(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04842 20220101AFI20231205BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20231205BHJP
【FI】
G06F3/04842
G06F3/04817
(21)【出願番号】P 2020004300
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康洋
(72)【発明者】
【氏名】清水 智行
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211165(JP,A)
【文献】特開2011-186851(JP,A)
【文献】特開2003-281185(JP,A)
【文献】特開2018-077727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04842
G06F 3/04817
G06F 16/00
G06F 17/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務を構成する作業及び業務を構成する各作業において作成されるファイルが規定された業務規定情報に従って業務または作業毎に用意されたファイル格納領域であって当該業務または作業に関連付いたファイルが格納されるファイル格納領域にアクセス可能な情報処理装置であって、前記情報処理装置はプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ファイル格納領域が用意されている業務の状況に関する業務状況情報を取得し、
ファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作
であって当該ファイル格納領域をユーザが選択する操作に応じて、前記業務状況情報から得られる前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務の状況
を参照して前記ファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務が完了している場合、当該業務と同じ業務規定情報に従って実施される他の業務の状況を参照して前記表示対象とするファイルを選定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記他の業務において実施中の作業と同じ作業において作成された当該業務のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記他の業務において作成されるべきファイルの状態を参照して前記表示対象とするファイルを選定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記他の業務において実施中の作業において前記操作をしたユーザが作成又は承認の対象とするファイルと同じ種類のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務が実施中の場合、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、当該業務における実施中の作業において作成されたファイル又は実施中の作業の直前に実施された作業において作成されたファイルの少なくとも一方を前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、実施中の業務において前記操作をしたユーザが承認の対象とするファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記表示対象とするファイルとして選定したファイルとの関連度が所定値以上のファイルを合わせて前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項2又は6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務における作業が実施中であることから当該作業において作成されるべきファイルがまだ作成されていない場合、当該ファイルとの関連度が所定値以上のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記表示対象とするファイルに対応する表示要素を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記操作をしたユーザ又は前記表示対象とするファイルとして選定したファイルに適合させて前記表示要素を生成することを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
業務を構成する作業及び業務を構成する各作業において作成されるファイルが規定された業務規定情報に従って業務または作業毎に用意されたファイル格納領域であって当該業務または作業に関連付いたファイルが格納されるファイル格納領域にアクセス可能なコンピュータに、
ファイル格納領域が用意されている業務の状況に関する業務状況情報を取得する機能、
ファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作
であって当該ファイル格納領域をユーザが選択する操作に応じて、前記業務状況情報から得られる前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務の状況
を参照して前記ファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務で使用する文書を管理する場合、フォルダを業務毎に作成し、文書を分類して管理することは一般的に行われている。更に、フォルダを階層的に作成して文書をより細かく分類して管理する場合もある。
【0003】
業務を進める上で、過去に作成した文書を参照することはよくあることだが、参照したい文書がどのフォルダに保存されているのか、覚えていない場合がある。この場合、思い当たるフォルダを開いてみたり、更に文書をダウンロードして内容を確認したり、検索機能を利用したりして探し出す。
【0004】
従来では、フォルダをマウスオーバーすると、そのフォルダに含まれている画像ファイルの代表画像として最初に見つかった4つの画像ファイルをツールチップに表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-025998号公報
