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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20231205BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 B
H05K7/20 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020095728
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021190598
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】馬場 淑郎
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-192697(JP,A)
【文献】特開2012-238733(JP,A)
【文献】特開2004-023066(JP,A)
【文献】特開2005-229100(JP,A)
【文献】特開平10-056114(JP,A)
【文献】特開2003-168882(JP,A)
【文献】特開2010-171030(JP,A)
【文献】特開2003-008263(JP,A)
【文献】特開2017-191873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34-23/473
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品(7)と、
前記発熱部品が実装されている基板(8)と、
外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部(2)と、
前記外部放熱部において前記発熱部品側に位置する面に一体に設けられた、グラフェンを含む黒鉛シート(4)と、
前記黒鉛シートの一部と前記発熱部品との両方に接触して、前記発熱部品の放熱を前記黒鉛シートに移動可能な熱伝導性を有する熱伝導部(5)と、
前記基板における前記発熱部品が実装されていない部分と前記黒鉛シートとの間において、前記黒鉛シートにおける前記基板側の面(40b)を覆うように設けられている遮蔽部(6;506)と、を備え
前記遮蔽部は、前記発熱部品の外周縁部を取り囲むように形成された内周縁部(62a)を備え、
前記内周縁部は、前記熱伝導部の下面を下方から支持する支持部に形成されている冷却装置。
【請求項2】
発熱部品(7)と、
前記発熱部品が実装されている基板(8)と、
外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部(2)と、
前記外部放熱部において前記発熱部品側に位置する面に一体に設けられた、グラフェンを含む黒鉛シート(4)と、
前記黒鉛シートの一部と前記発熱部品との両方に接触して、前記発熱部品の放熱を前記黒鉛シートに移動可能な熱伝導性を有する熱伝導部(5)と、
前記基板における前記発熱部品が実装されていない部分と前記黒鉛シートとの間において、前記黒鉛シートにおける前記基板側の面(40b)を覆うように設けられている遮蔽部(6;506)と、を備え
前記遮蔽部は、前記熱伝導部の外周縁部(51)と前記黒鉛シートとの間に入り込んで、前記外周縁部よりも内側に位置する内周縁部(162a)を備える冷却装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記基板に固定されている被固定部(63;463;264)を有する請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記遮蔽部は、前記外部放熱部に固定されている被固定部(63;61a)を有する請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記基板、前記発熱部品および前記熱伝導部を収容するケース(3;103)を備え、
前記遮蔽部は、前記ケースに一体に設けられている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項6】
発熱部品(7)と、
前記発熱部品が実装されている基板(8)と、
外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部(2)と、
前記外部放熱部において前記発熱部品側に位置する面に一体に設けられた、グラフェンを含む黒鉛シート(4)と、
前記黒鉛シートの一部と前記発熱部品との両方に接触して、前記発熱部品の放熱を前記黒鉛シートに移動可能な熱伝導性を有する熱伝導部(5)と、
前記基板における前記発熱部品が実装されていない部分と前記黒鉛シートとの間において、前記黒鉛シートにおける前記基板側の面(40b)を覆うように設けられている遮蔽部(6;506)と、を備え
前記遮蔽部は、前記黒鉛シートにおける前記基板側の面(40b)を覆いかつ前記基板上を埋めるように設けられたポッティング部(806)である冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板に実装された発熱部品からの熱を黒鉛シートに移動させて放熱する冷却装置を開示している。黒鉛シートは、ケースと発熱部品とに挟まれるように設けられている。黒鉛シートは、発熱部品に接触していない部分において、基板に対面している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2006/134858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
