(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電力分配装置
(51)【国際特許分類】
H02M 1/14 20060101AFI20231205BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20231205BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H02M1/14
H01R25/00 Z
H02M3/00 E
(21)【出願番号】P 2020003090
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-04-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(72)【発明者】
【氏名】神谷 悠貴
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-219907(JP,A)
【文献】特開2019-103365(JP,A)
【文献】特開2014-045035(JP,A)
【文献】特開2002-034268(JP,A)
【文献】前川哲也,藤原修,グラウンド板上のフェライトコア装着伝送線路から放射される遠方電界レベルの計算,電子情報通信学会論文誌B,日本,2001年12月,Vol.J84-B, No.12,pages 2374-2381
【文献】B.Hu, V.Tarateeraseth, K.Y.See, Y.Zhao,Assessment of electromagnetic interference suppression performance of ferrite core loaded power cord,IET Science, Measurement and Technology,2010年,Volume 4, Issue 4,pages 229-236
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/14
H01R 25/00
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載電源(100)と接続される電源コネクタ(211)と、
複数の車載電機機器(510,610)それぞれへの電力供給を行う複数の車載電力変換部(500,600)それぞれと接続される複数の電力コネクタ(215,216)と、
前記電源コネクタと接続される共通導電部(201g,202g)、および、前記共通導電部から複数に分岐して複数の前記電力コネクタそれぞれと接続される分岐導電部(201e,201f,202e,202f)を備える電力導電部(205,206)と、
前記共通導電部に設けられるノイズ除去素子(291)と、
前記共通導電部、前記分岐導電部、および、前記ノイズ除去素子を収納する筐体(270)と、
前記電源コネクタと接続される電力変換器(220)と、
前記電力変換器と前記共通導電部とを接続する内部導電部(201b,202b)と、
前記内部導電部若しくは前記共通導電部に設けられるノイズフィルタ(292)と、を有する電力分配装置。
【請求項2】
車載電源(100)と接続される電源コネクタ(211)と、
複数の車載電機機器(510,610)それぞれへの電力供給を行う複数の車載電力変換部(500,600)それぞれと接続される複数の電力コネクタ(215,216)と、
前記電源コネクタと接続される共通導電部(201g,202g)、および、前記共通導電部から複数に分岐して複数の前記電力コネクタそれぞれと接続される分岐導電部(201e,201f,202e,202f)を備える電力導電部(205,206)と、
前記共通導電部に設けられるノイズ除去素子(291)と、
前記電源コネクタと接続される電力変換器(220)と、
前記電力変換器と前記共通導電部とを接続する内部導電部(201b,202b)と、
前記内部導電部若しくは前記共通導電部に設けられるノイズフィルタ(292)と、を有する電力分配装置。
【請求項3】
前記ノイズフィルタは前記共通導電部に設けられており、
前記内部導電部は前記共通導電部における前記ノイズフィルタの配置部位と前記ノイズ除去素子の配置部位との間に接続されている請求項
1または
2に記載の電力分配装置。
【請求項4】
前記ノイズフィルタは前記内部導電部に設けられており、
前記内部導電部は前記共通導電部における前記ノイズ除去素子の配置部位と前記電源コネクタに配置される部位との間に接続されている請求項
1または
2に記載の電力分配装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去素子は、前記共通導電部における前記分岐導電部側に設けられている請求項1~
4いずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項6】
複数の前記分岐導電部それぞれは、前記共通導電部よりも長さが短い請求項1~
5いずれか1項に記載の電力分配装置。
【請求項7】
前記電源コネクタと複数の前記電力コネクタは隣り合う態様で並んでいる請求項1~
6いずれか1項に記載の電力分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、複数のコネクタを備える電力分配装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるようにコンデンサモジュール、パワーモジュール、DC/DCコンバータ、充電装置、充電・DCDCコントローラ、および、インバータコントローラを有する電力変換装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電力変換装置では、ケースにコンデンサモジュール、パワーモジュール、DC/DCコンバータ、充電装置、充電・DCDCコントローラ、および、インバータコントローラそれぞれが収納されている。これら電気機器では電流ノイズが発生する。そしてこの電流ノイズの流動によって電磁ノイズが発生する。この電磁ノイズによって電力変換装置に不具合の生じる虞がある。
【0005】
