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特許7396031電話システム、電話制御装置、内線電話端末、携帯電話端末および通話切替プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電話システム、電話制御装置、内線電話端末、携帯電話端末および通話切替プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/58 20060101AFI20231205BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20231205BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H04M3/58 Z
H04Q3/58 101
H04M1/00 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019232599
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101509
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 章紘
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175818(JP,A)
【文献】特開2010-004160(JP,A)
【文献】特開2010-087840(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179525(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/58
H04Q 3/58
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線電話端末と、前記内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置とを備える電話システムであって、
前記内線電話端末は、無線通信を介して受信した通話切替先となる携帯電話端末からの通話切替要求を前記電話制御装置へ通知し、前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記携帯電話端末へ前記無線通信を介して送信する端末制御部を備え、
前記電話制御装置は、前記通話切替要求に応じて前記電話網を介して前記携帯電話端末を外線呼出し、前記外線呼出に対する前記携帯電話端末での応答に応じて、前記通話切替要求の通知元である対象内線電話端末に接続されていた前記電話網との外線通話を、前記対象内線電話端末との通話から前記携帯電話端末との通話に切替接続する制御部を備える
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
内線電話端末を電話網に交換接続する電話システムで用いられる電話制御装置であって、
内線電話端末を内線収容する内線インターフェース部と、
前記内線電話端末による電話網を介した外線通話を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、無線通信を介して前記内線電話端末で受信した、通話切替先となる携帯電話端末からの通話切替要求に応じて、前記電話網を介して前記携帯電話端末を外線呼出し、前記外線呼出に対する前記携帯電話端末での応答に応じて、前記電話制御装置を介して通話切替元となる対象内線電話端末に接続されていた前記電話網との外線通話を、前記対象内線電話端末との通話から前記携帯電話端末との通話に切替接続する
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる内線電話端末であって、
無線通信を介して受信した通話切替先となる携帯電話端末からの通話切替要求を前記電話制御装置へ通知し、前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記携帯電話端末へ前記無線通信を介して送信する
ことを特徴とする内線電話端末。
【請求項4】
内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる携帯電話端末であって、
前記電話網に接続して外線通話を行っている対象内線電話端末と無線通信を介して接続し、前記無線通信を介して通話切替要求を前記対象内線電話端末へ送信し、
前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記無線通信を介して受信し、前記電話制御装置からの外線呼出の待ち受けを開始し、
前記電話制御装置から前記外線呼出を前記電話網を介して受信し、前記外線呼出に応答することにより、前記対象内線電話端末との外線通話から切替接続された通話を開始する
ことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項5】
