(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】無段変速機用の回転部材
(51)【国際特許分類】
F16H 9/12 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
F16H9/12 B
(21)【出願番号】P 2020072790
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慎治
(72)【発明者】
【氏名】谷中 悟史
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 博之
(72)【発明者】
【氏名】日高 宏一
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-115265(JP,A)
【文献】実開昭58-8160(JP,U)
【文献】特開平9-150234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無段変速機の入力軸または出力軸と共に回転する回転部材であって、
前記回転部材は、前記回転部材の外面から内面へと窪んでいる凹部を複数備えており、
複数の前記凹部は、前記回転部材の周方向に並んで配置されており、
前記凹部の内面は、周方向の一方側から他方側に延びる一対の第1側面と、前記第1側面と隣り合う一対の第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に繋がっている底面とを有し、
前記底面と前記第1側面とのなす第1角度は、前記底面と前記第2側面とのなす第2角度よりも大きくなっている
無段変速機用の回転部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機用の回転部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の無段変速機には、当該無段変速機の入力軸や出力軸と共に回転する回転部材が備えられている。回転部材の外周面においては、当該回転部材の円周方向に沿って、等間隔で複数の凹部が窪んでいる。この凹部は、略四角形状になっている。また、無段変速機の周囲には、回転部材の外周面と対向して、回転センサが配置されている。上記のような無段変速機において、回転部材が回転すると、凹部と凹部ではない箇所とが交互に回転センサに対向する。これにより、回転センサと回転部材との距離は大きくなったり小さくなったりを連続的に繰り返す。回転センサは、この距離の変化を信号として検出し、信号処理を行って回転部材の回転数を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような回転部材に凹部を加工する方法として、例えば、凹部の形状に対応した形状のダイスを回転部材に押し当てる方法が挙げられる。この場合、ダイスを押し当てる過程で、ダイスの凹部の角部に大きな力が作用するため、製造された回転部材においても凹部の角部に大きな内部応力が残存する。このように、凹部を加工した結果、回転部材に局所的に内部応力が残存していると、その箇所を起点として回転部材に破損などが生じ得るため、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、無段変速機の入力軸または出力軸と共に回転する回転部材であって、前記回転部材は、前記回転部材の外面から内面へと窪んでいる凹部を複数備えており、複数の前記凹部は、前記回転部材の周方向に並んで配置されており、前記凹部の内面は、周方向の一方側から他方側に延びる一対の第1側面と、前記第1側面と隣り合う一対の第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に繋がっている底面とを有し、前記底面と前記第1側面とのなす第1角度は、前記底面と前記第2側面とのなす第2角度よりも大きくなっている。
【0006】
上記構成によれば、凹部の内面において底面と第1側面とがなす角は比較的に緩やかになっている。そのため、回転部材に凹部を加工する過程で底面と第1側面との間に過度な力が作用しにくく、加工後の回転部材において底面と第1側面との境界に内部応力が残存しにくい。すなわち、上記構成の回転部材は、内部応力に起因する破損が生じにくい形状になっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】無段変速機の一実施形態が適用される車両の概要図。
