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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】回動機構及び鍵盤装置
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/18 20060101AFI20231205BHJP
   G10H 1/34 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G10C3/18
G10H1/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020018088
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021124608
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西村 徹矢
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕史
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173706(JP,A)
【文献】特開2017-173698(JP,A)
【文献】特開2018-163269(JP,A)
【文献】特開2002-207484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10C 3/18
G10H 1/34
G10B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、
所定の軸を回動中心として前記軸部の軸部外周と摺動する軸受部と、
前記回動中心から、前記軸部外周と前記軸受部とが摺動する摺動部までの距離より大きく前記回動中心から前記軸部の外側に突出する突出部と、
前記軸受部と一体に設けられ、前記突出部に対向するストッパと、
を有する回動機構。
【請求項2】
前記軸受部は開口部を有し、
前記突出部は、前記開口部の開口端部から突出している、請求項1に記載の回動機構。
【請求項3】
前記軸受部が前記軸部から脱離しようとして、前記突出部と前記ストッパとが接触する状態において、前記回動中心は、前記軸部と接触する前記軸受部の両端部を結ぶ線よりも前記ストッパから離れている、請求項1又は2に記載の回動機構。
【請求項4】
前記突出部は、前記軸受部の回動範囲において、前記ストッパの先端と前記回動中心とを結ぶ直線上に存在する、請求項1乃至3のいずれか一に記載の回動機構。
【請求項5】
前記突出部は、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部を有する、請求項1乃至4のいずれか一に記載の回動機構。
【請求項6】
前記ストッパ当接部の形状は、前記回動中心を中心とする円の円弧の一部を含む、請求項5に記載の回動機構。
【請求項7】
前記突出部は、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部を有し、
前記ストッパ当接部の形状は、前記回動中心よりも前記ストッパ当接部から離れた点を中心とする円の円弧の一部を含む、請求項1乃至4のいずれか一に記載の回動機構。
【請求項8】
前記軸部が延びる方向に対して交差する方向に延びる補強部材をさらに有し、
前記軸部及び前記突出部は、前記補強部材に接続されている、請求項1乃至7のいずれか一に記載の回動機構。
【請求項9】
軸部と、
所定の軸を回動中心として前記軸部の軸部外周と摺動する軸受部と、
前記軸受部と一体に設けられたストッパと、
前記軸部と前記ストッパとの間に設けられ、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部と、
前記軸部が延びる方向に対して交差する方向に延びる補強部材と、
を有し、
前記軸部及び前記ストッパ当接部は、前記軸部が延びる方向において、前記軸受部の両端の外側で前記補強部材に接続されている回動機構。
【請求項10】
鍵と、
前記鍵の押圧に応じて、請求項1乃至9のいずれか一に記載の前記回動機構によって回動するハンマアセンブリと、
前記鍵に対する操作を検出するセンサと、
前記センサの出力信号に応じて音波形信号を生成する音源部と、
を備えることを特徴とする鍵盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回動機構及び鍵盤装置に関する。特に、本発明は回動機構を用いて取り付けられたハンマアセンブリを備えた鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグランドピアノやアップライトピアノなどのアコースティックピアノは、多くの部品によって構成されている。また、これらの部品の組み立ては非常に複雑であるため、組み立て作業にかかる時間が長くなってしまう。特に、各鍵に対応して設けられるアクション機構は、多くの部品が必要であり、その組み立て作業も非常に複雑である。
【0003】
アクション機構は、鍵を通して演奏者の指に感覚(以下、タッチ感という)を与えるために、鍵の下方に錘が備えられたハンマを有する。ハンマは、鍵の押鍵動作に応じてハンマに備えられた錘を持ち上げるように回動する。例えば、特許文献1及び2に示すハンマは、軸部に対して円形状に開口された軸受部を嵌合させた状態で回動可能に取り付けられている。当該ハンマは、軸受部から軸部に向かって延びる軸ストッパによって、軸部から脱離することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-173706号公報
【文献】国際公開第2018-174001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に示すような、例えばハンマのような部材の回動機構の回動軸には非常に大きな負荷がかかる。例えば、非常に強い打鍵に応じてハンマが回動する場合、ハンマの回動軸に非常に大きな負荷がかかり、回動軸が破損してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的の一つは、機械的な強度が高く、かつ軸受部が軸部から脱離しにくい回動機構を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による回動機構は、軸部と、所定の軸を回動中心として前記軸部の軸部外周と摺動する軸受部と、前記回動中心から、前記軸部外周と前記軸受部とが摺動する摺動部までの距離より大きく前記回動中心から前記軸部の外側に突出する突出部と、前記軸受部と一体に設けられ、前記突出部に対向するストッパと、を有する。
【0008】
前記軸受部は開口部を有し、前記突出部は、前記開口部の開口端部から突出していてもよい。
【0009】
前記軸受部が前記軸部から脱離しようとして、前記突出部と前記ストッパとが接触する状態において、前記回動中心は、前記軸部と接触する前記軸受部の両端部を結ぶ線よりも前記ストッパから離れていてもよい。
【0010】
前記突出部は、前記軸受部の回動範囲において、前記ストッパの先端と前記回動中心とを結ぶ直線上に存在してもよい。
【0011】
前記突出部は、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部を有してもよい。
【0012】
前記ストッパ当接部の形状は、前記回動中心を中心とする円の円弧の一部を含んでもよい。
【0013】
前記突出部は、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部を有し、前記ストッパ当接部の形状は、前記回動中心よりも前記ストッパ当接部から離れた点を中心とする円の円弧の一部を含んでもよい。
【0014】
