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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/04 20220101AFI20231205BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20231205BHJP
【FI】
H04L51/04
G06F21/60 360
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020018721
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021125018
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】依田 善之
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-006583(JP,A)
【文献】特開2018-200602(JP,A)
【文献】米国特許第9185184(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/04
G06F 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数のユーザ間で、会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合、当該サービスの情報に対して登録されているユーザ情報を取得し、
取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を抑制する
情報処理装置。
【請求項2】
前記メモリは、他のユーザとの間で会話情報を送受信する各ユーザの個人を特定する情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記外部のサービスの情報に対して登録されているユーザ情報と、前記メモリに記憶されている個人を特定する情報とが一致しない場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メモリは、他のユーザとの間で会話情報を送受信する各ユーザの個人を特定する情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記外部のサービスの情報に対して登録されているユーザ情報と、前記メモリに記憶されている個人を特定する情報のうちの少なくとも一部が一致した場合、前記会話情報の送信を抑制する
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報が、本名登録が前提となっている外部のソーシャルネットワーキングサービスのアカウント情報である場合、当該アカウント情報に対して登録されているユーザ情報を取得せずに、当該会話情報の送信を抑制する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報に対して登録されているユーザ情報の文字列が、前記メモリに記憶されている当該ユーザの氏名を表している場合、当該会話情報の送信を抑制する請求項3記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報が、外部のソーシャルネットワーキングサービスのアカウント情報であり、前記ソーシャルネットワーキングサービスの情報の公開範囲設定が非公開の状態の場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を中止するか否かを当該ユーザに問い合わせ、そのまま送信を実行する旨が入力された場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1から6のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数のユーザ間で、会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合、当該サービスの情報に対して登録されているユーザ情報を取得するステップと、
取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を抑制するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、相手の会話の内容を単語又は文節として切り出し、危険類型を識別するための危険キーワードと比較することにより、その会話がいずれかの危険類型の会話であるか否かを判定する不審会話検出装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ユーザの投稿文から、そのユーザのプロフィール項目をできる限り正確に推定することができるようにした投稿者分析装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ユーザ端末から送信されたチャットデータが個人情報に関する内容を含むことを検出した場合に、当該チャットデータに対して所定のフィルタ処理を実行するようにしたデータ転送方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-139864号公報
【文献】特開2016-181062号公報
