(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20231205BHJP
【FI】
G16H50/80
(21)【出願番号】P 2020110367
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】西村 和也
(72)【発明者】
【氏名】福永 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】山根 丈亮
(72)【発明者】
【氏名】金子 宗太郎
(72)【発明者】
【氏名】皆川 里桜
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070248(JP,A)
【文献】特開2012-118775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理装置と、
所定の感染症の罹患が判明した感染者が来訪した第1の場所をそれぞれ管理する複数の第2の情報処理装置と、
を備える情報処理システムであって、
前記第1の情報処理装置は、
前記感染者の移動履歴情報を取得することと、
前記移動履歴情報に基づいて、
前記第1の場所及び
前記第1の場所への第1の来訪日時を特定することと、
前記第2の情報処理装置へ、前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報を通知することと、
を実行する第1の制御部を備え、
前記複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、
前記
第1の場所へ来訪したユーザの前記第1の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に基づいて、前記第1の情報処理装置から通知された前記感染者の前記第1の来訪日時に
前記第1の場所を来訪していた第1のユーザを特定することと、
前記第1のユーザに前記所定の感染症の感染の可能性を通知することと、
を実行する第2の制御部と、
を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記移動履歴情報は、匿名な情報である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記移動履歴情報は、位置情報と前記位置情報の取得日時とを含み、
前記第1の制御部は、前記移動履歴情報と地図情報とに基づいて、前記第1の場所及び前記第1の来訪日時を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記移動履歴情報及び前記来訪履歴情報の少なくとも一方は、支払い履歴に関する情報である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記移動履歴情報及び前記来訪履歴情報の少なくとも一方は、前記
第1の場所に関するアプリケーションを通じたユーザ端末による前記
第1の場所への来訪の記録の履歴情報である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記移動履歴情報及び前記来訪履歴情報の少なくとも一方は、公共交通機関の少なくとも便名又は列車名を含む乗車予約情報であり、
前記第1の場所に関する情報は前記便名又は前記列車名と乗車日とを示す情報であり、
前記第1の来訪日時に関する情報は、前記便名又は前記列車名が示す情報と前記乗車日である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2の制御部は、前記第1の来訪日時を含む所定の期間に含まれる前記
第1の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に該当するユーザを前記第1のユーザとして特定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1の制御部は、
前記感染者のユーザ端末から前記移動履歴情報とともに感染申告を受信することと、
前記感染申告に対して識別情報を付与することと、
をさらに実行する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第1の制御部は、
前記感染者の前記ユーザ端末へ前記識別情報を通知することをさらに実行し、
前記第2の情報処理装置へ前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報とともに前記識別情報を通知し、
前記第2の制御部は、
前記第1のユーザのユーザ端末へ前記所定の感染症の感染の可能性の通知とともに前記識別情報を送信する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第1の情報処理装置へ前記感染申告を送信することと、
前記第1の情報処理装置から前記感染申告に付与された第1の識別情報を受信することと、
前記複数の第2の情報処理装置のいずれかから前記感染症の感染の可能性の通知を受信することと、
前記通知とともに受信した前記識別情報が前記第1の識別情報と一致する場合に、前記通知を廃棄し、前記通知とともに受信した前記識別情報が前記第1の識別情報と一致しない場合に、前記通知を出力することと、
を実行する第3の制御部を備えるユーザ端末をさらに備える、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
第1の情報処理装置と、
