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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】検査装置、検査プログラム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231205BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20231205BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G06T7/90 A
G01N21/88 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020056586
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157452
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】角森 隆也
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086914(JP,A)
【文献】特開2012-242233(JP,A)
【文献】特開2014-136353(JP,A)
【文献】特開2014-215233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 7/90
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割する分割部と、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する分類部と、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出する算出部と、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出部により算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する比較部と
を有する検査装置。
【請求項2】
前記比較部は、
グループごとに比較した結果、いずれかのグループにおいて、各色の画素数の割合の差が所定の閾値以上であると判定した場合、前記検査対象の物品が不合格であると判定する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記比較部は、
グループごとに比較した結果、全てのグループにおいて、各色の画素数の割合の差が所定の閾値未満であると判定した場合、前記検査対象の物品が合格であると判定する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記比較部は、
複数のモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合に対して、前記検査対象の物品が合格であると判定した場合、各グループの各色の画素数の割合の差が最小となるモデル画像を特定することで、前記検査対象の物品のグレードを判定する、請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、所定の画素数ごとの部分画像に分割し、各部分画像に含まれる所定数の画素の画素値をまとめて1の画素値を算出することで、前記物品の外接矩形領域を圧縮する圧縮部を更に有し、
前記算出部は、
前記部分画像を1画素として、前記画素数の割合を算出する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記圧縮部により圧縮された物品の外接矩形領域に含まれる各部分画像の画素値を、該画素値が属する階調範囲において予め定められた代表値に変換する変換部を更に有し、
前記算出部は、前記代表値に変換された色ごとに集計することで、前記各色の画素数の割合を算出する、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割し、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類し、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出し、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する、
処理をコンピュータに実行させるための検査プログラム。
【請求項8】
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割し、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類し、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出し、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する、
処理をコンピュータが実行する検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、検査プログラム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の物品(例えば、果物、野菜、パン、花等の物品)を出荷する際の外観検査においては、当該物品の外観の色に着目して、合否の判定が行われている。このため、当該物品の外観検査を行う検査装置では、例えば、当該物品を撮影した対象画像を、所定のモデル画像(合格と判定される物品を予め撮影した画像)とマッチングさせることで、合否の判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-4612号公報
