(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231205BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G15/08 229
(21)【出願番号】P 2019231468
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】田尻 文威
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】田中 訓史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知範
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貞治
(72)【発明者】
【氏名】今枝 寛雄
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-151118(JP,A)
【文献】特開2015-069039(JP,A)
【文献】特開2012-128261(JP,A)
【文献】特開2017-116585(JP,A)
【文献】特開2018-049101(JP,A)
【文献】特開2017-151319(JP,A)
【文献】特開2015-191206(JP,A)
【文献】特開2008-096633(JP,A)
【文献】特開2016-014774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0263487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成するベルトを有する第2定着部材と、
前記ローラを駆動する定着モータと、
前記ニップ部のニップ圧を、シートに現像剤像を定着させる際に設定される第1ニップ圧と、前記定着モータが停止している際に設定される第2ニップ圧であって、前記第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧とに変更可能な圧力変更機構と、
感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像ローラと、
前記現像ローラを駆動する現像モータと、
前記現像ローラの状態を、前記現像ローラが前記感光体に圧接した圧接状態と、前記現像ローラが前記感光体から離間した離間状態とに切り替える切替機構と、
前記現像モータの駆動力が前記切替機構に伝達される第1伝達状態と、前記現像モータの駆動力が前記切替機構に伝達されない第1切断状態とに切替可能な現像クラッチと、
前記現像モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達される第2伝達状態と、前記現像モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達されない第2切断状態とに切替可能な圧力変更クラッチと、
前記定着モータおよび前記圧力変更機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、印字指令を受信した場合に、前記定着モータを駆動させた後、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートに現像剤像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に駆動力を与えるプロセスモータと、
前記第1定着部材を加熱するヒータと、を備え、
前記制御部は、
前記ヒータをOFF状態とするスリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更した後に、前記プロセスモータを駆動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度が所定値以上になったときに、前記定着モータを駆動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記定着モータの回転速度が一定になった後に、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度を印字時の温度よりも低い準備温度に維持するレディモードにおいて印字指令を受信した場合には、受信した印字データを画像形成装置で使用可能なデータに展開する展開処理が完了した後に、前記定着モータを駆動させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記定着モータの回転速度が一定になった後に、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
シートに現像剤像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に駆動力を与えるプロセスモータと、を備え、
前記制御部は、
前記レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更する処理が完了するまでに、前記プロセスモータの駆動を開始することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記圧力変更機構は、
前記ニップ圧が前記第1ニップ圧となる第1位置と、前記ニップ圧が前記第2ニップ圧となる第2位置との間で回動可能なカムであって、前記現像モータの正回転によって前記第2位置から前記第1位置に向けて回動し、前記現像モータの逆回転によって前記第1位置から前記第2位置に向けて回動するカムを備え、
前記制御部は、印字指令を受信した場合において前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更する場合には、前記現像クラッチが前記第1切断状態となっている状態で前記現像モータを正回転させた後、前記圧力変更クラッチを前記第2伝達状態にすることで、前記カムを前記第2位置から前記第1位置に向けて回動させることを特徴とする請求項
1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記カムを前記第2位置から前記第1位置に向けて回動させる場合の前記現像モータの回転速度を、印字中の回転速度よりも小さくすることを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1定着部材を加熱するヒータを備え、
前記制御部は、
前記ヒータをOFF状態とするスリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータを駆動した後に、前記現像モータを駆動し、
前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度を印字時の温度よりも低い準備温度に維持するレディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記現像モータを駆動した後に、前記定着モータを駆動することを特徴とする請求項
1から請求項
9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2定着部材は、
前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む上流パッドと、
前記上流パッドに対してシートの搬送方向の下流側に配置され、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む下流パッドと、を備え、
前記ニップ圧が前記第1ニップ圧の場合には、前記上流パッドおよび前記下流パッドの両方と前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟み、
前記ニップ圧が前記第2ニップ圧の場合には、前記上流パッドと前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟み、前記下流パッドと前記第1定着部材との間では前記ベルトを挟まないことを特徴とする請求項1から請求項1
0のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2ニップ圧は、前記圧力変更機構で変更するニップ圧の範囲のうち最小のニップ圧であることを特徴とする請求項1から請求項1
1のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ニップ部は、前記ローラと前記ベルトの間に形成されることを特徴とする請求項1から請求項1
2のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第2定着部材は、前記カムの回転に伴って、ニップ位置と、前記ニップ位置よりも前記ローラから離れたニップリリース位置との間で移動することを特徴とする請求項
8または請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項15】
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成するベルトを有する第2定着部材と、
前記ローラを駆動する定着モータと、
前記ニップ部のニップ圧を、シートに現像剤像を定着させる際に設定される第1ニップ圧と、前記定着モータが停止している際に設定される第2ニップ圧であって、前記第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧とに変更可能な圧力変更機構と、
感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像ローラと、
前記現像ローラの状態を、前記現像ローラが前記感光体に圧接した圧接状態と、前記現像ローラが前記感光体から離間した離間状態とに切り替える切替機構と、
前記定着モータ、前記圧力変更機構および前記切替機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、印字指令を受信した場合に、前記定着モータを駆動させた後、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更し、前記ニップ圧を前記第1ニップ圧に変更した後、前記現像ローラの状態を、前記離間状態から前記圧接状態に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成するベルトを有する第2定着部材と、