黒鉛シートは、強度的に脆く破損しやすい。特許文献1によれば、黒鉛シートが振動などによって破損して小片が基板上に落下し、不具合が生じ得る。
【0005】
この明細書に開示する目的の一つは、黒鉛シートの小片が基板に付着することを抑制可能な冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示する冷却装置の一つは、発熱部品(7)と、発熱部品が実装されている基板(8)と、外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部(2)と、外部放熱部において発熱部品側に位置する面に一体に設けられた、グラフェンを含む黒鉛シート(4)と、黒鉛シートの一部と発熱部品との両方に接触して、発熱部品の放熱を黒鉛シートに移動可能な熱伝導性を有する熱伝導部(5)と、基板における発熱部品が実装されていない部分と黒鉛シートとの間において、黒鉛シートにおける基板側の面(40b)を覆うように設けられている遮蔽部(6;506)と、を備え、遮蔽部は、発熱部品の外周縁部を取り囲むように形成された内周縁部(62a)を備え、内周縁部は、熱伝導部の下面を下方から支持する支持部に形成されている
【0008】
この冷却装置によれば、発熱部品の熱を、熱伝導部および黒鉛シートを通じて外部放熱部へ移動させて外部に放出する放熱経路を構成できる。黒鉛シートは高い熱伝導性を有しているが、強度的に脆く、振動等の外力によって破損して小片が発生することがある。この冷却装置は、黒鉛シートにおける基板側の面を覆うように設けられた遮蔽部により、黒鉛シートの小片を受け止めることができる。このような技術によれば、黒鉛シートの小片が基板に付着することを抑制可能な冷却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の冷却装置を示す斜視図である。
図2】冷却装置の分解図である。
図3】冷却装置を下方にみた平面図である。
図4図3のIV-IV線における断面図である。
図5】冷却装置の側面図である。
図6図5のVI-VI線における断面図である。
図7】黒鉛シートと遮蔽部を示す部分断面図である。
図8】第2実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図9】第3実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図10】第4実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図11】第5実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図12】第6実施形態の冷却装置を示す斜視図である。
図13】冷却装置の分解図である。
図14】冷却装置を下方にみた平面図である。
図15図14のXV-XV線における断面図である。
図16】冷却装置の側面図である。
図17図16のXVII-XVII線における断面図である。
図18】黒鉛シートと遮蔽部を示す部分断面図である。
図19】第7実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図20】第8実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図21】第9実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図22】第10実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図23】第11実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図24】第12実施形態の遮蔽部を示す部分断面図である。
図25】遮蔽部を上方にみた部分平面図である。
図26】第13実施形態の遮蔽部を上方にみた部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
<第1実施形態>
明細書に開示する目的を達成可能な冷却装置の第1実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。冷却装置は、電気機器や電子機器に適用されて、基板に実装された部品の発熱を機器の外部に放熱可能な装置である。冷却装置は、特に、車両に搭載される車載用電子制御装置に適用することが好適である。車両は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等である。車載用電子制御装置は、車両を走行させる駆動力を発生する装置の振動や、路面走行による振動の影響を強く受ける。このため、冷却装置は、振動負荷に対する耐久性と信頼性とが求められる。特に車載される冷却装置には、電気機器等の機能停止に至らないような信頼性が求められる。明細書に開示する冷却装置は、このような耐久性と信頼性とを備えている。
【0012】
図1図2に示すように、冷却装置1は、ケース3と、電子部品7と、回路基板8と、熱伝導部5と、遮蔽部6と、黒鉛シート4と、ヒートシンク部2とを備えている。ケース3は、冷却装置1の外郭を形成する。ケース3は、複数のケース部材を組み合わせて形成されている。ケース3は、例えば第1ケース部材と第2ケース部材とを含んでいる。例えば、第1ケース部材は、第2ケース部材である下部ケース部材32の内部空間を覆うように下部ケース部材32に装着されている上部ケース部材31である。ケース3は、金属材料によって形成され、または樹脂材料を含んで形成されている。ケース3は、例えば、アルミダイカストによる成形体を含んでいる。
