(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】液体収容容器、液体収容容器セット、及び無菌接合キット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20231205BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20231205BHJP
A61M 39/18 20060101ALI20231205BHJP
C12M 1/24 20060101ALI20231205BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C12M1/00 A
A61J1/05 313J
A61M39/18
C12M1/00 Z
C12M1/24
C12M3/00 Z
(21)【出願番号】P 2019220296
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019072957
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籠田 将慶
(72)【発明者】
【氏名】原田 怜
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 良至
(72)【発明者】
【氏名】長谷 政彦
【審査官】飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-290035(JP,A)
【文献】特許第6197025(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00ー3/10
A61J 1/05
A61M 39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌接合キットであって、
前記無菌接合キットが、液体収容容器セット及び無菌接合装置を有し、
前記液体収容容器セットが、第1の部材である液体収容容器、及び第2の部材を備え、
前記液体収容容器
が、
液体の収容空間を画成する容器本体と、
一端が前記容器本体に接続された第1の管状部材と、
前記第1の管状部材を閉鎖する第1の閉鎖部と、
を備え、
前記第1の管状部材が、前記収容空間に連通する流路を前記第1の閉鎖部とともに画成する内表面を有し、
前記第1の管状部材が、前記第1の管状部材の延伸方向において前記第1の管状部材の前記一端と前記第1の閉鎖部の間の互いに異なる位置に配置された、第1の目印部及び第2の目印部を少なくとも備え
、
前記第2の部材が、第2の管状部材並びに前記第2の管状部材を閉鎖する第2の閉鎖部及び第3の閉鎖部を備え、
前記第2の管状部材が、前記第2の閉鎖部と前記第3の閉鎖部の間に流路を画成する内表面を有し、
前記第2の管状部材が、前記第2の管状部材の延伸方向において前記第2の閉鎖部と前記第3の閉鎖部の間の互いに異なる位置に配置された、第3の目印部及び第4の目印部を少なくとも備え、
前記第3の目印部及び前記第4の目印部の間の距離が、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び前記第2の目印部の間の距離と同じであり、
前記無菌接合装置が、前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材を保持するホルダーを備え、
前記無菌接合装置が、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び前記第2の目印部並びに前記第2の管状部材の前記第3の目印部及び前記第4の目印部がいずれも前記ホルダーの両端に位置するように、前記第1の管状部材及び前記第2の管状部材を保持可能である、
無菌接合キット。
【請求項2】
前記第1の管状部材の延伸方向に垂直な、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び第2の目印部の断面の外形が、前記第1の管状部材の延伸方向に垂直な、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び第2の目印部以外の部分の断面の外形と異なる、請求項1に記載の
無菌接合キット。
【請求項3】
前記第1の管状部材の延伸方向に垂直な、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び第2の目印部の断面における、前記第1の管状部材の前記内表面の形状及び寸法が、前記第1の管状部材の延伸方向に垂直な、前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び第2の目印部以外の部分の断面における、前記第1の管状部材の前記内表面の形状及び寸法と同じである、請求項1に記載の
無菌接合キット。
【請求項4】
前記第1の目印部が、前記第3の目印部と同じ形状を有し、
前記第2の目印部が、前記第4の目印部と同じ形状を有する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の
無菌接合キット。
【請求項5】
前記第1の目印部が、前記第4の目印部と面で当接可能であり、
前記第2の目印部が、前記第3の目印部と面で当接可能である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の
無菌接合キット。