前記ローラを駆動する定着モータと、
前記ニップ部のニップ圧を、シートに現像剤像を定着させる際に設定される第1ニップ圧と、前記定着モータが停止している際に設定される第2ニップ圧であって、前記第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧とに変更可能な圧力変更機構と、
前記圧力変更機構に駆動力を与えるモータと、
前記モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達される伝達状態と、前記モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達されない切断状態とに切替可能な圧力変更クラッチと、
前記定着モータ、前記圧力変更機構、前記モータおよび前記圧力変更クラッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、印字指令を受信した場合に、前記定着モータと前記モータを駆動させた後、前記定着モータおよび前記モータの回転速度が安定したことを条件として前記圧力変更クラッチを前記伝達状態にすることで、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに現像剤像を定着させる定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、ベルトおよびベルトの内側に配置されるヒータおよびニップ板を備える加熱体と、ニップ板との間でベルトを挟む加圧ローラとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、加熱体の位置を、加熱体が加圧ローラに圧接した圧接位置と、加熱体が加圧ローラから離れた離間位置との間で、切り替えることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した構成では、非印字時において、加熱体の位置を離間位置にしておき、印字を開始する際に、加熱体の位置を離間位置から圧接位置に切り替えることが望まれている。しかしながら、印字を開始する際において、加熱体の位置を離間位置から圧接位置へ切り替えた後、加圧ローラの回転を開始する場合には、加熱体と加圧ローラとの間で大きなニップ圧がかかった状態のベルトを加圧ローラで回そうとするため、ベルトが摩耗してベルトが摩耗してダメージを受けるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、印字を開始する際においてベルトがダメージを受けるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ローラを有する第1定着部材と、前記第1定着部材との間でニップ部を形成するベルトを有する第2定着部材と、前記ローラを駆動する定着モータと、前記ニップ部のニップ圧を、シートに現像剤像を定着させる際に設定される第1ニップ圧と、前記定着モータが停止している際に設定される第2ニップ圧であって、前記第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧とに変更可能な圧力変更機構と、前記定着モータおよび前記圧力変更機構を制御する制御部と、を備える。
前記制御部は、印字指令を受信した場合に、前記定着モータを駆動させた後、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更する。
【0007】
この構成によれば、例えば印字指令を受信した場合においてニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更した後に定着モータを駆動させる構成に比べ、定着モータをニップ圧変更よりも先に駆動させることで、回転した状態の第1定着部材がベルトに強く圧接される前に、ベルトが従動回転するので、ベルトがダメージを受けるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記画像形成装置は、シートに現像剤像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に駆動力を与えるプロセスモータと、前記第1定着部材を加熱するヒータと、を備え、前記制御部は、前記ヒータをOFF状態とするスリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更した後に、前記プロセスモータを駆動してもよい。
【0009】
これによれば、例えばニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する前にプロセスモータを駆動する構成に比べ、画像形成部を構成する各部材の消耗を抑えることができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度が所定値以上になったときに、前記定着モータを駆動させてもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記定着モータの回転速度が一定になった後に、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度を印字時の温度よりも低い準備温度に維持するレディモードにおいて印字指令を受信した場合には、受信した印字データを画像形成装置で使用可能なデータに展開する展開処理が完了した後に、前記定着モータを駆動させてもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記定着モータの回転速度が一定になった後に、前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更してもよい。
【0014】
また、前記画像形成装置は、シートに現像剤像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に駆動力を与えるプロセスモータと、を備え、前記制御部は、前記レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータの駆動を開始してから前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更する処理が完了するまでに、前記プロセスモータの駆動を開始してもよい。
【0015】
これによれば、プロセスモータの駆動開始を、定着モータの駆動開始後に行うので、画像形成部を構成する各部材の消耗を抑えることができる。また、プロセスモータの駆動開始を、ニップ圧を変更する処理の完了前に行うので、印字指令を受信してから印字が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0016】
また、前記画像形成装置は、感光体と、前記感光体に現像剤を供給する現像ローラと、前記現像ローラを駆動する現像モータと、前記現像ローラの状態を、前記現像ローラが前記感光体に圧接した圧接状態と、前記現像ローラが前記感光体から離間した離間状態とに切り替える切替機構と、前記現像モータの駆動力が前記切替機構に伝達される第1伝達状態と、前記現像モータの駆動力が前記切替機構に伝達されない第1切断状態とに切替可能な現像クラッチと、前記現像モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達される第2伝達状態と、前記現像モータの駆動力が前記圧力変更機構に伝達されない第2切断状態とに切替可能な圧力変更クラッチと、をさらに備えていてもよい。
【0017】
これによれば、現像モータの駆動力を現像ローラの圧接・離間とニップ圧の変更とに利用するので、コストの低下を図ることができる。
【0018】
また、前記圧力変更機構は、前記ニップ圧が前記第1ニップ圧となる第1位置と、前記ニップ圧が前記第2ニップ圧となる第2位置との間で回動可能なカムであって、前記現像モータの正回転によって前記第2位置から前記第1位置に向けて回動し、前記現像モータの逆回転によって前記第1位置から前記第2位置に向けて回動するカムを備え、前記制御部は、印字指令を受信した場合において前記ニップ圧を前記第2ニップ圧から前記第1ニップ圧に変更する場合には、前記現像クラッチが前記第1切断状態となっている状態で前記現像モータを正回転させた後、前記圧力変更クラッチを前記第2伝達状態にすることで、前記カムを前記第2位置から前記第1位置に向けて回動させてもよい。
【0019】
また、前記制御部は、前記カムを前記第2位置から前記第1位置に向けて回動させる場合の前記現像モータの回転速度を、印字中の回転速度よりも小さくしてもよい。
【0020】
これによれば、ニップ圧を変更するときの現像モータの回転速度を印字中の回転速度よりも小さくするので、カムを駆動する際に発生する音を低減することができる。
【0021】
また、前記画像形成装置は、前記第1定着部材を加熱するヒータを備え、前記制御部は、前記ヒータをOFF状態とするスリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記定着モータを駆動した後に、前記現像モータを駆動し、前記第1定着部材または前記第2定着部材の温度を印字時の温度よりも低い準備温度に維持するレディモードにおいて印字指令を受信した場合には、前記現像モータを駆動した後に、前記定着モータを駆動してもよい。
【0022】
また、前記第2定着部材は、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む上流パッドと、前記上流パッドに対してシートの搬送方向の下流側に配置され、前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟む下流パッドと、を備え、前記ニップ圧が前記第1ニップ圧の場合には、前記上流パッドおよび前記下流パッドの両方と前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟み、前記ニップ圧が前記第2ニップ圧の場合には、前記上流パッドと前記第1定着部材との間で前記ベルトを挟み、前記下流パッドと前記第1定着部材との間では前記ベルトを挟まなくてもよい。
【0023】
また、前記第2ニップ圧は、前記圧力変更機構で変更するニップ圧の範囲のうち最小のニップ圧であってもよい。
【0024】
これによれば、ベルトと、ベルトを第1定着部材とは反対側から支える部材(例えばパッド)との摺接によるベルトのダメージを抑制することができる。