【0013】
各図において、X方向は冷却装置1の短手方向に相当し、Y方向は冷却装置1の長手方向に相当し、Z方向は上下方向や冷却装置1の高さ方向に相当する。
【0014】
下部ケース部材32は、例えば、底壁と、底壁の周縁から立設する4個の側壁と、接合部とを一体に備えている。上部ケース部材31は、ケース3の天井壁の一部をなす板状部材である。ケース3の天井壁は、電子部品7、回路基板8、熱伝導部5、遮蔽部6、黒鉛シート4等を上方において覆っている。ケース3の天井壁は、上部ケース部材31とヒートシンク部2によって形成されている。ヒートシンク部2は、上部ケース部材31に形成された開口部に嵌まって上部ケース部材31と面一に設置されている。ヒートシンク部2は、上部ケース部材31に対して熱伝達可能な設置されている。上部ケース部材31に伝達した熱はヒートシンク部2からも放熱することができる。上部ケース部材31は、外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部である。上部ケース部材31と下部ケース部材32は、互いの接合部同士がねじ等により結合されて箱体を形成している。また、ヒートシンク部2は、上部ケース部材31に対して、熱的に分離されて熱伝達しない構成であってもよい。
【0015】
また、冷却装置1には、例えばケース3または回路基板8に一体に、コネクタが設けられている構成でもよい。コネクタは、コネクタピンを内包している。コネクタピンは、導電性を有する回路基板8のパターン等に接続されている。冷却装置1が適用される電気機器と外部機器との間の電力や、制御信号の送受信は、コネクタピンを介して行われる。回路基板8は、パターンが印刷されているプリント基板であり、ケース3の内部においてケース3に固定されている。
【0016】
ヒートシンク部2は、図4に示すように、平板状の伝熱部21と、伝熱部21から突出する複数のフィン22とを備えている。フィン22は、外部の雰囲気に接触している部分である。伝熱部21は、黒鉛シート4に対して面接触している。黒鉛シート4は、グラフェンを含む薄板である。黒鉛シート4は、グラフェンの積層体を含むグラファイトの薄板でもよい。黒鉛シート4は、グラファイト以外のグラフェンを含む薄板で構成されている形態でもよい。黒鉛シート4は、高い熱伝導率を有する方形状の薄板である。黒鉛シート4は、伝達した熱を広範囲に拡散できる、高い熱拡散性を有する部分である。
【0017】
伝熱部21、黒鉛シート4、熱伝導部5および電子部品7は、密着して積層された積層体を形成している。この積層体は、上下方向に積層されている。各図のZ方向は積層方向でもある。伝熱部21は、フィン22への熱経路を形成する外部放熱部である。伝熱部21は、電子部品7の発熱が黒鉛シート4および熱伝導部5を介して伝達する部分である。
【0018】
伝熱部21に移動した熱は、複数のフィン22に伝導し、各フィン22の表面から外部の雰囲気に放出される。これにより、電子部品7の熱は冷却装置1の外部に放出されて、電子部品7を冷却することができる。ヒートシンク部2は、金属材料によって形成されており、例えば、アルミダイカストによって形成されている。
【0019】
電子部品7は、自己発熱する発熱部品である。電子部品7は、例えば、抵抗器、半導体集積回路を有する半導体チップなどを含んでいる。電子部品7は、接合材を介して回路基板8に接続されている。電子部品7は、回路基板8との間で、電力、信号等の送受信を行う。
【0020】
熱伝導部5は、回路基板8や電子部品7よりも、高い熱伝動率を有する材料によって形成されている。熱伝導部5は、黒鉛シート4よりも大きい厚さに形成されており、厚さ方向に作用する圧縮力によって変形する硬度を有する。熱伝導部5は、電子部品7と黒鉛シート4とに挟まれることにより変形して、電子部品7および黒鉛シート4との密着度合を高めることが可能な部材である。熱伝導部5は、非常に柔らかく密着性の高いシート状の部材であり、例えば、シート状に形成されたジェル、グリスなどである。電子部品7で発生した熱は、主に熱伝導部5を介して黒鉛シート4に伝達し、黒鉛シート4の全面から伝熱部21に移動して、複数のフィン22に伝わる。
【0021】
遮蔽部6は、黒鉛シート4において回路基板8側に位置する下面40のうち、熱伝導部5と接触していない部分を覆うように設けられている。遮蔽部6は、絶縁性を有する材質によって形成されている。遮蔽部6は、例えば、樹脂材料によって形成されている。黒鉛シート4の下面40は、熱伝導部5に接触している接触面40aと、その周囲の被遮蔽面40bとを含んでいる。下面40は、黒鉛シート4における基板側の面に含まれる。被遮蔽面40bは、熱伝導部5に接触していない部分であり、下方に位置する遮蔽部6に上下方向に重なっている部分である。遮蔽部6は、被遮蔽面40bに対して下方に離れた位置に設けられている。図6に示すように、遮蔽部6の外周縁部64は、黒鉛シート4の外周縁部41よりも外側に位置している。遮蔽部6は、黒鉛シート4の下面40のうち、接触面40aよりも外側の範囲全体を覆っている。
【0022】
図2図7に示すように、遮蔽部6は、被遮蔽面40bに離間して対向する主体部61と、複数の脚部63とを備えている。主体部61は、開口部を形成する内周縁部62aを有する平板状である。主体部61は、黒鉛シート4に沿うように設けられている。主体部61は、黒鉛シート4に下方において落下物を受け止める機能を有する。脚部63は、主体部61から下方に延び出している部分であり、回路基板8に固定されている。したがって、遮蔽部6は、回路基板8に対して複数の箇所で固定されている。図6に示すように、内周縁部62aは、電子部品7の外周縁部を取り囲むように形成されている。内周縁部62aは、熱伝導部5の外周縁部51よりも内側に位置して、電子部品7の外周縁部と外周縁部51との両方に沿うように設けられている。
