(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成装置、後処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231205BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231205BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231205BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20231205BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231205BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G03G15/00 460
G03G21/00 386
G03G21/00 384
B41J29/00 H
B41J29/42 F
B41J29/38 206
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
(21)【出願番号】P 2020024976
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-30545(JP,A)
【文献】特開2003-291442(JP,A)
【文献】特開2009-986(JP,A)
【文献】特開2007-21642(JP,A)
【文献】特開2006-334938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
B65H 37/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を給紙する給紙部と、
前記給紙部から給紙された用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送された用紙に画像を形成する画像形成部と、
用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と、
用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部と、
前記第1の後処理部と前記第2の後処理部を用いて、前記用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モードと、前記第2の後処理部のみを用いて、前記用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードと、を実行可能な処理制御部と、
入力されたジョブにかかる処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを前記第1処理モードまたは前記第2処理モードに決定する処理モード決定部と、を備えた、
画像形成システム。
【請求項2】
前記処理モード決定部は、処理時間が短い方の処理モードに決定する
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
ユーザーが処理モードを選択する処理モード選択部と、を備える
請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
処理モード選択部は、前記処理モードを選択可能な表示部を有する
請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2処理モードは、前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施し、その後用紙の向きを変えて、前記第2の後処理部により2回目の後処理を実施する
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2処理モードに決定された場合には、前記搬送部は、前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施する際に、前記用紙の長手方向が用紙搬送方向に対して直交する状態で前記用紙を搬送し、前記第2の後処理部により2回目の後処理を実施する際に、前記用紙の短手方向が用紙搬送方向に対して直交する状態で前記用紙を搬送する
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の後処理部と前記第2の後処理部は、断裁処理機能を有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第1の後処理部と前記第2の後処理部は、ミシン目処理機能を有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記画像形成部により、同一の用紙に対して2回以上の画像形成が行われる場合は、前記処理モード決定部は、前記第2処理モードに決定する
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成部は、前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施する際に、前記用紙に対して1回目の画像形成を行い、前記第2の後処理部により2回目の後処理を実施する際に、前記用紙に対して2回目の画像形成を行う
請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記画像形成部により同一の用紙に対して2回以上の画像形成が行われる場合とは、用紙の両面に画像を形成する両面プリントジョブが実行される場合である
請求項9又は10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記画像形成部により同一の用紙に対して2回以上の画像形成が行われる場合とは、用紙の一方の面に2回以上画像を形成する追い刷りプリントジョブが実行される場合である
請求項9又は10に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記第2の後処理部による2回目の後処理を実施する際に、前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施した用紙をユーザーが再セットのため載置する載置部を設けた
請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記第2の後処理部により2回目の後処理を実施する際に、前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施した用紙を長手方向が短手方向になるように回転させて前記給紙部に戻す