内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる携帯電話端末において実行される通話切替プログラムであって、
前記電話網に接続して外線通話を行っている対象内線電話端末と無線通信を介して接続し、前記無線通信を介して通話切替要求を前記対象内線電話端末へ送信するステップと、
前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記無線通信を介して受信し、前記電話制御装置からの外線呼出の待ち受けを開始するステップと、
前記電話制御装置から前記外線呼出を前記電話網を介して受信し、前記外線呼出に応答することにより、前記対象内線電話端末との外線通話から切替接続された通話を開始するステップと
をコンピュータに実行させる通話切替プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システムの内線電話端末と携帯電話端末との間で外線通話をシームレスに切り替えるための電話制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムでは、スマートフォンやパッドなどの通話機能を有する携帯情報端末(以下、携帯電話端末という)の飛躍的な普及に伴い、携帯電話端末を内線電話端末の1つとして利用する、いわゆる携帯電話端末の内線化技術が実現されつつある。
【0003】
このような内線化技術の1つとして、特許文献1には、電話システムにおいて、スマートフォン(スマートデバイス)を接続するためのドッキングステーションを内線電話端末として収容し、電話制御装置(IP電話交換機)により、スマートフォンの内線番号への着信を、ドッキングステーションの内線番号への着信として制御する技術が記載されている。
【0004】
この技術では、電話システムにUCサーバを設け、ドッキングステーションとスマートフォンとの間で外線通話の切り替えに必要となるセッションの情報を、UCサーバを介してドッキングステーション、スマートフォン、および電話制御装置の間でやり取りするものとなっている。例えば、ドッキングステーションのハンドセット(ビジネスハンドセット部)で通話中の呼をスマートフォンに切り替える場合、まずドッキングステーションの表示画面に切替制御情報(セッション情報)をQRコードで画面表示し、これらをスマートフォンのアプリで読み取ってUCサーバを介して電話制御装置へ通知する。また、ドッキングステーションは、UCサーバを介して切替制御情報を電話制御装置へ通知する。これら切替制御情報に基づいて、電話制御装置がハンドセットで通話中の呼をスマートフォンに切替制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-175818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、スマートフォンとドッキングステーションと間で切替制御情報をやり取りするのにQRコードを用いているため、利用者操作が煩わしいという問題点があった。また、スマートフォンおよびドッキングステーションと電話制御装置との間で、切替制御情報をやり取りするのにUCサーバが必要となり、さらにはスマートフォンごとにドッキングステーションを設ける必要があるため、電話システムのハードウェア規模が大幅に増大するという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ハードウェア規模を大幅に増大させることなく、内線電話端末から携帯電話端末に対して、外線通話をシームレスかつ容易に切り替えることできる電話制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、内線電話端末と、前記内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置とを備える電話システムであって、前記内線電話端末は、無線通信を介して受信した通話切替先となる携帯電話端末からの通話切替要求を前記電話制御装置へ通知し、前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記携帯電話端末へ前記無線通信を介して送信する端末制御部を備え、前記電話制御装置は、前記通話切替要求に応じて前記電話網を介して前記携帯電話端末を外線呼出し、前記外線呼出に対する前記携帯電話端末での応答に応じて、前記通話切替要求の通知元である対象内線電話端末に接続されていた前記電話網との外線通話を、前記対象内線電話端末との通話から前記携帯電話端末との通話に切替接続する制御部を備えている。
【0010】