【文献】特開2018-200602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、複数のユーザ間で会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合でも、個人を特定する情報の漏洩の恐れを抑止しつつ外部のサービスの情報が含まれた会話情報の送信を可能とする情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[情報処理装置]
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数のユーザ間で、会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合、当該サービスの情報に対して登録されているユーザ情報を取得し、
取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を抑制する情報処理装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記メモリが、他のユーザとの間で会話情報を送受信する各ユーザの個人を特定する情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記外部のサービスの情報に対して登録されているユーザ情報と、前記メモリに記憶されている個人を特定する情報とが一致しない場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記メモリが、他のユーザとの間で会話情報を送受信する各ユーザの個人を特定する情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記外部のサービスの情報に対して登録されているユーザ情報と、前記メモリに記憶されている個人を特定する情報のうちの少なくとも一部が一致した場合、前記会話情報の送信を抑制する
請求項1又は2記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサが、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報が、本名登録が前提となっている外部のソーシャルネットワーキングサービスのアカウント情報である場合、当該アカウント情報に対して登録されているユーザ情報を取得せずに、当該会話情報の送信を抑制する請求項1記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサが、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報に対して登録されているユーザ情報の文字列が、前記メモリに記憶されている当該ユーザの氏名を表している場合、当該会話情報の送信を抑制する請求項3記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサが、送信しようとする会話情報に含まれている前記サービスの情報が、外部のソーシャルネットワーキングサービスのアカウント情報であり、前記ソーシャルネットワーキングサービスの情報の公開範囲設定が非公開の状態の場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記プロセッサが、取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を中止するか否かを当該ユーザに問い合わせ、そのまま送信を実行する旨が入力された場合、当該会話情報を指定された送信相手に送信する請求項1から6のいずれか記載の情報処理装置である。
【0014】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、複数のユーザ間で、会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合、当該サービスの情報に対して登録されているユーザ情報を取得するステップと、
取得したユーザ情報に当該ユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、当該会話情報の送信を抑制するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、複数のユーザ間で会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合でも、個人を特定する情報の漏洩の恐れを抑止しつつ外部のサービスの情報が含まれた会話情報の送信を可能とする情報処理装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明によれば、記憶されている各ユーザの個人を特定する情報に基づいて、送信しようとする会話情報に含まれている外部サービスの情報に個人を特定する情報が登録されているか否かを判定することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明によれば、記憶されている各ユーザの個人情を特定する報に基づいて、送信しようとする会話情報に含まれている外部サービスの情報に個人を特定する情報が登録されているか否かを判定することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によれば、個人を特定する情報が登録されている可能性が高い外部サービスの情報については、その外部サービスの情報に個人を特定する情報が登録されているか否かの確認処理を省略することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によれば、外部サービスの情報が個人を特定する情報を含むものである場合に、その個人を特定する情報の漏洩の恐れを防止することができる。