【文献】特許第4501731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、マウスオーバーなどのようなファイルを表示させるための操作が行われると、表示されるファイルは、最初に見つかった4つの画像ファイルなどのように固定的であり、例えば業務の状況に応じて表示対象となるファイルが異なるようなことはない。
【0007】
本発明は、業務に対応させて用意されたファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作がされたときに、当該業務の状況に応じて、操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、業務を構成する作業及び業務を構成する各作業において作成されるファイルが規定された業務規定情報に従って業務または作業毎に用意されたファイル格納領域であって当該業務または作業に関連付いたファイルが格納されるファイル格納領域にアクセス可能な情報処理装置であって、前記情報処理装置はプロセッサを備え、前記プロセッサは、ファイル格納領域が用意されている業務の状況に関する業務状況情報を取得し、ファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作であって当該ファイル格納領域をユーザが選択する操作に応じて、前記業務状況情報から得られる前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務の状況を参照して前記ファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定することを特徴とする。
【0009】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務が完了している場合、当該業務と同じ業務規定情報に従って実施される他の業務の状況を参照して前記表示対象とするファイルを選定することを特徴とする。
【0010】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記他の業務において実施中の作業と同じ作業において作成された当該業務のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記他の業務において作成されるべきファイルの状態を参照して前記表示対象とするファイルを選定することを特徴とする。
【0012】
また、前記プロセッサは、前記他の業務において実施中の作業において前記操作をしたユーザが作成又は承認の対象とするファイルと同じ種類のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0013】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務が実施中の場合、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、当該業務における実施中の作業において作成されたファイル又は実施中の作業の直前に実施された作業において作成されたファイルの少なくとも一方を前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0014】
また、前記プロセッサは、実施中の業務において前記操作をしたユーザが承認の対象とするファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0015】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から、前記表示対象とするファイルとして選定したファイルとの関連度が所定値以上のファイルを合わせて前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0016】
また、前記プロセッサは、前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務における作業が実施中であることから当該作業において作成されるべきファイルがまだ作成されていない場合、当該ファイルとの関連度が所定値以上のファイルを前記表示対象とするファイルとして選定することを特徴とする。
【0017】
また、前記プロセッサは、前記表示対象とするファイルに対応する表示要素を表示させるよう制御することを特徴とする。
【0018】
また、前記プロセッサは、前記操作をしたユーザ又は前記表示対象とするファイルとして選定したファイルに適合させて前記表示要素を生成することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るプログラムは、業務を構成する作業及び業務を構成する各作業において作成されるファイルが規定された業務規定情報に従って業務または作業毎に用意されたファイル格納領域であって当該業務または作業に関連付いたファイルが格納されるファイル格納領域にアクセス可能なコンピュータに、ファイル格納領域が用意されている業務の状況に関する業務状況情報を取得する機能、ファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作であって当該ファイル格納領域をユーザが選択する操作に応じて、前記業務状況情報から得られる前記操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務の状況を参照して前記ファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定する機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、業務に対応させて用意されたファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作がされたときに、当該業務の状況に応じて、操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務と同じ業務規定情報に従って実施される他の業務の状況を参照して当該業務のファイルを選定することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に対応する業務と同じ業務規定情報に従って実施される他の業務において実施中の作業と同じ作業において