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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/01 20160101AFI20231205BHJP
【FI】
H02K11/01
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019229996
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100302
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小平 康正
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-054611(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244487(WO,A1)
【文献】特開2019-152199(JP,A)
【文献】特開2008-017635(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035349(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/084270(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/01
H05K 9/00
H02K 5/22
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータであって、
中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、
前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、
前記ロータと前記ステータを収容し、軸方向一方側に開口部を有する第1基準部材と、
前記第1基準部材に対し、前記軸方向一方側に、離れて位置する回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、前記軸方向に積層された複数のパターン層を有し、
前記回路基板の前記軸方向他方側の面には、電子部品が設けられ、
前記複数のパターン層
前記電子部品に接続される配線パターンと、
前記配線パターンよりも前記軸方向一方側に位置し、前記回路基板の板面に沿って拡がる金属層と、を含み、
前記モータは、前記軸方向において前記回路基板と前記第1基準部材とを接続する複数の金属製の柱部をさらに備え、
前記複数の柱部のそれぞれは、前記軸方向から視て、前記電子部品を囲んで互いに間隔を空けて並ぶ、モータ。
【請求項2】
前記金属層は、前記回路基板における前記複数のパターン層のうち最も前記軸方向一方側に位置するパターン層である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記電子部品から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長をλとしたと
き、前記軸方向から視た際における隣り合う前記柱部同士の間の直線距離Lは、0<L<λ/4の関係を満たす、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記電子部品から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長をλとしたとき、
前記回路基板と前記第1基準部材との間の前記軸方向の距離H は、0<H<λ/4の関係を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記電子部品から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長をλとしたとき、
前記金属層の外周縁と前記第1基準部材の内径との間の前記径方向の距離Rは、0<R<λ/4の関係を満たす、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1基準部材は前記モータのハウジングである、請求項1から5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記電子部品は複数設けられ、
前記複数の電子部品のうち少なくとも2つの電子部品は、電気的に接続されて電子回路を構成し、
前記電子回路は、前記第1基準部材と電気的に接続されて接地される、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記電子回路が接地のために電気的に接続される前記第1基準部材の箇所は1箇所のみである、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記電子部品は複数設けられ、
前記複数の電子部品のうち少なくとも2つの電子部品は、電気的に接続されて電子回路を構成し、
