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  • 特許-クリーニング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20231205BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20231205BHJP
   B41F 16/00 20060101ALN20231205BHJP
   B41F 23/00 20060101ALN20231205BHJP
   B41F 19/00 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
B08B1/04
B08B1/02
B41F16/00 B
B41F23/00
B41F19/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020018465
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021122791
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古市 亘
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-166104(JP,A)
【文献】実開平02-040485(JP,U)
【文献】特開2016-090813(JP,A)
【文献】特開2019-051517(JP,A)
【文献】特表2009-521349(JP,A)
【文献】実開昭59-133667(JP,U)
【文献】特開2012-183455(JP,A)
【文献】特開2006-079065(JP,A)
【文献】特開平10-113856(JP,A)
【文献】特開2009-252306(JP,A)
【文献】実開昭61-092966(JP,U)
【文献】特開平08-173927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04
B08B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に搬送される連続したメディアに付着した汚れを除去するクリーニングローラを備えるクリーニング装置であって、
前記クリーニングローラは、
前記メディアの幅方向中央部に対応する中央領域と、
前記中央領域よりも異物収集力が高く、前記メディアの幅方向端部を跨ぐように配置されるクリーニング部を有し、前記メディアの幅方向端部に対応する端部領域と、を備えるとともに、
前記中央領域及び前記端部領域のいずれもが前記メディアに接触するように、張架された前記メディアにその一方の面側から押圧される、
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニング部は、前記メディアの汚れを吸着する粘着層を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記クリーニング部は、静電気力により前記メディアの汚れを吸着する帯電部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記中央領域が金属から構成され、前記クリーニング部が樹脂から構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記クリーニングローラとは前記メディアの搬送方向の位置が異なり、前記メディアに他方の面側から押圧される他のクリーニングローラを備える、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記メディアが箔である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記クリーニングローラが、箔の転写面側に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続したメディア(記録媒体)を搬送する装置においては、メディアの幅方向の両端部に、断裁による切りくずやごみ、メディアからはみ出した糊等の汚れが付着する。これらの汚れは搬送動作を通じてメディアから装置側に付着し、装置の動作不良等を招来することがある。また、メディアの1つとして箔を用いる箔押し装置では、箔が転写される用紙等に箔端部が接触することでこれらの汚れが用紙に付着し、出力物の不良の直接の原因となり得る。
【0003】
そのため、メディアの端部に付着した汚れを除去する必要がある。連続したメディアのクリーニング技術としては、以下のようなものがある。
例えば特許文献1には、連続したメディアをその全幅に亘って粘着ローラ対でニップして(挟んで)搬送することにより、粘着ローラに汚れを吸着させてメディアの表面を清掃する技術が開示されている。
また特許文献2には、接着剤層を表裏2枚のメディアに挟み込んだ構造のメディアの幅方向端部を、端部から中央部に向かって押圧し、接着剤を端部から中央部に向けて押し込むことにより、メディア端部からの接着剤のはみ出しを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-83671号公報
【文献】特許第6451223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしなから、上記特許文献1、2に記載のクリーニング技術には以下の問題がある。
特許文献1に記載の技術では、対向する粘着ローラ対でメディアをニップしているため、メディアを安定して搬送させるためのローラアライメント管理が困難である。特に箔のような薄いメディアにおいては、微妙なローラアライメントのずれによって、搬送中の曲がりや皺などの不良が発生しやすい。
また、メディアの全幅に亘って粘着ローラを押し付けてクリーニングを行う場合、粘着ローラの形状や粘着力等の影響によりメディアに皺が発生しやすい。箔のような薄いメディアでは特に皺が発生しやすい。さらに、メディアの全幅に亘って粘着ローラを押し付けてクリーニングを行う場合、粘着ローラからメディアを剥がす際に大きな力が必要となる。そのため、箔のような薄いメディアの使用時には、粘着ローラからの引き剥がし時にメディアを破損させるおそれがある。