【
図2】同実施形態の無段変速機における油圧シリンダの一部を示す拡大図。
【
図3】同実施形態の油圧シリンダの凹部形成時の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
先ず、無段変速機が搭載された車両について説明する。
図1に示すように、車両500には、内燃機関10が備えられている。この内燃機関10からは、当該内燃機関10の出力軸としてのクランク軸11が延びている。クランク軸11には、変速機としてトルクコンバータ20が取り付けられている。
図1において図示は省略するが、トルクコンバータ20の内部には2つのインペラが取り付けられている。2つのインペラのうち一つは、クランク軸11に、もう一つはトルクコンバータ20の出力軸21に取り付けられている。このトルクコンバータ20においては、クランク軸11の回転によって一方のインペラが回転することで、作動油を介して出力軸21に取り付けられた他方のインペラが回転される。その結果、クランク軸11のトルクが出力軸21に伝達される。
【0009】
トルクコンバータ20から延びる出力軸21には、切り替え機構30が取り付けられている。切り替え機構30は、内部にダブルピニオン型の遊星歯車機構を有している。切り替え機構30の遊星歯車機構を制御することで、切り替え機構30に取り付けられた出力軸31の回転方向が切り替えられ、それに伴い、車両500の前進及び後進が切り替えられる。また、切り替え機構30は、内部にクラッチやブレーキを有している。切り替え機構30の内部においてクラッチやブレーキが制御されることにより、トルクコンバータ20から出力軸31へのトルクの伝達・遮断が切り替えられる。
【0010】
切り替え機構30の出力軸31には、無段変速機40の入力軸41が接続されている。入力軸41には、プライマリプーリ50が取り付けられている。プライマリプーリ50は、一対の略円錐台状のシーブ51A、51Bを有している。一対のシーブ51A、51Bは、入力軸41の軸線方向において互いに対向して入力軸41に取り付けられている。また、一対のシーブ51A、51Bは、径の小さい側が向かい合うように配置されている。したがって、一対のシーブ51A、51Bを周方向から視ると、当該シーブ51Aと51Bとの間は略V型の溝を成している。一方のシーブ51Aは、入力軸41に固定されている。他方のシーブ51Bは、入力軸41に対して、軸回りには一体回転しつつ、軸方向の移動が可能に取り付けられている。
【0011】
当該シーブ51Bの軸方向外側には、略円柱状の油圧シリンダ52が取り付けられている。油圧シリンダ52は、略円柱状の外観のケーシング52Aを備えている。回転部材としてのケーシング52Aは、入力軸41と一体回転するように取り付けられている。油圧シリンダ52の内部には、図示しないピストンが備えられており、油圧でピストンを軸方向に動かすことで、シーブ51Bが軸方向に移動する。その結果、一対のシーブ51A、51Bの間隔が変化する。
【0012】
上記プライマリプーリ50の周囲には、セカンダリプーリ60が並んで配置されている。セカンダリプーリ60からは、出力軸42が延びている。セカンダリプーリ60の中心軸線は、プライマリプーリ50の中心軸線と平行になっている。セカンダリプーリ60はプライマリプーリ50と同様に、一対の略円錐台状のシーブ61A、61Bを有している。一対のシーブ61A、61Bは出力軸42の軸線方向において互いに対向して出力軸42に取り付けられている。また、一対のシーブ61A、61Bは、径の小さい側が向かい合うように配置されている。したがって、一対のシーブ61A、61Bを周方向から視ると当該シーブ61A、61Bの間は略V型の溝を成している。一方のシーブ61Aは出力軸42に固定されている。他方のシーブ61Bは出力軸42に対して、軸回りには一体回転しつつ、軸方向の移動が可能に取り付けられている。
【0013】
当該シーブ61Bの軸方向外側には、略円柱状の油圧シリンダ62が取り付けられている。油圧シリンダ62は、略円柱の外観のケーシング62Aを備えている。ケーシング62Aは出力軸42と一体回転するように取り付けられている。油圧シリンダ62の内部には、図示しないピストンが備えられており、油圧でピストンを軸方向に動かすことでシーブ61Bが軸方向に移動する。その結果、一対のシーブ61A、61Bの間隔が変化する。
