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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】折り畳み式陳列具
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/11 20060101AFI20231205BHJP
   A47F 5/12 20060101ALI20231205BHJP
   A47F 5/10 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/12
A47F5/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020021933
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021126253
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186898(JP,A)
【文献】特開2017-064042(JP,A)
【文献】実開平01-105546(JP,U)
【文献】実開昭62-141370(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00 - 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状になっている本体と,商品の収納空間を形成する少なくとも一つの棚体から構成され,前記本体は,上下方向に延びるヒンジ線を加工した折り畳み片と側壁片を奥行方向に連設させた本体側板と,上下方向に回動自在な前板回動片と上縁で連設し,前記側壁片と左右両縁で連設している前記棚体ごとの本体前板と,前記折り畳み片と左右両縁で連設している本体背板を備え,前記棚体は,上下方向に回動自在な棚体回動片と手前縁で連設している棚体底板と,棚体当接片と上縁で連設している棚体背板を備え,
前記折り畳み片と前記側壁片の境に折り筋を加工することで,前記折り畳み片のみが前記ヒンジ線に沿って折り畳み可能になっており,前記棚体回動片と前記前板回動片を糊付けし,かつ,前記棚体背板の上下方向の長さを,折り畳んでいない状態の前記本体側板の奥行方向の長さより長くすることで,前記折り畳み片を折り畳んでいないとき,前記棚体当接片が前記本体背板に当接するように前記棚体背板を傾けた状態で,前記本体に前記棚体を収納でき,前記棚体底板の奥行方向の長さを,前記側壁片の奥行方向の長さよりも短くすることで,前記折り畳み片を折り畳んだとき,前記棚体背板と前記本体背板が対向する状態で,前記本体に前記棚体を収納できるようにしたこと,
を特徴とする折り畳み式陳列具。
【請求項2】
前記折り畳み片を折り畳んだ状態で前記本体背板と重なる本体内背板を備え,前記棚体が有する前記棚体当接片を前記本体内背板に糊付けしたことを特徴とする,請求項1に記載した折り畳み式陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,小売店などの物販店で商品を陳列するときに用いる陳列具に関し,更に詳しくは,商品棚とは別に陳列スペースを設けるための陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
商品棚とは別に陳列スペースを設けるための陳列具には,段ボールなどの厚紙を素材に用いた折り畳み式の陳列具が以前より用いられている。例えば,特許文献1,2では,側板に設けたヒンジを利用して折り畳み可能に構成された厚紙製陳列台が開示されている。
【0003】
特許文献1で開示された厚紙製陳列台は,ヒンジに沿って山折りに側板を屈曲させると,棚体底板が開口部から突出して,後板又は前板の外面に接近する方向へ揺動した折り畳み状態となり,また折り畳み状態で対向する側板のヒンジの近傍を内側へ押すと,側板の折り曲げが伸びて,棚体底板が開口部から枠体の内部に挿入される方向へスライドし,棚の先端部が開口部の端縁に支持された組立状態となる。
【0004】
