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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電動はさみ
(51)【国際特許分類】
   B26B 15/00 20060101AFI20231205BHJP
   B23D 29/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B26B15/00
B23D29/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020080673
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021171580
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 進
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真一
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0000491(US,A1)
【文献】実開昭49-143087(JP,U)
【文献】実開平04-118921(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 15/00
B23D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、
前記可動刃を開閉する駆動部と、
前記可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、
前記可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え
前記保持部は、前記可動刃に取り付けられ、前記可動刃の開閉に連動する
電動はさみ。
【請求項2】
被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、
前記可動刃を開閉する駆動部と、
前記可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、
前記可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、
前記支持部は、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った前記可動刃の両側に設けられる
電動はさみ。
【請求項3】
被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、
前記可動刃を開閉する駆動部と、
前記可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、
前記可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、
前記保持部は、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った前記可動刃の一方の側または両側に設けられ、
前記支持部は、前記保持部に対し、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った外側に設けられ、前記保持部と接する
電動はさみ。
【請求項4】
被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、
前記可動刃を開閉する駆動部と、
前記可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、
前記可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、
前記可動刃は、互いの刃部が近づく方向及び離れる方向に開閉する一対の可動刃を備え、
前記保持部は、前記一対の可動刃の一方または両方に設けられる
電動はさみ。
【請求項5】
被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、
前記可動刃を開閉する駆動部と、
前記可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、
前記可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、
前記保持部は、磁力を有する部材で構成される
電動はさみ。
【請求項6】
前記保持部は、前記可動刃に取り付けられ、前記可動刃の開閉に連動する
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項7】
前記支持部は、前記可動刃と独立した部品で構成され、前記可動刃の開閉と非連動である
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項8】
前記支持部は、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った前記可動刃の両側に設けられる
請求項1または請求項3~請求項7の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項9】
前記保持部は、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った前記可動刃の一方の側または両側に設けられる
