IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

特許7396008センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム
<>
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図1
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図2
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図3
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図4
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図5
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図6
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図7
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図8
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図9
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図10
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図11
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図12
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図13
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図14
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図15
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図16
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図17
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図18
  • 特許-センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】センサ制御装置、センサ制御方法、センサ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20231205BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231205BHJP
   G08G 1/097 20060101ALI20231205BHJP
   G01S 17/87 20200101ALI20231205BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
G01S7/497
G08G1/16 C
G08G1/097 A
G01S17/87
G01S17/931
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019222340
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021092425
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】土本 敏之
(72)【発明者】
【氏名】大畠 龍介
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-224614(JP,A)
【文献】特開平08-261753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0178974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するセンサ制御装置(1)であって、
前記第一光学センサ及び前記第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別するセンサ判別部(100)と、
前記異常センサが判別されるのに応じて、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、前記異常センサの前記ビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御するビーム制御部(120)とを、備えるセンサ制御装置。
【請求項2】
前記ビーム制御部は、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビーム照射密度をビームステアリング角度(θ)に対して関数化した、密度関数(Fd)を満たす前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御する請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記ビーム制御部は、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおいて前記異常センサの前記ビーム照射レンジと部分重複する重複領域(RL,RR)へ向かうビームを、当該重複領域外へ向かうビームよりも密にする前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御する請求項1又は2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するためにプロセッサ(12)により実行されるセンサ制御方法であって、