請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施した用紙を長手方向が短手方向になるように回転させて前記給紙部に戻す搬送路を有する再搬送部と、を備えた
請求項14に記載の画像形成システム。
【請求項16】
さらに、入力されたジョブにかかる処理時間を、前記処理モード毎に算出する処理時間算出部を有し、
前記処理時間算出部は、前記第1処理モードの処理時間を、入力されたジョブにおける全ての用紙について前記第1の後処理部と前記第2の後処理部とで並行して後処理を実施する際に要する時間に基づき算出する
請求項1~15のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記処理時間算出部は、前記第2処理モードの処理時間を、入力されたジョブにおける全ての用紙について前記第2の後処理部により1回目の後処理を実施する時間と、前記1回目の後処理を実施した前記全ての用紙を前記給紙部に戻す時間と、前記全ての用紙について再度、前記第2の後処理部により2回目の後処理を実施する時間と、に基づき、算出する
請求項16に記載の画像形成システム。
【請求項18】
ジョブを入力するジョブ入力部と、
前記ジョブ入力部で入力されたジョブに基づき、用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記ジョブ入力部で入力されたジョブにかかる処理時間を、処理モード毎に算出する処理時間算出部と、
前記処理時間算出部により算出された処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを、用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部とを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モード、または前記第2の後処理部のみを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードに決定する処理モード決定部と、を備えた
画像形成装置。
【請求項19】
画像形成システムが備える給紙部により、ジョブに基づき用紙を給紙するステップと、
画像形成システムが備える搬送部により、給紙部から給紙された用紙を搬送するステップと、
画像形成システムが備える画像形成部により、搬送部で搬送された用紙に画像を形成するステップと、
画像形成システムが備える処理制御部により、用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と、用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部と、を用いて、前記用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モード、または前記第2の後処理部のみを用いて、前記用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードを実行させる制御を行うステップと、
画像形成システムが備える処理モード決定部により、入力されたジョブにかかる処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを前記第1処理モードまたは前記第2処理モードに決定するステップと、を備えた、
後処理方法。
【請求項20】
ジョブ入力部により、ジョブを入力するステップと、
処理時間算出部により、入力されたジョブにかかる処理時間を、処理モード毎に算出するステップと、
処理モード決定部により、算出された処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを、用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部とを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モード、または前記第2の後処理部のみを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードに決定するステップと、を
コンピューターに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリミングカットなどの用紙の後処理を実施する画像形成システム、画像形成装置、後処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
用紙の断裁、折り目、ミシン目の形成などの後処理を実施する機能ユニット用いて、用紙の複数辺に後処理を施して、複数方向に断裁処理(トリミングカット)を実施する画像形成システムが知られている。
【0003】
例えば、画像形成装置などから1枚ずつ順次搬出されるシートを束状に部揃えし、その背部端面に接着剤を塗布して表紙シートと綴じ合わせて製本とし、このシート束の周縁(天部と地部と小口部)を所定量断裁する製本装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、ロール紙を第1のカッターと第2のカッターを使用して、用紙サイズと同一サイズの縁無し用紙にトリミングカットする印刷装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-150644号公報
【文献】特開2003-341161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記文献に記載された技術では、トリミングカットを実施する際に、用紙搬送方向に直交する方向に用紙を断裁する処理を実施する必要がある。この断裁処理を実施するためには、用紙の搬送を一旦停止する必要があり、その結果として、ジョブ全体の断裁処理を実施する時間が長くなり、生産性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の主たる課題は、複数方向を断裁する後処理を用紙に実施する場合に、生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願の画像形成システムは、用紙を給紙する給紙部と、給紙部から給紙された用紙を搬送する搬送部と、搬送部で搬送された用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と、用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部と、第1の後処理部と第2の後処理部を用いて、用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モードと、第2の後処理部のみを用いて、用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードと、を実行可能な処理制御部と、を備える。さらに、入力されたジョブにかかる処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを第1処理モードまたは第2処理モードに決定する処理モード決定部を備える。