そこで本明細書に記載の開示は、電磁ノイズの発生の抑制された電力分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の1つは、車載電源(100)と接続される電源コネクタ(211)と、
複数の車載電機機器(510,610)それぞれへの電力供給を行う複数の車載電力変換部(500,600)それぞれと接続される複数の電力コネクタ(215,216)と、
電源コネクタと接続される共通導電部(201g,202g)、および、共通導電部から複数に分岐して複数の電力コネクタそれぞれと接続される分岐導電部(201e,201f,202e,202f)を備える電力導電部(205,206)と、
共通導電部に設けられるノイズ除去素子(291)と、
共通導電部、分岐導電部、および、ノイズ除去素子を収納する筐体(270)と、
電源コネクタと接続される電力変換器(220)と、
電力変換器と共通導電部とを接続する内部導電部(201b,202b)と、
内部導電部若しくは共通導電部に設けられるノイズフィルタ(292)と、を有する。
【0007】
これによれば、車載電力変換部(500,600)で発生した電流ノイズの流動による電磁ノイズの発生が抑制される。
【0008】
また、電流ノイズの車載電源(100)への入力が抑制される。複数の分岐導電部(201e,201f,202e,202f)それぞれにノイズ除去素子(291)の設けられる構成と比べて、部品点数の増大が抑制される。
また別の開示の1つは、車載電源(100)と接続される電源コネクタ(211)と、
複数の車載電機機器(510,610)それぞれへの電力供給を行う複数の車載電力変換部(500,600)それぞれと接続される複数の電力コネクタ(215,216)と、
電源コネクタと接続される共通導電部(201g,202g)、および、共通導電部から複数に分岐して複数の電力コネクタそれぞれと接続される分岐導電部(201e,201f,202e,202f)を備える電力導電部(205,206)と、
共通導電部に設けられるノイズ除去素子(291)と、
電源コネクタと接続される電力変換器(220)と、
電力変換器と共通導電部とを接続する内部導電部(201b,202b)と、
内部導電部若しくは共通導電部に設けられるノイズフィルタ(292)と、を有する。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電力供給システムを説明するための回路図である。
【
図2】電力ラインと第1フィルタを説明するための模式図である。
【
図3】第2実施形態の電力ラインと第1フィルタを説明するための模式図である。
【
図4】第3実施形態の電力ラインと第1フィルタを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態と変形例を図に基づいて説明する。これら実施形態と変形例それぞれには共通要素が含まれている。この共通要素をある実施形態で説明した場合、その共通要素の説明を他の実施形態と変形例では省略する。この共通要素には複数の実施形態と変形例それぞれで同一の符号を付与する。
【0012】
(第1実施形態)
図1および
図2に基づいて本実施形態に係る電力分配装置を説明する。電力分配装置は電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの電動車両に適用される。本実施形態では電力分配装置が電気自動車に適用された構成を一例として説明する。
【0013】
<電力供給システム>
図1に示すように電力分配装置200は車両の電力供給システム10に含まれる。電力供給システム10は、電力分配装置200の他に、電池パック100、第1車載負荷300、第2車載負荷400、フロントPCU500、フロントMG510、リアPCU600、および、リアMG610を備えている。また、電力供給システム10は図示しない車載ECUと車載センサを備えている。この電力供給システム10に外部からDC電源700やAC電源800が接続される。PCUはPower Control Uniteの略である。MGはMotor Generatorの略である。
【0014】
電力供給経路として、車両内で、電池パック100と電力分配装置200とがワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。電力分配装置200に第1車載負荷300と第2車載負荷400それぞれがワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。また、電力分配装置200にフロントPCU500とリアPCU600がワイヤハーネスなどを介して電気的に接続されている。フロントPCU500にフロントMG510が電気的に接続され、リアPCU600にリアMG610が電気的に接続されている。
【0015】
係る電気的な接続構成のため、電池パック100から出力された直流電力は電力分配装置200を介して第1車載負荷300と第2車載負荷400に供給される。また、この直流電力はフロントPCU500とリアPCU600に供給される。電池パック100が車載電源に相当する。
【0016】
フロントPCU500とリアPCU600それぞれには電力変換を行うためのインバータやコンバータが含まれている。フロントPCU500とリアPCU600は供給された直流電力を交流電力に変換する。逆に、フロントPCU500とリアPCU600は供給された交流電力を直流電力に変換する。フロントPCU500とリアPCU600が車載電力変換部に相当する。
【0017】
フロントMG510とリアMG610それぞれは車両に推進力を付与するための車両走行用のモータジェネレータである。フロントMG510とリアMG610はフロントPCU500とリアPCU600から供給された交流電力によって力行する。フロントMG510の力行によって車両の前輪が回転する。リアMG610の力行によって車両の後輪が回転する。フロントMG510とリアMG610が車載電機機器に相当する。
【0018】
フロントMG510とリアMG610とは車両の推進力によって回生発電する。この回生発電によって生じた交流電力がフロントPCU500とリアPCU600とで直流電力に変換される。この直流電力が電力分配装置200を介して第1車載負荷300と第2車載負荷400に供給される。また、この直流電力が電力分配装置200を介して電池パック100に供給される。