また,特許文献2で開示された折り畳み式陳列具は,スリーブ状の枠体に複数段の棚を備え,枠体は,各段の棚の上方で開放された前板,それぞれ対向する側板及び後板から形成され,各段の棚が前板に揺動自在に繋がり,それぞれ対向する側板に奥行方向の中間部で上下方向に延びるヒンジ線が設けられている。また,特許文献2で開示された折り畳み式陳列具では,各段の棚の後端部が後板の内面に重なる内後板により連結され,折り畳み状態と組み立て状態との変換に際し,内後板が後板の内面に沿って枠体に対して昇降し,これに伴い,各段の棚が一斉に揺動する棚連動機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2017/043102号公報
【文献】特開2018-7816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,特許文献1,2で開示された厚紙陳列台は,平らに折り畳めるが,陳列する商品を棚に収納した状態で折り畳めるように構成されていない。
【0007】
レジスターの横に吊り下げて使用する吊り下げ陳列具(ハンガー陳列具)など,商品棚とは別に陳列スペースを設けるために利用され厚紙が用いられた折り畳み式の陳列具は,小売店などの物販店が購入するものではなく,折り畳み式の陳列具に収納する商品の製造メーカが物販店に提供することが多い。
【0008】
折り畳み式の陳列具を,陳列する商品を収納した状態で折り畳めるようにできれば,メーカ側では,折り畳み式の陳列具とこれに収納する商品の配送コストが安くなり,更に,物販店側では,折り畳み式の陳列具に商品を収納する作業が不必要になる。
【0009】
そこで,本発明は,陳列する商品を棚に収納できる状態で折り畳めるように構成した折り畳み式陳列具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1発明は,枠状になっている本体と,商品の収納空間を形成する少なくとも一つの棚体から構成され,前記本体は,上下方向に延びるヒンジ線を加工した折り畳み片と側壁片を奥行方向に連設させた本体側板と,上下方向に回動自在な前板回動片と上縁で連設し,前記側壁片と左右両縁で連設している前記棚体ごとの本体前板と,前記折り畳み片と左右両縁で連設している本体背板を備え,前記棚体は,上下方向に回動自在な棚体回動片と手前縁で連設している棚体底板と,棚体当接片と上縁で連設している棚体背板を備え,
前記折り畳み片と前記側壁片の境に折り筋を加工することで,前記折り畳み片のみが前記ヒンジ線に沿って折り畳み可能になっており,前記棚体回動片と前記前板回動片を糊付けし,かつ,前記棚体背板の上下方向の長さを,折り畳んでいない状態の前記本体側板の奥行方向の長さより長くすることで,前記折り畳み片を折り畳んでいないとき,前記棚体当接片が前記本体背板に当接するように前記棚体背板を傾けた状態で,前記本体に前記棚体を収納でき,前記棚体底板の奥行方向の長さを,前記側壁片の奥行方向の長さよりも短くすることで,前記折り畳み片を折り畳んだとき,前記棚体背板と前記本体背板が対向する状態で,前記本体に前記棚体を収納できるようにしたことを特徴とする折り畳み式陳列具である。
【0011】
第1発明に係る折り畳み式陳列具は,商品の収納空間を形成する棚体を折り畳むことなく,折り畳み状態にできるように構成されている。
【0012】
更に,第2発明は,前記折り畳み片を折り畳んだ状態で前記本体背板と重なる本体内背板を備え,前記棚体が有する前記棚体当接片を前記本体内背板に糊付けしたことを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る折り畳み式陳列具は,折り畳み状態から展開状態にする作業負荷を減らすべく,一回の作業で,すべの前記棚体を前記本体背板の側に傾けることができるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
このように,本発明によれば,陳列する商品を棚に収納できる状態で折り畳めるように構成した折り畳み式陳列具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】展開した状態の折り畳み式陳列具の斜視図。
図2】折り畳み状態の折り畳み式陳列具の斜視図。
図3】折り畳み式陳列具の展開途中の状態を説明する図。
図4】折り畳み式陳列具が備える本体を説明する図。
図5】本体が備える本体背板を説明する図。
図6】本体が備える本体側板を説明する図。