所定の感染症の罹患が判明した感染者が来訪した第1の場所をそれぞれ管理する複数の第2の情報処理装置と、
によって実行される情報処理方法であって、
前記第1の情報処理装置は、
前記感染者の移動履歴情報を取得することと、
前記移動履歴情報に基づいて、
前記第1の場所及び
前記第1の場所への第1の来訪日時を特定することと、
前記第2の情報処理装置へ、前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報を通知することと、
を実行し、
前記複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、
前記
第1の場所へ来訪したユーザの前記
第1の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に基づいて、前記第1の情報処理装置から通知された前記感染者の前記第1の来訪日時に
前記第1の場所を来訪していた第1のユーザを特定することと、
前記第1のユーザに前記所定の感染症の感染の可能性を通知することと、
を実行する、
情報処理方法。
【請求項12】
前記移動履歴情報は、匿名な情報である、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記移動履歴情報は、位置情報と前記位置情報の取得日時とを含み、
前記第1の情報処理装置は、前記移動履歴情報と地図情報とに基づいて、前記第1の場所及び前記第1の来訪日時を特定する、
請求項11又は12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記移動履歴情報及び前記来訪履歴情報の少なくとも一方は、前記
第1の場所に関するアプリケーションを通じたユーザ端末による前記
第1の場所への来訪の記録を含む情報である、
請求項11から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記移動履歴情報及び前記来訪履歴情報の少なくとも一方は、公共交通機関の少なくとも便名又は列車名を含む乗車予約情報であり、
前記第1の場所に関する情報は前記便名又は前記列車名と乗車日とを示す情報であり、
前記第1の来訪日時に関する情報は、前記便名又は前記列車名が示す情報と前記乗車日である、
請求項11から14のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記第1の情報処理装置は、
前記感染者の端末から前記移動履歴情報とともに感染申告を受信することと、
前記感染申告に対して識別情報を付与することと、
をさらに実行する、
請求項11から15のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記第1の情報処理装置は、
前記感染者の前記端末へ前記識別情報を通知することをさらに実行し、
前記第2の情報処理装置へ、前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報とともに前記識別情報を通知し、
前記複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、
前記第1のユーザ
のユーザ端末へ前記所定の感染症の感染の可能性の通知とともに前記識別情報を送信する、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記感染者の前記端末が、
前記第1の情報処理装置へ前記感染申告を送信することと、
前記第1の情報処理装置から前記感染申告に付与された第1の識別情報を受信することと、
前記複数の第2の情報処理装置のいずれかから前記感染症の感染の可能性の通知を受信することと、
前記通知とともに受信した前記識別情報が前記第1の識別情報と一致する場合に、前記通知を廃棄し、前記通知とともに受信した前記識別情報が前記第1の識別情報と一致しない場合に、前記通知を出力することと、
を実行する、
請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータに、
所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報に基づいて特定された、前記感染者が来訪した第1の場所
を管理する第2の情報処理装置から、前記コンピュータのユーザが、前記感染者の前記移動履歴情報に基づいて特定された、前記感染者が前記第1の場所を来訪した第1の来訪日時に、前記第1の場所に、居たことによる前記所定の感染症の感染の可能性の通知を受信することと、
前記通知を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項20】
前記コンピュータに、
前記コンピュータに記録されている前記移動履歴情報を取得することと、
前記移動履歴情報を含む、所定の感染症の罹患が判明したことを示す感染申告を第1の情報処理装置へ送信することと、
前記第1の情報処理装置から前記感染申告に付与された第1の識別情報を受信することと、
をさらに実行させ、
前記通知とともに受信された識別情報が前記第1の識別情報と一致する場合に、前記通知を廃棄し、前記通知とともに受信した前記識別情報が前記第1の識別情報と一致しない場合に、前記通知を出力することと、
を実行させる、
請求項19に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