前記第一光学センサ及び前記第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別するセンサ判別プロセス(S101,S102,S103,S105,S107,S109)と、
前記異常センサが判別されるのに応じて、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、前記異常センサの前記ビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御するビーム制御プロセス(S104,S106,S108,S110)とを、含むセンサ制御方法。
【請求項5】
前記ビーム制御プロセスは、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビーム照射密度をビームステアリング角度(θ)に対して関数化した、密度関数(Fd)を満たす前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御する請求項4に記載のセンサ制御方法。
【請求項6】
前記ビーム制御プロセスは、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおいて前記異常センサの前記ビーム照射レンジと部分重複する重複領域(RL,RR)へ向かうビームを、当該重複領域外へ向かうビームよりも密にする前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御する請求項4又は5に記載のセンサ制御方法。
【請求項7】
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するために記憶媒体(10)に格納され、プロセッサ(12)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
前記命令は、
前記第一光学センサ及び前記第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別させるセンサ判別プロセス(S101,S102,S103,S105,S107,S109)と、
前記異常センサが判別されるのに応じて、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、前記異常センサの前記ビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御させるビーム制御プロセス(S104,S106,S108,S110)とを、含むセンサ制御プログラム。
【請求項8】
前記ビーム制御プロセスは、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおけるビーム照射密度をビームステアリング角度(θ)に対して関数化した、密度関数(Fd)を満たす前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御させる請求項7に記載のセンサ制御プログラム。
【請求項9】
前記ビーム制御プロセスは、前記正常センサの前記ビーム照射レンジにおいて前記異常センサの前記ビーム照射レンジと部分重複する重複領域(RL,RR)へ向かうビームを、当該重複領域外へ向かうビームよりも密にする前記縮退パターンに、前記ビームパターンを制御させる請求項7又は8に記載のセンサ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の光学センサを制御する、センサ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において複数の光学センサは、それぞれ走査するビーム照射レンジがずれるように、搭載される。これにより、車両全体としてのトータル走査能力が高められている。
【0003】
例えば特許文献1に開示される技術では、一対の光学センサがそれぞれ左側方と右側方とを中心に走査するビーム照射レンジとしての走査範囲を、走行状況に依存した方位に向かって制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2019―507326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の開示技術では、一方の光学センサに異常が発生した場合、当該異常センサの走査範囲に対して正常な他方の光学センサの走査範囲が部分重複するように方位制御を実現できたとしても、それだけではトータル走査能力の低下は否めない。なぜなら、部分重複してビームが照射される領域は通常、狭い範囲となるため、異常センサ分の走査をカバーするには不十分となるためである。
【0006】
本開示の課題は、光学センサの異常にあってもトータル走査能力の低下を抑制するセンサ制御装置を、提供することにある。本開示の別の課題は、光学センサの異常にあってもトータル走査能力の低下を抑制するセンサ制御装方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、光学センサの異常にあってもトータル走査能力の低下を抑制するセンサ制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