【0009】
また、本願の画像形成装置は、ジョブを入力するジョブ入力部と、ジョブ入力部で入力されたジョブに基づき、用紙に画像を形成する画像形成部と、ジョブ入力部で入力されたジョブにかかる処理時間を、処理モード毎に算出する処理時間算出部と、処理時間算出部により算出された処理モード毎の処理時間に応じて、入力されたジョブに対する処理モードを、用紙搬送方向に直交する方向に沿った後処理を実施する第1の後処理部と用紙搬送方向に沿った後処理を実施する第2の後処理部とを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第1処理モード、または第2の後処理部のみを用いて用紙に対して複数方向の後処理を行う第2処理モードに決定する処理モード決定部と、を備える。
なお、上記画像形成装置は本発明の一態様であり、本発明の後処理方法およびプログラムも、上記画像形成装置と同様の構成を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数方向を断裁する後処理を用紙に実施する場合に、適切な処理モードを選択することにより、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムの概略断面図である。
【
図2】
図1に示す画像形成システムの概略ブロック図である。
【
図3】
図1に示す第1の後処理装置の構成を例示する概略断面図である。
【
図4】CD断裁ユニットが備える断裁部の概略断面図である。
【
図5】FD断裁ユニットが備える断裁部の概略断面図である。
【
図6】第1処理モードでトリミングカットを実施した用紙の代表例を示す模式図である。
【
図7】第2処理モードでトリミングカットを実施した用紙の代表例を示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態の画像形成システムの後処理方法の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図9】
図8のステップS3における処理モードを決定する際の説明に使用するグラフである。
【
図10】操作表示部に表示された案内画面の一例である。
【
図11】用紙を回転させて給紙部に戻す再搬送機構の上面図である。
【
図12】
図8のステップS3の処理で実施される変形例を示すサブルーチン・フローチャートである。
【
図13】
図13Aは、縦送り方式で搬送される用紙の代表例を示す模式図であり、
図13Bは、横送り方式で断裁される用紙の代表例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態例(以下、「本例」という)に係る画像形成システムを説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
また、以下の説明で用いるCD(Cross Direction)とは、用紙搬送方向に直交する第1の方向を指し、FD(Feed Direction)とは、用紙搬送方向である第2の方向を指す。以後、第1の方向をCD方向といい、第2の方向をFD方向という。
【0014】
また、本例の複数方向の後処理とは、CD方向及びFD方向を裁断処理して、用紙の4辺を裁断するトリミングカットを指すが、必ずしも用紙の4辺を裁断する必要はなく、用紙の一辺及びそれに隣接するいずれかの辺を裁断する場合を含む。すなわち、用紙の対向する辺に沿って2箇所を裁断する必要はなく、どちらかの一辺に沿って1箇所だけ裁断する場合も含む。
【0015】
<画像形成システム100>
図1は、一実施形態の画像形成システム100の概略断面図である。
図2は、
図1に示す画像形成システム100の概略ブロック図である。また、
図3は、
図1に示す第1の後処理装置の構成を例示する概略断面図である。
【0016】
図1に示すように、本例の画像形成システム100は、X方向(用紙搬送方向)に沿って直列に接続された画像形成装置200、第1の後処理装置300、および第2の後処理装置400を有する。なお、
図1に示す画像形成システム100の構成は一例であり、画像形成システム100に含まれる装置の種類および台数は、
図1に示す例に限定されない。画像形成システム100は、画像形成装置200のX方向上流に給紙装置をさらに有することもできる。
【0017】
<画像形成装置200>
画像形成装置200は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像を用紙に形成(印刷)する。また、画像形成装置200は、ネットワークを通じて外部のクライアント端末からPDL(Page Description Language)形式の印刷データおよび印刷設定データを含むプリントジョブを受信し、これに基づいて用紙に画像を形成する。クライアント端末は、たとえばパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォンなどである。
【0018】
図2に示すように、画像形成装置200は、画像読取部210、画像処理部220、処理時間算出部221、処理モード決定部222、画像形成部230、給紙部240、用紙搬送部250、定着部260、通信部270、操作表示部280、および処理制御部290を有する。これらの構成要素は、内部バス201により相互に通信可能に接続されている。
【0019】
画像読取部210は、ミラー、レンズなどから構成される光学系と読取センサーとを備える。画像読取部210は、読取面に載置された原稿またはADF(Auto Document Feeder)によって搬送された原稿を読み取って画像信号を出力する。
【0020】
画像処理部220は、画像読取部210から受信した画像信号に対して各種の画像処理を実施し、印刷画像データを生成する。また、画像処理部220は、通信部270により受信されたプリントジョブに含まれる印刷設定情報および印刷データに基づいて、印刷画像データを生成する。生成された印刷画像データは、画像形成部230に送信される。
