(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】食品包装装置及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20231205BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20231205BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20231205BHJP
B65B 11/54 20060101ALI20231205BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65D85/50 120
F25D25/00 G
F25D11/00 101A
B65B11/54
A23L3/36 Z
(21)【出願番号】P 2020026495
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大治
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
(72)【発明者】
【氏名】添田 舞子
(72)【発明者】
【氏名】小池 成彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 杏子
(72)【発明者】
【氏名】市村 一貴
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-18289(JP,U)
【文献】特開平9-77015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
F25D 25/00
F25D 11/00
B65B 11/54
A23L 3/36
B65B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口された箱状の内側収納部と、
前記内側収納部を前後方向に沿って引き出し可能に収容する外側収納部と、
前記外側収納部からの前記内側収納部の引き出し動作に応じて、前記上面の少なくとも一部を覆うようにして膜状の包装材を展開する包装材展開手段と、
前記外側収納部への前記内側収納部の押し込み動作に応じて、前記包装材展開手段により展開された前記包装材を切断する包装材切断手段と、を備えた食品包装装置。
【請求項2】
前記包装材展開手段は、
前記内側収納部及び前記外側収納部の両者の一方に設けられ、ロール状の前記包装材を収容する包装材収容手段と、
前記両者の他方に設けられ、前記包装材の一端を把持して前記引き出し動作に応じて前記包装材収容手段から引き出す包装材引出手段と、を備えた請求項1に記載の食品包装装置。
【請求項3】
前記包装材は、伸縮性を有する素材からなる請求項1又は請求項2に記載の食品包装装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食品包装装置を備えた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品包装装置及び冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、冷蔵庫の青果保管室(野菜室)の上面を鮮度保持フィルムで覆い密閉するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような技術においては、食品の収納部全体を密閉するため、収納部内の野菜から放出された水分により結露が発生し、収納部内の他の食品が傷みやすくなる。また、野菜の老化を促進するエチレンガスを多く含む野菜を一緒に保存すると、収納室内にエチレンガスが充満し、野菜の老化が促進されてしまう。一方、収納部への投入前に、個々の食品を食品用ラップフィルム等で包装するのは手間がかかり煩雑である。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、収納部への食品の投入時に当該食品を容易に個別包装し、食品から放出されるエチレンガス、水分等による収納部内の他の食品への悪影響を抑制できる食品包装装置及び冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る食品包装装置は、上面が開口された箱状の内側収納部と、前記内側収納部を前後方向に沿って引き出し可能に収容する外側収納部と、前記外側収納部からの前記内側収納部の引き出し動作に応じて、前記上面の少なくとも一部を覆うようにして膜状の包装材を展開する包装材展開手段と、前記外側収納部への前記内側収納部の押し込み動作に応じて、前記包装材展開手段により展開された前記包装材を切断する包装材切断手段と、を備える。
【0007】
また、本開示に係る冷蔵庫は、上記のように構成された食品包装装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る食品包装装置及び冷蔵庫によれば、収納部への食品の投入時に当該食品を容易に個別包装し、食品から放出されるエチレンガス、水分等による収納部内の他の食品への悪影響を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る食品包装装置を備えた冷蔵庫の正面図である。
【