本開示の第一態様は、
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するセンサ制御装置(1)であって、
第一光学センサ及び第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別するセンサ判別部(100)と、
異常センサが判別されるのに応じて、正常センサのビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、異常センサのビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御するビーム制御部(120)とを、備える。
【0009】
本開示の第二態様は、
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するためにプロセッサ(12)により実行されるセンサ制御方法であって、
第一光学センサ及び第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別するセンサ判別プロセス(S101,S102,S103,S105,S107,S109)と、
異常センサが判別されるのに応じて、正常センサのビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、異常センサのビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御するビーム制御プロセス(S104,S106,S108,S110)とを、含む。
【0010】
本開示の第三態様は、
車両(2)の前後方向及び側方を中心にそれぞれ走査するビーム照射レンジ(R1,R2)がずれた第一光学センサ(30)及び第二光学センサ(31)を、制御するために記憶媒体(10)に格納され、プロセッサ(12)に実行させる命令を含むセンサ制御プログラムであって、
命令は、
第一光学センサ及び第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合に、当該異常の発生した異常センサ(Sa)と、正常を維持した正常センサ(Sn)とを、判別させるセンサ判別プロセス(S101,S102,S103,S105,S107,S109)と、
異常センサが判別されるのに応じて、正常センサのビーム照射レンジにおけるビームパターン(P1,P2)を、異常センサのビーム照射レンジ側に集中した縮退パターン(Pdf,Pds)に、制御させるビーム制御プロセス(S104,S106,S108,S110)とを、含む。
【0011】
これら第一~第三態様によると、車両においてそれぞれ前後方向及び側方を中心に走査とするビーム照射レンジがずれるように、第一光学センサ及び第二光学センサが搭載される。このような搭載下、第一光学センサ及び第二光学センサのいずれかに異常が発生した場合、当該異常の発生した異常センサと、正常を維持した正常センサとが、判別される。その結果、正常センサのビーム照射レンジにおけるビームパターンが縮退パターンに制御されることによれば、異常センサのビーム照射レンジ側に集中した正常センサのビーム照射によって、異常センサ分の走査を可及的にカバーし得る。故に、トータル走査能力の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態によるセンサ制御装置と共に車両に搭載されるセンサ系を説明するための模式図である。
図2】一実施形態によるセンサ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態によるセンサ制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための模式図である。
図5】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための模式図である。
図6】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための模式図である。
図7】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための模式図である。
図8】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図9】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図10】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図11】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図12】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図13】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図14】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図15】一実施形態によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
図16】一実施形態によるセンサ制御方法を示すフローチャートである。