【0025】
また、前記ニップ部は、前記ローラと前記ベルトの間に形成されていてもよい。
【0026】
また、前記第2定着部材は、前記カムの回転に伴って、ニップ位置と、前記ニップ位置よりも前記ローラから離れたニップリリース位置との間で移動するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、印字を開始する際においてベルトがダメージを受けるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【
図3】ベルトの内側に配置される各部材を示す分解斜視図である。
【
図5】ニップ圧が最大ニップ圧であるときの、圧力変更機構を示す断面図(a)と、ニップ部周りの構造を示す断面図(b)である。
【
図6】ニップ圧が第2ニップ圧であるときの、圧力変更機構を示す断面図(a)と、ニップ部周りの構造を示す断面図(b)である。
【
図7】各種センサと、制御部と、制御部の制御対象との関係を示す図である。
【
図8】制御部のスリープモードにおける動作を示すフローチャートである。
【
図9】制御部のレディモードにおける動作を示すタイムチャートである。
【
図10】制御部のスリープモードにおける動作の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体2内に、シートSを供給する供給部20と、シートSにトナー像を形成する画像形成部30と、シートSにトナー像を定着させる定着装置80と、画像が形成されたシートSを排出する排出部90と、制御部100とを備えている。
【0030】
本体筐体2の上部には、開口部2Aが形成されており、この開口部2Aは、本体筐体2に回動可能に支持されるアッパーカバー3で開閉される。アッパーカバー3の上面は、本体筐体2から排出されたシートSを蓄積する排出トレイ4となっており、下面にはLEDユニット40を保持する複数のLED取付部材5が設けられている。
【0031】
供給部20は、本体筐体2内の下部に設けられ、本体筐体2に着脱可能な供給トレイ21と、供給トレイ21からシートSを画像形成部30へ搬送する供給機構22とを備えている。供給機構22は、ピックアップローラ23、分離ローラ24、分離パッド25およびレジストレーションローラ26を備えている。
【0032】
供給部20では、供給トレイ21内のシートSがピックアップローラ23によって送り出される。次いで、シートSは、分離ローラ24および分離パッド25によって、一枚ずつに分離される。その後、レジストレーションローラ26は、シートSの先端の位置を揃えた後、画像形成部30に向けてシートSを搬送する。詳しくは、レジストレーションローラ26は、搬送されてきたシートSに対して停止した状態で接触してシートSの先端の位置を揃え、回転を開始することでシートSを送り出す。
【0033】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、ベルトクリーナ10とを備えている。
【0034】
LEDユニット40は、LED取付部材5に対して揺動可能に連結されており、本体筐体2に設けられる位置決め部材によって適宜位置決めされて支持されている。
【0035】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー3と供給部20との間で前後方向に並んで配置されている。プロセスカートリッジ50は、感光体の一例としての感光ドラム51、帯電器52、現像ローラ53、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容室54、クリーニングローラ55などを備えて構成されている。
【0036】
プロセスカートリッジ50は、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の各色のトナーが入った50K,50Y,50M,50Cの符号で示すものがシートSの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応した感光ドラム51、現像ローラ53、クリーニングローラ55などを特定する場合には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応させて、K、Y、M、Cの記号を付することとする。
【0037】
感光ドラム51は、トナーを担持可能な部材である。詳しくは、感光ドラム51の表面のうちLEDユニット40で露光された部分が、トナーを担持する。感光ドラム51は、複数のプロセスカートリッジ50のそれぞれに設けられている。感光ドラム51は、シートSの搬送方向に沿って一列に配列されている。
【0038】
現像ローラ53は、トナーを担持するローラである。現像ローラ53は、感光ドラム51に接触して感光ドラム51上の静電潜像にトナーを供給するように構成されている。
【0039】
現像ローラ53は、後述する切替機構SW(
図7参照)を制御部100により制御することで、感光ドラム51に対して近接・離間可能となっている。具体的に、カラーモードにおいては、すべての現像ローラ53K,53Y,53M,53Cが、それぞれ対応する感光ドラム51K,51Y,51M,51Cに接触して各感光ドラム51K,51Y,51M,51Cにトナーを供給するようになっている。また、モノクロモードにおいては、ブラック用の現像ローラ53Kのみが感光ドラム51Kに接触し、その他の3色の現像ローラ53Y,53M,53Cは、対応する感光ドラム51Y,51M,51Cから離間するようになっている。さらに、後述するクリーニング処理においては、すべての現像ローラ53K,53Y,53M,53Cは、それぞれ対応する感光ドラム51K,51Y,51M,51Cから離間するようになっている。
【0040】
クリーニングローラ55は、感光ドラム51上のトナーを回収可能な部材である。クリーニングローラ55は、各感光ドラム51に対応するように各感光ドラム51に隣接して1つずつ設けられている。
【0041】
転写ユニット70は、供給部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。
【0042】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間に無端状のベルト73が張設されている。ベルト73は、シートSを搬送するための部材である。ベルト73の外周面は、感光ドラム51に接触している。ベルト73の内側には、転写ローラ74が、各感光ドラム51に対向して4つ配置されている。
【0043】
転写ローラ74は、感光ドラム51との間でベルト73を挟んでいる。シートSは、ベルト73と感光ドラム51によって搬送される。
【0044】
ベルトクリーナ10は、ベルト73に摺接して、ベルト73上に付着したトナー等を回収する装置であり、ベルト73の下方に配置されている。具体的に、ベルトクリーナ10は、摺接ローラ11と、回収ローラ12と、ブレード13と、廃トナー収容器14とを備えている。
【0045】
摺接ローラ11は、ベルト73の外周面に接触するように配置されている。摺接ローラ11は、バックアップローラ15との間でベルト73を挟んでいる。摺接ローラ11は、ベルト73上の付着物を回収している。
【0046】
回収ローラ12は、摺接ローラ11に摺接するローラであり、摺接ローラ11上に付着した付着物を回収している。そして、回収ローラ12上の付着物は、回収ローラ12に摺接するように配置されたブレード13によって削り取られて、廃トナー収容器14内に入り込むようになっている。
【0047】
定着装置80は、第1定着部材81と、第2定着部材82とを備えている。なお、定着装置80の構造については、後で詳述する。
【0048】
このように構成される画像形成部30では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40で露光される。これにより、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0049】
ベルト73上に供給されたシートSが感光ドラム51とベルト73の内側に配置される転写ローラ74との間を通過することで、感光ドラム51上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが第1定着部材81と第2定着部材82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0050】
排出部90は、排出側搬送経路91と、複数の搬送ローラ92とを備えている。トナー像が熱定着されたシートSは、搬送ローラ92によって排出側搬送経路91を搬送され、本体筐体2の外部に排出されて排出トレイ4に蓄積される。
【0051】
図2に示すように、定着装置80は、ヒータ110と、第1定着部材81と、第2定着部材82と、後述する圧力変更機構300(
図4参照)とを備えている。第2定着部材82は、後述する圧力変更機構300によって第1定着部材81に向けて付勢されている。なお、以下の説明では、第2定着部材82を第1定着部材81に付勢する方向を、「所定方向」と称する。本実施形態では、所定方向は、後述する幅方向および移動方向と直交する方向であり、第1定着部材81と第2定着部材82が向かい合う方向である。
【0052】
第1定着部材81は、回転可能なローラ120を有する。第2定着部材82は、第1定着部材81との間でニップ部NPを形成する部材である。第2定着部材82は、ベルト130と、ニップ形成部材Nと、ホルダ140と、ステイ200と、ベルトガイドGと、摺動シート150とを備えている。なお、以下の説明では、ベルト130の幅方向を単に「幅方向」という。幅方向は、ローラ120の回転軸線が延びる方向、つまりローラ120の軸方向である。幅方向は、所定方向に直交している。
【0053】
ヒータ110は、ハロゲンランプであり、通電によって発光するとともに発熱し、輻射熱によってローラ120を加熱する。ヒータ110は、ローラ120の回転軸線に沿ってローラ120の内側を通るように配置されている。
【0054】
ローラ120は、幅方向に長い筒状のローラであり、ヒータ110によって加熱される。ローラ120は、金属などからなる素管121と、素管121の外周面を覆う弾性層122とを有している。弾性層122は、シリコンゴムなどのゴムからなる。ローラ120は、後述するサイドフレーム83(
図4参照)に回転可能に支持されており、本体筐体2内に設けられた定着モータM2(
図7参照)から駆動力が入力されることで
