(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20231205BHJP
B66B 13/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B13/12 F
(21)【出願番号】P 2020025397
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】菊地 将之
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-255961(JP,A)
【文献】実開平04-068089(JP,U)
【文献】特開2015-093770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0336770(US,A1)
【文献】特開2012-1288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00-5/28;
13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドアに設けられた第1ベーン及び第2ベーンと、
乗場ドアに設けられたインターロック装置と、
を備え、
前記インターロック装置は、
前記乗場ドアに設けられた第1軸と、
前記第1軸を中心に変位する回転部材と、
前記回転部材に設けられたラッチと、
前記回転部材に設けられた第2軸と、
前記第2軸を中心に回転し、前記かごドアが前記乗場ドアと同じ高さに配置されると前記第1ベーン及び前記第2ベーンの間に配置されるローラと、
を備えたエレベーター装置において、前記ローラ及び前記第1ベーン間の第1隙間と前記ローラ及び前記第2ベーン間の第2隙間とを測定するための測定装置であって、
前記第2軸又は前記回転部材の少なくとも一方に固定される固定部材と、
測定器と、
前記固定部材に設けられ、前記固定部材が前記一方に固定されると前記測定器の少なくとも一部が前記ローラの直上に配置されるように前記測定器を支持する支持部材と、
を備え、
前記測定器は、
前記第1ベーンまでの距離を測定するための第1測定手段と、
前記第2ベーンまでの距離を測定するための第2測定手段と、
を備えた測定装置。
【請求項2】
前記固定部材が前記一方に固定された際に前記第2軸に対する前記測定器の位置を決めるための位置決め部材を更に備えた請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記回転部材は、前記第2軸が第1表面から突出する板状部を備え、
前記位置決め部材は、
前記板状部の端面に側方から対向するための第1対向部と、
前記板状部の上端面に対向するための第2対向部と、
を備えた請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記回転部材は、前記第2軸が第1表面から突出する板状部を備え、
前記位置決め部材は、
前記板状部の端面に側方から対向するための第1対向部と、
前記第2軸に上方から対向するための第2対向部と、
を備えた請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記回転部材は、前記第2軸が第1表面から突出する板状部を備え、
前記位置決め部材は、
前記第2軸に側方から対向するための第1対向部と、
前記第2軸に上方から対向するための第2対向部と、
を備えた請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記板状部の第2表面に固定され、
前記第2表面は、前記第1表面が向く方向とは反対の方向を向く請求項3から請求項5の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記回転部材は、前記第2軸が第1表面から突出する板状部を備え、
前記固定部材は、前記板状部の第2表面に固定され、
前記第2表面は、前記第1表面が向く方向とは反対の方向を向く請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定器は、前記かごドアまでの距離を測定するための第3測定手段を更に備えた請求項1から請求項7の何れか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの点検等で用いられる測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター装置は、ドアの連動装置を備える。ドアの連動装置は、かごがある乗場に停止した際にその乗場の乗場ドアを解錠し、乗場ドアをかごドアの動きに連動させるための装置である。この連動装置は、例えば、かごドアに設けられたベーンと乗場ドアに設けられたインターロック装置とを備える。インターロック装置は、ローラを備える。エレベーターの点検では、上記ローラとベーンとの間に形成される隙間が測定される。
