロム酸化物の保護膜をスパッタリング等によって形成したものであってもよい。ITOは、Indium-Tin-Oxideの略称である。透明導電膜13の抵抗率は、面内で一様であってもよいし、一様でなく偏っていてもよい。このような透明導電膜13は、その内部を電流が線状ではなく面状に流れるように構成されている。
【0024】
フィルムヒータ1の積層方向(すなわち
図5、
図6の左右方向)に直交する面における透明導電膜13と透明絶縁膜14の形状は、ほぼ同じであり、透明導電膜13と透明絶縁膜14は当該積層方向にほぼ一致して重なっている。なお、フィルムヒータ1の積層方向は、ウインドシールド3の面に直交する方向と一致する。以下、フィルムヒータ1の積層方向を単に積層方向という。
【0025】
透明導電膜13は、
図4に示すように、1つの発熱部131、複数の第1ブリッジ部132、複数の第2ブリッジ部133、複数の第1抵抗部134、複数の第2抵抗部135、1つの第1外周部136、および1つの第2外周部137を有する。これら部材131-137は、一枚の基材から一体に形成される。
【0026】
発熱部131は、画像センサ4の視野範囲内に配置される部分である。車両2の前方からウインドシールド3および発熱部131を透過して車室内に入射した光は、画像センサ4のカメラモジュール42によって集光され結像される。画像センサ4が車室内に設置された状態において、発熱部131の外縁131aと、筐体41の開口部41aとが、一致する。
図4においては、発熱部131の外縁131aのうち、第1抵抗部134、第2抵抗部135と重ならない部分を、破線で表している。
【0027】
したがって、ウインドシールド3のうち発熱部131が取り付けられる部分は、良好に光を通すことが望ましい。そのため、発熱部131が発熱して、ウインドシールド3の当該部分が加熱され、曇りが抑制されることが望ましい。実際、後述するように、発熱部131は、第1電極11と第2電極12の電位差に起因して通電されて発熱することでウインドシールド3を加熱する。このように、発熱部131は、曇り防止のために発熱させたい部分である。発熱部131の抵抗率は、面内で一様であってもよいし、一様でなく偏っていてもよい。
【0028】
発熱部131の外縁131aは、
図4に示すように、短辺S1、長辺S2、第1斜辺S3、第2斜辺S4、第1カット辺S5、第2カット辺S6を含んだ略六角形の形状を有している。短辺S1は、外縁131aのうち最も上側に位置する。他の例としては、短辺S1は、外縁131aのうち最も下側、右側、左側のどこに位置してもよい。
【0029】
長辺S2は、短辺S1よりも長くかつ短辺S1に対向して伸びる。第1斜辺S3は、短辺S1の右側の端部から長辺S2の右側の端部に近づくように伸びる。第2斜辺S4は、短辺S1の左側の端部から長辺S2の左側の端部に近づくように伸びる。左側が一方側に対応し、右側が他方側に対応する。第1斜辺S3と第2斜辺S4は、短辺S1側から長辺S2側に向かうにつれて、互いに遠ざかるように直線的に伸びている。
【0030】
第1斜辺S3の短辺S1側の端部は短辺S1の右側の端部に接続しているが、第1斜辺S3の長辺S2側の端部は長辺S2の右側の端部に接続していない。第2斜辺S4の短辺S1側の端部は短辺S1の左側の端部に接続しているが、第2斜辺S4の長辺S2側の端部は長辺S2の左側の端部に接続していない。
【0031】
第1カット辺S5は、第1斜辺S3の右側の端部から長辺S2の右側の端部に伸びる辺である。第1カット辺S5の第1斜辺S3側の端部は第1斜辺S3の右側端部に接続し、第1カット辺S5の長辺S2側の端部は長辺S2の右側端部に接続する。
【0032】
第2カット辺S6は、第2斜辺S4の左側の端部から長辺S2の左側の端部に伸びる辺である。第2カット辺S6の第2斜辺S4側の端部は第2斜辺S4の左側端部に接続し、第2カット辺S6の長辺S2側の端部は長辺S2の左側端部に接続する。
【0033】
短辺S1、長辺S2の各々は、水平な直線に対して発熱部131の外側に少し凸となる緩やかなカーブ形状で伸びる。
【0034】
複数の第1ブリッジ部132は、発熱部131の外縁131aに接続される。より具体的には、複数の第1ブリッジ部132は、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4において外縁131aの伸びる方向に並んでかつ互いに離れて配置されている。
【0035】
各第1ブリッジ部132は、外縁131aと接続する側とは反対側の端部において、第1外周部136の発熱部131側の辺に接続されている。したがって、各第1ブリッジ部132は、第1外周部136から発熱部131まで、外縁131aに対して交差する方向に、伸びる。
【0036】
複数の第2ブリッジ部133は、発熱部131の外縁131aに接続される。より具体的には、複数の第2ブリッジ部133は、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6において外縁131aの伸びる方向に並んでかつ互いに離れて配置されている。
【0037】
各第2ブリッジ部133は、外縁131aと接続する側とは反対側の端部において、第2外周部137の発熱部131側の辺に接続されている。したがって、各第2ブリッジ部133は、第2外周部137から発熱部131まで、外縁131aに対して交差する方向に、伸びる。
【0038】
複数の第1抵抗部134は、発熱部131の外縁131aに対して離れた状態で隣り合って配置される。より具体的には、複数の第1抵抗部134は、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4において外縁131aの伸びる方向に並んでかつ互いに離れて配置されている。
図9、
図11に示すように、各第1抵抗部134の外縁131a側の端部は、外縁131aとは、空隙CXを挟んで僅かに離れて対向している。また、各第1抵抗部134の第1外周部136側の端部は、第1外周部136とは、空隙CZを挟んで僅かに離れて対向している。
【0039】
また、複数の第1ブリッジ部132と複数の第1抵抗部134は、外縁131aに沿って、1個ずつ交互に隣り合って並んでいる。
図11に示すように、各第1抵抗部134は、隣り合う第1ブリッジ部132側の端部において、当該第1ブリッジ部132と、空隙CYを挟んで僅かに離れて対向している。
【0040】
このような、各第1抵抗部134の外縁131a側端部の空隙CX、第1外周部136側端部の空隙CZ、第1ブリッジ部132側端部の空隙CYは、例えば、透明導電膜13をレーザで切断することによって形成される。これら空隙CX、CY、CZは、全体として環状に繋がって略四角形の形状を有する。
【0041】
これら空隙CX、CY、CZにより、各第1抵抗部134が、発熱部131とも第1ブリッジ部132とも第1外周部136とも非導通となる。このように、複数の第1抵抗部134は、発熱部131の周囲のうち、第1電極11と発熱部131の間の導通の媒介をさせたくない部分に配置される。各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CX、CY、CZと共に、第1電流抑制部を構成する。
【0042】
複数の第2抵抗部135は、発熱部131の外縁131aに対して離れた状態で隣り合って配置される。より具体的には、複数の第2抵抗部135は、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6において外縁131aの伸びる方向に並んでかつ互いに離れて配置されている。
図8、
図12に示すように、各第2抵抗部135の外縁131a側の端部は、外縁131aとは、空隙CXを挟んで僅かに離れて対向している。また、各第2抵抗部135の第2外周部137側の端部は、第2外周部137とは、空隙CZを挟んで僅かに離れて対向している。
【0043】
また、複数の第2ブリッジ部133と複数の第2抵抗部135は、外縁131aに沿って、1個ずつ交互に隣り合って並んでいる。
図12に示すように、各第2抵抗部135は、隣り合う第2ブリッジ部133側の端部において、当該第2ブリッジ部133と、空隙CYを挟んで僅かに離れて対向している。
【0044】
このような、各第2抵抗部135の外縁131a側端部の空隙CX、第2外周部137側端部の空隙CZ、第2ブリッジ部133側端部の空隙CYは、例えば、透明導電膜13をレーザで切断することによって形成される。これら空隙CX、CY、CZは、全体として環状に繋がって略四角形の形状を有する。
【0045】
これら空隙CX、CY、CZの存在により、各第2抵抗部135が、発熱部131とも第2ブリッジ部133とも第2外周部137とも非導通となる。このように、複数の第2抵抗部135は、発熱部131の周囲のうち、第1電極11と発熱部131の間の導通の媒介をさせたくない部分に配置される。各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CX、CY、CZと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0046】
第1外周部136は、複数の第1ブリッジ部132および複数の第1抵抗部134の、発熱部131とは反対側に位置し、外縁131aの短辺S1、第1斜辺S3、第1斜辺S3に沿って伸びている。すなわち、第1外周部136と発熱部131の間に複数の第1ブリッジ部132および複数の第1抵抗部134が挟まれた状態になっている。第1外周部136の発熱部131側の端部は、複数の第1ブリッジ部132と接続している。また、第1外周部136の発熱部131側の端部は、複数の第1抵抗部134と上述の空隙CZを挟んで離れて対向している。また、第1外周部136は、第1電極11を給電部に導くために発熱部131から遠ざかるように伸びる部分も、含んでいる。
【0047】
第2外周部137は、複数の第2ブリッジ部133および複数の第2抵抗部135の、発熱部131とは反対側に位置し、外縁131aの長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6に沿って伸びている。すなわち、第2外周部137と発熱部131の間に複数の第2ブリッジ部133および複数の第2抵抗部135が挟まれた状態になっている。第2外周部137の発熱部131側の端部は、複数の第2ブリッジ部133と接続している。また、第2外周部137の発熱部131側の端部は、第2抵抗部135と上述の空隙CZを挟んで離れて対向している。また、第1外周部136は、第2電極12をグラウンドに導くために発熱部131から遠ざかるように伸びる部分も、含んでいる。
【0048】
なお、発熱部131、第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133、第1抵抗部134、第2抵抗部135、第1外周部136、第2外周部137の各々が、透明絶縁膜14に固定的に積層されている。
【0049】
図3、
図4に示すように、第1外周部136と第2外周部137の間は、僅かな空隙V1、V2が存在する。したがって、第1外周部136のうち第2外周部137に対向する端部と、第2外周部137のうち第1外周部136に対向する端部とは、この空隙V1、V2を挟んで互いに離れて対向している。これら空隙V1、V2は、例えば、透明導電膜13をレーザで切断することによって形成される。このようになっていることで、第1外周部136と第2外周部137とが直接導通することが防止される。
【0050】
第1電極11および第2電極12は、透明導電膜13の透明絶縁膜14とは反対側の面に接触して積層された導電性の層である。第1電極11と第2電極12は透明導電膜13を介して電気的に接続されている。第1電極11、第2電極12は、例えば銀ペーストが透明導電膜13に印刷されて焼成されることで形成されてもよい。第1電極11、第2電極12は、透明導電膜13と物理的に接触している部分において、透明導電膜13と電気的に導通する。
【0051】
第1電極11および第2電極12の抵抗率は、透明導電膜13の抵抗率よりも十分低い。例えば、第1電極11の抵抗率の平均値および第2電極12の抵抗率の平均値は、透明導電膜13の抵抗率の平均値の1/100以下である。
【0052】
第1電極11は、
図3、
図11に示すように、第1取出部110、複数の第1接続部111、複数の第1バイパス部112を有している。なお、
図11の一点鎖線は、単に第1接続部111と第1バイパス部112の境界を明示するための仮想線に過ぎず、これら一点鎖線の位置に実体としての線があることを示すものではない。
【0053】
第1取出部110は、フィルムヒータ1に電力を供給する給電部から給電を受けて、給電部から複数の第1接続部111、複数の第1バイパス部112に電流を流す。第1取出部110の一端は給電部に接続される。第1取出部110の他端は、短辺S1の隣にある第1接続部111、第1斜辺S3のうち最も短辺S1に近い位置の隣にある第1接続部111、およびこれら2つの第1接続部111の間にある第1バイパス部112に、接続されている。
【0054】
複数の第1接続部111と複数の第1バイパス部112は、
図3、
図11に示すように、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4に沿って、1個ずつ交互に隣り合って並んでいる。この並びに沿って、複数の第1接続部111と複数の第1バイパス部112は、互いに導通する。
【0055】
各第1接続部111は、
図5、
図7に示す第1接続部111のように、透明導電膜13の対応する第1ブリッジ部132に積層されると共に、第1外周部136のうち当該第1ブリッジ部132に接続する部分にも積層される。このような第1接続部111と透明導電膜13との接続形態を、第1の接続形態という。
【0056】
ここで、
図3、
図4、
図7、
図11に示す第1ポートP11、P12、P13、P14、P15について説明する。透明導電膜13の外縁131aのうち、第1ブリッジ部132と発熱部131とが接続している複数の箇所は、それぞれ、第1ポートP11-P15である。つまり、第1ポートP11-P15の各々は、発熱部131と第1ブリッジ部132の境界面である。第1ポートP11、P12は第1斜辺S3に配置され、第1ポートP13は短辺S1に配置され、第1ポートP14、P15は第2斜辺S4に配置される。
【0057】
各第1接続部111は、複数の第1ポートP11-P15のうち対応する第1ポートと僅かな範囲で直接接続すると共に、当該第1ポートに面する第1ブリッジ部132に広範囲で直接接続する。したがって、主に当該第1接続部111および当該第1ブリッジ部132を通る経路で、これら複数の第1ポートP11-P15の各々を介して、発熱部131の内部と第1接続部111の間で電流が流れる。
【0058】
第1バイパス部112は、
図3、
図6、
図9に示すように、透明導電膜13の第1外周部136のうち、発熱部131と共に第1抵抗部134を挟む部分に、積層される。したがって、第1バイパス部112は、第1抵抗部134によって発熱部131との導通が抑制されている。その結果、第1バイパス部112は、隣り合う第1接続部111およびそれに対応する第1ポートを介してのみ、発熱部131と導通する。このように、第1抵抗部134は、第1ポートP11-P15ではなく当該第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する。
【0059】
第2電極12は、
図3、
図12に示すように、第2取出部120、複数の第2接続部121、複数の第2バイパス部122を有している。なお、
図12の一点鎖線は、単に第2接続部121と第2バイパス部122の境界を明示するための仮想線に過ぎず、これら一点鎖線の位置に実体としての線があることを示すものではない。
【0060】
第2取出部120は、複数の第2接続部121、複数の第2バイパス部122からの電流をグラウンドに流す。第2取出部120の一端はグラウンドに接続される。第2取出部120の他端は、第1カット辺S5の隣にある第2接続部121および長辺S2のうち最も第1カット辺S5に近い位置の隣に第2バイパス部122に、接続されている。
【0061】
複数の第2接続部121と複数の第2バイパス部122は、
図3、
図12に示すように、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6に沿って、1個ずつ交互に隣り合って並んでいる。この並びに沿って、複数の第2接続部121と複数の第2バイパス部122は、互いに導通する。