前記軸部が延びる方向に対して交差する方向に延びる補強部材をさらに有し、前記軸部及び前記突出部は、前記補強部材に接続されていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態による回動機構は、軸部と、所定の軸を回動中心として前記軸部の軸部外周と摺動する軸受部と、前記軸受部と一体に設けられたストッパと、前記軸部と前記ストッパとの間に設けられ、前記軸受部が前記軸部から脱離しようとする状態で、前記ストッパと接触するストッパ当接部と、前記軸部が延びる方向に対して交差する方向に延びる補強部材と、を有し、前記軸部及び前記ストッパ当接部は、前記軸部が延びる方向において、前記軸受部の両端の外側で前記補強部材に接続されている。
【0016】
本発明の一実施形態による鍵盤装置は、鍵と、前記鍵の押圧に応じて、上記の前記回動機構によって回動するハンマアセンブリと、前記鍵に対する操作を検出するセンサと、前記センサの出力信号に応じて音波形信号を生成する音源部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機械的な強度が高く、かつ軸受部が軸部から脱離しにくい回動機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。
図4】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図であり、軸受部が軸部に取り付けられた状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図であり、軸受部のみを示す分解図である。
図6】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図7】本発明の一実施形態における鍵(白鍵)を押下していないとき(離鍵時)の鍵アセンブリの動作を説明する図である。
図8】本発明の一実施形態における鍵(白鍵)を押下したとき(押鍵時)の鍵アセンブリの動作を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態における回動機構において、各回動状態における突出部とストッパとの位置関係及び軸受部の開口部と突出部との位置関係を説明する図である。
図10】本発明の一実施形態における回動機構において、各回動状態における突出部とストッパとの位置関係及び軸受部の開口部と突出部との位置関係を説明する図である。
図11】本発明の一実施形態における回動機構の軸部を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す上面図である。
図13】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す断面図である。
図14】本発明の一実施形態における回動機構の軸部及び突出部を示す側面図である。
図15】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図16】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図17】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図18】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図19】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図20】本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。
図21】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図22】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図23】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図24】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す断面図である。
図25】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図26】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図27】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図28】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
図29】本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す上面図である。
図30】本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施する形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。また、以下の説明において、「回動する」は相対的な動作を意味する。例えば、「部材Aが部材Bに対して回動する」とは、固定された部材Aに対して部材Bが回動してもよく、逆に固定された部材Bに対して部材Aが回動してもよく、両者がともに回動してもよい。また、以下の説明において、各図面における上下方向に基づいて、「上」、「上方」、「上端」、「下」、「下方」、「下端」と表現する場合があるが、これらの上下方向は相対的な方向の関係を説明しているに過ぎず、上下方向が逆転してもよい。
【0020】
<第1実施形態>
[鍵盤装置の構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を有していなくてもよい。
【0021】
鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100w及び黒鍵100bを含む。複数の白鍵100w及び黒鍵100bは並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。この配列された方向をスケール方向という。白鍵100w及び黒鍵100bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
【0022】
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
【0023】
筐体90内部には、音源装置70及びスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどを備えていてもよい。
【0024】
なお、本明細書における説明において、上、下、左、右、手前及び奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置1を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵100を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。
【0025】
図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730及び出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
【0026】
信号変換部710は、センサ300(88の鍵100に対応したセンサ300-1、300-2、・・・、300-88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、及び押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
【0027】
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80又は音波形信号出力端子などに出力される。
【0028】
[鍵盤アセンブリの構成]