請求項1、請求項2、請求項4または請求項の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項10】
前記支持部は、前記保持部に対し、前記可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った外側に設けられ、前記保持部と接する
請求項9記載の電動はさみ。
【請求項11】
前記可動刃は、互いの刃部が近づく方向及び離れる方向に開閉する一対の可動刃を備え、
前記保持部は、前記一対の可動刃の一方または両方に設けられる
請求項1~請求項3の何れか1項あるいは請求項5~請求項10の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項12】
前記保持部は、弾性を有する部材で構成される
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の電動はさみ。
【請求項13】
前記保持部は、磁力を有する部材で構成される
請求項1~請求項4の何れか1項あるいは請求項6~請求項12の何れか1項に記載の電動はさみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の被切断物をモータの駆動力を利用して切断する電動はさみに関する。
【背景技術】
【0002】
図16は、コンクリート建造物における鉄筋の配置の一例を示す説明図である。コンクリート建造物には、強度を向上させるために鉄筋が使用されている。鉄筋Sは、図16に示すように格子状に配置され、交点がワイヤで結束される。建設現場では、このように配置された鉄筋Sの端部E1を切断する場合がある。また、格子状となっている格子箇所E2の2本の4か所を切断し、配管等を通せるようにする場合もある。
【0003】
さて、丸棒状等の被切断物を一対の可動刃で切断するはさみは、鋭角の刃先が丸棒を径方向に押し切りながら切断する構成である。一対の可動刃で丸棒を切断する過程では、丸棒の延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重と、切断荷重に対して垂直方向である丸棒の延伸方向に丸棒を引きちぎる荷重が発生する。
【0004】
従来のはさみでは、切断荷重に対して垂直方向に丸棒を引きちぎる荷重による丸棒の移動を抑制できない。これにより、図16のように配置された鉄筋Sの上記切断箇所を、一対の可動刃で切断すると、鉄筋Sが延伸方向に沿って移動しようとする力が掛かるので、切断された鉄筋Sが飛散する。
【0005】
これに対し、電線や針金等の比較的細い線材を切断する手で開閉を行うニッパーにおいて、被切断物として切断した線材が飛散しないようにするため、線材を弾性力で保持するする線材挟持部材を切断刃に備える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
これに対し、被切断物が鉄筋であったり、太径の丸棒を切断するには、より大きい切断力を加えることが必要となる。上述したように、一対の可動刃で丸棒を切断する過程では、丸棒の延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重の反力が可動刃に掛かる。このため、より大きな切断力が加わると、はさみが丸棒に対して傾く。このため、作業者がはさみを傾かないように押さえる必要がある。
【0007】
そこで、切り刃の両側に、トーションバネの付勢で被切断物であるパイプを保持する押さえ部材を備え、パイプが斜めになることを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開昭64-43865号公報
【文献】特開2005-87642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、バネの付勢を利用して被切断物を押さえる構成では、太径の丸棒を切断するには、より強力なトーションバネにする必要があり、工具の大型化となり、工具の操作性が悪くなる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、被切断物の保持が可能で、かつ、簡単な構成で可動刃に対する被切断物の向きを規制可能な電動はさみを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、可動刃を開閉する駆動部と、可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、保持部は、可動刃に取り付けられ、可動刃の開閉に連動する電動はさみである。
また、本発明は、被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、可動刃を開閉する駆動部と、可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、支持部は、可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った可動刃の両側に設けられる電動はさみである。
さらに、本発明は、被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、可動刃を開閉する駆動部と、可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、保持部は、可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った可動刃の一方の側または両側に設けられ、支持部は、保持部に対し、可動刃の開閉方向に対して垂直方向に沿った外側に設けられ、保持部と接する電動はさみである。