【0023】
遮蔽部6は、熱伝導部5の下面を下方から支持する支持部62を有する。内周縁部62aは支持部62に形成されている。支持部62は、遮蔽部6の開口部を取り囲む環状の部分である。支持部62は、内周縁部62aから熱伝導部5の外周縁部51にかけて外側に延び出している部分であって、熱伝導部5に接触している部分である。支持部62は、主体部61よりも下方に位置している。支持部62には、黒鉛シート4側に突出する突部62bが形成されている。突部62bは、外周縁部51の近傍において熱伝導部5に食い込んでいる。このため、支持部62は熱伝導部5を確実に把持することができ、熱伝導部5と黒鉛シート4と伝熱部21とを密着した一体物の状態に保持している。
【0024】
図6図7に示すように、脚部63の下端部には、回路基板8に係合する係合部63aが設けられている。遮蔽部6は、複数の係合部63aを備えている。複数の脚部63は、遮蔽部6の外周縁部64における角部から下方に突出している。係合部63aは、この角部の下方に対応する位置において回路基板8と係合している。係合部63aは、脚部63の下端部を熱溶融して固化することにより形成された部分である。係合部63aは、熱を加えて形成された熱かしめ部である。脚部63の下端部が回路基板8の貫通穴に挿通された状態における、回路基板8から突き出た部分を熱溶融して、貫通穴よりも外径の大きい頭部形状に形成する。この頭部形状部分を固化することにより、頭部形状部分と脚部63とで回路基板8を挟み込むことができる。このように回路基板8を挟持する構成により、遮蔽部6は回路基板8と一体化して一つの構造体を形成する。
【0025】
遮蔽部6は、ヒートシンク部2または上部ケース部材31に固定されている被固定部を有する構成でもよい。被固定部は、主体部61に設けられている。被固定部は、ヒートシンク部2または上部ケース部材31に対して、ねじ締め構造または接着構造によって固定されている。
【0026】
第1実施形態の冷却装置1がもたらす作用効果について説明する。冷却装置1は、発熱部品と、発熱部品が実装された基板と、発熱部品よりも上方に位置して外部に対して放熱可能に設けられた外部放熱部と、発熱部品側に位置する外部放熱部の面に一体に設けられた黒鉛シート4とを備える。冷却装置1は、黒鉛シート4の一部と発熱部品との両方に接触する熱伝導部5と、遮蔽部6とを備える。遮蔽部6は、基板における発熱部品が実装されていない部分と黒鉛シート4との間において、黒鉛シート4における基板側の面を覆うように設けられている。
【0027】
冷却装置1は、発熱部品の熱を、熱伝導部5および黒鉛シート4を通じて外部放熱部へ移動させて外部に放出する放熱経路を構成する。黒鉛シート4は強度的に脆く、振動等の外力によって破損して小片が落下したり上方に舞い上がったりする、という懸念がある。小片が基板に付着した場合、短絡などの不具合が発生することがある。冷却装置1の遮蔽部6は、黒鉛シート4における基板側の面を覆うように設けられているため、黒鉛シート4の小片を受け止めることができる。この冷却装置1は、発熱部品の放熱を促進でき、さらに黒鉛シート4の小片が基板に付着することを抑制できる。
【0028】
遮蔽部6は、発熱部品の外周縁部を取り囲むように形成された内周縁部62aを備えている。この構成によれば、発熱部品の周囲全体にわたって黒鉛シート4の基板側の面を覆う遮蔽部6を提供できる。これにより、基板において発熱部品が実装されていない部分全体に、黒鉛シート4の小片が付着することを抑制できる。
【0029】
内周縁部62aは、熱伝導部5の下面を下方から支持する支持部62に形成されている。この構成によれば、熱伝導部5に接触していない黒鉛シート4の部分を覆う遮蔽部6を提供でき、黒鉛シート4から分離された小片を確実に受けることができる。さらに、支持部62が熱伝導部5を上方に押すため、熱伝導部5と黒鉛シート4と伝熱部21との密着度合が高まり、これら相互間における熱抵抗を抑制できる。
【0030】
遮蔽部6は、基板に固定されている被固定部を有する。この構成によれば、基板と遮蔽部6とが一体物になるため、遮蔽部6の剛性が高まり、例えば外力や振動等に対して遮蔽部6の位置を安定させることができる。
【0031】
遮蔽部6は、外部放熱部に固定されている被固定部を有する。この構成によれば、外部放熱部と遮蔽部6とが一体物になるため、遮蔽部6の剛性が高まり、例えば外力や振動等に対して遮蔽部6の位置を安定させることができる。
【0032】
遮蔽部6は、基板、発熱部品および熱伝導部5を収容するケース3に一体に設けられている。この構成によれば、ケース3と遮蔽部6とが一体物になるため、遮蔽部6の剛性が高まり、例えば外力や振動等に対して遮蔽部6の位置を安定させることができる。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態について、図8を参照して説明する。第2実施形態の冷却装置は、第1実施形態に対して、遮蔽部106が相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0034】