また、本発明にかかる電話制御装置は、内線電話端末を電話網に交換接続する電話システムで用いられる電話制御装置であって、内線電話端末を内線収容する内線インターフェース部と、前記内線電話端末による電話網を介した外線通話を制御する制御部とを備え、前記制御部は、無線通信を介して前記内線電話端末で受信した、通話切替先となる携帯電話端末からの通話切替要求に応じて、前記電話網を介して前記携帯電話端末を外線呼出し、前記外線呼出に対する前記携帯電話端末での応答に応じて、前記電話制御装置を介して通話切替元となる対象内線電話端末に接続されていた前記電話網との外線通話を、前記対象内線電話端末との通話から前記携帯電話端末との通話に切替接続するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる内線電話端末は、内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる内線電話端末であって、通話切替操作に応じて通話切替要求を前記電話制御装置へ通知し、前記通話切替要求に応じた前記電話制御装置からの内線呼出に自動応答する内線電話端末である。
【0014】
また、本発明にかかる携帯電話端末は、内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる携帯電話端末であって、前記電話網に接続して外線通話を行っている対象内線電話端末と無線通信を介して接続し、前記無線通信を介して通話切替要求を前記対象内線電話端末へ送信し、前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記無線通信を介して受信し、前記電話制御装置からの外線呼出の待ち受けを開始し、前記電話制御装置から前記外線呼出を前記電話網を介して受信し、前記外線呼出に応答することにより、前記対象内線電話端末との外線通話から切替接続された通話を開始する携帯電話端末である。
【0015】
また、本発明にかかる通話切替プログラムは、内線電話端末を電話網に交換接続する電話制御装置を備える電話システムで用いられる携帯電話端末において実行される通話切替プログラムであって、前記電話網に接続して外線通話を行っている対象内線電話端末と無線通信を介して接続し、前記無線通信を介して通話切替要求を前記対象内線電話端末へ送信するステップと、前記通話切替要求に応じて前記電話制御装置から通知された通話切替許可を前記無線通信を介して受信し、前記電話制御装置からの外線呼出の待ち受けを開始するステップと、前記電話制御装置から前記外線呼出を前記電話網を介して受信し、前記外線呼出に応答することにより、前記対象内線電話端末との外線通話から切替接続された通話を開始するステップとをコンピュータに実行させる通話切替プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者が通話切替操作を行うだけで、切替対象となる内線電話端末や携帯電話端末が自動的に特定され、外線通話が自動的に通話切替されることになる。したがって、前述した従来技術のように、携帯電話端末を用いてQRコードを読み取る作業を行う必要がなくなり、通話切替に要する利用者の作業負担を大幅に削減でき、内線電話端末と携帯電話端末との間で、外線通話をシームレスかつ容易に切り替えることが可能となる。また、従来技術のような内線化のためのUCサーバやドッキングステーションを利用する必要がないため、ハードウェア規模を大幅に増大させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電話システムの構成を示すブロック図である。
図2】内線電話端末の構成を示すブロック図である。
図3】携帯電話端末の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施の形態にかかる通話切替動作を示すシーケンス図である。
図5】第2の実施の形態にかかる通話切替動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
電話システム1は、全体として一般的なビジネスホンシステムやPBXシステムからなり、図1に示すように、電話制御装置10と複数の内線電話端末20から構成されている。
【0019】
電話制御装置10は、ビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置からなり、通信回線L1を介して電話網NWに接続されて、内線回線L2を介して配下に内線収容した複数の内線電話端末20を電話網NWに交換接続する装置である。
本発明は、電話網NWを介して携帯電話端末30と連携することにより、内線電話端末20と携帯電話端末30との間で、電話網NWを介した外線通話の通話切替を行うようにしたものである。また、内線電話端末20と携帯電話端末30との間で無線通信を行うことにより、通話切替に必要となる切替制御情報をやり取りするようにしたものである。
【0020】
なお、電話網NWの具体例としては、IP電話網、PSTN(Public Switched Telephone Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)がある。また、電話網NWには、無線回線を介して携帯電話端末30と接続して通話を実現する携帯電話網も含まれているものとする。
【0021】
[電話制御装置]
電話制御装置10は、図1に示すように、網インターフェース部(以下、網I/F部という)11、内線インターフェース部(以下、内線I/F部という)12、記憶部13、および制御部14を備えている。
【0022】
網I/F部11は、通信回線L1を介して電話網NWと接続し、各種の呼制御メッセージや音声を送受信する。