【0020】
請求項6に係る本発明によれば、外部サービスの情報に個人を特定する情報が登録されているか否かの確認処理を省略することができる。
【0021】
請求項7に係る本発明によれば、会話情報に含まれる外部サービスの情報に個人を特定する情報が登録されている場合でも、ユーザの意志によりその会話情報をそのまま送信相手に送信することができる。
【0022】
請求項8に係る本発明によれば、複数のユーザ間で会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のサービスの情報が含まれている場合でも、個人を特定する情報の漏洩の恐れを抑止しつつ外部のサービスの情報が含まれた会話情報の送信を可能とするプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態のマッチングシステムのシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態におけるマッチングサービス提供サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態におけるマッチングサービス提供サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図4図3に示したユーザ情報格納部36に登録されているユーザ情報の一例を示す図である。
図5】チャット処理制御部31による、個人を特定する情報の有無の判定例を示す図である。
図6図3に示した確認結果記憶部32に記憶される確認結果の一例を示す図である。
図7】ユーザIDのみで個人を特定する情報の有無を判定する場合の具体例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態のマッチングサービス提供サーバ10の動作を示すフローチャートである。
図9】マッチングサービス提供サーバ10における動作の概略を説明するための図である。
図10】チャット相手への送信が中止された際のユーザBの端末装置22における表示画面例を示す図である。
図11】会話情報の送信を中止するか否かをユーザに問い合わせるようにした場合の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態のマッチングシステムのシステム構成を示す図である。
【0026】
本発明の一実施形態のマッチングシステムは、図1に示されるように、マッチングサービス提供サーバ10が、端末装置21、22とインターネット30を介して接続された構成となっている。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、ユーザAにより操作される端末装置21、ユーザBにより操作される端末装置22という2台のみが示されているが、実際には数多くの端末装置がインターネット30を介してマッチング提供サーバ10と接続されている。
【0027】
ここで、端末装置22は、スマートフォン等の携帯端末であり、無線LANターミナル50を介してインターネット30に接続している。また、インターネット30には、外部SNSサーバ40が接続されている。
【0028】
外部SNSサーバ40は、マッチングサービス以外の外部のソーシャルネットワーキングサービス(SNSと略す。)により運用されているサーバである。ここで、外部SNSには、例えば、ツイッター(登録商標)、ライン(登録商標)、フェイスブック(登録商標)等の各種SNSが含まれる。
【0029】
なお、本実施形態では、説明を簡単にするために1台の外部SNSサーバ40のみを示して説明するが、実際には数多くのSNSサーバがインターネット30に接続されている。
【0030】
マッチングサービス提供サーバ10は、予め登録された複数のユーザに対して、交際相手や結婚相手となる異性を探すようなマッチングサービスを提供している情報処理装置である。このようなマッチングサービスは、登録された数多くの異性のプロフィールを閲覧して、趣味や条件に合致する異性を探すことを目的としている。
【0031】
近年、交際相手や結婚相手を探すようなマッチングサービスが広く利用されるようになっている。そして、このようなマッチングサービスでは、気になったユーザにメッセージ送信要求を送り、相手のユーザがメッセージ送信要求を承認すると2人のユーザ間で会話情報を相互に送受信することができるようなマッチング状態となる。このように、メッセージ送信要求を送り、相手ユーザが承認した場合に会話情報を送受信できるように制御してもよいし、メッセージ送信要求を送らずとも、会話情報を送受信できるようなサービスを想定してもよい。
【0032】
また、上述の形態のようなマッチングサービスに限定されず、ジョブマッチングなど、希望条件にマッチした職種を探し、採用担当者と求職者をマッチングするようなサービスであってもよい。
【0033】
そして、マッチング状態となった2人のユーザは、実際に会う前に、会話情報を相互に送受信して対話を行うチャットを行うことができるようになっている。
【0034】
このようにして行われるチャットにおいて、送信しようとする会話情報に、現在利用しているマッチングサービスとは異なる外部のSNS(Social Networking Serviceの略。)のアドレス情報を含めて相手に送信しようとする場合がある。
