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特許7396041モータ駆動用制御基板、及び電動オイルポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】モータ駆動用制御基板、及び電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231205BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019238197
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021106485
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】関 雄策
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061363(JP,A)
【文献】特開2016-171630(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132528(WO,A1)
【文献】特開2018-148669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334203(US,A1)
【文献】国際公開第2013/114565(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第1相の出力を互いに個別に入切する第1相用スイッチング素子対と、互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第2相の出力を互いに個別に入切する第2相用スイッチング素子対と、互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第3相の出力を互いに個別に入切する第3相用スイッチング素子対と、スナバ回路とを備えるモータ駆動用制御基板であって、
前記スナバ回路は、
前記第1相用スイッチング素子対、前記第2相用スイッチング素子対、及び前記第3相用スイッチング素子対のそれぞれに並列接続される並列スナバ回路を備え、
前記並列スナバ回路を少なくとも3つ備え、
少なくとも3つの前記並列スナバ回路のそれぞれは、互いに並列接続され且つ互いに静電容量の異なる複数のスナバコンデンサを備える
モータ駆動用制御基板。
【請求項2】
ポンプ部と、前記ポンプ部の駆動源となるモータ部と、前記モータ部の駆動を制御するモータ駆動用制御基板とを備える電動オイルポンプにおいて、
前記モータ駆動用制御基板が、請求項1に記載のモータ駆動用制御基板である
電動オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用制御基板、及び電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相電源における第1相用スイッチング素子対、第2相用スイッチング素子対、及び第3相用スイッチング素子対と、それぞれのスイッチング素子対に並列接続されたスナバ回路とを備えるモータ駆動用制御基板が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のモータ駆動用制御基板としてのインバータ基板は、3対のスイッチング素子対と、スナバ回路とを備える。3対のスイッチング素子対のそれぞれは、互いに直列接続された2つのスイッチング素子からなる。3対のスイッチング素子対のうち、1つは、2つのスイッチング素子により、三相電源におけるU相(例えば第1相)の出力を互いに個別に入切する。他の1つは、2つのスイッチング素子により、三相電源におけるV相(例えば第2相)の出力を互いに個別に入切する。他の1つは、2つのスイッチング素子により、三相電源におけるW相(例えば第3相)の出力を互いに個別に入切する。スナバ回路は、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサからなり、3対のスイッチング素子のそれぞれに並列接続される。特許文献1によれば、かかる構成のインバータ基板は、スナバ回路によってラジオノイズを低減することができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5091521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のインバータ基板においては、次のような課題がある。即ち、3つのスイッチング素子対のうち、スナバ回路の近傍に配置されたスイッチング素子対に入力されるノイズを低減することが可能であるが、他の2つのスイッチング素子対に入力されるノイズを有効に低減することができないという課題である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各相用のスイッチング素子対のそれぞれに入力されるノイズを有効に低減することができるモータ駆動用制御基板、及び電動オイルポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の例示的な第1発明は、互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第1相の出力を互いに個別に入切する第1相用スイッチング素子対と、互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第2相の出力を互いに個別に入切する第2相用スイッチング素子対と、互いに直列接続されたスイッチング素子の対からなり、三相電源における第3相の出力を互いに個別に入切する第3相用スイッチング素子対と、スナバ回路とを備えるモータ駆動用制御基板であって、前記スナバ回路は、前記第1相用スイッチング素子対、前記第2相用スイッチング素子対、及び前記第3相用スイッチング素子対のそれぞれに並列接続される並列スナバ回路を備え、前記並列スナバ回路を少なくとも3つ備え、少なくとも3つの前記並列スナバ回路のそれぞれは、互いに並列接続され且つ互いに静電容量の異なる複数のスナバコンデンサを備えるモータ駆動用制御基板である。