内線I/F部12は、内線回線L2を介して複数の内線電話端末20との間で各種の制御コマンドや音声を送受信する。
【0023】
記憶部13は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、電話制御装置10での呼制御に用いる各種の呼制御データ13Aやプログラム13Pを記憶する。呼制御データ13Aは、内線電話端末20に関する発着信や通話などの呼制御を行うための制御用データであり、後述する通話切替制御に用いる切替制御情報も含まれている。プログラム13Pは、制御部14のCPUと協働することにより、呼制御に用いられる各種の処理部を実現するプログラムである。プログラム13Pは、電話制御装置10に接続された外部装置や記録媒体から読み出されて、予め記憶部13に格納される。
【0024】
制御部14は、CPUとその周辺部を有し、記憶部13から読み出したプログラム13Pを実行してCPUとプログラム13Pとを協働させることにより、呼制御や通話切替制御の処理に用いられる各種の処理部を実現する。制御部14で実現される主な処理部として、呼制御部14Aを備えている。
【0025】
呼制御部14Aは、網I/F部11を介して電話網NWとの間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、記憶部13で記憶されている呼制御データ13Aに基づいて、内線電話端末20に関する発着信や通話などの呼制御を行う機能を有している。呼制御部14Aで実行される一般的な呼制御については、ビジネスホンシステムやPBXシステムと同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0026】
また、呼制御部14Aは、通話切替制御に関する機能として、無線通信を介して内線電話端末20で受信した、通話切替先となる携帯電話端末30からの通話切替要求に応じて、電話網NWを介して携帯電話端末30を外線呼出する機能と、外線呼出に対する携帯電話端末30での応答に応じて、電話制御装置10を介して通話切替元となる対象内線電話端末20に接続されていた電話網NWとの外線通話を、対象内線電話端末20との通話から携帯電話端末30との通話に切替接続する機能とを有している。
【0027】
具体的には、呼制御部14Aは、通話切替先となる携帯電話端末30からの通話切替要求から、携帯電話端末30の電話番号を示す携帯電話番号を取得し、取得した携帯電話番号を用いて携帯電話端末30を外線呼出する機能と、当該通話切替要求に応じて、通話切替用の発信電話番号を示すシステム電話番号を、当該通話切替要求に対する通話切替許可として、内線電話端末20を介して携帯電話端末30へ返送する機能と、当該通話切替要求に応じて、電話制御装置10を介して通話切替元となる対象内線電話端末20に接続されていた電話網NWとの対象外線通話を保留する機能と、外線呼出に対する携帯電話端末30での応答に応じて、対象外線通話を保留解除して携帯電話端末30との外線通話に切替接続する機能とを有している。
【0028】
[内線電話端末]
次に、図2を参照して内線電話端末20の構成について説明する。図2は、内線電話端末の構成を示すブロック図である。
内線電話端末20は、図2に示すように、内線インターフェース部(以下、内線I/F部という)21、無線通信部22、通話部23、記憶部24、および端末制御部25を備えている。
【0029】
内線I/F部21は、内線回線L2を介して電話制御装置10との間で各種の制御コマンドや音声を送受信する。
無線通信部22は、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)や無線LANなどの無線通信方式に基づいて、無線回線L3を介して携帯電話端末30との間で無線回線L3を形成し、無線回線L3を介して無線通信を行うことにより、通話切替制御に用いる切替制御情報をやり取りする。
【0030】
通話切替制御に用いる主な切替制御情報として、携帯電話番号とシステム電話番号がある。携帯電話番号は、携帯電話端末30の電話番号であり、電話制御装置10から携帯電話番号を外線呼出する場合に発信先電話番号として用いられる。システム電話番号は、電話制御装置10の電話番号であり、電話制御装置10から携帯電話番号を外線呼出する場合に発信元電話番号として用いられる。
【0031】
通話部23は、内線I/F部21を介して電話制御装置10から受信した音声をスピーカから出力するとともに、マイクから入力された音声を内線I/F部21を介して電話制御装置10へ送信することにより、内線電話端末20での音声通話を行う。
記憶部24は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、内線電話端末20での端末制御の処理に用いる各種の処理データやプログラムを記憶する。
【0032】
端末制御部25は、CPUとその周辺部を有し、記憶部24から読み出したプログラムを実行してCPUとプログラムとを協働させることにより、端末制御処理を実行する。
