(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】コネクタ付き多心ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01R 13/56 20060101AFI20231205BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231205BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01R13/56
H01B7/00 306
H01R13/46 F
(21)【出願番号】P 2020051347
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】横田 直茂
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532281(JP,A)
【文献】特開2019-200992(JP,A)
【文献】特開2005-129355(JP,A)
【文献】特開2012-089300(JP,A)
【文献】米国特許第05346406(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/00-13/533
H01R13/56-13/72
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多心ケーブルと、
前記多心ケーブルの長手方向に軸方向を有し、前記多心ケーブルの一端に接続されたコネクタと、
を有し、
前記コネクタは、
前記軸方向の一方の端部に開口部を備えた筒状の周壁部と、前記周壁部の他方の端部に連なり、第2貫通孔を備えた第2壁部と、を有するブーツと、
前記一方の端部に連結されたストレインリリーフと、
前記第2貫通孔に挿入された挿入端子と、
を有し、
前記ブーツの第1材料の第1弾性率は、前記ストレインリリーフの第2材料の第2弾性率より高く、
前記ストレインリリーフは、
前記多心ケーブルが挿入される第1貫通孔を備え、前記開口部を塞ぐ第1壁部と、
前記第1壁部に連なり、前記第1壁部内に挿入される第1固定部と、
前記第1壁部に連なり、前記第1固定部に対向し、前記第1壁部内に挿入される第2固定部と、
を有し、
前記周壁部は、第1凸部及び第2凸部を有し、
前記第1固定部は、前記第1凸部が嵌る第1凹部を有し、
前記第2固定部は、前記第2凸部が嵌る第2凹部を有し、
前記軸方向に垂直な断面視において、
前記多心ケーブルは、前記第1固定部と前記第2固定部との間に配置され、
前記第1固定部及び前記第2固定部は、U字状の形状を有し、
前記第1固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持し、
前記第2固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持するコネクタ付き多心ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ付き多心ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器間の伝送に用いられるコネクタ付き多心ケーブルとして、コネクタにストレインリリーフが設けられたコネクタ付き多心ケーブルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の多心ケーブルによれば所期の目的は達成できるものの、優れた強度が得にくい。
【0005】
本開示は、優れた強度が得られるコネクタ付き多心ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ付き多心ケーブルは、多心ケーブルと、前記多心ケーブルの長手方向に軸方向を有し、前記多心ケーブルの一端に接続されたコネクタと、を有し、前記コネクタは、前記軸方向の一方の端部に開口部を備えた筒状の周壁部を有する第1外装と、前記一方の端部に連結された第2外装と、を有し、前記第2外装は、前記多心ケーブルが挿入される第1貫通孔を備えた第1壁部と、前記第1壁部に連なり、前記第1壁部内に挿入される第1固定部と、前記第1壁部に連なり、前記第1固定部に対向し、前記第1壁部内に挿入される第2固定部と、を有し、前記コネクタは、前記第1固定部と前記周壁部とを互いにスナップフィット結合する第1スナップフィット機構と、前記第2固定部と前記周壁部とを互いにスナップフィット結合する第2スナップフィット機構と、を有し、前記軸方向に垂直な断面視において、前記多心ケーブルは、前記第1固定部と前記第2固定部との間に配置され、前記第1固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持し、前記第2固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、優れた強度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブルを示す上面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブルを示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるブーツを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるブーツを示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるブーツを示す断面図(その1)である。