図7】本体が備える本体前板を説明する図。
図8】折り畳み式陳列具が備える棚体を説明する図。
図9】本体の本体前板と棚体の組み立て状態を説明する図。
図10】本体用ブランクの一例を説明する図。
図11】棚体用ブランクの一例を説明する図。
図12】変形例に係る折り畳み式陳列具の斜視図。
図13】変形例に係る折り畳み式陳列具が備える本体内背板を説明する図。
図14】変形例に係る折り畳み式陳列具の折り畳み状態を説明する図。
図15】変形例に係る折り畳み式陳列具の展開途中の状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここから,本発明に係る実施形態について記載する。本実施形態は,本発明の理解を容易にするためのものであり,本発明は,本実施形態に限定されるものではない。また,特に断りのない限り,図面は,本発明の理解を容易にするために描かれた模式的な図である。
【0017】
図1は,展開した状態の折り畳み式陳列具1の斜視図で,図2は,折り畳み状態の折り畳み式陳列具1の斜視図である。
【0018】
図1などで図示したように,本実施形態に係る折り畳み式陳列具1は,枠状になっている本体2と,商品の収納空間を形成する少なくとも一つの棚体3から3構成される。本体2は,上下方向に延びるヒンジ線212を加工した折り畳み片211と側壁片210を奥行方向に連設させた本体側板21と,上下方向に回動自在な前板回動片200と上縁で連設し,側壁片210と左右両縁で連設している棚体3ごとの本体前板20と,本体側板21と左右両縁で連設している本体背板22を備える。棚体3は,上下方向に回動自在な棚体回動片300と手前縁で連設している棚体底板30と,棚体当接片310と上縁で連設している棚体背板31を備える。
【0019】
本実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,折り畳み片211と側壁片210の境に側壁片折り筋213を加工することで,折り畳み片211のみがヒンジ線212に沿って折り畳み可能になっている。
【0020】
更に,本実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,棚体回動片300と前板回動片200を糊付けし,かつ,棚体背板31の上下方向の長さを,折り畳んでいない状態の本体側板21の奥行方向の長さより長くすることで,折り畳み片211を折り畳んでいないとき,棚体当接片310が本体背板22に当接するように棚体背板31を本体背板22の側に傾けた状態で,本体2に棚体3を収納できるようにしている。また,本実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,棚体底板30の奥行方向の長さを,側壁片210の奥行方向の長さよりも短くすることで,折り畳み片211を折り畳んだとき,棚体背板31と本体背板22が対向する状態で,本体2に棚体3を収納できるようにしている。
【0021】
図1で図示したように,折り畳み片211を折り畳んでいない状態である展開状態の折り畳み式陳列具1において,本体2の本体側板21が有する折り畳み片211は,ヒンジ線212が谷折りされておらず,本体側板21は,平らな状態になっている。
【0022】
本実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,棚体3が備える棚体底板30,棚体側板32および棚体背板31により囲まれる空間が,折り畳み式陳列具1を用いて陳列する商品の収納空間になる。棚体3が有する棚体底板30の奥行方向の長さは,本体側板21が有する側壁片210の奥行方向の長さより短く,かつ,棚体3の棚体背板31の高さ方向の長さは,展開状態になっているときの本体側板21の幅より長くなっている。このため,展開状態の折り畳み式陳列具1においては,棚体当接片310の裏面が本体背板22に当接するように棚体背板31を本体背板22の側に傾けることができる。なお,棚体当接片310の裏面が本体背板22に当接することにより,棚体背板31が本体背板22の側に傾いた情報は維持される。
【0023】