【請求項6】
前記第1の目印部が、前記第4の目印部と嵌合可能であり、
前記第2の目印部が、前記第3の目印部と嵌合可能である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の
無菌接合キット。
【請求項7】
前記第1の管状部材の前記第1の目印部及び第2の目印部の少なくとも一方並びに前記第2の管状部材の前記第3の目印部及び第4の目印部の少なくとも一方が、前記ホルダーと嵌合可能なホルダー嵌合部を備える、請求項
1~6のいずれか一項に記載の無菌接合キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器、液体収容容器セット、及び無菌接合キットに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞懸濁液、医薬関係の液体、食品関係の液体等の液体は、異物や菌等によるコンタミネーションを防ぐ必要がある。そのため、このような液体をある収容容器内から別の収容容器内に移す場合、これらの収容容器内を外部環境に対して閉鎖された状態に維持しながら収容容器同士を接続して送液を行う必要がある。このような場合、特許文献1に記載されるような無菌接合装置を用いることができる。特許文献1に記載の無菌接合装置は、第1チューブと第2チューブを重ねて固定した状態でこれらのチューブを加熱用部材を用いて溶断した後、第1チューブの溶断した端部と第2チューブの溶断した端部を入れ替えて接合する装置である。このような無菌接合装置を用いて2つの収容容器から延びるチューブ同士を接合することにより、接合したチューブにより形成される送液管を介して収容容器間で送液を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方の収容容器から他方の収容容器に送液管を介して液体を移動させるとき、送液管の内部に液体が残留することがある。送液管内の液体残留量の多寡により、他方の収容容器に流入する液体の量も変わる。送液管内の液体残留量は、通常、送液管が長いほど多くなる。そのため、収容容器に流入する液体の量を一定にするためには、送液管の長さを一定にすることが望まれる。また、送液管の長さは、送液等の作業の行い易さにも影響する。したがって、作業性の観点からも送液管の長さを一定にすることが望まれる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されるような無菌接合装置を用いて収容容器間に送液管を形成する場合、作業者が接合する第1チューブ及び第2チューブのどの位置に無菌接合装置を設置するかによって、第1チューブ及び第2チューブを溶断し接合する位置が変動し、それにより、形成される送液管の長さも変動する。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、無菌接合装置により形成される送液管の長さを一定にすることができる液体収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る液体収容容器は、液体の収容空間を画成する容器本体と、一端が前記容器本体に接続された第1の管状部材と、前記第1の管状部材を閉鎖する第1の閉鎖部とを備え、前記第1の管状部材は、前記収容空間に連通する流路を前記第1の閉鎖部とともに画成する内表面を有し、前記第1の管状部材は、前記第1の管状部材の延伸方向において前記第1の管状部材の前記一端と前記第1の閉鎖部の間の互いに異なる位置に配置された、第1の目印部及び第2の目印部を少なくとも備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体収容容器は、無菌接合装置により形成される送液管の長さを一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液体収容容器の一例を示す、第1の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る液体収容容器の一例を示す、第1の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のA-A線における第1の管状部材の断面の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図1のB-B線における第1の管状部材の断面の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図1のB-B線における第1の管状部材の断面の他の例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る液体収容容器の一例を示す、第1の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る液体収容容器の一例を示す、第1の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る液体収容容器セットの一例を示す、第1の管状部材及び第2の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図9】
図9は、
図8のC-C線における、互いに面で当接する第1の管状部材の目印部及び第2の管状部材の目印部の断面の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、