図8に示すように、遮蔽部106は、主体部61と、複数の脚部63と、黒鉛シート4の外周縁部41を支持する外周支持部164とを備えている。遮蔽部106の主体部61は、開口部を形成する内周縁部162aを有する平板状である。外周支持部164は、主体部61から上方に延び出している部分であり、外周縁部41に外側から接触している。外周支持部164は、外周縁部41の全周において外側から取り囲んでいることが好ましい。外周支持部164は、欠けやすい外周縁部41において黒鉛シート4の小片が剥がれ落ちないように保護している。
【0035】
内周縁部162aは、熱伝導部5の外周縁部51よりも内側に位置して、外周縁部51と黒鉛シート4の下面40との間に入り込むように設けられている。内周縁部162aは、外周縁部51の全周において、外周縁部51よりも内側に位置して黒鉛シート4を下方から支持している。内周縁部162aは支持部162に形成されている。支持部162は、遮蔽部106の開口部を取り囲む環状の部分であり、熱伝導部5よりも厚さの薄い部分である。遮蔽部106は、内周縁部162aから黒鉛シート4の外周縁部41にかけて外側に延び出している部分において黒鉛シート4に接触して黒鉛シート4を支持している。このため、遮蔽部106は、熱伝導部5と接触していない広範囲において黒鉛シート4を確実に把持することができ、黒鉛シート4と伝熱部21とを密着した一体物の状態に保持する。遮蔽部106は、黒鉛シート4における基板側の面と外周縁部41との両方において、黒鉛シート4の小片が飛散することを抑制している。
【0036】
<第3実施形態>
第3実施形態について、図9を参照して説明する。第3実施形態の冷却装置は、第1実施形態に対して、遮蔽部206が相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0037】
図9に示すように、遮蔽部206は、被遮蔽面40bに離間して対向する主体部61と、熱伝導部5の外周縁部51に接触する接触部262と、複数の脚部63とを備える。内周縁部262aは、遮蔽部206に設けられた開口部を形成している。内周縁部262aは、熱伝導部5の外周縁部51を取り囲むように形成されている。内周縁部262aは、外周縁部51に接触している。遮蔽部206の主体部61は、黒鉛シート4において熱伝導部5に接触していない部分の面を覆っている。遮蔽部206によれば、熱伝導部5の外周全体から放射状の広範囲にわたって黒鉛シート4の基板側の面を覆うことができる。
【0038】
接触部262は、主体部61における内周縁部262a側の端部である。接触部262は、遮蔽部206の開口部を取り囲む環状の部分である。接触部262によれば、熱伝導部5と遮蔽部206との隙間を抑えている。この遮蔽部206によれば、黒鉛シート4の小片を基板に付着させることなく遮蔽部206によって受け止めることができる。また、遮蔽部206によれば、熱伝導部5の外周縁部51と接触するため、熱伝導部5の小型化が図れる。
【0039】
<第4実施形態>
第4実施形態について、図10を参照して説明する。第4実施形態は、前述の実施形態に対して、遮蔽部306に係る構成と、コーティング部42を備える構成とが相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
【0040】
図10に示すように、コーティング部42は、黒鉛シート4の下面40において熱伝導部5に接触していない部分を少なくとも被覆している。コーティング部42は、被遮蔽面40bを被覆している。コーティング部42は、黒鉛シート4における基板側の面を覆うように設けられているため、黒鉛シート4の小片が基板上に落下することを抑制できる。
【0041】
コーティング部42は、内周縁部42aが熱伝導部5の外周縁部51よりも内側に位置するように設けられている。コーティング部42における内周縁部42a側の部分は、黒鉛シート4と熱伝導部5との間に介在している。コーティング部142は、外周縁部42bが黒鉛シート4の外周縁部41を被覆するように設けられている。
【0042】
コーティング部42は、薄い金属や樹脂などの材質によって形成されている薄い層である。コーティング部42は、ポリエチレン、ポリビニル、ゴムの材質であってもよい。コーティング部42は、シート状体を黒鉛シート4の下面40に貼り付けることにより構成してもよい。コーティング部42は、前述の材質を塗布して固化することにより形成してもよい。コーティング部42は、薄いシート状であるため、部品としての薄型化が図れ、製造コストを抑制することに寄与する。
【0043】
遮蔽部306は、コーティング部42に離間して対向する主体部61と、支持部362とを備える。主体部61と脚部63は、結合された別部材であるか、二色成形によって一体に形成された構成である。主体部61は、開口部を形成する内周縁部362aを有する平板状である。遮蔽部306は、回路基板8に対して複数の箇所で固定されている。支持部362は、コーティング部42の下面に接触して、コーティング部42と黒鉛シート4の一体物を下方から支持する。内周縁部362aは支持部362に形成されている。内周縁部362aは、熱伝導部5の外周縁部51を取り囲むように形成されている。内周縁部362aは、熱伝導部5の外周縁部51よりも外側に位置している。あるいは、内周縁部362aは、熱伝導部5の外周縁部51に接触している構成でもよい。
【0044】
第4実施形態の遮蔽部306は、基板における発熱部品が実装されていない部分とコーティング部42の基板側の面との間に設けられている。この構成によれば、コーティング部42によって強化された部分の黒鉛シート4が欠けた場合でも、小片を遮蔽部306によって受け止めることができる。
【0045】
<第5実施形態>