【0019】
以下、表記を簡便とするために、電池パック100から供給される直流電力を電源電力と示す。回生発電によって生成され、フロントPCU500とリアPCU600とで直流電力に変換された電力を回生電力と示す。
【0020】
第1車載負荷300は、例えば車両に搭載されたヒータ、空調、および、車両のコンセントに接続される外部負荷などである。この第1車載負荷300に、電力分配装置200を介して電源電力と回生電力が供給される。また、後述するように電力分配装置200に外部から電源が接続される場合、第1車載負荷300に充電電力が供給される。
【0021】
図1に示すように、電力分配装置200にはDCDCコンバータ220が含まれている。DCDCコンバータ220には電源電力、回生電力、および、充電電力が供給される。DCDCコンバータ220は供給された電力を12Vに降圧し、それを第2車載負荷400に供給する。この第2車載負荷400は、例えばスピーカ、パワーウィンドウ、および、パワーステアリング装置などである。
【0022】
電力分配装置200に外部からDC電源700が接続される。DC電源700から出力される直流の充電電力が電池パック100、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。これにより電池パック100が充電される。第1車載負荷300に充電電力が供給されるとともに、DCDCコンバータ220から第2車載負荷400に12Vの直流電力が供給される。
【0023】
電力分配装置200にACDC変換機250が含まれている。このACDC変換機250に外部からAC電源800が接続される。ACDC変換機250はAC電源800から供給される交流電力を直流電力に変換する。この直流電力が、充電電力として電池パック100に供給される。これにより電池パック100が充電される。なお、この充電電力は後述のSMR120の制御によって、第1車載負荷300やDCDCコンバータ220にも供給される。DC電源700とAC電源800が車外電源に相当する。
【0024】
以上に示したように、電力分配装置200は車内で出力された電源電力と回生電力を車両に搭載された各種電気機器に供給する機能を果たしている。電力分配装置200は外部電源から供給される充電電力を車両に搭載された各種電気機器に供給する機能を果たしている。以下、電池パック100と電力分配装置200の備える構成要素を個別に説明する。
【0025】
<電池パック>
電池パック100は、組電池110、SMR120、電源リレー130、電池ECU140、および、電池コネクタ150を有する。SMR120と電源リレー130それぞれの駆動が電池ECU140によって制御される。組電池110の電池コネクタ150側への出力がSMR120と電源リレー130の駆動によって通電と遮断とに制御される。
【0026】
組電池110は直列接続された複数の電池セルを有する。直列接続された複数の電池セルのうちの最高電位の電池セルの正極端子と最低電位の電池セルの負極端子との電位差に応じた電圧が組電池110の電源電圧に相当する。この組電池110に含まれる電池セルとしては、例えばリチウムイオン電池などの二次電池を採用することができる。
【0027】
直列接続された複数の電池セルのうちの最高電位に位置する電池セルの正極端子に第1電源ライン101の一端が接続されている。最低電位に位置する電池セルの負極端子に第2電源ライン102の一端が接続されている。これら第1電源ライン101と第2電源ライン102それぞれの他端が電池コネクタ150に設けられている。
【0028】
第1電源ライン101と第2電源ライン102それぞれにSMR120が設けられている。SMR120は機械式のスイッチ素子である。SMR120は電池ECU140から出力される駆動信号の入力によってオフ状態、駆動信号の入力が途絶えるとオン状態になるノーマリクローズ式のスイッチ素子である。SMRはSystem Main Relayの略である。
【0029】
第1電源ライン101における組電池110とSMR120との間の中点に第3電源ライン103の一端が接続されている。第2電源ライン102における組電池110とSMR120との間の中点に第4電源ライン104の一端が接続されている。これら第3電源ライン103と第4電源ライン104それぞれの他端が電池コネクタ150に設けられている。
【0030】
第3電源ライン103と第4電源ライン104それぞれに電源リレー130が設けられている。電源リレー130は機械式のスイッチ素子である。電源リレー130は電池ECU140から出力される駆動信号の入力によってオン状態、駆動信号の入力が途絶えるとオフ状態になるノーマリオープン式のスイッチ素子である。
【0031】
電池ECU140は図示しない配線を介して車載ECUや後述の電力分配ECU260と通信を行っている。電池ECU140はこれらECUとの通信や車載センサなどから入力される車両情報を含む車両信号に基づいてSMR120と電源リレー130の駆動を制御する。
【0032】
これまでに説明したように、電池コネクタ150には第1電源ライン101~第4電源ライン104それぞれの他端が設けられている。これら4つの電源ラインそれぞれの他端側の組電池110との電気的な接続と遮断の制御が、電池ECU140からSMR120と電源リレー130への駆動信号の出力と不出力とによってなされる。これら4つの電源ラインそれぞれの他端側が電力分配装置200と接続される。
【0033】
<電力分配装置>
電力分配装置200は、分配コネクタ210、DCDCコンバータ220、直流リレー230、ヒューズ240、ACDC変換機250、および、電力分配ECU260を有する。
【0034】
分配コネクタ210は電源コネクタ211、第1負荷コネクタ212、第2負荷コネクタ213、直流電源コネクタ214、フロントコネクタ215、リアコネクタ216、および、交流電源コネクタ217を有する。フロントコネクタ215とリアコネクタ216が電力コネクタに相当する。
【0035】
電源コネクタ211に第1電力ライン201~第4電力ライン204それぞれの一端が設けられている。この電源コネクタ211に電池パック100の電池コネクタ150が接続される。
【0036】