図8のC-C線における、互いに面で当接する第1の管状部材の目印部及び第2の管状部材の目印部の断面の一例を示す概略図である。
【
図11】
図11は、
図8のC-C線における、互いに嵌合する第1の管状部材の目印部及び第2の管状部材の目印部の断面の一例を示す概略図である。
【
図12】
図12は、互いに嵌合する第1の管状部材の目印部及び第2の管状部材の目印部の一例を示す、第1の管状部材及び第2の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図13】
図13は、
図12のE-E線における第1の管状部材の目印部及び第2の管状部材の目印部の断面の一例を示す概略図である。
【
図14】
図14は、無菌接合装置に設置された第1の管状部材及び第2の管状部材の一例を示す、第1の管状部材及び第2の管状部材の長手軸を含む概略断面図である。
【
図15】
図15は、無菌接合装置で第1の管状部材及び第2の管状部材を接合することにより形成された送液管の一例を示す、送液管の長手軸を含む概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)液体収容容器
まず、実施形態に係る液体収容容器について説明する。
図1に示すように、実施形態に係る液体収容容器1は、液体の収容空間22を画成する容器本体20と、一端40aが容器本体20に接続された第1の管状部材40と、第1の管状部材40を閉鎖する第1の閉鎖部48とを備える。第1の管状部材40は、収容空間22に連通する流路42を第1の閉鎖部48とともに画成する内表面44を有する。第1の管状部材40は、第1の管状部材40の延伸方向(すなわち、長手軸方向)において第1の管状部材40の一端40aと第1の閉鎖部48の間の互いに異なる位置に配置された、2個の目印部46a、46b(第1の目印部46a及び第2の目印部46b)を備える。
【0011】
容器本体20は、液体を無菌的に収容するための収容空間22をその内部に画成するものであれば、任意の構造を有してよく、任意の材質から形成されてよい。例えば、容器本体20として、フィルムを加工した軟質バッグ、ブロー成形及び射出成形等による成形容器、ガラス容器等を用いることができる。容器本体20は、好ましくは、収容空間22内の液体の有無が確認できる程度の透明性を有する材質から形成される。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、C-FLEX(登録商標)、ポリスチレン、ガラス等から形成されてよい。また、容器本体20の材質は、第1の管状部材40と同じ材質であるか、又は第1の管状部材40に溶着できる材質であってよい。それにより、接着剤を用いずに容器本体20と第1の管状部材40を接続できるため、接着剤によるコンタミネーションを回避できる。
【0012】
容器本体20は、例えば、細胞収容容器、培養液収容容器、培養容器、廃液容器であってよい。容器本体20に画成される収容空間22は、容器本体20に形成された開口24を介して第1の管状部材40内の流路42に連通する。また、容器本体20は、収容空間22へ液体を注入するための注入口(不図示)を有してもよい。注入口は、収容空間22へ液体を注入した後に閉鎖することができる任意の開口であってよい。
【0013】
第1の管状部材40は、内表面44及び外表面45を有する筒状の形状を有する。第1の管状部材40は一端40aにおいて開口47を有する。第1の管状部材40は、第1の管状部材40の開口47と容器本体20の開口24が連通するように、容器本体20に接続される。
【0014】
第1の閉鎖部(閉塞部)48は、第1の管状部材40を閉鎖(閉塞)するものであれば特に限定されない。第1の閉鎖部48の例として、第1の管状部材40を径方向に押し潰して溶着することで形成した溶着部、第1の管状部材40の中に詰めた栓(例えばゴム栓)、第1の管状部材40の他端40bにトップシールにより接着したフィルム、第1の管状部材40の他端40bに取り付けたキャップ、第1の管状部材40と一体成形された壁面が挙げられる。
【0015】
第1の閉鎖部48は、
図1に示すように、第1の管状部材40の他端40bに設けられてもよい。あるいは、
図2に示すように、第1の管状部材40の一端40aと他端40bの間に設けられてもよい。第1の閉鎖部48を第1の管状部材40の他端40bに設ける場合、他端40bに埃等がたまりにくい。第1の閉鎖部48を第1の管状部材40の一端40aと他端40bの間に設ける場合、第1の閉鎖部48が第1の管状部材40の内部に位置するため、第1の閉鎖部48が破損して第1の管状部材40が開放されるリスクを低減できる。
【0016】
第1の管状部材40の内表面44と第1の閉鎖部48はともに、収容空間22に連通する流路42を画成する。収容空間22と流路42は、一つの閉鎖空間を形成する。本願において、「閉鎖空間」とは、外部環境の異物や菌等によるコンタミネーションを防ぐことができるようにその外部環境に対して閉鎖された空間、例えば、外部環境に対して密閉された密閉空間を意味する。
【0017】
図1中の第1の管状部材40は一方向に延伸する略柱状の形状を有するが、第1の管状部材40はそれに限定されず、液体の流路42を画成するとともに無菌接合装置で接合可能な任意の形状を有してよい。例えば、第1の管状部材40は曲がっていてもよいし、分岐を有してもよい。さらに、第1の管状部材40は可撓性を有してもよい。第1の管状部材40は、送液操作を容易にするという観点から、延伸方向に10cm以上の長さを有してよい。第1の管状部材40は、押出成形、射出成形、ブロー成形等により製造できる。