特許文献2に記載の技術は、そもそも接着剤層を表裏2枚のメディアで挟んだ構造のメディアが対象であるため、この構造以外のメディアに対してはクリーニング効果が期待できない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、メディアの端部を好適にクリーニングすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、長手方向に搬送される連続したメディアに付着した汚れを除去するクリーニングローラを備えるクリーニング装置であって、
前記クリーニングローラは、
前記メディアの幅方向中央部に対応する中央領域と、
前記中央領域よりも異物収集力が高く、前記メディアの幅方向端部を跨ぐように配置されるクリーニング部を有し、前記メディアの幅方向端部に対応する端部領域と、を備えるとともに、
前記中央領域及び前記端部領域のいずれもが前記メディアに接触するように、張架された前記メディアにその一方の面側から押圧されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来に比べ、メディアの端部を好適にクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す図であり、(b)クリーニングローラの平面図である。
図2図1(a)のクリーニング装置の変形例を示す図である。
図3図1(b)のクリーニングローラの変形例を示す図である。
図4】実施形態に係るクリーニング装置を箔押し装置に適用した例を示す図である。
図5図4のクリーニング装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1(a)は、本実施形態に係るクリーニング装置1の構成を示す図であり、図1(b)は、クリーニング装置1が備えるクリーニングローラ20の平面図である。
図1(a)に示すように、クリーニング装置1は、例えば画像形成装置に適用され、連続する長尺なメディア(記録媒体)Mの表面の汚れを除去する。メディアMは、例えば紙を用いることができるが、これに限定されず、箔、ラベル、フィルム、布などであってもよい。また、本実施形態において、メディアMの汚れとは、メディアMの表面に付着した異物(例えば、メディアMの切り屑、塵芥、糊等)をいう。
【0012】
具体的に、クリーニング装置1は、複数の搬送ローラ11、12と、クリーニングローラ20とを備える。ただし、クリーニング装置1は、少なくともクリーニングローラ20を備えていればよい。
複数の搬送ローラ11、12は、メディアMをその長手方向に沿った方向(搬送方向X)に搬送する。
【0013】
クリーニングローラ20は、搬送ローラ11、12間に張架されたメディアMに対し、その一方の面側から押圧されて、当該メディアMの汚れを除去する。
このクリーニングローラ20は、図1(b)に示すように、搬送方向Xと直交するメディアMの幅方向Yに沿って配設されて両端が軸支された軸部20aを有し、この軸部20aを回転中心軸として回転する。クリーニングローラ20は、メディアMの幅方向Yの中央部に対応する中央領域21と、メディアMの幅方向Yの両端部に対応する2つの端部領域22とを備える。
【0014】
このうち、中央領域21は、幅方向Yに沿って延在する円筒状に形成されている。また、中央領域21は、異物を収集する異物収集力を有していない樹脂から構成される。ただし、中央領域21は、端部領域22よりも低い異物収集力であれば、当該異物収集力を有していてもよい。
【0015】
一方、2つの端部領域22は、中央領域21の幅方向Yの両側に隙間を介して並設されている。各端部領域22は、中央領域21と略同一の外径を有する短円筒状に形成されて同心状に配置されている。
各端部領域22の外周面は、異物収集力を有するクリーニング部となっており、当該端部領域22はこの外周面がメディアMの幅方向Yの端部エッジEを跨ぐように配置されている。このようなクリーニング部としては、例えば、粘着力によりメディアM表面の汚れを吸着する粘着層を有するものが挙げられる。この場合、端部領域22は例えば粘着性のゴムである。あるいは、クリーニング部は、静電気力によりメディアM表面の汚れを吸着する帯電部を有するものであってもよい。この場合には、例えば、端部領域22(クリーニング部)が樹脂から構成され、中央領域21が金属から構成される。また、クリーニング部が粘着層と帯電部の双方を有していてもよい。
【0016】
クリーニング装置1では、このように構成されたクリーニングローラ20が、中央領域21と端部領域22のいずれもがメディアMに接触するように、張架されたメディアMにその一方の面側から押圧される。
これにより、クリーニングローラ20がメディアMをニップせずに一方の面側から押圧するため、メディアMを安定して搬送させるための複雑なローラアライメント管理が必要ない。したがって、装置構成を単純化でき、使い勝手も向上する。
また、端部領域22のクリーニング部が、張架されたメディアMの端部エッジEを跨ぐため、当該クリーニング部がメディアMに対してクリーニングに必要な押圧力を確保しつつ、クリーニング部をメディアMの端部に好適に当接させることができる。
さらに、中央領域21と端部領域22が共にメディアMに接触することにより、端部領域22(クリーニング部)によりメディアM端部のクリーニングを行いつつ、端部領域22よりも異物収集力が低い中央領域21によりメディアMを支持できる。これにより、メディアMの全幅に亘って粘着ローラを押し付ける場合と異なり、メディアMが幅方向中央に寄る事態を回避でき、皺の発生を抑制できる。ひいては、メディアM端部がクリーニング領域から外れる、クリーニング効果が発揮できない、メディアMを搬送できなくなる等の不具合を回避できる。また、メディアMの全幅に亘って粘着ローラを押し付ける場合に比べ、クリーニングローラ20からメディアMを剥がす際の力は小さくて済む。
【0017】