また、本発明は、被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、可動刃を開閉する駆動部と、可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、可動刃は、互いの刃部が近づく方向及び離れる方向に開閉する一対の可動刃を備え、保持部は、一対の可動刃の一方または両方に設けられる電動はさみである。
さらに、本発明は、被切断物を切断する刃部を有した可動刃と、可動刃を開閉する駆動部と、可動刃で切断される被切断物を保持する保持部と、可動刃で切断される被切断物の向きを規制して支持する支持部とを備え、保持部は、磁力を有する部材で構成される電動はさみである。
【0012】
本発明では、可動刃で切断される被切断物の向きが支持部で規制された状態、かつ、被切断物が保持部で保持された状態で可動刃により切断される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、可動刃で被切断物を切断する過程で、可動刃に対して被切断物が傾くことが抑制されることで、電動はさみが被切断物に対して傾くことを抑制できる。また、可動刃で被切断物を切断する過程で、被切断物が保持部で保持され、被切断物が切断された後も、切断された被切断物を、電動はさみで保持でき、被切断物の飛散を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態の電動はさみの一例を示す一部破断斜視図である。
図2】本実施の形態の電動はさみの一例を示す要部分解斜視図である。
図3】本実施の形態の電動はさみの一例を示す側断面図である。
図4】本実施の形態の電動はさみの一例を示す側面図である。
図5】本実施の形態の電動はさみの一例を示す上面図である。
図6】本実施の形態の電動はさみの一例を示す正面図である。
図7】本実施の形態の電動はさみの一例を示す図4のA-A線断面図である。
図8A】本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側断面図である。
図8B】本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す図8AのB-B線断面図である。
図9A】本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側断面図である。
図9B】本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す図9AのC-C線断面図である。
図10】本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側面図である。
図11A】従来の課題を示す電動はさみの要部側面図である。
図11B】従来の課題を示す図11AのD-D線断面図である。
図12】本実施の形態の電動はさみの第2の変形例を示す正面断面図である。
図13】本実施の形態の電動はさみの第3の変形例を示す正面断面図である。
図14】本実施の形態の電動はさみの第4の変形例を示す正面断面図である。
図15】本実施の形態の電動はさみの第5の変形例を示す正面断面図である。
図16】コンクリート建造物における鉄筋の配置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の電動はさみの実施の形態について説明する。
【0016】
<電動はさみの構成例>
図1は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す一部破断斜視図、図2は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す要部分解斜視図である。また、図3は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す側断面図、図4は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す側面図、図5は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す上面図である。更に、図6は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す正面図、図7は、本実施の形態の電動はさみの一例を示す図4のA-A線断面図である。
【0017】
本実施の形態の電動はさみ1Aは、一対の可動刃である第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bと、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bで切断される被切断物である鉄筋Sを保持する第1の保持部3A、第2の保持部3Bと、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに対する鉄筋Sの傾斜を抑制すると共に、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの所望の方向以外への変形を抑制する第1の支持部4A及び第2の支持部4Bを備える。また、電動はさみ1Aは、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bを駆動する駆動部5を備える。