【0062】
第2接続部121が透明導電膜13の第2ブリッジ部133、第2外周部137に接続する形態は、2形態ある。
【0063】
具体的には、
図4の第2ポートP23、P24に対応する第2ブリッジ部133に最も近い第2接続部121の各々は、
図12のように、当該第2ブリッジ部133に積層される。更に当該第2接続部121は、第2外周部137のうち当該第2ブリッジ部133に接続する部分にも積層される。このような第2接続部121と透明導電膜13との接続形態を、第1の接続形態という。
【0064】
また、
図4の第2ポートP21、P22、P25、P26に対応する第2ブリッジ部133に最も近い第2接続部121の各々は、
図6、
図10のように、当該第2ブリッジ部133に積層されない。そして、当該第2接続部121は、第2外周部137のうち当該第2ブリッジ部133に接続する部分に積層される。このような第2接続部121と透明導電膜13との接続形態を、第2の接続形態という。
【0065】
ここで、
図3、
図4、
図10、
図12に示す第2ポートP21、P22、P23、P24、P25、P26について説明する。透明導電膜13の外縁131aのうち、第2ブリッジ部133と発熱部131とが接続している複数の箇所は、それぞれ、第2ポートP21-P26である。つまり、第2ポートP21-P26の各々は、発熱部131と第2ブリッジ部133の境界面である。第2ポートP21は、第1カット辺S5に配置され、第2ポートP22、P23、P24、P25は長辺S2に配置され、第2ポートP26は第2カット辺S6に配置される。
【0066】
第1の接続形態で透明導電膜13と接続する第2接続部121の各々は、
図12のように、第2ポートP21、P23、P24、P26のうち対応する第2ポートと僅かな範囲で直接接続する。それと共に第2接続部121の各々は、当該第2ポートに面する第2ブリッジ部133に広範囲で直接接続する。したがって、主に当該第2ブリッジ部133および当該第2接続部121を通る経路で、これら複数の第2ポートP21、P23、P24、P26の各々を介して、発熱部131の内部と第2接続部121との間で電流が流れる。
【0067】
第2の接続形態で透明導電膜13と接続する第2接続部121の各々は、
図10、
図12のように、第2ポートP22、P25のうち対応する第2ポートとは直接接続しない。そして、当該第2接続部121は、当該第2ポートに面する第2ブリッジ部133に僅かな範囲で直接接続する。更に当該第2接続部121は、第2外周部137のうち当該第2ブリッジ部133に直接接続する部分に広範囲で直接接続する。したがって、主に当該第2ブリッジ部133、第2外周部137の当該部分、当該第2接続部121を通る経路で、これら複数の第2ポートP22、P25の各々を介して、発熱部131の内部と第2接続部121の間で電流が流れる。
【0068】
ただし、第2の接続形態の場合、第1の接続形態に比べ、第2接続部121から対応する第2ポートまでの距離が長い。言い換えれば、第2の接続形態では、第2ポートから流れ出る電流が第2接続部121に到達するまでに電流が透明導電膜13を通る距離が、長い。また、上述の通り、抵抗率は第2電極12よりも透明導電膜13の方が大きい。したがって、第2ポートと第2接続部121の間を流れる電流の、外縁131aに沿った単位長さ当たりの量は、第2の接続形態の場合よりも第1の接続形態の方が、多い。
【0069】
第2バイパス部122は、
図3、
図5、
図8に示すように、透明導電膜13の第2外周部137のうち、発熱部131と共に第2抵抗部135を挟む部分に、積層される。したがって、第2バイパス部122は、第2抵抗部135によって発熱部131との導通が抑制されている。その結果、第2バイパス部122は、隣り合う第2接続部121およびそれに対応する第2ポートを介してのみ、発熱部131と導通する。このように、第2抵抗部135は、第2ポートP21-P26ではなく当該第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する。
【0070】
以下、上記のような構成のフィルムヒータ1の作動について説明する。
図1、
図2のように、フィルムヒータ1が車両のウインドシールド3に取り付けられた状態で、給電部からフィルムヒータ1に電力が供給される。すると、第1電極11、透明導電膜13、第2電極12、グラウンドの順に電流が流れる。このとき、透明導電膜13の発熱部131に電流が流れることで、発熱部131が発熱する。この発熱により、ウインドシールド3のうち発熱部131が取り付けられた部分の曇りが抑制される。その結果、画像センサ4による車両2の前方の撮影が良好にできる。
【0071】
このときの、透明導電膜13における電流の流れ方について、詳細に説明する。給電部からフィルムヒータ1に電力が供給されると、給電部から第1取出部110を介して複数の第1接続部111、第1バイパス部112に電流が流れる。そして、複数の第1接続部111から、上述の通り、対応する複数の第1ポートP11-P15を通って、発熱部131に電流が流入する。
【0072】
このとき、複数の第1電流抑制部は、隣り合う第1バイパス部112から発熱部131に電流が流入することを抑制する。具体的には、複数の第1電流抑制部は、隣り合う第1バイパス部112から発熱部131に電流が流入することを禁止する。この結果、外縁131aにおける第1電極11から発熱部131への電流の流入箇所は、離散的に配置された第1ポートP11-P15のみとなる。
【0073】
またこのとき、電流は、発熱部131から複数の第2接続部121、複数の第2バイパス部122を通り、更に第2取出部120を通って、グラウンドに流れる。このとき、発熱部131から、上述の通り、複数の第2ポートP21-P26を通って、複数の第2接続部121に、電流が流れる。
【0074】
このとき、複数の第2電流抑制部は、隣り合う第2バイパス部122へ発熱部131から電流が流入することを抑制する。具体的には、複数の第2電流抑制部は、隣り合う第2バイパス部122へ発熱部131から電流が流入することを禁止する。この結果、外縁131aにおける発熱部131から第2電極12への電流の流入箇所は、離散的に配置された第2ポートP21-P26のみとなる。
【0075】
このように、フィルムヒータ1への通電時、発熱部131においては、離散的に配置された第1ポートP11-P15のみから電流が流入し、離散的に配置された第2ポートP21-P26のみから電流が流出する。
【0076】
発熱部131の面内における電流の流れる方向は、実質的に2次元の自由度がある。したがって、第1ポートP11-P15の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で、発熱部131の内部を通って電流が流れる。具体的には、第1ポートP11からは少なくとも第2ポートP21、P22、P23に電流が流れる。また、第1ポートP12、P13、P14の各々からは少なくとも第2ポートP22、P23、P24、P25に電流が流れる。また、第1ポートP15からは少なくとも第2ポートP25、P26に電流が流れる。また同様に、第2ポートP22-P25の各々においては、当該第2ポートと少なくとも2つの第1ポートとの間で、発熱部131の内部を通って電流が流れる。
【0077】
これにより、発熱部131の温度分布が、例えば
図13の等高線図に示すようなものになる。これに比べ、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4の全体から発熱部131に一様に電流が流入し、発熱部131から長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6に一様に電流が流出する場合は、温度分布が
図14の等高線図に示すようになる。
【0078】
なお、
図13の温度分布が得られた環境と
図14の温度分布が得られた環境とは、発熱部131への電流の流入形態および流出形態以外は、同じである。例えば、車両2の周囲の温度等の外部環境および車両2の走行状態は、
図13の温度分布が得られた場合と
図14の温度分布が得られた場合とで同じである。
図13と
図14とを比較すると、
図13の方が、温度のばらつき(例えば標準偏差)が少ない。また、
図13と
図14とを比較すると、
図13の方が、最大温度と最低温度の差が小さい。
【0079】
このように、本実施形態では、第1電極11から発熱部131への電流の流入を媒介する第1ポートP11-P15が離散的に配置される。また、発熱部131から第2電極12への電流の流出を媒介する第2ポートP21-P26が離散的に配置される。
【0080】
すなわち、第1電極11と発熱部131の内部との間で流れる電流の通り口となる第1ポートP11-P15が、短辺S1、第1斜辺S3および第2斜辺S4において互いに間を開けて位置している。そして、第2電極12と発熱部131の内部との間で流れる電流の通り口となる第2ポートP21-P26が、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6において互いに間を開けて位置している。
【0081】
このような離散的な配置が実現することで、第1ポートP11-P15、第2ポートP21-P26の位置を調整することができる。そして、この調整により、発熱部131における電流密度の分布を調整することができる。電流密度の分布は、発熱部131における温度分布を決める大きな要因である。したがって、第1ポートP11-P15、第2ポートP21-P26の位置を工夫することで、発熱部131の光学的な均一性を損なう可能性を抑えながら、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0082】
例えば、本実施形態では、外縁131aに沿った方向における第1ポートと第1電流抑制部の存在比率は、短辺S1の方が、第1斜辺S3および第2斜辺S4よりも、大きい。また、第1斜辺S3の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第1斜辺S3の中央から長辺S2端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。また、第2斜辺S4の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第2斜辺S4の中央から長辺S2側端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。
【0083】
このように、発熱部131を介して第1ポートから第2ポートまでの距離が比較的長い箇所には、第1ポートの存在比率を大きくすることで、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0084】
ただし、第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートが少なくとも1つある。具体的には、第1ポートP11は、第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側に位置する。
【0085】
発熱部131のうち、第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の中央よりも右側との間に囲まれる部分は、隅部に相当する。隅部の近くに第1ポートが1つも存在しないと、隅部に流れる電流の量が過小になってしまい、ひいては、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。これに対し、上記のように、少なくとも1つの第1ポートが第1斜辺S3の中心よりも長辺側に位置すれば、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0086】
同様に、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートが少なくとも1つある。具体的には、第1ポートP15は、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側に位置する。これにより、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の中央よりも左側との間に囲まれる隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0087】
また、第1ポートP11-P15のうち第1ポートP13は、短辺S1に位置する。そして、第2ポートP23、P24の一部は、長辺S2のうち短辺S1と対向する位置にある。
【0088】
具体的には、
図3、
図4に示す中央線CLに平行かつ短辺S1の一方側端(すなわち右側端)を通る不図示の直線と、この中央線CLに平行かつ短辺S1の他方側端(すなわち左側端)を通る不図示の直線との間に、長辺S2の一部が入る。長辺S2のこの部分が、長辺S2のうち短辺S1と対向する部分である。そして、この部分に、第2ポートP23、P24の一部が含まれている。
【0089】
短辺S1は第1斜辺S3、第2斜辺S4に比べて長辺S2よりも遠い位置にあるので、少なくとも1つの第1ポートが短辺に位置している場合、当該第1ポートを通る電流の量が過小になってしまう可能性がある。ひいては、当該第1ポートP13の周囲の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。これに対し、上記のように、少なくとも1つの第2ポートP23、P24が長辺のうち短辺S1と対向する位置にあれば、短辺S1付近の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0090】
また、第2ポートP21は、第1カット辺S5に配置される。第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の一方側(すなわち右側)との間に囲まれる隅部は、第1ポート、第2ポートの配置によっては、電流が流れにくくなり、ひいては、温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。そこで、第1カット辺S5を設けることで、隅部の形状を頂点がカットされた形状とすることで、隅部に電流が流れにくくなる傾向が抑えられる。さらに、第1カット辺S5に少なくとも1つの第2ポート(すなわち第2ポートP21)を配することで、当該隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を更に低減することができる。
【0091】
同様に、第2ポートP26は、第2カット辺S6に配置される。第2カット辺S6を設けることで、上述の通り、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の他方側(すなわち左側)との間に囲まれる隅部に電流が流れにくくなる傾向が抑えられる。さらに、第2カット辺S6に少なくとも1つの第2ポート(すなわち第2ポートP26)を配することで、当該隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を更に低減することができる。
【0092】
また、第1ポートP11、P12間の電流抑制部は、第2ポートP22、P23間の第2電流抑制部よりも、第2ポートP23、P24間の第2電流抑制部よりも、第2ポートP24、P25間の第2電流抑制部よりも、長い。第1ポートP14、P15間の第1電流抑制部も同様である。第1ポートP11よりも第1カット辺S5側の第1電流抑制部も、第1ポートP15よりも第2カット辺S6側の第1電流抑制部も、同様である。なお、ここでいう長さは、発熱部131の外縁131aに沿った長さである。
【0093】
発熱部131の外縁131aのうち、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4から成る部分の長さは、長辺S2から成る部分の長さよりも長い。したがって、複数の第1電流抑制部と複数の第2電流抑制部が全く同じ長さになっていると、第1ポートP1の数が第2ポートP2の数より非常に大きくなってしまう可能性がある。第1ポートP1の数が第2ポートP2の数より非常に大きくなってしまうと、電流が第2ポートに集中してしまい、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう場合がある。これに対し、いずれかの第1電流抑制部がいずれかの第2電流抑制部よりも長ければ、第1ポートP1の数が第2ポートP2の数より非常に大きくなってしまう可能性を低減することができる。ひいては、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0094】
