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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】通信装置および通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 7/00 20060101AFI20231205BHJP
   H04L 69/323 20220101ALI20231205BHJP
【FI】
H04M7/00 A
H04L69/323
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020023355
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021129238
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 健一
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-031963(JP,A)
【文献】特開平05-336111(JP,A)
【文献】米国特許第05841780(US,A)
【文献】特開平10-107897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手となる相手装置とISDNのBRIを利用した通信を行う通信装置であって、
前記相手装置と接続された通信線によって前記相手装置とのリンクを確立するリンク確立処理を行うBRIデバイス部と、
前記BRIデバイス部から送られる信号を判定する制御部と、
前記制御部が判定した信号に基づき、前記相手装置に送る信号を生成して送る信号生成処理を行う信号生成部と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記BRIデバイス部から送られる前記信号の内容に誤りがあると判定すると、前記信号生成部に前記信号生成処理を行わせて前記相手装置に前記信号を送らせる請求項に記載の通信装置。
【請求項3】
通信相手となる相手装置とISDNのBRIを利用した通信を行う通信装置が有するコンピュータに行わせる通信プログラムであって、
前記相手装置とのリンクを確立するリンク確立処理を行うBRIデバイス部から送られる信号を判定する工程と、
判定した前記信号に基づき、前記相手装置に送る信号を信号生成部に生成させて送る工程と
を行わせる通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ISDN(Integrated Services Digital Network:サービス総合デジタル網)による通信を行う通信装置および通信プログラムに関するものである。特に、BRI(Basic Rate Interface)を利用して通信を行うものである。
【背景技術】
【0002】
ISDNによる通信回線におけるインターフェースのひとつであるBRI(基本インターフェース)を利用して通信を行う通信装置がある。このような通信装置としては、たとえば、電話回線を収容するPBX(Private Branch Exchange)がある。また、BRIを利用したISDNにおける信号を、より汎用な電気通信回線網に送れるように変換するゲートウェイ装置がある。ここで、ISDNを用いて、通信プロトコルにおけるレイヤ2以上の信号通信を行うためには、レイヤ1(物理層)のリンクを確立する必要がある。
【0003】
BRIにおいて、レイヤ1におけるリンクを確立する処理は、通常、通信装置内では、BRIデバイスと呼ばれる装置が処理機能を有している。レイヤ1のリンクを確立するまでには、通信元および通信相手先の2つの通信装置の間で、INFOと呼ばれる信号をやりとりして通信を行う。そして、通信元となる通信装置と通信相手先となる通信装置との間で、すべてのINFO信号のやりとりが完了すると、レイヤ1のリンクが確立することになる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-268858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、通信装置間において、レイヤ1のリンクが確立するまでの時間は、通常、数秒であるが、BRIデバイスが送るINFO信号の内容に誤りがあるなど、やりとりが正常に行われないと、レイヤ1のリンクが確立するまで時間を要する場合がある。レイヤ1のリンクが確立するまでの時間が長くなると、本来行われるサービスに支障が生じる可能性がある。ここで、電源を再投入するなどして、再度、BRIデバイスによるレイヤ1のリンクの確立処理を行うこともあるが、たとえば、作業者が現地にいない場合には、電源の再投入などの作業ができないことがある。