【
図6】
図6は、実施形態におけるブーツを示す断面図(その2)である。
【
図7】
図7は、実施形態におけるストレインリリーフを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態におけるストレインリリーフを示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態におけるストレインリリーフを示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態におけるコネクタを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態におけるコネクタを示す断面図(その1)である。
【
図12】
図12は、実施形態におけるコネクタを示す断面図(その2)である。
【
図13】
図13は、変形例におけるコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係るコネクタ付き多心ケーブルは、多心ケーブルと、前記多心ケーブルの長手方向に軸方向を有し、前記多心ケーブルの一端に接続されたコネクタと、を有し、前記コネクタは、前記軸方向の一方の端部に開口部を備えた筒状の周壁部を有する第1外装と、前記一方の端部に連結された第2外装と、を有し、前記第2外装は、前記多心ケーブルが挿入される第1貫通孔を備えた第1壁部と、前記第1壁部に連なり、前記第1壁部内に挿入される第1固定部と、前記第1壁部に連なり、前記第1固定部に対向し、前記第1壁部内に挿入される第2固定部と、を有し、前記コネクタは、前記第1固定部と前記周壁部とを互いにスナップフィット結合する第1スナップフィット機構と、前記第2固定部と前記周壁部とを互いにスナップフィット結合する第2スナップフィット機構と、を有し、前記軸方向に垂直な断面視において、前記多心ケーブルは、前記第1固定部と前記第2固定部との間に配置され、前記第1固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持し、前記第2固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持する。
【0012】
コネクタは、第1外装と第2外装とを有し、第2外装は多心ケーブルが挿入される第1貫通孔を備えた第1壁部を有する。このため、第2外装により曲げ性を確保し、第1外装により強度を確保するように構成できる。また、第1外装の周壁部と第2外装の第1固定部とが第1スナップフィット機構により互いにスナップフィット結合され、第1外装の周壁部と第2外装の第2固定部とが第2スナップフィット機構により互いにスナップフィット結合されるため、第1外装と第2外装とを強固に結合できる。従って、例えば多心ケーブルにコネクタから引き抜く方向の応力が作用しても、第1外装と第2外装との間での分離を抑制できる。更に、第1固定部が多心ケーブルの2か所を支持し、第2固定部が多心ケーブルの2か所を支持するため、コネクタ内での多心ケーブルの位置の変動を抑制できる。このため、多心ケーブルに曲げ応力が作用しても、コネクタ内での多心ケーブルの断線等を抑制できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第1スナップフィット機構は、前記周壁部に設けられた第1凸部と、前記第1固定部に設けられ、前記第1凸部が嵌る第1凹部と、を有してもよい。この場合、第1固定部の第1凹部に周壁部の第1凸部が嵌って、周壁部と第1固定部とが強固に結合される。
【0014】
〔3〕 〔1〕において、前記第1スナップフィット機構は、前記周壁部に設けられた第1凹部と、前記第1固定部に設けられ、前記第1凹部に嵌る第1凸部と、を有してもよい。この場合、周壁部の第1凹部に第1固定部の第1凸部が嵌って、周壁部と第1固定部とが強固に結合される。
【0015】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記第2スナップフィット機構は、前記周壁部に設けられた第2凸部と、前記第2固定部に設けられ、前記第2凸部が嵌る第2凹部と、を有してもよい。この場合、第2固定部の第2凹部に周壁部の第2凸部が嵌って、周壁部と第2固定部とが強固に結合される。
【0016】