図3は、第1実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図3に示すように、筐体90の内部において、鍵盤アセンブリ10及びスピーカ80が配置されている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方及び下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間又は鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。
【0029】
鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵100の他にも、接続部180、ハンマアセンブリ200及びフレーム500を含む。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。フレーム500は、筐体90に固定されている。接続部180は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を接続する。接続部180は、板状可撓性部材181、鍵側支持部183及び回動部材185を備える。板状可撓性部材181は、鍵100の後端から後方に向かって延在している。鍵側支持部183は、板状可撓性部材181の後端から後方に向かって延在している。回動部材185が、鍵側支持部183及びフレーム500のフレーム側支持部585によって支持されている。すなわち、鍵100とフレーム500との間に、回動部材185が配置されている。回動部材185が曲がることによって、鍵100がフレーム500に対して回動することができる。回動部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585とに対して、着脱可能に構成されている。なお、回動部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585と一体となって、又は接着等により、着脱できない構成であってもよい。
【0030】
鍵100は、前端鍵ガイド151及び側面鍵ガイド153を備える。前端鍵ガイド151は、フレーム500の前端フレームガイド511を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド151は、その上部と下部のスケール方向の両側において、前端フレームガイド511と接触している。側面鍵ガイド153は、スケール方向の両側において側面フレームガイド513と摺動可能に接触している。この例では、側面鍵ガイド153は、鍵100の側面のうち非外観部NVに対応する領域に配置され、接続部180(板状可撓性部材181)よりも鍵前端側に存在するが、外観部PVに対応する領域に配置されてもよい。
【0031】
ハンマアセンブリ200は、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。したがって、ハンマアセンブリ200を「回動部材」という場合がある。このときハンマアセンブリ200の軸受部220とフレーム500の軸部520とが摺動しながらハンマアセンブリ200が回動する。より具体的には、軸部520が延びる方向に見て、軸受部220は、軸部520を回動中心として、軸部520の軸部外周と摺動しながら回動する。ハンマアセンブリ200の前端部210は、鍵100におけるハンマ支持部120の内部空間において概ね前後方向に摺動可能に接触する。この摺動部分、すなわち前端部210とハンマ支持部120とが接触する部分は、外観部PV(鍵本体部の後端よりも前方)における鍵100の下方に位置する。なお、軸部520及び軸受部220の接続箇所(回動機構)の構成は後で詳しく説明する。
【0032】
ハンマアセンブリ200は、回動軸よりも奥側において、金属製の錘部230を備えている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に載置された状態であり、ハンマアセンブリ200の前端部210が、鍵100を上方に押し戻している。押鍵されると、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に衝突する。この錘部230によって、ハンマアセンブリ200は押鍵に対する加重を与える。下側ストッパ410及び上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。
【0033】
ハンマ支持部120及び前端部210の下方には、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵により前端部210の下面側でセンサ300が押しつぶされると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
【0034】
[ハンマアセンブリの回動機構の構成]
図4及び図5は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。図4は、軸受部220が軸部520に取り付けられた状態を示す図である。図5は、軸受部220のみを示す分解図である。図4及び図5を用いてハンマアセンブリ200が軸部520に接続される構成について詳しく説明する。
【0035】
ハンマアセンブリ200は、軸受部220、ストッパ240、接続部250、及びボディ部260を有する。軸受部220及びストッパ240は、接続部250及びボディ部260を介して接続されており、一体として移動又は回動する。軸受部220はボディ部260から下方に延びており、軸部520を保持可能な形状を有している。接続部250はボディ部260から下方に延びている。ストッパ240は接続部250の下端に接続されており、接続部250から軸受部220に向かって延びている。具体的には、ストッパ240は、軸部520の回動中心600に向かって延びている。ストッパ240は可撓性を有しており、ストッパ240が湾曲することで軸受部220が軸部520に取り付けられる。ストッパ240が湾曲する方向は、ストッパ240の先端と回動中心600とを結ぶ方向に対して交差する方向である。ストッパ240は、軸受部220が軸部520から外れる方向には湾曲しない。つまり、軸受部220が軸部520から脱離しようとして、ストッパ240が突出部530の一部であるストッパ当接部531によって押されても、ストッパ240は湾曲しないため、軸部520からの軸受部220の脱離が抑制される。
【0036】
図5に示すように、軸受部220には、軸部520を保持する開口部229が設けられている。開口部229の内面は、回動中心600を中心とする半径r1の円L1の円弧の一部である。図4に示すように、回動中心600は軸部520内に存在している。なお、開口部229の内壁の一部には凹部522が設けられている。つまり、開口部229の内面は、凹部522を除き、開口端部610から開口端部620まで連続した円弧形状を有している。なお、凹部522は、グリス溜めとして利用することができる。
【0037】
軸部520の端部に突出部530が設けられている。軸部520は、スケール方向に延びており、後述する壁部材590に接続されている(図12参照)。軸部520の外面は回動中心600を中心とする円L1の円弧の一部である。突出部530は軸部520からストッパ240に向かって延びている。突出部530は開口端部610、620の間から、上記の円L1の内側から外側に向かって延びている。換言すると、突出部530は、回動中心600から軸部520の外周と軸受部220とが摺動する摺動部までの距離より大きく、回動中心600から軸部520の外側に突出する。ここで、摺動部とは軸受部220と軸部520とが摺動する部分を意味する。例えば、開口端部610、620、及び下記の接点630において軸受部220と軸部520とが摺動する部分を摺動部ということができる。突出部530は、軸部520に対する軸受部220の回動範囲において、ストッパ240と接触可能である。ストッパ当接部531は突出部530の先端であり、軸受部220が軸部520から脱離しそうになったときにストッパ240に接触する部分である。つまり、ストッパ240は突出部530と接触可能な部材である。ストッパ当接部531は、突出部530が軸部520から突出する方向に対して交差する方向に延びている。具体的には、ストッパ当接部531の形状は、回動中心600を中心とする半径r2の円L2の円弧の一部である。