前記電子回路は、第2基準電位を有する第2基準部材と電気的に接続されて接地され、
前記第1基準部材と前記第2基準部材とは、互いに絶縁される請求項1から8のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記第2基準部材は、前記モータが搭載される機器の筐体である、請求項9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ等の電子部品を搭載したモータが知られる。例えば、特許文献1には、電子部品として、インバータを含むモータ駆動用高電圧回路等が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-112261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータにおいては、電子部品から電磁ノイズが生じる。そのため、例えば、電子部品を金属ケースで囲むことによって、電子部品から生じる電磁ノイズがモータの外部に漏れることを抑制する。しかし、この場合、金属ケースが比較的大型となりやすく、モータ全体が大型化する場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、大型化を抑制しつつ、電子部品から生じる電磁ノイズが外部に漏れることを抑制できる構造を有するモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータと、前記ロータと前記ステータを収容し、軸方向一方側に開口部を有する第1基準部材と、前記第1基準部材の開口部側に、軸方向に前記第1基準部材と離間して設けられた回路基板と、を備える。前記回路基板の前記第1基準部材側の面には、電子部品と、前記電子部品に接続するパターン層とが設けられる。前記回路基板における前記パターン層のうちの1つは、前記回路基板の板面に沿って拡がる金属層である。前記モータは、前記回路基板と前記第1基準部材との間で軸方向に延びて前記回路基板と前記第1基準部材とを接続する複数の金属製の柱部をさらに備える。前記複数の柱部のそれぞれは、前記軸方向に沿って視て、前記電子部品を囲んで互いに間隔を空けて並ぶ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータの大型化を抑制しつつ、電子部品から生じる電磁ノイズが外部に漏れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態のモータの一部を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態のモータの制御装置の一部を上側から視た図である。
図4図4は、第2実施形態のモータの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態のモータ10は、ハウジング11と、ロータ20と、ステータ30と、ベアリングホルダ40と、ベアリング51,52と、制御装置60と、を備える。ハウジング11は、ロータ20、ステータ30、ベアリングホルダ40およびベアリング51,52を収容する。ハウジング11は、上側に開口する筒状である。より詳細には、ハウジング11は、中心軸Jを中心とする円筒状である。本実施形態においてハウジング11は、金属製である。
【0012】
ロータ20は、シャフト21とロータ本体22と、を有する。シャフト21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。ロータ本体22は、シャフト21の外周面に固定される。図示は省略するが、ロータ本体22は、ロータコアと、ロータマグネット、を有する。
【0013】
ステータ30は、ロータ20と隙間を介して径方向に対向する。本実施形態においてステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ34と、複数のコイル35と、を有する。ステータコア31は、中心軸Jを中心とする環状のコアバック32と、コアバック32から径方向内側に延びる複数のティース33と、を有する。複数のコイル35は、インシュレータ34を介して複数のティース33のそれぞれに装着される。
【0014】
ベアリングホルダ40は、ハウジング11の内周面に固定される。ベアリングホルダ40は、ベアリング52を保持する。
【0015】
制御装置60は、モータ10の駆動を制御する装置である。制御装置60は、ハウジング11の上側に位置する。制御装置60は、ハウジング11の外部に露出する。制御装置60は、ハウジング11から延びた複数の柱部80によって下側から支持されて、ハウジング11に固定される。図1および図2に示すように、制御装置60は、回路基板61と、電子部品70と、を有する。モータ10は、回路基板61と、電子部品70と、複数の柱部80と、を備える。
【0016】
回路基板61は、軸方向に積層された複数のパターン層を有する多層基板である。本実施形態において回路基板61は、パターン層を有する2層基板である。回路基板61は、ハウジング11と接している。回路基板61は、ステータ30の上側に位置する。回路基板61は、ハウジング11の上側の開口を覆う。本実施形態において回路基板61は、中心軸Jを中心とする円盤状である。