〔5〕 〔1〕~〔3〕において、前記第2スナップフィット機構は、前記周壁部に設けられた第2凹部と、前記第2固定部に設けられ、前記第2凹部に嵌る第2凸部と、を有してもよい。この場合、周壁部の第2凹部に第2固定部の第2凸部が嵌って、周壁部と第2固定部とが強固に結合される。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記軸方向に垂直な断面視において、U字状の形状を有してもよい。この場合、第1固定部が多心ケーブルの2か所を支持しやすく、第2固定部が多心ケーブルの2か所を支持しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記開口部は前記第1壁部により塞がれてもよい。この場合、外部からコネクタ内への異物等の混入を抑制できる。
【0019】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記コネクタは、前記第1外装内に設けられ、前記多心ケーブルの一端が接続される基板を有してもよい。この場合、多心ケーブルを介して伝送される信号等を基板で引き回すことができる。
【0020】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記第1外装は、前記周壁部の他方の端部に連なり、第2貫通孔を備えた第2壁部を有し、前記コネクタは、前記第2貫通孔に挿入された挿入端子を有してもよい。この場合、挿入端子により外部機器等にコネクタを挿入できる。
【0021】
〔10〕 〔1〕~〔9〕において、前記第1外装の第1材料の第1弾性率は、前記第2外装の第2材料の第2弾性率より高くてもよい。この場合、第1外装により優れた強度を得、第2外装により優れた曲げ性を得ることができる。
【0022】
〔11〕 本開示の他の一態様に係るコネクタ付き多心ケーブルは、多心ケーブルと、前記多心ケーブルの長手方向に軸方向を有し、前記多心ケーブルの一端に接続されたコネクタと、を有し、前記コネクタは、前記軸方向の一方の端部に開口部を備えた筒状の周壁部と、前記周壁部の他方の端部に連なり、第2貫通孔を備えた第2壁部と、を有するブーツと、前記一方の端部に連結されたストレインリリーフと、前記第2貫通孔に挿入された挿入端子と、を有し、前記ブーツの第1材料の第1弾性率は、前記ストレインリリーフの第2材料の第2弾性率より高く、前記ストレインリリーフは、前記多心ケーブルが挿入される第1貫通孔を備え、前記開口部を塞ぐ第1壁部と、前記第1壁部に連なり、前記第1壁部内に挿入される第1固定部と、前記第1壁部に連なり、前記第1固定部に対向し、前記第1壁部内に挿入される第2固定部と、を有し、前記周壁部は、第1凸部及び第2凸部を有し、前記第1固定部は、前記第1凸部が嵌る第1凹部を有し、前記第2固定部は、前記第2凸部が嵌る第2凹部を有し、前記軸方向に垂直な断面視において、前記多心ケーブルは、前記第1固定部と前記第2固定部との間に配置され、前記第1固定部及び前記第2固定部は、U字状の形状を有し、前記第1固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持し、前記第2固定部は、前記多心ケーブルの2か所を支持する。
【0023】
この場合、ストレインリリーフにより曲げ性を確保し、ブーツにより強度を確保できる。また、ブーツとストレインリリーフとを強固に結合できる。従って、例えば多心ケーブルにコネクタから引き抜く方向の応力が作用しても、ブーツとストレインリリーフとの間での分離を抑制できる。更に、コネクタ内での多心ケーブルの位置の変動を抑制できる。このため、多心ケーブルに曲げ応力が作用しても、コネクタ内での多心ケーブルの断線等を抑制できる。また、外部からコネクタ内への異物等の混入を抑制でき、挿入端子により外部機器等にコネクタを挿入できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0025】
〔多心ケーブルの構成〕
まず、実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブルの構成について説明する。
図1は、実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブルを示す上面図である。
図2は、実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブルを示す側面図である。
【0026】
本実施形態に係るコネクタ付き多心ケーブル1は、例えば、電子機器(図示省略)同士を接続するケーブルとして用いることができる。なお、
図1等に示すU、D、F、B、R、Lはコネクタ付き多心ケーブル1における方向を示すものであり、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Rは右方、Lは左方である。
図2は左方Lからの側面視による側面図である。
【0027】
コネクタ付き多心ケーブル1は、
図1及び
図2に示すように、多心ケーブル2と、多心ケーブル2の前方F側の端部に接続された第1コネクタ3と、多心ケーブル2の後方B側の端部に接続された第2コネクタ4とを有する。
【0028】
〔コネクタの構成〕
次に、第1コネクタ3及び第2コネクタ4の構成について説明する。第1コネクタ3及び第2コネクタ4は、
図1及び
図2に示すように、それぞれ、ブーツ100とストレインリリーフ200とを有する。第1コネクタ3において、ストレインリリーフ200はブーツ100の後方B側に設けられ、第2コネクタ4において、ストレインリリーフ200はブーツ100の前方F側に設けられる。