音声認識装置によって解析された音声信号から得られた感染注意レベルに基づいて、地域の感染リスクの大きさを取得することで、地域ごとの感染症に対する感染リスクをタイムリーに特定する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、個人に所定の感染症の感染の可能性を通知可能な情報処理システム及び情報処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
第1の情報処理装置と、所定の場所にそれぞれ関連付く複数の第2の情報処理装置と、
を備える情報処理システムであって、
前記第1の情報処理装置は、
所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報を取得することと、
前記移動履歴情報に基づいて、前記感染者が来訪した第1の場所及び第1の来訪日時を特定することと、
前記第1の場所に関連付く第2の情報処理装置へ、前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報を通知することと、
を実行する第1の制御部を備え、
前記複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、
前記所定の場所に関連付くユーザの前記所定の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に基づいて、前記第1の情報処理装置から通知された前記感染者の前記第1の来訪日時に前記第1の場所として前記所定の場所を来訪していた第1のユーザを特定することと、
前記第1のユーザに前記所定の感染症の感染の可能性を通知することと、
を実行する第2の制御部と、
を備える、
情報処理システムである。
【0006】
本開示の態様の一つは、
第1の情報処理装置と、所定の場所にそれぞれ関連付く複数の第2の情報処理装置と、によって実行される情報処理方法であって、
前記第1の情報処理装置は、
所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報を取得することと、
前記移動履歴情報に基づいて、前記感染者が来訪した第1の場所及び第1の来訪日時を特定することと、
前記第1の場所に関連付く第2の情報処理装置へ、前記第1の場所に関する情報及び前記第1の来訪日時に関する情報を通知することと、
を実行し、
前記複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、
前記所定の場所に関連付くユーザの前記所定の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に基づいて、前記第1の情報処理装置から通知された前記感染者の前記第1の来訪日時に前記第1の場所として前記所定の場所を来訪していた第1のユーザを特定することと、
前記第1のユーザに前記所定の感染症の感染の可能性を通知することと、
を実行する、
情報処理方法である。
【0007】
本開示の態様の一つは、
コンピュータに、
所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報に基づいて特定された、前記感染者が来訪した第1の場所に関連付く第2の情報処理装置から、前記コンピュータのユーザが、前記感染者の前記移動履歴情報に基づいて特定された、前記感染者が前記第1の場所を来訪した第1の来訪日時に、前記第1の場所に、居たことによる前記所定の感染症の感染の可能性の通知を受信することと、
前記通知を出力することと、
を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、個人に所定の感染症の感染の可能性を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る感染可能性通知システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、センタサーバ、店舗サーバ、及び、ユーザ端末のハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は、センタサーバ、店舗サーバ、及び、ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、来店履歴情報データベースに保持される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、ユーザ端末の申告送信処理のフローチャートの一例である。
【
図6】
図6は、ユーザ端末の通知受信処理のフローチャートの一例である。
【
図7】
図7は、センタサーバの処理のフローチャートの一例である。
【
図8】
図8は、店舗サーバの処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様の一つは、第1の情報処理装置と複数の第2の情報処理装置とを含む情報処理システムである。第2の情報処理装置のそれぞれは、所定の場所に関連付いている。第1の情報処理装置は、所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報を取得し、当該移動履歴情報に基づいて、当該感染者が来訪した第1の場所及び第1の来訪日時を特定し、特定した第1の場所に関連付く第2の情報処理装置へ、第1の場所に関する情報及び第1の来訪日時に関する情報を通知する、第1の制御部を備える。複数の第2の情報処理装置のそれぞれは、所定の場所に関連付くユーザの当該所定の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に基づいて、第1の情報処理装置から通知された感染者の第1の来訪日時に第1の場所として所定の場所を来訪していた第1のユーザを特定し、第1のユーザに所定の感染症の感染の可能性を通知する、第2の制御部を備える。
