(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】RF通信装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231205BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K7/10 252
G06K7/10 144
(21)【出願番号】P 2019236887
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045440(JP,A)
【文献】特開2010-076887(JP,A)
【文献】特開2005-196263(JP,A)
【文献】特開2003-256520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF通信装置であって、
電波を送受信することによって、周囲に存在するRFタグと無線通信を実行可能なRF通信部と、
物品の種類に関係する複数個の種類情報のうち、ユーザによる対象の種類情報の指定を受け付ける指定受付部と、
前記ユーザによって前記対象の種類情報が指定された後で、前記RF通信部に、対象範囲内の複数個のRFタグに対して電波を送信することによって、前記複数個のRFタグのそれぞれに記録された情報を読み取るための読取処理を実行させる読取制御部と、
前記読取処理によって前記複数個のRFタグから読み取られた複数個の情報のそれぞれについて、当該情報に含ま
れる種類情報を特定する特定部と、
前記複数個の情報の中に、
前記対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果
を表わす表示画面を表示部に表示させる表示制御部であって、前記表示画面において、前記ユーザによって指定された前記対象の種類情報と、前記ユーザによって指定されていない前記対象外の種類情報と、は判別可能に表示される、前記表示制御部と、
を備える、RF通信装置。
【請求項2】
RF通信装置であって、
電波を送受信することによって、周囲に存在するRFタグと無線通信を実行可能なRF通信部と、
前記RF通信部に、対象範囲内の複数個のRFタグに対して電波を送信することによって、前記複数個のRFタグのそれぞれに記録された情報を読み取るための読取処理を実行させる読取制御部と、
前記読取処理によって前記複数個のRFタグから読み取られた前記複数個の情報のそれぞれに、当該情報が読み取られた際の電波強度値及び位相を対応付けて記録する記録部と、
前記読取処理によって前記複数個のRFタグから読み取られた複数個の情報のそれぞれについて、当該情報に含まれ、対応するRFタグが示す物品の種類に関係する種類情報を特定する
と共に、対応付けられた前記電波強度値及び前記位相に基づいて、当該情報の送信元のRFタグの前記対象範囲内における位置を特定する特定部と、
前記複数個の情報の中に、対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果に
基づいて、特定された各RFタグの前記対象範囲内における位置と、各RFタグが対応する前記物品の種類と、を表す表示画面を表示部に表示させる表示制御部であって、前記表示画面において前記対象の種類情報を示すオブジェクトと、前記表示画面において前記対象外の種類情報を示すオブジェクトと、は判別可能に表示される、前記表示制御部と、
を備える、RF通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、RF通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電波を送受信することによって、周囲のRFタグと無線通信を行うRF通信装置が開示されている。特許文献1のRF通信装置は、RFタグから情報を読み取った際の受信信号の位相に基づいて、情報の送信元のRFタグの位置を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の普及に伴い、RFタグ及びRF通信装置は、例えば、店舗における棚卸(即ち、店舗が在庫として所持している物品(商品)のリスト作り)等、RFタグが示す物品(即ち、RFタグが取り付けられている物品)の数量等を確認する作業のために使用される場合が増えている。このような作業では、RF通信装置が、物品に付されたRFタグの読み取りさえできれば(即ち、物品の存在さえ確認できれば)、当該RFタグが付された物品が、RF通信装置の通信範囲内のどの位置に配置されているかは問題にされない場合が多い。
【0005】
一方で、店舗等においては、RFタグが付された物品が、本来配置されるべき場所以外の場所に配置されてしまう場合もある。例えば、被服の小売店において、顧客等が商品を持ち歩いた結果、帽子を販売する商品棚(帽子が多数陳列されている)に、本来であれば靴下売り場の商品棚に配置されるべき商品である靴下が紛れ込んでしまうような状況が起こり得る。しかしながら、従来の技術では、通信相手のRFタグの位置を特定することは可能であるが、そのRFタグが示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されているか否かを判定することはできなかった。
【0006】
本明細書では、RF通信装置のユーザが、RFタグが示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されている事態を適切に把握し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示するRF通信装置は、電波を送受信することによって、周囲に存在するRFタグと無線通信を実行可能なRF通信部と、前記RF通信部に、対象範囲内の複数個のRFタグに対して電波を送信することによって、前記複数個のRFタグのそれぞれに記録された情報を読み取るための読取処理を実行させる読取制御部と、前記読取処理によって前記複数個のRFタグから読み取られた複数個の情報のそれぞれについて、当該情報に含まれ、対応するRFタグが示す物品の種類に関係する種類情報を特定する特定部と、前記複数個の情報の中に、対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定の結果に関係する情報を出力する出力制御部と、を備える。
【0008】