【0006】
上述した特許文献1の装置は、信号を送る内容の誤りを検出することはできる。しかしながら、誤りを検出した後に正しい信号を送ることまたは誤りを防止して正しい信号を送ることを行う装置に関するものではない。
【0007】
そこで、正しい信号を早期に送ることができ、時間をかけずにレイヤ1のリンク確立を行うことができる通信装置および通信プログラムの実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る通信装置は、通信相手となる相手装置とISDNのBRIを利用した通信を行う通信装置であって、相手装置と接続された通信線によって相手装置とのリンクを確立するリンク確立処理を行うBRIデバイス部と、BRIデバイス部から送られる信号を判定する制御部と、制御部が判定した信号に基づき、相手装置に送る信号を生成して送る信号生成処理を行う信号生成部とを備えるものである。
【0010】
また、この発明に係る通信プログラムは、通信相手となる相手装置とISDNのBRIを利用した通信を行う通信装置が有するコンピュータに行わせる通信プログラムであって、相手装置とのリンクを確立するリンク確立処理を行うBRIデバイス部から送られる信号を判定する工程と、判定した信号に基づき、相手装置に送る信号を信号生成部に生成させて送る工程とを行わせるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、BRIデバイスにおいて、相手装置との信号のやりとりが正常に行われなかったときでも、正しい信号を早く送ることができ、時間をかけずにレイヤ1のリンク確立を行うことができる。このため、提供するサービスに支障をきたさず、ISDNのBRIを利用した通信を早く開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る通信装置100を中心とする通信システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1における通信装置100と相手装置200との間のレイヤ1のリンクを確立する際の信号のやりとりについて説明する図である。
図3】実施の形態1に係るINFO信号について説明する図である。
図4】実施の形態1に係るフレームフォーマット中のFビットとMビットの規定を示す図である。
図5】実施の形態1に係る監視処理部11による監視処理の流れを示す図である。
図6】実施の形態1に係る復旧処理の流れを示す図である。
図7】実施の形態2に係る通信装置100を中心とする通信システムの構成を示す図である。
図8】実施の形態2に係る制御部10における信号制御部15の処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、説明する。ここで、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、明細書全文に示されている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適宜、適用することができる。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字などを省略して記載する場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る通信装置100を中心とする通信システムの構成を示す図である。図1に示すように、実施の形態1の通信装置100は、信号の送受信を行う通信相手の装置である相手装置200と通信ケーブル300を介して通信可能に接続される。なお、通信装置100と相手装置200が接続される態様は、有線接続に限らず、無線接続であってもよい。通信ケーブル300は、有線の通信線および無線である。実施の形態1においては、相手装置200は、ISDNにおいて、通信装置100が、レイヤ1によってリンクされる相手となる。ここで、実施の形態1においては、通信装置100は、T点側のDSU(Digital Service Unit:デジタル回線終端装置)とする。また、相手装置200は、S点側のTE(Terminal Equipment:端末装置)とする。
【0015】