【0011】
第1の情報処理装置及び第2の情報処理装置は、それぞれ、例えば、サーバである。第1の情報処理装置は第2の情報処理装置として動作する装置であってもよい。第1の制御部及び第2の制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッ
サである。第2の情報処理装置が関連付く所定の場所は、例えば、店舗、施設、公共交通機関の車両等である。すなわち、第2の情報処理装置は、これらを管理するシステムに含まれる装置である。
【0012】
本開示の他の態様の一つは、コンピュータに実行させるためのプログラムである。当該プログラムは、コンピュータに、所定の感染症の罹患が判明した感染者の移動履歴情報に基づいて特定された、当該感染者が来訪した第1の場所に関連付く第2の情報処理装置から、当該コンピュータのユーザが、当該感染者の移動履歴情報に基づいて特定された、当該感染者が第1の場所を来訪した第1の来訪日時に、第1の場所に、居たことによる所定の感染症の感染の可能性の通知を受信することと、当該通知を出力することと、を実行させる。当該プログラムを実行するコンピュータは、例えば、ユーザ端末である。
【0013】
上記本開示の態様のそれぞれによれば、感染者の移動履歴情報に基づいて、当該感染者と同じ時刻に同じ場所にいた可能性のある第1のユーザが特定され、感染症の感染の可能性を第1のユーザ個人に通知することができる。また、第1のユーザの個人情報は、該当する第2の情報処理装置以外の他の装置へは知らされることがないため、第1のユーザが所定の感染症に感染している可能性があることを当人以外に知られることを抑制することができる。
【0014】
また、本開示の態様の一つにおいて、感染者の移動履歴情報は、匿名な情報であってもよい。すなわち、移動履歴情報には、感染者の個人情報は含まれていない。これによって、移動履歴情報に該当するユーザが感染者であることは、他のユーザには特定されず、プライバシーを保護することができる。
【0015】
また、本開示の態様の一つにおいて、移動履歴情報は、位置情報と当該位置情報の取得日時とを含んでもよい。この場合に、第1の情報処理装置の第1の制御部は、感染者の移動履歴情報と地図情報とに基づいて、第1の場所及び第1の来訪日時を特定するようにしてもよい。位置情報は、例えば、感染者が携帯するユーザ端末に搭載される位置センサによって取得された緯度及び経度である。ただし、位置情報はこれに限定されない。移動履歴情報が位置情報であることによって、例えば、第1の場所に感染者が滞在した滞在時間を取得できたりして、より詳細な情報を取得することができる。
【0016】
また、本開示の態様の一つにおいて、移動履歴情報及び来訪履歴情報の少なくとも一方は、支払い履歴に関する情報であってもよい。また、移動履歴情報及び来訪履歴情報の少なくとも一方は、所定の場所に関するアプリケーションを通じたユーザ端末による所定の場所への来訪の記録の履歴情報であってもよい。また、移動履歴情報及び来訪履歴情報の少なくとも一方は、公共交通機関の少なくとも便名又は列車名と、乗車日と、を含む乗車予約情報であってもよい。この場合には、第1の場所に関する情報は便名又は列車名を示す情報であってもよい。第1の来訪日時に関する情報は、便名又は列車名が示す情報及び乗車日であってもよい。公共交通機関は、例えば、電車、バス、及び、飛行機である。移動履歴情報に上述のような様々な情報を利用することによって、感染者が来訪した場所の特定をより正確に、又は、より効率よく行うことができる。また、位置センサによる位置情報は、無効設定又は電波障害等によって取得できないことがあるため、移動履歴情報にバリエーションを持たせることによって、移動履歴情報の取りこぼしを抑制できる。
【0017】
また、本開示の態様の一つでは、第2の情報処理装置の第2の制御部は、第1の来訪日時を含む所定の期間に含まれる所定の場所への来訪日時を含む来訪履歴情報に該当するユーザを第1のユーザとして特定するようにしてもよい。これによって、例えば、第1の場所に関する感染者の移動履歴情報が1つであっても、実際に感染者が第1の場所に滞在した時間に幅がある場合もあり、感染者と同じ時間に同じ場所にいた可能性のある第1のユ
ーザの取りこぼしを低減することができる。
【0018】
また、本開示の態様の一つでは、第1の情報処理装置の第1の制御部は、感染者のユーザ端末から移動履歴情報とともに感染申告を受信することと、感染申告に対して識別情報を付与することと、をさらに実行するようにしてもよい。これによって、感染申告単位で管理することができるようになる。また、感染者に対して識別情報を付与するのではないため、感染者個人が特定されることは抑制することができる。
【0019】
また、感染申告に対して識別情報が付与される場合に、第1の情報処理装置の第1の制御部は、感染者のユーザ端末へ当該感染申告に対する識別情報を通知することをさらに実行してもよい。また、第1の情報処理装置の第1の制御部は、第1の場所に関連付く第2の情報処理装置へ第1の来訪日時とともに当該識別情報を通知してもよい。当該第2の情報処理装置の第2の制御部は、第1のユーザのユーザ端末へ所定の感染症の感染の可能性とともに当該識別情報を通知するようにしてもよい。これによって、第1のユーザに感染者自身が含まれている場合には、感染申告の識別情報を第1のユーザのユーザ端末へ通知することによって、感染者自身が申告したことについての感染可能性の通知であることを認識することができる。