【0017】
図2に示すように、回路基板61は、基板本体61aと、金属層61bと、配線パターン61cと、を有する。基板本体61aは、円板状の絶縁部材である。金属層61bは、回路基板61の板面に沿って拡がる金属製の層である。金属層61bは、回路基板61における複数のパターン層のうちの1つである。本実施形態において金属層61bは、回路基板61における複数のパターン層のうち最も上側に位置するパターン層である。金属層61bは、いわゆるベタパターンである。本実施形態において金属層61bを構成する金属は、非磁性体である。金属層61bを構成する金属は、例えば、銅である。
【0018】
配線パターン61cは、電子部品70と電気的に接続される金属パターンである。配線パターン61cは、回路基板61におけるパターン層のうちの1つである。すなわち、回路基板61は、2つのパターン層として、金属層61bと配線パターン61cを有する。本実施形態において配線パターン61cは、回路基板61における複数のパターン層のうち最も下側に位置するパターン層である。配線パターン61cは、基板本体61aの下側の面に設けられる。
【0019】
回路基板61の下側の面には、コネクタ91が固定される。金属配線91aは、配線パターン61cと電気的に接続される。図3に示すように、コネクタ91からは、例えば3本のケーブル92a、92b、92cが径方向外側に延びる。ケーブル92aは、電子部品70に電力を供給する電源線である。ケーブル92bは、電子部品70との間の信号伝達用の信号線である。ケーブル92cは、電子部品70との間のGND線である。各ケーブル92a,92b,92cは、コネクタ91からハウジング11と回路基板61との軸方向の間を介して、回路基板61の径方向外側に延びる。図示は省略するが、ケーブル92a,92b,92cは配線パターン61cを介して電子部品70と電気的に接続される。
【0020】
図2に示すように、回路基板61は、回路基板61を軸方向に貫通した柱部80によって下側から支持されてハウジング11に固定される。回路基板61はハウジング11と電気的に接続される。本実施形態において柱部80と金属層61bは半田付けされている。これにより、金属層61b、柱部80を介して回路基板61がハウジング11と電気的に接続される。本実施形態においてハウジング11は、第1基準電位を有する第1基準部材である。すなわち、回路基板61は、第1基準電位を有する第1基準部材であるハウジング11と電気的に接続されて接地される。
【0021】
電子部品70は、回路基板61の板面のハウジング11側に取り付けられる。そのため、電子部品70から上側に放出される電磁ノイズを回路基板61によって遮断することができる。このように、回路基板61を利用して電子部品70から生じる電磁ノイズの一部を遮断できるため、制御装置60を金属ケースで覆わなくても電磁ノイズがモータ10の外部に漏れることを抑制できる。これにより、金属ケースを設けない分、モータ10を小型化でき、コストの低減につながる。したがって、モータ10の大型化を抑制しつつ、電子部品70から生じる電磁ノイズがモータ10の外部に漏れることを抑制できる。
【0022】
本実施形態において電子部品70は、複数設けられる。電子部品70は、インバータ71と、回転センサ72と、コンデンサ73と、コンバータ74と、マイコン75と、を含む。
【0023】
複数の電子部品70の少なくとも2つの電子部品70は、電気的に接続されて電子回路70aを構成する。本実施形態において電子回路70aは、インバータ71と回転センサ72とコンデンサ73とコンバータ74とマイコン75とが電気的に接続されて構成される。本実施形態において電子回路70aを構成する各電子部品70は、配線パターン61cを介して電気的に接続される。本実施形態において電子回路70aは、配線パターン61cに含まれる接地部63が基板本体61aを軸方向に貫通して金属層61bと接続される。これにより、電子回路70aは、金属層61b、柱部80を介して第1基準部材であるハウジング11と電気的に接続されて接地される。このように、本実施形態によれば、回路基板61に設けられた金属層61bと接続することで、電子回路70aを接地できる。そのため、電子回路70aを接地することが容易である。
【0024】
本実施形態において電子回路70aは、接地部63のみで金属層61bと接続され、電子回路70aが接地のために電気的に接続される金属層の箇所は1箇所のみである。そのため、金属層およびハウジング11と電子回路70aとを通る閉回路が構成されない。これにより、仮に金属層またはハウジング11に渦電流が生じて、金属層またはハウジング11に電位差が生じた場合であっても、金属層およびハウジング11を通って電子回路70aに電流が流れることが抑制される。したがって、電子回路70aに不要な電流が流れることを抑制でき、電子回路70aが誤作動することを抑制できる。
【0025】