この構成によると、RF通信装置は、読取処理の実行によって複数個のRFタグから複数個の情報が読み取られる場合に、複数個の情報の中に、対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを判定し、その結果に関する情報を出力することができる。そのため、RF通信装置のユーザは、出力結果に基づいて、複数個の情報の中に、対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを把握することができる。従って、例えば、小売店等のように、対象範囲内に存在する物品のそれぞれに、当該物品を示すRFタグが付されている場合において、上記の構成のRF通信装置を使用することで、ユーザは、対象範囲内に、対象の種類情報によって表される物品(例えば特定の売り場等に配置されるべき商品)の中に、対象外の種類情報によって表される物品(例えば特定の売り場等に配置されるべきでない商品)が含まれているか否かを把握し得る。従って、上記の構成のRF通信装置によると、RF通信装置のユーザは、RFタグが示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されている事態を適切に把握し得る。
【0009】
前記読取処理によって前記複数個のRFタグから読み取られた前記複数個の情報のそれぞれに、当該情報が読み取られた際の電波強度値を対応付けて記録する記録部をさらに備えてもよい。前記特定部は、前記複数個の情報のそれぞれについて、対応付けられた前記電波強度値に基づいて、当該情報の送信元のRFタグの前記対象範囲内における位置を特定してもよい。前記出力制御部による出力は、特定された各RFタグの前記対象範囲内における位置と、各RFタグが対応する前記物品の種類と、を表す表示画面を表示部に表示させることを含んでもよい。
【0010】
この構成によると、RF通信装置は、RFタグの情報を読み取った(即ちRFタグから情報を取得した)の際の電波強度値に基づいて、各RFタグの対象範囲内における位置を特定し、各RFタグの対象範囲内における位置と、各RFタグが対応する物品の種類とを表す表示画面を表示部に表示させる。そのため、RF通信装置のユーザは、表示画面を見ることで、対象範囲内のどの位置にどの種類の物品が存在しているのかを視覚的に把握することができる。特に、表示画面が、対象範囲内における各RFタグの位置を、対象範囲を模式的に示す画面内の対応位置に、対応する物品ごとに表示態様を変えて表す態様を備える場合、RF通信装置のユーザは、表示画面を見ることで、対象範囲内のどの位置にどの種類の物品が存在しているのかをより直感的に把握することができる。従って、上記の構成によると、RF通信装置のユーザは、表示画面を見ることで、RFタグが示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されている事態をより適切に把握することができる。
【0011】
前記RF通信装置は、ユーザによる前記対象の種類情報の指定を受け付ける指定受付部をさらに備えてもよい。前記RF通信部は、前記ユーザによって前記対象の種類情報が指定された後で、前記電波を送受信してもよい。
【0012】
この構成によると、ユーザは、対象範囲内に存在するべき物品の種類を表す対象の種類情報を予め指定した上で、RF通信装置に読取処理を実行させることができる。そのため、RF通信装置からの出力結果は、対象範囲内の複数個のRFタグから読み取られた複数個の情報の中に、ユーザが指定した対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かの判定結果に関する情報を含む。RF通信装置のユーザは、出力結果に基づいて、複数個の情報の中に、自身が指定した対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを把握することができる。そのため、ユーザは、対象範囲内の特定位置に配置されるべき物品を示す対象の種類情報を指定しておけば、特定位置に配置されるべき物品以外の物品が紛れているか否かを適切に把握することができる。従って、上記の構成のRF通信装置によると、RF通信装置のユーザは、RFタグが示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されている事態を適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】通信システムの構成を表すブロック図を示す。
【
図3】第1実施例のRF通信装置の制御部が実行する商品管理処理のフローチャートを示す。
【
図4】第1実施例の商品管理処理の対象範囲である商品棚の概要を示す。
【
図5】第1実施例の商品管理処理の結果として表示される表示画面の一例を示す。
【
図6】第2実施例のRF通信装置の制御部が実行する商品管理処理のフローチャートを示す。
【
図7】第2実施例の商品管理処理の対象範囲である店舗の概要を示す。
【
図8】第2実施例の商品管理処理の結果として表示される表示画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)
(システムの構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示す通信システム2は、RF(Radio Frequency)通信装置10を用いて、周囲に存在する多数個のRFタグ100との間で、電波(若しくは電磁場)を用いた無線通信(以下「RF通信」と呼ぶ場合がある)を行い、RFタグ100のデータを非接触で読み書きするためのシステムである。この通信システム2では、RF通信装置10は、多数個のRFタグ100とのRF通信の結果をBluetooth(登録商標)通信によって端末装置50に送信する。以下ではBluetoothのことを「BT」と呼ぶ場合がある。
【0015】
図1、
図2に示す通信システム2は、RF通信装置10と、端末装置50と、多数個のRFタグ100と、を備える。
図1、
図2の例では3個のRFタグ100のみを図示しているが、実際には、RF通信装置10の周囲にはこの他にも多数(例えば数千~数万個)のRFタグが存在する。
【0016】
(RF通信装置の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示すRF通信装置10は、周囲に存在する多数個のRFタグ100との間で、電波を用いた無線通信(即ちRF通信)を行うための通信装置である。上記の通り、本実施例のRF通信装置10は、電波を放射及び受信することでRF通信を行ういわゆる電波方式を採用する通信装置である。RF通信装置10は、ユーザ(作業者)が携帯可能な可搬式の装置である。