第1電力ライン201の一端に第1電源ライン101の他端が接続される。第2電力ライン202の一端に第2電源ライン102の他端が接続される。これにより、組電池110のSMR120がオン状態になると、第1電力ライン201と第2電力ライン202が組電池110と電気的に接続される。逆にSMR120がオフ状態になると、第1電力ライン201と第2電力ライン202の組電池110との電気的な接続が遮断される。
【0037】
第1電力ライン201は第1主配線から複数の正極ラインに分岐している。同様にして、第2電力ライン202は第2主配線から複数の負極ラインに分岐している。
【0038】
これら複数の正極ラインと負極ラインそれぞれの先端が第1電力ライン201と第2電力ライン202それぞれの他端として第1負荷コネクタ212~リアコネクタ216に設けられている。そして正極ラインと負極ラインにDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ヒューズ240が設けられている。正極ラインと負極ラインについては後で詳説する。
【0039】
第3電力ライン203の一端に第3電源ライン103の他端が接続される。第4電力ライン204の一端に第4電源ライン104の他端が接続される。これにより、組電池110の電源リレー130がオン状態になると、第3電力ライン203と第4電力ライン204が組電池110と電気的に接続される。電源リレー130がオフ状態になると、第3電力ライン203と第4電力ライン204の組電池110との電気的な接続が遮断される。
【0040】
第3電力ライン203と第4電力ライン204にACDC変換機250が設けられている。第3電力ライン203と第4電力ライン204それぞれの他端が交流電源コネクタ217に設けられている。この交流電源コネクタ217に外部からAC電源800が接続される。これにより電源リレー130がオン状態になると、組電池110とAC電源800とがACDC変換機250を介して電気的に接続される。
【0041】
電力分配ECU260は図示しない配線を介して車載ECUや電池ECU140と通信を行っている。電力分配ECU260はこれらECUとの通信や図示しない車載センサなどから入力される車両情報を含む車両信号に基づいてDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ACDC変換機250の駆動を制御する。
【0042】
これまでに説明したように、電力分配装置200には外部からDC電源700やAC電源800が接続される。これら外部電源が例えば電気スタンドの場合、電力分配ECU260はこの電気スタンドに含まれるCPUと通信を行う。電力分配ECU260はこの通信結果を車載ECUや電池ECU140に出力する。電力分配ECU260はこの通信結果と車両情報とに基づいてDCDCコンバータ220、直流リレー230、および、ACDC変換機250の駆動を制御する。同様にして、電池ECU140はこの通信結果と車両情報とに基づいてSMR120と電源リレー130の駆動を制御する。
【0043】
<正極ラインと負極ライン>
図1に示すように、第1電力ライン201は、第1主配線から第1正極ライン201a、第2正極ライン201b、第3正極ライン201c、および、第4正極ライン201dの4つに分岐している。第2電力ライン202は、第2主配線から第1負極ライン202a、第2負極ライン202b、第3負極ライン202c、および、第4負極ライン202dの4つに分岐している。
【0044】
第1正極ライン201aと第1負極ライン202aそれぞれの先端が第1負荷コネクタ212に設けられている。これにより、SMR120がオン状態になると組電池110と第1車載負荷300とが電気的に接続される。
【0045】
第2正極ライン201bと第2負極ライン202bそれぞれの先端が第2負荷コネクタ213に設けられている。これら第2正極ライン201bと第2負極ライン202bにDCDCコンバータ220が設けられている。これにより、DCDCコンバータ220に電力が供給されると12Vの直流電力が第2車載負荷400に供給される。
【0046】
第3正極ライン201cと第3負極ライン202cそれぞれの先端が直流電源コネクタ214に設けられている。これら第3正極ライン201cと第3負極ライン202cそれぞれに直流リレー230が設けられている。これにより、直流リレー230がオン状態になると第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがDC電源700と電気的に接続される。さらにSMR120がオン状態になると組電池110がDC電源700と電気的に接続される。
【0047】
なお、直流リレー230は機械式のスイッチ素子である。直流リレー230は電力分配ECU260から出力される駆動信号の入力によってオン状態、駆動信号の入力が途絶えるとオフ状態になるノーマリオープン式のスイッチ素子である。直流リレー230がスイッチ素子に相当する。
【0048】
第4正極ライン201dは正極フロントライン201eと正極リアライン201fの2つに分岐している。第4負極ライン202dは負極フロントライン202eと負極リアライン202fの2つに分岐している。これら4つのラインそれぞれにヒューズ240が設けられている。
【0049】
正極フロントライン201eと負極フロントライン202eそれぞれの先端側がフロントコネクタ215に設けられている。このフロントコネクタ215にフロントPCU500が接続される。これにより第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがフロントPCU500と電気的に接続される。SMR120がオン状態になると組電池110とフロントPCU500とが電気的に接続される。
【0050】
正極リアライン201fと負極リアライン202fそれぞれの先端側がリアコネクタ216に設けられている。このリアコネクタ216にリアPCU600が接続される。これにより第1車載負荷300とDCDCコンバータ220それぞれがリアPCU600と電気的に接続される。SMR120がオン状態になると組電池110とリアPCU600とが電気的に接続される。
【0051】
<電力供給システムの動作>
以下、電力供給システム10の動作を説明する。
【0052】