図2】実施の形態1に係る食品包装装置を備えた冷蔵庫の縦断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る食品包装装置が設けられた野菜室の構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材保管部及びアームの構成を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材保管部、アーム及び内側収納部の要部の構成を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る食品包装装置のアームで包装材を把持した状態を模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材を展開せずに内側収納部を引き出した状態を模式的に示す上面図である。
【
図8】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材を展開した状態を模式的に示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材を展開した状態を模式的に示す上面図である。
【
図10】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材上に食品を置いた状態を模式的に示す断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材上に食品を置いて内側収納部を押し込んだ状態を模式的に示す断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材で食品を包んだ状態の要部を模式的に示す断面図である。
【
図13】実施の形態1に係る食品包装装置の食品を包んだ包装材を切断する際の要部を模式的に示す断面図である。
【
図14】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材による食品の包装が完了した状態の要部を模式的に示す断面図である。
【
図15】実施の形態1に係る食品包装装置の包装材による食品の包装が完了した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る食品包装装置及び冷蔵庫を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図15を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。
図1は食品包装装置を備えた冷蔵庫の正面図である。
図2は食品包装装置を備えた冷蔵庫の縦断面図である。
図3は食品包装装置が設けられた野菜室の構成を模式的に示す断面図である。
図4は食品包装装置の包装材保管部及びアームの構成を模式的に示す図である。
図5は食品包装装置の包装材保管部、アーム及び内側収納部の要部の構成を模式的に示す図である。
図6は食品包装装置のアームで包装材を把持した状態を模式的に示す図である。
図7は食品包装装置の包装材を展開せずに内側収納部を引き出した状態を模式的に示す上面図である。
図8は食品包装装置の包装材を展開した状態を模式的に示す断面図である。
図9は食品包装装置の包装材を展開した状態を模式的に示す上面図である。
図10は食品包装装置の包装材上に食品を置いた状態を模式的に示す断面図である。
図11は食品包装装置の包装材上に食品を置いて内側収納部を押し込んだ状態を模式的に示す断面図である。
図12は食品包装装置の包装材で食品を包んだ状態の要部を模式的に示す断面図である。
図13は食品包装装置の食品を包んだ包装材を切断する際の要部を模式的に示す断面図である。
図14は食品包装装置の包装材による食品の包装が完了した状態の要部を模式的に示す断面図である。そして、
図15は食品包装装置の包装材による食品の包装が完了した状態を模式的に示す断面図である。
【0012】
なお、各図においては、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、冷蔵庫又は食品包装装置を使用可能な状態に設置したときのものである。
【0013】
この実施の形態に係る冷蔵庫1は、
図2に示すように断熱箱体60を有している。断熱箱体60は、前面(正面)が開口されて内部に貯蔵空間が形成されている。断熱箱体60は、外箱、内箱及び断熱材を有している。外箱は鋼鉄製である。内箱は樹脂製である。内箱は外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば発泡ウレタン等であり、外箱と内箱との間の空間に充填されている。断熱箱体60の内部に形成された貯蔵空間は、1つ又は複数の仕切り部材により、食品を収納保存する複数の貯蔵室に区画されている。
【0014】
図1及び
図2に示すように、ここでは、冷蔵庫1は、複数の貯蔵室として、例えば、冷蔵室10、切替室20、製氷室30、野菜室40及び冷凍室50を備えている。これらの貯蔵室は、断熱箱体60において上下方向に4段構成となって配置されている。
【0015】
冷蔵室10は、断熱箱体60の最上段に配置されている。切替室20は冷蔵室10の下方における左右の一側に配置されている。切替室20の保冷温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかを選択して切り替えることができる。切替室20の保冷温度帯として選択可能な複数の温度帯は、例えば、冷凍温度帯(例えば-18℃程度)、冷蔵温度帯(例えば3℃程度)、チルド温度帯(例えば0℃程度)及びソフト冷凍温度帯(例えば-7℃程度)等である。製氷室30は、切替室20の側方に隣接して切替室20と並列に、すなわち、冷蔵室10の下方における左右の他側に配置されている。