【0009】
本願の例示的な第2発明は、ポンプ部と、前記ポンプ部の駆動源となるモータ部と、前記モータ部の駆動を制御するモータ駆動用制御基板とを備える電動オイルポンプにおいて、前記モータ駆動用制御基板が、第1発明のモータ駆動用制御基板である電動オイルポンプである。
【発明の効果】
【0010】
本願の例示的な第1発明、第2発明、第3発明によれば、各相用のスイッチング素子対のそれぞれに入力されるノイズを有効に低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電動オイルポンプを+X側から示す斜視図である。
図2】同電動オイルポンプを-X側から示す斜視図である。
図3】同電動オイルポンプのインバータにおける制御基板の回路の一部を示す回路図である。
図4】変形例に係る電動オイルポンプのインバータにおける制御基板の回路の一部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。本実施形態では、自動車などの車両に搭載される電動オイルポンプについて説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数などを異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、図1に示される中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。中心軸Jは、後述するモータ部10のシャフト(モータ軸)13の中心軸線である。Y軸方向は、図1に示される電動オイルポンプの短手方向と平行な方向とする。Z軸方向は、X軸方向とY軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の何れにおいても、図中に示される矢印の向く側を+側、反対側を-側とする。
【0014】
また、以下の説明においては、X軸方向の正の側(+X側)を「フロント側」と記し、X軸方向の負の側(-X側)を「リア側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(X軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0015】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(X軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(X軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0016】
<全体構成>
図1は、実施形態に係る電動オイルポンプ1を+X側から示す斜視図である。図2は、電動オイルポンプ1を-X側から示す斜視図である。電動オイルポンプ1は、図1、及び図2に示されるように、ハウジング2、モータ部10、ポンプ部40、及びインバータ100を備える。
【0017】
(ハウジング2)
ハウジング2は、金属(例えばアルミ)製の鋳造品からなる。ハウジング2は、モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングと、インバータ100のインバータハウジングとを兼ねる。モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングと、インバータ100のインバータハウジングとは、単一の部材の部分である。
【0018】
ポンプ部40のポンプロータを収容するロータ収容部と、モータ部10のモータハウジングとは、単一の部材の部分であってもよいし、別体であってもよい。また、モータ部10のモータハウジングと、ポンプ部40のポンプハウジングとは、別体であってもよい。
【0019】
実施形態に係る電動オイルポンプ1のように、モータハウジングと、ポンプハウジングとが単一の部材の部分である場合、モータハウジングと、ポンプハウジングとの軸方向における境界は次のように定義される。即ち、シャフトをモータハウジング内からポンプハウジングのロータ収容部に向けて貫通させる貫通穴が設けられる壁の軸方向の中心が両ハウジングの軸方向の境界である。
【0020】
<モータ部10>
モータ部10は、モータハウジングの中にモータ11を備える。
【0021】
(モータ11)
モータ11は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されるシャフト13と、ロータ20と、ステータ22とを備える。
【0022】
モータ11は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト13の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に配置される。モータ11におけるシャフト13を除く部分は、モータ11の本体部である。即ち、モータ11の本体部は、ロータ20、ステータ22などによって構成される。
【0023】
ロータ20は、シャフト13のリア側(他方側)の領域であって、且つリア側の端よりもフロント側(一方側)の領域に固定される。ステータ22は、内周面をロータ20の外周面に対向させる態様で配置される。
【0024】
モータ軸としてのシャフト13は、軸方向のフロント側が、ステータ22のフロント側の端から突出してポンプ部40(より詳しくは、後述のポンプロータ47)に接続される。
【0025】