【0035】
しかし、このような外部のSNSのハンドルネームや、自己紹介文等にそのユーザの本名、住所又は居住地域、電話番号、メールアドレス、学校名、会社名等の情報を記載していた場合、相手のユーザにこれらのように、見知らぬユーザが当該情報にアクセスした場合に個人が一意に定まるおそれのある情報であるような、個人を特定する情報が漏洩してしまうことになる。
【0036】
そのため、マッチングサービス上におけるチャットで会話情報を送り合う際に、外部のSNSのアカウント情報が含まれる場合、その会話内容を相手に送信することができないようにするようなことが考えらえる。
【0037】
しかし、このような外部のSNSを匿名や、個人が一意に定まるおそれのないようなハンドルネームを使用して運用しているような場合、その外部のSNSのアカウント情報をチャット上の相手に送信したとしても、個人を特定する情報が漏洩する心配はない。
【0038】
このような場合にまで、SNSのアカウント情報が含まれたチャットの会話内容の送信を一律禁止するようにしたのでは、マッチング状態となった相手との間でSNSを利用したコミュニケーションを行うことができないため、利便性が損なわれることになる。
【0039】
そこで、本実施形態のマッチングサービス提供サーバ10により提供されるマッチングサービスでは、下記で説明するような処理を行うようにすることにより、複数のユーザ間で会話情報を送受信する際に、送信しようとする会話情報に外部のSNSのアカウント情報のような個人を特定する情報が含まれている場合でも、個人を特定する情報の漏洩の恐れを抑止しつつアカウント情報が含まれた会話情報の送信を可能とするようにしている。
【0040】
次に、本実施形態のマッチングシステムにおけるマッチングサービス提供サーバ10のハードウェア構成を図2に示す。
【0041】
マッチングサービス提供サーバ10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0042】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、マッチングサービス提供サーバ10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0043】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現されるマッチングサービス提供サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
【0044】
本実施形態のマッチングサービス提供サーバ10は、図3に示されるように、チャット処理制御部31と、確認結果記憶部32と、データ送受信部33と、書き込み内容解析処理部34と、外部SNS情報取得部35と、ユーザ情報格納部36とを備えている。なお、図3では、マッチングサービスのうちのマッチング状態となったユーザ間においてチャットを行うための機能構成のみを示して説明を行う。
【0045】
データ送受信部33は、インターネット30を介して端末装置21、22や外部SNSサーバ40との間でデータの送受信を行っている。
【0046】
チャット処理制御部31は、ユーザ間におけるチャット処理を制御しており、具体的には一方のユーザからの会話情報を他方のユーザに送信したり、他方のユーザからの会話情報を一方のユーザに送信したりする制御を行っている。
【0047】
ユーザ情報格納部36は、マッチングサービスに登録されている氏名、住所等の各ユーザの個人を特定する情報が格納されている。つまり、他のユーザとの間で会話情報を送受信してチャットを行う各ユーザの個人を特定する情報はユーザ情報格納部36に記憶されていることになる。
【0048】
このユーザ情報格納部36に登録されているユーザ情報の一例を図4に示す。図4を参照すると、マッチングサービスに登録された各ユーザの、ユーザID、氏名、住所、電話番号、性別、年齢等の各種個人を特定する情報がユーザ情報として登録されているのが分かる。なお、図4では、ユーザ情報の一部のみが示されており、所属する学校名、企業名、最終学歴、卒業学校名、保有する資格名、生年月日、概略年収、家族構成等の様々な情報をユーザ情報として登録することも可能である。なお、図4に示されたユーザIDは、マッチングサービスにおけるユーザの識別情報である。
【0049】
書き込み内容解析処理部34は、チャット処理制御部31によりチャット相手に送信しようとする会話情報の解析処理を行っている。そして、書き込み内容解析処理部34は、複数のユーザ間で会話情報を送受信するチャットが行われる際に、チャット相手に送信しようとする会話情報を解析して外部のSNSのアカウント情報が含まれているか否かを判定している。
【0050】
具体的には、書き込み内容解析処理部34は、チャット相手に送信しようとする会話情報の構文解析を行って、会話内容に外部SNSのアカウント情報が含まれているか否かを判定している。例えば、書き込み内容解析処理部34は、「〇〇〇」というSNSが存在する場合、「私の〇〇〇のアカウントは、abc123456です。」という会話内容や、「私の〇〇〇IDは、abc123456です。」という会話内容における「abc123456」という文字列は「〇〇〇」というSNSのアカウント情報であると判定する。
【0051】