また、複数の第1ポートP11-P15の長さの総和は、複数の第2ポートP21-P25の長さの総和よりも、長い。ここでいう長さは、発熱部131の外縁131aに沿った長さである。このようになっていることで、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0095】
また、上述の通り、複数の第2接続部121のうち、第1接続形態で透明導電膜13と接続する第2接続部121と、第2接続形態で透明導電膜13と接続する第2接続部121とがある。
【0096】
ここで、各第2接続部121から対応する第2ポートまでの発熱部131の外縁131aに沿った単位長さ当たりの抵抗値は、当該第2接続部121が第1接続形態である場合の方が、当該第2接続部121が第2接続形態である場合よりも、低い。
【0097】
したがって、第2接続部121の外縁131aに沿った幅が第1、2接続形態で同じなら、第1接続形態の第2接続部121と対応する第2ポートとの間の電流値の方が、第2接続形態の第2接続部121と対応する第2ポートとの間の電流値よりも、大きい。
【0098】
ここで、第1接続形態の各第2接続部121に対応する第2ポートは、第2ポートP21、P23、P24、P26である。また、第2接続形態の各第2接続部121に対応する第2ポートは、第2ポートP22、P25である。
【0099】
このように、異なる第2接続部121において、発熱部131の外縁131aに沿った単位長さ当たりの抵抗値が異なるようにすることで、一律に同じにする場合に比べ、発熱部を流れる電流密度の分布をより柔軟に調整することができる。ひいては、発熱部131の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0100】
また
図3、
図4のように、短辺S1の中央と長辺S2の中央を結ぶ直線である中央線CLから一方側(すなわち右側)に最も遠い位置にある第1ポートP11よりも、中央線CLから当該一方側に最も遠い位置にある第2ポートP21の方が、中央線CLから遠い。
【0101】
第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の中央よりも一方側との間に囲まれる隅部は、第1ポート、第2ポートの配置によっては、電流が流れ難くなる。そうなると、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。具体的には、中央線CLから一方側に最も遠い位置にある第1ポートP11と第2ポートP21を比べたときに、第1ポートP11の方が中央線CLから遠ければ、電流が隅部を避けるように流れてしまう。これに対し、中央線CLから一方側に最も遠い位置にある第1ポートP1と第2ポートP21を比べたときに、第2ポートP21の方が中央線CLから遠ければ、隅部を通るような方向に電流が流れる。これにより、発熱部131において隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0102】
同様に、中央線CLから他方側(すなわち左側)に最も遠い位置にある第1ポートP15よりも、中央線CLから当該他方側に最も遠い位置にある第2ポートP26の方が、中央線CLから遠い。これにより、発熱部131において、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側と、長辺S2の中央よりも他方側との間に囲まれる隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0103】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について、
図15を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態に対して、第1電極11、第2電極12、透明導電膜13の形状が変更されている点が異なる。
【0104】
具体的には、
図15に示すように、複数の第1接続部111、複数の第1バイパス部112、複数の第2接続部121、複数の第2バイパス部122、複数の第1抵抗部134、複数の第2抵抗部135が配置されている。そして、これら複数の第1接続部111に1対1に対応して第1ポートP101-P109が配置される。また、これら複数の第2接続部121に1対1に対応して第2ポートP201-P205が配置される。なお、本実施形態においては、すべての第1接続部111およびすべての第2接続部121が第1の接続形態で発熱部131と接している。
【0105】
このような第1接続部111、第2接続部121、第1抵抗部134、第2抵抗部135の配置でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
具体的には、第1電極11から発熱部131への電流の流入を媒介する第1ポートP101-P109が離散的に配置される。また、発熱部131から第2電極12への電流の流出を媒介する第2ポートP201-P205が離散的に配置される。したがって、第1ポートP101-P109、第2ポートP201-P205の位置を工夫することで、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0107】
また、外縁131aに沿った方向における第1ポートと第1電流抑制部の存在比率は、短辺S1の方が、第1斜辺S3および第2斜辺S4よりも、大きい。また、第1斜辺S3の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第1斜辺S3の中央から長辺S2端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。また、第2斜辺S4の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第2斜辺S4の中央から長辺S2側端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。これにより、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0108】
ただし、第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートP101がある。同様に、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートP109がある。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0109】
また、第1ポートP105は、短辺S1に位置する。そして、第2ポートP203の一部は、長辺S2のうち短辺S1と対向する位置にある。これにより、短辺S1付近の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0110】
また、第2ポートP201は、第1カット辺S5に配置される。また、第2ポートP205は、第2カット辺S6に配置される。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を更に低減することができる。
【0111】
また、第1ポートP101よりも第1カット辺S5側の第1電流抑制部は、第2ポートP202、P203間の第2電流抑制部よりも、第2ポートP203、P204間の第2電流抑制部よりも長い。第1ポートP109よりも第2カット辺S6側の第1電流抑制部も同様である。また、複数の第1ポートP101-P109の長さの総和は、複数の第2ポートP201-P205の長さの総和よりも、長い。これにより、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0112】
また、短辺S1の中央と長辺S2の中央を結ぶ直線である中央線CLから一方側(すなわち右側)に最も遠い位置にある第1ポートP101よりも、中央線CLから当該一方側に最も遠い位置にある第2ポートP201の方が、中央線CLから遠い。同様に、中央線CLから他方側(すなわち左側)に最も遠い位置にある第1ポートP109よりも、中央線CLから当該他方側に最も遠い位置にある第2ポートP205の方が、中央線CLから遠い。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0113】
(第3実施形態)
次に第3実施形態について、
図16、
図17を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態に対して、第1電極11および透明導電膜13の形状が変更されている。具体的には、
図16に示すように、第1電極11は、第1取出部110、複数の第1接続部111、複数の第1バイパス部112に加え、第1抵抗増大部113を有している。第1抵抗増大部113の材質は、第1取出部110、第1接続部111、第1バイパス部112と同じである。
【0114】
第1取出部110の一端は給電部に接続され、他端は第1抵抗増大部113の一端に接続されている。第1抵抗増大部113の他端は、短辺S1の隣にある第1接続部111に接続されている。第1抵抗増大部113の当該他端は、他の第1接続部111に接続されていてもよいし、第1バイパス部112に接続されていてもよい。
【0115】
この第1抵抗増大部113は、第1取出部110よりも幅が狭い。ここで、第1抵抗増大部113、第1取出部110の幅は、フィルムヒータ1の面内において、第1抵抗増大部113、第1取出部110を流れる電流の方向に直交する方向の長さである。したがって、第1抵抗増大部113の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、第1取出部110の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、大きい。
【0116】
また、第1抵抗増大部113の上記幅は、第1抵抗増大部113の直接の接続相手の第1接続部111の幅よりも短く、かつ、他の第1接続部111の幅よりも短い。ここで、第1接続部111の幅は、フィルムヒータ1の面内において発熱部131の外縁131aに直交する方向の第1接続部111の長さである。
【0117】
また、第1抵抗増大部113の上記幅は、どの第1バイパス部112の幅よりも短い。ここで、第1バイパス部112の幅は、フィルムヒータ1の面内において発熱部131の外縁131aに直交する方向の第1バイパス部112の長さである。
【0118】
また、第1抵抗増大部113は、短辺S1に対向して配置されている。第1抵抗増大部113は、発熱部131の外縁131aのうち、短辺S1に最も近い位置に配置されると共に、短辺S1に沿って短辺S1に平行に伸びている。また、第1抵抗増大部113と短辺S1との間には、第1ポートP13に対応する第1接続部111が配置されている。
【0119】
また、透明導電膜13は、第1抵抗増大部113の追加およびそれに伴う第1取出部110の形状変更に対応して、第1取出部110および第1抵抗増大部113に重なるように、形状が変更されている。
【0120】
このような構成により、第1取出部110、第1抵抗増大部113、第1接続部111、発熱部131の順に電流が流れる。つまり、第1取出部110、第1抵抗増大部113、発熱部131は、直列に接続されている。
【0121】
第1抵抗増大部113に電流が流れると、第1抵抗増大部113が発熱する。このとき、第1抵抗増大部113の温度は第1取出部110の温度よりも高くなる。これは、第1抵抗増大部113の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値が、第1取出部110の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、大きいからである。
【0122】
この第1抵抗増大部113の熱により、発熱部131が加熱される。これにより、発熱部131の温度を調整することができる。したがって、発熱部131の温度分布をより柔軟に調整することができる。また、第1抵抗増大部113の幅を第1取出部110の幅よりも狭くするという簡素な構成で、第1抵抗増大部113の温度を高くすることができる。
【0123】
第1抵抗増大部113が短辺S1の近くに配置されているのは、発熱部131のうち短辺S1の近傍は他の部分よりも温度が低くなる可能性が高いからである。これは、短辺S1が長辺S2、第1斜辺S3に比べて長辺S2から遠いこと、および、短辺S1付近が隅部になっていること等による。したがって、第1抵抗増大部113が短辺S1の近くで発熱することにより、第1抵抗増大部113により、発熱部131における温度の偏りをより低減することができる。
【0124】
例えば、発熱部131の温度分布が、
図17の等高線図に示すようなものになる。この等高線と
図13の等高線を比べると、
図17の例においては、短辺S1の近傍が第1抵抗増大部113の発熱によって暖められて温度上昇している。そしてその結果、発熱部131内における温度のばらつきや、最大温度と最低温度の差が、
図13の例に比べて低減されている。
【0125】
なお、本実施形態と第1実施形態とで共通する構成からは、第1実施形態と同等の効果が得られる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2実施形態にも同様に適用することができる。
【0126】
(第4実施形態)
次に第4実施形態について、
図18を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第3実施形態に対して、第2電極12および透明導電膜13の形状が変更されている。具体的には、
図18に示すように、第2電極12は、第2取出部120、複数の第2接続部121、複数の第2バイパス部122に加え、第2抵抗増大部123を有している。第2抵抗増大部123の材質は、第2取出部120、第2接続部121、第2バイパス部122と同じである。第2抵抗増大部123は、
図18に示すように、分離した2つの部分123a、123bを有している。
【0127】
第2取出部120の一端はグラウンドに接続され、別の一端は第2抵抗増大部123の部分123aの一端に接続されている。また、第2取出部120は上記グラウンド側端から部分123a側端までの経路において分岐する。分岐した部分の端部は、第2抵抗増大部123の部分123bの一端に接続されている。
【0128】
部分123aの他端は、第1カット辺S5の隣にある第2接続部121に接続されている。部分123aの当該他端は、他の第2接続部121に接続されていてもよいし、第2バイパス部122に接続されていてもよい。部分123bの他端は、第2カット辺S6の隣にある第2接続部121に接続されている。部分123bの当該他端は、他の第2接続部121に接続されていてもよいし、第2バイパス部122に接続されていてもよい。
【0129】
第2抵抗増大部123は、第2取出部120よりも幅が狭い。ここで、第2抵抗増大部123、第2取出部120の幅は、フィルムヒータ1の面内において、第2抵抗増大部123、第2取出部120を流れる電流の方向に直交する方向の長さである。したがって、第2抵抗増大部123の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、第2取出部120の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、高い。
【0130】
また、第2抵抗増大部123の上記幅は、第2抵抗増大部123の直接の接続相手の第2接続部121の幅よりも短く、かつ、他の第2接続部121の幅よりも短い。ここで、第2接続部121の幅は、フィルムヒータ1の面内において発熱部131の外縁131aに直交する方向の第2接続部121の長さである。
【0131】
また、第2抵抗増大部123の上記幅は、どの第2バイパス部122の幅よりも短い。ここで、第2バイパス部122の幅は、フィルムヒータ1の面内において発熱部131の外縁131aに直交する方向の第2バイパス部122の長さである。
【0132】