【0017】
図1に示すように、RF通信装置10の筐体11は、本体部11aと、把持部11bと、収容部11cと、を有する。本体部11aは、RF通信装置10の本体部分を構成するケース部である。本体部11aには、RF通信装置10の大部分の構成要素が備えられている。把持部11bは、本体部11aの下面に設けられたグリップ状部材である。作業者であるユーザは、把持部11bを握ることによってRF通信装置10を把持することができる。収容部11cは、本体部11aの上端部と連結されて設けられた部材であり、RF通信を実行するためのRF通信部20を収容するための部材である。収容部11cは、本体部11aの下面側に延びるように設けられている。
【0018】
図2に示すように、RF通信装置10は、様々な構成要素を備えている。具体的には、RF通信装置10は、側面操作ボタン12aと、把持部操作ボタン12bと、スピーカ16と、振動部18と、RF通信部20と、BTインターフェース22と、制御部24と、メモリ30と、を備えている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。これらの構成要素のうち、側面操作ボタン12aと、スピーカ16と、振動部18と、BTインターフェース22と、制御部24と、メモリ30は、本体部11aに備えられる。把持部操作ボタン12bは把持部11bに備えられる。RF通信部20は収容部11cに備えられる。以下、各構成要素について説明する。
【0019】
側面操作ボタン12aは、本体部11aの両側面に操作可能な態様で設けられる(
図1参照)。ユーザは、側面操作ボタン12aを押すことによって様々な指示(例えば読取開始指示)を入力することができる。
【0020】
把持部操作ボタン12bは、把持部11bのうち、把持部11bを握ったユーザが人差し指で操作可能な位置に設けられる(
図1参照)。ユーザは、把持部操作ボタン12bを押すことによっても、様々な指示(例えば読取開始指示)を入力することができる。即ち、本実施例のRF通信装置10は、いわゆるガンタイプ型装置として利用可能である。なお、以下では、側面操作ボタン12aと把持部操作ボタン12bとを総称して単に「操作ボタン12」と呼ぶ場合がある。
【0021】
スピーカ16は、様々な音声を出力可能な音声出力部である。例えば、スピーカ16は、RFタグが読み取られている場合に、制御部24の指示に従って、RFタグからの情報取得(即ちRFタグの読み取り)を報知する報知音(例えばブザー音、ピープ音、クリック音等)を出力することができる。スピーカ16は、本体部11a内に収容されている。
【0022】
振動部18は、例えば、モータ(図示しない)を内蔵し、報知用の細かい振動を発生させるための駆動部である。例えば、振動部18は、RFタグから情報が取得されている(即ち読み取られている)場合に、制御部24の指示に従って、RFタグからの情報取得(読み取り)を報知する振動を発生させることができる。振動部18も、本体部11a内に収容されている。
【0023】
RF通信部20は、所定の通信範囲内(例えば半径5m圏内)に存在するRFタグ100との間で電波を媒介とする無線通信(RF通信)を実行するための通信部である。本実施例のRF通信部20は、公知のRF通信モジュールであり、図示しない送信回路と受信回路とアンテナとを備えている。本実施例では、RF通信部20は、収容部11cに収容されている(
図1参照)。RF通信が実行される際には、RF通信部20は、電波を外側方向(即ち、把持部11bとは反対側方向)に向けて出力する。
【0024】
BTI/F22は、端末装置50との間で、BT通信リンクを用いたBT通信(Bluetooth通信)を実行するためのインターフェースである。
【0025】
制御部24は、メモリ30に記憶されているプログラム(即ち、OSプログラム32、商品管理アプリアプリケーションプログラム34(以下「商品管理アプリ34」と呼ぶ)等)に従って、後述の商品管理処理(
図3参照)等の様々な処理を実行する。
【0026】
メモリ30は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。メモリ30は、OSプログラム32と、商品管理アプリ34と、を記憶している。また、メモリ30は、制御部24が様々な処理を実行することに伴って生成される様々な情報を一時的に記憶するための記憶領域(図示省略)も備えている。
【0027】
OSプログラム32は、制御部24が基本的な処理を実行するためのプログラムを含む。OSプログラム32は、RF通信装置10の出荷時点でメモリ30に記憶されている。
【0028】
商品管理アプリ34は、RF通信装置10のベンダによって提供され、RF通信装置10によって、対象範囲(例えば特定の商品棚、特定の商品籠等)内に配置された商品をRFタグによって管理するための商品管理処理(
図3参照)を実行するためのアプリケーションプログラムである。
【0029】
(端末装置50の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示す端末装置50は、RF通信装置10とBT通信を実行することにより、RF通信装置10から、RF通信装置10が実行したRF通信の結果を受信するための端末装置である。端末装置50は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PDA等の可搬型端末である。
図2に示すように、端末装置50は、BTI/F52と、タッチパネル54と、制御部60と、メモリ62とを備える。
【0030】
BTI/F52は、RF通信装置10との間でBT通信(Bluetooth通信)を実行するためのインターフェースである。
【0031】
タッチパネル54は、様々な情報を表示するための表示部として機能するとともに、様々な指示を端末装置50に入力するための操作部としても機能する。
【0032】
制御部60は、メモリ62に記憶されているプログラム(図示省略)に従って様々な処理を実行する。メモリ62は、ROM、RAM等によって構成される。メモリ62は、様々なプログラムを記憶しているとともに、制御部60が処理を実行することに伴って生成される様々な情報を一時的に記憶するための記憶領域(図示省略)も備えている。
【0033】
(RFタグ100の構成;
図1、
図2)
図1、