【文献】特表2004-502250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような物品の場合、外観検査において合格と判定される物品であっても、外観の色は均一ではない。例えば、パンの焼きムラや、花の模様などのように外観の色には一定程度の個体差があり、完全に同じ色が再現されることがないからである。このため、所定のモデル画像とマッチングさせる検査方法では、検査精度に限界がある。加えて、上記のような物品の場合、物品全体の外観を比較しても、局所的な異常が物品の個体差に埋もれ、検出されにくいといった問題もある。
【0005】
一つの側面では、物品の外観検査において、検査精度の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、検査装置は、
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割する分割部と、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する分類部と、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出する算出部と、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出部により算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する比較部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
物品の外観検査において、検査精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】検査システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】検査装置の生成部の機能構成の一例を示す図である。
図4】画像データ取得部、圧縮部、RGB値変換部の処理の具体例を示す図である。
図5】領域分割部の処理の具体例を示す図である。
図6】グループ生成部の処理の具体例を示す第1の図である。
図7】色彩割合算出部の処理の具体例を示す図である。
図8】登録部の処理の具体例を示す図である。
図9】検査装置の判定部の機能構成の一例を示す図である。
図10】比較部の処理の具体例を示す図である。
図11】比較結果の一例を示す図である。
図12】基準データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
図13】判定処理の流れを示すフローチャートである。
図14】グループ生成部の処理の具体例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<検査システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係る検査装置を含む検査システムのシステム構成について説明する。図1は、検査システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、検査システム100は、撮像装置110と、検査装置120とを有する。撮像装置110と検査装置120とは、有線または無線を介して接続される。
【0012】
撮像装置110は、合格と判定される物品を予め撮影したモデル画像を含む画像データを、検査装置120に送信する。また、撮像装置110は、検査対象の物品141、142、143、・・・等を撮影した対象画像を含む画像データを、検査装置120に送信する。なお、第1の実施形態において、検査対象の物品141、142、143、・・・等は、"果物"であり、搬送装置130により、撮像装置110の撮影範囲まで搬送されるものとする。
【0013】
検査装置120は、撮像装置110より送信される画像データを処理する。検査装置120には、生成プログラムと判定プログラムとを含む検査プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、検査装置120は、生成部121、判定部122として機能する。
【0014】
生成部121は、画像データに含まれるモデル画像に基づいて、基準データを生成する。また、生成部121は、生成した基準データを、基準データ格納部123に格納する。
【0015】
判定部122は、画像データに含まれる対象画像に基づいて、検査対象の物品の合否を判定する。なお、判定部122は、検査対象の物品の合否を判定する際、基準データ格納部123に格納された基準データを参照する。
【0016】
<検査装置のハードウェア構成>
次に、検査装置120のハードウェア構成について説明する。図2は、検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、検査装置120は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。CPU201、ROM202、RAM203は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0017】
また、検査装置120は、補助記憶装置204、操作装置205、表示装置206、I/F(Interface)装置207、ドライブ装置208を有する。なお、検査装置120の各ハードウェアは、バス209を介して相互に接続されている。
【0018】
CPU201は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラム(例えば、生成プログラムと判定プログラムとを含む検査プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0019】
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM202はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する。
【0020】
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0021】