図2の反時計回りに回転駆動する。
【0055】
ベルト130は、長尺筒状の部材であり、可撓性を有している。ベルト130は、第1定着部材81、詳しくはローラ120との間でニップ部NPを形成している。図示は省略するが、ベルト130は、金属や樹脂などからなる基材と、基材の外周面を覆う離型層とを有している。ベルト130は、ローラ120が回転したときにローラ120またはシートSとの摩擦によって
図2の時計回りに従動回転する。ベルト130の内周面131には、グリスなどの潤滑剤が付けられている。ベルト130の内側には、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150が配置されている。
【0056】
つまり、ニップ形成部材N、ホルダ140、ステイ200、ベルトガイドGおよび摺動シート150は、ベルト130に覆われている。
【0057】
図2および
図3に示すように、ニップ形成部材Nは、ローラ120との間でベルト130を挟んでニップ部NPを形成する部材である。ニップ形成部材Nは、上流ニップ形成部材N1と、下流ニップ形成部材N2とを備えている。
【0058】
上流ニップ形成部材N1は、上流パッドP1と、上流固定板B1とを有している。
上流パッドP1は、直方体状の部材である。上流パッドP1は、シリコンゴムなどのゴムからなる。上流パッドP1は、ローラ120との間でベルト130を挟んで上流ニップ部NP1を形成する。
【0059】
なお、以下の説明では、上流ニップ部NP1および後で詳述するニップ部NPにおけるベルト130の移動方向を単に「移動方向」という。なお、本実施形態において、移動方向は、ローラ120の外周面に沿った方向であるが、この方向は、おおよそ所定方向と幅方向に直交する方向に沿った方向であるため、所定方向と幅方向に直交する方向として図示することとする。なお、移動方向は、ニップ部NPでのシートSの搬送方向と同じ方向である。
【0060】
上流パッドP1は、上流固定板B1のローラ120側の面に固定されている。上流固定板B1は、上流パッドP1よりも硬い部材、例えば金属などからなる。
【0061】
下流ニップ形成部材N2は、上流ニップ形成部材N1に対して移動方向の下流側に間隔を空けて配置されている。下流ニップ形成部材N2は、下流パッドP2と、下流固定板B2とを有している。
【0062】
下流パッドP2は、直方体状の部材である。下流パッドP2は、シリコンゴムなどのゴムからなる。下流パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んで下流ニップ部NP2を形成する。下流パッドP2は、ベルト130の回転方向において、上流パッドP1から離れている。
【0063】
このため、上流ニップ部NP1と下流ニップ部NP2との間には、第2定着部材82からの圧力が直接作用しない中間ニップ部NP3が存在する。この中間ニップ部NP3では、ベルト130はローラ120に接触するものの、ローラ120との間でベルト130を挟む部材が存在しないため、圧力はほとんど加わらない。従って、シートSは、ローラ120によって加熱されつつ、ほぼ加圧されることなく中間ニップ部NP3を通過する。本実施形態では、上流ニップ部NP1の上流端から下流ニップ部NP2の下流端までの領域、即ち、ベルト130の外周面とローラ120とが接触する全ての領域をニップ部NPと称する。つまり、本実施形態では、ニップ部NPは、上流パッドP1および下流パッドP2からの押圧力が加わらない部分を含む。
【0064】
下流パッドP2は、下流固定板B2のローラ120側の面に固定されている。下流固定板B2は、下流パッドP2よりも硬い部材、例えば金属などからなる。
【0065】
なお、上流パッドP1の硬さは、ローラ120の弾性層122の硬さよりも大きい。また、下流パッドP2の硬さは、上流パッドP1の硬さよりも大きい。
【0066】
ここで、硬さとは、ISO7619-1に規定されているデュロメータ硬さのことである。デュロメータ硬さは、規定した条件下で試験片に規定の押針を押し込んだときの押針の押込み深さから得られる値である。例えば、弾性層122のデュロメータ硬さが5の場合、上流パッドP1のデュロメータ硬さは6~10、下流パッドP2のデュロメータ硬さは70~90であることが好ましい。
【0067】
ホルダ140は、ニップ形成部材Nを保持する部材である。ホルダ140は、耐熱性を有する樹脂などからなる。ホルダ140は、ホルダ本体141と、2つの係合部142,143とを有している。
【0068】
ホルダ本体141は、ニップ形成部材Nを保持する部位である。ホルダ本体141の大部分は、幅方向において、ベルト130の範囲内に配置されている。ホルダ本体141は、ステイ200で支持されている。
【0069】
各係合部142,143は、ホルダ本体141の幅方向の各端部から延出している。各係合部142,143は、幅方向において、ベルト130の範囲外に配置されている。各係合部142,143は、後述する第1ステイ210の幅方向の各端部に係合する。
【0070】
ステイ200は、ホルダ140に対してニップ形成部材Nと反対側に位置してホルダ140を支持する部材である。ステイ200は、第1ステイ210と、連結部材CMによって第1ステイ210に連結される第2ステイ220とを備えている。
【0071】
第1ステイ210は、ホルダ140のホルダ本体141を支持する部材である。第1ステイ210は、金属などからなる。第1ステイ210は、ベース部211と、ヘミング加工により曲げられたヘミング曲げ部HBとを有している。
【0072】
ベース部211は、ホルダ140側の一端部に、ホルダ140のホルダ本体141に接触する接触面Ftを有している。接触面Ftは、所定方向と垂直な平面である。
【0073】
ベース部211は、幅方向の両端部に、後述する圧力変更機構300(
図4参照)から力を受ける荷重入力部211Aをそれぞれ有している。荷重入力部211Aは、所定方向においてニップ形成部材Nとは反対側に開口する凹部であり、所定方向においてベース部211のニップ形成部材Nとは反対側の端部に形成されている。
【0074】
荷重入力部211Aには、樹脂などからなる緩衝部材BFが取り付けられている。緩衝部材BFは、金属製のベース部211と、後述する金属製のアーム310(
図4参照)とが擦れ合うのを抑制するための部材である。緩衝部材BFは、荷重入力部211Aに嵌合する嵌合部BF1と、ベース部211の幅方向の端部に対して移動方向の上流側と下流側に配置される一対の脚部BF2とを有している。
【0075】
ベルトガイドGは、ベルト130の内周面131をガイドする部材である。ベルトガイドGは、耐熱性を有する樹脂などからなる。ベルトガイドGは、上流ガイドG1と、下流ガイドG2とを有している。
【0076】
摺動シート150は、各パッドP1,P2とベルト130との摩擦抵抗を低減するための矩形のシートである。摺動シート150は、ニップ部NPにおいて、ベルト130の内周面131と各パッドP1,P2との間で挟まれている。摺動シート150は、弾性変形可能な材料からなる。なお、摺動シート150の材料は、どのようなものであってもよいが、本実施形態では、ポリイミドを含有した樹脂シートを採用している。
【0077】
図2に示すように、上流ガイドG1、下流ガイドG2および第1ステイ210は、ネジSCによって共締めされている。
【0078】
図4に示すように、定着装置80は、フレームFLと、圧力変更機構300とをさらに備えている。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームであり、金属などからなる。フレームFLは、第1定着部材81および第2定着部材82に対して幅方向の両側に配置されるサイドフレーム83およびブラケット84と、各サイドフレーム83に接続される接続フレーム85とを備えている。
【0079】
サイドフレーム83は、第1定着部材81および第2定着部材82を支持するフレームである。サイドフレーム83は、後述する第1バネ320の一端部と係合するバネ係合部83Aを有している。
【0080】
ブラケット84は、第2定着部材82を所定方向に移動可能に支持する部材であり、サイドフレーム83に固定されている。詳しくは、ブラケット84は、第1ステイ210の端部をホルダ140の係合部143を介して所定方向に移動可能に支持する第1長孔84Aを有している。第1長孔84Aは、所定方向に長い長孔である。
【0081】
圧力変更機構300は、ニップ部NPのニップ圧を変更する機構である。
図4および
図5(a)に示すように、圧力変更機構300は、アーム310と、第1バネ320と、第2バネ330と、カム340とを備えている。アーム310、第1バネ320、第2バネ330およびカム340は、フレームFLの幅方向の一端側と他端側にそれぞれ設けられている。
【0082】
アーム310は、緩衝部材BFを介して第1ステイ210を押圧するための部材である。アーム310は、第2定着部材82を支持するとともに、サイドフレーム83に回動可能に支持されている。
【0083】
アーム310は、アーム本体311と、カムフォロア350とを有している。アーム本体311は、金属などからなるL形状の板状部材である。
【0084】
アーム本体311は、サイドフレーム83に回動可能に支持される一端部311Aと、第1バネ320が連結される他端部311Bと、第2定着部材82を支持する係合穴311Cとを有している。係合穴311Cは、一端部311Aと他端部311Bの間に配置され、緩衝部材BFと係合している。
【0085】
また、アーム本体311は、カム340に向けて延びるガイド突起312をさらに有している。ガイド突起312は、他端部311Bから係合穴311Cに向かう方向において、他端部311Bと係合穴311Cの間に配置されている。
【0086】
カムフォロア350は、アーム本体311のガイド突起312に対して移動可能に取り付けられており、カム340に接触可能となっている。カムフォロア350は、樹脂などからなり、ガイド突起312に嵌合される筒状部351と、筒状部351の一端に設けられる接触部352と、筒状部351の他端に設けられるフランジ部353とを有している。
【0087】
筒状部351は、ガイド突起312によって、当該ガイド突起312の延びる方向に移動可能に支持されている。接触部352は、筒状部351のカム340側の端部の開口を塞ぐ壁であり、カム340とガイド突起312の先端の間に配置されている。フランジ部353は、筒状部351の他端から、カムフォロア350の移動方向に直交する方向に突出している。
【0088】