車両の駐停車時や通常走行時などの通常時において、電池ECU140はSMR120をオン状態にする。また、電池ECU140は電源リレー130をオフ状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオフ状態にする。
【0053】
これにより組電池110の電源電力が第1車載負荷300、DCDCコンバータ220、フロントPCU500、および、リアPCU600に供給される。逆に、フロントMG510とリアMG610の回生電力が第1車載負荷300、DCDCコンバータ220、および、組電池110に供給される。
【0054】
駐停車状態で電力分配装置200にDC電源700の接続されたDC充電時において、電池ECU140はSMR120をオン状態にする。また、電池ECU140は電源リレー130をオフ状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオン状態にする。
【0055】
これによりDC電源700から供給される直流電力が組電池110、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。なお、第1車載負荷300に供給される電力量は、第1車載負荷300の要求電力に応じて決定される。
【0056】
駐停車状態で電力分配装置200にAC電源800の接続されたAC充電時において、電池ECU140はSMR120と電源リレー130それぞれをオン状態にする。電力分配ECU260は直流リレー230をオフ状態にする。
【0057】
これによりAC電源800から供給される交流電力がACDC変換機250で直流電力に変換される。この直流電力が組電池110、第1車載負荷300、および、DCDCコンバータ220に供給される。第1車載負荷300に供給される電力量は、第1車載負荷300の要求電力に応じて決定される。
【0058】
<車載状態>
次に、
図2に基づいて電力分配装置200の車載状態を説明する。なお、
図2では電力ラインの一部、DCDCコンバータ220、直流リレー230、ヒューズ240、ACDC変換機250、および、電力分配ECU260の図示を省略している。また、後述の蓋体の図示を省略している。
【0059】
以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向と示す。x方向とy方向のうちの一方が車両左右方向、他方が車両進行方向に相当する。z方向は車両天地方向に相当する。
【0060】
電力分配装置200はこれまでに説明した電気機器の他に、
図2に示す筐体270と、この筐体270の開口を閉塞する蓋体と、を有する。筐体270はz方向の厚さの薄い底壁271と、底壁271の内底面271aからz方向に環状に起立した側壁272と、を有する。
【0061】
内底面271aの裏側の外底面は、内底面271aよりもz方向において車両のアンダーボディ側に設けられる。この外底面を備える底壁271には、電力分配装置200をアンダーボディにボルト止めするためのフランジ部271cが一体的に連結されている。
【0062】
<内壁と外壁>
図2に示すように側壁272は、x方向に離間して並ぶ内横壁273と外横壁274、および、y方向に離間して並ぶ内縦壁275と外縦壁276を有する。これら4つの壁がz方向まわりの周方向で並んで連結されることで側壁272は環状を成している。
【0063】
これら4つの壁は、車両の搭載状態において相対的に車両の内側と外側とに配置される。x方向において内横壁273は外横壁274よりも車両の内側に配置される。y方向において内縦壁275は外縦壁276よりも車両の内側に配置される。
【0064】
<コネクタの配置>
側壁272の備える4つの壁には分配コネクタ210を設けるための切り欠きや孔などが形成されている。4つの壁のうち、相対的に車両の内側に配置される内横壁273側や内縦壁275側に電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216が設けられる。相対的に車両の外側に配置される外横壁274側や外縦壁276側に直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217が設けられる。第1負荷コネクタ212と第2負荷コネクタ213はこれら4つの壁のうちのいずれかに設けられる。
【0065】
以上に示した構成のため、電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216それぞれは、直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217よりも車両の内側に設けられている。このように、車両走行時に用いられるコネクタが、外部電源からの給電時に用いられるコネクタよりも車両の内側に設けられる。
【0066】
図2に具体的に示すように、本実施形態では内縦壁275に電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216が設けられている。内縦壁275において、これら電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216それぞれはx方向に隣り合う態様で並んでいる。
【0067】
そして、外縦壁276に直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217が設けられている。内横壁273に第2負荷コネクタ213が設けられている。外横壁274に第1負荷コネクタ212が設けられている。
【0068】
なお、第2負荷コネクタ213は車両走行に関わる車載機器へ12Vの直流電力を供給する機能を果たす。そのために第2負荷コネクタ213は直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217それぞれよりも車両の内側に配置される構成が好ましい。本実施形態では、y方向において、第2負荷コネクタ213は内横壁273における内縦壁275側に設けられている。
【0069】
<電気機器の配置>
筐体270に収納される電気機器を、車両走行時に用いられる第1機器と、外部電源からの給電時に用いられる第2機器とに種類分けすると、第1機器は第2機器よりも車両の内側に設けられる。
【0070】