【0021】
処理時間算出部221は、プリントジョブ全体の後処理にかかる処理時間を、プリントジョブに含まれている複数方向の後処理を実施する用紙の枚数に基づいて、処理モード毎に算出する。なお、複数方向の後処理を実施する処理モードについては後述する。
【0022】
処理モード決定部222は、処理時間算出部221で算出された処理時間に基づいて、複数方向の後処理を実施する処理モードを決定する。
【0023】
画像形成部230は、帯電、露光、現像、および転写の各工程を含む電子写真方式などの周知の作像プロセスを用いて、印刷画像データに基づいて画像を用紙上に形成する。
【0024】
画像形成部230は、像担持体としての感光体ドラムおよびその周囲に配置された帯電部、光書込部、現像装置、および転写部を有して構成される。
【0025】
感光体ドラムは、不図示のドラムモーターにより所定の速度で回転する。帯電部は、感光体ドラムの周囲に配置されるコロナ放電極を備え、生成されるイオンによって感光体ドラムの表面を帯電させる。光書込部は、走査光学装置が組み込まれており、入力される印刷画像データに基づいて、帯電された感光体ドラムを露光することにより、露光された部分の電位を低下させ、印刷画像データに対応する電荷パターン(静電潜像)を形成する。
現像装置は、形成された静電潜像を現像し、トナーによって可視化し、トナー画像を形成する。転写部は、感光体ドラム上のトナー画像を用紙に転写する。
【0026】
給紙部240は、プリントジョブに従って記録材としての用紙を画像形成部230に供給する。給紙部240は、上段トレイ241および下段トレイ242を有し、各々のトレイには、たとえばA4サイズやA3サイズなどのサイズの異なる用紙が収納されうる。
【0027】
搬送部としての用紙搬送部250は、画像形成装置200内において用紙を搬送する。用紙搬送部250は、搬送路および複数の搬送ローラー対を有する。また、用紙搬送部250は、用紙反転部を含む循環搬送部255を備えており、定着がなされた用紙の表裏を反転して排出したり、あるいは用紙の両面に画像を形成したりすることができる。
【0028】
給紙部240から供給された用紙は、搬送路を画像形成部230へ向けて搬送される。用紙は、レジストローラー対251において、感光体ドラムに形成されたトナー画像と同期がとられ、転写部に搬送されるタイミングが制御される。転写部によってトナー画像が転写された用紙は、定着部260に搬送される。
【0029】
定着部260は、用紙に形成されたトナー画像を定着する。定着部260は、内部にヒーターが配置された中空の加熱ローラーと、加熱ローラーに対向する加圧ローラーとを備える。加熱ローラーおよび加圧ローラーは、ヒーターにより所定温度(たとえば100℃以上)に制御され、用紙に加熱・加圧処理を施し、トナー画像を定着する。
【0030】
画像が定着された用紙は、排紙部(不図示)を通じて第1の後処理装置300に供給される。
【0031】
通信部270は、ネットワークI/F271および後処理装置I/F272を有する。ネットワークI/F271は、ネットワークを経由して、たとえばパーソナルコンピューターなどのクライアント端末に接続し、プリントジョブなどのデータを送受信する。
【0032】
後処理装置I/F272は、第1の後処理装置300および第2の後処理装置400と通信回線202を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0033】
表示部としての操作表示部280は、入力部および出力部を有する。入力部は、たとえば、キーボードおよびタッチパネルを備え、文字入力、各種設定、スタート指示などの各種指示(入力)をユーザーが行うために利用される。また、出力部は、ディスプレイを備え、機器構成、プリントジョブの実施状況、後処理可能な条件、出力イメージ画像、用紙搬送における異常(ジャム)の発生状況などを、ユーザーに提示するために使用される。
【0034】
処理制御部290は、画像読取部210、画像処理部220、画像形成部230、給紙部240、用紙搬送部250、定着部260、通信部270、および操作表示部280を制御して、画像形成システム100全体の用紙の後処理を制御する。処理制御部290は、CPU291、補助記憶装置292、RAM293、およびROM294を有する。
【0035】
CPU291は、画像形成装置用の制御プログラムを実行する。制御プログラムは、補助記憶装置292に記憶されており、CPU291によって実行される際に、RAM293にロードされる。補助記憶装置292は、たとえば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリーなどの大容量の記憶装置を備える。RAM293には、CPU291の実行に伴う演算結果、第1の後処理装置300に装填されている機能ユニットの位置、種類情報などが格納される。ROM294には、各種のパラメーター、各種プログラムなどが記憶されている。CPU291は、上記制御プログラムの他、処理時間算出部221による処理時間の計算プログラムを実行する。
【0036】
<第1の後処理装置300>
第1の後処理装置300は、画像形成装置200の指示に従って、画像形成装置200から供給された用紙を搬送または後処理し、第2の後処理装置400に供給する。
【0037】
第1の後処理装置300は、画像形成システム100において画像形成装置200と第2の後処理装置400との間に配置され、用紙搬送部310、後処理部320、挿入給紙部340、通信I/F部350、および制御部360を有する。これらの構成要素は、内部バス301により相互に通信可能に接続されている。
【0038】
図3に示すように、用紙搬送部310は、搬送路311、搬送路312、および複数の搬送ローラー対314を備え、第1の後処理装置300から供給された用紙を搬送路311に沿って搬送する。また、載置部としての挿入給紙部340から供給された用紙を搬送路312に沿って搬送する。挿入給紙部340は、挿入トレイ341を備える。なお、載置部としては、装置の上面に直接形成されたパージトレイであってもよい。
【0039】
後処理部320は、1つ以上の機能ユニットによって、複数方向の後処理を含む後処理を用紙に対して実施する。後処理部320は、機能ユニットを装填するための複数のスロット321~324を有する。スロット321~324は、搬送路に沿ったそれぞれの装填位置において、機能ユニットが装填される。装填位置は、搬送路上の位置(X方向の位置)で定義される。
図1には、スロット321~324のいずれにも機能ユニットは装填されていない場合について示されている。一方、