【0003】
例えば、特許文献1に、上記隙間を測定するための治具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレベーターの点検では、保守員はかごの上に乗り、かごの上から上記隙間を測定する。しかし、一部のエレベーター装置では、かごの上から上記隙間を測定できない場合がある。例えば、昇降路の上方に機械室が設けられていないエレベーター装置では、かごが最上階に停止した際に、人が乗るための十分なスペースがかごの上に確保されていない。このようなエレベーター装置では、上記隙間を精度良く測定することができないといった問題があった。
【0006】
なお、特許文献1に記載された治具を利用しても、この問題を解決することはできない。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、かごドアに設けられたベーンと乗場ドアに設けられたインターロック装置のローラとの隙間を測定する際に人がかごの上にいる必要がなく、且つその測定を精度良く行うことができる測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る測定装置は、第2軸又は回転部材の少なくとも一方に固定される固定部材と、測定器と、固定部材に設けられ、固定部材が一方に固定されると測定器の少なくとも一部がローラの直上に配置されるように測定器を支持する支持部材と、を備える。測定器は、第1ベーンまでの距離を測定するための第1測定手段と、第2ベーンまでの距離を測定するための第2測定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る測定装置を用いれば、かごドアに設けられたベーンと乗場ドアに設けられたインターロック装置のローラとの隙間を測定する際に人がかごの上にいる必要がない。また、この発明に係る測定装置を用いることにより、上記隙間の測定を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】ドア組立をかご側から見た例を示す図である。
【
図4】インターロック装置の一部を示す正面図である。
【
図5】インターロック装置の一部を示す側面図である。
【
図6】実施の形態1における測定装置を示す正面図である。
【
図7】実施の形態1における測定装置を示す側面図である。
【
図8】実施の形態1における測定装置を示す平面図である。
【
図9】インターロック装置に測定装置を取り付けた状態を示す正面図である。
【
図10】インターロック装置に測定装置を取り付けた状態を示す側面図である。
【
図11】インターロック装置に測定装置を取り付けた状態を示す平面図である。
【
図12】測定装置の他の例を説明するための側面図である。
【
図13】測定装置の他の例を説明するための正面図である。
【
図14】測定装置の他の例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は、エレベーター装置の例を示す図である。エレベーター装置は、かご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。主ロープ4は、かご1及びつり合いおもり2を昇降路3に吊り下げる手段の一例である。かご1及びつり合いおもり2を吊り下げるためのローピングの方式は、
図1に示す例に限定されない。
【0013】
主ロープ4は、巻上機5の駆動綱車6に巻き掛けられる。かご1は、巻上機5によって駆動される。巻上機5は、制御装置7によって制御される。即ち、制御装置7は、かご1の移動を制御する。
図1は、昇降路3の上方の機械室8に巻上機5及び制御装置7が設置される例を示す。巻上機5及び制御装置7は、昇降路3に設置されても良い。巻上機5が昇降路3に設置される場合、巻上機5は、昇降路3の頂部に設置されても良いし、昇降路3のピットに設置されても良い。
【0014】
かご1と制御装置7との間に、制御ケーブル9が接続される。制御装置7は、制御ケーブル9を介して、かご1に備えられた機器を制御する。
【0015】
図1は、かご1がある階の乗場20に停止している例を示す。かご1は、ビルに設けられた各階の乗場20に停止する。かご1は、電動機10、及びドア組立11を備える。各乗場20に、ドア組立21が設けられる。