【0018】
図3に、
図1のA-A線における第1の管状部材40の断面、すなわち、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な、第1の管状部材40の目印部46a、46b以外の部分の断面の例を示す。この例において、第1の管状部材40の内表面44及び外表面45はいずれも、円形の断面形状を有する。しかし、第1の管状部材40の内表面44及び外表面45の断面形状は、円形に限定されず、楕円形、多角形等の任意の形状であってもよい。
【0019】
第1の管状部材40は、後述する無菌接合装置で接合可能な任意の材質で形成される。例えば、第1の管状部材40は熱溶着可能な合成樹脂から形成されてよい。また、第1の管状部材40は、流路42内の液体と空気の界面が外部から視認できる程度の透明性を有してよい。それにより、流路内42の液体の有無を判別できる。具体的には、第1の管状部材40の材質として、ポリ塩化ビニル、C-FLEX(登録商標)、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンが例示される。
【0020】
第1の管状部材40は2個の目印部46a、46bを有する。2個の目印部46a、46bは、第1の管状部材40の延伸方向において第1の管状部材40の一端40aと第1の閉鎖部48の間の互いに異なる位置に所定の距離dを隔てて配置される。2個の目印部46a、46bの間の所定の距離dは、後述する無菌接合装置のホルダー80の幅D(
図14参照)に対応する。
【0021】
目印部46a、46bに形成される目印は、視認可能な任意の形態を有する。
図1に示される例では、目印部46a、46bにおいて第1の管状部材40の外表面45が凸になることにより目印が形成されている。目印部46a、46bにおいて、第1の管状部材40の外表面45に目印となる溝(凹部)が形成されていてもよい。目印部46a、46bに、直接印字、レーザー印字等の印字がなされていてもよい。目印部46a、46bは着色されていてもよい。目印部46a、46bにおいて、第1の管状部材40に目印として結束バンド等が巻きつけられていてもよい。2個の目印部に形成される目印は、別個であってもよいし、繋がって一体になっていてもよい。
【0022】
図4、5に、
図1のB-B線における第1の管状部材40の断面、すなわち、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な、第1の管状部材40の目印部46a、46bの断面の例を示す。
【0023】
図4に示す例において、第1の管状部材40の内表面44及び外表面45はいずれも、円形の断面形状を有する。目印部46a、46bにおける第1の管状部材40の外表面45の直径は、目印部46a、46b以外の部分における第1の管状部材40の外表面45の直径よりも大きい。それにより、目印部46a、46bにおいて外表面45が凸になり、目印を形成している。目印部46a、46bにおける第1の管状部材40の内表面44の直径は、目印部46a、46b以外の部分における第1の管状部材40の内表面44の直径と等しい。
【0024】
図5に示す例において、第1の管状部材40の内表面44は円形の断面形状を有し、外表面45は三角形の断面形状を有する。目印部46a、46bにおける第1の管状部材40の外表面45の形状は、目印部46a、46b以外の部分における第1の管状部材40の外表面45の形状と異なっている。それにより、目印部46a、46bにおいて外表面45が凸になり、目印を形成している。目印部46a、46bにおける第1の管状部材40の内表面44の直径は、目印部46a、46b以外の部分における第1の管状部材40の内表面44の直径と等しい。
【0025】
図4、5に示した例では、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な第1の管状部材40の目印部46a、46bの断面の外形が、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な第1の管状部材40の目印部46a、46b以外の部分の断面の外形とは異なっている。それにより、目印部46a、46bにおいて外表面45が凸になり、目印が形成されている。ここで、「外形が異なる」とは、外形の形状及び/又は寸法が異なることを意味する。なお、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な第1の管状部材40の目印部46a、46bの断面の外形は、
図4、5に示されるような円形状、三角形状に限定されず、四角形状、多角形状等の任意の形状であってよい。また、後述するように、目印部46a、46bは、無菌接合装置のホルダーと嵌合するホルダー嵌合部を有してもよいし、第1の管状部材40に接合する第2の管状部材の目印部と面で当接するか又は嵌合するような形状を有してもよい。
【0026】