また、第2抵抗増大部123の部分123a、123bは、それぞれ、発熱部131の外縁131aのうち、第1カット辺S5、第2カット辺S6に最も近い位置に配置される。また、部分123a、123bはそれぞれ、第1カット辺S5、第2カット辺S6に沿って第1カット辺S5、第2カット辺S6に平行に伸びている部分を有する。また、部分123aと第1カット辺S5との間には、第2ポートP21に対応する第2接続部121が配置されている。また、部分123bと第2カット辺S6との間には、第2ポートP26に対応する第2接続部121が配置されている。
【0133】
また、透明導電膜13は、第2抵抗増大部123の追加およびそれに伴う第2取出部120の形状変更に対応して、第2取出部120および第2抵抗増大部123に重なるように、形状が変更されている。
【0134】
このような構成により、発熱部131、第2接続部121、第2抵抗増大部123の部分123a、第2取出部120の順に電流が流れると共に、発熱部131、第2接続部121、第2抵抗増大部123の部分123b、第2取出部120の順に電流が流れる。
つまり、発熱部131、第2接続部121、第2抵抗増大部123の部分123a、第2取出部120は、直列に接続されている。また、発熱部131、第2接続部121、第2抵抗増大部123の部分123b、第2取出部120は、直列に接続されている。第2抵抗増大部123の部分123aと部分123bとは、並列に配置されている。
【0135】
第2抵抗増大部123に電流が流れると、第2抵抗増大部123が発熱する。このとき、第2抵抗増大部123の温度は第2取出部120の温度よりも高くなる。これは、第2抵抗増大部123の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値が、第2取出部120の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、高いからである。
【0136】
この第2抵抗増大部123の熱により、発熱部131が加熱される。これにより、発熱部131の温度を調整することができる。したがって、発熱部131の温度分布をより柔軟に調整することができる。また、第2抵抗増大部123の幅を第2取出部120の幅よりも狭くするという簡素な構成で、第2抵抗増大部123の温度を高くすることができる。
【0137】
第2抵抗増大部123の部分123a、123bがそれぞれ第1カット辺S5、第2カット辺S6の近くに配置されているのは、発熱部131のうち第1カット辺S5、第2カット辺S6の近傍の隅部は他の部分よりも温度が低くなる可能性が高いからである。したがって、部分123a、123bがそれぞれ第1カット辺S5、第2カット辺S6の近くで発熱することにより、発熱部131における温度の偏りをより低減することができる。
【0138】
また、第2抵抗増大部123の抵抗値は、第1抵抗増大部113の抵抗値より高い。ここで、第2抵抗増大部123の抵抗値は、部分123a、123bの合成抵抗値である。
【0139】
第1抵抗増大部113、発熱部131、第2抵抗増大部123は直列に繋がっているので、上記のような抵抗値の関係により、第2抵抗増大部123の方が第1抵抗増大部113よりも発熱量が多い。
【0140】
例えば、部分123a、123bの各々の形状および大きさが第1抵抗増大部113と同じである場合、第2抵抗増大部123の抵抗率が第1抵抗増大部113の抵抗率の2倍より大きくなっていれば、上記のような抵抗値の関係が実現する。
【0141】
また例えば、第2抵抗増大部123の抵抗率および幅が第1抵抗増大部113と同じ場合、
図18のように、部分123a、123bの各々の長さが第1抵抗増大部113の長さの2倍より大きければ、上記のような抵抗値の関係が実現する。ここで、部分123a、123bの各々の長さは、部分123a、123bを流れる電流の方向に沿った部分123a、123bの長さである。このようにするために、第2抵抗増大部123の部分123a、123bのそれぞれは、
図18に示すように、蛇行して伸びる形状を有している。より具体的には、部分123aは、透明導電膜13の面内において、第1カット辺S5の伸びる方向に往来しながら、第1カット辺S5に直交する方向に折り重なるように蛇行して、伸びている。同様に、部分123bは、透明導電膜13の面内において、第2カット辺S6の伸びる方向に往来しながら、第2カット辺S6に直交する方向に折り重なるように蛇行して、伸びている。
【0142】
また例えば、第2抵抗増大部123の抵抗率および長さが第1抵抗増大部113と同じ場合、部分123a、123bの各々の幅が第1抵抗増大部113の長さの1/2未満であれば、上記のような抵抗値の関係が実現する。
【0143】
短辺S1の近くの比較的面積が小さい部分よりも長辺S2の近くの比較的面積が広い部分の方が、面積が比較的広いが故に、暖まりにくい傾向にある。抵抗値が第1抵抗増大部113よりも第2抵抗増大部123の方が大きければ、発熱量が第1抵抗増大部113よりも第2抵抗増大部123の方が大きくなるので、この傾向を抑制することができる。なお、本実施形態と第3実施形態とで共通する構成からは、第1実施形態と同等の効果が得られる。
【0144】
(第5実施形態)
次に第5実施形態について、
図19を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態に対して、第1取出部110、第1抵抗増大部113および透明導電膜13の形状が変更されている。具体的には、
図19に示すように、第1抵抗増大部113は、短辺S1のみならず、第1斜辺S3の一部、および第2斜辺S4の一部にも、対向している。具体的には、第1抵抗増大部113は、第1斜辺S3の中央よりも短辺S1側の部分と、第2斜辺S4の中央よりも短辺S1側の部分に、対向している。
【0145】
第1取出部110の一端は給電部に接続され、他端は第1抵抗増大部113の一端に接続されている。第1抵抗増大部113の他端は、第2斜辺S4の隣にある第2接続部121に接続されている。第1抵抗増大部113の当該他端は、他の第2接続部121に接続されていてもよいし、第1接続部111に接続されていてもよい。
【0146】
第3実施形態と同様、この第1抵抗増大部113は、第1取出部110よりも幅が狭い。したがって、第1抵抗増大部113の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、第1取出部110の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、大きい。
【0147】
また、第1抵抗増大部113の上記幅は、第1抵抗増大部113の直接の接続相手の第2接続部121、第1接続部111の幅よりも短く、かつ、他の第2接続部121の幅よりも短い。また、第1抵抗増大部113の幅は、どの第1接続部111の幅よりも短い。第1接続部111、第1バイパス部112、第1抵抗増大部113の幅の定義は、第3実施形態と同じである。
【0148】
また、第1抵抗増大部113のうち短辺S1に対向する部分は、発熱部131の外縁131aのうち短辺S1に最も近い位置に配置されると共に、短辺S1に沿って短辺S1に平行に伸びている。また、第1抵抗増大部113のうち短辺S1に対向する部分と短辺S1との間には、第1ポートP13に対応する第1接続部111が配置されている。
【0149】
また、第1抵抗増大部113のうち第1斜辺S3に対向する部分は、発熱部131の外縁131aのうち第1斜辺S3に最も近い位置に配置されると共に、第1斜辺S3に沿って第1斜辺S3に平行に伸びている。また、第1抵抗増大部113のうち第1斜辺S3に対向する部分と第1斜辺S3との間には、第1ポートP12に対応する第1接続部111およびそれの第1カット辺S5側に隣り合う第1バイパス部112が配置されている。
【0150】
また、第1抵抗増大部113のうち第2斜辺S4に対向する部分は、発熱部131の外縁131aのうち第2斜辺S4に最も近い位置に配置されると共に、第2斜辺S4に沿って第2斜辺S4に平行に伸びている。また、第1抵抗増大部113のうち第2斜辺S4に対向する部分と第2斜辺S4との間には、第1ポートP14に対応する第1接続部111およびそれの第2カット辺S6側に隣り合う第1バイパス部112が配置されている。
【0151】
また、透明導電膜13は、第1抵抗増大部113の追加およびそれに伴う第1取出部110の形状変更に対応して、第1取出部110および第1抵抗増大部113に重なるように、形状が変更されている。
【0152】
第3実施形態と同様、第1抵抗増大部113に電流が流れると、第1抵抗増大部113が発熱し、その温度は第1取出部110の温度よりも高くなる。これは、第1抵抗増大部113の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値が、第1取出部110の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも、大きいからである。
【0153】
この第1抵抗増大部113の熱により、発熱部131が加熱される。具体的には、短辺S1の近傍のみならず、第1斜辺S3、第2斜辺S4の中央よりも短辺S1側の部分の近傍も加熱される。このようにすることで、発熱部131自体の発熱のみでは第1斜辺S3、第2斜辺S4の中央よりも短辺S1側の部分の温度が不足する場合に、それを補うことで、発熱部131における温度のばらつきを低減することができる。
【0154】
なお、本実施形態と第3実施形態とで共通する構成からは、第3実施形態と同等の効果が得られる。また、第3実施形態に対する本実施形態の変更は、第4実施形態にも同様に適用することができる。その場合、その適用後の実施形態と第4実施形態とで共通する構成からは、第4実施形態と同等の効果が得られる。ただし、第3実施形態に対する本実施形態の変更を第4実施形態に適用した場合、第1抵抗増大部113の抵抗値と第2抵抗増大部123の抵抗値の関係が逆転する場合がある。すなわち、第1抵抗増大部113の抵抗値が第2抵抗増大部123の抵抗値よりも高くなる場合がある。これは、第4実施形態における第1抵抗増大部113に比べて本実施形態の第1抵抗増大部113が長くなったことによる影響である。
【0155】
(第6実施形態)
次に第6実施形態について、
図20を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1に対して、第1抵抗部134、第2抵抗部135の周囲の空隙CX、CY、CZのうち、空隙CYが廃されている。
図20では、第2抵抗部135に対して空隙CYが廃された状態が示されているが、第1抵抗部134についても同様である。
【0156】
本実施形態では、各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CX、CZと共に、第1電流抑制部を構成する。また、各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CX、CZと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0157】
空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は、外縁131aに沿った方向の端部において、第2ブリッジ部133と繋がって導通している。また同様に、空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は、外縁131aに沿った方向の端部において、第1ブリッジ部132と繋がって導通している。
【0158】
この状態においても、第2ポートP23、P24の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP23、P24を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CX、CY、CZは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。
【0159】
実際、第2ポートP23、P24に対応する2つの第2ブリッジ部133は当該第2抵抗部135と導通しているので、当該第2抵抗部135を電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CXが存在しているので、発熱部131と第2電極12との間の電流の流れは、第2ポートP23、P24を迂回することはない。
【0160】
したがって、外縁131aに沿った方向の両端が第1の接続形態となっている第2抵抗部135を含む第2電流抑制部は、両端の第2ポートを迂回して第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。ここでいう外部とは、第2電極12のことである。
【0161】
同様に、外縁131aに沿った方向の両端が第1の接続形態となっている第1抵抗部134を含む第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第1電流抑制部の空隙CX、CY、CZは、発熱部131の外縁131aに沿った第1ポート間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。ここでいう外部とは、第1電極11のことである。
【0162】
また、第2ポートP22、P23の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP22、P23を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CX、CY、CZは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP22、P23の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。
【0163】
実際、第2ポートP22、P23に対応する2つの第2ブリッジ部133は当該第2抵抗部135と導通しているので、当該第2抵抗部135を電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CXが存在しているので、発熱部131と第2電極12との間の電流の流れは、第2ポートP22、P23を迂回することはない。
【0164】
また、電流が矢印X1のように流れる場合がある。すなわち電流が、発熱部131から第2ポートP22およびそれに対応する第2ブリッジ部133を通り、更に上記第2抵抗部135を通り、更に第2ポートP23に対応する第2ブリッジ部133を通り第2接続部121に至るように流れる場合がある。
【0165】
しかし、このときの第2抵抗部135内における電流の経路長は、電流が第2ポートP22から対応する第2ブリッジ部133を流れて対応する第2接続部121に至る経路の長さに比べて、十分長い。例えば、2倍以上である。これは、透明導電膜13の面内において外縁131aの延伸方向に直交する方向における第2ブリッジ部133の長さが、外縁131aの延伸方向に沿った当該第2電流抑制部の長さの2倍以上だからである。また、上述の通り、透明導電膜13の抵抗率は第2電極12の抵抗率よりも十分大きい。したがって、第2抵抗部135を通る電流の発熱部131への影響は、非常に小さいと考えられる。
【0166】
したがって、外縁131aに沿った方向の1端が第1の接続形態となり他端が第2の接続形態となる第2抵抗部135および空隙CX、CZは、第2電流抑制部として機能する。すなわち、当該第2電流抑制部は、両端の第2ポートを迂回して当該第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第2電極12)との間で電流が流れることを抑制している。外縁131aに沿った方向の両端が第2の接続形態となる第2抵抗部135および空隙CX、CZについても、同様である。
【0167】
同様に、外縁131aに沿った方向の1端が第1の接続形態となり他端が第2の接続形態となる第1抵抗部134および空隙CX、CZは、第1電流抑制部として機能する。すなわち、当該第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して当該第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第1電極11)との間で電流が流れることを抑制している。外縁131aに沿った方向の両端が第2の接続形態となる第1抵抗部134および空隙CX、CZについても、同様である。