【0029】
〔ブーツの構成〕
次に、ブーツ100の構成について説明する。第2コネクタ4のブーツ100は、多心ケーブル2を基準とした向きを除き、第1コネクタ3のブーツ100と同様の構成を有する。このため、ここでは、第1コネクタ3のブーツ100の構成について詳細に説明し、第2コネクタ4のブーツ100の構成についての説明は省略する。
図3は、ブーツ100を示す斜視図である。
図4は、ブーツ100を示す側面図である。
図5及び
図6は、ブーツ100を示す断面図である。
図4は後方Bからの側面視による側面図である。
図5は、
図3及び
図4中のV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図3及び
図4中のVI-VI線に沿った断面図である。
【0030】
図4~
図6に示すように、ブーツ100は、FB方向の後方B側の端部に開口部110Xを備えた筒状の周壁部110を有する。ブーツ100は、更に、周壁部110の他方の端部に連なる前壁部120を有する。前壁部120は、コネクタプラグ6が挿入される貫通孔120Xを備える。FB方向は軸方向の一例である。前壁部120は第2壁部の一例である。貫通孔120Xは第2貫通孔の一例である。コネクタプラグ6は挿入端子の一例である。
【0031】
周壁部110は、RL方向に垂直な第1側壁111と、RL方向に垂直な第2側壁112、UD方向に垂直な第3側壁113と、UD方向に垂直な第4側壁114とを有する。第2側壁112は第1側壁111の左方L側に設けられ、第4側壁114は第3側壁113の下方D側に設けられる。第1側壁111が第3側壁113及び第4側壁114と連なる。第2側壁112が第3側壁113及び第4側壁114と連なる。
【0032】
第1側壁111の内壁面111Aに第1凸部131が設けられている。第1凸部131は、内壁面111Aに対して傾斜した傾斜面131Aを備える楔形の形状を有している。傾斜面131Aは、後方Bほど内壁面111Aに近づくように傾斜している。
【0033】
第2側壁112の内壁面112Aに第2凸部132が設けられている。第2凸部132は、内壁面112Aに対して傾斜した傾斜面132Aを備える楔形の形状を有している。傾斜面132Aは、後方Bほど内壁面112Aに近づくように傾斜している。
【0034】
第1凸部131及び第2凸部132は、例えば周壁部110の後方B側の端部近傍に設けられている。
【0035】
貫通孔120Xは、前方Fからの側面視で角丸長方形の形状を有してもよい。すなわち、例えば、貫通孔120Xの前方Fからの側面視での平面形状は、互いに平行な2つの線分と、これら2つの線分を結ぶ外側に凸となる2つの半円とを含んでもよい。
【0036】
〔ストレインリリーフの構成〕
次に、ストレインリリーフ200の構成について説明する。第2コネクタ4のストレインリリーフ200は、多心ケーブル2を基準とした向きを除き、第1コネクタ3のストレインリリーフ200と同様の構成を有する。このため、ここでは、第1コネクタ3のストレインリリーフ200の構成について詳細に説明し、第2コネクタ4のストレインリリーフ200の構成についての説明は省略する。
図7は、ストレインリリーフ200を示す斜視図である。
図8は、ストレインリリーフ200を示す側面図である。
図9は、ストレインリリーフ200を示す断面図である。
図8は左方Lからの側面視による側面図である。
図9は、
図7及び
図8中のIX-IX線に沿った断面図である。
【0037】
図7~
図9に示すように、ストレインリリーフ200は、多心ケーブル2が挿入される貫通孔250Xを備えた後壁部250を有する。ストレインリリーフ200は、更に、後壁部250に連なる第1固定部210と、後壁部250に連なる第2固定部220とを有する。第2固定部220は第1固定部210の左方L側に設けられ、第1固定部210に対向している。第1固定部210及び第2固定部220はブーツ100の周壁部110内に挿入される。後壁部250は第1壁部の一例である。貫通孔250Xは第1貫通孔の一例である。
【0038】
第1固定部210は、FB方向に垂直な断面視において、U字状の形状を有する。例えば、第1固定部210は、法線がRL方向を向きFB方向に延びる横板部211と、法線がUD方向を向き横板部211の上方U側の端部に連なる上板部212と、法線がUD方向を向き横板部211の下方D側の端部に連なる下板部213とを有する。上板部212及び下板部213は横板部211から左方L側に延びる。横板部211の右方R側の側面211Aに第1凹部231が設けられている。第1凹部231は、側面211Aに対して傾斜した傾斜面231Aを備える。傾斜面231Aは、後方Bほど側面211Aに近づくように傾斜している。第1凹部231に第1凸部131が嵌り、傾斜面231Aに傾斜面131Aが接触する。
【0039】