【0014】
プライマリプーリ50及びセカンダリプーリ60には、両者を跨るようにして、ベルト70が巻き掛けられている。プライマリプーリ50が回転すると、ベルト70を介してプライマリプーリ50の回転がセカンダリプーリ60に伝わる。すなわち、入力軸41のトルクがベルト70を介して出力軸42に伝達する。
【0015】
上記のように構成された無段変速機40において、プライマリプーリ50の一対のシーブ51A、51Bの間隔、及びセカンダリプーリ60の一対のシーブ61A、61Bの間隔は、いわゆるベルト70の巻き掛け半径である。したがって、油圧シリンダ52及び油圧シリンダ62の制御を通じて当該巻き掛け半径を変化させることにより、無段変速機40の変速比が無段階に変更される。
【0016】
セカンダリプーリ60から延びる出力軸42には、減速ギア71及びディファレンシャルギア72を介して駆動輪73が取り付けられている。減速ギア71は、出力軸42の回転を所定の減速比で減速して駆動輪73側へ伝達する。ディファレンシャルギア72は、一対の駆動輪73における回転速度の差を許容しつつ、一対の駆動輪73に回転を伝達する。
【0017】
車両500において無段変速機40の周囲には、回転センサ80が配置されている。この実施形態では、回転センサ80は、入力軸41側のケーシング52Aの、軸方向一方側の側面と対向して配置されている。回転センサ80は、回転する対象物の距離の変化をパルス信号として検出し、そのパルス信号を出力する。回転センサ80が出力するパルス信号は、制御装置100に入力される。制御装置100は、入力されたパルス信号のピッチ等に基づいて、油圧シリンダ52の回転数、すなわち、入力軸41の回転数を導出する。
【0018】
次に、油圧シリンダ52におけるケーシング52Aの形状について説明する。
図2に示すように、ケーシング52Aの軸方向一方側の側面においては、外側から内側へと複数の凹部53が窪んでいる。凹部53は、ケーシング52Aの側面の周方向に並んで等ピッチで設けられている。このように、凹部53と凹部53とが間隔をあけて並んで配置されているため、凹部53と凹部53との間は、凹部53に対して突出する凸部54となっている。
【0019】
凹部53は、ケーシング52Aの軸線方向からの平面視で略長方形状になっている。凹部53の内面は、周方向の一方側から他方側に延びる一対の第1側面55と、第1側面55と隣り合う、径方向に延びる一対の第2側面56とを有している。この実施形態では、一対の第1側面55、一対の第2側面56は、いずれも略平面である。第1側面55と第2側面56とは、略平面状の底面57によって繋がっている。なお、
図2では、一部の凹部53について、第1側面55、第2側面56、及び底面57の符号を付している。
【0020】
図3に示すように、底面57と第1側面55とがなす第1角度θは鈍角となっている。また、底面57と第2側面56とがなす第2角度も鈍角となっている。第1角度θと第2角度とを比較すると、第1角度θの方が第2角度よりも大きくなっている。この実施形態では、第1角度θはおよそ135度であり、第2角度は90度よりもやや大きい角度である。
【0021】
次に、ケーシング52Aに凹部53を加工する方法について説明する。
図3に示すように、油圧シリンダ52のケーシング52Aに凹部53を加工する際には、上側ダイス200及び下側ダイス300が使用される。
【0022】
下側ダイス300は、全体として略円環状になっている。なお、
図3においては下側ダイス300の一部を示している。下側ダイス300において、軸線方向一方側の側面301、すなわち
図3における上側の面は、平坦になっている。また、側面301からは、突起部302が立ち上がっている。突起部302は、略四角錐台状になっている。突起部302の先端面302Aは、凹部53の底面57に対応する長方形状の平面となっている。なお、突起部302は、下側ダイス300に複数設けられており、下側ダイス300の側面301において、周方向に等間隔で並んで配置されている。突起部302が配置されるピッチは、油圧シリンダ52のケーシング52Aにおける側面に備えられた凹部53の配置ピッチと同じである。
【0023】
上側ダイス200は、全体として略円環状になっている。なお、