この第1機器には、DCDCコンバータ220、ヒューズ240、および、電力分配ECU260が含まれる。第2機器には直流リレー230とACDC変換機250が含まれる。電力分配ECU260は走行時と給電時の両方で用いられるが、走行時の駆動制御に関係があるので第1機器に含まれる。ただし、第1機器の少なくとも一部が第2機器よりも車両の外側に設けられる構成を採用することもできる。
【0071】
<給電ライン>
以下においては表記を簡便とするために、第1電力ライン201における、電源コネクタ211とフロントコネクタ215とを接続する部位、および、電源コネクタ211とリアコネクタ216とを接続する部位をまとめて第1給電ライン205と示す。第2電力ライン202における、電源コネクタ211とフロントコネクタ215とを接続する部位、および、電源コネクタ211とリアコネクタ216とを接続する部位をまとめて第2給電ライン206と示す。
【0072】
図2にこれら第1給電ライン205と第2給電ライン206を簡易的に示す。第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの一端が電源コネクタ211に設けられている。第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの他端がフロントコネクタ215とリアコネクタ216に設けられている。
【0073】
第1給電ライン205と第2給電ライン206は外部電源からの給電時に用いられる直流電源コネクタ214と交流電源コネクタ217よりも車両の内側に設けられる。本実施形態において第1給電ライン205と第2給電ライン206はy方向において内縦壁275側に設けられている。
【0074】
第1給電ライン205は正極共通ライン201gと上記の第4正極ライン201dとを備えている。正極共通ライン201gは上記の第1主配線に含まれている。第4正極ライン201dは上記の正極フロントライン201eと正極リアライン201fとを有する。
【0075】
正極共通ライン201gの一端は第1給電ライン205の一端に相当し、電源コネクタ211に設けられている。正極共通ライン201gの他端に正極フロントライン201eと正極リアライン201fそれぞれの一端が接続されている。正極共通ライン201gの他端はこれら2つの正極ラインに分岐する第1分岐点になっている。
【0076】
正極フロントライン201eと正極リアライン201fそれぞれの他端は第1給電ライン205の他端に相当する。正極フロントライン201eの他端がフロントコネクタ215に設けられている。正極リアライン201fの他端がリアコネクタ216に設けられている。
【0077】
第2給電ライン206は負極共通ライン202gと上記の第4負極ライン202dとを備えている。負極共通ライン202gは上記の第2主配線に含まれている。第4負極ライン202dは上記の負極フロントライン202eと負極リアライン202fとを有する。
【0078】
負極共通ライン202gの一端は第2給電ライン206の一端に相当し、電源コネクタ211に設けられている。負極共通ライン202gの他端に負極フロントライン202eと負極リアライン202fそれぞれの一端が接続されている。負極共通ライン202gの他端はこれら2つの負極ラインに分岐する第2分岐点になっている。
【0079】
負極フロントライン202eと負極リアライン202fそれぞれの他端は第2給電ライン206の他端に相当する。負極フロントライン202eの他端がフロントコネクタ215に設けられている。負極リアライン202fの他端がリアコネクタ216に設けられている。
【0080】
正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれは電源コネクタ211から離間する態様でy方向に延びた後、x方向に延びている。正極共通ライン201gと負極共通ライン202gは同等の長さを有している。正極共通ライン201gと負極共通ライン202gは隣り合って並ぶとともに並走する態様でx方向とy方向に延びている。
【0081】
正極フロントライン201eは正極共通ライン201gの第1分岐点からフロントコネクタ215に向かって延びている。正極リアライン201fは第1分岐点からリアコネクタ216に向かって延びている。これら2つの正極ラインは正極共通ライン201gよりも短くなっている。
【0082】
負極フロントライン202eは負極共通ライン202gの第2分岐点からフロントコネクタ215に向かって延びている。負極リアライン202fは第2分岐点からリアコネクタ216に向かって延びている。これら2つの負極ラインは負極共通ライン202gよりも短くなっている。
【0083】
正極フロントライン201eと負極フロントライン202eとは同等の長さを有している。これら2つのフロントラインは隣り合って並ぶとともに並走する態様でx方向とy方向に延びている。
【0084】
正極リアライン201fと負極リアライン202fとは同等の長さを有している。これら2つのリアラインは隣り合って並ぶとともに並走する態様でx方向とy方向に延びている。
【0085】
正極共通ライン201gと負極共通ライン202gが共通導電部に相当する。正極フロントライン201e、正極リアライン201f、負極フロントライン202e、および、負極リアライン202fが分岐導電部に相当する。第1給電ライン205と第2給電ライン206が電力導電部に相当する。
【0086】
<第1フィルタ>
電力分配装置200はこれまでに説明した各種構成要素の他に、
図2に示す第1フィルタ291を有する。第1フィルタ291は第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれに設けられている。第1フィルタ291はフロントPCU500とリアPCU600から入力されるリップルなどの電流ノイズを除去する機能を備えている。第1フィルタ291がノイズ除去素子に相当する。
【0087】
この電流ノイズの周波数帯域はおよそ2MHzである。このような電流ノイズを除去する機能を備えた素子としては、例えばフェライトコアやコンデンサなどがある。フェライトとしては、スピネルフェライト、六方結晶フェライト、ガーネットフェライトなどがある。第1フィルタ291としてはこれら素子を採用することができる。