ここで、外部SNSのアカウント情報には、外部のSNSにおけるユーザIDやユーザ名、外部のSNSのユーザページにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locatorの略)情報が含まれる。また、このようなユーザIDやユーザ名、URL情報を、QRコード(登録商標)等の2次元コード等のコードとして表現した画像も、外部SNSのアカウント情報に含まれる。
【0052】
具体的には、半角英数字により構成されたユーザIDや、「@yamada taro」というようなユーザ名や、「https://www.facebook.com/profile.php id=123456789」というようなURLが、外部SNSのアカウント情報であると書き込み内容解析処理部34により判定される。
【0053】
外部SNS情報取得部35は、書き込み内容解析処理部34による解析処理において、チャット相手に送信しようとする会話情報に外部のSNSのアカウント情報が含まれている場合、そのアカウント情報を用いて外部SNSサーバ40にアクセスして、そのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報を取得する。
【0054】
具体的には、外部SNS情報取得部35は、そのアカウント情報に対して登録されているユーザ名、住所、居住地、職業、学校名、会社名、および過去の書き込み内容の情報等の各種ユーザ情報を取得する。
【0055】
そして、チャット処理制御部31は、外部SNS情報取得部35により取得されたユーザ情報に、そのユーザの個人を特定する情報が含まれている場合、チャット相手に送信しようとしていた会話情報の送信を抑制する。具体的には、チャット処理制御部31は、外部のSNSのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報と、ユーザ情報格納部36に記憶されている個人を特定する情報のうちの少なくとも一部が一致した場合、チャット相手に送信しようとしていた会話情報の送信を抑制する。
【0056】
なお、他人に漏洩した場合に問題となる個人を特定する情報としては、氏名、住所、電話番号、学校名、会社名等の情報が重要な情報となるため、会話情報の送信の可否判定に使用する個人を特定する情報の種類を情報の種類に応じて制限するようにしても良い。例えば、趣味、年齢、特技等の情報については個人を特定する情報の有無の判定には使用しないようにすることも可能である。
【0057】
このチャット処理制御部31による、個人を特定する情報の有無の判定例を図5に示す。
【0058】
図5では、外部SNSにおけるユーザIDが「abc123456」である場合の一例が示されている。そして、この外部SNSにおけるユーザIDが「abc123456」のユーザのプロファイルが、「氏名:山田 花子、居住地:東京、職業:会社員、趣味:音楽」であったものとして説明する。ここで、このユーザIDを送信しようとしたユーザの自システム内におけるユーザ情報が、氏名=「山田 花子」、住所=「東京都港区〇〇 1-2-3」、電話番号=「0312345678」、性別=「女性」、年齢=「28」であったものとして説明する。
【0059】
このような場合、チャット処理制御部31は、自システム内において登録されている氏名=「山田 花子」というユーザ情報が、外部SNSのアカウント情報「abc123456」に対して登録されている「氏名:山田 花子」という情報と一致するため、外部のSNSのアカウント「abc123456」には個人を特定する情報が含まれていると判定する。
【0060】
なお、チャット処理制御部31は、外部のSNSのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報と、ユーザ情報格納部36に記憶されている個人を特定する情報のうちのいずれもが一致しない場合、その会話情報を指定された送信相手に送信する。
【0061】
そして、チャット処理制御部31は、外部のSNSのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報に、そのユーザの個人を特定する情報が含まれているか否かの確認結果を確認結果記憶部32に記憶させる。
【0062】
そのため、チャット処理制御部31は、チャット相手に送信しようとする会話情報に、確認結果が確認結果記憶部32に記憶されているアカウント情報が含まれている場合、記憶されている確認結果に基づいて、その会話情報の送信を抑制するか否かを判定する。
【0063】
この図3に示した確認結果記憶部32に記憶される確認結果の一例を図6に示す。
【0064】
この図6に示した確認結果例では、マッチングサービスにおけるユーザID、外部SNS名、個人を特定する情報の有無を確認した外部SNSのアカウント、その確認結果、確認時刻とが対応付けて記憶されているのが分かる。
【0065】
なお、確認結果が記憶されてから時間が経過した場合、その外部SNSのアカウントに対して個人を特定する情報が掲載されてしまい、個人を特定する情報が登録されているにもかかわらず個人を特定する情報は登録されていないという誤判定をしてしまう可能性がある。そのため、チャット処理制御部31は、確認時刻を参照して、個人を特定する情報の有無を確認してから予め設定された時間が経過した場合、例えば、1時間が経過した場合には、外部SNS情報取得部35によりそのアカウント情報に個人を特定する情報が掲載されていないかを再確認して、掲載情報の差分を取得して新たに個人を特定する情報が掲載されていないかチェックする。
【0066】
なお、チャット処理制御部31は、チャット相手に送信しようとする会話情報に含まれているアカウント情報が、本名登録が前提となっている外部のSNSのアカウント情報である場合、そのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報を外部SNS情報取得部35に取得させずに、その会話情報の送信を抑制する。