目印部46a、46bの一方(第1の目印部46a)は、他方(第2の目印部46b)と異なる形状を有してもよい。例えば、第1の目印部46aは、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な断面及び/又は第1の管状部材の延伸方向に平行な断面において、第2の目印部46bとは異なる外形を有してよい。また、2つの目印部46a、46bのうち、第1の管状部材40の一端40aにより近い第1の目印部46aは、第1の閉鎖部48により近い第2の目印部46bよりも、小さい外形を有してよい。この場合、後述するように第1の管状部材40を第2の管状部材に接合することにより得られる送液管は、外形の小さい第1の目印部46aを含むが、外形の大きい第2の目印部46bを含まない。そのため、送液管の作業性が良好になる。また、第1の目印部46aと第2の目印部46bは、異なる色に着色されていてもよい。
【0027】
図1~5に示した例では、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な第1の管状部材40の目印部46a、46bの断面における、内表面44の形状及び寸法が、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な第1の管状部材40の目印部46a、46b以外の部分の断面における、内表面44の形状及び寸法と同じである。それにより、流路42内における液体の流れが安定化し、脈流の発生を回避できる。なお、「形状及び寸法が同じ」とは、流路42内における液体の流れに影響を及ぼすような形状及び寸法の差異がないことを意味し、必ずしも形状及び寸法が完全に同一でなくてもよい。
【0028】
図6に、実施形態に係る液体収容容器1の別の例を示す。
図6に示す例では、第1の目印部46aと第1の閉鎖部48の間及び第1の目印部46aの近傍における流路42の直径(すなわち、第1の管状部材40の延伸方向に垂直な断面における内表面44の直径)が、その他の部分における流路42の直径よりも小さい。このような第1の管状部材40を後述する第2の管状部材に接合して送液管を形成する場合、第1の管状部材40の廃棄部分(送液管を構成しない部分)の流路42の容積が小さいため、当該廃棄部分とともに廃棄される液体の量が少ない。
【0029】
図7に、実施形態に係る液体収容容器1のさらなる別の例を示す。
図7に示す例では、第1の目印部46aと第1の閉鎖部48の間及び第1の目印部46aの近傍における流路42の直径が、その他の部分における流路42の直径よりも大きい。このような第1の管状部材40を後述する第2の管状部材に接合して送液管を形成する場合、第1の管状部材40と第2の管状部材の接合面の面積が大きいため、高い接合強度で確実に接合することが可能となる。
【0030】
なお、第1の管状部材40には、2個の目印部46a、46bに加えて、さらなる目印部(不図示)が設けられていてもよい。すなわち、第1の管状部材40は、少なくとも2個の目印部46a、46bを備える。さらなる目印部は、2個の目印部46a、46bと同様の形状及び寸法を有してもよいし、異なる形状及び寸法を有してもよい。
【0031】
(2)液体収容容器セット
次に、実施形態に係る液体収容容器セットについて説明する。
図8に示すように、実施形態に係る液体収容容器セット2は、上述した実施形態に係る液体収容容器1と、第2の管状部材60並びに第2の管状部材60を閉鎖する第2の閉鎖部68a及び第3の閉鎖部68bを備える部材3と、を備える。第2の管状部材60は、第2の閉鎖部68aと第3の閉鎖部68bの間に流路62を画成する内表面64を有する。第2の管状部材60は、第2の管状部材60の延伸方向において第2の閉鎖部68aと第3の閉鎖部68bの間の互いに異なる位置に配置された、2個の目印部66a、66b(第3の目印部66a及び第4の目印部66b)を備える。第2の管状部材の2個の目印部66a、66bの間の距離は、液体収容容器1の第1の管状部材40の2個の目印部46a、46bの間の距離dと同じであり、後述する無菌接合装置のホルダー80の幅D(
図14参照)に対応する。
【0032】
第2の管状部材60の形状及び材質は、上述した第1の管状部材40と同様であるため、説明を省略する。第2の管状部材60は、好ましくは、第1の管状部材40と同じ形状を有し、第1の管状部材40と同じ材質で形成される。また、2個の目印部66a、66bの間の第2の管状部材の内表面及び外表面の直径は、液体収容容器1の2個の目印部46a、46bの間の第1の管状部材40の内表面及び外表面の直径と同じであってよい。それにより、第1の管状部材40と第2の管状部材60の接合を確実に行うことができる。
【0033】
第2の閉鎖部68a及び第3の閉鎖部68bは、それぞれ任意の部材であってよい。例えば、液体収容容器1の第1の閉鎖部48と同様に、第2の管状部材60を閉鎖する溶着部、栓、フィルム、キャップ、又は壁面であってよい。あるいは、第2の閉鎖部68a及び/又は第3の閉鎖部68bは、第2の管状部材60の一端に接続された、液体収容容器1の容器本体20と同様の容器本体であってもよく、あるいは、第2の管状部材60の一端に接続された、ペリスタポンプ、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、加圧ポンプ等の送液機構であってもよい。第2の管状部材60の内表面64、第2の閉鎖部68a、及び第3の閉鎖部68bは、ともに液体の流路62を画成する。流路62は、一つの閉鎖空間を形成する。
【0034】
第2の閉鎖部68a及び第3の閉鎖部68bは、第2の管状部材60の両端部に設けられてもよいし、第2の管状部材60の両端部の間に設けられてもよい。第2の閉鎖部68a及び第3の閉鎖部68bの一方が第2の管状部材60の端部に設けられ、他方が第2の管状部材60の両端部の間に設けられてもよい。第2の閉鎖部68a及び/又は第3の閉鎖部68bが設けられた端部には、埃等がたまりにくい。第2の管状部材60の端部の間に設けられた第2の閉鎖部68a及び/又は第3の閉鎖部68bは、第2の管状部材60の内部に位置するため、破損しにくい。