第5実施形態について、図11を参照して説明する。第5実施形態は、第4実施形態に対して、遮蔽部406に係る構成が相違する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
【0046】
図11に示すように、遮蔽部406は、脚部63とは別体の部材である。遮蔽部406は、回路基板8に固定されている被固定部463を備えている。被固定部463は、主体部61から下方に延び出している壁状部分である。被固定部463には、例えば、端部が回路基板8に溶着されて固定された溶着部が形成されている。
【0047】
<第6実施形態>
第6実施形態について、図12図18を参照して説明する。第6実施形態の冷却装置は、第1実施形態に対して、遮蔽部506と上部ケース部材131とが相違する。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0048】
図8に示すように、上部ケース部材131は、ケース103の天井壁の一部をなす板状部材とヒートシンク部2とが一つの部品として一体に形成されたものである。上部ケース部材131は、電子部品7、回路基板8、熱伝導部5、遮蔽部506、黒鉛シート4等を上方において覆っている。
【0049】
遮蔽部506は、遮蔽部6と同様の材料で形成されている。遮蔽部506は、黒鉛シート4の被遮蔽面40bを覆うように設けられている。遮蔽部506の主体部61は、被遮蔽面40bに接触している。また、遮蔽部506は、被遮蔽面40bに対して下方に離れた位置に設けられている構成でもよい。図17に示すように、遮蔽部506の外周縁部64は、黒鉛シート4の外周縁部41よりも外側に位置している。遮蔽部506は、黒鉛シート4の基板側の面のうち、接触面40aよりも外側の範囲全体を覆っている。
【0050】
遮蔽部506は、ヒートシンク部2または上部ケース部材131に固定されている被固定部61aを有する構成でもよい。被固定部61aは、ヒートシンク部2または上部ケース部材131に対して、ねじ12等の固定具による結合構造または接着構造によって固定されている。遮蔽部506は、外部放熱部に固定されている被固定部61aを有している。
【0051】
図15図18に示すように、遮蔽部506は、主体部61と、熱伝導部5の下面を下方から支持する支持部62とを備えている。遮蔽部506の支持部62は、構成、機能、作用効果等について、第1実施形態の支持部62と同様である。内周縁部62aと電子部品7の外周縁部と熱伝導部5の外周縁部51との位置関係は、第1実施形態と同様である。遮蔽部506の主体部61は、黒鉛シート4に下方において落下物を受け止めるとともに黒鉛シート4に面接触して保護する機能を有する。
【0052】
回路基板8は、ケース103または上部ケース部材131に対して複数の箇所で固定されている。この構成によれば、回路基板8、電子部品7、熱伝導部5、黒鉛シート4、およびケース103等を一体化して一つの構造体として構成できる。回路基板8は、ケース103は、例えば、ケース103に設けられたボス部に螺合するねじ11の固定具によって結合されている。
【0053】
第6実施形態の冷却装置101がもたらす作用効果について説明する。遮蔽部506は、ケース103に一体に設けられている。この構成によれば、ケース103と遮蔽部506とが一体物になるため、遮蔽部506の剛性が高まり、外力や振動等に対して遮蔽部506の位置を安定させることができる。さらに、遮蔽部506に伝達する熱をケース103の表面から外部に放出する熱経路を構築できる。
【0054】
遮蔽部506は、外部放熱部に固定されている被固定部61aを有する。この構成によれば、外部放熱部と遮蔽部506とが一体物になるため、遮蔽部506の剛性が高まり、外力や振動等に対して遮蔽部506の位置を安定させることができる。さらに、遮蔽部506に伝達する熱を外部放熱部から外部に放出する熱経路を構築できる。
【0055】
<第7実施形態>
第7実施形態について、図19を参照して説明する。第7実施形態の冷却装置は、第6実施形態に対して、遮蔽部606が相違する。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第6実施形態と同様であり、以下、第6実施形態と異なる点について説明する。
【0056】
図19に示すように、遮蔽部606は、熱伝導部5の外周縁部51に接触する接触部262を備える。内周縁部262aは、遮蔽部606に設けられた開口部を形成している。内周縁部262aは、熱伝導部5の外周縁部51を取り囲んでいる。遮蔽部606の内周縁部262aは、外周縁部51に接触している。遮蔽部606によれば、熱伝導部5の外周全体から放射状の広範囲にわたって黒鉛シート4の基板側の面を覆うことができる。
【0057】
接触部262は、遮蔽部606の開口部を取り囲む環状の部分である。接触部262によれば、熱伝導部5と遮蔽部606との隙間を抑えている。この遮蔽部606によれば、黒鉛シート4の小片を基板に付着させることなく遮蔽部606によって受け止めることができる。また、遮蔽部606によれば、熱伝導部5の外周縁部51と接触するため、熱伝導部5の小型化が図れる。
【0058】
<第8実施形態>
第8実施形態について、図20を参照して説明する。第8実施形態は、前述の実施形態に対して、遮蔽部706に係る構成が相違する。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
【0059】