【0067】
例えば、チャット処理制御部31は、チャットの会話情報に書き込まれた外部SNSのURLのドメイン情報から、外部SNSを特定し、特定された外部SNSが本名登録を推奨するフェースブック(登録商標)であった場合、外部SNSを特定した時点でチャット相手に会話情報を転送することを禁止する。ただし、特定された外部SNSが、例えば匿名での登録が行われているようなツイッター(登録商標)の場合には、外部SNSを特定しただけでは個人を特定する情報の登録の有無を判定することができないため、チャット処理制御部31は、外部SNS情報取得部35に対して外部SNSサーバ40にアクセスするような制御を行って、個人を特定する情報の登録の有無を判定する。
【0068】
また、チャット処理制御部31は、チャット相手に送信しようとする会話情報に含まれているアカウント情報に対して登録されているユーザ情報の文字列が、ユーザ情報格納部36に記憶されているユーザの氏名を表している場合にも、そのアカウント情報に対して登録されているユーザ情報を外部SNS情報取得部35に取得させずに、その会話情報の送信を抑制する。
【0069】
このようにユーザIDのみで個人を特定する情報の有無を判定する場合の具体例を図7に示す。
【0070】
図7では、例えば、外部SNSにおけるユーザIDが「YAMADA 1234」という文字列であった場合について説明をする。そして、このユーザの自システム内において登録されているユーザ情報が氏名=「山田 太郎」であった場合、「山田 太郎」をローマ字に変換した文字列「YAMADA TARO」の一部が、外部SNSにおけるユーザID「YAMADA 1234」という文字列と一致する。
【0071】
そのため、チャット処理制御部31は、この外部SNSにおけるユーザID「YAMADA 1234」には個人を特定する情報が含まれていると判定して、このユーザIDを含む会話情報をチャット相手に送信することを抑制する。
【0072】
なお、ここではユーザの氏名のうち姓の部分のみが一致する場合を用いて説明するが、姓名のうちの名のみが一致する場合でも同様の判定が行われる。また、ここではユーザの氏名をローマ字変換して判定を行う場合について説明したが、一般的に用いられているあいまい検索の近似文字列検索アルゴリズムを用いて、漢字・カタカナ・平仮名を同一内容の文字であると見做した検索を行った方がより精度の高い判定を行うことができる。
【0073】
なお、チャット処理制御部31は、チャット相手に送信しようとする会話情報に含まれているアカウント情報の外部のSNSの情報の公開範囲設定が非公開の状態の場合、個人を特定する情報の恐れは無いと判定して、その会話情報を指定された送信相手に送信する。こで、非公開状態とは、完全に自身のみにしか情報を公開しないという状態に加え、自身が友人となっている友人アカウントのみにしか情報を公開しないという状態を含んでもよい。また、自身が友人となっている者の友人までのみ情報を公開するという状態を含んでいてもよいし自身が友人となっている者の友人までのみ情報を公開するという状態は、非公開状態ではなく公開状態として扱ってもよい。
【0074】
ここで、チャット処理制御部31は、チャット送信相手に送信しようとする会話情報の送信を抑制することには、単にその会話情報のチャット相手への送信を中止することだけでなく、一旦送信を中止して、その会話情報の送信を中止するか否かをユーザに問い合わせ、そのまま送信を実行する旨が入力された場合、その会話情報を指定された送信相手に送信するような場合も含まれる。また、送信しようとしたアカウント情報に、個人を特定する情報が記載されている可能性がある旨を表示したり、当該アカウントの公開範囲や、アカウント名を変更するような内容を表示したりしても良い。
【0075】
次に、本実施形態のマッチングサービス提供サーバ10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
まず、図8のフローチャートを参照して本実施形態のマッチングサービス提供サーバ10の動作について説明する。
【0077】
あるユーザ間で会話情報を相互に送受信するチャットが行われている場合、一方のユーザから他方のユーザに対して会話情報を送信する指示が行われた場合、書き込み内容解析処理部34は、ステップS101において、そのチャットの書き込み内容から外部SNSのアカウント情報を抽出する。
【0078】
そして、チャット処理制御部31は、ステップS102において、会話内容から外部SNSのアカウント情報が抽出されたか否かを判定する。
【0079】
ステップS102において、会話内容から外部SNSのアカウント情報が抽出されなかったと判定された場合、チャット処理制御部31は、ステップS108において、書き込まれた会話内容をチャット相手にそのまま送信する。
【0080】
また、ステップS102において、会話内容から外部SNSのアカウント情報が抽出されたと判定された場合、チャット処理制御部31は、ステップS103において、確認結果記憶部32における過去の確認結果の情報を参照して、そのアカウント情報には個人を特定する情報が登録されないことが確認済みであるか否かを判定する。
【0081】
ステップS103において、その外部SNSのアカウント情報に対する過去の確認結果が「個人を特定する情報なし」であった場合、チャット処理制御部31は、ステップS108において、書き込まれた会話内容をチャット相手にそのまま送信する。