作成された当該業務のファイルをユーザが参照したいファイルと推定して選定することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、他の業務において作成されるべきファイルの状態に応じて表示対象とするファイルを選定することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、実施中の他の業務においてユーザがファイルを作成又は承認する際に参照したいファイルと推定して選定することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、直近に作成されたファイルをユーザが参照したいファイルと推定して選定することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、実施中の業務においてユーザが承認の対象とするファイルを参照したいファイルと推測して選定することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、選定したファイルと関連度の高いファイルを合わせて選定することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、実施中の作業において作成されるべきファイルと関連度の高いファイルを選定することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、表示対象として選定したファイルをユーザに示すことができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、選定されたファイルの内容をユーザが把握しやすいように表示させることができる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、業務に対応させて用意されたファイル格納領域に格納されているファイルを示す表示要素を表示させる操作がされたときに、当該業務の状況に応じて、操作により表示の対象となった表示要素に対応するファイル格納領域に格納されているファイルの中から表示対象とするファイルを選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施の形態1におけるファイル管理システムを示す概略的な全体構成及びブロック構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1における業務管理情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図3A】実施の形態1において案件1の状況を示す模式図である。
【
図3B】実施の形態1において案件1に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図3C】実施の形態1において案件2の状況を示す模式図である。
【
図3D】実施の形態1において案件2に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1における表示処理を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1においてクライアントPCにおける画面表示の一例を示す図である。
【
図6A】実施の形態2において案件1の状況を示す模式図である。
【
図6B】実施の形態2において案件1に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図6C】実施の形態2において案件2の状況を示す模式図である。
【
図6D】実施の形態2において案件2に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図7A】実施の形態3において案件1の状況を示す模式図である。
【
図7B】実施の形態3において案件1に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図7C】実施の形態3において案件2の状況を示す模式図である。
【
図7D】実施の形態3において案件2に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
【
図8】各実施の形態においてクライアントPCにおける画面表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0034】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態におけるファイル管理システムを示す概略的な全体構成及びブロック構成を示す図である。
図1には、表示制御装置1、業務管理サーバ2、データベース(DB)サーバ3、ユーザ管理サーバ4及びクライアントPC5が示されている。これらの構成のうち、クライアントPC(Personal Computer)5以外の構成は、クライアントPC5を使用するユーザに対して文書等のファイルに関するサービスを提供するためのシステムである。本実施の形態においては、所定の業務によって作成される文書を取り扱う場合を例にして説明する。本実施の形態におけるファイル管理システムは、例えばクラウドコンピューティングにより実現することが可能である。もちろん、これに限る必要はなく、各コンピュータ1~4が持つ構成を、1台のサーバ装置に持たせるなど、システム規模や利用状況に応じて適切な構成にて実現してもよい。
【0035】
クライアントPC5は、CPU、ROM、RAM、記憶手段、通信インタフェース及びユーザインタフェースを搭載する汎用的なハードウェア構成により実現され、データベースサーバ3にて管理されているファイルを、表示制御装置1を介して参照する。本実施の形態においては、入力をするためのユーザインタフェースとしてマウスを用いるものとする。
【0036】
各サーバ2,3,4は、汎用的なサーバコンピュータのハードウェア構成により実現してよい。すなわち、各サーバ2,3,4は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段及び通信インタフェースを搭載する。また、情報の管理等を管理者等に行わせるためにユーザインタフェースを搭載してもよい。
【0037】