ステータ22は、コイル22bを備える。コイル22bへの通電がなされると、ロータ20がシャフト13とともに回転する。
【0026】
ハウジング2は、軸方向リア側を向く開口を軸方向のリア側の端に備える。前述の開口は、インバータカバー198によって塞がれる。作業者は、ハウジング2からインバータカバー198を取り外すことで、インバータ100の制御基板101にアクセスすることができる。
【0027】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、モータ部10の軸方向フロント側に位置し、モータ部10によってシャフト13を介して駆動されてオイルを吐出する。ポンプ部40は、ポンプロータ47とポンプカバー52とを備える。
【0028】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、シャフト13のフロント側に取り付けられる。ポンプロータ47は、インナーロータ47aと、アウターロータ47bとを備える。インナーロータ47aは、シャフト13に固定される。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む。
【0029】
インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。インナーロータ47aは、シャフト13と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。アウターロータ47bの径方向外側面は円形である。
【0030】
インナーロータ47aの径方向外側面の歯車とアウターロータ47bの径方向内側面の歯車とは互いに噛み合い、シャフト13の回転に伴ってインナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト13の回転によりポンプロータ47は回転する。モータ部10とポンプ部40とは同一の部材からなる回転軸としてのシャフト13を備える。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0031】
また、インナーロータ47a、及びアウターロータ47bが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bとの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域となり、容積が増加する領域が負圧領域となる。
【0032】
(ポンプカバー52)
ハウジング2は、軸方向フロント側の端に、軸方向フロント側を向く開口を備える。この開口は、ポンプカバー52によって閉じられる。ポンプカバー52は、ボルト53によってハウジング2に固定される。また、ポンプカバー52は、ポンプロータ47における前述の加圧領域に対向する吐出口52aと、ポンプロータ47における前述の負圧領域に対向する吸入口52bとを備える。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40内のオイルが吐出口52aを介して外部に吐出するとともに、外部のオイルが吸入口52bを介してポンプ部40内に吸引される。
【0033】
<インバータ100>
インバータ100は、モータ部10、及びポンプ部40よりも軸方向の-X側に配置される。モータ11の駆動を制御するインバータ100は、回路基板としての制御基板101と、インバータカバー198と、コネクタ199とを備える。
【0034】
(制御基板101)
モータ駆動用制御基板としての制御基板101は、基板102と、基板102に実装される複数の電子部品とを備える。基板102は、複数の基板配線、端子、ランド、スルーホール、テストポイント等を備える。かかる構成の基板102に、複数の電子部品が実装されたものが、制御基板101である。即ち、制御基板101に実装された電子部品を制御基板101から除いた部分が、基板102である。複数の電子部品の一部は、インバータ―機能を備えるモータ駆動回路を構成する。
【0035】
制御基板101は、基板面をY軸方向、及びZ軸方向に沿わせる姿勢で、インバータハウジング内に固定される。
【0036】
(コネクタ199)
コネクタ199は、車両側の電源コネクタと接続される。車両側の電源コネクタは、常時電源用、GND用、信号入力用、及び信号出力用の4つのポートを備え、作業者によってZ軸方向の+Z側から-Z側に向けて移動されてコネクタ199に装着される。コネクタ199は、前述の4つのポートに個別に電気接続される4つのコネクタ端子を備える。
【0037】
以下、三相電源における各相の一例として、第1相をU相、第2相をV相、第3相をW相として説明するが、相番号と相名称との関係は、前述の一例に限られない。
【0038】
図3は、制御基板101の回路の一部を示す回路図である。制御基板101は、3つのスイッチング素子対を備える。第1のスイッチング素子対は、互いに直列接続されたU相用第1MOSFET126aとU相用第2MOSFET126bとからなるU相用スイッチング素子対である。第2のスイッチング素子対は、互いに直列接続されたV相用第1MOSFET127aとV相用第2MOSFET127bとからなるV相用スイッチング素子対である。第3のスイッチング素子対は、互いに直列接続されたW相用第1MOSFET128aとW相用第2MOSFET128bとからなるW相用スイッチング素子対である。
【0039】
U相用第1MOSFET126aにおけるドレイン、及びソースには、U相用第1MOSFET126aに入力されるノイズを専用に低減するためのU相用第1スナバ回路129aが並列接続される。U相用第1スナバ回路129aは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0040】