なお、本明細書において「電子回路が接地のために電気的に接続される金属層の箇所は、1箇所のみである」とは、金属層の1箇所のみに電子回路が電気的に接続されればよく、電子回路において金属層と電気的に接続される複数の部分は、すべて金属層の1箇所に接続される。また、金属層の「1箇所」とは、電気的に1箇所とみなさせる金属層の部分を含む。具体的には、インピーダンスが比較的小さく電位差が生じにくい範囲内であれば、電気的に1箇所とみなすことができる。
【0026】
インバータ71は、複数のトランジスタを有する。インバータ71は、ステータ30のコイル35と電気的に接続される。コイル35は、インバータ71から電力が供給される。本実施形態では、回路基板61がステータ30の上側に位置する。そのため、コイル35をインバータ71と電気的に接続しやすい。
【0027】
回転センサ72は、ロータ20の回転を検出する。回転センサ72は、シャフト21の上側の端部に取り付けられた図示しないセンサマグネットの磁界を検出してロータ20の回転を検出する磁気センサである。回転センサ72は、例えば、磁気抵抗素子である。上述したように金属層61bを構成する金属は、非磁性体である。なお、回転センサ72は、ホールIC等のホール素子であってもよい。
【0028】
複数の柱部80は、ハウジング11の一部が軸方向に延び、回路基板61とハウジング11との間に位置する。本実施形態において柱部80は、ハウジング11の開口部と回路基板61の上側の金属層61bの面とを繋ぐ。
【0029】
図3に示すように、本実施形態において、柱部80は、例えば8つ設けられる。複数の柱部80は互いに間隔を空けて周方向に沿って配置される。本実施形態において柱部80は、電子部品70よりも径方向外側に位置する。これにより、複数の柱部80は、軸方向に沿って視て、電子部品70を囲んで互いに間隔を空けて並ぶ。
【0030】
このように、軸方向に沿って視て電子部品70を囲む複数の柱部80のそれぞれは、金属層61bに半田付けすることにより、電気的に接続されている。そのため、電子部品70から径方向外側に放出される電磁ノイズの少なくとも一部を柱部80によって遮断できる。これにより、金属ケースを設けなくても、回路基板61との軸方向の間に位置する柱部80を利用して電子部品70から生じる電磁ノイズをより遮断できる。したがって、モータ10の大型化を抑制しつつ、電子部品70から生じる電磁ノイズがモータ10の外部に漏れることをより抑制できる。
【0031】
本実施形態では、電子部品70から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長をλとしたとき、軸方向に沿って視た際における隣り合う柱部80同士の間の距離Lは、0<L<λ/4の関係を満たす。距離Lは、軸方向に沿って視た際の柱部80同士の間の直線距離である。図3では、距離Lを周方向に隣り合う柱部80同士の距離として示す。また、本実施形態では、金属層61bと第1基準部材であるハウジング11との間の軸方向の距離は、0<H<λ/4の関係を満たす。図2に示すように、距離Hは、金属層61bとハウジング11との間の軸方向距離である。
【0032】
電磁ノイズは、電磁ノイズを遮断する部分同士の間隔がその電磁ノイズの波長の1/4よりも小さい場合、電磁ノイズを遮断する部分同士の間を通過できない。そのため、0<L<λ/4および0<H<λ/4の関係が満たされている場合、電子部品70から生じるすべての周波数の電磁ノイズは、柱部80同士の周方向の間を通過することができない。これにより、電子部品70から径方向外側に放出される電磁ノイズを複数の柱部80によってより好適に遮断することができる。
【0033】
一例として、マイコン75のクロック周波数が100MHzである場合、マイコン75から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数は、例えば、クロック周波数の20倍の2GHz程度である。そのため、マイコン75から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長λは、0.15mである。したがって、距離Lおよび距離Hが0.0375mよりも小さければ、複数の柱部80によってマイコン75から径方向外側に放出される電磁ノイズを遮断できる。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、金属層61bと第1基準部材であるハウジング11とによって、電子部品70から軸方向両側に放出される電磁ノイズを遮断でき、金属層61bと柱部80によって電子部品70から径方向外側に放出される電磁ノイズを遮断できる。そのため、回路基板61と複数の柱部80とを利用して、電子部品70から生じる電磁ノイズをより好適に遮断できる。これにより、モータ10の大型化を抑制しつつ、モータ10の外部に電磁ノイズが漏れることをより好適に抑制できる。本実施形態では、金属層61bと第1基準部材であるハウジング11との間の軸方向の距離Hは例えば、距離Lよりも小さい。
【0035】