このうち、業務管理サーバ2は、業務に関する情報を管理するサーバコンピュータである。業務管理サーバ2は、業務テンプレート及び業務管理情報の各データベース21,22を有している。業務テンプレートは、業務を構成する作業及び業務を構成する各作業において作成されるファイルの種類を規定する業務規定情報である。業務を構成する作業の実施順は、必ずしも決める必要はないが、本実施の形態では、時系列的に実施される作業を想定して説明するので、以降の説明では「作業」に対応する用語として、作業の手順を意味する「工程」を用いることにする。業務を遂行するための案件は、適用する業務テンプレートが指定されて起案され、当該案件において実行すべき工程及びその順番(すなわち、業務プロセス)及び作成すべきファイルの種類が決まる。「案件」は、業務テンプレートにより規定される業務の内容を個々に具現化して実施される業務に相当する。なお、本実施の形態では、ファイルとして電子化されている文書データ(以下、単に「文書」という)が作成される場合を例にして説明する。本実施の形態では、案件毎工程毎に文書の格納領域となるフォルダが作成される。そして、工程の進捗に応じて作成された文書は、対応するフォルダに保存される。なお、本実施の形態では、例えば
図3Bに示すように、一業務に相当する案件に対応させてフォルダ(以下、「親フォルダ」ともいう)を作成し、そのフォルダの下位層に当該案件に含まれる各工程のフォルダ(以下、「子フォルダ」ともいう)を作成するようにするが、各工程に対応するフォルダ(つまり、子フォルダ)を作成せずに、当該案件のフォルダ(つまり、親フォルダ)にまとめて文書を格納するようにしてもよい。また、子フォルダ又はその下位層に更にフォルダを作成して文書をより階層的に管理するようにしてもよい。
【0038】
図2は、本実施の形態における業務管理情報のデータ構成の一例を示す図である。起案された各案件における業務の状況は、業務管理情報によって管理される。
図2において、「案件No.」は、案件の識別情報である。「テンプレートNo.」は、当該案件に適用されたテンプレートの識別情報である。「ユーザ」は、当該案件に関わっているユーザの識別情報である。「フォルダ名」は、当該案件の最上位となるフォルダ(つまり、親フォルダ)の名称である。「進捗状況」は、当該案件の進捗状況を示す。当該案件の業務が完了している場合には“完了”と、当該案件が現在完了しておらず進行中の場合は、現在実行中の工程を示す番号が設定される。「文書」では、当該案件において作成されるべき文書が工程毎に管理される。各工程においては、当該工程において作成される文書毎に、「文書名」、「作成者」、「承認者」が設定される。そして、「作成」及び「承認」は、当該文書が作成/承認されたかどうかという文書の状態を示す情報である。「作成」及び「承認」には、当該文書が作成/承認されている場合には“済”が、まだの場合には“未”がそれぞれ設定される。
【0039】
図2には、本実施の形態において参照する項目を示しており、業務管理情報にその他の項目を含めてもよい。業務管理情報は、業務の状況に応じて適宜更新されるが、情報の設定、更新等の情報管理や情報の提供を実行するための構成要素については、
図1から省略している。他のサーバ3,4においても同様である。
【0040】
データベースサーバ3は、本実施の形態において取り扱う文書を格納する文書レポジトリ31を有している。前述したように、本実施の形態において取り扱う文書は、文書レポジトリ31に案件毎工程毎に設けられたフォルダに格納される。
【0041】
ユーザ管理サーバ4は、案件に関わるユーザに関するユーザ情報を記憶するデータベース41を有している。ユーザ情報には、各個人の識別情報や所属部署が設定されている。
【0042】
表示制御装置1は、前述した各サーバ2~4で管理されている情報を参照して、クライアントPC5に文書を提供する。本実施の形態における表示制御装置1は、各サーバ2,3,4と同様に汎用的なサーバコンピュータあるいはPCのハードウェア構成により実現してよい。すなわち、表示制御装置1は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段及び通信インタフェースを搭載する。また、情報の管理等のためにユーザインタフェースを搭載してもよい。
【0043】
本実施の形態における表示制御装置1は、ユーザインタフェース(UI)制御部11、業務管理情報取得部12、文書選定部13及び表示情報生成部14を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、
図1から省略している。ユーザインタフェース制御部11は、操作受付部111及び表示制御部112を有している。操作受付部111は、クライアントPC5においてユーザがした操作を受け付ける。表示制御部112は、クライアントPC5への表示を制御する。業務管理情報取得部12は、業務管理サーバ2から業務管理情報を取得する。業務管理情報取得部12が取得する業務管理情報は、業務(つまり、案件)の状況に関する業務状況情報に相当する。文書選定部13は、クライアントPC5のユーザが画面上に表示されているフォルダにオンマウスしたときにクライアントPC5の画面に表示させる文書を選定する。表示情報生成部14は、選定された文書のサムネイルを含む表示情報を生成する。表示制御部112は、表示情報生成部14により生成された表示情報をクライアントPC5の画面に表示させる。
【0044】
表示制御装置1における各構成要素11~14は、表示制御装置1を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0045】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0046】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0047】
業務テンプレートが指定されて案件が起案されると、文書レポジトリ31には、当該案件において作成された文書を格納するためのフォルダが作成される。そして、その案件を構成する各工程において作成された文書は、文書レポジトリ31の当該案件の当該工程のフォルダに格納される。
【0048】