図2に示されるRFタグ100は、いずれも公知のパッシブ形式のRFタグである。RFタグのことをRFIDタグ、無線タグ等と呼んでもよい。上記の通り、本実施例では、RF通信装置10の周囲には多数個のRFタグ100が備えられる。また、本実施例では、各RFタグ100は、当該RFタグ100が管理する対象の商品に付されている。即ち、例えば、本実施例の通信システム2が、被服の小売店等の店舗において商品の管理のために稼働する場合には、店舗内の各商品(例えば、Tシャツ、ズボン、靴下、帽子等)すべてにRFタグ100が付される。本実施例の通信システム2では、RF通信装置10によって、店舗内のRFタグ100に記録された情報(タグ情報)を読み取ることで、店舗内に存在する商品の確認をすることができる。即ち、本実施例の通信システム2は、店舗内の在庫商品の棚卸作業等に使用される。
【0034】
RFタグ100は、いずれも、図示しないアンテナ、制御回路、メモリ等を備えている。RFタグ100のメモリには、そのRFタグ100に固有のユニークID(識別情報。例えばシリアル番号等)が記憶されている。また、RFタグ100のメモリには、そのRFタグ100のモデル名(機種名と呼んでもよい)も記憶されている。ユニークIDとモデル名とを併せて「タグID」と呼んでもよい。タグIDは、当該RFタグ100の出荷時点において既にメモリに記憶されている。さらに、RFタグ100のメモリには、RF通信装置10によって読み取り可能なタグ情報が記憶される。
【0035】
これらのタグ情報は、RFタグ100の利用開始後に、他の装置によってメモリに書き込まれる。タグ情報は、例えばRFタグ100が付される商品の種類(例えば、「靴下」「帽子」「Tシャツ」等)を示す種類情報等を含む。詳しく説明すると、タグ情報は、例えば、SGTIN96フォーマットの情報である。タグ情報のことをUII情報と呼んでもよい。この場合、タグ情報は、EPC Header(8ビット)、Filter(3ビット)、Partition(3ビット)、GS1事業者コード(20~40ビット)、商品コード(24~4ビット)、及び、Serial Number(38ビット)を含む。このうち、GS1事業者コードと商品コードの組み合わせが、商品の種類を示す種類情報に対応する。種類情報は、例えば、公知のJANコードデータによって表される。他の例では、種類情報は、EPCコードデータによって表されてもよいし、他の形式のデータによって表されてもよい。
【0036】
即ち、本実施例では、例えば店舗内の商品である靴下には「靴下」を示す種類情報(JANコードデータ)を含むタグ情報が記録されたRFタグ100が取り付けられる。同様に、例えば店舗内の商品である帽子には「帽子」を示す種類情報(JANコードデータ)を含むタグ情報が記録されたRFタグ100が取り付けられる。
【0037】
(制御部24が実行する商品管理処理;
図3)
続いて、
図3を参照して、本実施例のRF通信装置10の制御部24が実行する商品管理処理の内容について説明する。商品管理処理は、対象範囲内に存在する多数個のRFタグ100に記録された情報を読み取ることにより、対象範囲内に存在する商品の確認(即ち棚卸)を行うための処理である。
【0038】
本実施例では、対象範囲は、
図4に示すような特定の商品棚200を想定している。
図4に示すように、商品棚200は、靴下202を販売する専用の棚(ラックと呼んでもよい)であり、多数の靴下202が収容されている。靴下202のそれぞれには、「靴下」を示す種類情報を含むタグ情報が記録されたRFタグ100が付されている。
図4の例では、商品棚200は、外観上靴下202のみを収容しているように見えるが、外側から見えない位置に他の商品(例えば帽子等)が紛れ込んでいる可能性があり、外観からだけでは判別不能である。
図4に示す商品棚200はあくまで一例である。対象範囲は、商品棚に限られず、商品籠、商品配置領域等、多数の商品を配置できる範囲であれば任意の範囲であってもよい。
【0039】
対象範囲内の商品の確認を希望するユーザは、商品棚200の目の前で、RF通信装置10の把持部11bを把持した上で、操作ボタン12に所定の読取開始操作を入力する。その場合、RF通信装置10の制御部24は、
図3の商品管理処理を開始する。
【0040】
S10では、制御部24は、ユーザによって、管理対象(即ち、付されているRFタグ100を読み取る対象)の商品を示す種類情報が指定されることを監視する。以下では、管理対象の商品のことを「対象商品」、対象商品を示す種類情報のことを「対象の種類情報」と呼ぶ場合がある。具体的には、S10では、制御部24は、BT通信リンクを介して、端末装置50のタッチパネル54に、対象の種類情報の指定をユーザに要求するための指定画面を表示させる。ユーザは、指定画面が表示されている間に、タッチパネル54に、所望の対象の種類情報を指定する操作を入力することができる。端末装置50において上記の操作が入力されると、制御部24は、BT通信リンクを介して、端末装置50から、ユーザが指定した対象の種類情報を受信する。例えば、S10では、ユーザは、対象の種類情報として「靴下」を示す種類情報を指定する。その場合、制御部24は、S10でYESと判断し、S12に進む。
【0041】
S12では、制御部24は、読取処理を実行する。読取処理では、まず、制御部24は、RF通信部20に電波を出力させる。この際、ユーザは、RF通信部20が収容されている収容部11cを、RFタグ100の読み取りを行う対象範囲に向ける。上記の通り、本実施例では、対象範囲は、
図4に示す特定の商品棚200である。商品棚200を含むRF通信装置10の周囲(即ち、電波の届く範囲)に存在するRFタグ100は、RF通信部20が出力する電波を受信することができる。各RFタグ100は、電波を受信すると、受信した電波を電力に代えて、自身のメモリに記録された情報(即ちタグID及びタグ情報)を含む反射波を出力する。RF通信部20は、RFタグ100が出力した反射波を受信すると、反射波に含まれる情報を抽出し、制御部24に供給する。これにより、制御部24は、RFタグ100から、当該RFタグ100に記録された情報を取得する。また、この際、制御部24は、受信した反射波(即ち、情報を取得した際の反射波)の電波強度値(RSSI値)も併せて計測する。
【0042】