【0016】
野菜室40は、切替室20及び製氷室30の下方に配置されている。野菜室40は、主に野菜等を収納するためのものである。冷凍室50は、野菜室40の下方の最下段に配置されている。冷凍室50は、主に貯蔵対象を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いるためのものである。
【0017】
冷蔵室10の前面に形成された開口部には、当該開口部を開閉する回転式の冷蔵室扉7が設けられている。ここでは、冷蔵室扉7は両開き式(観音開き式)であり、右扉7a及び左扉7bにより構成されている。冷蔵庫1の前面の冷蔵室扉7(例えば、左扉7b)の外側表面には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、操作部6a及び表示部6bを備えている。操作部6aは、各貯蔵室の保冷温度及び冷蔵庫1の動作モード(解凍モード等)を設定するための操作スイッチである。表示部6bは、各貯蔵室の温度等の各種情報を表示する液晶ディスプレイである。また、操作パネル6は、操作部6aと表示部6bを兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。
【0018】
冷蔵室10以外の各貯蔵室(切替室20、製氷室30、野菜室40及び冷凍室50)は、それぞれ引き出し式の扉によって開閉される。これらの引き出し式の扉は、扉に固定して設けられたフレームを各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに対してスライドさせることにより、冷蔵庫1の奥行方向(前後方向)に開閉できるようになっている。
【0019】
また、切替室20の内部及び冷凍室50の内部には、食品等を内部に収納できる切替室収納ケース21及び冷凍室収納ケース51がそれぞれ引き出し自在に格納されている。同様に、野菜室40内には、食品等を内部に収納できる野菜室収納ケース42が引き出し自在に格納されている。野菜室収納ケース42は、引き出し式の野菜室扉41と一体になっている。したがって、野菜室扉41の開閉に連動して、野菜室収納ケース42が野菜室40に対して出し入れされる。
【0020】
冷蔵庫1は、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する冷凍サイクル回路を備えている。冷凍サイクル回路は、圧縮機2、凝縮器(図示せず)、絞り装置(図示せず)及び冷却器3等によって構成されている。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を圧縮し吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって各貯蔵室へ供給する空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、冷蔵庫1の背面側の下部に配置される。
【0021】
冷蔵庫1には、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するための風路5が形成されている。この風路5は、主に冷蔵庫1内の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路の冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風ファン4も設置されている。
【0022】
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気(冷気)が風路5を通って冷凍室50、切替室20、製氷室30及び冷蔵室10へと送られ、これらの貯蔵室内を冷却する。野菜室40は、冷蔵室10からの戻り冷気を冷蔵室用帰還風路を介して野菜室40内に導入することで冷却される。野菜室40を冷却した冷気は、野菜室用帰還風路を通って冷却器3のある風路5内へと戻される(これらの帰還風路は図示せず)。そして、冷却器3によって再度冷却されて、冷蔵庫1内を冷気が循環される。
【0023】
風路5からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、図示しないダンパが設けられている。各ダンパは、風路5の各貯蔵室へと通じる箇所を開閉する。ダンパの開閉状態を変化させることで、各貯蔵室へと供給する冷気の送風量を調節することができる。また、冷気の温度は圧縮機2の運転を制御することで調節することができる。
【0024】
以上のようにして設けられた圧縮機2及び冷却器3からなる冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5及びダンパは、貯蔵室の内部を冷却する冷却手段を構成している。
【0025】
冷蔵庫1の例えば背面側の上部には、制御装置8が収容されている。制御装置8には、冷蔵庫1の動作に必要な各種の制御を実施するための制御回路等が備えられている。制御装置8が備える制御回路として、例えば、各貯蔵室内の温度及び操作パネル6に入力された情報等に基づいて圧縮機2及び送風ファン4の動作並びにダンパの開度を制御するための回路が挙げられる。すなわち、制御装置8は前述した冷却手段等を制御して、冷蔵庫1の動作を制御する。なお、各貯蔵室内の温度は、それぞれの貯蔵室に設置されたサーミスタ(図示せず)等により検知することができる。
【0026】
ここで説明する構成例では、