ところで、クライアントPC5のユーザが、例えば現在進行中の案件の現在実行中の工程において文書を作成する際に、過去に作成された文書を参照したい場合がある。具体的には、作成しようとする文書と関連性の高い文書を参照しながら作成対象の文書の作成作業を行う場合がある。このような場合、ユーザは、記憶を頼りに検索機能を利用するなどして参照したい文書を探し出す。但し、同じ業務テンプレートを利用して起案された案件において作成される文書の名称は、似ている場合が少なくない。従って、文書を開いて内容を確認したりするため、手間がかかる場合がある。また、フォルダを特定できたとしてもそのフォルダに多数のファイルが格納されていることから、全てのファイルのサムネイルを一画面上に表示できない場合、表示をスクロールさせながら探し出なくてはならない。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、ユーザがフォルダに格納されている文書を示す表示要素(つまり、サムネイル)を表示させる操作、例えば画面表示されているいずれかのフォルダをオンマウスした場合、オンマウスされたフォルダに対応する業務または作業(つまり、案件または工程)の状況に応じて、オンマウスされたフォルダに格納されている文書の中から、ユーザが参照したいであろうと考えられる文書を表示対象として選定し、その選定した文書のサムネイルを表示対象とするようにしたことを特徴としている。つまり、フォルダがオンマウスされた場合、当該フォルダに格納されている全ての文書を固定的に表示対象とするのではなく、案件または工程の状況に応じて表示対象とする文書を選定するようにした。換言すると、ユーザがあるフォルダをオンマウスしても、表示対象となる文書は固定的でなく、案件または工程の状況によって変わってくる。これにより、ユーザは、参照したい文書を容易に探し出すことができる。また、文書のサムネイルの表示スペースも削減できる。
【0050】
ここで、本実施の形態の特徴的な処理を説明する前に、本実施の形態が動作するときの案件の状況について説明する。
【0051】
図3Aは、業務テンプレート“T001”に従って起案された案件1の業務に関する状況を示す図である。
図3Aによると、業務テンプレート“T001”は、工程1~4からなる業務プロセスを定義しており、各工程1~4においてそれぞれ2種類の文書が作成されることが示されている。そして、
図3Aでは、“完了”が塗りつぶされていることから、案件1を構成する全ての工程1~4は終了しており、案件1は完了していることを示している。
【0052】
図3Bは、案件1に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
図3Bに示すように、案件1のフォルダは、案件1の親フォルダの下位層に各工程に対応する子フォルダが作成されて構成される。各工程の子フォルダには、当該工程において作成された文書が格納される。案件1は、完了しているので、各工程において作成されるべき全ての文書が対応するフォルダに格納されている。
【0053】
図3Cは、業務テンプレート“T001”に従って起案された案件2の業務プロセスに関する状況を示す図である。
図3Cによると、
図3Aと同じ業務テンプレート“T001”に従って起案された案件2であることから、工程1~4から構成される業務プロセスが定義され、各工程1~4においてそれぞれ2種類の文書を作成する必要があることが示されている。そして、
図3Cでは、“工程3”が塗りつぶされていることから、現時点で工程3が実行されていることを示している。
【0054】
図3Dは、案件2に対応させて作成されているフォルダ及び文書の構成を示す図である。
図3Dに示すように、案件2のフォルダは、案件2の親フォルダの下位層に各工程に対応する子フォルダが作成されて構成される。各工程の子フォルダには、当該工程において作成された文書が格納される。案件2は、終了した工程1,2の文書及び現在進行中の工程3の“文書3-1”は作成されているものの、工程3の“文書3-2”及び工程4の文書はまだ作成されていないことを示している。
【0055】
次に、本実施の形態の表示処理について
図4に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、業務が
図3A~3Dに示す状況にあるときに表示処理が実行される場合を例にして説明する。なお、以降の説明において「ユーザ」というのは、特に断らない限りクライアントPC5を使用するユーザのことをいう。
【0056】
まず、ユーザは、参照したい文書を探し出すために、文書管理アプリケーションを起動するなどの所定の操作を行う。表示制御装置1における操作受付部111は、この所定の操作を受け付ける。そして、表示制御部112は、文書レポジトリ31に形成されているフォルダの階層構造をクライアントPC5に表示させる。続いて、ユーザは、表示されているフォルダの中から参照したい文書が格納されているフォルダを選択する。このフォルダの選択操作として、オンマウスを例に説明する。
【0057】
表示制御装置1において、操作受付部111がこのフォルダの選択操作を受け付けると、業務管理情報取得部12は、オンマウスされたフォルダを文書の取得対象とするフォルダとして特定する(ステップ101)。そして、その特定したフォルダが案件に関連付いているフォルダなのかを確認する。例えば、業務管理情報には、各案件の親フォルダのフォルダ名が設定されているので、オンマウスされたフォルダが、案件に関連付いているフォルダなのかどうかを容易に判定できる。上記に該当する案件のフォルダの場合(ステップ102でY)、業務管理情報取得部12は、業務管理情報を参照して当該案件の進捗状況を確認する。
【0058】
ここで、ユーザが案件1における最上位に位置するフォルダ(つまり、親フォルダ、以下、「案件1のフォルダ」という)を選択していたとする。
図3Aに例示する案件1の状況を参照すると、案件1は完了している。この場合(ステップ103でY)、業務管理情報取得部12は、案件1の業務テンプレートと同じテンプレートに従って実施される他の案件であって現在進行中の案件を検索し、その案件における現在の工程を特定する(ステップ104)。本実施の形態では、
図3Cに例示する案件2が検索されたものとして説明する。業務管理情報取得部12は、案件1及び案件2に対応する業務管理情報を取得する。
【0059】
文書選定部13は、業務管理情報取得部12により取得された業務管理情報を参照して表示対象とする文書を選定する。すなわち、この例の場合、案件2は、工程3が現在実行中なので、文書選定部13は、ユーザにより選択された案件1の工程3に該当する文書、
図3Bに示す例だと一点鎖線で囲んで示すように、“文書3-1”と“文書3-2”を選定して文書レポジトリ31から取得する(ステップ105)。
【0060】