S14では、制御部24は、RFタグ100の読み取りに新たに成功したか否かを判断する。上記の通り、制御部24は、電波を受信したRFタグから、当該RFタグ100に記録された情報を取得する。RFタグ100から取得された情報(以下では「取得情報」と呼ぶ場合がある)が、既にメモリ30の一時記憶領域内に「読み取り済み情報」として記憶されているか否かを判断する。取得情報と同じ情報が既にメモリ30の一時記憶領域内に「読み取り済み情報」として記憶されていると判断される場合、制御部24は、取得情報を新たに記憶しない。一方、取得情報がメモリ30の一時記憶領域内に記憶されていないと判断される場合、制御部24は、取得された取得情報を、新たに「読み取り済み情報」としてメモリ30に記憶させる。この際、制御部24は、この時点の時刻(即ち、RFタグ100から情報が取得された時刻)も、取得情報に対応付けてメモリ30に記憶させる。取得情報が新たにメモリ30の一時記憶領域内に記憶されることで、当該RFタグ100の読み取りが完了する。即ち、本実施例において、「RFタグ100を読み取る」こととは、当該RFタグ100から取得された情報がメモリ30の一時記憶領域に新たに記憶されることである、と言い換えてもよい。
【0043】
この時点で、S12で実行した読取処理において、新たにRFタグ100の読み取りに成功した(即ち、RFタグ100から新たに情報を取得した)場合には、制御部24は、S14でYESと判断し、S16に進む。一方、この時点で、読取処理においてRFタグ100の読み取りが行われなかった(即ち、いずれのRFタグ100からも新たに情報を取得しなかった)場合、制御部24は、S14でNOと判断し、S17に進む。
【0044】
S16では、制御部24は、RFタグ100から情報を読み取った(新たに取得した)際の電波強度値(RSSI値)を記録する。具体的には、制御部24は、RFタグ100から情報を新たに取得した際に計測された電波強度値を、メモリ30の一時記憶領域内の読み取り済み情報に対応付けて記憶させる。S16を終えると、制御部24は、S12に戻り、再度RF通信部20に電波を出力させ、読取処理を実行する。
【0045】
一方、S17では、制御部24は、RF通信装置10の電波の届く範囲内のすべてのRFタグ100の読み取りが完了したか否かを判断する。具体的には、S17は、制御部24は、いずれのRFタグ100からも新たに情報が取得されないまま、所定のタイムアウト期間が経過することを監視する。所定のタイムアウト期間が経過するまでの間は、制御部24は、S12でRF通信部20に電波を出力させ、読取処理の実行を継続する。
【0046】
このように、1回の商品管理処理において、制御部24は、RF通信部20に電波を複数回出力させ、上述の各処理を複数サイクル実行させる。一度情報が読み取られたRFタグ100(読取済みのRFタグ100)であっても、RFタグ100は、電波を受信すると、メモリに記録された情報を含む反射波を出力する。上記の通り、制御部24が、取得された情報が「読み取り済み情報」であるか否かを判断する。即ち、制御部24は、取得された情報に基づいて、RFタグ100が読み取り済みであるか未読み取りであるかを判断している。そのため、上述の各処理が複数サイクル実行される場合、最初の数サイクルの間は、周囲には未読み取りのRFタグ100が多く存在するため、1回のサイクルで多数の情報(タグID及びタグ情報)が新たに取得される(即ち読み取られる)。サイクルを重ねると、未読み取りのRFタグ100(即ち、読み取り済み情報がメモリ30に記憶されていないRFタグ100)の数が減っていくため、1回のサイクルで新たに読み取られる情報(タグID及びタグ情報)の数も減っていく。最終的に、RF通信装置10が出力する電波の届く範囲内に未読み取りのRFタグ100が存在しなくなると、いずれのRFタグ100からも新たに情報が取得されないまま、所定のタイムアウト期間が経過する。その場合、制御部24は、S17でYESと判断し、S18に進む。
【0047】
S18では、制御部24は、メモリ30の一時記憶領域内の読み取り済み情報を参照し、対応付けられている電波強度値が所定の閾値未満である読み取り済み情報を、一時記憶領域から削除する。通常、RFタグ100から情報を取得した際に計測される電波強度値は、情報の送信元のRFタグ100とRF通信装置10との距離が近いほど大きくなる。そして、本実施例では、RF通信装置10のユーザは、対象範囲である商品棚200(
図4)の目の前にいることが想定されている。即ち、読み取り済み情報に対応付けられている電波強度値が所定の閾値未満である場合、その読み取り済み情報は、対象範囲(
図4の商品棚200)外ではあるが、電波が届いた範囲に存在するRFタグ100から取得されたものである可能性が高い。そのため、S18では、制御部24は、対応付けられている電波強度値が所定の閾値未満である読み取り済み情報(以下、「範囲外情報」と呼ぶ場合がある)を、メモリ30の一時記憶領域から削除する。
【0048】
続くS20では、制御部24は、メモリ30の一時記憶領域に残った読み取り済み情報(以下、「範囲内情報」と呼ぶ場合がある)のうち、対象の種類情報ではない種類情報(以下「対象外の種類情報」と呼ぶ)を含む範囲内情報が存在するか否かを判断する。上記の通り、対象の種類情報は、ユーザによって指定されている。
【0049】
制御部24は、メモリ30の一時記憶領域内に、ユーザによって指定された対象の種類情報を含む範囲内情報のみが存在する場合(即ち対象外の種類情報を含む範囲内情報が存在しない場合)、S20でNOと判断し、S24に進む。S24では、制御部24は、正常画面(図示しない)を生成し、BT通信リンクを介して端末装置50のタッチパネル54に表示させる。正常画面には、対象範囲内における対象商品(対象の種類情報で示される商品。この場合「靴下」)の数量を通知するメッセージ、対象外商品が存在していないことを通知するメッセージ等が含まれていてもよい。
【0050】
一方、制御部24は、メモリ30の一時記憶領域内に、ユーザによって指定されていない対象外の種類情報を含む範囲内情報が存在すると、S20でYESと判断し、S22に進む。即ち、この場合、対象範囲内に、ユーザによって指定されていない対象外の種類情報で示される商品(例えば、「帽子」等)が存在していることを意味する。
【0051】
S22では、制御部24は、対象範囲内に、ユーザによって指定されていない対象外の種類情報で示される商品(例えば、「帽子」等)が存在していることを表示する表示画面250(
図5参照)を生成し、BT通信リンクを介して端末装置50のタッチパネル54に表示させる。
【0052】