第2固定部220は、FB方向に垂直な断面視において、U字状の形状を有する。例えば、第2固定部220は、法線がRL方向を向きFB方向に延びる横板部221と、法線がUD方向を向き横板部221の上方U側の端部に連なる上板部222と、法線がUD方向を向き横板部221の下方D側の端部に連なる下板部223とを有する。上板部222及び下板部223は横板部221から右方R側に延びる。横板部221の左方L側の側面221Aに第2凹部232が設けられている。第2凹部232は、側面221Aに対して傾斜した傾斜面232Aを備える。傾斜面232Aは、後方Bほど側面221Aに近づくように傾斜している。第2凹部232に第2凸部132が嵌り、傾斜面232Aに傾斜面132Aが接触する。
【0040】
例えば、上板部212の左方L側の先端212Aと上板部222の左方L側の先端222Aとが対向し、下板部213の左方L側の先端213Aと下板部223の右方R側の先端222Aとが対向する。
【0041】
〔コネクタの構成〕
次に、コネクタの構成について説明する。第2コネクタ4は、多心ケーブル2を基準とした向きを除き、第1コネクタ3と同様の構成を有する。このため、ここでは、第1コネクタ3の構成について詳細に説明し、第2コネクタ4の構成についての説明は省略する。
図10は、第1コネクタ3を示す斜視図である。
図11及び
図12は、第1コネクタ3を示す断面図である。
図11は、
図10中のXI-XI線に沿った断面図である。
図12は、
図10中のXII-XII線に沿った断面図である。
【0042】
図10~
図12に示すように、第1固定部210の第1凹部231に第1側壁111の第1凸部131が嵌り、第1固定部210と周壁部110とが互いにスナップフィット結合されている。第2固定部220の第2凹部232に第2側壁112の第2凸部132が嵌り、第2固定部220と周壁部110とが互いにスナップフィット結合されている。後壁部250が周壁部110の後方B側の端部に接触し、周壁部110の開口部110Xが後壁部250により塞がれる。第1凸部131と第1凹部231とが第1スナップフィット機構31に含まれる。第2凸部132と第2凹部232とが第2スナップフィット機構32に含まれる。
【0043】
ブーツ100内に基板5が設けられている。多心ケーブル2が貫通孔250Xを貫通している。多心ケーブル2の前方F側の端部はブーツ100内にある。ブーツ100内で多心ケーブル2の外被が剥され、外被が剥された部分において、多心ケーブル2に含まれる複数の電線21の配列がモールド22により整えられている。そして、複数の電線21がモールド22の前方F側で基板5に接続されている。
【0044】
第1コネクタ3は、前壁部120の貫通孔120Xに挿入されたコネクタプラグ6を有する。コネクタプラグ6はブーツ100内で基板5に接続される。
【0045】
基板5は、複数の電線21が接続される複数の第1パッド(図示省略)と、コネクタプラグ6が接続される第2パッド(図示省略)と、複数の第1パッドと複数の第2パッドとを接続する配線とを有する。
【0046】
モールド22の後方B側で、多心ケーブル2は、
図12に示すように、FB方向に垂直な断面視において、第1固定部210と第2固定部220との間に配置される。そして、多心ケーブル2は、上板部212の先端212Aの近傍と、下板部213の先端213Aの近傍と、上板部222の先端222Aの近傍と、下板部223の先端223Aの近傍とにより支持される。つまり、FB方向に垂直な断面視において、第1固定部210は、多心ケーブル2の2か所を支持し、第2固定部220は、多心ケーブル2の2か所を支持する。
【0047】
第1固定部210と周壁部110との間に接着剤が設けられてもよく、第2固定部220と周壁部110との間に接着剤が設けられてもよい。また、先端212A、213A、222A及び223Aと多心ケーブル2との間に接着剤が設けられてもよい。
【0048】
ブーツ100の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)を用いることができる。ストレインリリーフ200の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性Eラストマーを用いることができる。ブーツ100の材料の第1弾性率は、ストレインリリーフ200の材料の第2弾性率より高いことが好ましい。ブーツ100よりもストレインリリーフ200が変形しやすくなり、多心ケーブル2の変形に追従しやすくなるためである。
【0049】
本実施形態では、第1コネクタ3及び第2コネクタ4がブーツ100とストレインリリーフ200とを有し、ストレインリリーフ200は多心ケーブル2が挿入される貫通孔250Xを備えた後壁部250を有する。このため、ストレインリリーフ200により曲げ性を確保し、ブーツ100により強度を確保するように構成できる。また、ブーツ100の周壁部110とストレインリリーフ200の第1固定部210とが第1スナップフィット機構31により互いにスナップフィット結合され、周壁部110と第2固定部220とが第2スナップフィット機構32により互いにスナップフィット結合される。このため、ブーツ100とストレインリリーフ200とを強固に結合できる。従って、例えば多心ケーブルにコネクタから引き抜く方向の応力が作用しても、ブーツ100とストレインリリーフ200との間での分離を抑制できる。更に、第1固定部210が多心ケーブル2の2か所を支持し、第2固定部220が多心ケーブル2の2か所を支持する。このため、第1コネクタ3及び第2コネクタ4内での多心ケーブル2の位置の変動を抑制できる。従って、多心ケーブル2に曲げ応力が作用しても、第1コネクタ3及び第2コネクタ4内での多心ケーブル2の断線等を抑制できる。