ユーザが案件1のフォルダを選択したことから、案件1の各工程1~4に対応するフォルダに含まれる“文書1-1”、“文書1-2”、“文書2-1”、・・・“文書4-2”が表示対象の文書となり得る。ただ、文書選定部13は、現在進行中の案件2において現在は工程3が実行されていることから、ユーザは工程3に関わる文書“文書3-1”及び“文書3-2”を参照したいと推測して、案件1に対応する文書の中から工程3に関わる文書“文書3-1”及び“文書3-2”を選定する。
【0061】
文書が取得されると、サムネイル生成部141は、取得した各文書のサムネイルを生成する(ステップ106)。そして、表示制御部112は、生成されたサムネイルを含む表示情報をクライアントPC5に画面表示させる(ステップ107)。
【0062】
前述したように、本実施の形態においては、ユーザによる文書を表示させる操作(上記「オンマウス」)により選択されたフォルダ(上記例でいう「案件1のフォルダ」)に対応する案件1が完了している場合、案件1と同じ業務テンプレートに従って実施される他の業務(すなわち、「案件2」)の状況を参照して表示対象とする文書、具体的には、案件2において現在実行中の工程3と同じ案件1の工程3の文書“文書3-1”及び“文書3-2”を選定する。
【0063】
仮に、進行中の案件2が工程4を実行しているのであれば、文書選定部13は、案件1に対応する文書の中から工程4に関わる文書“文書4-1”及び“文書4-2”を選定することになる。すなわち、ユーザが案件1のフォルダをオンマウスしたときに、案件2の業務の状況によって表示対象となる文書が異なってくる。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、フォルダのアイコンに対するオンマウスに応じて、該当する文書の中から、ユーザが参照したいと推測される文書を選定して表示させることができる。これにより、ユーザは、表示された文書の中から参照したい文書を容易に探し出すことができる。また、文書を選択して表示対象とすることで、文書のサムネイルを表示するスペースを削減することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、文書のサムネイルを表示させるようにしたが、必ずしもサムネイルを表示する必要はなく、文書を特定できる属性情報、例えば文書名であってもよい。
【0066】
また、ステップ104において、案件1の業務テンプレートと同じテンプレートを利用している案件(上記例では、「案件2」)を探し出すことになるが、同じテンプレートを利用した案件で進行中の案件が複数存在する場合、各案件において現在進行中の工程に対応する案件1の文書を表示対象としてもよい。あるいは、後述する他の例のように、操作するユーザが作成者又は承認者となる文書など、他の条件によって表示対象とする文書を絞り込むようにしてもよい。
【0067】
次に、ユーザが案件2における最上位に位置するフォルダ(つまり、親フォルダ、以下、「案件2のフォルダ」という)を選択していたとする。
図3Cに例示する案件2の状況を参照すると、案件2は進行中であって現在のところ工程3が実行されている状況にある。この場合(ステップ103でN)、業務管理情報取得部12は、案件2における現在の工程3を特定する。また、業務管理情報取得部12は、案件2に対応する業務管理情報を取得する。そして、文書選定部13は、取得された業務管理情報を参照し、案件2に対応するフォルダ(下位層の子フォルダを含む)に格納されている文書の中から、現在実施中の工程3において作成された文書又は現在実施中の工程3の直前に実施された工程2において作成された文書の少なくとも一方を表示対象とする文書として選定する。本実施の形態では、双方に該当する文書を選定するように処理すると、文書選定部13は、当該工程2,3に該当する文書、
図3Dに示す例だと一点鎖線で囲んで示すように、“文書2-1”、“文書2-2”及び“文書3-1”を選定して文書レポジトリ31から取得する(ステップ108)。
【0068】
文書が取得されると、サムネイル生成部141は、前述したように取得した各文書のサムネイルを生成する(ステップ106)。そして、表示制御部112は、生成されたサムネイルを含む表示情報をクライアントPC5に画面表示させる(ステップ107)。
【0069】
ユーザが進行中の案件2のフォルダを選択したということは、文書を作成する際に、近々に作成された文書を参照したいと考えられる。そこで、本実施の形態によれば、ユーザによる文書を表示させる操作(例えば「オンマウス」)に応じて、案件2に対応する文書の中から、近々に作成された文書をユーザが参照したいと文書と推測してクライアントPC5に表示させる。
【0070】
なお、本実施の形態では、文書が作成/承認された場合に“済”を業務管理情報に設定するようにしているが、作成/承認された日時を設定するようにしてもよい。
【0071】
ユーザがオンマウスしたフォルダが案件に関連しないフォルダの場合(ステップ102でN)、予め決められた規則に従い文書を特定し、特定した文書を文書レポジトリ31から取得すればよい(ステップ109)。
図4には、アクセス履歴情報(図示せず)を参照してダウンロードしたことのある文書を取得する場合の例で示している。この場合も、サムネイル生成部141は、取得した各文書のサムネイルを生成する(ステップ106)。そして、表示制御部112は、生成されたサムネイルを含む表示情報をクライアントPC5に画面表示させる(ステップ107)。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態においては、ユーザが同じフォルダをオンマウスしても、進行中の案件2における業務の状況によって表示対象となる文書が異なってくる。
【0073】
図5は、クライアントPC5における画面表示の一例を示す図である。
図5では、「UserA」というフォルダの下位層に位置する案件1~4の各フォルダが表示されている。そして、ユーザがその中から案件2のフォルダをオンマウスしたときの表示例である。この表示例に示すように、ユーザは、案件2のフォルダを開かなくても、案件2のフォルダにオンマウスするだけでツールチップやポップアップにてフォルダにどのような文書(前述したように、文書選定部13によって選定された文書)が含まれているかを確認することができ、所望の文書がどのフォルダに含まれているか当たりをつけることができる。
【0074】
実施の形態2.
本実施の形態において、
図1,2に示す構成及び
図4に示す表示処理は、実施の形態1と同じでよい。本実施の形態では、フォルダのアイコンをオンマウスするユーザを判別することによって、ステップ105,108において取得対象となる文書が実施の形態1と異なってくる。換言すると、同じ業務の状況においても同じユーザ操作がされた場合でも、操作するユーザによって表示対象とする文書の構成が異なる。以下、文書を取得する処理について