図5に示す表示画面250は、メッセージ252と、読取結果254とを含む。メッセージ252は、対象外の種類情報で示される商品(「対象外商品」と呼ぶ場合がある)が存在することを通知する文字列を含む。読取結果254は、S10~S20の一連の処理の結果を示す。具体的には、読取結果254は、対象範囲内における対象商品(対象の種類情報で示される商品。この場合「靴下」)の数量と、対象外商品の数量(この場合「帽子」)とを含む。ユーザは、表示画面250を見ることで、靴下が配置されるべき商品棚200に、何らかの事情で帽子が紛れ込んでいることを把握することができる。
【0053】
S22を終えると、制御部24は、
図3の商品管理処理を終了する。
【0054】
以上の通り、本実施例の通信システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例では、RF通信装置10の制御部24は、読取処理の実行の結果、複数個のRFタグ100から複数個の情報が読み取られる場合において、複数個の情報の中に、対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを判定し(
図3のS20)、その結果に応じて、正常画面と表示画面250とのいずれかを表示させることができる(S22又はS24)。そのため、RF通信装置10のユーザは、表示画面250を見ることで、対象範囲内の複数個のRFタグ100から取得された複数個の情報(範囲内情報)の中に、対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを把握することができる。従って、例えば、小売店等のように、対象範囲内に存在する物品のそれぞれに、当該物品を示すRFタグが付されている場合において、上記の構成のRF通信装置を使用することで、ユーザは、対象範囲内に、対象の種類情報によって表される物品(例えば特定の売り場に配置されるべき商品)の中に、対象外の種類情報によって表される物品(例えば特定の売り場に配置されるべきでない商品)が含まれているか否かを把握することができる。従って、本実施例のRF通信装置10によると、RF通信装置10のユーザは、RFタグ100が示す物品が本来配置されるべき場所以外の場所に配置されている事態を適切に把握することができる。
【0055】
また、本実施例では、制御部24は、ユーザによって対象の種類情報が指定されたうえで(
図3のS10でYES)、読取処理(S12)及びそれ以降の処理を実行する。そのため、処理結果として出力される正常画面又は表示画面250は、対象範囲内の複数個のRFタグ100から読み取られた複数個の情報(範囲内情報)の中に、ユーザが指定した対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かの判定結果に関する情報を含む。RF通信装置10のユーザは、表示画面250を見ることで、複数個の情報の中に、自身が指定した対象の種類情報とは異なる対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを把握することができる。そのため、ユーザは、対象範囲内の特定位置(例えば商品棚200)に配置されるべき物品を示す対象の種類情報(例えば「靴下」を示す種類情報)を指定しておけば、特定位置に配置されるべき物品以外の物品が紛れているか否かを適切に把握することができる。
【0056】
(第2実施例)
第2実施例の通信システム2について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の通信システム2も、その基本的構成は、第1実施例と共通する(
図1、
図2参照)。本実施例では、RF通信装置10の制御部24が実行する商品管理処理(
図6参照)の内容が第1実施例とは一部異なっている。また、本実施例では、商品管理処理が実行される対象範囲が、特定の店舗全体である(
図7参照)点も、第1実施例とは異なっている。また、これに伴い、本実施例では、商品管理処理の結果として出力される表示画面350(
図8参照)の内容も、第1実施例とは異なっている。
【0057】
(制御部24が実行する商品管理処理;
図6)
図6を参照して、本実施例のRF通信装置10の制御部24が実行する商品管理処理の内容について説明する。上記の通り、本実施例では、対象範囲は、
図7に示すような特定の店舗300全体を想定している。店舗300は、例えば、被服の小売店である。
図7に示すように、店舗300には、靴下売り場302、帽子売り場304、Tシャツ売り場306、及び、レジカウンター310が配置されている。靴下売り場302、帽子売り場304、Tシャツ売り場306には、それぞれ、多数個の靴下、帽子、Tシャツが主に配置されている。店舗内の靴下、帽子、Tシャツには、それぞれの商品を示す種類情報が記録されたRFタグ100が取り付けられている。
図7の店舗300内の符号Uは、RF通信装置10及び端末装置50を携帯するユーザを示す。ユーザは、店舗300の中心位置に存在している。
図7の例では、ユーザの位置からは、靴下売り場302、帽子売り場304、Tシャツ売り場306のそれぞれには、他の商品が紛れ込んでいるか否かは外観上判別が難しい。
図7に示す店舗300はあくまで一例である。対象範囲は、店舗に限られず、屋外会場等、多数の商品を配置できる範囲であれば任意の範囲であってもよい。
【0058】
本実施例でも、対象範囲内の商品の確認を希望するユーザは、店舗300の中心位置で、RF通信装置10の把持部11bを把持した上で、操作ボタン12に所定の読取開始操作を入力する。その場合、RF通信装置10の制御部24は、
図6の商品管理処理を開始する。
【0059】
S30では、制御部24は、読取処理を実行する。本実施例でも、読取処理では、まず制御部24はRF通信部20に電波を出力させる。この際、ユーザは、RF通信部20から出力される電波が店舗300の全体に届くように、収容部11cを店舗300の各部に向ける。この際、ユーザは、把持しているRF通信装置10を各所に向けられるように振り回すような動作を行う。上記の通り、本実施例では、対象範囲は、
図7に示す特定の店舗300全体である。店舗300内に存在するRFタグ100は、RF通信部20が出力する電波を受信することができる。各RFタグ100は、電波を受信すると、受信した電波を電力に代えて、自身のメモリに記録された情報(即ちタグID及びタグ情報)を含む反射波を出力する。RF通信部20は、RFタグ100が出力した反射波を受信すると、反射波に含まれる情報を抽出し、制御部24に供給する。これにより、制御部24は、RFタグ100から、当該RFタグ100に記録された情報を取得する。本実施例では、この際、制御部24は、受信した反射波(即ち、情報を取得した際の反射波)の電波強度値(RSSI値)に加え、受信した反射波の位相も併せて計測する。