端末制御処理は、無線通信部22を介して携帯電話端末30から受信した通話切替要求を、内線I/F部21を介して電話制御装置10へ転送する処理と、内線I/F部21を介して電話制御装置10から通知された通話切替許可を、無線通信部22を介して携帯電話端末30へ転送する処理とを含んでいる。
【0033】
[携帯電話端末]
次に、図3を参照して携帯電話端末30の構成について説明する。図3は、携帯電話端末の構成を示すブロック図である。
携帯電話端末30は、図3に示すように、網インターフェース部(以下、網I/F部という)31、無線通信部32、通話部33、記憶部34、および端末制御部35を備えている。
【0034】
網I/F部31は、通信回線L4を介して電話網NWと接続し、各種の呼制御メッセージや音声を送受信する。
無線通信部32は、Bluetoothや無線LANなどの無線通信方式に基づいて内線電話端末20との間で無線回線L3を形成し、無線回線L3を介して無線通信を行うことにより、通話切替制御に用いる切替制御情報をやり取りする。通話切替制御に用いる主な切替制御情報として、携帯電話番号とシステム電話番号がある。
【0035】
通話部33は、網I/F部31を介して電話網NWから受信した音声をスピーカから出力するとともに、マイクから入力された音声を網I/F部31を介して電話網NWへ送信することにより、携帯電話端末30での音声通話を行う。
記憶部34は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、携帯電話端末30での呼制御や通話切替制御の処理に用いる各種の処理データやプログラムを記憶する。
【0036】
端末制御部35は、CPUとその周辺部を有し、記憶部34から読み出したプログラムを実行してCPUとプログラムとを協働させることにより、呼制御や通話切替制御を実行する。
呼制御は、記憶部34の制御データに基づいて、携帯電話端末30に関する発着信や通話などの呼制御を行う処理を含んでいる。
【0037】
通話切替制御は、利用者操作に応じて通話切替要求を、無線通信部32から無線回線L3を介して内線電話端末20へ送信する処理と、通話切替要求に応じて内線電話端末20から返送された通話切替許可を、無線回線L3を介して無線通信部32で受信する処理と、網I/F部31を介して電話網NWから通知された、システム電話番号を発信元とする外線呼出に対して、即時、自動応答する処理とを含んでいる。これら通話切替制御については、予め電話網NWからダウンロードして記憶部34に格納しておいた専用のアプリを、端末制御部35で実行することにより実現してもよい。
【0038】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の通話切替動作について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかる通話切替動作を示すシーケンス図である。
【0039】
内線電話端末20が、電話制御装置10を介して電話網NWに接続された相手電話装置40と外線通話中であり(ステップS100)、内線電話端末20と利用者の携帯電話端末30との間で無線回線L3が形成されているものとする(ステップS101)。無線回線L3の形成は、ステップS102の通話切替操作の後に行ってもよい。
この状態で、内線電話端末20の外線通話を自己の携帯電話端末30に通話切替する場合、利用者は、携帯電話端末30で通話切替操作を行う(ステップS102)。
【0040】
携帯電話端末30は、利用者の通話切替操作に応じて、自己の携帯電話番号を含む通話切替要求を、無線回線L3を介して内線電話端末20へ送信する(ステップS103)。
内線電話端末20は、無線回線L3を介して携帯電話端末30から通話切替要求を受信した場合、当該通話切替要求を内線回線L2を介して電話制御装置10へ転送する(ステップS104)。
【0041】
電話制御装置10は、内線電話端末20から転送された携帯電話端末30からの通話切替要求に応じて、通話切替要求に含まれる携帯電話番号を切替先電話番号として取得し、通話切替用の発信電話番号であるシステム電話番号を含む通話切替許可を、内線回線L2を介して内線電話端末20へ返送する(ステップS105)。
【0042】
内線電話端末20は、内線回線L2を介して電話制御装置10から通話切替許可を受信した場合、当該通話切替許可を無線回線L3を介して携帯電話端末30へ転送する(ステップS106)。
携帯電話端末30は、無線回線L3を介して内線電話端末20から通話切替許可を受信した場合、通話切替許可に含まれるシステム電話番号を通話切替用の発信電話番号として取得し、当該発信電話番号からの外線呼出の待ち受けを開始する(ステップS107)。
【0043】
一方、電話制御装置10は、通話切替要求に応じて、通話切替要求の通知元である内線電話端末20を通話切替元の対象内線電話端末20として特定し(ステップS110)、電話網NWに対して、切替先電話番号を呼出先とし、システム電話番号を呼出元とする、外線呼出を実行する(ステップS111)。
【0044】
携帯電話端末30は、電話網NWからの外線呼出に応じて、呼出元を確認し(ステップS112)、呼出元が通話切替許可で通知されたシステム電話番号と一致した場合、当該外線呼出に対して即時自動応答する(ステップS113)。これにより、携帯電話端末30から電話網NWを介して電話制御装置10へ応答が送信される(ステップS114)。