図6A~
図6Dを用いて説明する。
【0075】
図6A~
図6Dにおいて示す各案件1,2の進捗状況及び各工程において作成済みの文書については、実施の形態1において用いた
図3A~
図3Dと同じである。ただ、
図6Cに示すように、本実施の形態においては、業務管理情報に設定されている現在進行中の案件2における各文書の作成者及び承認者と、作成及び承認の状態、すなわち作成/承認が済んでいるかまだなのかの情報を参照する。
【0076】
まず、操作するユーザが識別情報を“userA”とするユーザAだとする。操作するユーザは、例えばログイン情報を参照するなどして認識できる。
図6Cに示すように、業務管理情報には、ユーザAが案件2の全ての文書の作成者として設定されている。そして、ユーザAは、案件2の現在の工程3において“文書3-1”及び“文書3-2”の作成担当者(「作成者」と同義)であるが、
図6Cに示すように、現在のところ“文書3-1”は作成したものの“文書3-2”はまだ作成していないことを示している。
【0077】
ここで、ユーザAは案件1のフォルダをオンマウスしたとする。この場合、実施の形態1において説明したように、案件1と同じ業務テンプレート“T001”を用いた案件2の現在の工程3を特定する。案件2の現在の工程3において、ユーザAは文書3-1”を作成したものの、“文書3-2”はまだ作成していない。つまり、ユーザAは作成済みの案件1の“文書3-2”を参照して、案件2の“文書3-2”の作成作業を行いたいと考えていることが推測できる。そこで、
図6Bに示す例だと一点鎖線で囲んで示すように、文書選定部13は、案件2の“文書3-2”と同じ種類に相当する案件1の“文書3-2”を選定して文書レポジトリ31から取得する。
【0078】
また、ユーザAが案件2のフォルダを選択した場合は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0079】
次に、操作するユーザが識別情報を“userB”とするユーザBだとする。
図6Cに示すように、業務管理情報には、ユーザBが案件2の全ての文書の承認者である。そして、ユーザBは、案件2において現在実施中の工程3の直前に実施された工程2の“文書2-1”と現在の工程3において、現在のところ“文書3-1”及び“文書3-2”をまだ承認していない。つまり、ユーザBが承認の対象とするのは、“文書2-1”及び“文書3-1”である。
【0080】
ここで、ユーザBは案件1のフォルダを選択したとする。この場合、前述したように、案件1と同じ業務テンプレートを用いた案件2の現在の工程3を特定する。ユーザBは、案件2において、作成済みの文書のうち“文書2-1”と“文書3-1”に関して承認をしていない。つまり、ユーザBは作成済みの案件1の“文書2-1”と“文書3-1”を参照して、案件2の“文書2-1”と“文書3-1”の承認作業を行いたいと考えていることが推測できる。そこで、
図6Bに示す例だと二点鎖線で囲んで示すように、文書選定部13は、案件2の“文書2-1”と“文書3-1”と同じ種類に相当する案件1の“文書2-1”と“文書3-1”を選定して文書レポジトリ31から取得する。
【0081】
次に、ユーザBが案件2のフォルダを選択した場合、ユーザBは、案件2において承認作業を行いたいと考えられる。そのため、文書選定部13は、作成は済んでいるものの承認がまだ済んでいない“文書2-1”と“文書3-1”を承認対象と選定して文書レポジトリ31から取得する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態においては、同じ業務の状況において同じユーザ操作がされた場合でも、操作するユーザによって参照したい文書が異なってくる場合を想定して、表示対象とする文書を選定することができる。つまり、表示対象とする文書をユーザによって異ならせることができる。
【0083】
実施の形態3.
上記実施の形態1においては、完了している案件1のフォルダが選択された場合、同じ業務テンプレートを用いて起案された進行中の案件の現在の工程(上記例では、案件2の工程3)を特定し、その工程に対応する案件1の工程の文書を選定して表示対象とした。
【0084】
本実施の形態においても同様であるが、本実施の形態においては、更に、表示対象とした文書と関連性のある文書を合わせて選定して表示対象とすることを特徴としている。
【0085】
図7A及び
図7Cは、それぞれ案件1,2の状況を示す図であるが、それぞれ
図3A及び
図3Cと同じ図であり、実施の形態1と同じ状況であることを示している。
図7Bには、ユーザが案件1のフォルダにオンマウスした場合、文書選定部13は、実施の形態1と同様に処理することで“文書3-1”及び“文書3-2”を選定するが、本実施の形態においては、更に“文書3-1”又は“文書3-2”の少なくとも一方と関連性のある“文書1-2”を表示対象として選定した場合を示している。
【0086】
関連性のある文書は、例えば、所定の規則に従って文書間の関連度を算出する。本実施の形態の場合、案件1に対応する各文書と“文書3-1”及び“文書3-2”との関連度を算出する。そして、算出した関連度が所定の閾値上となった文書(上記例でいう“文書1-2”)を選定する。関連度は、既存技術を利用して算出すればよい。例えば、作成者や承認者が同一の場合や、各文書に共通して含まれている語句の数等が多いほど大きい値となる。また、文書の属性情報を参照して関連度を算出してもよい。例えば、文書の文書レポジトリ31への登録日時、文書の更新日時、ダウンロード又はアクセスされた回数、文書レポジトリ31からチェックアウトされた回数、作成者の所属部署の関係(例えば、同一部署の場合は関連性が強くなる)などを参照して関連度を算出してもよい。
【0087】
また、ユーザが進行中の案件2のフォルダにオンマウスした場合、文書選定部13は、現在の工程3で作成される文書と関連性のある文書を選定する。なお、
図7Dに示すように、表示対象とする工程3の文書“文書3-1”及び“文書3-2”がまだ作成されていない場合、文書選定部13は、“文書3-1”及び“文書3-2”を選定しないが、作成される予定の文書(つまり、“文書3-1”及び“文書3-2”)との関連性のある文書(上記例でいう“文書1-2”)を選定する。関連性のある文書の選定方法は、上記と同様でよい。
【0088】
実施の形態4.