【0020】
また、本開示の態様の一つであるプログラムは、コンピュータに、第1の情報処理装置へ感染申告を送信することと、第1の情報処理装置から感染申告に付与された第1の識別情報を受信することと、を実行させるようにしてもよい。また、当該プログラムは、コンピュータに、複数の第2の情報処理装置のいずれかから感染症の感染の可能性の通知を受信することと、通知とともに受信した識別情報が第1の識別情報と一致する場合に、当該通知を廃棄し、当該通知とともに受信した識別情報が第1の識別情報と一致しない場合に、当該通知を出力することと、を実行させるようにしてもよい。感染申告を行った感染者自身に感染可能性の通知が行われることは、当該感染者にとっては煩わしいことである。これによって、感染申告を行った感染者自身への感染可能性の通知によるわずらわしさを低減させることができる。
【0021】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る感染可能性通知システム100のシステム構成の一例を示す図である。感染可能性通知システム100は、所定の感染症の感染者と同じ時間に同じ場所にいた可能性のあるユーザに感染可能性を通知するシステムである。感染可能性通知システム100は、例えば、センタサーバ1と、店舗サーバ2と、ユーザ端末3Aと、ユーザ端末3Bとを含む。ただし、ユーザ端末3A及びユーザ端末3Bに限られず、感染可能性通知システム100には、複数のユーザ端末が含まれてもよい。以降、ユーザ端末3A及びユーザ端末3Bを区別しない場合には、単にユーザ端末3と表記する。また、感染可能性通知システム100は、複数の店舗サーバ2、及び、企業又は組織の管理システム等のセンタサーバ1とは管轄が異なるサーバ又はシステムを含むが、第1実施形態では説明の簡便化のため、代表して1つの店舗サーバ2を含むこととして説明される。
【0023】
センタサーバ1、店舗サーバ2、ユーザ端末3A、及び、ユーザ端末3Bは、それぞれ、ネットワークN1に接続しており、ネットワークN1を通じて通信可能である。ネットワークN1は、例えば、インターネットである。
【0024】
センタサーバ1は、感染可能性通知システム100の管理者が管理するサーバである。店舗サーバ2は、例えば、店舗Aに関する情報を管理するサーバである。店舗サーバ2が
管理する情報には、例えば、店舗Aの顧客情報、及び、商品購入に関する情報等である。店舗サーバ2は、感染可能性通知システム100に登録する企業又は組織の管理するサーバである。
【0025】
ユーザ端末3Aは、所定の感染症の感染者のユーザ端末であるとする。ユーザ端末3Bは、店舗Aに顧客として登録されているユーザのユーザ端末であるとする。ユーザ端末3には、それぞれ、例えば、感染可能性通知システム100のアプリケーションがインストールされている。
【0026】
感染者は、自身が所定の感染症に感染していることが判明した場合に、ユーザ端末3Aを通じて感染申告を行う。感染申告の操作入力とともに、例えば、感染症の種類、症状の発症日、及び、感染の診断日等の情報も入力される。ユーザ端末3Aは、ユーザから感染申告の操作の入力を受け付けると、所定期間の感染者の移動履歴情報を収集し、感染申告とともにセンタサーバ1へ送信する。このとき、感染申告は匿名で行われ、感染者個人を特定可能な情報は送信されない。感染者個人を特定可能な情報には、例えば、氏名、住所、電話番号、及び、電子メールアドレス等がある。移動履歴情報には、例えば、少なくとも日時情報と場所情報とが含まれている。移動履歴情報は、例えば、ユーザ端末3Aに保持されている位置情報の取得の履歴情報、所定の店舗への来訪履歴情報、公共交通機関の予約履歴情報、及び、電子マネーの支払い情報等である。
【0027】
センタサーバ1は、ユーザ端末3Aから感染申告と移動履歴情報とを受信すると、感染者が来訪した場所と来訪日時とを特定する。特定される場所は、店舗、施設、及び、公共交通機関等の不特定多数の人が利用可能な場所である。特定される来訪場所は、1または複数であってもよい。センタサーバ1は、感染者が来訪した場所を管理するサーバへ、感染者の来訪を通知する感染者来訪通知を送信する。感染者来訪通知とともに、感染者の来訪場所に関する情報と来訪日時に関する情報も通知される。感染者の来訪場所は、「第1の場所」の一例である。感染者の来訪日時は、「第1の来訪日時」の一例である。
【0028】
店舗サーバ2は、センタサーバ1から感染者来訪通知を受信すると、感染者の来訪日時に店舗Aに来訪していた顧客を特定する。店舗サーバ2は、特定した顧客のユーザ端末3Bへ、所定の感染症の感染可能性を通知する感染可能性通知を送信する。顧客は、「所定の場所に関連付くユーザ」の一例である。
【0029】
ユーザ端末3Bは、センタサーバ1から感染可能性通知を受信すると、ユーザ端末3Bは、感染可能性通知を出力する。これによって、ユーザ端末3Bのユーザ、すなわち、感染者と同じ時刻に店舗Aを来訪していた顧客に感染可能性を通知することができる。
【0030】
図2は、センタサーバ1、店舗サーバ2、及び、ユーザ端末3のハードウェア構成の一例である。センタサーバ1は、ハードウェア構成として、CPU 101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を備える。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。センタサーバ1は、「第1の情報処理装置」の一例である。