補助記憶装置204は、各種プログラムや、各種プログラムが実行されることで生成されるデータ等を格納する補助記憶デバイスである。例えば、基準データ格納部123は、補助記憶装置204において実現される。
【0022】
操作装置205は、検査装置120の管理者が検査装置120に対して各種指示を入力するための入力デバイスである。表示装置206は、検査装置120の内部状態等を表示する表示デバイスである。I/F装置207は、撮像装置110と接続するための接続デバイスである。
【0023】
ドライブ装置208は、記録媒体210をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体210には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体210には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0024】
なお、ドライブ装置208は、補助記憶装置204に各種プログラムをインストールする際に用いられてもよい。具体的には、検査装置120の管理者が、配布された記録媒体210をドライブ装置208にセットし、該記録媒体210に記録された各種プログラムをドライブ装置208が読み出すことで、補助記憶装置204に各種プログラムがインストールされてもよい。
【0025】
<検査装置の生成部の機能構成>
次に、検査装置120の生成部121の機能構成について説明する。図3は、検査装置の生成部の機能構成の一例を示す図である。図3に示すように、生成部121は、画像データ取得部301、圧縮部302、RGB値変換部303、領域分割部304、グループ生成部305、色彩割合算出部306、登録部307を有する。
【0026】
画像データ取得部301は、撮像装置110より送信された画像データのうち、モデル画像を取得し、取得したモデル画像より、合格と判定される物品の外接矩形領域を抽出することで、矩形画像を出力する。
【0027】
圧縮部302は、矩形画像を所定の画素数の部分画像に分割し、各部分画像に含まれる所定数の画素をまとめて1画素とする。このとき、圧縮部302は、各部分画像について、各部分画像に含まれる所定数の画素の画素値を用いて1の画素値(RGB値)を算出する。これにより、圧縮部302は、矩形画像を、各部分画像を1画素とする画像に圧縮し、圧縮済みの矩形画像を生成する。
【0028】
RGB値変換部303は、圧縮済みの矩形画像について、各部分画像の画素値(RGB値)を変換し、色変換済みの矩形画像を生成する。また、RGB値変換部303は、色変換済みの矩形画像を、領域分割部304に通知する。
【0029】
領域分割部304は、色変換済みの矩形画像を複数の領域画像(所定数の部分画像を含む)に領域分割する。また、領域分割部304は、矩形画像を領域分割することで得た複数の領域画像を、グループ生成部305に通知する。
【0030】
グループ生成部305は、領域分割部304より通知された複数の領域画像を、矩形画像の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する。また、グループ生成部305は、各グループに分類した各領域画像を、色彩割合算出部306に通知する。
【0031】
色彩割合算出部306は、各グループに分類された領域画像に含まれる複数の画素(部分画像)を、色ごとに集計する(グループごとに各色の画素数(部分画像数)を算出する)。これにより、色彩割合算出部306では、各グループの各色の画素数(部分画像数)の割合(色彩割合)を算出する。
【0032】
登録部307は、各グループの色彩割合を、基準データとして、基準データ格納部123に格納する。
【0033】
<検査装置の生成部の各部の処理の具体例>
次に、検査装置120の生成部121の各部(画像データ取得部301~登録部307の各部)の処理の具体例について説明する。
【0034】
(1)画像データ取得部、圧縮部、RGB値変換部の処理の具体例
はじめに、生成部121の画像データ取得部301、圧縮部302、RGB値変換部303の処理の具体例について説明する。図4は、画像データ取得部、圧縮部、RGB値変換部の処理の具体例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、画像データ取得部301では、撮像装置110より送信されたモデル画像410を取得し、取得したモデル画像410から、合格と判定される物品411の外接矩形領域を抽出することで、矩形画像420を出力する。
【0036】
また、図4に示すように、圧縮部302では、矩形画像420を所定数の画素(図4の例は9画素)の部分画像(例えば、部分画像421)に分割し、部分画像に含まれる所定数の画素(図4の例では9画素)をまとめて1画素とする。
【0037】
なお、圧縮部302では、部分画像(例えば、部分画像421)に含まれる所定数の画素(図4の例では9画素)をまとめて1画素とする際、所定数の画素の画素値の平均値を算出する。これにより、圧縮部302では、1つの画素値(図4の例では、R値="210")を有する部分画像422を生成する(以降は、部分画像422が1画素となる)。
【0038】
なお、圧縮部302では、G値、B値についても同様に所定数の画素の画素値の平均値を算出するとともに、矩形画像420に含まれる全ての部分画像について同様の処理を行う。これにより、圧縮部302では、矩形画像420を、各部分画像を1画素とする画像に圧縮し、圧縮済みの矩形画像を生成する。
【0039】
また、図4に示すように、RGB値変換部303では、圧縮済みの矩形画像について、各部分画像の画素値(RGB値)を変換する。本実施形態では、例えば、0~255の256階調のR値を、11の階調範囲に分け、それぞれの階調範囲に属するR値を、それぞれの階調範囲の代表値に色変換する。図4の例は、
・階調範囲=0~24に属するR値を、代表値=0に色変換すること、
・階調範囲=25~49に属するR値を、代表値=25に色変換すること、
・階調範囲=50~74に属するR値を、代表値=50に色変換すること、