図17】一実施形態の変形例によるセンサ制御装置と共に車両に搭載されるセンサ系を説明するための模式図である。
図18】一実施形態の変形例によるセンサ制御装置と共に車両に搭載されるセンサ系を説明するための模式図である。
図19】一実施形態の変形例によるビーム制御ブロックを説明するための特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態によるセンサ制御装置1は、車両2に搭載される。車両2は、自己運動の推定結果に基づき走行する、例えば高度運転支援車又は自動運転車等である。尚、水平面上の車両2における水平方向のうち、当該車両2の直進方向が前後方向と定義される。
【0015】
図1~3に示すように車両2には、センサ制御装置1と共に、センサ系3が搭載される。センサ系3は、光学センサ30,31を少なくとも含んで構成される。光学センサ30,31は、例えば車両2の運動推定等に利用可能な、いわゆるLIDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)である。光学センサ30,31は、車両2の外界へのビーム照射により観測したターゲット6からのビーム反射に応じて、光学画像Ioを出力する。本実施形態では、単一の第一光学センサ30が車両2におけるフロント部分の中央に搭載される一方、一対の第二光学センサ31がそれぞれ車両2における左右両サイド部分のうち前方寄りに搭載される。
【0016】
図3に示すように光学センサ30,31は、ビーム素子300,310、撮像素子301,311及び撮像回路302,312を、それぞれ有している。撮像回路302,312は、対応するビーム素子300,310及び撮像素子301,311を、それぞれ制御する。
【0017】
具体的に撮像回路302,312は、図1,4~7に破線矢印で示すように車両2の外界とへ向かうレーザビームを、ビーム素子300,310から実質一定強度のパルス光状に、断続照射させる。このとき、光学センサ30,31の走査範囲となるビーム照射レンジR1,R2は、ビーム基準方位C1,C2を中心としてビームステアリング軸Aまわりの両側へと設定角度ずつ広がる角度範囲に、設定される。ここで第一光学センサ30には、車両2の前後方向のうち前方向をビーム基準方位C1としたビーム照射レンジR1が、設定される。左側の第二光学センサ31には、車両2の左前側側方をビーム基準方位C2としたビーム照射レンジR2が、設定される。右側の第二光学センサ31には、車両2の右前側側方をビーム基準方位C2としたビーム照射レンジR2が、設定される。尚、各光学センサ30,31においてビーム照射レンジR1,R2の起点となるビームステアリング軸Aはいずれも、水平面上の車両2における鉛直方向、又は当該鉛直方向に対する傾斜方向に設定される。
【0018】
撮像回路302,312は、ビーム照射レンジR1,R2内でのビーム照射方向を決める、ビームステアリング軸Aまわりのビームステアリング角度θを、一定時間間隔の断続的なビーム照射タイミング毎に切り替える。このとき撮像回路302,312は、図4~7に示すビーム照射タイミング毎のビームステアリング角度θを等間隔又は不等間隔に規定することで、ビーム照射レンジR1,R2内でのビーム照射密度を等密度又は不等密度に分布させる。そこで撮像回路302,312は、ビーム照射レンジR1,R2におけるビーム照射密度の分布パターンを、それぞれ光学センサ30,31のビームパターンP1,P2として調整する。
【0019】
図8~11に示すように、前方を中心に走査する第一光学センサ30のビーム照射レンジR1においてビームステアリング角度θは、零値(0)となるビーム基準方位C1よりも左側領域ではマイナス値、同方位C1よりも右側領域ではプラス値として、定義される。側方を中心に走査する各第二光学センサ31のビーム照射レンジR2においてビームステアリング角度θは、零値(0)となるビーム基準方位C2よりも前方領域ではマイナス値、同方位C1よりも後方領域ではプラス値として、定義される。
【0020】
図2に示すように第一光学センサ30と左側第二光学センサ31との組は、左側センサセットSLとして定義される。左側センサセットSLにおいて第一光学センサ30のビーム照射レンジR1と左側第二光学センサ31のビーム照射レンジR2とは、図1,5,6に示すビームステアリング軸Aを実質平行にずらされることで、部分重複した左側重複領域RLを形成している。本実施形態の左側重複領域RLは、ビーム照射レンジR1ではビーム基準方位C1よりも左側領域のうち左側端を含む一部であって、ビーム照射レンジR2ではビーム基準方位C2よりも前方領域のうち前側端を含む一部に、設定されている。
【0021】
これに対して第一光学センサ30と右側第二光学センサ31との組は、右側センサセットSRとして定義される。右側センサセットSRにおいて第一光学センサ30のビーム照射レンジR1と右側第二光学センサ31のビーム照射レンジR2とは、図1,5,7に示すビームステアリング軸Aを実質平行にずらされることで、部分重複した右側重複領域RRを形成している。本実施形態の右側重複領域RRは、ビーム照射レンジR1ではビーム基準方位C1よりも右側領域のうち右側端を含む一部であって、ビーム照射レンジR2ではビーム基準方位C2よりも前方領域のうち前側端を含む一部に、設定されている。
【0022】