通信装置100が、相手装置200との間で、レイヤ2以上の信号を含む通信を行うには、単に通信ケーブル300で接続するだけでなく、定められた規定に基づく信号の送受信を相互に行えることを確認して、レイヤ1のリンクを確立する必要がある。そこで、実施の形態1の通信装置100は、レイヤ1のリンクが確立したかどうかに関する監視などする処理を行う。ここで、レイヤ1とは、OSI(Open System Interconnection)参照モデルにおける物理層を表す。ISDNにおいて、BRIを利用した通信が可能な、レイヤ1を構成する通信ケーブル300は、たとえば、192kbit/sの信号速度で双方向に信号を伝送することができる伝送線である。また、信号の符号化則として、正または負のパルスが”0”を表し、パルスなし(無信号)が”1”を表す擬似3値符号(AMI符号)を用いる。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1の通信装置100は、制御部10、BRIデバイス部20および回線コネクタ部30を有する。回線コネクタ部30は、通信装置100が通信ケーブル300と通信可能に接続する接続端子であるコネクタを有する。回線コネクタ部30は、BRIデバイス部20と通信ケーブル300を介して接続された相手装置200との間で、各種信号を通信するインターフェースとなる。ここでは、回線コネクタ部30は、T点となる。
【0017】
BRIデバイス部20は、BRIに基づく信号の送受信に係る処理を行い、回線コネクタ部30を介して受信信号を受け、送信信号を送る。特に、実施の形態1においては、BRIデバイス部20は、通信装置100に電源が投入される、回線コネクタ部30に通信ケーブル300が接続されるなどすると、レイヤ1のリンクを確立する処理(以下、リンク確立処理という)を行う。
【0018】
実施の形態1のBRIデバイス部20は、トランシーバ部21、状態処理部22およびデバイス記憶部23を有する。信号送受信部となるトランシーバ部21は、回線コネクタ部30を介した信号の送受信に係る処理を行う。このため、トランシーバ部21は、回線コネクタ部30を介して受けた信号を処理する。また、回線コネクタ部30を介して信号を送る処理を行う。状態処理部22は、BRIデバイス部20における動作の状態(ステータス)を判定し、判定した動作状態を示すデータをデバイス記憶部23に記憶させる状態判定処理を行う。たとえば、T点側の通信装置100では、起動および停止に関する状態遷移として、「停止」、「起動動作中」、「起動」および「停止動作中」の4つの状態のいずれかに遷移する。各状態を示すデータが状態データとして規定されており、状態処理部22がデータ化する。以下、このデータを状態データとする。ここで「停止」状態は、通信装置100による通信が停止されている状態である。「起動動作中」状態は、後述するように、INFO信号のやりとりにより、レイヤ1のリンク確立処理が行われている状態である。「起動」状態は、通信装置100と相手装置200との間で、レイヤ1のリンクが確立している状態である。「停止動作中」状態は、通信装置100の「停止」状態になるまでの過渡的状態である。デバイス記憶部23は、BRIデバイス部20が各種処理を行うために必要となるデータを記憶する。特に、実施の形態1のデバイス記憶部23は、ステータスレジスタを有し、状態処理部22が判定してデータ化した状態データを記憶する。
【0019】
制御部10は、通信装置100が有する機器の制御を行う。実施の形態1においては、制御部10は、監視処理部11、復旧指示処理部12、計時部13および制御記憶部14を有する。監視処理部11は、BRIデバイス部20のデバイス記憶部23が有するステータスレジスタを定期的にポーリングする処理を行い、BRIデバイス部20のリンク確立処理に係る監視処理を行う。また、復旧指示処理部12は、監視処理部11がBRIデバイス部20において、所定の時間の間に、レイヤ1のリンクが確立されていないと判定すると、BRIデバイス部20に復旧指示を行う。そして、実施の形態1の計時部13は、タイマなどを有し、監視処理部11が監視処理を行う際に、定期的にポーリングするための計時を行う。制御記憶部14は、監視処理部11および復旧指示処理部12が処理を行うために必要なデータを記憶する。
【0020】
ここで、制御部10およびBRIデバイス部20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を中心とするコンピュータなどの制御演算処理を行う演算処理装置を有する。そして、制御部10の監視処理部11および復旧指示処理部12並びにBRIデバイス部20の状態処理部22における処理は、演算処理装置が、各部が行う処理方法の手順を、あらかじめプログラム化したものを実行して実現する。プログラムは、たとえば、制御部10の制御記憶部14およびBRIデバイス部20のデバイス記憶部23に記憶させておく。ただし、これに限定するものではなく、各部を別個に専用機器(ハードウェア)で構成してもよい。
【0021】