そして、筒状部351とアーム本体311の間には、第2バネ330が配置されている。これにより、アーム本体311は、第1バネ320によって付勢されるとともに、第2バネ330によって付勢可能となっている。
【0089】
第1バネ320は、第2定着部材82に対して第1付勢力を付与するバネである。詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第1付勢力を付与している。
【0090】
より詳しくは、第1バネ320は、アーム本体311、緩衝部材BF、第1ステイ210およびホルダ140を介して、上流パッドP1および下流パッドP2をローラ120に向けて付勢している。第1バネ320は、金属などからなる引張コイルバネであり、一端がサイドフレーム83のバネ係合部83Aに連結され、他端がアーム本体311の他端部311Bに連結されている。
【0091】
第2バネ330は、第2定着部材82に対して第1付勢力とは逆向きの第2付勢力を付与可能なバネである。詳しくは、第2バネ330は、アーム本体311を介して第2定着部材82に対して第2付勢力を付与可能となっている。第2バネ330は、金属などからなる圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネで囲まれる空間内にガイド突起312が挿入された状態で、筒状部351とアーム本体311の間に配置されている。
【0092】
カム340は、第2バネ330の伸縮状態を、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与されない第1伸縮状態と、第2付勢力が第2定着部材82に対して付与される第2伸縮状態と、第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態とに変更可能とする部材である。カム340は、
図5(a)に示す第1カム位置と、第1カム位置よりも図示時計回りに約90度回動した位置である中間カム位置(図示略)と、
図6(a)に示す第2カム位置との間で回動可能となるように、サイドフレーム83に支持されている。
【0093】
カム340は、樹脂などからなり、第1部位341と、第2部位342と、第3部位343とを有している。第1部位341、第2部位342および第3部位343は、カム340の外周面上に位置している。
【0094】
第1部位341は、カム340が第1カム位置に位置するときに、カムフォロア350に最も近い部位である。
図5(a)に示すように、カム340が第1カム位置に位置するときに、第1部位341は、カムフォロア350から離れている。
【0095】
第2部位342は、カム340が中間カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第2部位342は、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約90度回動した際にカムフォロア350と接触する部位である。第2部位342からカム340の回動中心までの距離は、第1部位341からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
【0096】
第3部位343は、カム340が第2カム位置に位置するときに、カムフォロア350に接触する部位である。より詳しくは、第3部位343は、
図6(a)に示すように、カム340が第1カム位置から図示時計回りに約270度回動した際、言い換えると、中間カム位置から図示時計回りに約180度回動した際に、カムフォロア350と接触する部位である。第3部位343からカム340の回動中心までの距離は、第2部位342からカム340の回動中心までの距離よりも大きい。
【0097】
カム340が第1カム位置に位置するときには、カム340がカムフォロア350から離れていることにより、第2バネ330の伸縮状態は第1伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、
図5(a)に示す第1姿勢となっている。
【0098】
詳しくは、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第1伸縮状態にしているときには、カム340がカムフォロア350から離れているため、第2バネ330の第2付勢力は、アーム本体311を介して第2定着部材82に付与されず、第1バネ320の第1付勢力のみがアーム本体311を介して第2定着部材82に付与されている。このように第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されていないときには、ニップ圧は、最大ニップ圧となる。
【0099】
カム340は、
図5(a)に示す第1カム位置から中間カム位置に回動すると、カムフォロア350と接触して、カムフォロア350をアーム本体311に対して所定量移動させる。これにより、カム340が中間カム位置に位置するときには、第2バネ330の伸縮状態は、第1伸縮状態よりも変形した第2伸縮状態となる。
【0100】
カム340が中間カム位置に位置するときには、カム340でカムフォロア350が支持されるため、第2バネ330の第2付勢力がアーム本体311を介して第2定着部材82に第1付勢力とは逆向きに付与される。そのため、第1バネ320によって第2定着部材82に対して第1付勢力が付与され、且つ、第2バネ330によって第2定着部材82に対して第2付勢力が付与されているときには、ニップ圧が最大ニップ圧よりも小さい中間ニップ圧となる。
【0101】
なお、カム340が第2バネ330の伸縮状態を第2伸縮状態にしているときには、アーム本体311は、前述した第1姿勢のままとなっている。ここで、下流パッドP2は、ローラ120に対して押し付けられている状態、即ち、下流パッドP2に対して荷重が加わっている状態では、その荷重の大小に関わらず、ほぼ変形しない。そして、下流パッドP2がほぼ変形しないため、下流パッドP2を支持するステイ200、さらにはステイ200を支持するアーム310の姿勢も、荷重の大小によらずほぼ一定に保たれる。また、上流パッドP1の位置は、下流パッドP2の位置で決まるため、下流パッドP2がほぼ変形せず、その位置も変形しない状態では、上流パッドP1の位置も変わらない。従って、強ニップ(最大ニップ圧)と弱ニップ(中間ニップ圧)では、どちらの場合でも全ニップ幅(上流ニップ部NP1の入口から下流ニップ部NP2の出口までの長さ)は変わらず、アーム310の姿勢もほぼ一定に保たれる。
なお、下流パッドP2が変形しない理由は、下流パッドP2の硬度が上流パッドP1およびローラ120の弾性層122の硬度よりも十分に高いためである。より詳しくは、下流パッドP2は、下流ニップ部NP2で要求される最大ニップ圧(強ニップ時の下流ニップ圧)から最小ニップ圧(弱ニップ時の下流ニップ圧)までの範囲に収まるニップ圧ではほぼ変形しない程度の硬度を有しているためである。
言い換えると、下流ニップで要求される最大ニップ圧と最小ニップ圧は、下流パッドP2がほぼ変形しない程度の大きさに設定されている。
ここで、「下流パッドP2がほぼ変形しない」とは下流パッドP2によって形成される下流ニップ部NP2のニップ幅(ベルト移動方向のニップの長さ及び位置)の変形量が、画質や用紙の搬送に影響を及ぼさない程度に、下流パッドP2が変形することを含む(下流ニップ幅の変形量がゼロではない)。
【0102】
このように第2バネ330の伸縮状態が第1伸縮状態および第2伸縮状態のいずれの状態であっても、アーム本体311の姿勢が第1姿勢となるため、ニップ圧が最大ニップ圧であるときと中間ニップ圧であるときの両方の状態において、上流パッドP1および下流パッドP2は、ローラ120との間でベルト130を挟んでいる。詳しくは、各状態において、ローラ120に対する第2定着部材82の位置が略同じ位置であるため、各状態でのニップ部NPの幅(移動方向の長さ)が略同じ大きさとなっている。
【0103】
ここで、最大ニップ圧または中間ニップ圧は、印字時、詳しくはシートSにトナー像を定着させる際に設定される第1ニップ圧である。例えば、シートSの厚さが第1厚さである場合に最大ニップ圧が設定され、シートSの厚さが第1厚さよりも大きい第2厚さである場合に中間ニップ圧が設定される。
【0104】
また、第1カム位置または中間カム位置は、ニップ圧が最大ニップ圧または中間ニップ圧、つまり第1ニップ圧になる第1位置である。また、第2カム位置は、ニップ圧が最小ニップ圧、つまり第2ニップ圧になる第2位置である。
【0105】
カム340は、中間カム位置から
図6(a)に示す第2カム位置に回動する場合には、カムフォロア350をアーム本体311に対してさらに移動させた後、カムフォロア350を介してアーム本体311を押圧する。これにより、第2バネ330の伸縮状態が第2伸縮状態よりも変形した第3伸縮状態となるとともに、アーム本体311が第1姿勢から当該第1姿勢と異なる第2姿勢に回動する。
【0106】
詳しくは、カム340を中間カム位置から第2カム位置に回動させていく過程における最初の段階では、カムフォロア350の接触部352がガイド突起312の先端に近づくように、カムフォロア350がアーム本体311に対して移動する。接触部352がガイド突起312の先端に接触すると、第2バネ330の伸縮状態が第3伸縮状態となる。このようにカム340が第2バネ330の伸縮状態を第3伸縮状態にしているときには、カムフォロア350の一部である接触部352がカム340とガイド突起312の間に挟まれる。言い換えると、接触部352はカム340に接触するとともに、ガイド突起312とも接触する。その後、カム340をさらに回動させると、カム340が接触部352を介してガイド突起312を押圧するので、アーム本体311が第1バネ320の付勢力に抗して第1姿勢から第2姿勢に回動する。
【0107】
これにより、アーム本体311が第2姿勢であるときには、第2定着部材82は、アーム本体311が第1姿勢であるときの位置(
図5(b)の位置)よりもローラ120から離れた位置(
図6(b)の位置)に配置される。以下の説明では、アーム本体311が第1姿勢であるときの第2定着部材82の位置を、「ニップ位置」とも称し、アーム本体311が第2姿勢であるときの第2定着部材82の位置を、「ニップリリース位置」とも称する。第2定着部材82は、カム340の回転に伴って、ニップ位置と、ニップ位置よりもローラ120から離れたニップリリース位置との間で移動する。
【0108】
このように第2定着部材82のローラ120に対する位置が変わることで、カム340が第2カム位置に位置してアーム本体311が第2姿勢であるときには、