・階調範囲=75~99に属するR値を、代表値=75に色変換すること、
・階調範囲=100~124に属するR値を、代表値=100に色変換すること、
・階調範囲=125~149に属するR値を、代表値=125に色変換すること、
等を示している。これにより、256階調のR値は、11の代表値に色変換されることになる。
【0040】
同様に、RGB値変換部303は、例えば、0~255の256階調のG値を、11の階調範囲に分け、それぞれの階調範囲に属するG値を、それぞれの階調範囲の代表値に色変換する。これにより、256階調のG値は、11の代表値に色変換されることになる。
【0041】
同様に、RGB値変換部303は、例えば、0~255の256階調のB値を、11の階調範囲に分け、それぞれの階調範囲に属するB値を、それぞれの階調範囲の代表値に色変換する。これにより、256階調のB値は、11の代表値に色変換されることになる。
【0042】
なお、RGB値変換部303によれば、256×256×256=16,777,216パターンの色情報が、11×11×11=1,331パターンの色情報に変換されることになる。
【0043】
図4において、色変換済みの矩形画像430に含まれる、合格と判定される物品412は、RGB値変換部303により色変換が行われた後の画像を示している。
【0044】
(2)領域分割部の処理の具体例
次に、生成部121の領域分割部304の処理の具体例について説明する。図5は、領域分割部の処理の具体例を示す図である。図5に示すように、領域分割部304では、色変換済みの矩形画像430を取得すると、複数の領域画像に領域分割する。図5の例は、色変換済みの矩形画像430を、縦方向に6分割、横方向に6分割することで、36個の領域画像に領域分割した様子を示している。
【0045】
また、領域分割部304では、色変換済みの矩形画像430を領域分割することで得られる複数の領域画像(図5の例では、36個の領域画像)を、グループ生成部305に通知する。
【0046】
(3)グループ生成部の処理の具体例
次に、生成部121のグループ生成部305の処理の具体例について説明する。図6は、グループ生成部の処理の具体例を示す第1の図である。図6に示すように、グループ生成部305では、色変換済みの矩形画像430を領域分割することで得られる複数の領域画像を、複数のグループ(図6の例では、3個のグループ)に分類する。
【0047】
図6の例は、グループ生成部305が、色変換済みの矩形画像430の中心位置を基準位置として、基準位置からの距離に応じて、複数の領域画像を3個のグループに分類した様子を示している。
【0048】
具体的には、グループ生成部305では、色変換済みの矩形画像430の中心位置を囲む領域画像群をグループ1に分類する。図6の例は、矢印601に沿って位置する4個の領域画像群がグループ1に分類された様子を示している。
【0049】
続いて、グループ生成部305では、色変換済みの矩形画像430の中心位置を囲む領域画像群であって、グループ1に分類された領域画像群よりも1列外側に位置する領域画像群をグループ2に分類する。図6の例は、矢印602に沿って位置する12個の領域画像群がグループ2に分類された様子を示している。
【0050】
続いて、グループ生成部305では、色変換済みの矩形画像430の中心位置を囲む領域画像群であって、グループ2に分類された領域画像群よりも1列外側に位置する領域画像群をグループ3に分類する。図6の例は、矢印603に沿って位置する20個の領域画像群がグループ3に分類された様子を示している。
【0051】
(4)色彩割合算出部の処理の具体例
次に、生成部121の色彩割合算出部306の処理の具体例について説明する。図7は、色彩割合算出部の処理の具体例を示す図である。
【0052】
図7に示すように、色彩割合算出部306では、各グループに分類された領域画像(グループ1に分類された4個の領域画像、グループ2に分類された12個の領域画像、グループ3に分類された20個の領域画像)を取得する。
【0053】
続いて、色彩割合算出部306では、各グループに分類された領域画像に含まれる複数の画素(部分画像)を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数(部分画像数)の割合(色彩割合)を算出する。
【0054】
図7において、円グラフ701は、グループ1に分類された4個の領域画像に含まれる複数の部分画像を色ごとに集計し、各色の画素数(部分画像数)の割合(色彩割合)を示したグラフである。
【0055】
同様に、円グラフ702は、グループ2に分類された12個の領域画像に含まれる複数の部分画像を色ごとに集計し、各色の画素数(部分画像数)の割合(色彩割合)を示したグラフである。
【0056】
同様に、円グラフ703は、グループ3に分類された20個の領域画像に含まれる複数の部分画像を色ごとに集計し、各色の画素数(部分画像数)の割合(色彩割合)を示したグラフである。
【0057】
(5)登録部の処理の具体例
次に、生成部121の登録部307の処理の具体例について説明する。図8は、登録部の処理の具体例を示す図である。
【0058】
図8に示すように、登録部307では、合格と判定される複数の物品(合格物品)について、各グループの色彩割合を取得する。図8の例は、合格物品1、2、3、・・・等について、各グループの色彩割合を取得した様子を示したものである。
【0059】
図8の例によれば、合格物品1について取得した、各グループの色彩割合は、基準データとして、テーブル801に登録され、基準データ格納部123に格納される。図8に示すように、テーブル801は、情報の項目として、横方向に"色情報1"~"色情報N"が配列され、縦方向に、"グループ1"~"グループ3"が配列される。なお、上述した図4の例によれば、色変換済みの矩形画像に含まれる色情報は、1,331パターンであることから、N=1331となる。
【0060】
また、図8の例によれば、合格物品1のグレード("グレード1")もあわせてテーブル801に登録される。
【0061】