【0018】
第1の可動刃2Aは、鋼等により構成される所定の形状の板状の部材に、一の辺に向けて断面形状が楔状とされ、刃先が鋭角な刃部20Aを備える。また、第2の可動刃2Bは、鋼等により構成される所定の形状の板状の部材に、一の辺に向けて断面形状が楔状とされ、刃先が鋭角な刃部20Bを備える。
【0019】
第1の可動刃2Aは、第1の支持部4A及び第2の支持部4Bに支持された軸21Aに回転可能に支持される。第1の可動刃2Aは、軸21Aが挿入される軸穴部22Aが形成され、軸穴部22Aを挟んで一方の側に刃部20Aが形成され、軸穴部22Aを挟んで他方の側に、駆動部5と連結されるリンク部23Aが形成される。
【0020】
また、第2の可動刃2Bは、軸21Aと平行な向きで第1の支持部4A及び第2の支持部4Bに支持された軸21Bに回転可能に支持される。第2の可動刃2Bは、軸21Bが挿入される軸穴部22Bが形成され、軸穴部22Bを挟んで一方の側に刃部20Bが形成され、軸穴部22Bを挟んで他方の側に、駆動部5と連結されるリンク部23Bが形成される。
【0021】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、刃部2Aの延伸する方向と、刃部2Bの延伸する方向が平行である。また、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、軸21Aの軸方向に沿った刃部20Aの位置と、軸21Bの軸方向に沿った刃部20Bの位置が重なる。
【0022】
第1の可動刃2Aは、軸21Aを支点とした回転動作で、刃部20Aが第2の可動刃2Bの刃部20Bに対して近づく方向及び離れる方向に移動する。また、第2の可動刃2Bは、軸21Bを支点とした回転動作で、刃部20Bが第1の可動刃2Aの刃部20Aに対して近づく方向及び離れる方向に移動する。
【0023】
そして、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いが離れる方向に移動することで、第1の可動刃2Aの刃部20Aと第2の可動刃2Bの刃部20Bとの間に、鉄筋Sが入る隙間が形成される。また、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いが近づく方向に移動することで、第1の可動刃2Aの刃部20Aと第2の可動刃2Bの刃部20Bが接する。
【0024】
第1の保持部3Aは、弾性を有する部材で構成される。第1の保持部3Aは、第1の可動刃2Aの刃部20Aと対向する部位が開口し、第1の可動刃2Aの両方の側面及び刃部20Aと反対側の背部を覆う形態で、第1の可動刃2Aに取り付けられ、第1の保持部3Aの開閉に連動する。なお、第1の保持部3Aは、第1の可動刃2Aの開閉方向に対して垂直方向に沿った第1の可動刃2Aの両側に設けられる構成でも良いし、片側に設けられる構成でも良い。
【0025】
第1の保持部3Aは、第1の可動刃2Aの刃部20Aと対向する内面側が、断面形状が楔状となっている第1の可動刃2Aの刃部20Aの形状に倣う形状である。また、第1の保持部3Aは、第1の支持部4A及び第2の支持部4Bと対向する外面側に、第1の保持部3Aの弾性変形及び復元を補助する凹部30Aが形成される。
【0026】
第2の保持部3Bは、弾性を有する部材で構成される。第2の保持部3Bは、第2の可動刃2Bの刃部20Bと対向する部位が開口し、第2の可動刃2Bの両方の側面及び刃部20Bと反対側の背部を覆う形態で、第2の可動刃2Bに取り付けられ、第2の保持部3Bの開閉に連動する。なお、第2の保持部3Bは、第2の可動刃2Bの開閉方向に対して垂直方向に沿った第2の可動刃2Bの両側に設けられる構成でも良いし、片側に設けられる構成でも良い。
【0027】
第2の保持部3Bは、第2の可動刃2Bの刃部20Bと対向する内面側が、断面形状が楔状となっている第2の可動刃2Bの刃部20Bの形状に倣う形状である。また、第2の保持部3Bは、第1の支持部4A及び第2の支持部4Bと対向する外面側に、第2の保持部3Bの弾性変形及び復元を補助する凹部30Bが形成される。
【0028】
第1の保持部3Aは、第2の可動刃2Bに取り付けられた第2の保持部3Bと対向する面が、第1の可動刃2Aの刃部20Aと略同等に位置する。第1の可動刃2Aは、第1の保持部3Aが弾性変形することで、第1の保持部3Aから突出する。第2の保持部3Bは、第1の可動刃2Aに取り付けられた第1の保持部3Aと対向する面が、第2の可動刃2Bの刃部20Bと略同等に位置する。第2の可動刃2Bは、第2の保持部3Bが弾性変形することで、第2の保持部3Bから突出する。
【0029】
第1の保持部3A及び第2の保持部3Bは、ウレタン、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、高強度シリコンゴム等が挙げられ、弾性体の圧縮応力、硬度、摩擦係数等からウレタンであることが好ましい。
【0030】
第1の支持部4Aと第2の支持部4Bは、鉄等の金属の板材で構成される。第1の保持部4Aは、鉄筋Sが入れられる溝部40Aを備える。溝部40Aの開口する幅Lは、切断可能な鉄筋Sの直径(図4参照)より若干大きな長さで構成される。第2の保持部4Bは、鉄筋Sが入れられる溝部40Bを備える。溝部40Bの開口する幅Lは、溝40Aの幅と同じで、切断可能な鉄筋Sの直径より若干大きな長さで構成される。
【0031】