図3には、スロット321~324に、それぞれ機能ユニット501~504が装填されている場合について示されている。また、全てのスロット321~324に機能ユニット501~504を装填しなくてもよく、いずれかのスロット321~324にのみ装填してもよい。またスロット321~324が空の場合には、用紙搬送に支障がないような態様でダミーのユニットが装填される。
【0040】
また、スロット321~324には、それぞれ検出センサー325~328が設置されている。検出センサー325~328は、制御部360と協働して、それぞれ機能ユニット501~504の装填の有無を判定するとともに、スロット321~324に機能ユニットが装填されている場合、機能ユニットの種類および装填の有無、すなわち装填位置に関する情報を取得する。検出センサー325~328および制御部360は、装填検出部および種類検出部として機能する。
【0041】
検出センサー325~328は、機能ユニットの装填の有無および機能ユニットの種類を検出できるセンサーであれば、いかなる形態のものでよく、たとえば、光センサー、アクチュエーターなどを使用できる。また、第1の後処理装置300本体側にあるコネクターと、機能ユニットのコネクターが嵌合し、電気的に接続することで、処理制御部290が、装填の有無を検出し、また接続後に機能ユニットの制御基板に記憶している識別番号を読み取ることで、機能ユニットの種類を検出(判定)するようにしてもよい。
【0042】
機能ユニット501~504は、たとえばCD断裁ユニット、FD断裁ユニット、ドブ断ちスリットユニット、クリースユニット、CDミシンユニット、FDミシンユニット、名刺スリットユニットのうちのいずれかである。
【0043】
CD断裁ユニットは、CD方向に用紙を断裁する断裁処理機能を有するユニットである。
図4は、本例のCD断裁ユニットが備える断裁部の概略断面図である。
図4に示すように、CD断裁ユニット600は、断裁部としてCD方向に延びたギロチンカッター601を備えている。ギロチンカッター601は、搬送路311上部に配置された上側カッター601aと、搬送路311の下部に配置された下側カッター601bと、を備える。上側カッター601aが下方向に移動し、下側カッター601bが上方向に移動することで、上側カッター601aと下側カッター601bの刃に挟まれた断裁位置601cにて、用紙SがCD方向に断裁される。
【0044】
FD断裁ユニットは、FD方向に用紙を断裁する断裁処理機能を有するユニットである。
図5は、本例のFD断裁ユニットが備える断裁部の概略断面図である。
図5に示すように、FD断裁ユニット700は、断裁部として回転カッター701を備えている。回転カッター701は、用紙Sの上側に配置された上側スリッター刃701aと、用紙Sの下側に配置された下側スリッター刃701bと、を備える。上側スリッター刃701aと下側スリッター刃701bは、いずれも回転刃であり、搬送路311上の用紙Sの搬送方向に合わせて上側スリッター刃701aが時計回りに回転し、下側スリッター刃701bが反時計回りに回転して、用紙SをFD方向に断裁する。
【0045】
ドブ断ちスリットユニットは、FD方向にスリットを形成するユニットである。たとえば、ドブ断ちスリット処理では2つ平行な断裁線で断裁を行い2つの断裁線の間にスリット(溝)が形成される。クリースユニットは、所定方向、例えばCD方向に筋を形成するユニットである。
【0046】
CDミシンユニットはCD方向にミシン目を形成するミシン目処理機能を有するユニットであり、FDミシンユニットはFD方向にミシン目を形成するミシン目処理機能を有するユニットである。名刺スリットユニットは、名刺サイズに用紙を断裁するため、FD方向に複数のスリットを形成するユニットである。
【0047】
本例では、機能ユニット501としてのFD裁断ユニット700が、スロット321に装填されている。また、機能ユニット504としてのCD裁断ユニット600が、スロット324に装填されている。すなわち、FD断裁ユニットは、CD断裁ユニットよりもX方向上流側に配置される。
【0048】
なお、後処理部320は、これら以外の機能ユニットを使用することもできる。また、用紙の断裁を伴う機能ユニットにより断裁された断裁屑は、屑箱330へ自重により落下し、蓄積される。ユーザーは、屑箱330の断裁屑を定期的に廃棄する。
【0049】
挿入給紙部340の挿入トレイ341には、1回目の後処理が実施された用紙がユーザーによって載置される。挿入トレイ341に載置された用紙は、搬送路312に沿って後処理部320に搬送される。
【0050】
通信I/F部350は、画像形成装置200の後処理装置I/F272と通信回線202を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0051】
制御部360は、用紙搬送部310、後処理部320、挿入給紙部340、および通信I/F部350を制御する。制御部360は、CPU361、RAM362、およびROM363を備える。
【0052】
CPU361は、第1の後処理装置用の制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。RAM362は、CPU361の演算結果や処理結果、後処理部320に装填されている機能ユニットの位置、種類などを格納する。ROM363は、上記制御プログラム、スロットに応じた装填位置(搬送路上の位置)を含む各種パラメーターなどを記憶する。
【0053】
制御部360は、検出センサー325~328の検出結果に基づいて、機能ユニットの種類および装填位置を取得する。たとえば、スロット321~324に装填が可能なすべての機能ユニットの種類ごとに固有のユニット番号があらかじめ割り振られ、装填されている機能ユニットの種類に関する情報としてユニット番号を取得するように構成できる。ユニット番号と機能ユニットの種類との対応関係は、RAM362にテーブルとして記憶される。
【0054】
<第2の後処理装置400>
第2の後処理装置400は、画像形成装置200の指示に従って、第1の後処理装置300から供給された用紙を搬送または後処理を実施し、画像形成システム100の外部に排出する。第2の後処理装置400は、画像形成システム100において最下流に配置され、用紙搬送部420、平綴じ部430、メイントレイ440、パージトレイ450、通信I/F部460、および制御部470を有する。これらの構成要素は、内部バス401により相互に通信可能に接続されている。
【0055】