上記各実施の形態1~3においては、ユーザがフォルダをオンマウスすると、表示対象とする文書を選定し、選定した文書のサムネイルを当該文書に対応する表示要素としてクライアントPC5の画面に表示させるようにした。本実施の形態におけるサムネイル生成部141は、表示させるサムネイルを、オンマウスの操作をしたユーザ又は表示対象として選定した文書に適合させて生成することを特徴としている。
【0089】
一般に、サムネイルは、文書の表紙などの先頭ページを縮小して生成される場合が少なくない。本実施の形態におけるサムネイル生成部141は、工程との関連性のあるページや文書の特徴事項が記載されているページの画像からサムネイルを生成する。
【0090】
例えば、文書選定部13が選定した文書が例えば発注書を含む文書Aとする。そして、文書Aがまだ承認されていない場合であって操作したユーザが文書Aの承認者の場合、サムネイル生成部141は、承認の際に参照されるページ、例えば、発注品リストの記載ページの画像から文書Aのサムネイルを生成する。
【0091】
また、文書Aが作成された工程の次の工程が実行中の場合であって操作したユーザが次の工程における文書の作成者の場合、サムネイル生成部141は、文書の作成に役立ちそうなページ、例えば文書Aの目次のページの画像から文書Aのサムネイルを生成する。また、実施の形態3においては、案件1において、選定された“文書3-1”と関連性のある文書として“文書1-2”を合わせて選定しているが、この場合、サムネイル生成部141は、“文書1-2”を解析することで“文書3-1”と関連性のあるページを特定し、そのページの画像から“文書1-2”のサムネイルを生成する。また、“文書1-2”が“文書3-2”と関連性のある場合、サムネイル生成部141は、“文書1-2”を解析することで“文書3-2”と関連性のあるページを特定し、そのページの画像から“文書1-2”のサムネイルを生成する。関連性のあるページは、記載されている語句の出現回数のカウントや自然言語解析処理を行うなど既存の技術を用いることで特定可能である。
【0092】
また、例えば文書が論文の場合、総論や要約が記載されているページの画像からサムネイルを生成する。また、文書が請求書の場合、請求金額が記載されているページの画像からサムネイルを生成する。また、文書が納品書の場合、納品先に関する情報が記載されているページの画像からサムネイルを生成する。
【0093】
更に、ページ全体をサムネイルとして採用しなくても、請求金額の記載部分、納品先情報の記載部分などページの一部分だけを切り出してサムネイルを生成するようにしてもよい。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、操作したユーザや文書の種類に応じて適切なページ又はページの一部分をサムネイルとして生成することができる。
【0095】
ところで、上記各実施の形態においては、フォルダに格納されているファイルを示す表示要素(上記例における「サムネイル」)を表示させる操作としてオンマウスを例にして説明した。ただ、表示要素を表示させる操作をオンマウスに限定する必要はない。
【0096】
図8は、上記各実施の形態においてクライアントPC5における画面表示の他の例を示す図である。
図8では、「UserA」というフォルダの下位層に位置する案件1~4の各フォルダが表示されている。そして、このうち、案件1及び案件2の各フォルダに例示したように、フォルダに格納されている全部又は一部の文書のサムネイルが表示される形態にてフォルダのアイコンが形成され表示される。
図8に示す例では、ユーザがフォルダを開かなくても、また、オンマウスやクリックなどの操作をしなくてもフォルダにどのような文書(前述したように、文書選定部13によって選定された文書)が含まれているか確認することができ、所望の文書がどのフォルダに含まれているか当たりをつけることができる。
図8に示す例のように、表示要素を表示させる操作は、オンマウスのようにユーザが意図的に表示させる操作に限定する必要はない。フォルダに格納されている文書を表示させる意図に基づく操作でない場合にも、上記各実施の形態の機能を適用して選定した文書のみを表示対象とするようにしてもよい。換言すると、アプリケーションが起動等されることによって表示要素が表示されることになるので、操作アプリケーションを起動する操作や上位のフォルダを選択する、つまり当該フォルダを一覧表示する操作等は、表示要素を表示させる操作に含まれるものとする。また、操作の結果としてフォルダが表示されることになるのだから、フォルダを「選択」するという操作に該当するとみなしてもよい。
【0097】
また、上記各実施の形態においては、親フォルダがオンマウスされた場合を例にして説明したが、各工程に対応する子フォルダが選択された場合も同様に処理することで適用可能である。子フォルダが選択された場合、子フォルダに格納されている文書、また子フォルダより下位層に作成されたフォルダに格納されている文書の中から、表示対象とする文書が選定されることになる。
【0098】
また、上記各実施の形態においては、作業として、作業の順番が決められている工程を例にして説明したが、順番が決まっていない作業においても適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 表示制御装置、2 業務管理サーバ、3 データベース(DB)サーバ、4 ユーザ管理サーバ、5 クライアントPC、11 ユーザインタフェース(UI)制御部、12 業務管理情報取得部、13 文書選定部、14 表示情報生成部、21 業務テンプレートデータベース、22 業務管理情報データベース、31 文書レポジトリ、41 ユーザ情報データベース、111 操作受付部、112 表示制御部、141 サムネイル生成部。