【0038】
回動機構900は、軸受部220、軸部520、突出部530、及びストッパ240によって構成されている。下記の説明において、フレーム500に固定された軸部520に対して、ハンマアセンブリ200に固定された軸受部220が回動する構成について説明するが、以下の実施形態において、軸受部220がフレーム500に固定され、軸部520がハンマアセンブリ200に固定された構成に適用することもできる。
【0039】
軸受部220は、軸部520と摺動しながら軸部520の周りを回動する。換言すると、軸部520は、開口部229に内接して、軸受部220によって保持されている。軸受部220は軸部520に対してスナップフィット方式で取り付けられている。つまり、軸受部220の開口端部610、620の幅は軸部520の径よりも小さい。ハンマアセンブリ200の回動範囲において、開口部229の内面及び軸部520の外面は、軸部520の回動中心600を中心とする円L1の円弧の一部である。
【0040】
図4及び図5では、開口部229の内面及び軸部520の外面が共に円L1の円弧の一部であるため、上記の円弧の領域において軸受部220と軸部520とが摺動するように図示されている。ただし、上記のように軸受部220が軸部520を保持した状態で軸受部220が回動するために、軸部520と軸受部220とが摺動する点又は領域のうち、任意の3点(例えば、開口端部610、620における2つの接点及び接点630)によって形成される三角形T上に回動中心600が存在する。つまり、回動中心600は三角形Tの三辺上又は三辺によって囲まれた領域に存在する。換言すると、回動中心600を基準とした上記3点の各々のなす角度は180度以下である。なお、本実施形態では、上記の3点はいずれも開口部229の内面に位置しているので、上記の3点が連続して繋がるように軸受部220が軸部520を覆っている、ということができる。この場合、突出部530は軸受部220が連続していない領域、つまり開口部229の開口端部610、620から円L1の外に突出しているということができる。
【0041】
突出部530は、回動中心600を基準として円L1の外側に突出している。換言すると、上記のように3点を規定する場合、回動中心600を基準として、突出部530は上記の3点のいずれよりも遠くに突出している、ということができる。換言すると、回動中心600からストッパ当接部531までの距離は、回動中心600から各摺動部までの距離より大きい。仮に、回動中心600から上記3点までの各々の距離が異なる場合、突出部530は、上記3点のうち回動中心600から最も遠い点を通る円であって、回動中心600を中心とする円よりも外側に突出する。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。回動機構900に対して、軸部520と軸受部220とを互いに引き離す方向に強い外力が加えられると、開口端部610、620の間が軸部520によって押し広げられながら、軸受部220が軸部520から脱離しようとする方向に移動する。この移動に伴い、ストッパ240は軸部520に近づくように移動する。軸部520が軸受部220によって正常に保持された状態(図4に示す状態)では、上記のように、軸部520と軸受部220とが摺動する点のうち任意の3点によって形成される三角形上に回動中心600が存在するが、図6に示すように軸受部220が軸部520から脱離しようとする状態では、軸部520と軸受部220とは2点だけで接している。つまり、軸受部220が軸部520から脱離しようとする状態では、上記の正常に保持された状態における3点の接触点のうち、少なくともいずれかの点において軸部520と軸受部220とが非接触状態である。このような状態で、ストッパ240とストッパ当接部531とが接触する。そして、ストッパ240がストッパ当接部531に接触することで、上記の移動が規制される。図6は、この状態を示した図である。
【0043】
上記のように、軸受部220が軸部520から脱離しようとしても、回動中心600が開口端部610、620を結んだ線分615を越えて開口部229の外に出る前に、ストッパ240がストッパ当接部531に接触する。換言すると、ストッパ当接部531とストッパ240とが接触する状態において、回動中心600は軸部520と接触する軸受部220の両端部に対応する開口端部610、620を結ぶ線分615よりもストッパ240から離れている。この状態において、軸部520によって押し広げられた開口端部610、620は、軸受部220の復元力によって元の形状に戻ろうとする。図6に示す状態でストッパ240がストッパ当接部531に接触し、軸受部220の移動が規制されることで、軸受部220は上記の復元力によって元の状態(図4に示す状態)に戻ろうとする。
【0044】
なお、本実施形態では、ストッパ240が接続部250の下端から回動中心600に向かって延びた構成を例示したが、この構成に限定されない。ストッパ240は、軸受部220が軸部520から外れそうになったときにストッパ当接部531に接触すればよく、必ずしも回動中心600に向かって延びている必要はない。また、本実施形態では、軸受部220と軸部520とが摺動する領域における両者の形状は、いずれも円弧である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、軸受部220及び軸部520の一方が他方に対して点接触するような構成であってもよい。つまり、軸受部220及び軸部520のいずれか一方に、点接触を実現するような突起部が設けられていてもよい。また、本実施形態では、軸受部220と軸部520との接点(610、620、630)が、いずれも回動中心600から半径r1の距離である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、軸受部220と軸部520との3つの接点の各々が回動中心600から異なる距離であってもよい。つまり、軸受部220の外周に円L1の円弧より円L1の内側に凹んだ凹部が設けられていてもよい。当該凹部をグリス留めとして利用してもよい。
【0045】
本実施形態では、ストッパ当接部531の上下方向の幅がその他の領域の上下方向の幅よりも大きい構成を例示したが、この構成に限定されない。つまり、突出部530の上下方向の幅が軸部520からストッパ当接部531まで変化していなくてもよい。また、ストッパ当接部531の形状は円L2の円弧の一部でなくてもよい。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900によると、軸部520と軸受部220とを互いに引き離す方向に強い外力が加えられた場合であっても、ストッパ240が突出部530(ストッパ当接部531)に接触することで軸受部220が軸部520から脱離することを抑制することができるため、軸受部220が軸部520から脱離しにくい回動機構900を実現することができる。さらに、軸部520に突出部530が設けられていることで、軸部520の機械的強度を向上させることができる。
【0047】
また、開口部229の内面に凹部522が設けられていることで、軸受部220と軸部520との接触面積を小さくすることができるため、両者の回動動作における摩擦力を小さくすることができる。ただし、凹部522の代わりに軸部520の外周に凹部が設けられてもよい。
【0048】
[鍵盤アセンブリ10の動作]