図2で図示したように,折り畳み片211を折り畳んだ状態である折り畳み状態の折り畳み式陳列具1において,本体2の本体側板21が有する折り畳み片211は,棚体3が有する棚体背板31の裏側でヒンジ線212に沿って谷折りされている。本体側板21が有する側壁片210は,側壁片210と折り畳み片211の境に設けられた側壁折り筋が山折りされることで,折り畳み式陳列具1の側壁になっている。また,折り畳み状態の折り畳み式陳列具1において,棚体3が有する棚体底板30の奥行方向の長さは,本体側板21が有する側壁片210の奥行方向の長さより短いため,棚体3は,棚体背板31と本体背板22が対向する状態で,本体背板22と本体前板20の間に収納されている。このように,本実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,折り畳み状態であっても,棚体3は折り畳みされないので,棚体3が形成する収納空間に商品を収納できる。
【0024】
図3は,折り畳み式陳列具1の展開途中の状態を説明する図である。図2で示した折り畳み状態の折り畳み式陳列具1を,図1で示した展開状態の折り畳み式陳列具1にする際,まず,ヒンジ線212に沿って谷折りされた本体側板21の折り畳み片211を伸ばすことで,図3で図示したように,折り畳み状態の折り畳み式陳列具1は,本体背板22の側に傾斜しない格好で本体背板22と本体前板20の間に棚体3が収納された状態になる。次に,図3で示した状態の折り畳み式陳列具1において,棚体当接片310の裏面が本体背板22に当接するまで棚体3を傾けると,折り畳み式陳列具1の状態を図1で図示した折り畳み状態にすることができる。
【0025】
ここから,本実施形態に係る折り畳み式陳列具1を構成する部品についてそれぞれ説明する。
【0026】
図4は,折り畳み式陳列具1が備える本体2を説明する図である。図4で示したごとく,折り畳み式陳列具1が備える本体2は,上下方向に回動自在な前板回動片200と上縁で,側壁片210と左右両縁でそれぞれ連設し,棚体3ごとに設けられる本体前板20と,本体前板20と側壁片210が連設している本体側板21と,本体側板21と左右両縁で連設している本体背板22より構成さる。
【0027】
本体側板21が側板前板間折り筋231に沿って折られ,図4の手前側になる本体側板21が側板背板間折り筋230に沿って折られ,そして,図4の奥側になる本体側板21が,本体背板22に糊付けされることで,折り畳み式陳列具1の本体2は枠状になっている。
【0028】
図5は,本体2が備える本体背板22を説明する図である。図5で示したごとく,折り畳み式陳列具1の本体背板22は,上部に折り返し部220を設けた板状の部材である。本体背板22の上部を折り曲げているのは,本体背板22の上部の強度を高めるためである。吊り下げ什器として使用できるように,折り畳み式陳列具1の本体背板22の上部には,吊り下げに用いる紐を通す孔221などが加工されている。
【0029】
図6は,本体2が備える本体側板21を説明する図である。図6(a)は,展開状態の本体側板21を図示し,図6(b)は,折り畳み状態の本体側板21を図示している。
【0030】
図1で図示したように,折り畳み式陳列具1の本体側板21は,本体背板22の両側にそれぞれ設けられる。図6(a)などで示したように,本体側板21は,側壁片210と折り畳み片211を奥行方向で連設した構成になっている。側壁片210は本体前板20と連設し,折り畳み片211は本体背板22と連設している。本実施形態において,側壁片210は,左右方向の開口部を設けるために,本体前板20と連設する箇所の間に台形状の切り欠きを設けた形状をなしている。また,折り畳み片211において,側壁片210と連設する片211aは直角台形の形状をなしており,本体背板22と連設する片211bは長方形の形状をなしている。
【0031】
図6(a)で示したように,展開状態における本体側板21は,略平らな状態であるが,図6(b)で示したように,折り畳み状態における本体側板21は,ヒンジ線212に沿って,折り畳み片211が二つ折りされた状態になる。
【0032】
展開状態であっても折り畳み状態であっても,本体前板20に対して側壁片210を立設した状態にできるように,側壁片210と折り畳み片211の間には側壁片折り筋213が加工されている。また,本体側板21の折り畳み片211を二つ折りできるように,本体側板21の折り畳み片211には,幅方向の略中央部で高さ方向に延びるヒンジ線212が加工されている。押し筋を側壁片折り筋213に利用できる。また,ヒンジ線212は谷折りされるので,折り畳み状態から展開状態にするときの力を軽減するために,押し筋と切り込み線を交互に加工したリード罫をヒンジ線212に利用できる。