【0031】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、感染可能性通知システム100の制御プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。
【0032】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0033】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「第1の制御部」の一例である。
【0034】
通信部104は、例えば、LAN(Local Area Network)や専用線等の有線のネットワークカードであり、当該LAN等のアクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。センタサーバ1のハードウェア構成は、
図2に示されるものに限定されない。
【0035】
店舗サーバ2は、ハードウェア構成として、CPU 201、メモリ202、外部記憶装置203、及び、通信部204を備える。店舗サーバ2は、「第2の情報処理装置」の一例である。CPU 201、メモリ202、外部記憶装置203、及び、通信部204は、CPU 101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104と同様である。外部記憶装置203には、感染可能性通知システム100のセンタサーバ1との連携用のプログラムが格納されている。
【0036】
ユーザ端末3は、ハードウェア構成として、例えば、CPU 301、メモリ302、外部記憶装置303、無線通信部304、タッチパネル付きディスプレイ305、マイクロフォン306、及び、位置センサ307を備える。ただし、
図2では、感染可能性通知システム100に関係するハードウェアが抽出して表示されており、ユーザ端末3のハードウェア構成は
図2に示されるものに限定されない。
【0037】
CPU 301、メモリ302、及び、外部記憶装置303は、それぞれ、CPU 101、メモリ102、及び、外部記憶装置103と同様であるため、説明を省略する。外部記憶装置303には、感染可能性通知システム100のクライアント用のアプリケーションが格納されている。CPU 301は、「第3の制御部」の一例である。
【0038】
無線通信部304は、例えば、5G(5th Generation)、LTE(Long Term Evolution)、LTE-Advanced、及び、3G等の移動体通信方式、又は、WiFi等の
無線通信方式に対応する無線通信回路である。無線通信部304は、無線通信によってアクセスネットワークに接続し、当該アクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。
【0039】
タッチパネル付きディスプレイ305及びマイクロフォン306は、入力装置の一例である。タッチパネル付きディスプレイ305又はマイクロフォン306に対してユーザ操作が入力される。また、タッチパネル付きディスプレイ305は、出力装置の一例であって、例えば、感染可能性の通知が出力される。ユーザ端末3は、この他に、出力装置の一例として、スピーカを備えてもよい。
【0040】
位置センサ307は、位置情報を取得するセンサである。位置センサ307は、例えば、GPS(global Positioning System)受信機である。位置センサ307によって取得
される位置情報は、例えば、緯度及び経度である。
【0041】
なお、センタサーバ1、店舗サーバ2、及び、ユーザ端末3のハードウェア構成は、
図2に示されるものに限定されない。
【0042】
図3は、センタサーバ1、店舗サーバ2、及び、ユーザ端末3の機能構成の一例を示す図である。ユーザ端末3は、機能構成として、センタ通信部31、移動履歴収集部32、店舗通信部33、表示制御部34、位置情報DB 35を備える。これらの機能構成要素は、それぞれ、ユーザ端末3のCPU 301が対応するプログラムを実行することによって達成される。
【0043】
センタ通信部31は、センタサーバ1との通信を行う。センタ通信部31は、例えば、移動履歴収集部32からの入力を受けて、センタサーバ1へ、感染申告と移動履歴情報を送信する。
【0044】
移動履歴収集部32は、感染申告のユーザ操作の入力を受けて、所定期間内のユーザ端末3のユーザの移動履歴情報を収集する。感染申告とともに、例えば、感染賞の種類、及び、感染判明日又は症状の発症日が入力される。移動履歴情報の収集期間は、例えば、症状の発症日又は感染の診断日から当該感染症の潜伏期間さかのぼった期間である。ただし、移動履歴情報の収集期間はこれに限られず、上記期間に症状の発症日又は感染の診断日から所定の日数後までの期間が追加されてもよい。
【0045】
移動履歴情報は、少なくとも日時情報と場所情報を含む。移動履歴情報には、例えば、ユーザ端末3Aに保持されている位置情報の取得の履歴情報、所定の店舗への来訪履歴情報、公共交通機関の予約履歴情報、及び、電子マネーの支払い履歴情報等がある。
【0046】
位置情報は、位置センサ307によって所定の周期で取得され、位置情報DB 305に格納されている。位置情報の取得の履歴情報は、例えば、場所情報としての位置情報と、日時情報としての当該位置情報の取得日時とを含む。
【0047】
所定の店舗への来店履歴情報には、例えば、当該店舗に関連するアプリケーションを通じた、チェックインの履歴情報、及び、ポイント付与又は使用の履歴情報等がある。所定の店舗への来店履歴情報は、例えば、場所情報としての当該店舗を示す情報と、日時情報としてのチェックイン又はポイント付与又は使用の日時とを含む。