図2に示すように、冷蔵庫1の野菜室40に、この実施の形態に係る食品包装装置100が設けられている。
図3に示すように、食品包装装置100は、内側収納部101及び外側収納部102を備えている。ここで説明する構成例では、野菜室40の野菜室扉41及び野菜室収納ケース42が一体となって食品包装装置100の内側収納部101を構成している。内側収納部101は、上面が開口された箱状を呈する。
【0027】
また、ここで説明する構成例では、断熱箱体60の野菜室40を区画する部分が、食品包装装置100の外側収納部102を構成している。外側収納部102は、内側収納部101を前後方向に沿って引き出し可能に収容する。内側収納部101が外側収納部102の内側に収容された状態では、内側収納部101の上面に形成された開口が、外側収納部102の上面により閉塞される。
【0028】
内側収納部101の前面部には、取っ手140が設けられている。使用者は、取っ手140を持って手前に引くことで、内側収納部101を外側収納部102から容易に引き出すことができる。
【0029】
食品包装装置100は、包装材保管部110、アーム120及び包装材支持部130をさらに備えている。食品包装装置100の包装材保管部110、アーム120及び包装材支持部130は、野菜室40内の上部に設けられている。包装材保管部110は、内側収納部101及び外側収納部102の一方に設けられている。アーム120は、内側収納部101及び外側収納部102の他方に設けられている。ここで説明する構成例では、外側収納部102に包装材保管部110が設けられ、内側収納部101にアーム120が設けられている。
【0030】
図4に示すように、包装材保管部110は、包装材200を内部に収容している。包装材200は、薄い膜状(フィルム状)又はシート状を呈する食品用ラップフィルムである。包装材200の素材としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を挙げることができる。
【0031】
包装材保管部110は、中空の円筒状を呈する部材である。包装材保管部110には、円筒状の軸方向に沿って包装材引出口112が形成されている。包装材保管部110の包装材引出口112が形成された部分においては、円筒状の軸方向に垂直な断面形状がC字状になっている。包装材保管部110の内側には、芯111に巻き付けられたロール状の包装材200が収容されている。以上のように構成された包装材保管部110は、ロール状の包装材200を収容する包装材収容手段の一例である。
【0032】
包装材保管部110内の芯111に巻き付けられた包装材200の最外周の端部は、包装材引出口112から包装材保管部110の外部に引き出すことができる。そして、包装材200の端部をさらに引くことで、包装材保管部110内で芯111が回転し、包装材200が連続的に包装材保管部110の外部に引き出される。
【0033】
包装材引出口112の下縁部には、カッター113が固定されている。包装材保管部110は、前述した円筒状の軸を中心にして両方向に回転可能に設けられている。包装材引出口112から包装材200が引き出す際には、包装材保管部110の回転位置を、カッター113が包装材200に当たらないようにしておく。そして、包装材引出口112から包装材200が引き出されている状態で、包装材保管部110を回転させてカッター113を包装材200に押し当てることで、包装材保管部110内のロール状の包装材200から、包装材保管部110外の包装材200を切り離すことができる。
【0034】
アーム120の先端部は、包装材200の前述した最外周の端部を把持可能である。
図5に示すように、内側収納部101の取っ手140には、アーム動作用スイッチ141が設けられている。アーム動作用スイッチ141は、例えば、取っ手140における内側収納部101の前面に対向する位置に配置されている。外側収納部102から内側収納部101を引き出すために使用者が取っ手140を握り込むと、取っ手140を握り込んだ使用者の指により、アーム動作用スイッチ141が押されるようになっている。
【0035】
アーム120の把持動作は、アーム動作用スイッチ141に対する操作と連動している。すなわち、アーム動作用スイッチ141が押されていない状態では、アーム120の先端部は開いている。そして、
図6に示すように、アーム動作用スイッチ141が押されると、アーム120の先端部が閉じて包装材200の端部が把持される。
【0036】
以上のように構成された食品包装装置100において、
図3に示す状態からアーム動作用スイッチ141を押さずに外側収納部102から内側収納部101を引き出すと、
図7に示すように、包装材保管部110から包装材200が引き出されない。この状態では、内側収納部101内に容易に食品等を入れることができるとともに、内側収納部101内の食品等を容易に取り出すことが可能である。
【0037】
一方、
図3に示す状態でアーム動作用スイッチ141を押すと、
図6に示すように、アーム120の先端部が閉じて包装材200の端部が把持される。この状態でアーム動作用スイッチ141を押したまま、外側収納部102から内側収納部101を引き出すと、引き出し動作に応じてアーム120により包装材保管部110から包装材200が引き出される。そして、
図8に示すように、内側収納部101上面の開口を覆うようにして包装材200が展開されて張られた状態になる。
【0038】