U相用第2MOSFET126bにおけるドレイン、及びソースには、U相用第2MOSFET126bに入力されるノイズを専用に低減するためのU相用第2スナバ回路129bが並列接続される。U相用第2スナバ回路129bは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0041】
V相用第1MOSFET127aにおけるドレイン、及びソースには、V相用第1MOSFET127aに入力されるノイズを専用に低減するためのV相用第1スナバ回路130aが並列接続される。V相用第1スナバ回路130aは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0042】
V相用第2MOSFET127bにおけるドレイン、及びソースには、V相用第2MOSFET127bに入力されるノイズを専用に低減するためのV相用第2スナバ回路130bが並列接続される。V相用第2スナバ回路130bは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0043】
W相用第1MOSFET128aにおけるドレイン、及びソースには、W相用第1MOSFET128aに入力されるノイズを専用に低減するためのW相用第1スナバ回路131aが並列接続される。W相用第1スナバ回路131aは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0044】
W相用第2MOSFET128bにおけるドレイン、及びソースには、W相用第2MOSFET128bに入力されるノイズを専用に低減するためのW相用第2スナバ回路131bが並列接続される。W相用第2スナバ回路131bは、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサと、抵抗に並列接続されたダイオードとを備える。
【0045】
制御基板101は、第1並列スナバ回路132、第2並列スナバ回路133、及び第3並列スナバ回路134を備える。前述の3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれは、U相用スイッチング素子対(126a、126b)、V相用スイッチング素子対(127a、127b)、及びW相用スイッチング素子対(128a、128b)のそれぞれに並列接続される。
【0046】
かかる構成の制御基板101においては、図示のように、第1並列スナバ回路132が、U相用スイッチング素子対(126a。126b)に近い位置で、U相用スイッチング素子対(126a、126b)に入力されるノイズを有効に抑える。また、第2並列スナバ回路133が、V相用スイッチング素子対(127a、127b)に近い位置で、V相用スイッチング素子対(127a、127b)に入力されるノイズを有効に抑える。また、第3並列スナバ回路134が、W相用スイッチング素子対(128a、128b)に近い位置で、W相用スイッチング素子対(128a、128b)に入力されるノイズを有効に抑える。よって、制御基板101によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、スナバ回路を、3つのスイッチング素子対のうち、2つのスイッチング素子から離れた位置に配置していた従来構成に比べて、6つのMOSFET(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを低減することができる。
【0047】
3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれは、互いに並列接続された第1スナバコンデンサ対(132a、133a、134a)、第2スナバコンデンサ対(132b、133b、134b)、及び第3スナバコンデンサ対(132c、133c、134c)を備える。第1スナバコンデンサ対、第2スナバコンデンサ対、第3スナバコンデンサ対のそれぞれは、互いに直列接続された2つのコンデンサからなる。第1スナバコンデンサ対の2つのコンデンサの静電容量は、それぞれ0.1〔μF〕である。第2スナバコンデンサ対の2つのコンデンサの静電容量は、それぞれ0.01〔μF〕である。第3スナバコンデンサ対の2つのコンデンサの静電容量は、それぞれ1000〔pF〕である。
【0048】
かかる構成の制御基板によれば、3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれが、互いに並列接続された静電容量の異なる複数のスナバコンデンサにより、複数の周波数帯域のノイズのそれぞれを吸収することができる。
【0049】
制御基板101は、U相用スイッチング素子対のU相用第1MOSFET126aの一端と、U相用第2MOSFET126bの他端とに並列接続されるU相用スナバ回路135を備える。U相用スナバ回路135は、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサを備える。
【0050】
制御基板101は、V相用スイッチング素子対のV相用第1MOSFET127aの一端と、V相用第2MOSFET127bの他端とに並列接続されるV相用スナバ回路136を備える。V相用スナバ回路136は、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサを備える。
【0051】
制御基板101は、W相用スイッチング素子対のW相用第1MOSFET128aの一端と、W相用第2MOSFET128bの他端とに並列接続されるW相用スナバ回路137を備える。W相用スナバ回路137は、互いに直列接続された抵抗、及びコンデンサを備える。
【0052】