【0082】
また、ステップS103において、その外部SNSのアカウント情報に対する過去の確認結果が存在しなかった場合、チャット処理制御部31は、ステップS104において、外部SNS情報取得部35を制御することにより外部SNSサーバ40にアクセスして登録されているユーザ情報を取得する。
【0083】
次に、チャット処理制御部31は、ステップS105において、取得した外部SNSに登録されているユーザ情報と、自システム内において登録されている個人を特定する情報との一致判定を実行する。
【0084】
そして、チャット処理制御部31は、ステップS106において、取得した外部SNSに登録されているユーザ情報と、自システム内において登録されている個人を特定する情報とが一致するか否かを判定する。
【0085】
ステップS106において、取得した外部SNSに登録されているユーザ情報と、自システム内において登録されている個人を特定する情報とが一致しない場合、チャット処理制御部31は、ステップS108において、書き込まれた会話内容をチャット相手にそのまま送信する。
【0086】
そして、ステップS106において、取得した外部SNSに登録されているユーザ情報と、自システム内において登録されている個人を特定する情報とが一致しない場合、チャット処理制御部31は、ステップS107において、書き込まれた会話内容のチャット相手への送信を中止する。
【0087】
この上記のフローチャートにおいて示したマッチングサービス提供サーバ10における動作の概略について図9を参照して説明する。
【0088】
この図9では、ユーザBが端末装置22から「私の〇〇〇IDは、abc123456です。」という会話内容をチャット相手であるユーザAに送信しようとした場合が示されている。
【0089】
(1)ユーザBがチャット相手であるユーザAに「私の〇〇〇IDは、abc123456です。」という会話内容を送信しようとすると、この会話情報はマッチングサービス提供サーバ10に送信される。
【0090】
(2)すると、マッチングサービス提供サーバ10では、この会話情報に「abc123456」という外部SNSのアカウント情報が含まれていると判定して、外部SNSサーバ40にアクセスして、「abc123456」というユーザIDに登録されているプロファイル内容、過去の書き込み情報等の各種ユーザ情報を取得する。
【0091】
(3)そして、マッチングサービス提供サーバ10では、外部SNSサーバ40から取得したユーザ情報に、そのユーザの個人を特定する情報が含まれているか否かを上記で説明したような方法により判定し、個人を特定する情報が含まれていると判定した場合、その会話内容をチャット相手であるユーザAに送信することを中止する。
【0092】
このようにして、チャット相手への送信が中止された際のユーザBの端末装置22における表示画面例を図10に示す。
【0093】
図10を参照すると、ユーザBがユーザAに送信しようとした「私の〇〇〇IDは、abc123456です。」という会話情報は、破線により示されており未送信であることが分かるような表示となっている。
【0094】
そして、その下に「会話内容に、個人を特定する情報が漏洩する危険がある外部のSNSのアカウント情報が含まれていますので、送信を中止します。」という文字が表示され、ユーザBに送信しようとした会話情報の送信が中止された旨が示されているのが分かる。また、当該アカウントの公開範囲の変更や、アカウント名の変更を薦める旨を表示しても良い。
【0095】
なお、このような場合に会話情報の送信を一律に中止するのではなく、ユーザに中止するか否かを問い合わせるようにした場合の表示画面例を図11に示す。
【0096】
図11に示した表示画面例では、ユーザBがユーザAに送信しようとした「私の〇〇〇IDは、abc123456です。」という会話情報が未送信であることが分かるように表示されているのは図10と同様だが、「会話内容に、個人を特定する情報が漏洩する危険がある外部のSNSのアカウント情報が含まれています。このまま送信を行いますか?」という表示が行われているのが分かる。そして、ユーザBが、「送信する」を選択した場合、この会話情報はそのままユーザAに送信され、「やめる」を選択した場合には、この会話情報のユーザAへの送信は中止される。
【0097】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0098】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、マッチングサービス内において提供されるチャット機能に対して本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、会話情報を複数のユーザ間において送受信するようなサービスであれば本発明を同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 マッチングサービス提供サーバ
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 制御バス
21、22 端末装置
30 インターネット
31 チャット処理制御部
32 確認結果記憶部
33 データ送受信部
34 書き込み内容解析処理部
35 外部SNS情報取得部
36 ユーザ情報格納部
40 外部SNSサーバ
50 無線LANターミナル
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10
図11