【0016】
図2は、
図1に示すA部の拡大図である。
図3は、ドア組立21をかご1側から見た例を示す図である。なお、
図3では、ドア組立11の一部も図示している。
【0017】
ドア組立11は、かごドア12、ドアレール13、敷居14、並びに一対のベーン15及び16を備える。かごドア12は、ドアパネル17、ドアハンガー18、及びドアローラ19を備える。
【0018】
ドアパネル17は、かご1に形成された出入口を開閉する。ドアハンガー18は、ドアパネル17から上方に延びるようにドアパネル17の上部に設けられる。ドアローラ19は、ドアハンガー18に回転可能に設けられる。ドアレール13は、かご1の出入口の上方に水平に配置される。ドアローラ19は、ドアレール13の上に載せられる。これにより、かごドア12がドアレール13に吊り下げられる。
【0019】
電動機10は、かごドア12を開閉するための駆動力を発生させる。電動機10の駆動力は、変換装置(図示せず)を介してかごドア12に伝えられる。ドアローラ19がドアレール13の上面を転がることにより、かごドア12の上部の移動が案内される。かごドア12の下部の移動は、敷居14によって案内される。
【0020】
ベーン15及びベーン16は、かごドア12に設けられる。例えば、ベーン15及びベーン16は、それぞれが板状である。ベーン15及びベーン16は、互いに対向するように、一定の間隔を空けて平行に配置される。ベーン15は、ベーン16に対向する表面15aがB方向を向くように縦向きに配置される。B方向は、かごドア12が開く時にかごドア12が移動する方向である。ベーン16は、ベーン15に対向する表面16aがC方向を向くように縦向きに配置される。C方向は、かごドア12が閉まる時にかごドア12が移動する方向である。
【0021】
ドア組立21は、乗場ドア22、ドアレール23、敷居24、及びインターロック装置25を備える。乗場ドア22は、ドアパネル26、ドアハンガー27、及びドアローラ28を備える。
【0022】
ドアパネル26は、乗場20に形成された出入口を開閉する。ドアハンガー27は、ドアパネル26から上方に延びるようにドアパネル26の上部に設けられる。ドアローラ28は、ドアハンガー27に回転可能に設けられる。ドアレール23は、乗場20の出入口の上方に水平に配置される。ドアローラ28は、ドアレール23の上に載せられる。これにより、乗場ドア22がドアレール23に吊り下げられる。ドアローラ28がドアレール23の上面を転がることにより、乗場ドア22の上部の移動が案内される。乗場ドア22の下部の移動は、敷居24によって案内される。
【0023】
インターロック装置25は、乗場ドア22に設けられる。インターロック装置25は、ベーン15及びベーン16とともにドアの連動装置を構成する。ドアの連動装置は、かご1がある乗場20に停止した際に、その乗場20の乗場ドア22を解錠し、その乗場ドア22をかごドア12の動きに連動させるための装置である。インターロック装置25は、例えば軸29、ローラ30、回転部材31、ラッチ32、軸33、及びローラ34を備える。
【0024】
軸29は、乗場ドア22に設けられる。軸29は、図示しない固定用の部材を介して乗場ドア22に設けられても良い。軸29は、ドアハンガー27から昇降路3側に突出するように水平に配置される。ローラ30は、軸29に回転可能に設けられる。
【0025】
回転部材31は、軸29を介して乗場ドア22に設けられる。回転部材31は、軸29を中心に変位する。ラッチ32は、回転部材31に設けられる。本実施の形態では、回転部材31とラッチ32とが一体的に形成された例を示す。例えば、ベーン15及びベーン16がインターロック装置25に接触していなければ、ラッチ32は、先端が受け部材35に掛かる位置に配置される。即ち、乗場ドア22は施錠される。
【0026】
軸33は、回転部材31に設けられる。軸33は、軸29に対して平行に配置される。軸33は、回転部材31から昇降路3側に突出するように水平に配置される。ローラ34は、軸33に回転可能に設けられる。即ち、ローラ34は、軸33を中心に回転する。ベーン15及びベーン16がインターロック装置25に接触していなければ、ローラ34は、ローラ30よりベーン15寄りに配置される。
【0027】
図4は、インターロック装置25の一部を示す正面図である。
図5は、インターロック装置25の一部を示す側面図である。
図4では、ローラ34の図示を省略している。
図5では、回転部材31の一部、軸33、及びローラ34を示している。
【0028】