【0035】
第2の管状部材60の2個の目印部の一方(第3の目印部66a)が、第1の管状部材40の2個の目印部の一方(第2の目印部46b)に面で当接可能な形状を有し、第2の管状部材60の2個の目印部の他方(第4の目印部66b)が、第1の管状部材40の2個の目印部の他方(第1の目印部46a)に面で当接可能な形状を有してよい。そのような目印部の形状の一例を
図9に示す。
図9は、
図8のC-C線における第1の管状部材40及び第2の管状部材60の断面、すなわち、第1の管状部材40及び第2の管状部材60の延伸方向に垂直な、第1の管状部材40の第1の目印部46a及び第2の管状部材60の第4の目印部66bの断面の一例を示している。
図9に示す例では、第1の目印部46a及び第4の目印部66bが、互いに当接可能な当接面41、61をそれぞれ有する。同様に、第1の管状部材40の第2の目印部46b及び第2の管状部材60の第3の目印部66aも、互いに当接可能な当接面をそれぞれ有する。
【0036】
図9に示す例において、互いに当接した第1の目印部46a及び第4の目印部66bは、円形状の断面を有するが、これに限定されず、任意の形状の断面を有してよい。例えば、
図10に示すように、互いに当接した第1の目印部46aと第4の目印部66bは、第1の管状部材40の長手軸及び第2の管状部材60の長手軸を含む平面に平行な面を形成してもよい。この場合、この面をホルダー等の板状の部材に当接させることにより、容易に第1の目印部46aと第4の目印部66bを当接させながら保持することができる。互いに当接した第2の目印部46b及び第3の目印部66aも同様に、任意の形状の断面を有してよい。
【0037】
また、第2の管状部材60の2個の目印部の一方(第3の目印部66a)が、第1の管状部材40の2個の目印部の一方(第2の目印部46b)に嵌合可能な形状を有し、第2の管状部材60の2個の目印部の他方(第4の目印部66b)が、第1の管状部材40の2個の目印部の他方(第1の目印部46a)に嵌合可能な形状を有してもよい。そのような目印部の形状の例を
図11~13に示す。
図11は、
図8のC-C線における第1の管状部材40及び第2の管状部材60の断面、すなわち、第1の管状部材40及び第2の管状部材60の延伸方向に垂直な、第1の管状部材40の第1の目印部46a及び第2の管状部材60の第4の目印部66bの断面の一例を示している。
図12は、第1の管状部材40の2個の目印部46a、46b及び第2の管状部材60の2個の目印部66a、66bの一例を示す、第1の管状部材40の長手軸及び第2の管状部材60の長手軸を含む概略断面図である。
図12において、第1の目印部46aと第4の目印部66bが互いに嵌合し、第2の目印部46bと第3の目印部66aが互いに嵌合する。
図13は、
図12のE-E線における第1の目印部46a及び第4の目印部66bの断面の一例を示している。
図11~13に示す例では、第1の目印部46a及び第4の目印部66bが、互いに嵌合する凹凸面43、63をそれぞれ有する。同様に、第2の目印部46b及び第3の目印部66aも、互いに嵌合する凹凸面をそれぞれ有する。
【0038】
互いに嵌合した第1の目印部46a及び第4の目印部66b、並びに、第2の目印部46b及び第3の目印部66aは、任意の形状の断面を有してよい。例えば、
図13に示すように、互いに嵌合した第1の目印部46a及び第4の目印部66bは、第1の管状部材40の長手軸と第2の管状部材60の長手軸を含む平面に平行な面を形成してもよい。この場合、この面をホルダー等の板状の部材に当接させることにより、容易に第1の目印部46a及び第4の目印部66bを嵌合させながら保持することができる。
【0039】
第1の目印部46aと第3の目印部66aが同じ形状を有し、第2の目印部46bと第4の目印部66bが同じ形状を有してよい。この場合、互いに当接又は嵌合した第1の目印部46a及び第4の目印部66bによって形成される形状と、互いに当接又は嵌合した第2の目印部46b及び第3の目印部66aによって形成される形状とが同じになる。それにより、第1の目印部46aと第2の目印部46bの間、すなわち、第3の目印部66aと第4の目印部66bの間において、第1の管状部材40と第2の管状部材60の間隔δ(
図12参照)が一定になるため、第1の管状部材40と第2の管状部材60を確実に接合できる。また、第1の目印部46a及び第3の目印部66aは、第2の目印部46b及び第4の目印部66bよりも、小さい外形を有してよい。この場合、第1の管状部材40と第2の管状部材60を後述するように接合することにより得られる送液管は、外形の小さい第1の目印部46a及び第3の目印部66aを有するが、外形の大きい第2の目印部46b及び第4の目印部66bを有しない。このような送液管は凹凸が小さいため、作業性が良好である。
【0040】
また、第1の目印部46a及び第4の目印部66bに対応する色(例えば同じ色)及び/又は対応する字(例えば、同じ文字)を付し、第2の目印部46b及び第3の目印部66aに対応する色及び/又は字を付してもよい。
【0041】