【0060】
S32では、制御部24は、RFタグ100の読み取りに新たに成功したか否かを判断する。S32の処理の内容は、
図3のS14と同様である。この時点で、S30で実行した読取処理において、新たにRFタグ100の読み取りに成功した(即ち、RFタグ100から新たに情報を取得した)場合には、制御部24は、S32でYESと判断し、S34に進む。一方、この時点で、読取処理においてRFタグ100の読み取りが行われなかった(即ち、いずれのRFタグ100からも新たに情報を取得しなかった)場合、制御部24は、S32でNOと判断し、S38に進む。
【0061】
S34では、制御部24は、制御部24は、RFタグ100から情報を読み取った(新たに取得した)際の電波強度値(RSSI値)を記録する。具体的には、制御部24は、RFタグ100から情報を新たに取得した際に計測された電波強度値を、メモリ30の一時記憶領域内の読み取り済み情報に対応付けて記憶させる。
【0062】
続くS36では、制御部24は、制御部24は、S34で記録された電波強度値と位相とに基づいて、情報を読み取ったRFタグ100の店舗300内における位置を特定し、記録する。情報受信時の反射波の電波強度値及び位相を用いたRFタグ100の位置の特定手法は、任意の公知の手法を用いることができる。電波強度値と位相の一方のみを用いてもRFタグ100の位置を特定することは可能であるが、電波強度値と位相の双方を用いてRFタグ100の位置を特定する方が高い精度で位置を特定できる可能性が高く、より好ましい。制御部24は、特定されたRFタグ100の位置を示す位置情報を、メモリ30の一時記憶領域内の読み取り済み情報に対応付けて記憶させる。S36を終えると、制御部24は、S30に戻り、再度RF通信部20に電波を出力させ、読取処理を実行する。
【0063】
一方、S38では、制御部24は、RF通信装置10の電波の届く範囲内のすべてのRFタグ100の読み取りが完了したか否かを判断する。具体的には、S38は、制御部24は、いずれのRFタグ100からも新たに情報が取得されないまま、所定のタイムアウト期間が経過することを監視する。所定のタイムアウト期間が経過するまでの間は、制御部24は、S30でRF通信部20に電波を出力させ、読取処理の実行を継続する。
【0064】
本実施例でも、1回の商品管理処理において、制御部24は、RF通信部20に電波を複数回出力させ、上述の各処理を複数サイクル実行させる。一度情報が読み取られたRFタグ100(読取済みのRFタグ100)であっても、RFタグ100は、電波を受信すると、メモリに記録された情報を含む反射波を出力する。上記の通り、制御部24は、取得された情報に基づいて、RFタグ100が読み取り済みであるか未読み取りであるかを判断している。そのため、上述の各処理が複数サイクル実行される場合、最初の数サイクルの間は、周囲(即ち店舗300)には未読み取りのRFタグ100が多く存在するため、1回のサイクルで多数の情報(タグID及びタグ情報)が新たに読み取られる。このように、サイクルを重ねると、未読み取りのRFタグ100の数が減っていくため、1回のサイクルで新たに読み取られる情報の数も減っていく。最終的に、RF通信装置10からの電波の届く範囲内(即ち店舗300内)に未読み取りのRFタグ100が存在しなくなると、いずれのRFタグ100からも新たに情報が取得されないまま、所定のタイムアウト期間が経過する。その場合、制御部24は、S38でYESと判断し、S40に進む。
【0065】
S40では、制御部24は、この時点でメモリ30の一時領域内に記憶されている複数個の読み取り済み情報を用いて表示画面350(
図8参照)を生成し、BT通信リンクを介して端末装置50のタッチパネル54に表示させる。
【0066】
図8に示す表示画面350は、店舗300内における各RFタグ100の位置分布を模式的に示す画面である。
図8の例では、星型の目印360は、RF通信装置10の位置(即ちユーザの位置)を示す。
図8の例では、各RFタグ100の位置は、マーカ400、500、600によって表されている。マーカ400、500、600は、種類情報に応じて、異なる表示態様で表示される。例えば、マーカ400は、「靴下」を示す種類情報に対応するRFタグ100を表すマーカであり、画面中では白色の丸型の印で表される。また、マーカ500は、「帽子」を示す種類情報に対応するRFタグ100を表すマーカであり、画面中では青色の丸印で表される。また、マーカ600は、「Tシャツ」を示す種類情報に対応するRFタグ100を表すマーカであり、画面中では青色の丸印で表される。
【0067】
また、多数個のマーカ400が密集している範囲(
図7の靴下売り場302に対応する範囲)では、多数個のマーカ400をマーカと同色(白色)の囲いで囲み、集合体410として表示している。集合体410が表示されることで、その位置に、靴下(即ちマーカ400で表される商品)が密集していることが直感的に把握されやすくなる。
【0068】
同様に、多数個のマーカ500が密集している範囲(
図7の帽子売り場304に対応する範囲)では、多数個のマーカ500をマーカと同色(青色)の囲いで囲み、集合体510として表示している。これにより、集合体510の位置に、帽子(即ちマーカ500で表される商品)が密集していることが直感的に把握されやすくなる。また、多数個のマーカ600が密集している範囲(
図7のTシャツ売り場306に対応する範囲)では、多数個のマーカ600をマーカと同色(赤色)の囲いで囲み、集合体610として表示している。これにより、集合体610の位置に、Tシャツ(即ちマーカ600で表される商品)が密集していることが直感的に把握されやすくなる。
【0069】
図8の例では、白色の集合体410の中に、1個だけ青色のマーカ500が存在している。即ち、靴下が密集している靴下売り場302(
図7参照)の中に、1個だけ帽子が紛れ込んでいることを意味する。
【0070】
同様に、
図8の例では、赤色の集合体610の隣に、1個だけ青色のマーカ500が存在している。即ち、Tシャツが密集しているTシャツ売り場306(
図7参照)の中にも、1個だけ帽子が紛れ込んでいることを意味する。
【0071】
そして、
図8の例では、青色の集合体510の中には、異なる色のマーカが存在していない。即ち、帽子が密集している帽子売り場304(
図7参照)の中には、他の商品が紛れ込んでいない。
【0072】
即ち、ユーザは、