【0045】
電話制御装置10は、携帯電話端末30からの応答に応じて、ステップS110で特定した切替元の対象内線電話端末20との通話から携帯電話端末30との通話に切替接続する(ステップS115)。
これにより、電話制御装置10を介して相手電話装置40と携帯電話端末30とが外線通話を開始する(ステップS116)。この後、電話制御装置10は、対象内線電話端末20の通話を切断し(ステップS117)、これに応じて、対象内線電話端末20が終話状態となり(ステップS118)、一連の通話切替動作を終了する。この場合、ステップS117の通話切断については、ステップS115以降であれば、どのタイミングで実行してもよい。
【0046】
本シーケンスでは、ステップS110からステップS114までの所要時間は極めて短いため、切替前の外線通話の外線保留および外線保留解除は行わない。これにより、通話相手に対して通話切替期間を意識させることなく、シームレスに通話切替を行うことができる。また、外線保留および外線保留解除を行ってもよいが、その場合でも、通話相手に対して通話切替を意識させないために、相手電話装置40に対して保留音の送出を行わない。
【0047】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、内線電話端末20が、無線通信を介して受信した通話切替先となる携帯電話端末30からの通話切替要求を電話制御装置10へ通知し、通話切替要求に応じて電話制御装置10から通知された通話切替許可を携帯電話端末30へ無線通信を介して送信し、電話制御装置10が、通話切替要求に応じて電話網NWを介して携帯電話端末30を外線呼出し、外線呼出に対する携帯電話端末30での応答に応じて、通話切替要求の通知元である対象内線電話端末20に接続されていた電話網NWとの外線通話を、対象内線電話端末20との通話から携帯電話端末30との通話に切替接続するようにしたものである。
【0048】
これにより、利用者は、携帯電話端末30で通話切替操作を行うだけで、通話切替制御に用いる切替制御情報が、内線電話端末20を介して携帯電話端末30と電話制御装置10との間で自動でやり取りされるとともに、切替制御情報を中継転送する内線電話端末20が、切替対象となる対象内線電話端末20として自動的に特定され、対象内線電話端末20に接続されている外線通話が、携帯電話端末30に自動的に通話切替されることになる。
【0049】
したがって、前述した従来技術のように、携帯電話端末30を用いてQRコードを読み取る作業を行う必要がなくなり、通話切替に要する利用者の作業負担を大幅に削減でき、内線電話端末20から携帯電話端末30に対して、外線通話をシームレスかつ容易に切り替えることが可能となる。
また、携帯電話端末30との間で無線通信を行うためのハードウェアを内線電話端末20に登載するだけで外線通話の通話切替を実現でき、従来技術のような内線化のためのUCサーバやドッキングステーションを利用する必要がないため、ハードウェア規模を大幅に増大させることもない。また、電話制御装置10における通話切替制御については、既存の通話伝送制御を利用でき、ソフトウェアの新規開発作業の大幅増大を回避することも可能である。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。
第1の実施の形態では、内線電話端末20から携帯電話端末30へ外線通話を切り替える場合を例として説明した。本実施の形態では、携帯電話端末30から内線電話端末20へ外線通話を切り替える場合について説明する。
【0051】
本実施の形態において、内線電話端末20の端末制御部25は、通話切替操作に応じて通話切替要求を電話制御装置10へ通知し、通話切替要求に応じた電話制御装置10からの内線呼出に自動応答する機能を有している。
【0052】
また、電話制御装置10の制御部14は、内線電話端末20からの通話切替要求に応じて通話切替要求の通知元である対象内線電話端末20を内線呼出し、内線呼出に対する対象内線電話端末20での自動応答に応じて、対象内線電話端末20と対応する携帯電話端末30に電話制御装置10を介して接続されていた電話網NWとの外線通話を、携帯電話端末30との通話から対象内線電話端末20との通話に切替接続する機能を有している。
なお、本実施の形態にかかる電話システム1のその他の構成については、前述した図1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1の通話切替動作について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる通話切替動作を示すシーケンス図である。
【0054】
携帯電話端末30が、電話制御装置10を介して電話網NWに接続された相手電話装置40と外線通話中であるものとする(ステップS200)。