【0088】
第1フィルタ291としてフェライトコアを採用した場合、隣り合って並走する正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれの周囲を一括して囲む態様で、第1フィルタ291がこれら2つの共通ラインに設けられる。そのために
図2において2つの共通ラインそれぞれに1つずつ第1フィルタ291が設けられるように図示しているが、1つの第1フィルタ291が2つの共通ラインに設けられる構成を採ることができる。
【0089】
第1フィルタ291としてコンデンサを採用した場合、正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれにコンデンサの備える2つの電極のうちの一方が接続される。そして2つの共通ラインそれぞれに設けられたコンデンサの備える2つの電極のうちの他方がグランドに接続される。なお、これら2つのコンデンサの備える2つの電極のうちの他方が共通の配線に結線されてグランドに接続された構成を採用することもできる。
【0090】
図2に簡易的に示すように、第1フィルタ291は第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの備える一端と他端とのうちの他端側に設けられる。これら2つの給電ラインにおける第1フィルタ291の設けられた部位から電源コネクタ211に設けられた一端までの総延長が第1距離L1になっている。2つの給電ラインにおける第1フィルタ291の設けられた部位からフロントコネクタ215若しくはリアコネクタ216に設けられた他端までの総延長が第2距離L2になっている。第1距離L1よりも第2距離L2のほうが短くなっている。
【0091】
上記したように第1フィルタ291は給電ラインの他端側に設けられるものの、第1フィルタ291は給電ラインの一端を含む正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれに設けられている。より具体的に言えば、第1フィルタ291は正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれの他端側(分岐点側)に設けられている。
【0092】
<作用効果>
これまでに説明したように、第1フィルタ291が第1給電ライン205と第2給電ライン206に設けられている。これによればフロントPCU500やリアPCU600から電力分配装置200に流入した電流ノイズを除去することができる。この電流ノイズの電池パック100への流入が抑制される。
【0093】
上記したように第1給電ライン205は正極フロントライン201e、正極リアライン201f、および、これら2つの正極ラインに共通して接続される正極共通ライン201gを有する。第1フィルタ291はこの正極共通ライン201gに設けられている。
【0094】
同様にして、第2給電ライン206は負極フロントライン202e、負極リアライン202f、および、これら2つの負極ラインに共通して接続される負極共通ライン202gを有する。第1フィルタ291はこの負極共通ライン202gに設けられている。
【0095】
これによれば、2つのフロントラインと2つのリアラインそれぞれに第1フィルタ291の設けられる構成と比べて部品点数の増大が抑制される。
【0096】
また、第1フィルタ291としてフェライトコアを採用した場合、1つの第1フィルタ291が、隣り合って並走する正極共通ライン201gと負極共通ライン202gに共通して設けられる。これにより2つの共通ラインそれぞれに第1フィルタ291の設けられる構成と比べて、部品点数の増大が抑制される。
【0097】
なお、当然ながらにして、電流ノイズは第1フィルタ291に入力されるまでは除去されない。この電流ノイズは第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの他端側から第1フィルタ291の配置部位まで流れる間に電磁ノイズを発生する。この電磁ノイズが筐体270の収納空間に出力される。
【0098】
これに対して、第1フィルタ291は第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの他端側に設けられている。より具体的に言えば、第1フィルタ291は正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれの他端側(分岐点側)に設けられている。そのため、第1フィルタ291に流入するまでに、電流ノイズが共通ラインを流動する距離が短くなる。この結果、電流ノイズから筐体270の収納空間へと電磁ノイズの出力されることが抑制される。
【0099】
正極フロントライン201eと正極リアライン201fそれぞれは正極共通ライン201gよりも短くなっている。負極フロントライン202eと負極リアライン202fそれぞれは負極共通ライン202gよりも短くなっている。
【0100】
これによれば、電流ノイズが2つの分岐した正極ラインと2つの分岐した負極ラインそれぞれを流動する距離が短くなる。そのために電流ノイズから収納空間への電磁ノイズの出力が抑制される。
【0101】
車両走行時に用いられる電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216は車両の内側に設けられる。
【0102】
そのため、車両の外側から内側へと向かう外力印加によって電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216に故障の生じることが抑制される。電池パック100からフロントPCU500およびリアPCU600それぞれへの電力供給に支障の生じることが抑制される。この結果、フロントMG510およびリアMG610への電力供給に支障の生じることが抑制される。外力印加によって車両が走行困難になることが抑制される。
【0103】
また、電源コネクタ211とフロントコネクタ215、および、電源コネクタ211とリアコネクタ216それぞれを電気的に接続する第1給電ライン205と第2給電ライン206は車両の内側に設けられる。
【0104】
そのため、車両への外力印加によって、これら給電ラインに故障の生じることが抑制される。フロントMG510およびリアMG610への電力供給に支障の生じた結果、車両が走行困難になることが抑制される。