また、制御部10の制御記憶部14およびBRIデバイス部20のデバイス記憶部23は、演算処理装置の処理に係るデータを記憶する記憶装置をハードウェアとして有する。記憶装置は、データを一時的に記憶できるランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性記憶装置(図示せず)およびハードディスク、データを長期的に記憶できるフラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置(図示せず)などである。
【0022】
図2は、実施の形態1における通信装置100と相手装置200との間のレイヤ1のリンクを確立する際の信号のやりとりについて説明する図である。図2(a)は、正常時におけるリンク確立までの流れについて示している。図2(b)は、リンク確立ができない状態における信号の流れについて説明している。図2(a)に示すように、通信装置100と相手装置200との間では、レイヤ1のリンクを確立するため、通信装置100と相手装置200との間で、INFOと呼ばれる信号(以下、INFO信号という)のやりとりを行う。INFO信号は、INFO0~INFO4までの信号を有する。ここで、INFO0は、無信号の状態を示す。そして、INFO1およびINFO3は、S点からT点に送られる信号である。したがって、実施の形態1では、相手装置200から通信装置100に送られる。また、INFO2およびINFO4は、T点からS点に送られる信号である。したがって、実施の形態1では、通信装置100から相手装置200に送られる。図2(b)に示すように、INFO0~INFO4のいずれかの信号が届いていない場合には、リンク確立ができない。
【0023】
図3は、実施の形態1に係るINFO信号について説明する図である。図3(a)は、通信装置100と相手装置200との間で通信される信号のフレームフォーマットを示す。また、図3(b)は、各INFO信号における規定を示す。ISDNにおいては、通信装置100と相手装置200との間では、48ビットの信号でのやりとりが行われる。そして、図3(b)に示すように、INFO0~INFO4は、信号の内容が規定されており、それぞれの信号を区別することができる。
【0024】
図4は、実施の形態1に係るフレームフォーマット中のFビットとMビットの規定を示す図である。BRIデバイス部20は、図4に示す規定に従って生成したINFO信号を送信する。ここで、BRIデバイス部20がINFO2を送信する際、Fビットのデータ値がすべて”0”となり、Mビットのデータ値がすべて”1”となる信号が送信されることがある。このとき、INFO2は相手装置200には送られない。このような信号が送信される状態になったときには、レイヤ1のリンクが確立されるまで待つか、通信装置100の電源を再投入する必要がある。
【0025】
図5は、実施の形態1に係る監視処理部11による監視処理の流れを示す図である。前述したように、制御部10は、監視処理部11による監視処理と復旧指示処理部12による復旧指示処理とが行われる。
【0026】
監視処理部11は、BRIデバイス部20がリンク確立処理を開始したかどうかを判定する(ステップS1)。そして、監視処理部11は、リンク確立処理が開始され、計時部13の計時に基づいて、一定時間が経過したと判断すると(ステップS2)、BRIデバイス部20に状態データを含む信号を要求する(ステップS3)。監視処理部11は、BRIデバイス部20からの信号に基づいて、状態データを判定する。そして、監視処理部11は、レイヤ1のリンクが確立し、「起動」状態であるかどうかを判定する(ステップS4)。監視処理部11は、「起動」状態であると判定すると、レイヤ1のリンクが確立したものとして、計数値となるカウント値nを0とする(ステップS10)。そして、制御部10は、通常処理に移行し(ステップS11)、処理を終了する。
【0027】
一方、監視処理部11は、「起動」状態でないと判定すると、レイヤ1のリンク確立が遅延しているかどうかを判定する(ステップS5)。判定について、監視処理部11は、前回の監視処理で得た状態データが「起動動作中」状態であり、今回の処理において得た状態データも「起動動作中」状態である場合に、レイヤ1のリンク確立が遅延していると判定する。実施の形態1における「起動動作中」は、INFO2の信号を送信後、INFO3の信号の受信待ちの状態であるため、INFO信号のやりとりが滞っていることを示す。監視処理部11は、レイヤ1のリンク確立が遅延していないと判定すると、監視処理部11は、カウント値nを0とし(ステップS9)、ステップS2に戻って、BRIデバイス部20の監視処理を続ける。
【0028】