本実施の形態に示す例では、回転部材31は、特定の厚み及び幅を有する板状部36を備える。板状部36は、回転部材31のうち軸29が接続された部分から上方に延びるように配置される。板状部36の表面36aは、昇降路3側を向く。軸33は、表面36aから突出するように板状部36に設けられる。板状部36の表面36bは、表面36aが向く方向とは反対の方向を向く。例えば、表面36bは、ドアハンガー27に対向する。また、板状部36には、側方を向く端面36c及び端面36dと、上端面36eとが形成される。端面36cはC方向を向く。端面36dは、端面36cが向く方向とは反対の方向、即ちB方向を向く。
【0029】
図3では、かご1が乗場20に停止した直後のベーン15及びベーン16の位置を一点鎖線で示している。かご1が乗場20に停止し、かごドア12が乗場ドア22と同じ高さに配置されると、ローラ30とローラ34とは、ベーン15及びベーン16の間に配置される。この状態でかごドア12がB方向に移動すると、先ず、ベーン15がローラ34に接触する。ベーン15がローラ34に接触した後もかごドア12がB方向に移動すると、ローラ34は、ベーン15に押されることによって変位する。これにより、回転部材31及びラッチ32が軸29を中心に回転し、ラッチ32が受け部材から外れる。即ち、乗場ドア22が解錠される。その後も回転部材31が軸29を中心に回転すると、ベーン15がローラ30に接触する。これにより、ローラ30がベーン15に押され、乗場ドア22の移動が開始される。即ち、乗場ドア22がかごドア12とともにB方向に移動する。
【0030】
インターロック装置25が正常であれば、かご1が乗場20を通過する時に、ベーン15及びベーン16はインターロック装置25に接触しない。仮に、かご1が乗場20を通過する時にベーン15がローラ34に接触すると、ベーン15がかごドア12から外れたり、ローラ34が軸33から外れたりする可能性がある。このような事態が発生することを防止するため、保守員は、エレベーターの点検等においてベーン15とローラ34との間に形成された隙間G1を測定する。同様に、保守員は、ベーン16とローラ34との間に形成された隙間G2を測定する。
【0031】
以下に、
図6から
図11も参照し、隙間G1及び隙間G2を測定するための測定装置40について説明する。
図6は、実施の形態1における測定装置40を示す正面図である。
図7は、実施の形態1における測定装置40を示す側面図である。
図8は、実施の形態1における測定装置40を示す平面図である。
【0032】
保守員は、エレベーターの保守等において、測定装置40を用いて隙間G1及び隙間G2を測定する。保守員は、隙間G1及び隙間G2の測定を開始する前に、測定装置40をインターロック装置25に取り付ける。
図9は、インターロック装置25に測定装置40を取り付けた状態を示す正面図である。
図10は、インターロック装置25に測定装置40を取り付けた状態を示す側面図である。
図11は、インターロック装置25に測定装置40を取り付けた状態を示す平面図である。
【0033】
測定装置40は、例えば固定部材41、測定器42、及び支持部材43を備える。固定部材41は、隙間G1及び隙間G2の測定を行う際にインターロック装置25に実際に固定される。例えば、固定部材41は、回転部材31に固定される。固定部材41は、軸33に固定されても良い。固定部材41は、回転部材31と軸33との双方に固定されても良い。本実施の形態では、固定部材41が板状部36の表面36bに固定される例を示す。例えば、固定部材41は磁石を備える。固定部材41は、板状部36の表面36bに吸着固定される。
【0034】
支持部材43は、固定部材41に設けられる。
図6から
図8に示す例では、固定部材41と支持部材43とが一体的に形成される。支持部材43は、測定器42を支持する。例えば、支持部材43は、固定部材41が板状部36に固定されると測定器42の少なくとも一部がローラ34の直上に配置されるように測定器42を支持する。
【0035】
測定器42は、隙間G1及び隙間G2を実際に測定するためのものである。測定器42は、例えば本体44、距離測定部45、及び距離測定部46を備える。本体44は、支持部材43の上面に設けられる。例えば、固定部材41が板状部36に固定されると、本体44は、ローラ34の直上に配置される。
【0036】
距離測定部45は、ベーン15までの距離を測定するための手段の一例である。距離測定部45は、本体44に支持され、本体44の側面から突出する。距離測定部45が本体44から突出する量は可変である。固定部材41が板状部36に固定されると、距離測定部45は、本体44からC方向に向かって水平に突出するように配置される。