第1の目印部46aと第4の目印部66b、第2の目印部46bと第3の目印部66aをそれぞれ対応する形状(例えば、互いに面で当接する形状又は嵌合する形状)にしたり、対応する色及び/又は対応する字を付したりすることにより、第1の管状部材40と第2の管状部材60の接合を行う作業者が、確実に第1の目印部46aと第4の目印部66bを重ね合わせるとともに第2の目印部46bと第3の目印部66aを重ね合わせて接合を行うことができる(すなわち、誤って第1の目印部46aと第3の目印部66aを重ね合わせ、第2の目印部46bと第4の目印部66bを重ね合わせて接合を行うことを防止できる)ため、誤った向きで第1の管状部材40と第2の管状部材60を接合することを防止できる。また、第1の管状部材40及び/又は第2の管状部材60を誤って別の部材に接合してしまうことも防止できる。
【0042】
なお、第2の管状部材60には、2個の目印部に加えて、さらなる目印部が設けられていてもよい。すなわち、第2の管状部材60は、少なくとも2個の目印部を備える。さらなる目印部は、2個の目印部と同様の形状、寸法及び色等を有してもよいし、異なる形状、寸法及び色等を有してもよい。
【0043】
(3)無菌接合キット
次に、実施形態に係る無菌接合キットについて説明する。実施形態に係る無菌接合キットは、上述した実施形態に係る液体収容容器セットと、該液体収容容器セットの第1の管状部材及び第2の管状部材を保持するホルダーを備える無菌接合装置と、を有する。該無菌接合装置は、第1の管状部材の2個の目印部及び第2の管状部材の2個の目印部がいずれもホルダーの両端に位置するように、第1の管状部材及び第2の管状部材を保持可能である。すなわち、無菌接合装置のホルダーの幅が、第1の管状部材の2個の目印部の間の距離及び第2の管状部材の2個の目印部の間の距離と同じである。
【0044】
無菌接合装置としては、任意の無菌接合装置を用いることができる。例えば、TSCD-II(テルモ製)、SCDIIB(テルモ製)、HOTNAVI(JMS製)、BioWelder(ザルトリウス製)などを用いることができる。
【0045】
第1の管状部材の目印部の少なくとも一方及び第2の管状部材の目印部の少なくとも一方が、無菌接合装置のホルダーと嵌合可能なホルダー嵌合部を備えてもよい。
【0046】
(4)無菌接合方法
実施形態に係る液体収容容器、液体収容容器セット、及び無菌接合キットを用いた無菌接合方法を、
図14、15を参照しながら説明する。
【0047】
図14に示すように、第1の管状部材40と、第2の管状部材60を、無菌接合装置のホルダー80で保持する。このとき、第1の管状部材40の2個の目印部46a、46bがホルダー80の両端にそれぞれ位置するように、ホルダー80に対して第1の管状部材40を位置付ける。同様に、第2の管状部材60の2個の目印部66a、66bがホルダー80の両端にそれぞれ位置するように、ホルダー80に対して第2の管状部材60を位置付ける。
【0048】
次いで、無菌接合装置の使用方法にしたがって無菌接合装置を作動させる。無菌接合装置は、第1の管状部材40の流路42、及び第2の管状部材60の流路62を閉鎖空間に維持しながら、第1の管状部材40及び第2の管状部材60を切断し、第1の管状部材40と第2の管状部材60の切断部同士を接合する。その結果、
図15に示すように、第1の管状部材40と第2の管状部材60が接合部58を介して接合され、第1の管状部材40と第2の管状部材60からなる送液管50が形成される。送液管50は、第1の管状部材40の流路42と第2の管状部材60の流路62が連通して形成された送液路52をその内部に有する。これにより、送液路52を介した送液が可能になる。送液は、ペリスタポンプ、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、加圧ポンプ等の送液機構を用いて行ってもよいし、重力を利用して行ってもよい。
【0049】
第1及び第2の管状部材40、60には、無菌接合装置のホルダー80の設置位置を示す目印部46a、46b、66a、66bが設けられている。そのため、無菌接合を行う作業者は、第1及び第2の管状部材40、60のどの位置をホルダー80で保持すべきかを視覚的及び/又は触覚的に認識することができる。したがって、形成される送液管50の長さは作業者によらず一定となる。
【0050】
図14に示されるように、目印部46a、46b、66a、66bにおいて第1及び第2の管状部材40、60の外表面45、65が凸になっている場合、無菌接合装置のホルダー80が、第1の管状部材40の2個の目印部46a、46b及び第2の管状部材60の2個の目印部66a、66bによって挟まれるため、ホルダー80が第1の管状部材40及び第2の管状部材60の延伸方向にスライドして、ホルダー80と第1及び第2の管状部材40、60とが相対的に変位することが防止される。
【0051】
第1及び第2の管状部材40、60の延伸方向に垂直な、目印部46a、46b、66a、66bの断面の形状に異方性がある場合(すなわち、断面形状が円以外である場合、例えば
図5に示す例のように断面形状が三角形の場合)、目印部46a、46b、66a、66bの向き(第1の管状部材40の長手軸を中心とする目印部46a、46bの回転角度、及び第2の管状部材60の長手軸を中心とする目印部66a、66bの回転角度)により、第1及び第2の管状部材40、60のそれぞれのねじれを視覚的及び触覚的に認識できる。そのため、第1及び第2の管状部材40、60がねじれた状態で接合されることを防止できる。
【0052】