【0168】
なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2、第3、第4、第5実施形態にも同様に適用可能である。
【0169】
(第7実施形態)
次に第7実施形態について、
図21を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1に対して、第1抵抗部134、第2抵抗部135の周囲の空隙CX、CY、CZのうち、空隙CZが廃されている。
図21では、第2抵抗部135に対して空隙CZが廃された状態が示されているが、第1抵抗部134についても同様である。
【0170】
本実施形態では、各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CX、CYと共に、第1電流抑制部を構成する。また、各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CX、CYと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0171】
空隙CZが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は第2外周部137と繋がって導通している。また同様に、空隙CZが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は第1外周部136と繋がって導通している。
【0172】
この状態においても、第2ポートP23、P24の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP23、P24を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CX、CYは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。第2ポートP22、P23の間の領域の第2電流抑制部も同様である。
【0173】
実際、第2抵抗部135は第2外周部137を介して第2電極12と導通しているので、当該第2抵抗部135を矢印X2のように電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CX、CYが存在しているので、発熱部131と第2電極12との間の電流の流れは、第2ポートP22、P23、P24を迂回して発熱部131を通ることはない。
【0174】
また、第2電極12の抵抗率は透明導電膜13の抵抗率よりも十分小さいので、第2抵抗部135を矢印X2のように流れる電流の量は、当該第2抵抗部135に対向する第2バイパス部122を流れる電流の量に比べて、遙かに少ない。
【0175】
したがって、第2電流抑制部は、両端の第2ポートを迂回して第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第2電極12)との間で電流が流れることを抑制している。同様に、第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第1電極11)との間で電流が流れることを抑制している。そして、第1電流抑制部は、発熱部131の外縁131aに沿った第1ポート間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。
【0176】
なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2、第3、第4、第5実施形態にも同様に適用可能である。
【0177】
(第8実施形態)
次に第8実施形態について、
図22を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1に対して、第1抵抗部134、第2抵抗部135の周囲の空隙CX、CY、CZのうち、空隙CY、CZが廃されている。
図21では、第2抵抗部135に対して空隙CY、CZが廃された状態が示されているが、第1抵抗部134についても同様である。
【0178】
本実施形態では、各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CXと共に、第1電流抑制部を構成する。また、各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CXと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0179】
空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は、外縁131aに沿った方向の端部において、第2ブリッジ部133と繋がって導通している。また、空隙CZが廃されているので、第2抵抗部135は、第2外周部137と繋がって導通している。
【0180】
また同様に、空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は、外縁131aに沿った方向の端部において、第1ブリッジ部132と繋がって導通している。また、空隙CZが廃されているので、第1抵抗部134は、第1外周部136と繋がって導通している。
【0181】
この状態においても、第2ポートP23、P24の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP23、P24を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CXは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。
【0182】
実際、第2ポートP23、P24に対応する2つの第2ブリッジ部133は当該第2抵抗部135と導通しているので、当該第2抵抗部135を矢印X3のように電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CXが存在しているので、発熱部131と第2電極12との間の電流の流れは、第2ポートP23、P24を迂回することはない。
【0183】
したがって、外縁131aに沿った方向の両端が第1の接続形態となっている第2電流抑制部は、両端の第2ポートを迂回して第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第2電極12)との間で電流が流れることを抑制している。
【0184】
同様に、外縁131aに沿った方向の両端が第1の接続形態となっている第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第1電極11)との間で電流が流れることを抑制している。
【0185】
また、第2ポートP22、P23の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP22、P23を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CXは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP22、P23の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。
【0186】
実際、第2ポートP22、P23に対応する2つの第2ブリッジ部133は当該第2抵抗部135と導通しているので、当該第2抵抗部135を電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CXが存在しているので、発熱部131と第2電極12との間の電流の流れは、第2ポートP22、P23を迂回することはない。
【0187】
また、電流が矢印X4のように流れる場合がある。すなわち電流が、発熱部131から第2ポートP22およびそれに対応する第2ブリッジ部133を通り、更に上記第2抵抗部135を通り、更に第2外周部137を通り第2バイパス部122に至るように流れる場合がある。
【0188】
しかし、このときの第2抵抗部135内における電流の経路長は、電流が第2ポートP22から対応する第2ブリッジ部133を流れて対応する第2接続部121に至る経路の長さに比べて、十分長い。例えば、2倍以上である。これは、透明導電膜13の面内において外縁131aの延伸方向に直交する方向における第2ブリッジ部133の長さが、外縁131aの延伸方向に沿った当該第2抵抗部135の長さの2倍以上だからである。また、上述の通り、透明導電膜13の抵抗率は第2電極12の抵抗率よりも十分大きい。したがって、第2抵抗部135を通る電流の発熱部131への影響は、非常に小さいと考えられる。
【0189】
したがって、外縁131aに沿った方向の1端が第1の接続形態となり他端が第2の接続形態となる第2抵抗部135および空隙CXは、第2電流抑制部として機能する。すなわち、当該第2電流抑制部は、両端の第2ポートを迂回して当該第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第2電極12)との間で電流が流れることを抑制している。外縁131aに沿った方向の両端が第2の接続形態となる第2電流抑制部についても、同様である。
【0190】
同様に、外縁131aに沿った方向の1端が第1の接続形態となり他端が第2の接続形態となる第1抵抗部134および空隙CXは、第1電流抑制部として機能する。すなわち、当該第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して当該第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第1電極11)との間で電流が流れることを抑制している。そして、当該第1電流抑制部は、発熱部131の外縁131aに沿った第1ポート間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。外縁131aに沿った方向の両端が第2の接続形態となる第1電流抑制部についても、同様である。
【0191】
なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2、第3、第4、第5実施形態にも同様に適用可能である。
【0192】
(第9実施形態)
次に第9実施形態について、
図23を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1に対して、第1抵抗部134、第2抵抗部135の周囲の空隙CX、CY、CZのうち、空隙CXが廃されている。
図23では、第2抵抗部135に対して空隙CXが廃された状態が示されているが、第1抵抗部134についても同様である。
【0193】
本実施形態では、各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CY、CZと共に、第1電流抑制部を構成する。また、各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CY、CZと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0194】
空隙CXが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は発熱部131の外縁131aに繋がって発熱部131と導通している。また同様に、空隙CXが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は発熱部131の外縁131aと繋がって発熱部131と導通している。
【0195】
この状態においても、第2ポートP23、P24の間の領域の第2電流抑制部は、第2ポートP23、P24を迂回してかつ当該領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。そして、第2電流抑制部の空隙CY、CZは、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。第2ポートP22、P23の間の領域の第2電流抑制部も同様である。実際、空隙CZ、CYの存在により、発熱部131から第2ポートP22、P23、P24を迂回して第2抵抗部135から第2電極12に電流が流れることはない。
【0196】
なお、矢印X5に示すように、電流が発熱部131から第2抵抗部135に周り込んだ後に更に発熱部131に戻り、その後に第2ポートP23から第2接続部121に電流が流れる場合がある。これにより、第2抵抗部135も発熱する場合がある。そうであっても、第2ポートを迂回してかつ第2抵抗部135を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを第2電流抑制部が抑制することは変わりない。
【0197】
また同様に、第1電流抑制部は、両端の第1ポートを迂回して第1抵抗部134を介して発熱部131の内部と外部(すなわち第1電極11)との間で電流が流れることを抑制している。
【0198】
なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2、第3、第4、第5実施形態にも同様に適用可能である。
【0199】
(第10実施形態)
次に第10実施形態について、
図24を用いて説明する。本実施形態のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1に対して、第1抵抗部134、第2抵抗部135の周囲の空隙CX、CY、CZのうち、空隙CX、CYが廃されている。
図24では、第2抵抗部135に対して空隙CX、CYが廃された状態が示されているが、第1抵抗部134についても同様である。
【0200】
本実施形態では、各第1抵抗部134は、それに隣接する空隙CZと共に、第1電流抑制部を構成する。また、各第2抵抗部135は、それに隣接する空隙CZと共に、第2電流抑制部を構成する。
【0201】
空隙CXが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は発熱部131の外縁131aに繋がって発熱部131と導通している。また、空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第2抵抗部135は、外縁131aに沿った方向の端部において、第2ブリッジ部133と繋がって導通している。
【0202】
また同様に、空隙CXが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は発熱部131の外縁131aと繋がって発熱部131と導通している。また空隙CYが廃されているので、透明導電膜13の第1抵抗部134は、外縁131aに沿った方向の端部において、第1ブリッジ部132と繋がって導通している。
【0203】
この状態においても、空隙CZによって、発熱部131の外縁131aに沿った第2ポートP22、P23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることが抑制される。
【0204】
実際、第2ポートP22、P23、P24に対応する3つの第2ブリッジ部133は隣接する第2抵抗部135と導通しているので、当該第2抵抗部135を矢印X6、X7、X8のように電流が流れることは可能である。しかし、そのような電流があったとしても、空隙CZは、第2バイパス部122と発熱部131との間で、第2ポートP22、P23、P24の間を通ってフィルムヒータ1の面内において外縁131aに直交する方向に、電流が流れることを抑制する。このような方向における電流が抑制されることで、第2ポートP22、P23、P24の間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることが、完全にではないにしても、多大に抑制される。
【0205】
この状態においても、空隙CZによって、発熱部131の外縁131aに沿った第1ポートの間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることが抑制される。
【0206】
なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、第1実施形態に対する本実施形態の変更は、第2、第3、第4、第5実施形態にも同様に適用可能である。
【0207】
(第11実施形態)