【0037】
例えば、距離測定部45は、先端にローラ45aを備える。また、
図6に示すように、距離測定部45の側面には目盛りが付される。この目盛りは、隙間G1を測定する際に用いられる目盛りである。例えば、この目盛りは、基準位置Pから距離測定部45の先端までの距離L1を示す。一例として、基準位置Pは、固定部材41が板状部36に固定された際に距離測定部45の先端と同じ高さに配置され且つ軸33の中心線の直上に配置される位置である。距離L1は、固定部材41が板状部36に固定された時のC方向の距離を示す。
【0038】
距離測定部46は、ベーン16までの距離を測定するための手段の一例である。距離測定部46は、本体44に支持される。距離測定部46は、距離測定部45が本体44から突出する方向とは反対の方向に本体44から突出する。距離測定部46が本体44から突出する量は可変である。固定部材41が板状部36に固定されると、距離測定部46は、本体44からB方向に向かって水平に突出するように配置される。
【0039】
例えば、距離測定部46は、先端にローラ46aを備える。また、
図6に示すように、距離測定部46の側面には目盛りが付される。この目盛りは、隙間G2を測定する際に用いられる目盛りである。例えば、この目盛りは、基準位置Pから距離測定部46の先端までの距離L2を示す。距離L2は、固定部材41が板状部36に固定された時のB方向の距離を示す。
【0040】
なお、測定装置40は、ベーン15及び16までの距離を測定するための手段として、光学式の距離センサ等を備えても良い。
【0041】
また、測定装置40は、
図6から
図8に示すように位置決め部材47を更に備えても良い。位置決め部材47は、固定部材41が板状部36に固定された際に、軸33に対する測定器42の位置を決めるための部材である。
図6から
図8に示す例では、位置決め部材47は対向部48a~50aを備える。
図6から
図8は、固定部材41と位置決め部材47とが一体的に形成される例を示す。即ち、対向部48a~50aは、固定部材41に設けられる。対向部48a~50aは、例えばブロック状の部材に板状部36の形状に合わせた凹部が設けられることによって形成される。
【0042】
エレベーターの保守員は、測定装置40をインターロック装置25に取り付ける際に、対向部48a~50aによって三方が囲まれた凹部に板状部36の上端部が嵌まるように、固定部材41を板状部36の表面36bに吸着させる。これにより、隙間G1及び隙間G2を測定するために適切な位置に測定装置40を配置することができる。即ち、対向部48aは、板状部36の端面36cに側方から対向する。対向部49aは、板状部36の端面36dに側方から対向する。対向部50aは、板状部36の上端面36eに上方から対向する。
図9から
図11に示すように測定装置40が適切に取り付けられると、距離測定部45及び46は、ベーン15の表面15a及びベーン16の表面16aに対して直交するように水平に配置される。
【0043】
保守員は、測定装置40をインターロック装置25に取り付けると、隙間G1及び隙間G2の測定を開始する。保守員は、隙間G1及び隙間G2の測定を行う際にかご1の上にいる必要はない。例えば、保守員は、測定装置40をインターロック装置25に取り付けるとかご1の上から降りる。そして、保守員は、かご1の中に移動してかご1を移動させる。
【0044】
測定装置40がインターロック装置25に取り付けられた状態でかご1が移動すると、測定装置40がベーン15及びベーン16の間を通過する際に、距離測定部45のローラ45aがベーン15に接触する。これにより、距離測定部45が本体44に押し込まれる。距離測定部45は、本体44に押し込まれた状態を保持する。即ち、距離測定部45は、測定装置40がベーン15及び16の間を通過する時に測定した距離L1の最小値を保持する。
【0045】
同様に、測定装置40がベーン15及びベーン16の間を通過する際に、距離測定部46のローラ46aはベーン16に接触する。これにより、距離測定部46は本体44に押し込まれる。距離測定部46は、本体44に押し込まれた状態を保持する。即ち、距離測定部46は、測定装置40がベーン15及び16の間を通過する時に測定した距離L2の最小値を保持する。
【0046】
保守員は、測定装置40がベーン15及びベーン16の間を通過した後にかご1を止め、かご1の上に移動する。ローラ34の半径は既知である。このため、距離測定部45の側面に付された目盛りを読み取ることにより、保守員は、隙間G1の大きさを算出することができる。同様に、保守員は、距離測定部46の側面に付された目盛りを読み取ることにより、隙間G2の大きさを算出することができる。測定装置40を用いることにより、隙間G1及び隙間G2の測定を精度良く行うことができる。