【0050】
周壁部110に第1凸部131及び第2凸部132が設けられ、第1固定部210に第1凹部231が設けられ、第2固定部220に第2凹部232が設けられている。このため、周壁部110と第1固定部210及び第2固定部220とが強固に結合される。
【0051】
第1固定部210及び第2固定部220がFB方向に垂直な断面視において、U字状の形状を有しているため、第1固定部210が多心ケーブルの2か所を支持しやすく、第2固定部220が多心ケーブルの2か所を支持しやすい。
【0052】
周壁部110の開口部110Xが後壁部250により塞がれているため、外部から第1コネクタ3及び第2コネクタ4内への異物等の混入を抑制できる。
【0053】
ブーツ100内に、多心ケーブル2の一端が接続される基板5が設けられているため、多心ケーブル2を介して伝送される信号等を基板5で引き回すことができる。基板5に信号処理回路等が設けられていれば、多心ケーブル2を介して伝送される信号の処理を行うこともできる。
【0054】
第1コネクタ3及び第2コネクタ4に、貫通孔120Xに挿入されたコネクタプラグ6が設けられているため、コネクタプラグ6により外部機器等に第1コネクタ3及び第2コネクタ4を挿入できる。
【0055】
ブーツ100の第1材料の第1弾性率が、ストレインリリーフ200の第2材料の第2弾性率より高いため、ブーツ100により優れた強度を得、ストレインリリーフ200により優れた曲げ性を得ることができる。
【0056】
〔変形例〕
上記の実施形態では、第1スナップフィット機構31が、第1側壁111に設けられた第1凸部131と、第1固定部210に設けられた第1凹部231とを有する。また、第2スナップフィット機構32が、第2側壁112に設けられた第2凸部132と、第2固定部220に設けられた第2凹部232とを有する。これに対し、スナップフィット機構が、ブーツ100の周壁部110に設けられた凹部と、ストレインリリーフ200の第1固定部210、第2固定部220に設けられた凸部とを有してもよい。
図13は、変形例における第1コネクタ3を示す断面図である。
【0057】
この変形例では、第1側壁111に第1凹部141が設けられ、第2側壁112に第2凹部142が設けられ、第1固定部210に第1凸部241が設けられ、第2固定部220に第2凸部242が設けられている。第1側壁111の第1凹部141と、第1固定部210の第1凸部241とが第1スナップフィット機構41に含まれる。第2側壁112の第2凹部142と、第2固定部220の第2凸部242とが第2スナップフィット機構42に含まれる。第1スナップフィット機構41は、第1スナップフィット機構31における第1凸部131及び第1凹部231の配置が入れ替わった構成と等価な構成を有する。第2スナップフィット機構42は、第2スナップフィット機構32における第2凸部132及び第2凹部232の配置が入れ替わった構成と等価な構成を有する。
【0058】
この変形例によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
第1スナップフィット機構31と第2スナップフィット機構42との組み合わせが設けられていてもよく、第1スナップフィット機構41と第2スナップフィット機構32との組み合わせが設けられていてもよい。
【0060】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。例えば、特定の規格に従ったコネクタ付き多心ケーブルに限らず、種々のコネクタ付き多心ケーブルに適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1:コネクタ付き多心ケーブル
2:多心ケーブル
3:第1コネクタ
4:第2コネクタ
5:基板
6:コネクタプラグ(挿入端子)
21:電線
22:モールド
31、41:第1スナップフィット機構
32、42:第2スナップフィット機構
100:ブーツ
110:周壁部
110X:開口部
111:第1側壁
111A:内壁面
112:第2側壁
112A:内壁面
113:第3側壁
114:第4側壁
120:前壁部(第2壁部)
120X:貫通孔(第2貫通孔)
131:第1凸部
131A:傾斜面
132:第2凸部
132A:傾斜面
141:第1凹部
142:第2凹部
200:ストレインリリーフ
210:第1固定部
211:横板部
211A:側面
212:上板部
212A:先端
213:下板部
213A:先端
220:第2固定部
221:横板部
221A:側面
222:上板部
222A:先端
223:下板部
223A:先端
231:第1凹部
231A:傾斜面
232:第2凹部
232A:傾斜面
241:第1凸部
242:第2凸部
250:後壁部(第1壁部)
250X:貫通孔(第1貫通孔)