同様に、図8の例によれば、合格物品2について取得した、各グループの色彩割合は、基準データとして、テーブル802に登録され、基準データ格納部123に格納される。また、図8の例によれば、合格物品2のグレード("グレード2")もあわせてテーブル802に登録される。
【0062】
同様に、図8の例によれば、合格物品3について取得した、各グループの色彩割合は、基準データとして、テーブル803に登録され、基準データ格納部123に格納される。また、図8の例によれば、合格物品3のグレード("グレード3")もあわせてテーブル803に登録される。
【0063】
<検査装置の判定部の機能構成>
次に、検査装置120の判定部122の機能構成について説明する。図9は、検査装置の判定部の機能構成の一例を示す図である。図9に示すように、判定部122は、画像データ取得部901、圧縮部902、RGB値変換部903(変換部の一例)を有する。また、判定部122は、領域分割部904(分割部の一例)、グループ生成部905(分類部の一例)、色彩割合算出部906(算出部の一例)、比較部907を有する。
【0064】
なお、画像データ取得部901から色彩割合算出部906までの各部の機能は、図3を用いて説明した画像データ取得部301から色彩割合算出部306までの各部の機能と同様であるため、ここでは説明を省略し、比較部907についてのみ説明する。
【0065】
比較部907は、色彩割合算出部906より、検査対象の物品について、各グループの色彩割合を取得すると、基準データ格納部123より、基準データ(テーブル801、802、803、・・・等)を読み出す。また、比較部907は、検査対象の物品について取得した各グループの色彩割合と、テーブル801、802、803、・・・等に登録された、各合格物品についての各グループの色彩割合とを比較する。更に、比較部907は、比較結果に基づいて、検査対象の物品の合否を判定するとともに、合格と判定した場合にあっては、検査対象の物品のグレードを判定する。
【0066】
<検査装置の判定部の各部の処理の具体例>
次に、検査装置120の判定部122の各部(ここでは、比較部907)の処理の具体例について説明する。
【0067】
図10は、比較部の処理の具体例を示す図である。図10に示すように、比較部907は、検査対象の物品について取得した、各グループの色彩割合と、テーブル801に登録された各グループの色彩割合とを比較する。同様に、比較部907は、検査対象の物品について取得した、各グループの色彩割合と、テーブル802に登録された各グループの色彩割合とを比較する。同様に、比較部907は、検査対象の物品について取得した、各グループの色彩割合と、テーブル803に登録された各グループの色彩割合とを比較する。
【0068】
このように、比較部907では、基準データ格納部123に基準データとして格納されたすべてのテーブルとの間で、テーブル単位で比較を行う。また、比較部907では、テーブル単位での比較結果に基づいて、検査対象の物品の合否を判定するとともに、合格と判定した場合にあっては、検査対象の物品のグレードを判定する。
【0069】
図11は、比較結果の一例を示す図であり、合格物品1(符号1100)についての各グループの色彩割合と、検査対象の物品(符号1110)についての各グループの色彩割合とを比較した様子を示している。
【0070】
図11において、円グラフ1101~1103は、合格物品1についての各グループの色彩割合を示している。また、円グラフ1111~1113は、検査対象の物品についての各グループの色彩割合を示している。
【0071】
また、図11において、比較結果1121は、グループ1の色彩割合の比較結果を、比較結果1122は、グループ2の色彩割合の比較結果を、比較結果1123は、グループ3の色彩割合の比較結果を、それぞれ表している。
【0072】
比較結果1121~1123に示すように、比較部907は、テーブルごとに色彩割合を比較する際、グループごとにわけて色彩割合を比較する。また、比較結果1121~1123に示すように、比較部907は、各グループにおいて色彩割合を比較する際、色ごとにわけて比較を行い、差の絶対値を算出する。更に、比較結果1121~1123に示すように、比較部907は、色ごとに算出した差の絶対値を加算し、グループごとに、差の絶対値の合計を算出する。
【0073】
このように、グループごとにわけたうえで、各色の色彩割合を比較することで、検査対象の物品における局所的な異常が物品の個体差に埋もれるといった事態を回避することができる。この結果、物品全体の外観を色ごとにわけて比較を行う場合よりも、局所的な異常を含む物品と合格物品との差異をより明確にすることができる。
【0074】
なお、比較部907では、いずれかのグループにおいて、差の絶対値の合計が大きい場合には(例えば、差の絶対値の合計が所定の閾値以上の場合には)、検査対象の物品が不合格の候補であると判定する。また、比較部907では、いずれのグループについても差の絶対値の合計が小さい場合には(例えば、差の絶対値の合計が所定の閾値未満の場合には)、検査対象の物品が合格であると判定する。
【0075】
なお、基準データ格納部123に基準データとして格納されたすべてのテーブルとの比較において、検査対象の物品が不合格の候補であると判定した場合、比較部907は、当該検査対象の物品が不合格であると判定する。
【0076】
一方、基準データ格納部123に基準データとして格納されたテーブルのうち、いずれか1つ以上のテーブルとの比較において、検査対象の物品が合格であると判定した場合、比較部907は、検査対象の物品が合格であると判定する。
【0077】
また、検査対象の物品が合格である判定したテーブルが複数ある場合、比較部907では、差の絶対値の合計が最小となるテーブルを特定し(つまり、最も類似するテーブルを特定し)、特定したテーブルに対応付けられたグレードを判定する。これにより、比較部907では、検査対象の物品のグレードを判定する。
【0078】
<基準データ生成処理の流れ>
次に、検査装置120の生成部121による基準データ生成処理の流れについて説明する。図12は、基準データ生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