図14では、目印部46a、46b、66a、66bが、ホルダー80と嵌合可能なホルダー嵌合部49a、49b、69a、69bをそれぞれ有する。それにより、第1の管状部材40及び第2の管状部材60のどの位置に無菌接合装置のホルダー80を設置するかがより正確に定まる。また、ホルダー80に対する目印部46a、46b、66a、66bの向き(第1の管状部材40の長手軸を中心とする目印部46a、46bの回転角度、及び第2の管状部材60の長手軸を中心とする目印部66a、66bの回転角度)が一定になるため、第1の管状部材40及び第2の管状部材60がねじれた状態で接合されることを防止できる。なお、ホルダー嵌合部49a、49b、69a、69bは必須の構成要素ではない。すなわち、第1の管状部材40の2個の目印部46a、46bのうちの一方、及び第2の管状部材60の2個の目印部66a、66bの一方にホルダー嵌合部を設けてもよいし、第1及び第2の管状部材40、60のいずれにもホルダー嵌合部を設けなくてもよい。
【0053】
無菌接合装置を作動させて送液管50を形成するためには、第1の管状部材40及び第2の管状部材60を、無菌接合装置によって決められた所定の向き及び位置で、ホルダー80に設置する必要がある。例えば、
図14に示す例では、
図14の紙面上、右側が第1の閉鎖部48により閉鎖された第1の管状部材40を、左側が第2の閉鎖部68aによって閉鎖された第2の管状部材60の上方に位置付ける必要がある。もし第1及び第2の管状部材40、60の上下が逆の状態で無菌接合装置を作動させると、第1の管状部材40及び第2の管状部材60が切断された後、第1の管状部材40の第1の閉鎖部48を含む部分と第2の管状部材60の第2の閉鎖部68aを含む部分とが接合されて、第1の管状部材40の第1の閉鎖部48を含まない部分と第2の管状部材の第2の閉鎖部68aを含まない部分同士とは接合されない。その結果、送液管50が得られない。したがって、第1の管状部材40及び第2の管状部材60は、正しい向き及び位置で設置する必要がある。
【0054】
ここで、
図9~13で示した例のように、第1の管状部材40の第1の目印部46a及び第2の目印部46bが、それぞれ、第2の管状部材60の第4の目印部66b及び第3の目印部66aに対応する形状(例えば、面で当接可能な形状又は嵌合可能な形状)を有する場合、第1の管状部材40の第1の目印部46a及び第2の目印部46bを、それぞれ、第2の管状部材60の第4の目印部66b及び第3の目印部66aに面で当接させ又は嵌合させて、第1の管状部材40及び第2の管状部材60をホルダー80に設置する。そのため、第1の管状部材40と第2の管状部材60を所定の向き及び位置と異なる状態でホルダー80に設置してしまうことを防止できる。また、第1の管状部材40と第2の管状部材60の長手軸を中心とする回転角度も一定にすることができるため、第1及び第2の管状部材40、60がねじれた状態で接合されることも防止できる。
【0055】
(5)液体収容容器の用途
実施形態に係る液体収容容器は、通常、無菌的な取り扱いを必要とする液体を収容するために用いられる。例えば、細胞を培養するための培養容器、培地を供給する培地供給容器、培養後の細胞懸濁液を回収する細胞回収容器、培養中もしくは培養後の培地を回収する廃液容器、又は細胞の一時保管容器等の細胞に関する容器全般として、あるいは細胞培養用システムにおいて、実施形態に係る液体収容容器を用いることができる。特に、細胞培養用システムに好適に用いることができる。その他の無菌的な取り扱いを必要とする液体として、例えば、食品関係の液体、医薬関係の液体等が挙げられる。食品関係の液体としては、例えば、飲料、調味料等が挙げられる。医薬関係の液体としては、生理食塩水等の電解質輸液、ブドウ糖等の糖質注射液、血液製剤、抗生物質、抗体等の蛋白質性医薬品、低分子蛋白質、ホルモン等のペプチド性医薬品、核酸医薬品、細胞医薬品、各種感染症を予防するワクチン、ステロイド剤、インスリン、抗がん剤、蛋白質分解酵素阻害剤、鎮痛剤、解熱鎮痛消炎剤、麻酔剤、脂肪乳剤、血圧降下剤、血管拡張剤、ヘパリン塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、造影剤等が挙げられる。ただし、液体収容容器の用途はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0057】
第1及び第2の管状部材として、内径3mm、外径4mmのチューブを2本用意した。各チューブに、2個の結束バンドを巻きつけて固定することにより2個の目印部を形成した。いずれのチューブにおいても、目印部間の距離は、無菌接合装置のホルダーの幅と等しくなるようにした。2個の結束バンドが無菌接合装置のホルダーの両端に位置するように、各チューブを無菌接合装置のホルダーに設置した。結束バンドにより各チューブのホルダーに対する位置が固定されたため、チューブの延伸方向にチューブを引っ張っても、チューブがホルダーに対して動くことはなかった。無菌接合装置を作動させたところ、2本のチューブを無菌接合された。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 液体収容容器
20 容器本体
22 収容空間
24 開口
40 第1の管状部材
41,61 当接面
42,62 流路
43,63 凹凸面
44 内表面
45,65 外表面
46a,46b,66a,66b 目印部
47 開口
48 第1の閉鎖部
49a,49b,69a,69b ホルダー嵌合部
50 送液管
52 送液路
58 接合部
60 第2の管状部材
68a 第2の閉鎖部
68b 第3の閉鎖部
80 ホルダー