【0105】
これまでに説明したように、電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216それぞれと、これら3つのコネクタを接続する第1給電ライン205と第2給電ライン206はともに車両の内側に設けられている。
【0106】
特に本実施形態に特化して言えば、電源コネクタ211、フロントコネクタ215、および、リアコネクタ216それぞれは内縦壁275に設けられている。これら3つのコネクタはx方向に隣り合う態様で並んでいる。第1給電ライン205と第2給電ライン206は、y方向において、内縦壁275側に設けられている。係る配置構成のため、第1給電ライン205と第2給電ライン206それぞれの配線長の増大が抑制される。
【0107】
車両走行時に用いられる第1機器に含まれるDCDCコンバータ220、ヒューズ240、および、電力分配ECU260が車両の内側に設けられる。
【0108】
そのため、車両への外力印加によって、第1機器に故障の生じることが抑制される。MGへの電力供給に支障が生じた結果、車両が走行困難になることが抑制される。
【0109】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図3に基づいて説明する。
【0110】
第1実施形態では正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれの他端側に第1フィルタ291が設けられる例を示した。これに対して本実施形態では、例えば
図3に示すように、正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれの他端側に第1フィルタ291が設けられるとともに、これら共通ラインの一端側に第2フィルタ292が設けられている。なお、本実施形態では電源コネクタ211が内横壁273における内縦壁275側に設けられている。
【0111】
正極共通ライン201gにおける第1フィルタ291の配置部位と第2フィルタ292の配置部位との間の中点に第2正極ライン201bが接続されている。負極共通ライン202gにおける第1フィルタ291の配置部位と第2フィルタ292の配置部位との間の中点に第2負極ライン202bが接続されている。上記したように、これら第2正極ライン201bと第2負極ライン202bにDCDCコンバータ220が設けられている。
【0112】
DCDCコンバータ220が電力変換器に相当する。第2正極ライン201bと第2負極ライン202bが内部導電部に相当する。第2フィルタ292がノイズフィルタに相当する。
【0113】
第2フィルタ292はDCDCコンバータ220から入力される電流ノイズを除去する機能を備えている。この電流ノイズは主としてDCDCコンバータ220に含まれるスイッチ素子のスイッチングによって生じるものであり、その周波数帯域はおよそ1MHzである。このように第2フィルタ292と第1フィルタ291とは除去対象とする電流ノイズの周波数帯域が異なっている。このような電流ノイズを除去する機能を備えた素子としては、例えばフェライトコアやコンデンサなどがある。
【0114】
以上に示した構成によれば、フロントPCU500とリアPCU600から入力される電流ノイズとDCDCコンバータ220から出力される電流ノイズそれぞれが正極共通ライン201gと負極共通ライン202gを流れることが抑制される。フロントPCU500とリアPCU600から入力される電流ノイズがDCDCコンバータ220に入力することが抑制される。
【0115】
なお本実施形態に記載の電力分配装置200には、第1実施形態に記載の電力分配装置200と同等の構成要素が含まれている。そのために同等の作用効果を奏することは言うまでもない。これは以下に示す実施形態でも同様である。以下においてはこの記載を省略する。
【0116】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を
図4に基づいて説明する。
【0117】
第2実施形態では正極共通ライン201gと負極共通ライン202gそれぞれに第2フィルタ292が設けられる例を示した。これに対して本実施形態では第2正極ライン201bと第2負極ライン202bそれぞれに第2フィルタ292の設けられた構成となっている。
【0118】
この構成によれば、DCDCコンバータ220から出力された電流ノイズがフロントPCU500とリアPCU600に入力することが抑制される。逆に、フロントPCU500とリアPCU600から入力された電流ノイズがDCDCコンバータ220に入力することが抑制される。
【0119】
なお本実施形態ではフロントコネクタ215とリアコネクタ216が外横壁274における内縦壁275側に設けられている。
【0120】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0121】
(その他の変形例)
本実施形態では車両にフロントMG510とリアMG610の両方が設けられた例を示した。しかしながら、車両にフロントMG510とリアMG610のうちのいずれか一方のみが設けられた構成を採用することもできる。これら2つのMGのうちの一方のみが車両に設けられる場合、車両にはフロントMG510とリアMG610のうちの一方のみが設けられる。
【符号の説明】
【0122】
10…電力供給システム、100…電池パック、200…電力分配装置、201b…第2正極ライン、201e…正極フロントライン、201f…正極リアライン、201g…正極共通ライン、202b…第2負極ライン、202e…負極フロントライン、202f…負極リアライン、202g…負極共通ライン、205…第1給電ライン、206…第2給電ライン、211…電源コネクタ、214…直流電源コネクタ、215…フロントコネクタ、216…リアコネクタ、217…交流電源コネクタ、220…DCDCコンバータ、250…ACDC変換機、260…電力分配ECU、270…筐体、291…第1フィルタ、292…第2フィルタ、300…第1車載負荷、400…第2車載負荷、500…フロントPCU、510…フロントMG、600…リアPCU、610…リアMG、700…DC電源、800…AC電源