用紙搬送部420は、搬送路421および複数の搬送ローラー対422を備え、第1の後処理装置300から供給された用紙を搬送路421に沿って搬送する。また、用紙搬送部420は、第1の後処理装置300から供給された用紙を搬送路421に沿って搬送する。また、平綴じ部430において平綴じされた冊子をメイントレイ440へ搬送する。
【0056】
平綴じ部430は、用紙を蓄積するスタッカー部と、用紙の束をステープル留めするステープル部と、を備える。平綴じ部430は、用紙の束の端をステープル留めすることにより、用紙の束を平綴じして冊子を作成する。
【0057】
メイントレイ440は、用紙搬送部420によって搬送された用紙のうち、有効紙を排出する。パージトレイ450は、用紙搬送部420によって搬送された用紙のうち、無効紙を排出する。
【0058】
通信I/F部460は、画像形成装置200の後処理装置I/F272と通信回線202を通じて通信可能に接続され、データを送受信する。
【0059】
制御部470は、用紙搬送部420、平綴じ部430、メイントレイ440、パージトレイ450、および通信I/F部460を制御する。制御部470は、CPU471、RAM472、およびROM473を備える。
【0060】
CPU471は、第2の後処理装置用の制御プログラムを実行し、様々な機能を実現する。RAM472は、CPU471の演算結果や処理結果などを記憶する。ROM473は、上記制御プログラム、各種パラメーターなどを記憶する。
【0061】
<処理モード>
本例の画像形成システム100は、用紙の複数方向の後処理を実施する処理モードとして、第1処理モードと第2処理モードとを有している。
【0062】
第1処理モードは、第1の後処理ユニットであるCD断裁ユニット600と、第2の後処理ユニットであるFD断裁ユニット700を用いて、用紙に対して複数方向の後処理を行う。
図6を用いて、第1処理モードについて具体的に説明する。
図6は、第1処理モードで、複数方向の後処理としてトリミングカットを実施した用紙の代表例を示す模式図である。
【0063】
図6aに示すように、用紙Sは、第2の後処理ユニットとしてのFD断裁ユニット700により、用紙Sに形成された画像面Gを残すように、FD方向に沿って装置奥側部分F1と手前側部分F2の2箇所が同時に裁断される。また、CD断裁ユニット600により、FD断裁ユニットで断裁された用紙Sの画像面Gを残すように、CD方向に沿って、まず用紙搬送方向の下流側部分C1が裁断され、つぎに上流側部分C2が裁断される。このように複数方向の断裁処理を行うトリングカットを実施することにより、
図6bに示すような周縁部分の余白が取り除かれたフルブリード画像Gの用紙Sを得ることができる。
【0064】
なお、第1処理モードでは、用紙Sを停止させた状態でCD方向の裁断が行われる。従って、第1処理モードで用紙の後処理を実施する場合は、用紙の搬送を下流側部分C1と上流側部分C2で2回停止させる時間が必要となる。
【0065】
第2処理モードは、FD断裁ユニット700のみを用いて、用紙に対して複数方向の後処理を行う。
図7を用いて、第2処理モードについて具体的に説明する。
図7は、第2処理モードで、複数方向の後処理としてのトリミングカットを実施した用紙の代表例を示す模式図である。
【0066】
図7aに示すように、用紙Sは、FD断裁ユニット700により、1回目の後処理として、用紙Sに形成された画像面Gを残すように、用紙のS1辺に沿って、奥側部分F1と手前側部分F2の2箇所がFD方向に裁断される。1回目の後処理(断裁処理)が実施された用紙Sは、用紙の一辺S1に隣接する辺S2に沿って2回目の後処理(裁断処理)を実施するための再セットが行われる。
【0067】
図7bに示すように、用紙Sは再セットされる際に、1回目の後処理を実施した用紙の長手方向が短手方向になるように回転されて、用紙辺S2がFD方向と平行となるように90度傾けた状態で、載置部としての給紙トレイ等に再セットされる。そして、2回目の後処理として、FD断裁ユニット700により、1回目の後処理で断裁された用紙Sの画像面Gを残すように、FD方向(辺S2)に沿って奥側部分F3と手前側部分F4の2箇所が裁断される。これにより、
図7cに示すような白縁の少ないフルブリード画像Gの用紙S3を得ることができる。再セットは、FD断裁ユニットにより2回目の後処理を実施する際に、1回目の後処理を実施した用紙を長手方向が短手方向になるように回転させた状態で給紙部に戻す処理であり、ユーザーによる手動若しくは機械による自動で行われる。
【0068】
なお、第2処理モードでは、FD断裁ユニットで断裁処理を行う際に、用紙の搬送を停止させる必要がない。ただし、再セットを実施するための時間が必要となる。
【0069】
第2処理モードで複数方向の後処理を実施する際に、画像形成部230により用紙に対して2回以上の画像形成が行われる場合がある。この場合には、
図7aの1回目の後処理を実施する際に1回目の画像(表面)の形成を行い、
図7bの2回目の後処理を実施する際に2回目の画像(裏面)の形成を行うようにしてもよい。両面プリントジョブに基づき用紙の両面に画像を形成する両面印刷の場合には、1回目の後処理の際に1回目の画像(表面)を形成し、2回目の後処理の際に2回目の画像(裏面)を形成する。また、追い刷りプリントジョブに基づき用紙の一方の面に2回以上の画像を形成する追い刷り印刷の場合は、1回目の後処理の際に1回目の画像を形成し、2回目の後処理の際に2回目の画像(追加分)を形成する。これにより、用紙を用紙反転部や循環搬送部255に通過させる時間を省略し、生産性を向上できる。
【0070】
なお、両面印刷を行う場合には、2回目の後処理の際の2回目の画像(裏面)の形成をスムーズに行えるように、画像形成部230により画像を形成するページの順序を入れ替えるなどの調整を行うようにしてもよい。これにより、再セットを行う際に、1回目の後処理が実施された用紙の順番を反転や面付けのために入れ替える作業を省略できる。
【0071】
なお、本例では、複数方向の後処理を実施するユニットとしてCD断裁ユニット及びFD断裁ユニットを用いたが、複数方向の後処理は裁断処理に限定される必要はなく、例えば、ミシン目処理機能等を有する他のユニットを用いて複数方向の後処理を実施してもよい。
【0072】
<画像形成システム100の複数方向の後処理方法>
図8を参照して、本例の画像形成システム100で実行する複数方向の後処理方法について、説明する。
図8は、本例の画像形成システム100で実行する用紙の複数方向の後処理としてのトリミングカットの手順を例示するフローチャートである。なお、
図8に示す処理を実施するプログラムは、画像形成装置200のCPU291により実行される。
【0073】