【0048】
公共交通機関の予約履歴情報は、例えば、各公共交通機関のアプリケーションを通じて予約された、特急電車、高速バス、及び、飛行機の乗車予約の情報である。公共交通機関の予約履歴情報は、例えば、場所情報としての便名又は列車名と、日時情報としての乗車日時とを含む。場所情報として、座席の情報が含まれてもよい。
【0049】
電子マネーの支払い履歴情報は、例えば、クレジットカード、デビットカード、ICカード、QRコード(登録商標)決済等のアプリケーションを通じて決済された支払いの履歴情報である。電子マネーの支払い情報は、例えば、場所情報としての支払い先の店舗等に関する情報と、日時情報としての支払い日時とを含む。
【0050】
移動履歴収集部32は、上述の各種移動履歴情報を、例えば、ユーザ端末3にインストールされている各種アプリケーションを通じて取得される。移動履歴収集部32は、感染申告と収集した移動履歴情報とをセンタ通信部31へ出力し、センタ通信部31を通じてセンタサーバ1へ送信する。なお、感染申告とともに、発症の日又は感染が診断された日の情報も送信される。また、感染可能性通知システム100が複数の感染症に対応している場合には、感染申告とともに感染症の種類もセンタサーバ1へ送信されてもよい。感染申告とともに、感染者を特定可能な個人情報は送信されない。
【0051】
また、移動履歴収集部32は、センタサーバ1から、センタ通信部31を通じて、感染
申告に対する識別情報を受信する。移動履歴収集部32は、送信した感染申告に対する識別情報を、例えば、外部記憶装置303の所定の記憶領域に格納する。
【0052】
店舗通信部33は、店舗サーバ2との通信を行う。店舗サーバ2は、例えば、店舗サーバ2から感染可能性通知を受信する。感染可能性通知とともに、感染可能性通知の起因となった感染申告の識別情報も受信される。店舗通信部33は、感染可能性通知とともに受信された感染申告の識別情報と、移動履歴収集部32によって記録された感染申告の識別情報とを比較し、両者が一致している場合には、受信された感染可能性通知を廃棄する。店舗通信部33は、感染可能性通知とともに受信された感染申告の識別情報と、移動履歴収集部32によって記録された感染申告の識別情報とを比較し、両者が一致していない場合には、受信された感染可能性通知を表示制御部34へ出力する。
【0053】
表示制御部34は、店舗通信部33から感染可能性通知の入力を受けると、タッチパネル付きディスプレイ305に表示させる。
【0054】
位置情報DB 35は、外部記憶装置303の所定の記憶領域に作成される。位置情報DB 35には、位置センサ307によって取得された位置情報と当該位置情報の取得日時とが格納されている。位置センサ307は、例えば、ユーザ設定によって有効又は無効が設定可能である。位置センサ307が無効の場合には、位置情報は取得されない。
【0055】
センタ通信部31、移動履歴収集部32、及び店舗通信部33は、例えば、感染可能性通知システム100のクライアントアプリケーションを実行することによって達成される機能構成要素である。表示制御部34は、例えば、OSによる機能構成要素である。位置情報DB 35は、例えば、位置センサ307の制御プログラムによって達成される機能構成要素である。ただし、機能構成要素と各プログラムとの関係はこれらに限定されない。センタ通信部31、移動履歴収集部32、及び店舗通信部33は、例えば、クライアントアプリケーションに限定されず、感染可能性通知システム100のブラウザ上で稼働するウェブアプリによって達成されてもよい。
【0056】
次に、センタサーバ1は、機能構成要素として、店舗特定部11、サーバ通信部12、端末通信部13、地図情報DB 14、及び、店舗情報DB 15を備える。これらの機能構成要素は、例えば、センタサーバ1のCPU 101が感染可能性通知システム100の制御プログラムを実行することによって達成される。
【0057】
端末通信部13は、ユーザ端末3との通信を行う。第1実施形態では、端末通信部13は、ユーザ端末3から感染申告と移動履歴情報を受信する。ユーザ端末3から受信された情報は、店舗特定部11に出力される。
【0058】
サーバ通信部12は、店舗サーバ2との通信を行う。第1実施形態では、サーバ通信部12は、店舗特定部11によって指定された店舗サーバ2へ、感染者来訪通知を送信する。
【0059】
店舗特定部11は、ユーザ端末3から受信された感染申告と移動履歴情報との入力を受け、移動履歴情報から、感染者の来訪場所に関する情報及び来訪日時に関する情報と、感染者来訪通知の送信先となる店舗サーバ2とを取得する。また、店舗特定部11は、受信した感染申告に対して識別情報を付与し、端末通信部13を通じて、感染申告の送信元のユーザ端末3へ通知する。
【0060】
店舗特定部11は、例えば、移動履歴情報が位置情報の取得の履歴情報である場合には、地図情報DB 14を参照して、位置情報に対応するPOI(Point Of Interest)を
特定し、当該感染者の来訪場所として特定する。また、店舗特定部11は、当該位置情報の取得日時を感染者の来訪日時として特定する。同じPOIを示す位置情報の取得の履歴情報が連続して複数存在する場合には、当該複数の位置情報の取得日時から、感染者の滞在時間を来訪日時として特定する。滞在時間は、滞在開始日時から滞在終了日時で特定される。また、店舗特定部11は、感染者来訪通知の送信先として、位置情報が示すPOIに関連付けられている店舗サーバ2を店舗情報DB 15を参照して特定する。