【0047】
なお、上述したように、昇降路3の上方に機械室8が設けられていないエレベーター装置では、かご1が最上階に停止した際に、人が乗るスペースがかご1の上に確保されていない。このため、測定装置40は、このような機械室レスエレベーター装置において隙間G1及び隙間G2の測定を行う際に、特に有効な手段となり得る。
【0048】
図12は、測定装置40の他の例を説明するための側面図である。
図13は、測定装置40の他の例を説明するための正面図である。
図12及び
図13は、インターロック装置25に測定装置40を取り付けた状態を示す。なお、
図13では、ローラ34の図示を省略している。
【0049】
図12及び
図13に示す測定装置40は、位置決め部材47が
図6から
図8に示す例と相違する。
図12及び
図13に示す例では、位置決め部材47は、固定部材41が板状部36に固定された際に支持部材43から下方に延びるように、支持部材43に設けられる。
図12及び
図13に示す例では、位置決め部材47は、対向部48b~50bを備える。対向部48b~50bは、例えばブロック状の部材に軸33の外形に合わせた凹部が設けられることによって形成される。
【0050】
エレベーターの保守員は、測定装置40をインターロック装置25に取り付ける際に、対向部48b~50bによって三方が囲まれた凹部に軸33が嵌るように、固定部材41を板状部36の表面36bに吸着させる。これにより、隙間G1及び隙間G2を測定するために適切な位置に測定装置40を配置することができる。測定装置40がインターロック装置25に適切に取り付けられていれば、対向部48bは、軸33に側方から対向する。対向部49bは、軸33に側方から対向する。対向部50bは、軸33に上方から対向する。
図12及び
図13に示すように測定装置40が適切に取り付けられると、距離測定部45及び46は、ベーン15の表面15a及びベーン16の表面16aに対して直交するように水平に配置される。
【0051】
他の例として、位置決め部材47は、板状部36に側方から対向するための対向部と、軸33に上方から対向するための対向部とを備えても良い。位置決め部材47は、軸33に側方から対向するための対向部と、板状部36に上方から対向するための対向部とを備えても良い。
【0052】
図14は、測定装置40の他の例を説明するための平面図である。
図14に示す測定装置40は、測定器42が距離測定部51を更に備える点で、
図6から
図8に示す例或いは
図12及び
図13に示す例と相違する。距離測定部51は、かごドア12までの距離を測定するための手段の一例である。距離測定部51は、距離測定部45或いは46が有する機能と同様の機能を有する。
【0053】
例えば、距離測定部51は、本体44に支持され、本体44の側面から突出する。距離測定部51が本体44から突出する量は可変である。固定部材41が板状部36に固定されると、距離測定部51は、本体44からかご1側に向かって水平に突出するように配置される。
図14に示す例であれば、ローラ34とかごドア12との間に形成された隙間、或いは軸33がローラ34よりかごドア12側に突出する場合は軸33とかごドア12との間に形成された隙間の測定を更に行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 4 主ロープ、 5 巻上機、 6 駆動綱車、 7 制御装置、 8 機械室、 9 制御ケーブル、 10 電動機、 11 ドア組立、 12 かごドア、 13 ドアレール、 14 敷居、 15 ベーン、 15a 表面、 16 ベーン、 16a 表面、 17 ドアパネル、 18 ドアハンガー、 19 ドアローラ、 20 乗場、 21 ドア組立、 22 乗場ドア、 23 ドアレール、 24 敷居、 25 インターロック装置、 26 ドアパネル、 27 ドアハンガー、 28 ドアローラ、 29 軸、 30 ローラ、 31 回転部材、 32 ラッチ、 33 軸、 34 ローラ、 35 受け部材、 36 板状部、 36a 表面、 36b 表面、 36c 端面、 36d 端面、 36e 上端面、 40 測定装置、 41 固定部材、 42 測定器、 43 支持部材、 44 本体、 45 距離測定部、 45a ローラ、 46 距離測定部、 46a ローラ、 47 位置決め部材、 48a 対向部、 48b 対向部、 49a 対向部、 49b 対向部、 50a 対向部、 50b 対向部、 51 距離測定部