図6(b)に示すように、ニップ部NPの幅が第1姿勢のときよりも小さくなるとともに、ニップ圧が中間ニップ圧よりも小さな最小ニップ圧となる。つまり、カム340によってアーム310の姿勢が変わるため、ニップ圧及びニップ幅が変わるようになっている。詳しくは、アーム310が第2姿勢であるときには、上流パッドP1とローラ120との間でのみベルト130が挟まれ、下流パッドP2とローラ120との間ではベルト130が挟まれないようになっている。これにより、アーム310が第2姿勢であるときには、上流ニップ圧と上流ニップ幅が小さくなり、下流ニップ圧は無くなる。
【0109】
ここで、最小ニップ圧は、印字を行っていない非印字時、詳しくは、後述する定着モータM2(
図7参照)が停止している際に設定される第2ニップ圧である。また、最小ニップ圧は、圧力変更機構300で変更するニップ圧の範囲のうち最小のニップ圧であり、前述した最大ニップ圧は、圧力変更機構300で変更するニップ圧の範囲のうち最大のニップ圧である。
【0110】
なお、本実施形態では、ニップ圧が最小ニップ圧であるときにおいて、上流パッドP1がローラ120との間でベルト130を挟んでいるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニップ圧が最小ニップ圧であるときにおいて、上流パッドP1がローラ120との間でベルト130を挟まなくてもよい。なお、この場合、最小ニップ圧は0となる。
【0111】
また、本実施形態では、ニップ圧が最小ニップ圧であるときにおいて、ローラ120を回転させると、ベルト130が従動回転するようになっている。
【0112】
図7に示すように、カラープリンタ1は、現像モータM1と、定着モータM2と、プロセスモータM3と、メインモータM4と、現像クラッチC1と、切替機構SWと、圧力変更クラッチC2と、シートセンサSE1と、定着シートセンサSE2と、位置センサSE3と、温度センサSE4とをさらに備えている。
【0113】
現像モータM1は、主に、各現像ローラ53を回転駆動するためのモータであり、正逆回転可能に構成されている。本実施形態では、印字時における現像モータM1の回転方向を、正方向とする。現像モータM1と各現像ローラ53は、図示せぬギヤとクラッチを介して連結されている。現像モータM1は、現像クラッチC1と図示せぬギヤを介して切替機構SWに連結されている。現像モータM1は、圧力変更クラッチC2と図示せぬギヤを介して圧力変更機構300のカム340に連結されている。
【0114】
定着モータM2は、ローラ120を回転駆動するためのモータである。
【0115】
プロセスモータM3は、画像形成部30を構成する部材に駆動力を与えるためのモータである。詳しくは、プロセスモータM3は、感光ドラム51等を回転駆動する。
【0116】
メインモータM4は、シートSを搬送する搬送ローラに駆動力を与えるためのモータである。詳しくは、メインモータM4は、ピックアップローラ23、分離ローラ24、レジストレーションローラ26等を回転駆動する。
【0117】
現像クラッチC1は、例えば電磁クラッチである。現像クラッチC1は、現像モータM1の駆動力が切替機構SWに伝達される第1伝達状態と、現像モータM1の駆動力が切替機構SWに伝達されない第1切断状態とに切替可能となっている。
【0118】
切替機構SWは、現像ローラ53の状態を、現像ローラ53が感光ドラム51に圧接した圧接状態と、現像ローラ53が感光ドラム51から離間した離間状態とに切り替えるための機構である。切替機構SWは、現像ローラ53の状態が離間状態であり、且つ、現像モータM1が正回転している場合に、現像クラッチC1が第1伝達状態になると、現像ローラ53の状態を離間状態から圧接状態に切り替える。また、切替機構SWは、現像ローラ53の状態が圧接状態であり、且つ、現像モータM1が正回転している場合に、現像クラッチC1が第1伝達状態になると、現像ローラ53の状態を圧接状態から離間状態に切り替える。
【0119】
圧力変更クラッチC2は、例えば電磁クラッチである。圧力変更クラッチC2は、現像モータM1の駆動力が圧力変更機構300のカム340に伝達される第2伝達状態と、現像モータM1の駆動力が圧力変更機構300のカム340に伝達されない第2切断状態とに切替可能となっている。カム340は、第2カム位置に位置し、且つ、現像モータM1が正回転している場合に、圧力変更クラッチC2が第2伝達状態になると、
図6に示す第2カム位置から
図5に示す第1カム位置に向けて図示反時計回りに回動する。また、カム340は、第1カム位置に位置し、且つ、現像モータM1が逆回転している場合に、圧力変更クラッチC2が第2伝達状態になると、
図5に示す第1カム位置から
図6に示す第2カム位置に向けて図示時計回りに回動する。
【0120】
シートセンサSE1および定着シートセンサSE2は、シートSの有無を検出するセンサである。各シートセンサSE1,SE2は、例えば、搬送されるシートSに押されて揺動する揺動レバーと、揺動レバーの揺動を検出する光センサとを備えている。本実施形態では、シートSの通過中、つまりシートSによって揺動レバーが倒されているときには、シートセンサSE1,SE2がONになっているものとする。シートSの非通過中、つまりシートSによって揺動レバーが倒されていないときには、シートセンサSE1,SE2がOFFになっているものとする。なお、揺動レバーの姿勢と、シートセンサSE1,SE2のON・OFFの関係は、逆であってもよい。
【0121】
本明細書において、「所定の事象を検出するセンサ」とは、制御部100によって所定の事象を判定するための信号を出力するセンサを意味する。例えば、前述した「シートSの有無を検出するセンサ」とは、制御部100によってシートSの有無を判定するための信号を出力するセンサを意味する。
【0122】
本実施形態では、制御部100は、シートセンサSE1,SE2がONになっている場合には、シートセンサSE1,SE2の位置にシートSが有ると判定する。また、制御部100は、シートセンサSE1,SE2がOFFになっている場合には、シートセンサSE1,SE2の位置にシートSが無いと判定する。
【0123】
シートセンサSE1は、シートSの搬送方向において定着装置80の上流に配置されている。詳しくは、シートセンサSE1は、シートSの搬送方向において、レジストレーションローラ26よりも下流、且つ、画像形成部30よりも上流に配置されている。
【0124】
定着シートセンサSE2は、シートSの後端がニップ部NPを通過したことを検出するセンサである。制御部100は、定着シートセンサSE2がONからOFFに切り替わったか否かを判定することで、シートSの後端がニップ部NPを通過したか否かを判定している。定着シートセンサSE2は、定着装置80に設けられている。定着シートセンサSE2は、シートSの搬送方向において、ニップ部NPの下流に配置されている。
【0125】
位置センサSE3は、第2定着部材82の位置を検出するセンサである。詳しくは、位置センサSE3は、ニップリリース位置の近くに配置され、第2定着部材82がニップリリース位置近傍に近づいたときに、第2定着部材82を検出する。位置センサSE3は、例えば、
図5(a)に示すように、アーム本体311の揺動を検出することが可能な位置に配置される。なお、位置センサSE3は、第2定着部材82の移動に連動する部材を検出可能な位置であればどのような位置に配置してもよい。
【0126】
位置センサSE3は、例えば、発光部と受光部を有する光センサとすることができる。そして、
図5(a)に示すように、第2定着部材82がニップ位置(アーム本体311が第1姿勢)に位置するときには、発光部から出射された光は、アーム本体311に遮られず、受光部で受光される。また、
図6(a)に示すように、第2定着部材82がニップリリース位置(アーム本体311が第2姿勢)に位置するときには、発光部から出射された光は、アーム本体311に遮られ、受光部で受光されない。このように位置センサSE3を構成することで、第2定着部材82がニップリリース位置近傍に近づいたことを位置センサSE3で検出することが可能となっている。
【0127】
温度センサSE4は、第1定着部材81または第2定着部材82の温度を検出するセンサである。なお、本実施形態では、温度センサSE4は、ローラ120の温度を検出することとする。
【0128】
図7に示すように、制御部100は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、ASICおよび入出力回路などを備えている。制御部100は、外部のコンピュータから出力されてくる印字指令と、各センサSE1~SE4から出力されてくる信号と、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、各種処理を実行する。
【0129】
制御部100は、印字指令を受信した場合に、定着モータM2を駆動させた後、ニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する機能を有している。ここで、制御部100は、印字の終了後に、ニップ圧を第1ニップ圧または中間ニップ圧から第2ニップ圧に変更する処理と、現像ローラ53の状態を圧接状態から離間状態に変更する処理を行っている。そのため、印字を開始する際には、ニップ圧は、常に第2ニップ圧となり、現像ローラ53の状態は、常に離間状態となっている。
【0130】
具体的に、制御部100は、印字指令を受信した場合には、定着モータM2の駆動を開始してから定着モータM2の回転速度が一定になった後に、ニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する。また、制御部100は、印字指令を受信した場合においてニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する場合には、現像クラッチC1が第1切断状態となっている状態で現像モータM1を正回転させた後、圧力変更クラッチC2を第2伝達状態にすることで、カム340を第2位置から第1位置に向けて回動させる。さらに、制御部100は、カム340を第2位置から第1位置に向けて回動させる場合の現像モータM1の回転速度を、印字中の回転速度よりも小さくする。
【0131】
制御部100は、印字の終了後に、ローラ120の温度を印字時の温度よりも低い準備温度に維持するレディモードと、ヒータ110をOFF状態とするスリープモードと、を実行可能となっている。詳しくは、制御部100は、印字の終了から所定時間の間、レディモードを実行する。また、制御部100は、印字の終了から所定時間が経過すると、スリープモードを実行する。なお、以下の説明では、印字時の温度を、「定着温度T3」とも称し、準備温度を「準備温度T2」とも称する。