図7及び図8は、本発明の一実施形態における鍵(白鍵)を押下したときの鍵アセンブリの動作を説明する図である。図7は、鍵100がレスト位置(押鍵していない状態)にある場合の図である。図8は、鍵100がエンド位置(最後まで押鍵した状態)にある場合の図である。鍵100が押下されると、回動部材185が回動中心となって曲がる。このとき、回動部材185には、鍵の前方(手前方向)への曲げ変形が生じているが、側面鍵ガイド153による前後方向の移動の規制によって、鍵100は前方に移動するのではなく回動する。そして、ハンマ支持部120が前端部210を押し下げることで、ハンマアセンブリ200が軸部520を中心に回動する。錘部230が上側ストッパ430に衝突することによって、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がエンド位置に達する。また、センサ300が前端部210によって押しつぶされると、センサ300は、押しつぶされた量(押鍵量)に応じた複数の段階で、検出信号を出力する。
【0049】
一方、離鍵すると、錘部230が下方に移動して、ハンマアセンブリ200が回動し、鍵100が上方に回動する。錘部230が下側ストッパ410に接触することで、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がレスト位置に戻る。第1実施形態における鍵盤装置1は、上述の通り、接続部180において押鍵及び離鍵による鍵100の回動をする。
【0050】
[鍵盤アセンブリ10の動作に伴う回動機構900の状態]
図9及び図10は、本発明の一実施形態における回動機構において、各回動状態における突出部とストッパとの位置関係及び軸受部の開口部と突出部との位置関係を説明する図である。図9は、図7と同様に鍵100がレスト位置にある場合における回動機構900の状態を示し、図10は、図8と同様に鍵100がエンド位置にある場合における回動機構900の状態を示す。
【0051】
図9及び図10に示すように、回動機構900の回動範囲において、突出部530(又はストッパ当接部531)はストッパ240の先端部241と回動中心600とを結ぶ直線上に存在する。また、上記のように、突出部530のストッパ当接部531の形状は、回動中心600を中心とする半径r2の円L2の円弧の一部なので、図9のレスト位置及び図10のエンド位置において、ストッパ240の先端部241とストッパ当接部531との距離は同じである。つまり、図9における先端部241とストッパ当接部531との距離d1は、図10における先端部241とストッパ当接部531との距離d2と同じである。つまり、回動機構900の回動範囲において、レスト位置からエンド位置までのどの状態で軸受部220が軸部520から脱離しようとしても、軸受部220の復元力によって軸受部220が元の状態に戻ろうとする条件で、ストッパ240が突出部530に接触することができる。
【0052】
なお、突出部530は、上記のレスト位置における開口端部620からエンド位置における開口端部610までの間に設けられている。つまり、図9及び図10のように、回動中心600から突出部530が突出する突出方向に対するレスト位置における開口端部620の角度θ1と、当該突出方向に対するエンド位置における開口端部610の角度θ2とを用いると、突出部530は角度θ1+角度θ2の範囲内に設けられている。
【0053】
[軸部520及び軸受部220の構成]
図11図13を用いて、軸部520及び軸受部220の詳細な構成について説明する。図11は、本発明の一実施形態における回動機構の軸部を示す斜視図である。図11に示すように、突出部530は、軸部520と同様にスケール方向に延びている。ハンマアセンブリ200はスケール方向に並んで配置されているため、突出部530は複数の回動機構900に共通して設けられている、ということができる。換言すると、隣接する回動機構900に含まれる軸部520及び突出部530は互いに接続されている。上記の構成によって、突出部530は軸部520の補強部材としての機能を果たす。さらに、突出部530の先端に、突出部530が突出する方向と交差する方向に延びるストッパ当接部531が設けられていることで、ストッパ当接部531が突出部530の補強部材としての機能を果たす。上記のように、軸部520に突出部530及びストッパ当接部531が設けられていることで、軸部520の機械的強度を向上させることができる。
【0054】
図12は、本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す上面図である。上記のように、軸部520及び突出部530はスケール方向に延びている。軸部520及び突出部530は複数の壁部材590(補強部材)に接続されている。複数の壁部材590はスケール方向に配列されている。壁部材590は、軸部520が延びる方向に対して交差する方向に延びている。図12の例では、壁部材590は板状の部材であり、軸部520が延びる方向(つまり、スケール方向)に交差する面を有する。より具体的には、壁部材590は軸部520が延びる方向に直交する面を有する。隣接する壁部材590の間にハンマアセンブリ200が設けられている。当該ハンマアセンブリ200は軸部520に取り付けられている。上記の壁部材590は軸部520の補強部材としての機能を果たす。上記のように、軸部520が壁部材590に接続されていることで、軸部520の機械的強度を向上させることができる。
【0055】
図13は、本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す断面図である。具体的には、図13に示す断面図は、図12のA-A’線に沿った断面図である。図13に示すように、軸部520と壁部材590とは一体で形成されている。軸部520はスケール方向に延びた柱状部材であり、壁部材590は上下方向に延びた板状部材である。軸受部220は上下方向から軸部520を挟んでいる。軸部520の上部側の軸受部220のさらに上方にボディ部260が示されている。
【0056】
軸部520と壁部材590との間には、第1リブ591、第1湾曲部593、第2リブ595、及び第2湾曲部597が設けられている。第1リブ591は、軸部520の下方において軸部520と壁部材590とを接続する。第1リブ591は、壁部材590から軸部520に向かって傾斜した傾斜面592を有する。第1湾曲部593は、第1リブ591と軸部520とを接続するように設けられている。第1湾曲部593は、軸部520に凹部を形成するように設けられている。第2リブ595は、軸部520の上方において軸部520と壁部材590とを接続する。第2リブ595は、壁部材590から軸部520に向かって傾斜した傾斜面596を有する。第2湾曲部597は、軸部520の上方において、第2リブ595と軸部520とがなす角を丸めるように湾曲している。換言すると、第2湾曲部597は、軸部520の上方に突出するように設けられている。
【0057】
図13に示すように、対向する第1リブ591間の距離W2は、軸受部220のスケール方向の幅W1とほぼ同じである。一方、対向する第2リブ595間の距離W3は、W1よりも大きい。つまり、ハンマアセンブリ200のスケール方向の移動は第1リブ591によって規制されている。換言すると、軸部520の上下に設けられたリブのうち一方のリブによってハンマアセンブリ200のスケール方向の移動が規制される。
【0058】
第1リブ591と軸部520との間に第1湾曲部593が設けられていることで、これらの間において発生する応力を緩和することができる。また、第2リブ595と軸部520との間に第2湾曲部597が設けられていることで、これらの間において発生する応力を緩和することができる。なお、第1湾曲部593が軸部520に凹部を形成するように設けられていることで、上記の応力緩和とハンマアセンブリ200のスケール方向の移動の規制とを両立することができる。また、第2湾曲部597が軸部520の上方に突出するように設けられていることで、軸部520が上方から外力に対する軸部520の耐久性を向上させることができる。本実施形態では、押鍵によって、軸部520には、軸受部220が上方から軸部520を押圧する外力がかかる。したがって、軸部520の上方からの外力に対する耐久性を高くする必要があるため、上記のように、軸部520の上方に第2リブ595及び第2湾曲部597が設けられている。