また、本実施形態によれば、柱部80は、間隔を空けて並んで配置されるため、柱部80同士の間から、上述したケーブル92a、92b、92c等を引き出すことができる。そのため、金属ケースを設ける場合に比べて、電子部品70の配線を容易にできる。また、柱部80同士の間からモータ10の外部の空気を取り入れられる。そのため、制御装置60の放熱性を向上できる。
【0036】
本実施形態において柱部80は、軸方向に沿って視て、回路基板61における配線領域Cを囲んで設けられる。配線領域Cは、回路基板61の下側の面のうち配線パターン61cが設けられる領域である。これにより、配線パターン61cから生じる電磁ノイズを柱部80によって遮断できる。したがって、モータ10の外部に電磁ノイズが漏れることをより抑制できる。図3の例では、配線領域Cは、中心軸Jを中心とする円形の領域である。柱部80は、配線領域C上に位置する。
【0037】
また、図示は省略するが、金属層61bの径は第1基準部材であるハウジング11の径よりも小さい場合がある。電子部品70から生じる電磁ノイズの周波数のうち最も高い周波数の波長をλとしたとき、金属層61bの外周縁と第1基準部材であるハウジング11の内径との間の径方向の距離Rは、0<R<λ/4の関係を満たす。このとき、0<L<λ/4および0<H<λ/4の関係も満たすとさらに良い。
【0038】
電磁ノイズは、電磁ノイズを遮断する部分同士の間隔がその電磁ノイズの波長の1/4よりも小さい場合、電磁ノイズを遮断する部分同士の間を通過できない。そのため、0<R<λ/4、0<L<λ/4および0<H<λ/4の関係が満たされている場合、電子部品70から生じるすべての周波数の電磁ノイズは、金属層61bの外周縁と第1基準部材であるハウジング11の内径との間を通過することができない。これにより、電子部品70から径方向外側に放出される電磁ノイズをより好適に遮断することができる。
【0039】
<第2実施形態>
図4に示すように、本実施形態のモータ110において、回路基板161は、半田付けすることによってハウジング11に固定される。柱部180は、回路基板161に設けられた貫通孔161dを通って金属層161bに接触する。これにより、金属層161bは、ハウジング11と電気的に接続されて接地される。
【0040】
回路基板161の下側の面には、コネクタ196が固定される。コネクタ196の内部には、金属配線196aが設けられる。金属配線196aは、配線パターン161cの接地部163と電気的に接続される。コネクタ196からは、ケーブル197が延びる。ケーブル197は、コネクタ196から径方向外側に引き出される。
【0041】
ケーブル197は、モータ110が搭載される図示しない機器の筐体DHに電気的に接続される。これにより、電子回路170aは、金属配線196aおよびケーブル197を介して筐体DHと電気的に接続されて接地される。筐体DHは、第2基準電位を有する第2基準部材である。第1基準部材であるハウジング11と第2基準部材である筐体DHとは互いに絶縁される。そのため、金属層161bと電子回路170aとの間で電流が流れることがなく、電子回路170aに不要な電流が流れることをより抑制できる。したがって、電子回路170aが誤動作することをより抑制できる。
【0042】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。電子部品の数は、特に限定されず、1つであってもよい。電子回路は、複数の電子部品のうち一部の電子部品のみで構成されてもよい。電子回路は、複数設けられてもよい。電子回路の接地方法は、特に限定されない。例えば、ネジを用いて金属層とハウジングとを電気的に接続してもよい。この場合には、例えば、ネジは回路基板を軸方向に貫通するが、配線パターンとネジとは絶縁させる。第2実施形態において説明したコネクタ196は、回路基板161の上側の金属層161b側に設けられてもよい。
【0043】
回路基板は、多層基板であれば、3層以上の多層基板であってもよい。この場合、回路基板における金属層は、絶縁層によって軸方向に挟まれた層であってもよい。回路基板がステータに対して配置される方向は、軸方向以外の方向であってもよく、例えば、径方向であってもよい。
【0044】
柱部は、特に限定されない。柱部はハウジングと別体でもよい。柱部は、例えば、スペーサ部材でもよい。柱部同士の距離Lは、λ/4より大きくてもよい。柱部は、金属部を有していてもよい。ハウジングの材料は、特に限定されない。ハウジングは、樹脂製であってもよい。この場合、第1基準部材は、モータが搭載される筐体であってもよい。
【0045】
上述した実施形態のモータの用途は、特に限定されない。上述した実施形態のモータは、例えば、掃除機等に搭載される。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
10,110…モータ、11…ハウジング(第1基準部材)、20…ロータ、21…シャフト、30…ステータ、61,161…回路基板、61b、161b…金属層、70…電子部品、70a,170a…電子回路、71…インバータ、72…回転センサ、73…コンデンサ、74…コンバータ、75…マイコン、80,180…柱部、DH…筐体(第2基準部材)H,L,R…距離、J…中心軸、λ…波長

図1
図2
図3
図4