図20に示すように、遮蔽部706は、黒鉛シート4における基板側の面と熱伝導部5の周囲とを埋めるように設けられたポッティング部である。ポッティング部は、黒鉛シート4の下面40において熱伝導部5に接触していない部分を少なくとも被覆している。遮蔽部706は、黒鉛シート4における基板側の下面40と熱伝導部5の周囲とを埋めるように設けられたポッティング部である。ポッティング部は、欠けやすい黒鉛シート4の小片が剥がれて離脱しないように黒鉛シート4の基板側の面を保護している。ポッティング部は、黒鉛シート4の基板側の面を覆うように設けられているため、黒鉛シート4の小片が基板に付着することを抑制できる。
【0060】
ポッティング部は、黒鉛シート4の被遮蔽面40bと外周縁部41とを回路基板8に対して樹脂封止している。封止する樹脂は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。封止樹脂は、被遮蔽面40bと外周縁部41とが埋まるように充填されている。ポッティング部は、被遮蔽面40bを樹脂封止によって外部から密閉できる遮蔽部706を提供する。
【0061】
<第9実施形態>
第9実施形態について、図21を参照して説明する。第9実施形態は、前述の実施形態に対して、遮蔽部806に係る構成が相違する。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
【0062】
図21に示すように、遮蔽部806は、回路基板8上において、電子部品7が実装されていない部分を埋めるように設けられたポッティング部である。遮蔽部806は、回路基板8の上面を樹脂封止している。遮蔽部806は、黒鉛シート4の基板側の面において熱伝導部5に接触していない部分を少なくとも被覆している。遮蔽部806は、黒鉛シート4における基板側の下面40を覆いかつ基板上を埋めるように設けられたポッティング部である。遮蔽部806は、黒鉛シート4の小片が剥がれ落ちたとして、基板の導電部などに接触しないように基板の上面を保護している。遮蔽部802は第8実施形態の遮蔽部706と同様の樹脂材料によって形成されている。ポッティング部は、回路基板8上を樹脂封止によって外部から密閉できるので、小片の落下や浮遊に対して高い信頼性を備える遮蔽部806を提供する。
【0063】
<第10実施形態>
第10実施形態について、図22を参照して説明する。第10実施形態は、前述の実施形態に対して、黒鉛シート4の下面を被覆するコーティング部142を備える点が相違する。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点について説明する。
【0064】
図22に示すように、コーティング部142は、黒鉛シート4の基板側の面において熱伝導部5に接触していない部分を少なくとも被覆している。コーティング部142は、被遮蔽面40bを被覆している。コーティング部142は、黒鉛シート4における基板側の面を覆うように設けられているため、黒鉛シート4の小片が基板に付着することを抑制できる。
【0065】
コーティング部142は、内周縁部42aが熱伝導部5の外周縁部51を囲むように、設けられている。コーティング部142の外周縁部142bは黒鉛シート4の外周縁部41よりも外側に位置して、コーティング部142は外周縁部41を覆っている。コーティング部142は、外周縁部41よりも外側において上部ケース部材131に接触している。コーティング部142は上部ケース部材131に接着されている構成でもよい。この構成によれば、コーティング部142は、黒鉛シート4と上部ケース部材131とに一体に設けられている。
【0066】
コーティング部142は、金属や樹脂などの材質によって形成されている薄い層である。コーティング部142は、ポリエチレン、ポリビニル、ゴムの材質であってもよい。コーティング部142は、シート状体を黒鉛シート4の下面40に貼り付けることにより構成してもよい。コーティング部142は、前述の材質を塗布して固化することにより形成してもよい。コーティング部142は、薄いシート状であるため、部品としての薄型化が図れ、製造コストを抑制することに寄与する。また、コーティング部142は、黒鉛シート4の下面40において熱伝導部5に接触している接触面40aも被覆する構成でもよい。
【0067】
<第11実施形態>
第11実施形態について、図23を参照して説明する。第11実施形態の冷却装置は、第7実施形態に対して、遮蔽部906が相違する。第11実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第7実施形態と同様であり、以下、第7実施形態と異なる点について説明する。
【0068】
図23に示すように、遮蔽部906は、回路基板8に固定されている被固定部264を備えている。被固定部264は、主体部61から下方に延び出している壁状部分である。被固定部264には、例えば、端部が回路基板8に溶着されて固定された溶着部が形成されている。
【0069】
遮蔽部906は、基板に固定されている被固定部264を有する。この構成によれば、基板と遮蔽部906とが一体物になるため、遮蔽部906の剛性が高まり、外力や振動等に対して遮蔽部906の位置を安定させることができる。
【0070】
<第12実施形態>
第12実施形態について、図24および図25を参照して説明する。第12実施形態の冷却装置は、第1実施形態に対して、コーティング部42を備える点と遮蔽部906とが相違する。第12実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0071】
コーティング部42については、第4実施形態のコーティング部42と同様であり、第4実施形態における説明を援用する。図24図25に示すように、遮蔽部906は、環状保護部163cと、複数の脚部163と、結合部163bと、黒鉛シート4の外周縁部41を支持する外周支持部163dとを備える。脚部163は、脚部163の下部において回路基板8と係合する係合部63aを有している。係合部63aの構成や形成方法は、第1実施形態の説明を援用する。