本例のトリミングカットを実施する前提として、画像形成システム100は、プリントジョブに含まれるトリミングカットの実施に必要な機能ユニットが装填されているかを確認する。例えば、制御部360は、検出センサー325~328の検出結果に基づいて、スロット321~324に装填されている機能ユニット501~504の種類に関する情報を取得する。本例では、FD裁断ユニット700がスロット321に装填され、CD裁断ユニット600がスロット324に装填される。
【0074】
画像形成装置200には、通信部270を介して、ジョブ入力部としてのPC端末等の外部装置からプリントジョブのデータが入力される(ステップS1)。なお、ジョブ入力部として操作表示部280を用いてもよい。プリントジョブのデータには、両面プリントジョブや追い刷りプリントジョブが含まれる。つぎに、処理時間算出部221により、入力された印刷ジョブのデータに基づいて処理時間が算出される(ステップS2)。ステップS2において、処理時間算出部221は、プリントジョブ全体のトリミングカットにかかる処理時間を、プリントジョブに含まれているトリミングカットを行う用紙の枚数に基づいて、処理モード毎に算出する。
【0075】
本例では、処理時間算出部221は、CD断裁ユニット600での処理に要する時間とFD断裁ユニット700での処理に要する時間を並行して、第1処理モードで処理する処理時間を算出する。また、処理時間算出部221は、FD断裁ユニット700で1回目の後処理に要する時間と、FD断裁ユニット700で1回目の後処理を実施した全ての用紙を給紙部に戻す時間と、給紙部に戻した全ての用紙をFD断裁ユニット700で2回目の後処理に要する時間と、に基づいて、第2処理モードで処理する処理時間を算出する。
【0076】
ここで、ステップS2における処理時間算出部221による処理時間の算出について、具体的に説明する。本例では、PPM(pages per minute)仕様が、片面印刷時が150ppm、両面印刷時が75ppm、CD断裁によるトリミング時が60ppmの画像形成装置200を使用する。また、プリントジョブは、A4サイズの用紙(210mm×297mm)を170mm×210mmの不定形にトリミングカットする設定とする。
【0077】
以下、処理時間算出部221により算出した処理時間とその計算式を示す。なお、第2処理モードにおける用紙の再セットにかかる時間は60秒とする。
【0078】
・プリントジョブの内容が100枚の両面印刷である場合(ケース1)
第1処理モードでの処理時間100秒・・・100枚/(60ppm/60秒)
第2処理モードでの処理時間140秒・・・100枚/(150ppm/60秒)+60秒+100枚/(150ppm/60秒)
・プリントジョブの内容が1000枚の両面印刷である場合(ケース2)
第1処理モードでの処理時間1000秒・・・1000枚/(60ppm/60秒)
第2処理モードでの処理時間860秒・・・1000枚/(150ppm/60秒)+60秒+1000枚/(150ppm/60秒)
【0079】
ステップS2において、上述したような計算式に基づき各処理モード毎に算出された処理時間に基づいて、処理モード決定部222は、トリミングカットを実施する処理モードを決定する(ステップS3)。本例の処理モード決定部222は、処理時間の短い処理モードを選択し、決定する。処理モード決定部222は、上述したケース1の場合には、処理時間の短い第1処理モードを選択し、ケース2の場合には、処理時間の短い第2処理モードを選択する。このように、本例の画像形成システム100の複数方向の後処理方法によれば、処理時間の短い最適な処理モードを選択することで、生産性を向上できる。
【0080】
本例のステップS3における処理モード決定部222による一般的な処理モードの決定について、
図9を用いて具体的に説明する。
図9のグラフの縦軸は、処理時間算出部221で算出された処理時間を表し、グラフの横軸は、プリントジョブに含まれる複数方向の後処理を実施する用紙の枚数を表す。グラフ中の実線は第1処理モードによる処理時間を示し、破線は第2処理モードによる処理時間を示す。
【0081】
図9のグラフからは、第2処理モードには再セットの処理時間が加算される。このため、プリントジョブに含まれる複数方向の後処理を実施する用紙の枚数が少なくなると、第1処理モードによる処理時間が、第2処理モードによる処理時間よりも短くなることが判る。一方、第1処理モードには用紙を停止する時間が加算される。このため、プリントジョブに含まれる複数方向の後処理を実施する用紙の枚数が多くなれば、再セットの処理時間を含めても、第2処理モードによる処理時間が、第1処理モードによる処理時間よりも短くなることが判る。このように、ステップS3における処理モード決定部222は、グラフに示すような第1処理モードと第2処理モードの関係に基づいて、処理時間の短い処理モードを選択し、決定する。
【0082】
第2処理モードによる処理時間が第1処理モードによる処理時間よりも短くなる場合は、ステップS3において、処理モード決定部222は、処理モードとして第2処理モードを選択する(ステップS4)。
【0083】
第1処理モードによる処理時間が第2処理モードによる処理時間よりも短くなる場合は、ステップS3において、処理モード決定部222は、処理モードとして第1処理モードを選択する(ステップS5)。
【0084】
このように、本例の画像形成システム100及び画像形成システム100の後処理方法によれば、用紙の複数方向の後処理を実施する際に処理時間の短い最適な処理モードを選択することで、生産性を向上できる。
【0085】
なお、本例では、処理モード決定部222により、処理時間が短い処理モードを自動的に決定しているが、ユーザーが処理モードを選択できる処理モード選択部を設けてもよい。
図10は、処理モード選択部としての操作表示部280に表示された案内画面の一例である。
図10に示すように、操作表示部280のディスプレイに処理モード選択画面282を表示させて、ユーザーが任意で処理モードを選択できるようにしてもよい。例えば、処理モード決定部222が、処理モードとして第2処理モードを選択した場合であっても、ユーザーは、処理モード選択画面282を介して、処理モードを処理時間の長い第1処理モードに決定することができる。これにより、第2処理モードで必要な用紙を再セットする動作を省略でき、例えば力の弱いユーザーに対する利便性を確保できる場合がある。また、画面のような表示部の他に、音声操作や、キーボタン操作を介して、ユーザーに処理モードを選択させてもよい。なお、操作表示部280を介して、用紙の再セットの処理時間などの種々の設定を行うこともできる。
【0086】
また、本例では、第2処理モードを選択した場合の用紙の再セットはユーザーが行うが、機械的に再セットを行うようにしてもよい。