図3に示す撮像回路302,312は、撮像素子301,311における縦横二次元配列の複数画素を、ビーム照射レンジR1,R2での各ビーム照射タイミングにそれぞれ対応した縦列毎に、順次露光する。このように順次露光のローリングシャッタを採用する撮像回路302,312は、撮像素子301,311において露光された縦列の各画素を、走査対象とする。撮像回路302,312は、走査対象である縦列の各画素においてビーム照射タイミングからビーム反射を感知するまでのビーム到達時間の半値を、撮像素子301,311からターゲット6までの距離値へと変換する。撮像回路302,312は、変換した距離値を縦列毎の各画素に関連付けしてデータ化することで、いわゆる距離画像又は点群画像としての光学画像Ioを生成する。
【0023】
尚、撮像素子301,311において縦列毎の各画素により感知されるビーム反射強度に応じた輝度値が、それら各画素に関連付けして距離値と共にデータ化されることで、光学画像Ioが生成されてもよい。また撮像素子301,311には、断続的なビーム照射の中断期間に感知する外光に応じて車両2の外界を撮像する機能が、備えられていてもよい。この場合、撮像素子301,311において縦列毎の各画素により感知される外光強度に応じた輝度値が、それら各画素に関連付けして距離値と共にデータ化されることで、光学画像Ioが生成されてもよい。
【0024】
図2に示すようにセンサ制御装置1は、例えばLAN(Local Area Network)、ワイヤハーネス及び内部バス等のうち少なくとも一種類を介して、センサ系3と接続されている。センサ制御装置1は、車両2の高度運転支援又は自動運転制御を実行する、運転制御専用のECU(Electronic Control Unit)であってもよい。センサ制御装置1は、車両2の高度運転支援又は自動運転制御に利用される、ロケータのECU(Electronic Control Unit)であってもよい。センサ制御装置1は、車両2の運転をナビゲートする、ナビゲーション装置のECUであってもよい。センサ制御装置1は、各光学センサ30,31の撮像回路302,312のうち、少なくとも一方により兼用されてもよい。センサ制御装置1は、これらのECU及び回路302,312等のうち、後述の機能を分担する複数種類の組み合わせにより、構成されてもよい。
【0025】
センサ制御装置1は、メモリ10及びプロセッサ12を少なくとも一つずつ含んだ、専用のコンピュータである。メモリ10は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納又は記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0026】
プロセッサ12は、メモリ10に格納されたセンサ制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これによりセンサ制御装置1は、各光学センサ30,31を纏めて制御する複数の機能ブロックを、図3に示すように構築する。このようにセンサ制御装置1では、光学センサ30,31を制御するためにメモリ10に格納されたセンサ制御プログラムが複数の命令をプロセッサ12に実行させることで、複数の機能ブロックが構築される。複数の機能ブロックには、センサ判別ブロック100及びビーム制御ブロック120が含まれる。
【0027】
センサ判別ブロック100は、各光学センサ30,31の状態を監視する。具体的にセンサ判別ブロック100は、左側センサセットSLを監視の結果、同セットSLを構成する光学センサ30,31のいずれかに異常が発生した場合、当該異常の発生した異常センサSaと、正常を維持したままの正常センサSnとを、図5,6の如く判別する。センサ判別ブロック100は、右側センサセットSRを監視の結果、同セットSLを構成する光学センサ30,31のいずれかに異常が発生した場合、当該異常の発生した異常センサSaと、正常を維持したままの正常センサSnとを、図5,7の如く判別する。これらの判別処理に加え、光学センサ30,31の双方が正常を維持しているセンサセットSL,SRに対しては、図4の如く当該双方を正常センサSnとして、センサ判別ブロック100が認定する。尚、センサ判別ブロック100は、光学センサ30,31の複数が同時に異常となる事象は発現しないことを、前提としている。
【0028】
センサ判別ブロック100により監視される異常には、光学センサ30,31の定常的な故障と、光学センサ30,31の一時的な不調とのうち、少なくとも一種類が含まれる。これら故障及び不調のいずれでも、光学センサ30,31における構成要素300,301,302,310,311,312のいずれかに作動不良が発生したことで、正規の光学画像Ioが出力されない状態を、センサ判別ブロック100が異常と判断してもよい。また故障及び不調のいずれの場合でも、光学センサ30,31(撮像回路302,312)から光学画像Ioがプロセッサ12にまで正規に送信されない状態を、センサ判別ブロック100が異常と判断してもよい。
【0029】
図3に示すようにビーム制御ブロック120は、センサ判別ブロック100による監視結果を受けて、各光学センサ30,31のビームパターンP1,P2を制御する。具体的にビーム制御ブロック120は、各センサセットSL,SRにおいて共通の第一光学センサ30及び個別の第二光学センサ31がいずれも正常センサSnと判別される図4の場合には、ノーマル処理を実行する。
【0030】
図4,8,12に示すノーマル処理においてビーム制御ブロック120は、各正常センサSnの撮像回路302,312によって調整されるビームパターンP1,P2を、ノーマルパターンPnに制御する。図4,12に示すようにノーマルパターンPnは、ビーム照射タイミングt毎のビームステアリング角度θを等間隔に規定することで、各正常センサSnのビーム照射レンジR1,R2ではビーム照射密度を等密度に分布させる。
【0031】