【0072】
環状保護部163cは、コーティング部42において外周縁部42bと外周縁部近傍の環状の下面42cとを下方から覆う環状の部分である。環状保護部163cは、コーティング部42における外周縁部近傍の下面42cから離間する構成でもよい。環状保護部163cは、コーティング部42の下面42cに接触していることが好ましい。環状保護部163cは、図25に示すように、コーティング部42の外周縁部42bのうち角部を下方から覆う角部保護部分163eを含んでいる。
【0073】
角部保護部分163eは、コーティング部42の下面42cから離間する構成でもよいが、下面42cに接触している構成が好ましい。角部保護部分163eは、環状保護部163cにおける、角部保護部分163eを除く部分よりも、外周縁部42bからの長さ寸法が長く形成されている。図25に破線で示す外周縁部42bから角部保護部分163eの内周縁部までの寸法は、外周縁部42bから環状保護部163cの内周縁部までの寸法よりも長い。
【0074】
外周支持部163dは、環状保護部163cから上方に延び出している部分であり、外周縁部41に外側から接触している。外周支持部163dは、外周縁部41の全周において外側から取り囲んでいることが好ましい。外周支持部163dは、欠けやすい外周縁部41において黒鉛シート4の小片が剥がれ落ちないように保護している。
【0075】
結合部163bは、伝熱部21またはケース3と遮蔽部906とを結合する部分である。結合部163bは、伝熱部21の一部またはケース3の一部を上下から挟むように保持する部分である。
【0076】
第12実施形態の冷却装置がもたらす作用効果について説明する。遮蔽部906は、コーティング部42における外周縁部42bを覆うように設けられている。この構成によれば、コーティング部42は黒鉛シート4を強化し黒鉛シート4が剥がれることを抑制している。一方、外周縁部42bは、コーティング部42において外力や振動等によって破損しやすい部分である。遮蔽部906は、外周縁部42bを覆うため、外周縁部においてコーティング部42や黒鉛シート4が剥がれても、小片が基板に付着することを抑制できる。
【0077】
遮蔽部906は、コーティング部42の外周縁部42bにおける少なくとも角部に下方から接触する環状保護部である。外周縁部42bにおける角部は、外力や振動等によって破損しやすい部分である。遮蔽部906は、角部に下方から接触するため、角部を保護でき、角部においてコーティング部42や黒鉛シート4が剥がれることを抑制できる。
【0078】
遮蔽部906は、コーティング部42の外周縁部42bと、コーティング部42における、外周縁部42bの近傍の基板側の面とに接触する環状保護部である。この構成によれば、環状保護部は外周縁部42bと基板側の面とに接触するため、外周縁部近傍におけるコーティング部42や黒鉛シート4の剥がれを抑制できる。
【0079】
<第13実施形態>
第13実施形態について、図26を参照して説明する。第13実施形態の冷却装置は、第12実施形態に対して、遮蔽部として機能する網状部9を備える点が相違する。第13実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第12実施形態と同様であり、以下、第12実施形態と異なる点について説明する。
【0080】
図26に示すように、網状部9は、コーティング部42の基板側の面を覆うように設けられている。網状部9は、例えば、格子状、網目状、パンチ穴状のネットである。網状部9における開口の大きさは、例えば、外力や振動によって剥がれ得るコーティング部42の小片よりも小さく設定されている。コーティング部42は、黒鉛シート4よりも強度が高いため、外力や振動によって剥がれ得る破片が大きくなる。このため、網状部9を遮蔽部として機能させることができる。
【0081】
第12実施形態の遮蔽部は、コーティング部42の基板側の面を覆うように設けられている網状部9である。この構成によれば、網状部9は黒鉛シート4から分離した小片を受け止めることができる。第12実施形態の冷却装置は、発熱部品の放熱を促進でき、さらに黒鉛シート4の小片が基板に付着することを抑制できる。
【0082】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0083】
前述の実施形態に冷却装置は、上下が逆になって、ヒートシンク部が下方に位置するように設置された構成でもよい。この場合、遮蔽部は、黒鉛シート4に上方において小片を受け止める機能を有する。明細書に記載の目的を達成可能な冷却装置は、各図に記載された冷却装置の上下が逆となるように設置された構成を含んでいる。
【0084】
前述の実施形態において、一つの部品に含まれる主体部61と脚部63は、別部品であって、接着、溶着等により一体に形成された構成でもよい。また、主体部61と脚部63は、二色成形等により一体に形成された構成でもよい。
【符号の説明】
【0085】
2…ヒートシンク部(外部放熱部)、3,103…ケース、4…黒鉛シート
5…熱伝導部、 6,506…遮蔽部、7…電子部品(発熱部品)、8…回路基板(基板)
40b…被遮蔽面(基板側の面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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