なお、クリーニングローラ20は複数設けてもよい。例えば図2(a)に示すように、上述のクリーニングローラ20とは搬送方向Xの位置が異なり、メディアMに他方の面側から押圧される他のクリーニングローラ20を設けてもよい。これにより、メディアMの両面をクリーニングできるため、片面のみを行う場合よりもクリーニング効果が向上する。
また、図2(b)に示すように、クリーニングローラ20の端部領域22(クリーニング部)をクリーニングするクリーニング機構30を設けてもよい。このクリーニング機構30は、例えばクリーニングローラ20と当接する粘着ローラであり、クリーニングローラ20(端部領域22)がメディアMから吸着した異物をクリーニングローラ20から回収する。
【0018】
また、クリーニングローラ20の中央領域21は、図3(a)に示すように、幅方向Yに複数に分割されていてもよい。複数の中央領域21の間には隙間が介在していてもよい。
また、クリーニングローラ20の中央領域21は、図3(b)に示すように、幅方向Y中央が太く、中央部から両端部に向かうに連れて次第に細くなるように形成されていてもよい。このように構成すれば、クリーニングしながらメディアMの皺を伸ばすことができる。
【0019】
[実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態のクリーニング装置1によれば、クリーニングローラ20が、メディアMの幅方向中央部に対応する中央領域21と、メディアMの幅方向端部に対応する端部領域22とを備えており、このうちの端部領域22が、中央領域21よりも異物収集力が高く、メディアMの幅方向端部を跨ぐように配置されるクリーニング部を有している。そして、中央領域21及び端部領域22のいずれもがメディアMに接触するように、張架されたメディアMにその一方の面側から押圧されている。
これにより、クリーニングローラ20がメディアMをニップせずに一方の面側から押圧するため、メディアMを安定して搬送させるための複雑なローラアライメント管理が必要ない。
また、端部領域22のクリーニング部が、張架されたメディアMの端部エッジEを跨ぐため、当該クリーニング部がメディアMに対してクリーニングに必要な押圧力を確保しつつ、クリーニング部をメディアMの端部に好適に当接させることができる。
また、中央領域21と端部領域22が共にメディアMに接触することにより、端部領域22(クリーニング部)によりメディアM端部のクリーニングを行いつつ、端部領域22よりも異物収集力が低い中央領域21によりメディアMを支持できる。これにより、メディアMの全幅に亘って粘着ローラを押し付ける場合と異なり、メディアMが幅方向中央に寄る事態を回避でき、ひいては皺の発生を抑制できる。さらに、メディアMの全幅に亘って粘着ローラを押し付ける場合に比べ、クリーニングローラ20からメディアMを剥がす際の力は小さくて済む。
以上より、メディアの全幅に亘って粘着ローラを押し付けたり、接着剤層を表裏で挟んだ構造のメディアのみを対象としていた従来に比べ、メディアMの端部を好適にクリーニングすることができる。
【0020】
[変形例]
続いて、本発明に係るクリーニング装置を、メディアとしての箔を転写用紙に転写する箔押し装置に適用した例について説明する。なお、上記実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4は、本変形例に係るクリーニング装置1Aの構成を示す図であり、図5は、クリーニング装置1Aの変形例を示す図である。
図4(a)に示すように、クリーニング装置1Aは、箔M2を用紙Pに転写する箔押し装置に適用され、箔M2の表面の汚れを除去する。箔M2は、連続する長尺な基材Bの一方の面に貼り付けられた状態でロール状に巻回されており、基材Bとともに繰出しローラ41から繰り出されて巻取りローラ42に巻き取られるように配設され、これらの間に張架されている。箔M2が転写される用紙Pは、繰出しローラ41と巻取りローラ42の間に張架された基材B上の箔M2と対向するように、搬送ベルト43により搬送される。
繰出しローラ41と巻取りローラ42の間には、上下に移動可能な箔押しローラ44が配置されている。箔押しローラ44は、図4(b)に示すように、上下に移動することにより、繰出しローラ41と巻取りローラ42の間に張架された基材B上の箔M2を、その下方に配置された固定ローラ45との間で用紙Pに押し付けて転写する。
【0021】
クリーニング装置1Aでは、上記実施形態と同様に構成されたクリーニングローラ20が、繰出しローラ41と箔押しローラ44の間に配置され、基材Bに対して箔M2の転写面側(図4では下側)から押圧される。そして、クリーニングローラ20は、用紙Pへの転写前における基材B上の箔M2の汚れを除去する。
これにより、箔M2のロール端の汚れを転写前に除去し、この汚れが用紙Pに付着することを防ぐことができる。すなわち、箔M2のような薄いメディアに対しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、図5に示すように、上述のクリーニングローラ20とは搬送方向Xの位置が異なり、基材Bに対して箔M2の転写面とは反対側から押圧される他のクリーニングローラ20を設けてもよい。これにより、基材Bの両面をクリーニングできるため、片面のみを行う場合よりもクリーニング効果が向上する。
【0023】
[その他]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態及びその変形例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0024】
例えば、上記実施形態及びその変形例では、本発明に係るクリーニング装置を画像形成装置や箔押し装置に適用することとしたが、本発明は、連続したメディアを長手方向に搬送する装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1、1A クリーニング装置
20 クリーニングローラ
21 中央領域
22 端部領域
30 クリーニング機構
M メディア
E 端部エッジ
M2 箔
B 基材
P 用紙
X 搬送方向
Y 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5