第1の支持部4Aと第2の支持部4Bは、間に連結部材41Aが入れられ、ネジ41Bで連結部材41Aに固定されることで、第1の支持部4Aと第2の支持部4Bとの間隔が保持された状態でハウジング10に固定される。
【0032】
第1の支持部4Aの溝部40Aと、第2の支持部4Bの溝部40Bは、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bが離れる方向に回転して開いた刃部20Aと刃部20Bとの間の空間に対し、軸21A及び軸21Bの軸方向に沿った位置に設けられる。これにより、第1の支持部4Aの溝部40Aと第2の支持部4Bの溝部40Bの間に入れられた鉄筋Sは、開いた状態の第1の可動刃2Aの刃部20Aと第2の可動刃2Bの刃部20Bとの間に入る。
【0033】
第1の支持部4Aは、第1の可動刃2A及び第1の保持部3Aの開閉方向に対して垂直方向に沿った一方の側面、及び、第2の可動刃2B及び第2の保持部3Bの開閉方向に対して垂直方向に沿った一方の側面と対向する部位に設けられる。また、第2の支持部4Bは、第1の可動刃2A及び第1の保持部3Aの他方の側面、及び、第2の可動刃2B及び第2の保持部3Bの他方の側面と対向する部位に設けられる。第1の支持部4Aと第2の支持部4Bの間隔は、軸21Aの軸方向に沿った第1の保持部3Aの幅及び軸21Bの軸方向に沿った第2の保持部3Bの幅と同等程度に構成され、第1の支持部4Aと、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの一方の側面が接する。また、第2の支持部4Bと、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの他方の側面が接する。
【0034】
第1の支持部4Aは、軸21Aと軸21Bの一方の端部が入れられる穴42A、43Aが開けられ、また、第2の支持部4Bは、軸21Aと軸21Bの他方の端部が入れられる穴42B、43Bが開けられる。
【0035】
軸21Aと軸21Bは、Eリング24により第1の支持部4A及び第2の支持部4Bから抜けることが規制された形態で固定される。これにより、軸21Aと軸21Bは、軸方向の両端が、第1の支持部4Aと第2の支持部4Bで支持され、軸21Aと軸21Bの間で軸線の傾きが発生することが抑制される。
【0036】
駆動部5は、モータ50と、減速機51と、送りネジ機構52と、トグルリンク機構53を備える。モータ50は、駆動軸が例えば遊星ギアを用いた減速機51に連結される。送りネジ機構52は、減速機51の出力軸に連結されるネジ軸52Aと、ネジ軸52Aのネジ溝にかみ合う図示しない凸部を有した移動部材52Bを備える。
【0037】
送りネジ機構52は、ネジ軸52Aが回転駆動されると、移動部材52Bがネジ軸52Aに沿って直線移動する。これにより、送りネジ機構52は、モータ50の回転動作が移動部材52Bの直線動作に変換され、モータ50の回転方向に応じて移動部材52Bの移動方向が切り替えられる。
【0038】
トグルリンク機構53は、第1の可動刃2Aのリンク部23Aと回転可能に連結されるリンク部54Aと、第2の可動刃2Bのリンク部23Bと回転可能に連結されるリンク部54Bと、リンク部54A及びリンク部54Bと移動部材52Bを連結するリンク部54Cを備える。
【0039】
リンク部23Aとリンク部54Aは、軸55Aを支点に回転可能に連結される。また、リンク部23Bとリンク部54Bは、軸55Bを支点に回転可能に連結される。更に、リンク部54A及びリンク部54Bとリンク部54Cは、軸55Cを支点に回転可能に連結され、リンク部54Cと移動部材52Bは、軸55Dを支点に回転可能に連結される。
【0040】
トグルリンク機構53は、移動部材52Bの位置に応じて、第1の可動刃2Aのリンク部23Aとリンク部54Aが、軸55Aによる連結部分で屈曲した形態となり、第2の可動刃2Bのリンク部23Bとリンク部54Bが、軸55Bによる連結部分で屈曲した形態となる。
【0041】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、リンク部23Aとリンク部54Aが、軸55Aによる連結部分で屈曲した形態となり、リンク部23Bとリンク部54Bが、軸55Bによる連結部分で屈曲した形態となる。第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、リンク部23Aとリンク部54Aとの成す角、リンク部23Bとリンク部54Bとの成す角が開くと、刃部20A刃部20Bとの間に、鉄筋Sが入る隙間が形成される。
【0042】
また、トグルリンク機構53は、移動部材52Bの移動により、軸55Aによる連結部分におけるリンク部23Aとリンク部54Aとのなす角が閉じ、軸55Bによる連結部分におけるリンク部23Bとリンク部54Bとのなす角が閉じる。
【0043】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、リンク部23Aとリンク部54Aとのなす角が閉じる方向に、軸21Aを支点に第1の可動刃2Aが回転し、リンク部23Bとリンク部54Bとのなす角が閉じる方向に、軸21Bを支点に第2の可動刃2Bが回転すると、互いの刃部が近づく方向に移動することで、刃部20Aと刃部20Bが接する。
【0044】
電動はさみ1Aは、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bの開閉動作を行う操作部11を備える。操作部11は、モータ50の回転方向、回転量及び回転速度を制御する第1のスイッチ11Aと第2のスイッチ11Bを備える。
【0045】