一方、監視処理部11は、レイヤ1のリンク確立が遅延していると判定すると、カウント値nを1加算して計数する(ステップS6)。さらに、監視処理部11は、カウント値n=3であるかどうかを判定する(ステップS7)。カウント値n=3でないと判定すると、ステップS2に戻って、BRIデバイス部20の監視処理を続ける。また、監視処理部11は、カウント値n=3であると判定すると、復旧指示処理部12に復旧指示処理を行わせる(ステップS8)。復旧指示処理部12は、BRIデバイス部20に対して、復旧指示を行う。そして、監視処理部11は、カウント値nを0とし(ステップS9)、ステップS2に戻って、復旧したBRIデバイス部20のリンク確立処理に対して確立監視処理を行う。
【0029】
ここで、復旧指示処理部12に復旧指示処理を行わせる設定回数となるカウント値をn=3としているが、これに限定するものではない。たとえば、通信装置100が起動してからレイヤ1のリンクが確立するまでの設定時間とレイヤ1のリンク確立が遅延していると監視処理部11がポーリングを行う間隔との関係でカウント値nを設定すればよい。
【0030】
図6は、実施の形態1に係る復旧処理の流れを示す図である。ここでは、復旧指示処理部12の指示に基づきBRIデバイス部20において行われる復旧処理について説明する。BRIデバイス部20の復旧処理において、BRIデバイス部20全体をリセットして、再起動させる処理をするようにしてもよいが、ここでは、BRIデバイス部20は、トランシーバ部21がリセット処理を実行する(ステップS21)。ここで、トランシーバ部21は、ドライバソフトなどのリセット(ソフトリセット)を実行する。リセット処理により、トランシーバ部21は、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200にINFO2の信号を再送することになる。また、BRIデバイス部20は、トランシーバ部21のリセット処理により、状態処理部22が状態判定処理し(ステップS22)、デバイス記憶部23のステータスレジスタを再設定させる(ステップS23)。
【0031】
以上のように、実施の形態1の通信装置100によれば、通信装置100の制御部10において、監視処理部11は、BRIデバイス部20のリンク確立処理を監視する監視処理を行う。そして、監視処理部11がBRIデバイス部20のリンク確立処理を復旧させるものと判定すると、復旧指示処理部12が、BRIデバイス部20に復旧指示を行い、BRIデバイス部20に復旧指示を行わせるようにした。このため、通信装置100と相手装置200との間で、INFO信号のやりとりができず、レイヤ1のリンクを確立することができないときに、自動的に復旧処理を行うことができる。
【0032】
このため、通信装置100は、時間をかけずに、相手装置200との間で、自動的に、ISDNのBRIを利用した通信を開始することができ、提供するサービスに支障をきたさずにすむ。ここで、BRIデバイス部20全体をリセットしてリンク確立処理を行ってもよいが、この場合、装置全体においてサービスが停止される。そして、装置において初期設定を再度実行する必要があり、その分、時間を要するため、実施の形態1の通信装置100のように、信号送受信部となるトランシーバ部21だけをリセットすることで、さらにリンク確立までの時間の短縮をはかることができる。
【0033】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る通信装置100を中心とする通信システムの構成を示す図である。図7において、図1と同じ符号が付されている機器などについては、実施の形態1で説明したことと同様の処理などを行う。
【0034】
図7に示すように、実施の形態2の通信装置100は、BRIデバイス部20と回線コネクタ部30との間に、信号生成部40が設置されている。信号生成部40は、BRIデバイス部20からの信号を、後述する制御部10の信号制御部15に送る。そして、制御部10の信号制御部15の指示に基づいて、相手装置200に送信するINFO信号を生成する。信号生成部40は、信号生成処理部41および信号データ記憶部42を有する。信号生成処理部41は、信号データ記憶部42に記憶された信号データに基づき、INFO信号を生成する処理を行う。ここでは、INFO2およびINFO4を生成する。そして、信号生成処理部41は、BRIデバイス部20の代わりに、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に、生成したINFO信号を送る。また、信号データ記憶部42は、信号生成処理部41が信号の生成処理を行う際に必要とするデータを信号データとして記憶する。具体的には、実施の形態1で説明した、図2図4で示すフレームフォーマットなどのデータが信号データとなる。
【0035】