【0033】
図7は,本体2が備える本体前板20を説明する図である。二つの本体側板21の間を架け渡している本体前板20は棚体3ごとに設けられる。実施形態1では,四つの棚体3を折り畳み式陳列具1に設けているので,折り畳み式陳列具1の本体2には,四つの本体前板20が設けられている。
【0034】
図7で図示したように,折り畳み式陳列具1の本体前板20は,回動片折り筋202を介して前板回動片200が上縁に連設し,補強片折り筋203を介して,本体前板20の下部を補強する前板補強片201が下縁に連設した構造になっている。前板補強片201は,本体前板20の裏側に折り曲げられて本体前板20と糊付けされている。これに対して,前板回動片200は,折り曲げられただけで本体前板20には糊付けされておらず,前板回動片200は上下方向に回動自在である。
【0035】
図8は,折り畳み式陳列具1が備える棚体3を説明する図である。図8などで図示したように,棚体3は,本体前板20の前板回動片200と糊付けされる棚体回動片300を手前縁に連設させた棚体底板30,棚体底板30の左右に立設している台形状の棚体側板32,上縁に棚体当接片310を連設させた棚体背板31を備え,棚体背板31の反対側が開口した構成になっている。
【0036】
図8において,棚体底板30は,回動片折り筋330を介して棚体回動片300と連設し,底板折り筋332を介して棚体背板31と連設している。また,棚体背板31は,当接片折り筋331を介して棚体当接片310と連設し,左右両縁に設けられた側板折り筋333を介して二つの棚体側板32と連設している。
【0037】
台形状の棚体側板32を棚体底板30に立設させた状態に組み立てる手法は任意である。本実施形態では,差込片321を設けた三角片320を台形状の棚体側板32の下側に設け,三角片320を折って,棚体底板30に設けたスリット301に差込片321を差し込むことで,台形状の棚体側板32を棚体底板30に立設させた状態で固定している。
【0038】
図9は,本体2の本体前板20と棚体3の組み立て状態を説明する図である。図9において,棚体3が有する棚体回動片300は本体前板20が有する前板回動片200に糊付けされて,棚体3は本体前板20の前板回動片200と連結している。上述したように,本体前板20が有する前板回動片200は,回動片折り筋202に沿って折り曲げられただけで本体前板20には糊付けされていないため,前板回動片200は回動自在である。棚体3の棚体回動片300は,回動片折り筋330に沿って折り曲げられただけで棚体底板30には糊付けされていないため,棚体3の棚体回動片300も回動自在である。本体前板20の前板回動片200は回動自在で,前板回動片200と連結している棚体回動片300も回動自在であるため,前板回動片200を支点として棚体3を上下方向に回動させることができる。
【0039】
これまで説明した折り畳み式陳列具1の本体2と棚体3それぞれは,段ボール製のブランクから組み立てることができる。図10は,本体用ブランク4の一例を説明する図で,図11は,棚体用ブランク5の一例を説明する図である。
【0040】
図10で示した本体用ブランク4は,右側から順に,本体背板22,本体側板21,本体前板20,本体側板21および糊付け片40が左右方向に連設した構成になっており,それぞれの境にはこれまで説明した折り筋が加工されている。図10において一番左になる本体用ブランク4の糊付け片40は,折り畳み式陳列具1の本体2を枠状に固定するための片で,本体側板21と図10において一番右になる本体側板21に糊付けされる。
【0041】
図10で示した本体用ブランク4は,折り畳み式陳列具1の外側になる面を表として図示している。それぞれの折り筋を折り,本体用ブランク4の糊付け片40を糊付け片折り筋41に沿って折り,糊付け片40と本体側板21を糊付けすることで,本体用ブランク4を図4で示した折り畳み式陳列具1の本体2に組み立てることができる。
【0042】