図3においては上側ダイス200の一部を示している。上側ダイス200において、軸線方向一方側の側面201、すなわち
図3における下側の面は、平坦になっている。また、側面201からは、突出部202が立ち上がっている。突出部202は、上側ダイス200の径方向に延びている。なお、突出部202が配置されるピッチは、油圧シリンダ52のケーシング52Aにおける側面に備えられた凹部53の配置ピッチと同じである。また、突出部202の周方向の幅は、下側ダイス300の隣り合う突起部302の間の距離と略同一である。
【0024】
ケーシング52Aに凹部53を加工する際、先ず、ケーシング52Aを、当該ケーシング52Aの軸方向一方側の側面が、下側ダイス300の側面301と対向するように配置する。そして、上側ダイス200を、ケーシング52Aを挟んで下側ダイス300とは反対側に配置する。このとき、上側ダイス200の突出部202が、下側ダイス300の隣り合う突起部302の間に位置するように配置する。すなわち、上側ダイス200及び下側ダイス300を軸線方向から平面視した場合に、上側ダイス200の突出部202と下側ダイス300の突起部302とが周方向に交互に配置されるように、上側ダイス200及び下側ダイス300を対向配置する。
【0025】
次に、上記のように配置された上側ダイス200及び下側ダイス300を互いに近づけて下側ダイス300をケーシング52Aに押し当てる。ケーシング52Aの側面に下側ダイス300を押し当てると、下側ダイス300の突起部302の先端面302Aがケーシング52Aと接し、ケーシング52Aの一部を押し上げる。それに伴い、先端面302Aと同様の略長方形状で、ケーシング52Aに凹部53の底面57が形成される。
【0026】
また、突起部302がケーシング52Aを押し上げる過程で、ケーシング52Aは、上側ダイス200の突出部202の側壁によって、内側より押さえつけられる。この押さえつけにより、凹部53の底面57における周方向の端より、側面が形作られる。この側面は、凹部53の径方向に延びる第2側面56に該当する。また、第2側面56の形成に伴い、第2側面56と底面57とのなす角度である第2角度が突起部302の形状に対応する角度として決定される。
【0027】
一方で、上側ダイス200の突出部202は径方向に延びるものであるため、凹部53の周方向に延びる第1側面55を形作る面を備えていない。したがって、下側ダイス300の突起部302による押し込みのみで凹部53の周方向に延びる第1側面55が形成される。そのため、第1側面55と底面57とのなす第1角度θは、突起部302の形状には一致せず、第2側面56と底面57とがなす第2角度よりも大きくなる。
【0028】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)仮に、
図4に示すように、
図3に示す上側ダイス200とは異なる上側ダイス400で、油圧シリンダ52のケーシング52Aに凹部53Xを加工したとする。この上側ダイス400は窪み部401を備えている。窪み部401は、下側ダイス300の突起部302と嵌合する形状で窪んでいる。
【0029】
ケーシング52Aに凹部53Xを加工する際、当該ケーシング52Aの軸方向一方側の側面が、下側ダイス300の突起部302と接するように配置する。そして、上側ダイス400と下側ダイス300とでケーシング52Aを挟み込むようにして配置する。このとき、上側ダイス400の窪み部401が、下側ダイス300の突起部302と対向するように配置する。
【0030】
また、上述したように、ケーシング52Aの外側から下側ダイス300を押し当てると、下側ダイス300の突起部302の先端面302Aがケーシング52Aと接し、ケーシング52Aを押し上げ、凹部53Xの底面57Xを形成する。
【0031】
突起部302がケーシング52Aを押し上げる過程で、ケーシング52Aは、上側ダイス400の窪み部401が備える各側壁によって内側より押さえつけられる。この押さえつけにより、凹部53Xの底面57Xにおける周方向の端より、側面が形作られる。この側面は、凹部53Xの径方向に延びる第2側面56に該当する。また、上記の押さえつけにより、凹部53Xの底面57Xにおける径方向の端からも側面が形作られる。この側面は、凹部53Xの周方向に延びる第1側面55Xに該当する。また、第1側面55Xと底面57Xとがなす角度及び第2側面56と底面57Xとがなす角度は、どちらも突起部302の角度に合うように形成される。