また、実施の形態2の制御部10は、信号制御部15を有する。信号制御部15は、信号生成部40から送られたBRIデバイス部20の送信信号を判定する。そして、信号制御部15は、判定した信号を信号生成部40に生成させ、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に送らせる処理を行う。
【0036】
図8は、実施の形態2に係る制御部10における信号制御部15の処理について説明する図である。信号制御部15は、信号生成部40からBRIデバイス部20の送信信号が送られると(ステップS31)、信号がINFO0であるかどうかを判定する(ステップS32)。信号制御部15は、信号がINFO0であると判定すると、信号生成部40に、INFO0の信号を生成させる(ステップS33)。そして、信号制御部15は、ステップS31に戻って処理を続ける。
【0037】
信号制御部15は、信号がINFO0でないと判定すると、信号がINFO2であるかどうかを判定する(ステップS34)。信号制御部15は、信号がINFO2であると判定すると、信号生成部40に、INFO2の信号を生成させ、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に送信させる(ステップS35)。そして、信号制御部15は、ステップS31に戻って処理を続ける。
【0038】
信号制御部15は、信号がINFO2でないと判定すると、信号がINFO4であるかどうかを判定する(ステップS36)。信号制御部15は、信号がINFO4であると判定すると、信号生成部40に、INFO4の信号を生成させ、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に送信させる(ステップS37)。そして、信号制御部15は、ステップS31に戻って処理を続ける。また、信号制御部15は、信号がINFO4でないと判定すると、ステップS31に戻って、処理を続ける。
【0039】
たとえば、通信装置100において、通信ケーブル300が接続されていないなど、相手装置200との間で通信が行われていないとき、BRIデバイス部20は、INFO0を送る。信号生成部40は、BRIデバイス部20からの信号を信号制御部15に送る。信号制御部15は、BRIデバイス部20からの信号がINFO0であると判定すると、INFO0を生成させ、回線コネクタ部30へ送信させる。BRIデバイス部20から送られるINFO2およびINFO4についても同様の処理が行われる。
【0040】
以上のように、実施の形態2の通信装置100によれば、信号生成部40がBRIデバイス部20からの信号に基づいて、INFO信号を生成して送るようにした。このため、BRIデバイス部20が生成したINFO信号が規定に従っておらず、データに誤りを有する場合でも、信号生成部40が正しいINFO信号を代わりに生成して送ることができる。したがって、時間をかけることなく、レイヤ1のリンクを確立させることができる。
【0041】
ここで、信号生成部40がINFO信号を生成して送るため、BRIデバイス部20からのINFO信号は、相手装置200に送られない。しかしながら、BRIデバイス部20は、実施の形態1で説明したように、状態処理部22が状態判定処理を行うために必要である。また、実施の形態2の通信装置100では、BRIデバイス部20からのINFO信号におけるデータ誤りの有無に関係なく、信号生成部40が生成したINFO信号を送るものとして説明したが、これに限定するものではない。信号制御部15がBRIデバイス部20からのINFO信号に誤りがあると判定すれば、信号生成部40がBRIデバイス部20に代わってINFO信号を生成し、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に送ってもよい。この場合、BRIデバイス部20からのINFO信号に誤りがなければ、信号生成部40は、信号を生成せず、回線コネクタ部30および通信ケーブル300を介して、相手装置200に送る信号を、BRIデバイス部20からのINFO信号としてもよい。
【0042】
実施の形態3.
上述した実施の形態1および実施の形態2では、通信装置100がT点の装置である場合について説明したが、S点の装置である場合についても適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 制御部
11 監視処理部
12 復旧指示処理部
13 計時部
14 制御記憶部
15 信号制御部
20 BRIデバイス部
21 トランシーバ部
22 状態処理部
23 デバイス記憶部
30 回線コネクタ部
40 信号生成部
41 信号生成処理部
42 信号データ記憶部
100 通信装置
200 相手装置
300 通信ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8