次に第11実施形態について、
図25を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、透明導電膜13、第1電極11、第2電極12の構成が変更されている。
【0208】
透明導電膜13は、第1実施形態と同様に透明絶縁膜14に積層され、発熱部131と、複数の第1ブリッジ部132と、複数の第2ブリッジ部133と、を有している。発熱部131の形状は、第1実施形態と同様である。すなわち、発熱部131の外縁131aは、第1実施形態と同形状の短辺S1、長辺S2、第1斜辺S3、第2斜辺S4、第1カット辺S5、第2カット辺S6を有している。
【0209】
複数の第1ブリッジ部132は、短辺S1、第1斜辺S3、第2斜辺S4の異なる位置を起点に、発熱部131から遠ざかる方向に、突出して伸びる。発熱部131における第1ブリッジ部132との接触部が、第1ポートP111-P121である。
【0210】
複数の第2ブリッジ部133は、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6の異なる位置を起点に、発熱部131に対して遠ざかる方向に、突出して伸びる。発熱部131における第2ブリッジ部133との接触部が、第2ポートP211-P216である。
【0211】
第1電極11および第2電極12は、その殆どが透明絶縁膜14の透明導電膜13側の面に積層され、僅かな一部が第1ブリッジ部132の透明絶縁膜14とは反対側の面に積層される。
【0212】
第1電極11は、第1取出部110および複数の第1接続部111を有している。第1取出部110は、第1実施形態と同様、給電部から給電を受けて、給電部から複数の第1接続部111、複数の第1バイパス部112に電流を流す。第1取出部110の全体が、透明絶縁膜14の透明導電膜13側の面に接触して積層される。
【0213】
複数の第1接続部111は、第1取出部110の給電部側と反対側の端部から分岐して伸びている。各第1接続部111は、一端が第1取出部110に接続され、他端が対応する第1ブリッジ部132の端部に接続する。各第1接続部111は、第1ブリッジ部132の端部に接続する部分においては、当該第1ブリッジ部132の当該端部に接触して積層され、他の部分においては、透明絶縁膜14の透明導電膜13側の面に接触して積層される。このように、各第1接続部111は、対応する第1ブリッジ部132を介して、発熱部131と導通している。
【0214】
第2電極12は、第2取出部120および複数の第2接続部121を有している。第2取出部120は、第1実施形態と同様、グラウンドに接続されている。第2取出部120の全体が、透明絶縁膜14の透明導電膜13側の面に接触して積層される。
【0215】
複数の第2接続部121は、第2取出部120のグラウンド側と反対側の端部から分岐して伸びている。各第2接続部121は、一端が第2取出部120に接続され、他端が対応する第2ブリッジ部133の端部に接続する。各第2接続部121は、第2ブリッジ部133の端部に接続する部分においては、当該第2ブリッジ部133の当該端部に接触して積層され、他の部分においては、透明絶縁膜14の透明導電膜13側の面に接触して積層される。このように、各第2接続部121は、対応する第2ブリッジ部133を介して、発熱部131と導通している。
【0216】
以下、上記のような構成のフィルムヒータ1の作動について説明する。
図1、
図2のように、フィルムヒータ1が車両のウインドシールド3に取り付けられた状態で、給電部からフィルムヒータ1に電力が供給される。すると、第1取出部110、第1接続部111、第1ポートP111-P121、発熱部131、第2ポートP211-P216、第2接続部121、第2取出部120、グラウンドの順に、電流が流れる。このとき、透明導電膜13の発熱部131に電流が流れることで、発熱部131が発熱し、ウインドシールド3のうち発熱部131が取り付けられた部分の曇りが抑制される。
【0217】
このとき、外縁131aのうち、第1ポートP111-P121、第2ポートP211-P216以外においては、発熱部131へ電流が流入することも発熱部131から電流が流出することもない。つまり、第1ポートの間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることが抑制され、第2ポートの間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることが抑制される。これは、本実施形態においては、第1電極11、第2電極12と外縁131aとの間を導通させる部材が、第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133しかないからである。第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133以外で第1電極11、第2電極12と外縁131aの間にあるものは、透明絶縁膜14のみである。したがって、本実施形態においては、透明絶縁膜14のうち、第1電極11と外縁131aの間にある部分が、第1抵抗部に対応し、第2電極12と外縁131aの間にある部分が、第2抵抗部に対応する。そして、各第1抵抗部とその周囲の空隙が第1電流抑制部に対応し、各第2抵抗部とその周囲の空隙が第2電流抑制部に対応する。
【0218】
本実施形態のフィルムヒータ1も、第1実施形態のフィルムヒータ1と同様の効果を得ることができる。具体的には、第1電極11から発熱部131への電流の流入を媒介する第1ポート111-P121が離散的に配置される。また、発熱部131から第2電極12への電流の流出を媒介する第2ポートP211-P216が離散的に配置される。したがって、第1ポートP111-P121、第2ポートP211-P216の位置を工夫することで、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0219】
また、外縁131aに沿った方向における第1ポートと第1電流抑制部の存在比率は、短辺S1の方が、第1斜辺S3および第2斜辺S4よりも、大きい。また、第1斜辺S3の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第1斜辺S3の中央から長辺S2端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。また、第2斜辺S4の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第2斜辺S4の中央から長辺S2側端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。これにより、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0220】
ただし、第1斜辺S3の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートP111がある。同様に、第2斜辺S4の中央よりも長辺S2側に位置する第1ポートP121がある。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0221】
また、第1ポートP114-P118は、短辺S1に位置する。そして、第2ポートP212-P215は、長辺S2のうち短辺S1と対向する位置にある。これにより、短辺S1の周囲の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0222】
また、第2ポートP211は、第1カット辺S5に配置される。また、第2ポートP216は、第2カット辺S6に配置される。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を更に低減することができる。
【0223】
また、第1ポートP111、P112、P113、P119、P120、P121の両側にある第1電流抑制部の、外縁131aに沿った長さは、第2ポートP213、P214の両側にある第2電流抑制部の、外縁131aに沿った長さよりも、長い。これにより、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0224】
また、短辺S1の中央と長辺S2の中央を結ぶ直線である中央線CLから一方側(すなわち右側)に最も遠い位置にある第1ポートP111よりも、中央線CLから当該一方側に最も遠い位置にある第2ポートP211の方が、中央線CLから遠い。同様に、中央線CLから他方側(すなわち左側)に最も遠い位置にある第1ポートP121よりも、中央線CLから当該他方側に最も遠い位置にある第2ポートP216の方が、中央線CLから遠い。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0225】
なお、第1実施形態に対する第3実施形態の変更およびそれに対する第4実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。また、第1実施形態に対する第5-第10実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。
【0226】
(第12実施形態)
次に第12実施形態について、
図26を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、透明導電膜13、第1電極11、第2電極12の構成が変更されている。
【0227】
透明導電膜13は、第1実施形態と同様に、透明絶縁膜14に積層されている。そして透明導電膜13は、第1実施形態と同様、発熱部131と、複数の第1ブリッジ部132と、複数の第2ブリッジ部133と、複数の第1抵抗部134と、複数の第2抵抗部135と、第1外周部136と、第2外周部137とを有している。
【0228】
そして、各第1抵抗部134とその全周に配置された空隙CX、CY、CZとが、第1電流抑制部に対応する。また、各第2抵抗部135とその全周に配置された空隙CX、CY、CZとが、第2電流抑制部に対応する。
【0229】
発熱部131の外縁131aは、
図26に示すように、短辺S1、長辺S2、第1斜辺S3、第2斜辺S4を含んだ略台形の形状を有している。本実施形態の外縁131aは、第1カット辺S5および第2カット辺S6を有さない。
【0230】
短辺S1の形態は、第1実施形態と同じである。長辺S2は、短辺S1よりも長くかつ短辺S1に対向して伸び、一端(すなわち右側端)において第1斜辺S3の下端に接続し、他端(すなわち左側端)において第2斜辺S4の下端に接続する。短辺S1、長辺S2の各々は、水平な直線に対して発熱部131の外側に少し凸となる緩やかなカーブ形状で伸びる。
【0231】
第1斜辺S3は、短辺S1の右側の端部から長辺S2の右側の端部に近づくように伸びる。第2斜辺S4は、短辺S1の左側の端部から長辺S2の左側の端部に近づくように伸びる。左側が一方側に対応し、右側が他方側に対応する。第1斜辺S3と第2斜辺S4は、短辺S1側から長辺S2側に向かうにつれて、互いに遠ざかるように直線的に伸びている。
【0232】
第1斜辺S3の短辺S1側の端部は短辺S1の右側の端部に接続し、長辺S2側の端部は長辺S2の右側の端部に接続している。第2斜辺S4の短辺S1側の端部は短辺S1の左側の端部に接続し、長辺S2側の端部は長辺S2の左側の端部に接続している。
【0233】
複数の第1ブリッジ部132、複数の第2ブリッジ部133、複数の第1抵抗部134、複数の第2抵抗部135、第1外周部136の形態は、第1実施形態と同様である。ただし、これらの数は、第1実施形態と異なる。これらの数の変更に対応して、本実施形態では7個の第1ポートP141-P147と3個の第2ポートP241-P243が設けられる。
【0234】
また、本実施形態の第1接続部111のうち一部は第1の接続形態で透明導電膜13と接続し、他の一部は第2の接続形態で透明導電膜13と接続する。具体的には、第1ポートP141、P144、P147に対応する第1ブリッジ部132に最も近い第1接続部111の各々は、当該第1ブリッジ部132に積層される。更に当該第1接続部111は、第1外周部136のうち当該第1ブリッジ部132に接続する部分にも積層される。つまり、第1ポートP141、P144、P147に対応する第1接続部111は、第1の接続形態で透明導電膜13と接続する。
【0235】
また、第1ポートP142、P143、P145、P146に対応する第1ブリッジ部132に最も近い第1接続部111の各々は、当該第2ブリッジ部133に積層されず、第2外周部137のうち当該第2ブリッジ部133に接続する部分に積層される。つまり、第1ポートP142、P143、P145、P146に対応する第1接続部111は、第2の接続形態で透明導電膜13と接続する。
【0236】
したがって、各第1接続部111から対応する第1ポートまでの発熱部131の外縁131aに沿った単位長さ当たりの抵抗値は、当該第1接続部111が第1接続形態である場合の方が、当該第1接続部111が第2接続形態である場合よりも、低い。
【0237】
したがって、第1接続部111の外縁131aに沿った幅が第1、2接続形態で同じなら、第1接続形態の第1接続部111と対応する第1ポートとの間の電流値の方が、第2接続形態の第1接続部111と対応する第1ポートとの間の電流値よりも、大きい。
【0238】
ここで、第1接続形態の各第1接続部111に対応する第1ポートは、第1ポートP141、P144、P144である。また、第2接続形態の各第1接続部111に対応する第1ポートは、第1ポートP142、P143、P145、P146である。
【0239】
このように、異なる第1接続部111において、発熱部131の外縁131aに沿った単位長さ当たりの抵抗値が異なるようにすることで、一律に同じにする場合に比べ、発熱部を流れる電流密度の分布をより柔軟に調整することができる。ひいては、発熱部131の温度分布をより柔軟に調整することができる。なお、本実施形態の第2接続部121は、すべて、第1の接続形態で透明導電膜13と接続する。
【0240】
このような構成のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1と同様の効果を得ることができる。具体的には、第1電極11から発熱部131への電流の流入を媒介する第1ポートP141-P147が離散的に配置される。また、発熱部131から第2電極12への電流の流出を媒介する第2ポートP241-P243が離散的に配置される。したがって、第1ポートP141-P147、第2ポートP241-P243の位置を工夫することで、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0241】
また、外縁131aに沿った方向における第1ポートと第1電流抑制部の存在比率は、短辺S1の方が、第1斜辺S3および第2斜辺S4よりも、大きい。また、第1斜辺S3の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第1斜辺S3の中央から長辺S2端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。また、第2斜辺S4の中央から短辺S1側端部までの部分の方が、第2斜辺S4の中央から長辺S2側端部までの部分の方が、当該存在比率が高い。これにより、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0242】
また、第1ポートP142-P146は、短辺S1に位置する。そして、第2ポートP242の一部は、長辺S2のうち短辺S1と対向する位置にある。これにより、短辺S1付近の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0243】
また、第1ポートP141、P147に隣り合う2つの第1電流抑制部は、第2ポートP241、P243間に隣り合う2つの第2電流抑制部よりも長い。これにより、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0244】
また、短辺S1の中央と長辺S2の中央を結ぶ直線である中央線CLから一方側(すなわち右側)に最も遠い位置にある第1ポートP141よりも、中央線CLから当該一方側に最も遠い位置にある第2ポートP241の方が、中央線CLから遠い。同様に、中央線CLから他方側(すなわち左側)に最も遠い位置にある第1ポートP147よりも、中央線CLから当該他方側に最も遠い位置にある第2ポートP243の方が、中央線CLから遠い。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0245】