【0132】
制御部100は、スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、ニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更した後に、プロセスモータM3を駆動する。これに対し、制御部100は、レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、定着モータM2の駆動を開始してからニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する処理が完了するまでに、プロセスモータM3の駆動を開始する。
【0133】
制御部100は、スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、ローラ120の温度が所定値以上になったときに、定着モータM2を駆動させる。これに対し、制御部100は、レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、ローラ120の温度に関わらず、受信した印字データをカラープリンタ1で使用可能なデータに展開する展開処理が完了した後に、定着モータM2を駆動させる。ここで、所定値は、スリープモードにおいて定着モータM2の駆動の開始を決めるための温度であり、以下の説明では、定着駆動開始温度T1とも称する。なお、定着駆動開始温度T1は、準備温度T2よりも低い値に設定されている。
【0134】
制御部100は、スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、定着モータM2を駆動した後に、現像モータM1を駆動する。これに対し、制御部100は、レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、現像モータM1を駆動した後に、定着モータM2を駆動する。
【0135】
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。制御部100は、スリープモードにおいて、
図8に示すフローチャートに従って各処理を実行する。なお、以下の説明では、各クラッチC1,C2を伝達状態にすることを単に「ONにする」とも称し、切断状態にすることを単に「OFFにする」とも称する。
【0136】
図8に示す処理において、制御部100は、まず、プレヒートコマンドを受領したか否かを判定する(S1)。ここで、プレヒートコマンドとは、ヒータ110をONにするためのコマンドであり、印字指令の受信時に出力される。詳しくは、制御部100は、印字指令受信部と、ヒータ制御部とを有する。印字指令受信部は、印字指定を受けると、プレヒートコマンドをヒータ制御部に出力する。ヒータ制御部は、プレヒートコマンドを受信すると、ヒータ110をONにする。
【0137】
ステップS1においてプレヒートコマンドを受領したと判定すると(Yes)、制御部100は、ローラ120の温度の目標温度Tthを定着駆動開始温度T1に設定して、ヒータ110をONにする(S2)。
【0138】
ステップS2の後、制御部100は、温度センサSE4で検出した検出温度Tが、定着駆動開始温度T1以上になったか否かを判定する(S3)。ステップS3においてT≧T1であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、定着モータM2を駆動する(S4)。なお、定着モータM2を駆動すると、第1定着部材81とベルト130が回転してローラ120の熱がベルト130に奪われることで、検出温度Tは、定着駆動開始温度T1よりも低い温度に下がる。
【0139】
ステップS4の後、制御部100は、検出温度Tが現像駆動開始温度T0以上になったか否かを判定する(S5)。ここで、現像駆動開始温度T0は、現像モータM1の駆動開始のタイミングを決めるための温度であり、定着駆動開始温度T1よりも低い値に設定されている。
【0140】
ステップS5においてT≧T0であると判定した場合には(Yes)、制御部100は、現像モータM1を、印字時の回転速度(高速)よりも低い回転速度(低速)で駆動する(S6)。ステップS6の後、制御部100は、現像モータM1および定着モータM2の回転速度が安定したか、つまり一定の回転速度になったか否かを判定する(S7)。なお、この判定は、例えば、各モータM1,M2の回転開始からの経過時間が規定時間以上になったかを判定することで行うことができる。
【0141】
ステップS7において各モータM1,M2の回転速度が安定したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、圧力変更クラッチC2をONにすることで、定着装置80を圧接状態、詳しくはニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する(S8)。また、ステップS8において、定着装置80は、ニップ圧を第1ニップ圧に変更した後に、現像モータM1の回転速度を低速から高速に切り替える。
【0142】
ステップS8の後、制御部100は、印字データの展開処理が完了しているか否かを判定する(S9)。ステップS9において展開処理が完了していると判定した場合には(Yes)、制御部100は、目標温度Tthを定着温度T3に設定する(S10)。
【0143】
ステップS10の後、制御部100は、検出温度Tがプロセス駆動開始温度Tp以上になったか否かを判定する(S11)。ここで、プロセス駆動開始温度Tpは、プロセスモータM3の駆動開始のタイミングを決めるための温度であり、準備温度T2よりも高く、且つ、定着温度T3よりも低い温度に設定される。
【0144】
ステップS11においてT≧Tpであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、プロセスモータM3を駆動する(S12)。詳しくは、ステップS12において、制御部100は、プロセスモータM3を駆動した後にメインモータM4も駆動する。
【0145】
ステップS12の後、制御部100は、現像クラッチC1をONにして、現像ローラ53を圧接状態にする(S13)。詳しくは、ステップS13において、制御部100は、カラーモードである場合にはすべての現像ローラ53を圧接状態にし、モノクロモードである場合にはブラックに対応した現像ローラ53Kのみを圧接状態にする。
【0146】
ステップS13の後、制御部100は、検出温度Tがシート供給開始温度Ts以上になったか否かを判定する(S14)。ここで、シート供給開始温度Tsは、シートSの供給開始のタイミングを決めるための温度であり、プロセス駆動開始温度Tpよりも高く、且つ、定着温度T3よりも低い温度に設定される。
【0147】
ここで、前述した各温度の大小関係をまとめたものを、以下に示す。
T0<T1<T2<Tp<Ts<T3
T0:現像駆動開始温度
T1:定着駆動開始温度
T2:準備温度
Tp:プロセス駆動開始温度
Ts:シート供給開始温度
T3:定着温度
【0148】
ステップS14においてT≧Tsであると判定した場合には(Yes)、制御部100は、シートSの供給を実行して(S15)、印字処理を実行する(S16)。ステップS16の後、制御部100は、クリーニング処理などの印字後の処理を実行して(S17)、本処理を終了する。
【0149】
ステップS9において展開処理が完了していないと判定した場合には(No)、制御部100は、タイムアウトが発生したか否か、詳しくは展開処理を待つための所定の待機時間が経過したか否かを判定する(S18)。ステップS18において、タイムアウトが発生していない、つまり待機時間が経過していないと判定した場合には(No)、制御部100は、ステップS9の処理に戻る。ステップS18において、タイムアウトが発生した、つまり待機時間が経過したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、ヒータ110のOFFや、ニップ圧を第1ニップ圧から第2ニップ圧に変更する処理や、回転駆動されている各部材の停止を行うための停止処理を実行して(S19)、本処理を終了する。
【0150】
制御部100は、レディモードにおいて、
図9に示すタイムチャートなどに従って各処理を実行する。ここで、
図9に示す例は、カラーモードの印字を開始する状況を示している。
【0151】
レディモード中において(例えば時刻t0)、制御部100は、ヒータ110を制御して、ローラ120の温度を準備温度T2に維持する。レディモード中に印字指令を受けると(時刻t1)、制御部100は、展開処理を実行するとともに、ローラ120の温度が定着温度T3となるようにヒータ110を制御する。
【0152】
展開処理が完了すると(時刻t2)、制御部100は、現像モータM1を、印字時よりも低い回転速度(低速)で駆動する(時刻t3)。その後、制御部100は、定着モータM2を駆動する(時刻t4)。
【0153】
各モータM1,M2を駆動した後、制御部100は、各モータM1,M2の回転速度が安定するまで待ち、回転速度が安定したときに、圧力変更クラッチC2をONにする(時刻t5)。
【0154】
時刻t5において圧力変更クラッチC2をONにすると、カム340が第2位置から第1位置に向けて回動する。これにより、ニップ圧が、第2ニップ圧から徐々に第1ニップ圧に変更されていく。
【0155】
圧力変更クラッチC2をONにした後であって、且つ、第2ニップ圧から第1ニップ圧へのニップ圧の変更が完了する前に、制御部100は、プロセスモータM3を駆動する(時刻t6)。言い換えると、定着モータM2の駆動を開始してからニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する処理が完了するまでの間において(時刻t4~t8)、制御部100は、プロセスモータM3の駆動を開始する(時刻t6)。また、プロセスモータM3を駆動した後であって、且つ、第2ニップ圧から第1ニップ圧へのニップ圧の変更が完了する前に、制御部100は、メインモータM4を駆動する(時刻t7)。
【0156】
第2ニップ圧から第1ニップ圧へのニップ圧の変更が完了すると、制御部100は、圧力変更クラッチC2をOFFにする(時刻t8)。圧力変更クラッチC2をOFFにした後、制御部100は、現像モータM1の回転速度を低速から高速に切り替える(時刻t9)。