かかる構成においては、U相用スナバ回路135が、U相用スイッチング素子対の2つのMOSFET(126a、126b)のそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(126a、126b)のそれぞれに対してモータ側から入力されるノイズを抑える。また、V相用スナバ回路136が、V相用スイッチング素子対の2つのMOSFET(127a、127b)のそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(127a、127b)のそれぞれに対してモータ側から入力されるノイズを抑える。また、W相用スナバ回路137が、W相用スイッチング素子対の2つのMOSFET(128a、128b)のそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(128a、128b)のそれぞれに対してモータ側から入力されるノイズを抑える。よって、制御基板101によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、スナバ回路を、3つのスイッチング素子対のうち、2つのスイッチング素子から離れた位置に配置していた従来構成に比べて、6つのMOSFET(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを低減することができる。
【0053】
<電動オイルポンプ1の作用効果>
(1)制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるU相の出力を互いに個別に入切するU相用スイッチング素子対(126a、126b)を備える。また、制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるV相の出力を互いに個別に入切するV相用スイッチング素子対(127a、127b)を備える。また、制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるW相の出力を互いに個別に入切するW相用スイッチング素子対(128a、128b)を備える。また、制御基板101は、U相用スイッチング素子対、V相用スイッチング素子対、及びW相用スイッチング素子対のそれぞれに並列接続されたスナバ回路を備える。制御基板101は、前記スナバ回路として、少なくとも3つ配置された並列スナバ回路を備え、それぞれの並列スナバ回路(132、133、134)は、U相用スイッチング素子対(126a、126b)、V相用スイッチング素子対MOSFET(127a、127b)、及びW相用スイッチング素子対(128a、128b)のそれぞれに並列接続される。
【0054】
かかる構成において、少なくとも3つの並列スナバ回路のうち、何れか1つ(132)は、U相用スイッチング素子対(126a、126b)の近傍に配置され、U相用スイッチング素子対(126a、126b)に対し入力されるノイズを有効に抑える。3つの並列スナバ回路のうち、他の1つ(133)は、V相用スイッチング素子対(127a、127b)の近傍に配置され、V相用スイッチング素子対(127a、127b)に対して入力されるノイズを有効に抑える。また、3つの並列スナバ回路のうち、他の1つ(134)は、W相用スイッチング素子対(128a、128b)の近傍に配置され、W相用スイッチング素子対(128a、128b)に対して入力されるノイズを有効に抑える。よって、制御基板101によれば、スナバ回路を、3つのスイッチング素子対のうち、2つのスイッチング素子対のそれぞれから離れた位置に配置していた従来構成に比べて、3つのスイッチング素子対のそれぞれに入力されるノイズを低減することができる。
【0055】
(2) 前記(1)の構成における少なくとも3つのスナバ回路(132、133、134)のそれぞれは、互いに並列接続され且つ互いに静電容量の異なる複数のスナバコンデンサを備える。
【0056】
かかる構成によれば、少なくとも3つのスナバ回路(132、133、134)のそれぞれが、互いに並列接続された静電容量の異なる複数のスナバコンデンサにより、複数の周波数帯域のノイズのそれぞれを吸収することができる。
【0057】
(3)制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるU相の出力を互いに個別に入切するU相用スイッチング素子対(126a、126b)を備える。また、制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるV相の出力を互いに個別に入切するV相用スイッチング素子対(127a、127b)を備える。また、制御基板101は、互いに直列接続されたMOSFETの対からなり、三相電源におけるW相の出力を互いに個別に入切するW相用スイッチング素子対(128a、128b)を備える。また、制御基板101は、U相用スイッチング素子対(126a、126b)における一方のMOSFETの一端と他方のMOSFETの他端とに並列接続されるU相用スナバ回路135を備える。また、制御基板101は、V相用スイッチング素子対(127a、127b)における一方のMOSFETの一端と他方のMOSFETの他端とに並列接続されるV相用スナバ回路136を備える。また、制御基板101は、W相用スイッチング素子対(128a、128b)における一方のMOSFETの一端と他方のMOSFETの他端とに並列接続されるされるW相用スナバ回路137を備える。
【0058】
かかる構成においては、U相用スナバ回路135が、U相用スイッチング素子対(126a、126b)の2つのMOSFETのそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(126a、126b)に対してモータ側から入力されるノイズを個別に抑える。また、V相用スナバ回路136が、V相用スイッチング素子対(127a、127b)の2つのMOSFETのそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(127a、127b)に対してモータ側から入力されるノイズを個別に抑える。また、W相用スナバ回路137が、W相用スイッチング素子対(128a、128b)の2つのMOSFETのそれぞれに近い位置で、2つのMOSFET(128a、128b)に対してモータ側から入力されるノイズを個別に抑える。よって、制御基板101によれば、スナバ回路を1つしか備えない従来構成に比べて、各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを低減することができる。