【0059】
本実施形態では、軸部520と壁部材590とが一体で形成された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、軸部520と壁部材590とが個別に形成され、軸部520に対して壁部材590が取り付けられてもよい。また、第1リブ591の代わりに第2リブ595によってハンマアセンブリ200のスケール方向移動が規制されてもよい。また、第1リブ591及び第1湾曲部593の位置と第2リブ595及び第2湾曲部597の位置とが上下逆であってもよい。つまり、軸部520の上方でハンマアセンブリ200のスケール方向の移動が規制されてもよい。
【0060】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Aについて説明する。図14は、本発明の一実施形態における回動機構の軸部及び突出部を示す側面図である。第2実施形態の回動機構900Aでは、突出部530Aの形状が第1実施形態の突出部530の形状と相違する。図14に示す突出部530Aは、図4及び図5の突出部530と類似しているが、ストッパ当接部531Aの形状がストッパ当接部531の形状と相違する。以下の説明において、図4及び図5の突出部530と同様の特徴については説明を省略し、主に突出部530と相違する点について説明する。
【0061】
図14に示すように、ストッパ当接部531Aは回動中心601Aを中心とする円L3の円弧の一部である。回動中心601Aは、回動中心600Aよりもストッパ当接部531Aから離れている。円L3の半径r3は円L2の半径r2より大きい。なお、円L2は、回動中心600Aを中心として突出部530Aに外接する外接円である。
【0062】
本実施形態に係る回動機構900Aの構成によって得られる効果について、図15図20を用いて説明する。図15図20は、いずれも本発明の一実施形態において、回動部材が軸部から脱離しようとするときの状態について説明する図である。図15図17、及び図19は回動機構の全体を示し、図16図18、及び図20はストッパ当接部がストッパに作用する方向を示す。図15及び図16は第1実施形態に係る回動機構900を示し、図17及び図18は第2実施形態に係る回動機構900Aを示し、図19及び図20は第2実施形態の変形例に係る回動機構900Bを示す。これらの回動機構はストッパ当接部の形状が異なる。なお、図15及び図16のストッパ当接部531の形状、及び図17及び図18のストッパ当接部531Aの形状は、上記の通りである。また、図15図20において、各ストッパ240、240A、240Bは、軸受部220、220A、220Bが軸部520、520A、520Bに正常に保持された状態で、回動中心600、600A、600Bに向かって延びている。
【0063】
図15及び図16に示すように、ストッパ240がストッパ当接部531に当接した状態において、ストッパ240はストッパ当接部531からストッパ240が延びる方向243への作用を受ける。つまり、ストッパ当接部531によってストッパ240が押圧された場合に、ストッパ240は、ストッパ240を上下に移動させる方向の作用をほとんど受けない。
【0064】
図17及び図18に示すように、ストッパ240Aがストッパ当接部531Aに当接した状態において、ストッパ240Aはストッパ当接部531Aからストッパ240Aが延びる方向243Aより下方に角度θ3傾いた方向の作用を受ける。その結果、ストッパ240Aがストッパ当接部531Aに当接すると、ストッパ当接部531Aがストッパ240Aを押す力によって、ストッパ240Aが下方に移動しようとする。つまり、この構成の場合、軸受部220Aが軸部520Aから脱離しようとして、ストッパ当接部531Aがストッパ240Aに当接したときに、ストッパ240Aの位置をストッパ当接部531Aの中央方向に移動させるようにストッパ当接部531Aがストッパ240Aに作用する。つまり、図17及び図18に示す回動機構900Aは、図15及び図16に示す回動機構900に比べてストッパ240Aがストッパ当接部531Aの範囲から外れにくくなる。
【0065】
図19に示すように、ストッパ当接部531Bは、ストッパ当接部531Bは回動中心603Bを中心とする円L4の円弧の一部である。回動中心603Bは、回動中心600Bよりもストッパ当接部531Aに近い。円L4の半径r4は円L2の半径r2より小さい。なお、円L2は、回動中心600Bを中心として突出部530Bに外接する外接円である。
【0066】
図20に示すように、ストッパ240Bがストッパ当接部531Bに当接した状態において、ストッパ240Bはストッパ当接部531Bからストッパ240Bが延びる方向243Bより上方に角度θ4傾いた方向の作用を受ける。その結果、ストッパ240Bがストッパ当接部531Bに当接すると、ストッパ当接部531Bがストッパ240Bを押す力によって、ストッパ240Bが上方に移動しようとする。つまり、この構成の場合、軸受部220Bが軸部520Bから脱離しようとして、ストッパ240Bがストッパ当接部531Bに当接したときに、ストッパ240Bの位置をストッパ当接部531Bから外れる方向に移動させるようにストッパ当接部531Bがストッパ240Bに作用する。つまり、図19及び図20に示す回動機構900Bは、強い外力がかかった場合に軸受部220が軸部520から脱離することで、図15及び図16に示す回動機構900に比べてストッパ240Bにかかる負荷を小さくすることができる。
【0067】
上記のように、ストッパ240、240A、240Bがストッパ当接部531、531A、531Bに当接した状態において、これらの接点における法線方向によって、ストッパ当接部がストッパを押す方向を調整することができ、以下のような作用を得ることができる。ストッパ240Aとストッパ当接部531Aとの接点における法線方向が角度θ3の方向に傾いている場合(図18)、ストッパ240Aがθ3の方向に移動するため、ストッパ240Aがストッパ当接部531Aの当接範囲から外れにくくなる。ストッパ240Bとストッパ当接部531Bとの接点における法線方向が角度θ4の方向に傾いている場合(図20)、ストッパ240Bがθ4の方向に移動するため、ストッパ240Bが壊れにくくなる。ストッパ240とストッパ当接部531との接点における法線方向が、ストッパ240が延びる方向243である場合(上記の角度θ3=θ4=0°の場合)、ストッパ240は上下方向に移動しないため、ストッパ240がストッパ当接部531を支持する力が図16図18図20の構成の中で最も大きい。このように、ストッパ当接部の形状は脱離防止機能又はストッパに係る負荷などを考慮して適宜選択することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Cについて説明する。図21は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第3実施形態の回動機構900Cでは、軸受部220Cの形状が第1実施形態の軸受部220の形状と相違する(図4及び図5参照)。以下の説明において、図4及び図5の軸受部220と同様の特徴については説明を省略し、主に軸受部220と相違する点について説明する。
【0069】