この状態で、携帯電話端末30の外線通話を自己の内線電話端末20に通話切替する場合、利用者は、内線電話端末20で通話切替操作を行う(ステップS201)。内線電話端末20は、利用者の通話切替操作に応じて、通話切替要求を内線回線L2を介して電話制御装置10へ通知する(ステップS202)。
【0055】
電話制御装置10は、内線電話端末20からの通話切替要求に応じて、通話切替要求の送信元である内線電話端末20を、通話切替先となる対象内線電話端末20として特定するとともに、対象内線電話端末20と対応する携帯電話端末30を通話切替元となる対象携帯電話端末30として特定し、対象携帯電話端末30に接続されている外線通話を、切替対象となる対象通話として特定する(ステップS210)。
【0056】
この際、携帯電話端末30については、対象内線電話端末20の利用者の携帯電話端末30を記憶部13の呼制御データ13Aとして予め設定しておいてもよい。また、内線電話端末20の通話切替操作の操作キーに携帯電話端末30の携帯電話番号を登録しておき、通話切替要求で携帯電話端末30の携帯電話番号を通知してもよい。また、図4の通話切替動作により、内線電話端末20から携帯電話端末30へ外線通話の切り替えが行われた経緯があれば、その履歴情報に基づいて対象携帯電話端末30を特定してもよい。また、図4の通話切替動作のように、通話切替操作時に対象内線電話端末20と無線回線L3が形成されている携帯電話端末30を対象携帯電話端末30として特定してもよい。
【0057】
電話制御装置10は、対象通話を特定し(ステップS210)、内線回線L2を介して対象内線電話端末20を内線呼出する(ステップS211)。
対象内線電話端末20は、電話制御装置10からの内線呼出に対して即時自動応答する(ステップS212)。これにより、対象内線電話端末20から内線回線L2を介して電話制御装置10へ応答が送信される(ステップS213)。
【0058】
電話制御装置10は、対象内線電話端末20からの応答に応じて、ステップS210で特定した外線通話を、携帯電話端末30との通話から対象内線電話端末20との通話に切替接続する(ステップS214)。
これにより、電話制御装置10を介して相手電話装置40と対象内線電話端末20とが外線通話を開始する(ステップS215)。この後、電話制御装置10は、携帯電話端末30の外線通話を切断し(ステップS216)、これに応じて、携帯電話端末30が終話状態となり(ステップS217)、一連の通話切替動作を終了する。この場合、ステップS216の通話切断については、ステップS214以降であれば、どのタイミングで実行してもよい。
【0059】
本シーケンスにおいても、ステップS210からステップS214までの所要時間は極めて短いため、切替前の外線通話の外線保留および外線保留解除は行わない。外線保留を行った場合でも、保留音の送出を行わないことは第1の実施の形態と同様である。
【0060】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、内線電話端末20が、通話切替操作に応じて通話切替要求を電話制御装置10へ通知し、通話切替要求に応じた電話制御装置10からの内線呼出に自動応答し、電話制御装置10は、内線電話端末20からの通話切替要求に応じて通話切替要求の通知元である対象内線電話端末20を内線呼出し、内線呼出に対する対象内線電話端末20での自動応答に応じて、対象内線電話端末20と対応する携帯電話端末30に電話制御装置10を介して接続されていた電話網NWとの外線通話を、携帯電話端末30との通話から対象内線電話端末20との通話に切替接続するようにしたものである。
【0061】
これにより、利用者は、内線電話端末20で通話切替操作を行うだけで、その内線電話端末20が切替対象となる対象内線電話端末20として自動的に特定され、対象内線電話端末20と対応する携帯電話端末30に接続されている外線通話が、対象内線電話端末20に自動的に通話切替されることになる。
【0062】
したがって、前述した従来技術のように、携帯電話端末30を用いてQRコードを読み取る作業を行う必要がなくなり、通話切替に要する利用者の作業負担を大幅に削減でき、内線電話端末20から携帯電話端末30に対して、外線通話をシームレスかつ容易に切り替えることが可能となる。
また、従来技術のような内線化のためのUCサーバやドッキングステーションを利用する必要がないため、ハードウェア規模を大幅に増大させることもない。また、電話制御装置10における通話切替制御については、既存の通話伝送制御を利用でき、ソフトウェアの新規開発作業の大幅増大を回避することも可能である。
【0063】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F部(網インターフェース部)、12…内線I/F部(内線インターフェース部)、13…記憶部、14…制御部、20…内線電話端末、21…内線I/F部(内線インターフェース部)、22…無線通信部、23…通話部、24…記憶部、25…端末制御部、30…携帯電話端末、31…網I/F部(網インターフェース部)、32…無線通信部、33…通話部、34…記憶部、35…端末制御部、40…相手電話装置、L1…通信回線、L2…内線回線、L3…無線回線、L4…通信回線、NW…電話網。
図1
図2
図3
図4
図5