なお、第1実施形態に対する第3実施形態の変更およびそれに対する第4実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。また、第1実施形態に対する第5-第10実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。
【0246】
(第13実施形態)
次に第13実施形態について、
図27を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、透明導電膜13、第1電極11、第2電極12の構成が変更されている。
【0247】
透明導電膜13は、第1実施形態と同様に、透明絶縁膜14に積層されている。そして透明導電膜13は、第1実施形態と同様、発熱部131と、複数の第1ブリッジ部132と、複数の第2ブリッジ部133と、複数の第1抵抗部134と、複数の第2抵抗部135と、第1外周部136と、第2外周部137とを有している。
【0248】
そして、各第1抵抗部134とその全周に配置された空隙CX、CY、CZとが、第1電流抑制部に対応する。また、各第2抵抗部135とその全周に配置された空隙CX、CY、CZとが、第2電流抑制部に対応する。
【0249】
発熱部131の外縁131aは、
図26に示すように、長辺S2、第1斜辺S3、第2斜辺S4を含んだ略三角形の形状を有している。本実施形態の外縁131aは、短辺S1、第1カット辺S5および第2カット辺S6を有さない。
【0250】
長辺S2は、短辺S1よりも長くかつ短辺S1に対向して伸び、一端(すなわち右側端)において第1斜辺S3の下端に接続し、他端(すなわち左側端)において第2斜辺S4の下端に接続する。長辺S2の各々は、水平な直線に対して発熱部131の外側に少し凸となる緩やかなカーブ形状で伸びる。
【0251】
第1斜辺S3は、第2斜辺S4の右側の端部から長辺S2の右側の端部に近づくように伸びる。第2斜辺S4は、第1斜辺S3の左側の端部から長辺S2の左側の端部に近づくように伸びる。左側が一方側に対応し、右側が他方側に対応する。第1斜辺S3と第2斜辺S4は、長辺S2側に近付くにつれて、互いに遠ざかるように直線的に伸びている。
【0252】
第1斜辺S3の左側の端部は第2斜辺S4の右側の端部に接続し、長辺S2側の端部は長辺S2の右側の端部に接続している。第2斜辺S4の右側の端部は第1斜辺S3の左側の端部に接続し、長辺S2側の端部は長辺S2の左側の端部に接続している。
【0253】
複数の第1ブリッジ部132、複数の第2ブリッジ部133、複数の第1抵抗部134、複数の第2抵抗部135、第1外周部136の形態は、第1実施形態と同様である。ただし、これらの数は、第1実施形態と異なる。これらの数の変更に対応して、本実施形態では3個の第1ポートP151-P153と2個の第2ポートP251、P252が設けられる。なお、本実施形態の第1接続部111および第2接続部121は、すべて、第1の接続形態で透明導電膜13と接続する。
【0254】
このような構成のフィルムヒータ1は、第1実施形態のフィルムヒータ1と同様の効果を得ることができる。
【0255】
具体的には、発熱部131の面内における電流の流れる方向は、実質的に2次元の自由度がある。したがって、第1ポートP151-P153の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で、発熱部131の内部を通って電流が流れる。具体的には、第1ポートP151-152、153の各々からは第2ポートP251、P252に電流が流れる。また、第1ポートP12、P13、P14の各々からは少なくとも第2ポートP22、P23、P24、P25に電流が流れる。また、第1ポートP15からは少なくとも第2ポートP25、P26に電流が流れる。また同様に、第2ポートP22-P25の各々においては、当該第2ポートと少なくとも2つの第1ポートとの間で、発熱部131の内部を通って電流が流れる。
【0256】
また、第1電極11から発熱部131への電流の流入を媒介する第1ポートP151-P153が離散的に配置される。また、発熱部131から第2電極12への電流の流出を媒介する第2ポートP251、P252が離散的に配置される。したがって、第1ポートP151-P153、第2ポートP251、P252の位置を工夫することで、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することができる。
【0257】
また、第1ポートP151は、第1斜辺S3の中央よりも長辺側に位置する。これにより、第1斜辺S3と長辺S2に挟まれる隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。また、第1ポートP153は、第2斜辺S4の中央よりも長辺側に位置する。これにより、第2斜辺S4と長辺S2に挟まれる隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0258】
また、第1ポートP151、P152の間の第1電流抑制部は、第2ポートP251の右隣の第2電流抑制部よりも、第2ポートP252の左隣の第2電流抑制部よりも、長い。第1ポートP152、P135の間の第1電流抑制部についても同じである。これにより、発熱部131の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0259】
なお、第1実施形態に対する第3実施形態の変更およびそれに対する第4実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。また、第1実施形態に対する第5-第10実施形態の変更は、本実施形態にも同様に適用することができる。
【0260】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
【0261】
(変形例1)
上記第3、第4、第5実施形態では、
図16、
図18、
図19のように、第1取出部110、第1抵抗増大部113、発熱部131が直列に接続されている。また、第4実施形態では、
図18のように、第2取出部120、第2抵抗増大部123、発熱部131が直列に接続されている。
【0262】
しかし、発熱することで発熱部131を加熱する抵抗増大部の接続形態は、必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、
図28のように、第3、第5実施形態における第1抵抗増大部113に代えて抵抗増大部115、116が設けられていてもよい。あるいは、
図28のように、第4実施形態における第1抵抗増大部113、第2抵抗増大部123に代えて抵抗増大部115、116が設けられていてもよい。
【0263】
抵抗増大部115、116の各々は、第1電極11から発熱部131を迂回して第2電極12に電流が流れるように、一端が第1電極11に接続され、他端が第2電極12に接続されている。
図28の例では、抵抗増大部115の一端は第1取出部110に接続され他端は第2取出部120に接続され、抵抗増大部116の一端は第1取出部110に接続され他端は第2バイパス部122に接続される。
【0264】
したがって、第1電極11と第2電極12に対して、抵抗増大部115と発熱部131は並列に接続されている。また、第1電極11と第2電極12に対して、抵抗増大部116と発熱部131は並列に接続されている。なお、抵抗増大部115、116の各々は、透明導電膜13に形成された空隙V1、V2の部分においても、繋がって導通している。
【0265】
これら抵抗増大部115、116の各々は、第1抵抗増大部113と同様の発熱特性を有している。すなわち、抵抗増大部115、116の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、第1取出部110の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい。また、抵抗増大部115、116の各々は、第2抵抗増大部123と同様の発熱特性を有している。すなわち、抵抗増大部115、116の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、第2取出部120の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい。
【0266】
このようになっていることで、抵抗増大部115、116の温度が高くなり、その熱により、発熱部131の温度を調整することができる。したがって、発熱部131の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0267】
ここで、上記第3、第4、第5実施形態のように抵抗増大部と発熱部131とが直列になっている場合と、本例のように抵抗増大部と発熱部131とが並列になっている場合との効果の違いについて説明する。
【0268】
両者で同じ抵抗を有する透明導電膜13を使用した場合、並列を採用した場合は、内部抵抗が小さくなり速く高い温度を実現でき、直列を採用した場合は、回路の設計を簡易にできる。
【0269】
(変形例2)
上記各実施形態では、発熱部131の外縁131aにおいて、外縁131aを横切って電流が流れる複数の第1ポートが離散的に配置されると共に、外縁131aを横切って電流が流れる複数の第2ポートが離散的に配置されている。しかし、
図29に示すように、外縁131aを横切って電流が流れる単一の第1ポートと単一の第2ポートとが、全体として外縁131aの全周に配置されていてもよい。このような場合でも、
図18に示した第4実施形態と同様に、第1抵抗増大部113、第2抵抗増大部123の部分123a、第2抵抗増大部123の部分123bの発熱によって、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することが可能である。つまり、3隅にある抵抗増大部の発熱によって、発熱部131における温度分布の偏りを抑制することが可能である。
【0270】
(変形例3)
上記各実施形態では、第1電流抑制部は、その一部または全体が周囲の透明導電膜13と離れていることで、複数の第1ポートの間の領域を介して発熱部131の内部と外部との間で電流が流れることを抑制している。しかし、第1電流抑制部は、そのような構成に限られない。例えば、第1電流抑制部は、その全周において周囲の透明導電膜13と接続していて、かつ、周囲の透明導電膜13に比べて十分薄くなっていてもよい。このようになっていても、複数の第1ポートの間の領域における当該第1電流抑制部を介して発熱部131の内部と外部との間で流れる電流密度が十分(例えば、第1ポートを流れる電流密度の1/100000以下に)抑制される。第2電流抑制部についても同様である。
【0271】
また、上記各実施形態においては、第1電流抑制部および第2電流抑制部は透明導電膜13の一部と空隙から構成されているが、空隙だけで構成されていてもよい。あるいは、第1電流抑制部および第2電流抑制部は、非導電部材(例えば非導電性の樹脂)で構成されていてもよい。この場合、第1電流抑制部は、第1電極11と透明導電膜13の積層方向において第1電極11と透明導電膜13との間に挟まれるように配置されていてもよい。同様に、第2電流抑制部は、第2電極12と透明導電膜13の積層方向において第1電極11と透明導電膜13との間に挟まれるように配置されていてもよい。
【0272】
(変形例4)
上記実施形態では、透明導電膜13の一例として、ITO膜上にクロムおよびクロム酸化物の保護膜をスパッタリング等によって形成したものが例示されている。しかし、透明導電膜13は、導電性を有する透明の膜であれば、他の構成のものであってもよい。例えば、透明導電膜13は、透明性の高い非導電性の基材(例えばPET)にカーボンナノチューブが網状に配置されたフィルムであってもよい。このようなフィルムも、その内部に複雑かつ細かい網状に形成された経路を電流が流れるので、電流が実質的に面状に流れる。
【0273】
(変形例5)
上記実施形態では、第1接続部111、第2接続部121と透明導電膜13との接続形態として第1の接続形態と第2の接続形態が例示されている。しかし、接続形態として第1、第2の接続形態とは異なる接続形態があってもよい。あるいは、第1接続部111、第2接続部121と透明導電膜13との接続形態は、第1の接続形態のみであってもよいし、第2の接続形態のみであってもよい。
【0274】
(変形例6)
上記各実施形態では、第1電極11の第1取出部110が給電部に接続され、第2電極12の第2取出部120がグラウンドに接続されている。したがって、第1電極11、発熱部131、第2電極12の順に、電流が流れる。しかし、逆に、第1電極11の第1取出部110がグラウンドに接続され、第2電極12の第2取出部120が給電部に接続されていてもよい。つまり、上記各実施形態とは逆順に、第2電極12、発熱部131、第1電極11の順に電流が流れてもよい。
【0275】
(変形例7)
上記実施形態では、第1抵抗増大部113は、第1取出部110、第1接続部111、第1バイパス部112よりも細く形成することで発熱量を多くしている。しかし、第1抵抗増大部113の発熱量を増やすために、第1抵抗増大部113の材料を第1取出部110、第1接続部111、第1バイパス部112とは異なるものにしてもよい。あるいは、第1抵抗増大部113は、第1取出部110、第1接続部111、第1バイパス部112よりも長く形成することで発熱量を多くしてもよい。第2抵抗増大部123の第2取出部120、第2接続部121、第2バイパス部122に対する関係についても、同様である。
【0276】
(変形例8)
上記第3、第4実施形態において、第1抵抗増大部113も第4実施形態の第2抵抗増大部123のように分離した2つ以上の部分を含んでいてもよい。その場合、第1抵抗増大部113の抵抗値は、それら2つ以上の部分の合成抵抗値となる。
【0277】
(変形例9)
図18に示した第4実施形態では、第2抵抗増大部123の方が第1抵抗増大部113よりも抵抗値が高い。しかし、逆に、第1抵抗増大部113の方が第2抵抗増大部123よりも抵抗値が高くてもよい。そうした方が発熱部131内における温度のばらつきを低減させることが可能な場合もあるからである。
【0278】
その場合、例えば、第2抵抗増大部123の抵抗率および幅が第1抵抗増大部113と同じ場合、第1抵抗増大部113の長さが部分123a、123bのうち長い方の長さの1/2より長ければ、上記のような抵抗値の関係が実現する。このようにするために、第1抵抗増大部113は、蛇行して伸びる形状を有していてもよい。より具体的には、第1抵抗増大部113は、透明導電膜13の面内において、短辺S1の伸びる方向に往来しながら、短辺S1に直交する方向に折り重なるように蛇行して、伸びていてもよい。
【0279】
(変形例10)
図25に示した第11実施形態において、一部または全部の第1バイパス部112は第1接続部111に置き換えられてもよい。つまり、一部または全部の第1接続部111が直接第1ポートP111-P121に直接接続されていてもよい。同様に、一部または全部の第2バイパス部122は第2接続部121に置き換えられてもよい。つまり、一部または全部の第2接続部121が直接第2ポートP211-P216に直接接続されていてもよい。
【0280】
(変形例11)
図25に示した第11実施形態において、透明導電膜13は、発熱部131および発熱部131から外部に突出するように伸びる第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133のみを備えている。しかし、発熱部131、第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133の周囲にも、透明導電膜13の他の部分が透明絶縁膜14に対して積層されていてもよい。その場合、当該他の部分は、発熱部131、第1ブリッジ部132、第2ブリッジ部133、第1電極11、第2電極12に導通しないように、これらとの間に空隙が設けられてもよい。この空隙は、透明導電膜13をレーザで切断することによって形成されてもよい。この場合、透明導電膜13の当該他の部分および空隙は、第1電流抑制部および第2電流抑制部に対応する。