【0059】
(4)制御基板101は、前記(3)の構成を備える。また、制御基板101は、並列スナバ回路(例えば134)を備える。並列スナバ回路(例えば134)は、U相用スイッチング素子対(126a、126b)、V相用スイッチング素子対(127a、127b)、及びW相用スイッチング素子対(128a、126b)のそれぞれに並列接続される。
【0060】
かかる構成においては、各相用のスナバ回路(135、136、137)により、各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに対してモータ側から入力されるノイズを個別に抑えることに加えて、次の作用効果を奏する。即ち、並列スナバ回路(例えば134)が、各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを抑える。これにより、各相用のスイッチング素子対(126a~b、127a~b、128a~b)のそれぞれに入力されるノイズをより効果的に低減することができる。
【0061】
(5)制御基板101は、前記(4)の構成に加えて、少なくとも3つの並列スナバ回路(132、133、134)を備える。少なくとも3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれは、U相用スイッチング素子対(126a、126b)、V相用スイッチング素子対(127a、127b)、及びW相用スイッチング素子対(128a、128b)のそれぞれに並列接続される。
【0062】
かかる構成において、少なくとも3つの並列スナバ回路のうち、何れか1つ(132)は、U相用スイッチング素子対(126a、126b)の近傍に配置され、U相用スイッチング素子対(126a、126b)に対し入力されるノイズを有効に抑える。3つの並列スナバ回路のうち、他の1つ(133)は、V相用スイッチング素子対(127a、127b)の近傍に配置され、V相用スイッチング素子対(127a、127b)に対して入力されるノイズを有効に抑える。また、3つの並列スナバ回路のうち、他の1つ(134)は、W相用スイッチング素子対(128a、128b)の近傍に配置され、W相用スイッチング素子対(128a、128b)に対して入力されるノイズを有効に抑える。以上の結果、制御基板101によれば、各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを更に効果的に低減することができる。
【0063】
(6) 前記(5)の構成における少なくとも3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれは、互いに並列接続され且つ互いに静電容量の異なる複数のスナバコンデンサを備える。
【0064】
かかる構成によれば、少なくとも3つの並列スナバ回路(132、133、134)のそれぞれが、互いに並列接続された静電容量の異なる複数のスナバコンデンサにより、複数の周波数帯域のノイズのそれぞれを吸収することができる。
【0065】
(7)電動オイルポンプは、ポンプ部40と、ポンプ部40の駆動源となるモータ部10と、モータ部10の駆動を制御する制御基板101とを備える。制御基板101は、前記(1)~(6)の何れかの構成を備える。
【0066】
かかる構成によれば、制御基板101における各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズの発生を有効に抑えることができる。
【0067】
なお、少なくとも3つの並列スナバ回路(132、133、134)と、各相用のスナバ回路(135、136、137)とのうち、何れか一方だけを設けてもよい。かかる構成においても、各相用のスイッチング素子対(126a、126b、127a、127b、128a、128b)のそれぞれに入力されるノイズを従来構成よりも有効に低減することが可能である。
【0068】
また、各相用のスナバ回路(135、136、137)に加えて、3つの並列スナバ回路(132、133、134)を設けた例について説明したが、図4に示されるように、並列スナバ回路(134)を1つだけ、もしくは2つだけ設けてもよい。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。以上に説明した実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1:電動オイルポンプ
10:モータ部
11:モータ
40:ポンプ部
100:インバータ(制御部)
101:制御基板(モータ駆動用制御基板)
126a:U相用第1MOSFET(第1相用スイッチング素子対の一方のスイッチング素子)
126b:U相用第2MOSFET(第1相用スイッチング素子対の他方のスイッチング素子)
127a:V相用第1MOSFET(第2相用スイッチング素子対の一方のスイッチング素子)
127b:V相用第2MOSFET(第2相用スイッチング素子対の他方のスイッチング素子)
128a:W相用第1MOSFET(第3相用スイッチング素子対の一方のスイッチング素子)
128b:W相用第2MOSFET(第3相用スイッチング素子対の他方のスイッチング素子)
132:第1並列スナバ回路
133:第2並列スナバ回路
134:第3並列スナバ回路
135:U相用スナバ回路(第1相用スナバ回路)
136:V相用スナバ回路(第2相用スナバ回路)
137:W相用スナバ回路(第3相用スナバ回路)
J:中心軸

図1
図2
図3
図4