図11は、第2処理モードで1回目の後処理が実施された用紙を回転させて給紙部に戻す再搬送装置800の上面図である。
図11に示すように、再搬送部としての再搬送装置800は、搬送路としてのベルトコンベア810を備えている。ベルトコンベア810は、第2の後処理装置400から排出された用紙(束)Sを搬送して、画像形成装置200の給紙部240に戻す。
【0087】
ベルトコンベア810の第2の後処理装置400の近傍には、後処理装置400から排出された1回目の後処理が実施された用紙Sと、2回目の後処理が実施された用紙S’とを切り替えるゲート部820が設けられている。ゲート部820は、1回目の後処理が実施された用紙Sをベルトコンベア810に案内し、給紙部240に戻す。
【0088】
ベルトコンベア810の画像形成装置200の近傍には、用紙Sを回転させる回転ユニット830が設けられている。回転ユニット830は、ベルトコンベア810で搬送されてきた用紙Sを長手方向が短手方向になるように回転させて、用紙の向きを90度傾けた状態で給紙部240に戻す。これにより、ユーザーが自ら再セットを行う労力が不要となり、利便性を向上できる。なお、再搬送装置800を用いる場合には、処理時間算出部221は、ベルトコンベア810の長さと搬送速度を考慮して、用紙の再セットにかかる処理時間を算出する。
【0089】
次に、ステップS3において、第2処理モードが選択された場合の変形例について説明する。
図12は、
図8のステップS3の処理で実施される変形例を示すサブルーチン・フローチャートである。本例では、両面印刷を実行する場合の例について説明する。
【0090】
図12に示すように、ステップS3において、処理モード決定部222により、処理モードが第2処理モードに決定されると、搬送部250は、用紙Sを横送り方式で搬送する(ステップS10)。横送り方式は、用紙の長手方向が用紙搬送方向に対して直交する状態で用紙を搬送する。つぎに、画像形成部230は、横送り方式で搬送されてきた用紙Sに1回目(表面)の画像を形成する(ステップS11)。つぎに、FD断裁ユニット700により、1回目の後処理として、FD方向に沿った断裁処理が実施される(ステップS12)。つぎに、1回目の断裁処理が実施された用紙を回転させて、90度傾けた状態で給紙部240に戻す再セットの処理が行われる(ステップS13)。なお、両面印刷の場合には、再セットの際に用紙の天地を入れ替える。なお、用紙の表裏を反転して排出することにより、再セットする際の天地の入れ替え作業を不要とすることができる。
【0091】
つぎに、搬送部250は、給紙部240に戻された用紙を縦送り方式で搬送する(ステップS14)。縦送り方式は、用紙の短手方向が用紙搬送方向に対して直交する状態で用紙を搬送する。つぎに、画像形成部230は、縦送り方式で搬送されてきた用紙Sに2回目(裏面)の画像を形成する(ステップS15)。最後に、FD断裁ユニット700により、2回目の後処理として、FD方向に沿った断裁処理が実施され(ステップS16)、第2処理モードによる複数方向の後処理が終了する。
【0092】
図13Aは、縦送り方式で搬送されている用紙の代表例を示す模式図であり、
図13Bは、縦送り方式で搬送されている用紙の代表例を示す模式図である。
【0093】
上述したように、本例では、第2処理モードで複数方向の後処理を実施する場合に、1回目の後処理の際は、
図13Aのように、用紙の長辺が用紙搬送方向に対して垂直な状態の横送り方式で搬送する。2回目の後処理の際は、
図13Bに示すように、用紙の短辺が用紙搬送方向に対して垂直な状態の縦送り方式で搬送する。これにより、複数方向の後処理を実施する際において、用紙搬送方向に移動する用紙辺の長さの合計(FD長)を短くでき、複数方向の後処理にかかる時間を短縮して、生産性を上げることができる。
【0094】
以上のように、本例に係る画像形成システム及び画像形成システムで実施される複数方向の後処理方法の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0095】
すなわち、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、本例の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、本例の構成について他の構成を加えることも可能である。また、本例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0096】
また、画像形成装置、第1および第2の後処理装置の制御プログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD-ROMなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネットなどのネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、記憶部や記憶装置などに転送され記憶される。また、この制御プログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0097】
また、本例の用紙には、紙媒体だけではなく、フィルムや布地等その他の各種の印刷可能な記録材が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0098】
100・・・画像形成システム、200・・・画像形成装置、210・・・画像読取部、220・・・画像処理部、221・・・処理時間算出部、222・・・処理モード決定部、230・・・画像形成部、240・・・給紙部、250・・・搬送部、255・・・反転経路、260・・・定着部、270・・・通信部、271・・・ネットワークI/F、272・・・後処理装置I/F、280・・・操作表示部、282・・・案内画面、290・・・処理制御部、291・・・CPU、300・・・第1の後処理装置、310・・・用紙搬送部、311~312・・・搬送路、320・・・後処理部、321~324・・・スロット、325~328・・・検出センサー、330・・・屑箱、340・・・挿入給紙部(載置部)、341・・・挿入トレイ、350・・・通信I/F部、360・・・制御部、400・・・第2の後処理装置、420・・・用紙搬送部、430・・・平綴じ部、440・・・メイントレイ、450・・・パージトレイ、460・・・通信I/F部、470・・・制御部、501~504・・・機能ユニット、600・・・CD断裁ユニット、601・・・ギロチンカッター、700・・・FD断裁ユニット、701・・・回転カッター、800・・・再搬送装置、S・・・用紙