【0032】
ここで、凹部53Xの加工時における内部応力に注目する。上側ダイス400をケーシング52Aに押し当てる過程において、窪み部401の角部Pには応力が集中する。同様に、加工後のケーシング52Aにおいても、凹部53Xの角部Qに大きな内部応力が残存する。このように、ケーシング52Aにおいて内部応力が集中する箇所が存在していると、そこを起点としてケーシング52Aが破損するおそれがある。
【0033】
一方で、本実施形態において、凹部53の第1角度θは、上側ダイス200により角度が規定されず、角度が大きくなることが許容されている。したがって、第1角度θは、角度が規定されずに、第2角度より大きくなるように形成される。この場合、凹部53を加工する際に各ダイスの挟み込みによる力が凹部53の角部に集中しにくい。したがって、凹部53に発生する応力集中を抑制でき、ケーシング52Aの耐久性が向上する。
【0034】
同様に、下側ダイス300をケーシング52Aに押し当てる過程で、突起部302の角部にも応力が集中しにくいので、下側ダイス300の突起部302が摩耗したり欠けたりしにくく、下側ダイス300の長寿命化が期待できる。
【0035】
(2)本実施形態において、凹部53における第2側面56と底面57とがなす第2角度は、鈍角ではあるものの第1角度θよりは急な角度である。しかも、ケーシング52Aにおけるどの凹部53においても、第2角度は一様に形成される。そのため、凸部54と凹部53との境界部分の段差を回転センサ80で検出するにあたっての不都合は生じにくい。
【0036】
(3)本実施形態において、凹部53の第2側面56は、上側ダイス200の突出部202の側壁によって形作られる。したがって、凹部53において径方向のどの箇所においても、第2角度は略同一である。このとき仮に、回転センサ80が径方向に位置ずれを起こしたとしても、同じように凹部53を検知でき、回転センサ80の位置ずれの有無に拘わらず安定して回転数の測定ができる。
【0037】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・車両の構成は、上記実施形態に限定されない。車両の構成として、内燃機関と、内燃機関の駆動により回転する軸と、軸と一体となって回転する無段変速機の回転部材と、回転センサとを有するものであればよい。
【0038】
・上記実施形態において、凹部53はケーシング52Aの径方向の外周面に形成されていてもよい。その場合、回転センサ80は、凹部53と対向するように、ケーシング52Aの径方向外側に配置される。
【0039】
・凹部53は、入力軸側の油圧シリンダ52のケーシング52Aだけでなく、その他の回転部材に適用されてもよい。例えば、出力軸側の油圧シリンダ62のケーシング62Aに適用されてもよい。その他にも、無段変速機40の一部であって入力軸41や出力軸42と共に回転するものであれば、上記凹部53に関する構成を適用でき得る。
【0040】
・凹部53の内面において、第1側面55は曲面となっていてもよい。その場合、第1角度θを決定する際には、当該曲面を、第1側面55と底面57との交わる箇所から、第1側面55と凸部54とが交わる箇所まで延びる平面と仮定する。そして、仮定した平面と、底面57とのなす角を第1角度θとする。この点、第2側面56と底面57とがなす第2角度についても同様である。
【0041】
・上記実施形態において、凹部53の第2角度は鈍角ではなくてもよい。例えば、直角となるように加工されていてもよい。また、第1角度及び第2角度は上記実施形態の具体的な角度に限定されず、第1角度の方が第2角度よりも大きければよい。
【0042】
・上記実施形態において、凹部53の加工法は限定されない。例えば、鋳造や、切削加工等でケーシング52Aを形成し、凹部53を加工してもよい。凹部53をどのような方法で形成したとしても、凹部53における底面57と第1側面55との境界部分には力が集中しがちであるので、上記実施形態の凹部53の構成を適用することが好適である。
【0043】
・上側ダイス200及び下側ダイス300の全体としての形状は限定されない。上記実施形態のような円環状の部材でなくてもよい。
【符号の説明】
【0044】
40…無段変速機
41…入力軸
42…出力軸
52…油圧シリンダ
52A…ケーシング
53…凹部
55…第1側面
56…第2側面
57…底面