電動はさみ1Aは、モータ50等に電気を供給するバッテリ等の電源部が、電動はさみ1Aと独立して設けられ、電動はさみ1Aと電源部がケーブルで接続される形態でも良い。また、電動はさみ1Aは、モータ50等に電気を供給するバッテリ等の電源部が、電動はさみ1Aに着脱可能に取り付けられる構成でも良い。この場合、電動はさみ1Aから取り外して充電が行われる。更に、電動はさみ1Aは、モータ50等に電気を供給するバッテリ等の電源部が、電動はさみ1Aに内蔵される構成でも良い。この場合、電動はさみ1Aと充電器を接続して電源部の充電が行われる。
【0046】
<電動はさみの動作例>
図8Aは、本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側断面図、図8Bは、本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す図8AのB-B線断面図である。また、図9Aは、本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側断面図、図9Bは、本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す図9AのC-C線断面図である。更に、図10は、本実施の形態の電動はさみの動作の一例を示す要部側面図である。
【0047】
電動はさみ1Aは、待機状態では、第1の可動刃2Aの刃部20Aと、第2の可動刃2Bの刃部20Bとの間に、鉄筋Sが入る隙間が形成されている。この状態で、図10に示すように、第1の支持部4Aの溝部40Aと第2の支持部4Bの溝部40Bに鉄筋Sが入れられると、図8A図8Bに示すように、第1の可動刃2Aの刃部20Aと、第2の可動刃2Bの刃部20Bとの間に、鉄筋Sが入る。
【0048】
刃部20A及び刃部20Bの間に鉄筋Sが入れられた状態で、操作部11の第1のスイッチ11Aが操作されると、モータ50が所定の方向に回転する。モータ50の回転が、送りネジ機構52のネジ軸52Aと移動部材52Bにより移動部材52Bの移動に変換され、移動部材52Bの動きがトグルリンク機構53により第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに伝達される。これにより、第1の可動刃2Aの刃部20Aと、第2の可動刃2Bの刃部20Bが、互いに近づく方向に、第1の可動刃2Aが軸21Aを支点に回転し、第2の可動刃2Bが軸21Bを支点に回転する。
【0049】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いの刃部20A及び刃部20Bが近づく方向に移動することで、刃部20Aが鉄筋Sの径方向の一の側から鉄筋Sを押し切り、刃部20Bが鉄筋Sの径方向の他の側から鉄筋Sを押し切って、鉄筋Sの切断を開始する、
【0050】
図11Aは、従来の課題を示す電動はさみの要部側面図、図11Bは、従来の課題を示す図11AのD-D線断面図である。
【0051】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bで鉄筋Sを切断する過程では、図11Bに示すように、鉄筋Sの延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重F1と、切断荷重F1に対して垂直方向である鉄筋Sの延伸方向に鉄筋Sを引きちぎる荷重F2が発生する。
【0052】
図11A及び図11Bに示すように、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに保持部が備えられていない構成では、切断荷重F1に対して垂直方向に鉄筋Sを引きちぎる荷重F2による鉄筋Sの移動を抑制できない。これにより、切断された鉄筋Sが飛散する。
【0053】
これに対し、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに保持部を備えた構成では、第1の可動刃2Aは、刃部20Aが鉄筋Sを押し切る過程で、第1の保持部3Aが鉄筋Sに押されて弾性変形することで、刃部20Aが第1の保持部3Aから突出する。また、第2の可動刃2Bは、刃部20Bが鉄筋Sを押し切る過程で、第2の保持部3Bが鉄筋Sに押されて弾性変形することで、刃部20Bが第2の保持部3Bから突出する。
【0054】
一方、第1の保持部3Aは、復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押し、第2の保持部3Bは、復元しようとする力で鉄筋Sを他の側から径方向に押す。これにより、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いの刃部2A及び刃部2Bが近づく方向に移動する回転動作で、第1の保持部3Aと第2の保持部3Bとの間に鉄筋Sを挟んで保持する。
【0055】
第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いの刃部20A及び刃部20Bが接する位置まで移動することで、鉄筋Sが切断される。鉄筋Sを押し切る過程で、鉄筋Sが、第1の保持部3Aと第2の保持部3Bとの間に挟まれて保持されるので、図9Bに示すように、切断荷重F1に対して垂直方向に鉄筋Sを引きちぎる荷重F2による鉄筋Sの移動が、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bで抑制される。これにより、切断された鉄筋Sの飛散が抑制される。
【0056】