ビーム制御ブロック120は、各センサセットSL,SRにおいて共通の第一光学センサ30が異常センサSa且つ個別の第二光学センサ31が正常センサSnと判別される図5の場合には、側方縮退処理を実行する。
【0032】
図5,9,13に示す側方縮退処理においてビーム制御ブロック120は、異常センサSaの機能を停止させることで、同センサSaの撮像回路302に対してはビームパターンP1の調整を禁止する。それと共にビーム制御ブロック120は、各正常センサSnの撮像回路312により調整されるビームパターンP2を、側方縮退パターンPdsに制御する。図5,13に示すように側方縮退パターンPdsは、ビーム照射タイミングt毎のビームステアリング角度θを不等間隔に規定することで、各正常センサSnのビーム照射レンジR2ではビーム照射密度を不等密度に分布させる。このとき側方縮退パターンPdsは、各正常センサSnのビーム照射レンジR2において異常センサSaのビーム照射レンジR1と部分重複する重複領域RL,RRへ向かうビームを、それら領域RL,RR外へ向かうビームよりも密にする。また特に本実施形態の側方縮退パターンPdsは、重複領域RL,RR外へ向かうビームを、ノーマル処理のノーマルパターンPnにおけるビームよりも疎にする。こうした側方縮退パターンPdsへの制御により各正常センサSnのビームパターンP2は、異常センサSaのビーム照射レンジR1側へと集中することになる。
【0033】
ビーム制御ブロック120は、左側センサセットSLにおいて左側第二光学センサ31が異常センサSaであり且つ第一光学センサ30が正常センサSnと判別される図6の場合には、左側前方縮退処理を実行する。
【0034】
図6,10,14に示す左側前方縮退処理においてビーム制御ブロック120は、異常センサSaの機能を停止させることで、同センサSaの撮像回路312に対してはビームパターンP2の調整を禁止する。それと共にビーム制御ブロック120は、正常センサSnの撮像回路302により調整されるビームパターンP1を、前方縮退パターンPdfに制御する。図6,14に示すように前方縮退パターンPdfは、ビーム照射タイミングt毎のビームステアリング角度θを不等間隔に規定することで、正常センサSnのビーム照射レンジR1ではビーム照射密度を不等密度に分布させる。このとき左側前方縮退処理の前方縮退パターンPdfは、正常センサSnのビーム照射レンジR1において異常センサSaのビーム照射レンジR1と部分重複する左側重複領域RLへ向かうビームを、当該領域RL外へ向かうビームよりも密にする。また特に前方縮退パターンPdfは、左側重複領域RL外へ向かうビームを、ノーマル処理のノーマルパターンPnにおけるビームよりも疎にする。こうした前方縮退パターンPdfへの制御により正常センサSnのビームパターンP1は、異常センサSaのビーム照射レンジR2側へと集中することになる。尚、右側センサセットSRにおいて正常センサSnのまま維持されている右側第二光学センサ31に対しては、ノーマルパターンPnのノーマル処理が実行される。
【0035】
ビーム制御ブロック120は、右側センサセットSRにおいて右側第二光学センサ31が異常センサSaであり且つ第一光学センサ30が正常センサSnと判別される図7の場合には、右側前方縮退処理を実行する。図7,11,15に示す右側前方縮退処理は、上述の左側前方縮退処理において「左側」及び「右側」を互いに逆に読み替えた処理となる。特に右側前方縮退処理の前方縮退パターンPdfは、図7,15に示すように、正常センサSnのビーム照射レンジR1において異常センサSaのビーム照射レンジR1との右側重複領域RRへ向かうビームを、当該領域RR外へ向かうビームよりも密にする。
【0036】
以上においてビーム制御ブロック120は、正常センサSn又は異常センサSaとなる各光学センサ30,31のビーム照射レンジR1,R2での処理種別に応じたビーム照射密度を、ビームステアリング軸Aまわりのビームステアリング角度θに対して関数化する。この関数化によりビーム制御ブロック120は、図8~11に示すように各光学センサ30,31のビーム照射レンジR1,R2にて実現させる密度関数Fdを、処理種別毎に定義する。ビーム制御ブロック120は、定義した密度関数Fdをさらに、図12~15に示すようにビームステアリング角度θに対してビーム照射密度を累積させた累積分布関数Fcへ、処理種別毎に変換する。ビーム制御ブロック120は、変換した累積分布関数Fcにおいて等間隔な各ビーム照射タイミングtに対応するビームステアリング角度θを、処理種別毎に規定する。ここで、図9~11の如く本実施形態の縮退処理では、ビームを密にする重複領域RL,RRでの密度関数Fd(ビーム照射密度)が、当該領域RL,RR外に対してステップ関数状に高められている。これにより、図13図15の如く本実施形態の縮退処理では、ビームを密にする重複領域RL,RRでの累積分布関数Fcが、当該領域RL,RR外とは異なる傾きの線形関数となっている。
【0037】
こうしてビーム照射タイミングt毎に規定されるビームステアリング角度θの分布は、密度関数Fdを満たすビーム照射密度の分布として、処理種別に応じたビームパターンP1,P2を各光学センサ30,31へと与えることになる。即ち各光学センサ30,31のビームパターンP1,P2は、ノーマルパターンPn及び縮退パターンPds,Pdfのうち、処理種別毎の密度関数Fdを満たすいずれかとなるように、ビーム制御ブロック120によって制御される。
【0038】
以上より本実施形態では、センサ判別ブロック100が「センサ判別部」に相当し、ビーム制御ブロック120が「ビーム制御部」に相当する。
【0039】