【0157】
時刻t9の後、制御部100は、現像モータM1の回転速度が安定するまで待ち、回転速度が安定したときに、現像クラッチC1をONにする(時刻t10)。これにより、各現像ローラ53が離間状態から圧接状態に順次切り替わっていく(時刻t11,t12,t13,t14)。すべての現像ローラ53が圧接状態になった後、制御部100は、現像クラッチC1をOFFにする(時刻t16)。
【0158】
また、制御部100は、各現像ローラ53が離間状態から圧接状態に順次切り替わっていく期間の所定のタイミングで、供給クラッチをONにし、シートSの供給を開始する(時刻t15)。ここで、供給クラッチは、シートSの供給を開始させるためのクラッチであり、ピックアップローラ23を駆動するモータからピックアップローラ23までの駆動力の伝達経路に設けられている。
【0159】
なお、制御部100は、レディモードにおいてモノクロモードで印字を開始する場合も、前述と略同様の処理を行う。つまり、モノクロモードでは、各現像ローラ53の圧接・離間の状態などが
図9の例とは異なるが、各部材に対して実行する処理のタイミングは、
図9の例と略同様である。
【0160】
次に、スリープモードでの制御部100の動作の一例について、
図10を参照して説明する。ここで、
図10では、ローラ120の温度が比較的低い温度(例えば常温)まで下がった状態で、印字が開始される例を示す。
【0161】
スリープモード中に印字指令を受けると(時刻t31)、制御部100は、展開処理を実行するとともに、ローラ120の温度が定着駆動開始温度T1となるようにヒータ110をONにする。なお、
図10では、ローラ120の温度が定着駆動開始温度T1になる前に、展開処理が完了する例を示している。
【0162】
ローラ120の温度が定着駆動開始温度T1になると、制御部100は、定着モータM2を駆動する(時刻t32)。定着モータM2を駆動すると、ローラ120およびベルト130が回転することにより、ローラ120の熱がベルト130に奪われて、ローラ120の温度(検出温度T)が下がる。
【0163】
その後、ローラ120の温度が現像駆動開始温度T0になると、制御部100は、現像モータM1を低速で駆動する(時刻t33)。時刻t33の後、制御部100は、各モータM1,M2の回転速度が安定するまで待ち、回転速度が安定したときに、圧力変更クラッチC2をONにする(時刻t34)。
【0164】
時刻t34において圧力変更クラッチC2をONにすると、カム340が第2位置から第1位置に向けて回動する。これにより、ニップ圧が、第2ニップ圧から徐々に第1ニップ圧に変更されていく。
【0165】
第2ニップ圧から第1ニップ圧へのニップ圧の変更が完了すると、制御部100は、圧力変更クラッチC2をOFFにする(時刻t35)。圧力変更クラッチC2をOFFにした後、制御部100は、現像モータM1の回転速度を低速から高速に切り替える(時刻t36)。
【0166】
時刻t36の後、ローラ120の温度がプロセス駆動開始温度Tpになると、制御部100は、プロセスモータM3を駆動する(時刻t37)。時刻t37の後、制御部100は、メインモータM4を駆動する(時刻t38)。時刻t38の後、制御部100は、現像クラッチC1をONにする(時刻t39)。
【0167】
これにより、各現像ローラ53が離間状態から圧接状態に順次切り替わっていく。すべての現像ローラ53が圧接状態になった後、制御部100は、現像クラッチC1をOFFにする(時刻t41)。
【0168】
また、制御部100は、各現像ローラ53が離間状態から圧接状態に順次切り替わっていく期間の所定のタイミングで、供給クラッチをONにし、シートSの供給を開始する(時刻t40)。詳しくは、制御部100は、ローラ120の温度がシート供給開始温度Tsになったタイミングで、供給クラッチをONにする。
【0169】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
例えば印字指令を受信した場合においてニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更した後に定着モータを駆動させる構成に比べ、定着モータM2をニップ圧変更よりも先に駆動させることで、回転した状態の第1定着部材81がベルト130に強く圧接される前に、ベルト130が従動回転するので、ベルト130がダメージを受けるのを抑制することができる。
【0170】
制御部100は、スリープモードにおいて印字指令を受信した場合には、ニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更した後に、プロセスモータM3を駆動するので、例えばニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に変更する前にプロセスモータを駆動する構成に比べ、画像形成部30を構成する各部材(例えば感光ドラム51)の消耗を抑えることができる。
【0171】
制御部100は、レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、プロセスモータの駆動開始を、定着モータM2の駆動開始後に行うので、画像形成部30を構成する各部材の消耗を抑えることができる。また、制御部100は、レディモードにおいて印字指令を受信した場合には、プロセスモータM3の駆動開始を、ニップ圧を変更する処理の完了前に行うので、印字指令を受信してから印字が完了するまでの時間を短くすることができる。
【0172】
現像モータM1の駆動力を現像ローラ53の圧接・離間とニップ圧の変更とに利用するので、コストの低下を図ることができる。
【0173】
ニップ圧を変更するときの現像モータM1の回転速度を印字中の回転速度よりも小さくするので、カム340を駆動する際に発生する音を低減することができる。
【0174】
第2ニップ圧を、圧力変更機構300で変更するニップ圧の範囲のうち最小のニップ圧としたので、ニップ圧を第2ニップ圧にしているときにおいて、第1定着部材81に従動回転するベルト130と、ベルト130を第1定着部材81とは反対側から支えるニップ形成部材Nとが摺接して摩耗するのを抑制することができる。
【0175】
スリープモードでは、定着モータM2を駆動した後、ローラ120の温度が現像駆動開始温度T0になるまで、現像モータM1の駆動およびニップ圧の変更を行わないので、例えば定着モータの駆動開始の直後に現像モータの駆動およびニップ圧の変更を行う形態と比べ、高いニップ圧でローラ120とベルト130が摺接する時間を短くすることができ、ベルト130の摩耗を抑えることができる。
【0176】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0177】
前記実施形態では、ニップ圧が第2ニップ圧であるときにローラ120と上流パッドP1の間に挟まれているベルト130が従動回転することとしたが、本発明はこれに限定されず、ニップ圧が第2ニップ圧であるときにローラ120と上流パッドP1の間に挟まれているベルト130が従動回転しないように構成されていてもよい。なお、この場合には、印字指令を受信したときにヒータ110をONにすると、従動回転しないベルト130の一部にローラ120の熱が集中的に加わるため、定着モータM2の駆動開始の直後にニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧へ変更して、ベルト130を従動回転させてもよい。
【0178】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム51を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の感光体であってもよい。
【0179】
前記実施形態では、圧力変更機構300が、ニップ部NPのニップ圧を、最大ニップ圧と、中間ニップ圧と、最小ニップ圧とに変更するように構成されていたが、本発明はこれに限定されず、圧力変更機構は、ニップ部のニップ圧を少なくとも第1ニップ圧と第2ニップ圧とに変更可能であればよい。つまり、圧力変更機構は、ニップ圧を2つ、または、4つ以上の圧力値に変更可能に構成されていてもよい。
【0180】
圧力変更機構は、前記実施形態のような構造に限らず、例えば、
図5(a)に示す構造からカムフォロア350および第2バネ330を取り除いた構造としてもよい。つまり、カム340がアーム本体311に接触可能な構造としてもよい。
【0181】
前記実施形態では、定着シートセンサSE2をニップ部NPの下流に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば、定着シートセンサをニップ部の上流に設けてもよい。
【0182】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などに本発明を適用してもよい。
【0183】
前記実施形態では、ヒータとしてハロゲンランプを例示したが、ヒータは、例えばカーボンヒータなどであってもよい。
【0184】
前記実施形態では、第1定着部材がヒータを内蔵する構造を例示したが、本発明はこれに限定されず、第2定着部材がヒータを内蔵していてもよい。例えば、第2定着部材が、ベルトと、ベルトの内側に配置されるヒータおよびニップ部材とを備え、第1定着部材が、ニップ部材との間でベルトを挟む加圧ローラであってもよい。また、ヒータを第1定着部材の外部に配置し、第1定着部材の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。また、第1定着部材と第2定着部材がそれぞれヒータを内蔵していてもよい。
【0185】
また、第1定着部材は、駆動ローラを内包するベルトであってもよい。つまり、第1定着部材のベルトと第2定着部材のベルトの間にニップ部が形成される構成であってもよい。
【0186】
前記実施形態では、定着装置80が圧力変更機構300を備える構成としたが、本発明はこれに限定されず、本体筐体が圧力変更装置を備えていてもよいし、圧力変更機構の一部が定着装置に設けられ、他部が本体筐体に設けられていてもよい。
【0187】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0188】
1 カラープリンタ
81 第1定着部材
82 第2定着部材
100 制御部
110 ヒータ
120 ローラ
130 ベルト
300 圧力変更機構
M2 定着モータ
NP ニップ部