ステップS1201において、生成部121の画像データ取得部301は、合格と判定される物品をカウントするカウンタnに、"1"を入力する。
【0080】
ステップS1202において、生成部121の画像データ取得部301は、合格物品nの画像データをモデル画像として取得し、取得したモデル画像より、合格物品nの外接矩形領域を抽出し、矩形画像を出力する。
【0081】
ステップS1203において、生成部121の圧縮部302は、矩形画像を所定の画素数の部分画像に分割し、各部分画像に含まれる所定数の画素を1画素にまとめることで、矩形画像を、各部分画像を1画素とする画像に圧縮する。
【0082】
ステップS1204において、生成部121のRGB値変換部303は、圧縮済みの矩形画像について、各部分画像の画素値(RGB値)を変換することで、圧縮済みの矩形画像を色変換する。
【0083】
ステップS1205において、生成部121の領域分割部304は、色変換済みの矩形画像を複数の領域画像に領域分割する。
【0084】
ステップS1206において、生成部121のグループ生成部305は、領域分割することで得られる各領域画像を、矩形画像の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する。
【0085】
ステップS1207において、生成部121の色彩割合算出部306は、複数のグループに分類された各領域画像に含まれる複数の部分画像を、色ごとに集計し、各グループの色彩割合を算出する。
【0086】
ステップS1208において、生成部121の登録部307は、各グループの色彩割合をテーブルに登録し、基準データとして、基準データ格納部123に格納する。
【0087】
ステップS1209において、生成部121の画像データ取得部301は、合格と判定されるすべての物品(全ての合格物品)について、各グループの色彩割合をテーブルに登録したか否かを判定する。ステップS1209において、各グループの色彩割合をテーブルに登録していない合格物品があると判定した場合には(ステップS1209においてNoの場合には)、ステップS1210に進む。
【0088】
ステップS1210において、生成部121の画像データ取得部301は、カウンタnをインクリメントした後、ステップS1202に戻る。
【0089】
一方、ステップS1209において、全ての合格物品について、各グループの色彩割合をテーブルに登録したと判定した場合には(ステップS1209においてYesの場合には)、基準データ生成処理を終了する。
【0090】
<判定処理の流れ>
次に、検査装置120の判定部122による判定処理の流れについて説明する。図13は、判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0091】
ステップS1301において、判定部122の比較部907は、基準データ格納部123より基準データを読み出す。
【0092】
ステップS1302において、判定部122の画像データ取得部901は、検査対象の物品を撮影した対象画像を取得し、取得した対象画像より、検査対象の物品の外接矩形領域を抽出することで、矩形画像を出力する。
【0093】
ステップS1303において、判定部122の圧縮部902は、矩形画像を所定の画素数の部分画像に分割し、各部分画像に含まれる所定数の画素を1画素にまとめることで、矩形画像を、各部分画像を1画素とする画像に圧縮する。
【0094】
ステップS1304において、判定部122のRGB値変換部903は、圧縮済みの矩形画像について、各部分画像の画素値(RGB値)を変換することで、圧縮済みの矩形画像を色変換する。
【0095】
ステップS1305において、判定部122の領域分割部904は、色変換済みの矩形画像を複数の領域画像に領域分割する。
【0096】
ステップS1306において、判定部122のグループ生成部905は、領域分割することで得られる各領域画像を、矩形画像の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する。
【0097】
ステップS1307において、判定部122の色彩割合算出部906は、複数のグループに分類された各領域画像に含まれる複数の部分画像を、色ごとに集計し、各グループの色彩割合を算出する。
【0098】
ステップS1308において、判定部122の比較部907は、検査対象の物品についての色彩割合と、基準データに含まれる各テーブルの色彩割合とをグループごと、色ごとに比較し、グループごとに差の絶対値の合計を算出する。
【0099】
ステップS1309において、判定部122の比較部907は、基準データに含まれる各テーブルについて、色彩割合の差の絶対値の合計が大きいグループが含まれているか否かを判定する。ステップS1309において、基準データに含まれるいずれのテーブルについても、色彩割合の差の絶対値の合計が大きいグループが含まれていると判定した場合には(ステップS1309においてYesの場合には)、ステップS1310に進む。
【0100】
ステップS1310において、判定部122の比較部907は、検査対象の物品が不合格であると判定する。
【0101】
一方、ステップS1309において、基準データに含まれるテーブルの中に、色彩割合の差の絶対値の合計が大きいグループが含まれていないテーブルがあると判定した場合には(ステップS1309においてNoの場合には)、ステップS1311に進む。
【0102】
ステップS1311において、判定部122の比較部907は、検査対象の物品が合格であると判定する。
【0103】
ステップS1312において、判定部122の比較部907は、色彩割合の差の絶対値の合計が大きいグループが含まれていないテーブルを特定する。また、判定部122の比較部907は、特定したテーブルに対応付けられたグレードを識別することで、検査対象の物品のグレードを判定する。
【0104】