ここで、内側収納部101の左右両側壁部の内面には、包装材支持部130が設けられている。包装材支持部130は、内側収納部101の側壁部に前後にわたって設けられている。包装材支持部130は、内側収納部101上面に展開された包装材200の左右の両端部分に下側から当接し得るように配置されている。内側収納部101上面に展開された包装材200は、包装材保管部110、アーム120及び包装材支持部130により、内側収納部101上面の開口面と平行な状態で保持される。
【0039】
以上のような包装材保管部110、アーム120及び包装材支持部130は、外側収納部102からの内側収納部101の引き出し動作に応じて、内側収納部101の上面を覆うようにして内側収納部101の上面の開口面と平行に包装材200を展開する包装材展開手段を構成している。また、アーム120は、包装材200の一端を把持して、外側収納部102からの内側収納部101の引き出し動作に応じて包装材保管部110から引き出す包装材引出手段である。なお、内側収納部101上面に展開された包装材200は、内側収納部101上面の全体でなく少なくとも一部を覆っていればよい。
【0040】
内側収納部101の上面に展開された包装材200の上に包装対象の食品を載せると、食品の重さで包装材200の左右両端部分が包装材支持部130から外れて、包装材200の食品が載せられた部分が下がる。そして、
図9、10に示すように、包装材保管部110から包装材200がさらに引き出されて包装材200が弛み、包装材200の食品が載せられた部分がさらに下がる。この状態から外側収納部102に内側収納部101を押し込んでいくと、
図11、12に示すように、包装材200がさらに弛んで、包装材200の食品が載せられた部分がさらに下がり、包装材200は、食品が載せられた部分を中心にして前後に折りたたまれた状態になる。
【0041】
この実施の形態の食品包装装置100においては、外側収納部102に内側収納部101が押し込まれて閉じる際に、この閉じる動きと連動して
図13の矢印で示す方向に包装材保管部110が回転するように構成されている。そして、この包装材保管部110の回転により、カッター113が包装材200に押し当てられ、包装材200が切り離される。カッター113は、外側収納部102への内側収納部101の押し込み動作に応じて、前述の包装材展開手段により展開された包装材200を切断する包装材切断手段である。
【0042】
そして、
図13の状態から外側収納部102に内側収納部101がさらに押し込まれて完全に閉じる時に、今度は切断時とは反対方向である
図14の矢印で示す方向に包装材保管部110が回転する。この包装材保管部110の回転により、包装材引出口112の上縁部で包装材200の切断された端部を押し下げ、包装材200の端部を次にアーム120で把持しやすいように位置合わせする。
【0043】
外側収納部102に内側収納部101が完全に収容された後、使用者が取っ手140から手を離す。すると、アーム動作用スイッチ141が押されていない状態になり、アーム120の先端部が開いて、掴まれていた包装材200の端部が放される。そして、
図14、15に示すように、包装材200による食品の包装が完了した状態で、食品が内側収納部101、すなわち野菜室40の野菜室収納ケース42内に食品が収納される。
【0044】
以上のように構成された食品包装装置100及びこれを備えた冷蔵庫1においては、取っ手140のアーム動作用スイッチ141を押しながら野菜室扉41を開けば、野菜室収納ケース42(内側収納部101)の上面に包装材200が張られる。そして、この包装材200の上から野菜等の食品を投入し、野菜室扉41を閉じれば、投入した食品が包装材200で包装された状態で野菜室40内に収納される。
【0045】
このため、収納部への食品の投入時に当該食品を容易に個別包装し、食品から放出されるエチレンガス、水分等による収納部内の他の食品への悪影響を抑制できる。また、野菜室扉41を開いた際、野菜室収納ケース42(内側収納部101)の上面の少なくとも一部が包装材200により覆われるため、野菜室40内の冷気が逃げにくくなる。このため、野菜室40の開閉時における野菜室40内の温度変化を抑制し、野菜室40内の温度を維持しやすくすることが可能である。
【0046】
さらに、野菜室扉41を開閉する際に、アーム動作用スイッチ141を押すのか押さないのかによって、包装材200を展開して野菜室40内への食品の投入時に当該食品を包装材200で包装するのか、それとも包装材200を展開せずに単に野菜室40内に食品を出し入れするのかを、容易に切り換えることができる。
【0047】
なお、包装材200に用いる素材は、伸縮性を有するものにするとよい。包装材200に伸縮性を有する素材を用いることで、食品の外形等に応じて包装材200が変形し、包装材200で食品を包装しやすくなる。また、包装された食品が内側収納部101の底に当たる際の衝撃を、伸縮性のある包装材200で緩和することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 冷蔵庫
2 圧縮機
3 冷却器
4 送風ファン
5 風路
6 操作パネル
7 冷蔵室扉
7a 右扉
7b 左扉
8 制御装置
10 冷蔵室
20 切替室
21 切替室収納ケース
30 製氷室
40 野菜室
41 野菜室扉
42 野菜室収納ケース
50 冷凍室
51 冷凍室収納ケース
60 断熱箱体
100 食品包装装置
101 内側収納部
102 外側収納部
110 包装材保管部
111 芯
112 包装材引出口
113 カッター
120 アーム
130 包装材支持部
140 取っ手
141 アーム動作用スイッチ
200 包装材