図21に示すように、開口部229Cの内面には突起部640C、650C、660Cが設けられている。各々の突起部640C、650C、660Cは、開口部229Cの内面から軸部520Cに向かって突出しており、軸部520Cに接している。突起部640Cは開口端部610C付近に設けられている。突起部650Cは開口端部620C付近に設けられている。これらの突起部が軸部520Cと摺動しながら軸部520Cの周りを回動する。突起部640C、650C、660Cは、それぞれ軸部520Cが延びる方向に延びている。図21において、回動中心600Cは、突起部640C、650C、660Cと軸部520Cとの接点によって形成される三角形上に存在する。換言すると、回動中心600Cを基準とした上記3つの接点の各々のなす角度は180度以下である。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Cによると、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果に加え、軸部520Cに接触する面積を小さくすることができるため、軸受部220Cが回動する際の摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0071】
上記の実施形態で説明した突起部は、軸受部220Cと一体形成されていてもよく、軸受部220Cとは個別に形成され、軸受部220Cに固定されてもよい。また、本実施形態では、開口部229Cの内面に突起部が設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、上記の突起部640C、650C、660Cの代わりに、軸部520Cの外面に、軸部520Cから軸受部220Cに向かって突出する突起部が設けられていてもよい。
【0072】
本実施形態では、3つの突起部によって軸受部220Cが軸部520に支持される構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図22に示すように、開口端部610D、620Dだけに、それぞれ突起部640D、650Dが設けられていてもよい。つまり、開口端部610D、620D付近において軸部520Dが突起部640D、650Dと点接触し、接触領域670Dにおいて軸部520Dが開口部229Dの内面と面接触していてもよい。上記と同様に突起部640D、650Dは、軸受部220Dと一体形成されていてもよく、個別に形成されていてもよい。
【0073】
<第4実施形態>
第4実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Eについて説明する。図23は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第4実施形態の回動機構900Eでは、ストッパ240Eの形状が第1実施形態のストッパ240の形状と相違する(図4及び図5参照)。以下の説明において、図4及び図5のストッパ240と同様の特徴については説明を省略し、主にストッパ240と相違する点について説明する。
【0074】
図23に示すように、ストッパ240Eの先端は二股形状である。ストッパ240Eは、第1先端部245E及び第2先端部247Eを有する。第1先端部245E及び第2先端部247Eの各々は、スケール方向に延びている。ただし、第1先端部245E及び第2先端部247Eのスケール方向の幅は、図12に示す隣接する壁部材590間の距離よりも小さい。第1先端部245Eと第2先端部247Eとの間には、凹部249Eが設けられている。凹部249Eの形状は、円L2の曲率半径r2よりも小さい曲率半径r4の円L4の円弧の一部であってもよい。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Eによると、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果に加え、ストッパ当接部531Eがストッパ240Eに当接したときに、ストッパ240Eがストッパ当接部531E上を滑りにくくすることができる。
【0076】
なお、ストッパ240Eと一体の軸受部が軸部520Eから脱離しようとする状態において、第1先端部245E及び第2先端部247Eがストッパ当接部531Eに接すればよく、凹部249Eの形状は円弧の一部でなくてもよい。また、上記のように脱離しようとする状態において、ストッパ当接部531Eに接する先端部の数は3つ以上であってもよい。
【0077】
<第5実施形態>
第5実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Fについて説明する。図24は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第5実施形態の回動機構900Fでは、軸受部220Fと壁部材590Fとの間の構造が第1実施形態と相違する(図13参照)。以下の説明において、図13の構成と同様の特徴については説明を省略し、主に図13と相違する点について説明する。
【0078】
図24に示すように、軸部520Fと壁部材590Fとの間には、第1リブ591F、第1湾曲部594F、第2リブ595F、及び第2湾曲部597Fが設けられている。第1湾曲部594Fは、軸部520Fの下方において、第1リブ591Fと軸部520Fとがなす角を丸めるように湾曲している。換言すると、第1湾曲部594Fは、軸部520Fの下方に突出するように設けられている。第1湾曲部594Fに対応して、軸受部220Fに切り欠き部221Fが設けられている。切り欠き部221Fは、軸部520Fに接する辺223Fと第1リブ591Fに接する辺225Fとの間を結ぶように設けられている。図24では、切り欠き部221Fが直線状であるが、切り欠き部221Fは第1湾曲部594Fと同様に湾曲形状であってもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Fによると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Gについて説明する。図25は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第6実施形態の回動機構900Gでは、軸部520Gの形状が第1実施形態の軸部520の形状と相違する(図4及び図5参照)。以下の説明において、図4及び図5と同様の特徴については説明を省略し、主に軸部520と相違する点について説明する。
【0081】
図25に示すように、軸部520Gの形状は楕円形である。軸部520Gは、2つの摺動部681G、683Gで軸受部220Gと摺動している。摺動部681G、683Gは、軸部520Gの楕円形状の長軸の両端に相当する。つまり、摺動部681G、683Gを結ぶ直線は回動中心600Gを通る線であり、回動中心600Gは摺動部681G、683Gの中間に位置している。摺動部681G、683Gの距離は、開口端部610G、620Gの距離より大きい。つまり、軸受部220Gは軸部520Gによって2点で保持されている。軸受部220Gが反時計回りに回動して開口端部610Gが摺動部683Gを越える、又は、軸受部220Gが時計回りに回動して開口端部620Gが摺動部681Gを越えることで、軸受部220Gが軸部520Gから脱離する。なお、本実施形態では、軸部520Gが楕円形である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、摺動部681G、683Gを結ぶ直線が回動中心600Gを通ればよく、軸部520Gは楕円形以外の形状であってもよい。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Gによると、第1実施形態と同様の効果に加え、軸受部220Gが軸部520Gに接触する面積を小さくすることができるため、軸受部220Gが回動する際の摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0083】
<第7実施形態>
第7実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Hについて説明する。図26は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第7実施形態の回動機構900Hでは、突出部530Hの形状が第1実施形態の突出部530の形状と相違する(図4及び図5参照)。以下の説明において、図4及び図5と同様の特徴については説明を省略し、主に突出部530と相違する点について説明する。
【0084】