なお、色彩割合の差の絶対値の合計が大きいグループが含まれていないテーブルが複数ある場合、判定部122の比較部907は、各グループの色彩割合の差の絶対値の合計が最も小さいテーブルを特定する。そして、判定部122の比較部907は、特定したテーブルに対応付けられたグレードを識別することで、検査対象の物品のグレードを判定する。
【0105】
ステップS1313において、判定部122の画像データ取得部901は、判定処理を終了するか否かを判定する。ステップS1313において、判定処理を継続すると判定した場合には(ステップS1313においてNoの場合には)、ステップS1302に戻る。一方、ステップS1313において、判定処理を終了すると判定した場合には(ステップS1313においてYesの場合には)、判定処理を終了する。
【0106】
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る検査装置120は、検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に領域分割する。また、第1の実施形態に係る検査装置120は、複数の領域画像を、外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する。また、第1の実施形態に係る検査装置120は、各グループに分類された領域画像に含まれる各部分画像を、色ごとに集計することで、グループごとに色彩割合を算出する。更に、第1の実施形態に係る検査装置120は、合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの色彩割合と、検査対象の物品について算出された各グループの色彩割合とを比較し、検査対象の物品の合否を判定する。
【0107】
このように、第1の実施形態に係る検査装置120では、検査対象の物品についての色彩割合と、合格物品についての色彩割合とを、グループごとにわけて比較する。これにより、第1の実施形態に係る検査装置120によれば、検査対象の物品における局所的な異常が物品の個体差に埋もれるといった事態を回避することができる。
【0108】
この結果、第1の実施形態によれば、物品全体の外観を色ごとにわけて比較を行う場合よりも、局所的な異常を含む物品と合格物品との差異をより明確にすることができる。つまり、第1の実施形態によれば、物品の外観検査において、検査精度の向上を図ることができる。
【0109】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、基準データ生成処理及び判定処理の際に、物品の固有の特性について、特に考慮しなかった。しかしながら、物品によっては、外観検査の際に考慮すべき固有の特性が含まれる場合がある。
【0110】
例えば、物品が果物の場合、ヘタの部分は、ヘタ以外の部分とは色が大きく異なるとともに、果物ごとに特定の色を有している。一方で、外観検査の際の果物の載置のしかたによっては、果物のヘタの位置は、画像データごとに異なる位置となる。このため、領域画像をグループ分けした場合には、いずれのグループに分類されることもあり得、分類されたグループでは、色彩割合が大きく変動することになる。
【0111】
そこで、第2の実施形態では、領域画像をグループ分けする際、果物のヘタを含む領域画像(特定の色を有する領域画像)については、グループ分けの対象(分類対象)から除外する。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
<グループ生成部の処理の具体例>
図14は、グループ生成部の処理の具体例を示す第2の図である。なお、図14において、グループ生成部1400は、生成部121が有するグループ生成部であるとして説明するが、判定部122が有するグループ生成部も同様の機能を有しているものとする。
【0113】
図14に示すように、グループ生成部1400では、色変換済みの矩形画像1430を複数の領域画像に領域分割し、複数のグループに分類する。
【0114】
ここで、図14の例では、色変換済みの矩形画像1430に含まれる複数の領域画像のうち、領域画像1431に、検査対象の果物のヘタの部分が含まれている。この場合、グループ生成部1400では、グループ2に分類する12個の領域画像群から、領域画像1431を除外し、11個の領域画像群をグループ2に分類する。図14において、符号1401は、領域画像1431が、グループ2に分類する領域画像群から除外された様子を示している。
【0115】
このように、物品の固有の特性を考慮して、領域画像を分類することで、各グループの色彩割合として、適切な色彩割合を算出することができる。この結果、第2の実施形態によれば、物品の外観検査において、更なる検査精度の向上を図ることができる。
【0116】
[その他の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、領域画像をグループ分けする際、矩形画像の中心位置を基準位置とした。しかしながら、基準位置は、矩形画像の中心位置に限定されず、例えば、矩形画像の上端位置や下端位置であってもよい。あるいは、矩形画像の左端位置や右端位置であってもよい。
【0117】
また、上記第1及び第2の実施形態では、圧縮部302、902がそれぞれ、部分画像に含まれる3画素×3画素(9画素)をまとめて1画素とすることで、矩形画像を圧縮する場合について説明したが、圧縮部302、902による圧縮方法はこれに限定されない。
【0118】
また、上記第1及び第2の実施形態では、生成部121、判定部122が、それぞれ、圧縮部302、902を有するものとして説明した。しかしながら、生成部121、判定部122は、圧縮部302、902を有していなくてもよい。この場合、色彩割合算出部306、906では、各色の画素数の割合として、圧縮後の画素数の割合(つまり、部分画像数の割合)に代えて、非圧縮の画素数の割合を、色彩割合として算出することになる。
【0119】
また、上記第1及び第2の実施形態では、RGB値変換部303、903がそれぞれ、25階調を1階調に色変換する場合について説明したが、RGB値変換部303、903による色変換方法はこれに限定されない。
【0120】