ここまで説明したセンサ判別ブロック100及びビーム制御ブロック120の共同により、センサ制御装置1が光学センサ30,31を制御するセンサ制御方法のフローを、図16に従って以下に説明する。尚、本フローは、始動した車両2の走行開始後、光学センサ30,31にて共通に繰り返されるシャッタフレーム毎に、実行される。また本フローにおける「S」とは、センサ制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、意味する。
【0040】
S101においてセンサ判別ブロック100は、各センサセットSL,SRを構成する光学センサ30,31の状態を、監視する。続くS102においてセンサ判別ブロック100は、各センサセットSL,SRにおいて光学センサ30,31のいずれかに異常が発生したか否かを、判定する。
【0041】
S102において、各センサセットSL,SRの光学センサ30,31がいずれも正常を維持している場合にセンサ判別ブロック100は、S103へ移行する。このS103のセンサ判別ブロック100は、全ての光学センサ30,31を正常センサSnと判別する。続くS104においてビーム制御ブロック120は、ノーマル処理を実行することで、各正常センサSnのビームパターンP1,P2をノーマルパターンPnに制御する。
【0042】
S102において、各センサセットSL,SRの第一光学センサ30に異常が発生した場合にセンサ判別ブロック100は、S105へ移行する。このS105のセンサ判別ブロック100は、異常の発生した第一光学センサ30を、異常センサSaとして判別する。それと共にS105のセンサ判別ブロック100は、各センサセットSL,SRの第二光学センサ31を、正常維持の正常センサSnとして判別する。
【0043】
S105に続くS106においてビーム制御ブロック120は、側方縮退処理を実行する。S106の側方縮退処理では、ビーム制御ブロック120が異常センサSaに対してビームパターンP1の調整を禁止する。それと共にS106の側方縮退処理では、ビーム制御ブロック120が各正常センサSnのビームパターンP2を側方縮退パターンPdsに制御する。各正常センサSnのビーム照射レンジR2では、異常センサSaのビーム照射レンジR1との重複領域RL,RRへ向かうビームの照射密度が、領域RL,RR外へ向かうビームよりも密となることで、同レンジR1側にビームパターンP2が集中する。
【0044】
S102において、左側センサセットSLの左側第二光学センサ31に異常が発生した場合にセンサ判別ブロック100は、S107へ移行する。このS107のセンサ判別ブロック100は、異常の発生した左側第二光学センサ31を、異常センサSaとして判別する。それと共にS107のセンサ判別ブロック100は、左側センサセットSLの第一光学センサ30と右側センサセットSRの右側第二光学センサ31とを、正常維持の正常センサSnとして判別する。
【0045】
S107に続くS108においてビーム制御ブロック120は、左側前方縮退処理を実行する。S108の左側前方縮退処理では、ビーム制御ブロック120が異常センサSaに対してビームパターンP2の調整を禁止する。それと共にS108の左側前方縮退処理では、ビーム制御ブロック120が正常センサSnのうち第一光学センサ30のビームパターンP1を前方縮退パターンPdfに制御する。正常センサSnのうち第一光学センサ30のビーム照射レンジR1では、異常センサSaのビーム照射レンジR2との重複領域RLへ向かうビームの照射密度が、領域RL外へ向かうビームの照射密度よりも密となる。これによりビームパターンP1は、異常センサSaのビーム照射レンジR2側に集中する。尚、S108においてビーム制御ブロック120は、正常センサSnのうち右側第二光学センサ31に対しては、ノーマル処理を実行する。
【0046】
S102において、右側センサセットSRの右側第二光学センサ31に異常が発生した場合に、センサ判別ブロック100がS109を実行してから、ビーム制御ブロック120がS110を実行する。ここでS109では、上述のS107において「左側」及び「右側」を互いに逆に読み替えた処理が、実行される。またS110では、上述のS108において「左側」及び「右側」を互いに逆に読み替えた処理が、実行される。特に本実施形態のS110において、正常センサSnのうち第一光学センサ30のビーム照射レンジR1では、異常センサSaのビーム照射レンジR2との重複領域RRへ向かうビームの照射密度が、領域RR外へ向かうビームの照射密度よりも密となる。これによりビームパターンP1は、異常センサSaのビーム照射レンジR2側に集中する。
【0047】
S104,S106,S108,S110におけるビーム制御ブロック120は、正常センサSn又は異常センサSaとなる各光学センサ30,31のビーム照射レンジR1,R2でのビーム照射密度を、ビームステアリング角度θに対して処理種別毎に関数化する。そこで、S104,S106,S108,S110のビーム制御ブロック120は、パターンPn,Pds,Pdfのうち、処理種別毎に関数化された密度関数Fdを満たすパターンとなるように、各光学センサ30,31のビームパターンP1,P2を制御する。尚、S104,S106,S108,S110のうち、S102での判別結果に応じたいずれかが終了すると、本フローの今回実行が完了する。
【0048】
以上より本実施形態では、S101,S102,S103,S105,S107,S109が「センサ判別プロセス」に相当し、S104,S106,S108,S110が「ビーム制御プロセス」に相当する。
【0049】
(作用効果)
ここまで説明した本実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0050】