図26に示すように、突出部530Hは、軸部520Hからストッパ当接部531Hに向かって徐々に幅が広がる形状を有している。換言すると、突出部530Hは略扇形である。このように、第1実施形態~第6実施形態では、突出部530がT字形状である構成を例示したが、この構成に限定されず、第7実施形態のように多様な形態を適用することができる。
【0085】
<第8実施形態>
第8実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Jについて説明する。図27は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第8実施形態の回動機構900Jでは、ストッパ当接部531Jの形状が図4に示すストッパ当接部531の形状と異なる。具体的には、ストッパ当接部531Jの形状は円弧の一部ではなく、平面である。本実施形態に係るストッパ当接部531Jの形状は図14に示すストッパ当接部531Aにおいて円L3の半径r3が無限大の場合に相当する。したがって、本実施形態に係る回動機構900Jによると、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、ストッパ当接部531Jの形状が1つの平面によって構成された例を示したが、この構成に限定されない。例えば、ストッパ当接部531Jは複数の平面によって構成されていてもよく、平面と曲面(例えば、第1実施形態のストッパ当接部531のような円弧形状の曲面)との組み合わせによって構成されていてもよく、異なる曲率半径を有する曲面の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0087】
<第9実施形態>
第9実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Kについて説明する。図28は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。図29は、本発明の一実施形態におけるハンマアセンブリ及び軸部を示す上面図である。
【0088】
図28及び図29に示すように、ストッパ当接部531Kは軸部520Kから離隔している。つまり、図28の側面視において、図4に示す突出部530に相当する部材は設けられておらず、ストッパ当接部531Kと軸部520Kとは、それぞれ独立している。ただし、図29に示すように、ストッパ当接部531Kと軸部520Kとは、壁部材590Kを介して接続されている。換言すると、ストッパ当接部531K及び軸部520Kは、スケール方向においてハンマアセンブリ200Kの両端の外側で壁部材590Kに接続されている。なお、ストッパ当接部531K及び軸部520Kは、壁部材590Kに固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。例えば、軸部520Kは壁部材590Kに回動可能に取り付けられていてもよい。また、ストッパ当接部531Kは壁部材590Kにスライド移動可能に取り付けられていてもよい。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Kによると、ストッパ当接部531K及び軸部520Kが壁部材590Kを介して接続されていることで、軸部520Kに係る外力をストッパ当接部531Kに分散することができるため、軸部520Kの機械的強度を向上させることができる。
【0090】
<第10実施形態>
第10実施形態では、第1実施形態における回動機構900とは異なる構成の回動機構900Lについて説明する。図30は、本発明の一実施形態における回動機構の部分拡大図である。第10実施形態の回動機構900Lでは、軸部520Lと軸受部220Lとが摺動する部分の形状が、図4に示す回動機構900と異なる。
【0091】
図30に示すように、軸部520Lは第1摺動部523L、第2摺動部525L、及び第3摺動部527Lを備えている。これら3つの摺動部は軸部520Lから軸受部220Lの内壁に向かって突出し、当該内壁と接している。回動中心600Lから第1摺動部523L、第2摺動部525L、及び第3摺動部527Lの各々の先端までの長さ(以下、単に各摺動部の長さという)は異なる。具体的には、第2摺動部525Lの長さは第1摺動部523Lの長さより大きい。第3摺動部527Lの長さは第2摺動部525Lの長さより大きい。軸受部220Lの内壁は、上記の各摺動部の長さに対応した、回動中心600Lを中心とする円の円弧形状を有している。
【0092】
回動中心600Lから突出部530Lの先端(ストッパ当接部531L)までの長さ(以下、単に突出部530Lの長さという)はr5である。ストッパ当接部531Lの形状は、回動中心600Lを中心とする半径r5の円L5の円弧の一部である。図30に示すように、突出部530Lの長さは第1摺動部523Lの長さより大きい。一方、突出部530Lの長さは第2摺動部525Lの長さ及び第3摺動部527Lの長さより小さい。上記の構成を換言すると、突出部530Lは、回動中心600Lを基準として、軸部520Lと軸受部220Lとが摺動する摺動部(第1摺動部523L、第2摺動部525L、及び第3摺動部527L)のうち、最も回動中心600Lに近い摺動部(第1摺動部523L)よりも遠くに突出している。換言すると、軸部520Lと軸受部220Lとが摺動する摺動部の一部は、回動中心600Lを中心として突出部530Lの先端と接する円L5の内側に位置している。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る回動機構900Lによると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
上述した実施形態では、ハンマアセンブリを適用した鍵盤装置の例として電子ピアノを示した。一方、上記実施形態のハンマアセンブリは、アコースティックピアノ(グランドピアノやアップライトピアノなど)の回動機構に適用することもできる。例えば、アップライトピアノにおいて、回動部品と当該回動部品を回動自在に軸支する支持部とを有する回動機構に上記実施形態の開口機構を適用することができる。この場合、発音機構は、ハンマ、弦に対応する。上記実施形態の回動機構はピアノ以外の回動部品に適用することもできる。
【0095】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1:鍵盤装置、 10:鍵盤アセンブリ、 70:音源装置、 80:スピーカ、 90:筐体、 100:鍵、 120:ハンマ支持部、 151:前端鍵ガイド、 153:側面鍵ガイド、 180:接続部、 181:板状可撓性部材、 183:鍵側支持部、 185:回動部材、 200:ハンマアセンブリ、 210:前端部、 220:軸受部、 221F:切り欠き部、 223F、225F:辺、 229:開口部、 230:錘部、 240:ストッパ、 241:先端部、 243:方向、 245E:第1先端部、 247E:第2先端部、 249E:凹部、 250:接続部、 260:ボディ部、 300:センサ、 410:下側ストッパ、 430:上側ストッパ、 500:フレーム、 511:前端フレームガイド、 513:側面フレームガイド、 520:軸部、 522:凹部、 523L:第1摺動部、 525L:第2摺動部、 527L:第3摺動部、 530:突出部、 531:ストッパ当接部、 585:フレーム側支持部、 590:壁部材、 591:第1リブ、 592:傾斜面、 593、594F:第1湾曲部、 595:第2リブ、 596:傾斜面、 597:第2湾曲部、 600、601A、603B:回動中心、 610、620:開口端部、 615:線分、 630:接点、 640C、650C、660C:突起部、 670D:接触領域、 681G、683G:摺動部、 710:信号変換部、 730:音源部、 750:出力部、 900:回動機構
図1
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