また、上記第1及び第2の実施形態では、生成部121、判定部122が、それぞれ、RGB値変換部303、903を有するものとして説明した。しかしながら、生成部121、判定部122は、RGB値変換部303、903を有していなくてもよい。この場合、色彩割合算出部306、906では、各色の画素数の割合として、1,331パターンの各色の画素数の割合に代えて、16,777,216パターンの各色の画素数の割合を、色彩割合として算出することになる。
【0121】
また、上記第1及び第2の実施形態では、領域分割部304、904がそれぞれ、矩形画像を縦方向に6分割、横方向に6分割する場合について説明したが、分割数は、6個に限定されない。
【0122】
また、上記第1及び第2の実施形態では、比較部907が、グループごとに各色の差の絶対値の合計を算出し、算出した合計値に基づいて比較を行うものとして説明した。しかしながら、比較部907の比較方法はこれに限定されず、例えば、グループごとに各色の差の絶対値の合計を正規化し、正規化した合計値に基づいて比較を行ってもよい。
【0123】
また、上記第1の実施形態では、検査対象の物品=果物の場合について説明したが、検査対象の物品はこれに限定されず、野菜、パン、花等のように、外観の色に基づいて、合否の判定が行われる物品であれば、他の物品であってもよい。
【0124】
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割する分割部と、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類する分類部と、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出する算出部と、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出部により算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する比較部と
を有する検査装置。
(付記2)
前記比較部は、
グループごとに比較した結果、いずれかのグループにおいて、各色の画素数の割合の差が所定の閾値以上であると判定した場合、前記検査対象の物品が不合格であると判定する、付記1に記載の検査装置。
(付記3)
前記比較部は、
グループごとに比較した結果、全てのグループにおいて、各色の画素数の割合の差が所定の閾値未満であると判定した場合、前記検査対象の物品が合格であると判定する、付記1に記載の検査装置。
(付記4)
前記比較部は、
複数のモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合に対して、前記検査対象の物品が合格であると判定した場合、各グループの各色の画素数の割合の差が最小となるモデル画像を特定することで、前記検査対象の物品のグレードを判定する、付記3に記載の検査装置。
(付記5)
前記検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、所定の画素数ごとの部分画像に分割し、各部分画像に含まれる所定数の画素の画素値をまとめて1の画素値を算出することで、前記物品の外接矩形領域を圧縮する圧縮部を更に有し、
前記算出部は、
前記部分画像を1画素として、前記画素数の割合を算出する、付記1に記載の検査装置。
(付記6)
前記圧縮部により圧縮された物品の外接矩形領域に含まれる各部分画像の画素値を、該画素値が属する階調範囲において予め定められた代表値に変換する変換部を更に有し、
前記算出部は、
前記代表値に変換された色ごとに集計することで、前記各色の画素数の割合を算出する、付記5に記載の検査装置。
(付記7)
前記分類部は、前記領域画像を複数のグループに分類する際、予め定められた色が含まれる領域画像を、分類対象から除外する、付記1に記載の検査装置。
(付記8)
前記外接矩形領域の基準位置には、前記外接矩形領域の中心位置、上端位置、下端位置、左端位置、右端位置のいずれかが含まれる、付記1に記載の検査装置。
(付記9)
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割し、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類し、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出し、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する、
処理をコンピュータに実行させるための検査プログラム。
(付記10)
検査対象の物品を撮影した対象画像より抽出された、該物品の外接矩形領域を、複数の領域画像に分割し、
前記複数の領域画像を、前記外接矩形領域の基準位置からの距離に応じて、複数のグループに分類し、
各グループに分類された領域画像に含まれる画素を、色ごとに集計することで、グループごとに各色の画素数の割合を算出し、
合格と判定される物品を撮影したモデル画像について予め算出された、各グループの各色の画素数の割合と、前記算出された各グループの各色の画素数の割合と比較し、前記検査対象の物品の合否を判定する、
処理をコンピュータが実行する検査方法。
【0125】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0126】
100 :検査システム
110 :撮像装置
120 :検査装置
121 :生成部
122 :判定部
301 :画像データ取得部
302 :圧縮部
303 :RGB値変換部
304 :領域分割部
305 :グループ生成部
306 :色彩割合算出部
307 :登録部
430 :矩形画像
801~803 :テーブル
901 :画像データ取得部
902 :圧縮部
903 :RGB値変換部
904 :領域分割部
905 :グループ生成部
906 :色彩割合算出部
907 :比較部
1121~1123 :比較結果
1400 :グループ生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14