本実施形態によると、車両2においてそれぞれ前後方向及び側方を中心に走査とするビーム照射レンジR1,R2がずれるように、第一光学センサ30及び第二光学センサ31が搭載される。このような搭載下、第一光学センサ30及び第二光学センサ31のいずれかに異常が発生した場合、当該異常の発生した異常センサSaと、正常を維持した正常センサSnとが、判別される。その結果、正常センサSnのビーム照射レンジにおけるビームパターンP1,P2が縮退パターンPdf,Pdsに制御されることで、異常センサSaのビーム照射レンジ側に集中したビーム照射によって異常センサSa分の走査を可及的にカバーし得る。故に、トータル走査能力の低下を抑制することが可能となる。
【0051】
本実施形態によると、正常センサSnのビーム照射レンジにおけるビーム照射密度をビームステアリング角度θに対して関数化した、密度関数Fdを満たす縮退パターンPdf,Pdsに、正常センサSnのビームパターンP1,P2が制御される。これによれば、異常センサSa分の走査に対するカバー率を高めるように、正常センサSnのビーム照射レンジにおいて異常センサSaのビーム照射レンジ側に集中させる領域(本実施形態ではRL,RR)を、ビームステアリング角度θに対して正確に制御し得る。故に、トータル走査能力の低下抑制に貢献することが可能となる。
【0052】
本実施形態による縮退パターンPdf,Pdsへのビームパターン制御は、正常センサSnのビーム照射レンジにおいて異常センサSaのビーム照射レンジと部分重複する重複領域RL,RRへ向かうビームを、当該領域RL,RR外へ向かうビームよりも密にする。これによれば、正常センサSnのビーム照射レンジにて異常センサSaとの重複領域RL,RRに集中することになるビームによって、異常センサSa分の走査に対するカバー率を高め得る。故に、トータル走査能力の低下抑制効果を担保することが可能となる。
【0053】
(他の実施形態)
以上、一実施形態について説明したが、本開示は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0054】
変形例のセンサ制御装置1は、デジタル回路及びアナログ回路のうち少なくとも一方をプロセッサとして含んで構成される、専用のコンピュータであってもよい。ここで特にデジタル回路とは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate ARRay)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate ARRay)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを格納したメモリを、備えていてもよい。
【0055】
変形例のセンサ系3では、図17に示すように、各光学センサ30,31においてビーム照射レンジR1,R2の起点となるビームステアリング軸Aがいずれも、一致(即ち、重畳)していてもよい。
【0056】
変形例のセンサ系3では、図18に示すように、車両2の前後方向のうち後方向をビーム照射レンジR1のビーム基準方位C1とする第一光学センサ30が、車両2におけるリア部分に搭載されていてもよい。この場合、後方を中心に走査する第一光学センサ30のビーム照射レンジR1は、前方を中心に走査する第一光学センサ30に加えて、又は加えて搭載されていてもよい。ここで特に後者の場合、前方及び後方の第一光学センサ30のうち一方が異常センサSaと判別される場合、それらセンサのうち他方が正常センサSnと判別されてノーマル処理を実行されてもよい。
【0057】
変形例のセンサ系3では、図18に示すように、光学センサ30(同図では後方のみの例),31のビーム照射レンジR1,R2が互いに部分重複することなく、完全にずれていてもよい。尚、図18の後方を中心に走査する第一光学センサ30のビーム照射レンジR1は、側方を中心に走査する各第二光学センサ31のビーム照射レンジR2と部分重複することで、それぞれ重複領域RL,RRを形成していても勿論よい。
【0058】
変形例のビーム制御ブロック120によるS104,S106,S108,S110では、等間隔又は不等間隔のビームステアリング角度θ毎のビーム強度が調整されることで、ビーム照射密度のビームパターンP1,P2が制御されてもよい。
【0059】
変形例のビーム制御ブロック120によるS106,S108,S110では、縮退パターンPds,Pdfが重複領域RL,RR外へ向かうビームを、ノーマル処理のノーマルパターンPnにおけるビームと実質同一密度としてもよい。
【0060】
変形例のビーム制御ブロック120によるS106,S108,S110では、図19(同図はS106の例)に示すように、ビームを密にする重複領域RL,RRでの密度関数Fdが、当該領域RL,RR外に対して非線形関数状に高められてもよい。この場合、ビームを密にする重複領域RL,RRでの累積分布関数Fcが、図19の如く当該領域RL,RR外の線形関数とは異なる非線形関数になる。
【符号の説明】
【0061】
1 センサ制御装置、2 車両、10 メモリ、12 プロセッサ、30 第一光学センサ、31 第二光学センサ、100 センサ判別部、120 ビーム制御部、Fd 密度関数、P1,P2 ビームパターン、Pdf,Pds 縮退パターン、R1,R2 ビーム照射レンジ、RL,RR 重複領域、Sa 異常センサ、Sn 正常センサ、θ ビームステアリング角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19