図11で図示した棚体用ブランク5は,当接片折り筋331を介して棚体当接片310と連設し,底板折り筋332を介して棚体底板30と連設し,そして,両側に設けられた側板折り筋333を介して二つの棚体側板32と連設している棚体背板31と,回動片折り筋330を介して棚体底板30と連設している棚体回動片300から構成されている。なお,図11で図示した棚体用ブランク5では,差込片321を有する三角片320を棚体側板32の下側に設け,差込片321を差し込むスリット301を棚体底板30に設けている。
【0043】
図11で示した棚体用ブランク5は,棚体3の表側になる面を表として図示している。底板折り筋332を谷折りして,棚体底板30に対して棚体背板31を立設状態にした後,三角片折り筋334に沿って三角片320を折り,棚体底板30に設けたスリット301に差込片321を差し込んで,棚体底板30に立設させた状態で棚体側板32を固定することで,棚体用ブランク5から畳み式陳列具の棚体3を組み立てることができる。
(変形例)
上述した実施形態に係る折り畳み式陳列具1の変形例について説明する。図12は,変形例に係る折り畳み式陳列具6の斜視図である。なお,図12では,上述した実施形態と同じ要素については,上述した実施形態と同じ符号を付けている。
【0044】
上述した実施形態に係る折り畳み式陳列具1では,棚体当接片310の裏面が本体背板22に当接するまで棚体3を傾ける作業が棚体3ごとに必要になる。これに対し,変形例に係る折り畳み式陳列具6は,複数の棚体3がある場合であっても,一回の作業で,すべの棚体3を本体背板22の側に傾けることができるように構成されている。変形例に係る折り畳み式陳列具6では,一回の作業で,すべての棚体3を傾けることができるように,すべての棚体3を連結する本体内背板24が利用される。
【0045】
図13は,変形例に係る折り畳み式陳列具6が備える本体内背板24を説明する図である。展開状態になっている変形例に係る折り畳み式陳列具6では,すべての棚体3の棚体当接片310は本体内背板24に糊付けされる。なお,上述したように,変形例に係る折り畳み式陳列具6においても,棚体3の棚体回動片300は本体前板20の前板回動片200に糊付けされる。
【0046】
図14は,変形例に係る折り畳み式陳列具6の折り畳み状態を説明する図である。図14で図示したように,折り畳み状態になっている変形例に係る折り畳み式陳列具6おいて,本体2の本体側板21が有する折り畳み片211は,棚体3が有する棚体背板31の裏側でヒンジ線212に沿って谷折りされている。
【0047】
図15は,変形例に係る折り畳み式陳列具6の展開途中の状態を説明する図である。図14で示した折り畳み状態になっている変形例に係る折り畳み式陳列具6を,図12で示した展開状態の折り畳み式陳列具にする際,まず,ヒンジ線212に沿って谷折りされた本体側板21の折り畳み片211を伸ばし,図15で図示したように,折り畳み状態になっている変形例に係る折り畳み式陳列具6を,本体背板22の側に傾斜しない格好で本体背板22と本体前板20の間に棚体3が収納された状態にする。次に,図15で示した変形例に係る折り畳み式陳列具6において,すべての棚体3が連結している本体内背板24を本体背板22と重なるように移動させると,当接片折り筋331に沿って棚体3の棚体当接片310が曲がり,変形例に係る折り畳み式陳列具6の状態を図12で図示した状態にすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 折り畳み式陳列具
2 本体
20 本体前板
200 前板回動片
201 前板補強片
202 回動片折り筋
203 補強片折り筋
21 本体側板
210 側壁片
211 折り畳み片
212 ヒンジ線
213 側壁片折り筋
22 本体背板
220 折り返し部
221 孔
230 側板背板間折り筋
231 側板前板間折り筋
3 棚体
30 棚体底板
300 棚体回動片
301 スリット
31 棚体背板
310 棚体当接片
32 棚体側板
320 三角片
321 差込片
330 回動片折り筋
331 当接片折り筋
332 底板折り筋
333 側板折り筋
334 三角片折り筋
4 本体用ブランク
40 糊付け片
41 糊付け片折り筋
42 背板折り筋
5 棚体用ブランク
6 変形例に係る折り畳み式陳列具
24 本体内背板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15