また、刃部20Aが鉄筋Sを押し切る過程で、第1の保持部3Aが鉄筋Sに押されて弾性変形する際に、第1の保持部3Aが、鉄筋Sの延伸方向に沿って外側に膨らむ方向に変形すると、第1の保持部3Aが復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す力が弱くなる。同様に、刃部20Bが鉄筋Sを押し切る過程で、第2の保持部3Bが鉄筋Sに押されて弾性変形する際に、第2の保持部3Bが、鉄筋Sの延伸方向に沿って外側に膨らむ方向に変形すると、第2の保持部3Bが復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す力が弱くなる。
【0057】
これに対し、第1の支持部4Aを、第1の保持部3Aが取り付けられた第1の可動刃2A及び第2の保持部3Bが取り付けられた第2の可動刃2Bの一方の側部に備え、第2の支持部4Bを、第1の保持部3Aが取り付けられた第1の可動刃2A及び第2の保持部3Bが取り付けられた第2の可動刃2Bの他方の側部に備える。
【0058】
これにより、刃部20Aが鉄筋Sを押し切る過程で、第1の保持部3Aが鉄筋Sに押されて弾性変形する際に、鉄筋Sの延伸方向に沿って外側に膨らむ方向に変形することが第1の支持部4A及び第2の支持部4Bと、第1の保持部3Aに設けた凹部30Aの変形で抑制される。よって、第1の保持部3Aが、鉄筋Sの延伸方向に対して垂直方向に圧縮される形態で弾性変形することで、第1の保持部3Aが復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す力が強くなる。
【0059】
また、刃部20Bが鉄筋Sを押し切る過程で、第2の保持部3Bが鉄筋Sに押されて弾性変形する際に、鉄筋Sの延伸方向に沿って外側に膨らむ方向に変形することが第1の支持部4A及び第2の支持部4Bと、第2の保持部3Bに設けた凹部30Bの変形で抑制される。よって、第2の保持部3Bが、鉄筋Sの延伸方向に対して垂直方向に圧縮される形態で弾性変形することで、第2の保持部3Bが復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す力が強くなる。
【0060】
なお、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bは、弾性体の圧縮応力、硬度、摩擦係数等から、鉄筋Sに対する押し付け力や、鉄筋Sの切断の妨げにならない変形状態等、最適な状態を考慮して、部材の材質、硬度を選定した。第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの材質として、本実施の形態では、ウレタン(硬度Hs70°、圧縮応力:170~190N/cm、動摩擦係数:0.624~0.648)を採用した。
【0061】
更に、刃部20A及び刃部20Bが鉄筋Sを押し切る過程で、鉄筋Sの延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重F1の反力が第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに掛かる。第1の支持部4A及び第2の支持部4Bを備えていない構成では、各可動刃に対して鉄筋Sが傾き得るため、電動はさみが鉄筋Sに対して傾く。このため、作業者が電動はさみを傾かないように押さえる必要があり、負担が掛かる。
【0062】
これに対し、鉄筋Sが入る溝部40Aを有した第1の支持部4Aを、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bの一方の側部に備え、鉄筋Sが入る溝部40Bを有した第2の支持部4Bを、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bの他方の側部に備えた構成では、軸21A及び軸21Bの軸方向に沿った第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bの両側で、鉄筋Sの位置が規制される。
【0063】
これにより、鉄筋Sの延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重F1の反力が第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに掛かっても、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bに対して鉄筋Sが傾くことが抑制され、作業者が電動はさみ1Aを傾かないように押さえる力を加えなくても、電動はさみ1Aが鉄筋Sに対して傾くことが抑制される。
【0064】
よって、作業者は、電動はさみ1Aを片手で把持して鉄筋Sを切断する作業を行うことができ、片手が自由に使えることから、高所等での切断作業でも良好な作業性を確保できる。また、切断した鉄筋Sの飛散を抑制できる。更に、鉄筋Sの切断後、操作部11の操作で第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bの閉じた状態を維持することで、電動はさみ1Aで鉄筋Sを保持した状態を維持することができる。よって、電動はさみ1Aで切断された鉄筋Sを保持した状態で廃棄場所に移動し、操作部11の操作で第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bを開くことで、廃棄場に鉄筋Sを廃棄することができ、飛散した鉄筋Sを集めて廃棄場所にもっていき、廃棄するという作業を排除することができる。