図8の表示画面350を見ることで、店舗300において、靴下売り場302とTシャツ売り場306の中に、それぞれ1個ずつ帽子が紛れ込んでいることを直感的に把握することができる。また、帽子売り場304には他の商品が紛れ込んでいないことも直感的に把握することができる。
【0073】
S40を終えると、制御部24は、
図6の商品管理処理を終了する。
【0074】
以上の通り、本実施例の通信システム2の構成及び動作について説明した。第1実施例と同様に、本実施例でも、制御部24は、読取処理の実行の結果、店舗300内の複数個のRFタグ100から複数個の情報が読み取られる場合において、複数個の情報の中に、集合体410、510に含めることができない情報があるか否かの判定結果を含む表示画面350を表示させることができる(
図6のS40)。そのため、本実施例でも、RF通信装置10のユーザは、表示画面350を見ることで、複数個の情報の中に、対象外の種類情報を含む対象外の情報が存在するか否かを把握することができる。
【0075】
また、本実施例では、制御部24は、各RFタグ100から情報を読み取った際の電波強度値と位相に基づいて、各RFタグ100の店舗300内における位置を特定し、各RFタグ100の店舗300内における位置と、各RFタグが対応する物品の種類とを表す表示画面350(
図8参照)を表示させることができる(S40)。RF通信装置10のユーザは、表示画面350を見ることで、店舗300内のどの位置にどの種類の物品が存在しているのかを視覚的に把握することができる。また、表示画面350では、対応する物品ごとに異なる表示色及び形状のマーカ400、500、600によってRFタグ100の位置が表されている。そのため、RF通信装置10のユーザは、表示画面350を見ることで、店舗300のどの位置にどの種類の物品が存在しているのかを直感的に把握することができる。従って、本実施例によると、RF通信装置10のユーザは、表示画面350を見ることで、RFタグ100が示す商品が本来配置されるべき場所(例えば売り場)以外の場所に配置されている事態をより適切に把握することができる。
【0076】
本実施例では、例えば、
図8の白色の集合体410に対応する「靴下」を表す種類情報が「対象の種類情報」の一例であり、白色の集合体410の中の1個の青色のマーカ500に対応する「帽子」を表す種類情報が「対象外の種類情報」の一例である。
【0077】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0078】
(変形例1)上記の第1実施例では、制御部24は、メモリ30の一時記憶領域に残った範囲内情報の中に、対象外の種類情報を含む範囲内情報が存在するか否かを判断し(
図3のS20)、その結果に応じて、正常画面と表示画面250(
図5)のうちの一方を表示させている。これに限られず、制御部24は、メモリ30の一時記憶領域に残った範囲内情報の中に、対象外の種類情報を含む範囲内情報が存在するか否かの判断結果を、他の方式で出力するようにしてもよい。従って、例えば、制御部24は、判断結果をスピーカ16から音声で出力してもよいし、振動部18による振動の有無で出力してもよい。
【0079】
(変形例2)上記の第2実施例では、
図8に示すように、表示画面350において、多数個の同種のマーカが密集している範囲では、多数個のマーカをマーカと同色の囲いで囲んだ集合体(例えば集合体410)として表示している。これに限られず、変形例では、表示画面では、集合体の表示を省略し、各マーカを囲まずに個別に表示するようにしてもよい。
【0080】
(変形例3)上記の第2実施例では、
図8に示すように、表示画面350において、同一の種類情報を記憶するRFタグ100を、同じ表示態様(表示色、形)のマーカで表している。これに限られず、表示画面350内でRFタグ100をマーカ表示する際には、種類情報が全く同一でなくても、同系統の商品を示す種類情報同士のRFタグ100を同じ表示態様のマーカで表示してもよい。例えば、小売店の場合、色や形に応じて異なる種類情報で示されるジーンズ類のRFタグ100を、色や形にかかわらず共通の表示態様のマーカで示してもよい。
【0081】
(変形例4)上記の第2実施例では、
図6のS40で表示される表示画面350は、店舗300内における各RFタグ100の位置分布を模式的(マップ的)に示す画面である。これに限られず、表示画面350は、店舗300内の各商品の位置と種類を判別できるように表された画面であれば、
図8に示すようなマップ的な画面には限られない。
【0082】
(変形例5)上記の第1実施例では、制御部24は、ユーザによって対象の種類情報が指定されたうえで(
図3のS10でYES)、読取処理(S12)及びそれ以降の処理を実行する。これに限られず、S10では、制御部24は、初めに、比較的微弱な電波をRF通信部20に出力させ、その結果読み取られた1個のRFタグ100に含まれる種類情報を自動的に対象の種類情報として指定し、読取処理(S12)及びそれ以降の処理を実行してもよい。
【0083】
(変形例6)上記の実施例では、RF通信装置10は表示部を備えておらず、読取作業の結果等は端末装置50のタッチパネル54に表示させている。これに限られず、RF通信装置10が表示部を備えていてもよい。読取作業の結果等の情報は、RF通信装置10の表示部に表示されてもよい。
【0084】
(変形例7)
図1に示すように、上記の実施例では、RF通信装置10は、把持部11b及び把持部操作ボタン12bを備えるガンタイプ型装置である。これに限られず、RF通信装置10は、ガンタイプ型以外の装置であってもよい。例えば、RF通信装置10は、タブレット型、ハンディターミナル型等の装置であってもよい。
【0085】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0086】
2:通信システム
10:RF通信装置
11:筐体
11a:本体部
11b:把持部
11c:収容部
12a:側面操作ボタン
12b:把持部操作ボタン
16:スピーカ
18:振動部
20:RF通信部
22:BTI/F
24:制御部
30:メモリ
32:OSプログラム
50:端末装置
54:タッチパネル
60:制御部
62:メモリ
100:RFタグ
200:商品棚
202:靴下
250:表示画面
252:メッセージ
254:読取結果
300:店舗
302:靴下売り場
304:帽子売り場
306:Tシャツ売り場
310:レジカウンター
350:表示画面
360:目印
400:マーカ
410:集合体
500:マーカ
510:集合体
600:マーカ
610:集合体