【0281】
(変形例12)
図27に示した第13実施形態に対して、第1実施形態における第1カット辺S5、第2カット辺S6が追加されてもよい。その場合、第1カット辺S5、第2カット辺S6のどちらにも第2ポートが配置され、当該第2ポートを介して発熱部131と第2電極12との間で電流が流れるように、第2接続部121と透明導電膜13とが接続していてもよい。
【0282】
(変形例13)
上記各実施形態では、車両において光が透過する光透過部材の一例としてウインドシールド3が例示されているが、光透過部材はウインドシールド3以外のものであってもよい。例えば、光透過部材は、車両の後方の窓ガラスでもよいし、側方の窓ガラスでもよい。あるいは、光透過部材は、車載のセンサまたは車載のヘッドライトを覆う透明なカバー部材であってもよい。
【0283】
(変形例14)
上記各実施形態において、第1カット辺S5における第2接続部121の存在比率よりも、長辺S2における第2接続部121の存在比率の方が大きくてもよい。同様に、第2カット辺S6における第2接続部121の存在比率よりも、長辺S2における第2接続部121の存在比率の方が大きくてもよい。ここで、各辺における存在比率は、当該辺の全長に対する、当該辺に配置された第2接続部121の当該辺に沿った総長さの比である。
【0284】
(変形例15)
上記各実施形態においては、発熱部131の形状は、中央線CLに関して線対称な形状となっている。しかし、発熱部131の形状は、中央線CLに関して線対称になっていなくてもよい。例えば、車両のヘッドライトや車載センサを覆う光透過部材である透明カバーにフィルムヒータ1が取り付けられる場合、当該透明カバーの形状に起因して発熱部131が左右非対称になる場合がある。そのような場合、発熱部131における温度分布の左右非対称性を抑制するために、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6には単一の第2抵抗部135およびそれを囲む空隙CX、CY、CZから成る単一の第2電流抑制部のみが配置されてもよい。その場合、当該第2電流抑制部は、長辺S2、第1カット辺S5、第2カット辺S6から成る線の中央よりも右側または左側に偏って配置されることで、発熱部131における温度分布の左右非対称性が抑制される。
【0285】
(変形例15)
上記実施形態においては、複数の第1ポートの全部について、その各々において、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で発熱部131の内部を通って電流が流れる。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。すなわち、複数の第1ポートの一部のみについて、その各々において、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で発熱部131の内部を通って電流が流れてもよい。
【0286】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両において光が透過する光透過部材に取り付けられるフィルムヒータは、通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜と、前記透明導電膜に接続される第1電極と、前記透明導電膜に接続される第2電極と、を備える。前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部を有する。前記発熱部の外縁は、短辺、前記短辺よりも長くかつ前記短辺に対向して伸びる長辺、前記短辺の一方側の端部から前記長辺の一方側の端部に近付くように伸びる第1斜辺、前記短辺の他方側の端部から前記長辺の他方側の端部に近付くように伸びる第2斜辺を含む。前記第1電極は、前記短辺、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポートにそれぞれ対応する複数の第1接続部を有する。前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポートにそれぞれ対応する複数の第2接続部を有する。前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続される。前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続される。前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部が、前記外縁に沿って配される。前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部が、前記外縁に沿って配される。前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる。
【0287】
また、第2の観点よれば、前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つは、前記第1斜辺の中央よりも長辺側に位置する。第1斜辺の中央よりも長辺側と、長辺の一方側との間に囲まれる部分は、隅部に相当する。隅部の近くに第1ポートが1つも存在しないと、隅部に流れる電流の量が過小になってしまい、ひいては、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。これに対し、上記のように、複数の第1ポートのうち少なくとも1つが第1斜辺の中央よりも長辺側に位置すれば、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0288】
また、第3の観点によれば、前記複数の第1ポートのうち少なくとも1つは、前記短辺に位置し、前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つは、前記長辺のうち前記短辺と対向する位置にある。
【0289】
短辺は第1斜辺、第2斜辺に比べて長辺よりも遠い位置にあるので、少なくとも1つの第1ポートが短辺に位置している場合、当該第1ポートを通る電流の量が過小になってしまう可能性がある。ひいては、短辺の周囲の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。これに対し、上記のように、少なくとも1つの第2ポートが長辺のうち短辺と対向する位置にあれば、短辺付近の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0290】
また、第4の観点によれば、前記発熱部の外縁は、前記第1斜辺の前記一方側の端部から前記長辺の前記一方側の端部に伸びるカット辺を有し、前記複数の第2ポートのうち少なくとも1つは、前記カット辺に配置される。
【0291】
第1斜辺の中央よりも長辺側と、長辺の一方側との間に囲まれる部分は、いわゆる隅部に相当する。この隅部は、第1ポート、第2ポートの配置によっては、電流が流れにくくなり、ひいては、温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。そこで、カット辺を設けることで、隅部の形状を頂点がカットされた形状とすることで、隅部に電流が流れにくくなる傾向を抑え、さらに、カット辺に少なくとも1つの第2ポートを配することで、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を更に低減することができる。
【0292】
また、第5の観点によれば、前記複数の第1電流抑制部のうち1つの第1電流抑制部の、前記発熱部の前記外縁に沿った長さは、前記複数の第2電流抑制部のうち1つの第2電流抑制部の、前記発熱部の前記外縁に沿った長さよりも、長い。
【0293】
発熱部の外縁のうち、短辺、第1斜辺、第2斜辺から成る部分の長さは、長辺から成る部分の長さよりも長い、したがって、複数の第1電流抑制部と複数の第2電流抑制部が全く同じ長さになっていると、第1ポートの数が第2ポートの数より非常に大きくなってしまう可能性がある。第1ポートの数が第2ポートの数より非常に大きくなってしまうと、電流が第2ポートに集中してしまい、発熱部の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう場合がある。これに対し、いずれかの第1電流抑制部がいずれかの第2電流抑制部よりも長ければ、第1ポートの数が第2ポートの数より非常に大きくなってしまう可能性を低減することができる。ひいては、発熱部の第2ポート付近における発熱量が過大になってしまう可能性を低減することができる。
【0294】
また、第6の観点によれば、前記複数の第1接続部のうち或る第1接続部から対応する第1ポートまでの電流が流れる経路における、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、前記複数の第1接続部のうち別の第1接続部から対応する第1ポートまでの、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値と、異なっている。
【0295】
このように、異なる第1接続部において、発熱部の外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値が異なるようにすることで、一律に同じにする場合に比べ、発熱部を流れる電流密度の分布をより柔軟に調整することができる。ひいては、発熱部の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0296】
また、第7の観点によれば、前記複数の第2接続部のうち或る第2接続部から対応する第2ポートまでの電流が流れる経路における、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、前記複数の第2接続部のうち別の第2接続部から対応する第2ポートまでの、前記発熱部の前記外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値と、異なっている。
【0297】
このように、異なる第2接続部において、発熱部の外縁に沿った単位長さ当たりの抵抗値が異なるようにすることで、一律に同じにする場合に比べ、発熱部を流れる電流密度の分布をより柔軟に調整することができる。ひいては、発熱部の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0298】
また、第8の観点によれば、前記複数の第1ポートのうち前記短辺の中央と前記長辺の中央を結ぶ中央線から前記一方側に最も遠い位置にある第1ポートよりも、前記複数の第2ポートのうち前記中央線から前記一方側に最も遠い位置にある第2ポートの方が、前記中央線から遠い。
【0299】
第1斜辺の中央よりも長辺側と、長辺の中央よりも一方側との間に囲まれる部分は、いわゆる隅部に相当する。この隅部は、第1ポート、第2ポートの配置によっては、電流が流れにくくなり、ひいては、温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性がある。具体的には、中央線から一方側に最も遠い位置にある第1ポートと第2ポートを比べたときに、第1ポートの方が中央線から遠ければ、電流が隅部を避けるように流れてしまう。これに対し、中央線から一方側に最も遠い位置にある第1ポートと第2ポートを比べたときに、第2ポートの方が中央線から遠ければ、隅部を通るような方向に電流が流れる。これにより、隅部の温度が低温側に大きく偏ってしまう可能性を低減することができる。
【0300】
また、第9の観点によれば、前記第1電極は、給電部またはグラウンドに接続される取出部と、前記取出部に接続されると共に前記複数の第1接続部に接続される抵抗増大部と、を備える。前記取出部、前記抵抗増大部、前記複数の第1接続部、前記発熱部の順に、またはこの逆順に、電流が流れる。前記抵抗増大部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、前記取出部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい。
【0301】
このようになっていることで、抵抗増大部の温度が高くなり、その熱により、発熱部の温度を調整することができる。したがって、発熱部の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0302】
また、第10の観点によれば、前記抵抗増大部は前記取出部よりも幅が狭い。このようにすることで、簡素な構成で、抵抗増大部の温度を高くすることができる。
【0303】
また、第11の観点によれば、前記取出部は第1取出部であり、前記抵抗増大部は第1抵抗増大部であり、前記第2電極は、前記給電部または前記グラウンドのうち前記第1取出部が接続されていない方に接続される第2取出部と、前記第2取出部に接続されると共に前記複数の第2接続部に接続される第2抵抗増大部と、を備える。前記第2取出部、前記第2抵抗増大部、前記複数の第2接続部、前記発熱部の順に、またはこの逆順に、電流が流れる。前記第2抵抗増大部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗は、前記第2取出部の、電流の流れ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗よりも、大きい。
【0304】
このようになっていることで、第2抵抗増大部の温度が高くなり、その熱により、発熱部の温度を調整することができる。したがって、発熱部の温度分布をより柔軟に調整することができる。
【0305】
また、第12の観点によれば、前記第2抵抗増大部は前記第2取出部よりも幅が狭い。このようにすることで、容易に、第2抵抗増大部の温度を高くすることができる。
【0306】
また、第13の観点によれば、前記第2抵抗増大部の抵抗値は前記第1抵抗増大部の抵抗値よりも高い。短辺の近くの比較的面積が小さい部分よりも長辺の近くの比較的面積が広い部分の方が、面積が比較的広いが故に、暖まりにくい傾向にある。抵抗値が第1抵抗増大部よりも第2抵抗増大部の方が大きければ、発熱量が第1抵抗増大部よりも第2抵抗増大部の方が大きくなるので、上記の傾向を抑制することができる。
【0307】
また、第14の観点によれば、車両において光が透過する光透過部材に取り付けられるフィルムヒータは、通電されることで発熱すると共に光を透過する透明導電膜と、前記透明導電膜に接続される第1電極と、前記透明導電膜に接続される第2電極と、を備える。前記透明導電膜は、前記第1電極と前記第2電極によって通電されて発熱することで前記光透過部材を加熱する発熱部を有する。前記発熱部の外縁は、長辺、第1斜辺、第2斜辺を含む。前記第1斜辺は、一端において前記第2斜辺に接続し、他端において前記長辺の一端に接続する。前記第2斜辺は、一端において前記第1斜辺の一端に接続し、他端において前記長辺の他端に接続する。前記第1電極は、前記第1斜辺および前記第2斜辺において互いに間を開けて位置する複数の第1ポートにそれぞれ対応する複数の第1接続部を有する。前記第2電極は、前記長辺を含む範囲において互いに間を開けて位置する複数の第2ポートにそれぞれ対応する複数の第2接続部を有する。前記複数の第1接続部の各々は、対応する第1ポートを介して前記発熱部の内部と当該第1接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続される。前記複数の第2接続部の各々は、対応する第2ポートを介して前記発熱部の内部と当該第2接続部の間で電流が流れるよう、前記透明導電膜に接続される。前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第1ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第1電流抑制部が、前記外縁に沿って配される。前記発熱部の前記外縁に沿った前記複数の第2ポートの間の領域を介して前記発熱部の内部と外部との間で電流が流れることを抑制する複数の第2電流抑制部が、前記外縁に沿って配される。 前記複数の第1ポートの一部または全部の各々においては、当該第1ポートと少なくとも2つの第2ポートとの間で前記発熱部の内部を通って電流が流れる。
【符号の説明】
【0308】
1 フィルムヒータ
11 第1電極
12 第2電極
13 透明導電膜
131 発熱部
134 第1抵抗部
135 第2抵抗部