【0065】
<電動はさみの変形例>
図12は、本実施の形態の電動はさみの第1の変形例を示す正面断面図である。第1の変形例の電動はさみ1Bは、一対の可動刃の一方に保持部を備え、他方の可動刃には保持部を備えていない構成である。すなわち、電動はさみ1Bは、第1の可動刃2Aに保持部3A′を備え、第2の可動刃2Bには保持部を備えていない。または、図示しないが、第2の可動刃2Bに保持部を備え、第1の可動刃2Aには保持部を備えていない。保持部3A′は、上述した第1の保持部3Aと同じ構成でよい。
【0066】
電動はさみ1Bでは、第1の可動刃2Aの刃部20A及び第2の可動刃2Bの刃部20Bで鉄筋Sを押し切る過程で、保持部3A′が鉄筋Sに押されて弾性変形する。一方、保持部3A′は、復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す。これにより、第1の可動刃2Aの刃部20Aと第2の可動刃2Bの刃部2Bが互いに近づく方向に移動すると、保持部3A′と、第1の支持部4Aの溝部40A及び第2の支持部4Bの溝部40Bとの間に鉄筋Sが挟まれて保持される。これにより、切断された鉄筋Sの飛散が抑制される。
【0067】
図13は、本実施の形態の電動はさみの第2の変形例を示す正面断面図である。第2の変形例の電動はさみ1Cは、第1の保持部3Aが磁石31Aを備え、第2の保持部3Bが磁石31Bを備えて、磁力を有する部材で構成される。なお、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの全体が、磁力を有しても良い。
【0068】
電動はさみ1Cでは、第1の可動刃2Aの刃部20A及び第2の可動刃2Bの刃部20Bで鉄筋Sを押し切る過程で、第1の保持部3Aが鉄筋Sに押されて弾性変形する。一方、第1の保持部3Aは、復元しようとする力で鉄筋Sを一の側から径方向に押す。また、第2の保持部3Bが鉄筋Sに押されて弾性変形する。一方、第2の保持部3Bは、復元しようとする力で鉄筋Sを他の側から径方向に押す。更に、第1の保持部3Aは、磁石31Aが鉄筋Sに吸着し、第2の保持部3Bは、磁石31Bが鉄筋Sに吸着する。
【0069】
これにより、第1の可動刃2Aと第2の可動刃2Bは、互いの刃部2A及び刃部2Bが近づく方向に移動する回転動作で、第1の保持部3Aと第2の保持部3Bとの間に、第1の保持部3A及び第2の保持部3Bの弾性変形と、磁石31A、31Bにより鉄筋Sを保持する。よって、切断された鉄筋Sの飛散が抑制される。
【0070】
図14は、本実施の形態の電動はさみの第3の変形例を示す正面断面図である。第3の変形例の電動はさみ1Dは、第1の保持部3Aの第2の保持部3Bと対向する面の位置を、第1の可動刃2Aの刃部20Aの刃先に対し、鉄筋Sの径に応じて可変とする。また、第2の保持部3Bの第1の保持部3Aと対向する面の位置を、第2の可動刃2Bの刃部20Bの刃先に対し、鉄筋Sの径に応じて可変とする。
【0071】
例えば、鉄筋Sの径が太い場合、第1の可動刃2Aの刃部20Aの刃先に対する第1の保持部3Aの後退量を大きくし、第2の可動刃2Bの刃部20Bの刃先に対する第2の保持部3Bの後退量を大きくして、第1の保持部3Aと第2の保持部3Bとの間隔を広げる。これに対し、鉄筋Sの径が細い場合、第1の可動刃2Aの刃部20Aの刃先に対する第1の保持部3Aの後退量を小さくし、第2の可動刃2Bの刃部20Bの刃先に対する第2の保持部3Bの後退量を小さくして、第1の保持部3Aと第2の保持部3Bとの間隔を狭くする。
【0072】
これにより、第1の保持部3A及び第2の保持部2Bが弾性変形する際の変形量が過大、過小になることが抑制され、鉄筋Sを確実に保持できると共に、第1の可動刃2A及び第2の可動刃2Bが回転する際の負荷が過大になることを抑制することができる。
【0073】
図15は、本実施の形態の電動はさみの第4の変形例を示す正面断面図である。第4の変形例の電動はさみ1Eは、第1の可動刃2Cの刃部20Cの刃先及び第2の可動刃2Dの刃部20Dの刃先を鈍角で形成する。
【0074】
第1の可動刃2Cと第2の可動刃2Dで鉄筋Sを切断する過程では、鉄筋Sの延伸方向に対し垂直方向に働く切断荷重F1と、切断荷重F1に対して垂直方向である鉄筋Sの延伸方向に鉄筋Sを引きちぎる荷重F2が発生する。第1の可動刃2Cの刃部20Cの刃先及び第2の可動刃2Dの刃部20Dの刃先を鈍角であると、切断荷重F1に対し、鉄筋Sを引きちぎる荷重F2が十分に小さくなる。これにより、切断された鉄筋Sが、可動刃の移動方向に沿って落下し、飛散が抑制される。
【符号の説明】
【0075】
1A、1B、1C、1D・・・電動はさみ、2A、2C・・・第1の可動刃、2B、2D・・・第2の可動刃、20A、20B、20C、20D・・・刃部、21A、21A・・・軸、22A、22B・・・軸穴部、23A、23B・・・リンク部、24・・・Eリング、3A・・・第1の保持部、3A′・・・保持部、3B・・・第2の保持部、30A、30B・・・凹部、31A、31B・・・磁石、4A・・・第1の支持部、4B・・・第2の支持部、40A、40B・・・溝部、41A・・・連結部材、41B・・・ネジ、42A、42B・・・穴、43A、43B・・・穴、5・・・駆動部、50・・・モータ、51・・・減速機、52・・・送りネジ機構、52A・・・ネジ軸、52B・・・移動部材、53・・・トグルリンク機構、54A、54B、54C・・・リンク部、55A、55B、55C、55D・・・軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16