【0061】
店舗特定部11は、例えば、移動履歴情報が所定の店舗への来訪履歴情報である場合には、感染者の来訪場所として、所定の店舗への来訪履歴情報によって示される当該店舗を特定する。また、店舗特定部11は、感染者の来訪日時に関する情報として、所定の店舗への来訪履歴情報に含まれる日時情報を特定する。所定の店舗への来訪履歴情報に含まれる日時情報は、例えば、チェックインの記録日時、及び、ポイントの付与又は使用の日時である。また、店舗特定部11は、感染者来訪通知の送信先として、当該店舗に関連付く店舗サーバ2を店舗情報DB 15を参照して特定する。
【0062】
店舗特定部11は、例えば、移動履歴情報が公共交通機関の予約履歴情報である場合には、感染者の来訪場所に関する情報として、バス又は飛行機の便名又は列車名を取得する。また、公共交通機関の予約情報に座席情報が含まれている場合には、感染者の来訪場所に関する情報の一つとして座席情報が取得されてもよい。店舗特定部11は、例えば、感染者の来訪日時として、乗車日時を特定する。また、店舗特定部11は、感染者来訪通知の送信先として、該当する公共交通機関のサーバを特定する。当該公共交通機関のサーバの情報も、例えば、店舗情報DB 15に格納されている。
【0063】
店舗特定部11は、例えば、移動履歴情報が電子マネーの支払い履歴情報である場合には、感染者の来訪場所として、支払先の店舗を特定する。店舗特定部11は、例えば、感染者の来訪日時として、支払い日時を特定する。また、店舗特定部11は、当該店舗に関連付く店舗サーバ2を店舗情報DB 15を参照して特定する。
【0064】
店舗特定部11は、サーバ通信部12を通じて、感染者来訪通知の送信先として特定した店舗サーバ2へ、感染者来訪通知、感染申告の識別情報、感染者の来訪場所に関する情報、及び、感染者の来訪日時に関する情報を送信する。なお、感染者来訪通知の送信先は、1又は複数である。
【0065】
地図情報DB 14及び店舗情報DB 15は、外部記憶装置103の所定の記憶領域に作成される。地図情報DB 14は、地図情報を保持する。店舗情報DB 15は、店舗サーバ2に関する情報を保持する。店舗サーバ2に関する情報には、例えば、関連付く店舗に関する情報、及び、店舗サーバ2の連絡先等が含まれる。関連付く店舗に関する情報は、例えば、当該店舗の位置情報、名称、又は、識別情報である。
【0066】
次に、店舗サーバ2は、機能構成要素として、顧客特定部21、サーバ通信部22、顧客通知部23、顧客情報DB 24、及び、来店履歴情報DB 25を備える。例えば、顧客特定部21、サーバ通信部22、及び、顧客通知部23は、店舗サーバ2のCPU 202が感染可能性通知システム100のセンタサーバ1との連携用のプログラムを実行することによって達成される。顧客情報DB 24及び来店履歴情報DB 25は、例えば、店舗サーバ2の顧客情報の管理プログラムを実行することによって達成される。
【0067】
サーバ通信部22は、センタサーバ1との通信を行う。第1実施形態では、サーバ通信部22は、センタサーバ1から感染者来訪通知を受信する。感染者来訪通知とともに、感染申告の識別情報、及び、感染者の来訪場所に関する情報と来訪日時に関する情報も受信される。センタサーバ1から受信した情報は、顧客特定部21へ出力される。
【0068】
顧客通知部23は、顧客のユーザ端末3との通信を行う。第1実施形態では、顧客通知部23は、ユーザ端末3へ感染可能性通知を送信する。感染可能性通知は顧客特定部21から入力される。
【0069】
顧客特定部21は、感染者が来訪した時刻に感染者の来訪場所にいた顧客を特定する。例えば、顧客特定部21は、センタサーバ1から通知された来訪日時の前後所定時間長を加算した期間にセンタサーバ1から通知された来訪場所への来訪履歴情報が存在する顧客を、来店履歴情報DB 25を参照して特定する。来訪日時に加算される時間長は、例えば、10分単位、15分単位、30分単位、又は、1時間単位で、各店舗の特性に応じて設定される。
【0070】
顧客特定部21は、特定した顧客のユーザ端末3へ感染可能性通知を送信する。感染可能性通知とともに、例えば、感染申告の識別情報、感染症の種類、感染者の来訪場所、感染者の来訪した日付も送信される。また、感染可能性通知は、例えば、プッシュ配信、電子メール、又は、ショートメールサービスによって送信される。または、ユーザ端末3で感染可能性通知システム100のクライアントアプリケーションがウェブアプリである場合には、ブラウザのセッション上で感染可能性通知が送信される。
【0071】
顧客情報DB 24及び来店履歴情報DB 25は、外部記憶装置203の所定の記憶領域に作成される。顧客情報DB 24は、顧客に関する情報が保持されている。顧客に関する情報には、例えば、顧客の識別情報、氏名、住所、生年月日、連絡先の電話番号、及び、メールアドレス等が含まれる。顧客の識別情報は店舗サーバ2内において顧客を識別するために顧客に付与される識別情報である。
【0072】
図4は、来店履歴情報DB 25に保持される情報の一例を示す図である。来店履歴情報DB 25は、店舗サーバ2が管理する店舗への来店履歴情報を保持する。来店履歴情報DB 25に格納される来店履歴情報には、タイムスタンプ、店舗ID、顧客ID、及び、イベント種別のフィールドが含まれる。来店履歴情報DB 25に保持されている情報は、「来訪履歴情報」の一例である。
【0073】
タイムスタンプのフィールドには、来店履歴情報が取得された日時が格納される。店舗IDのフィールドには、店舗の識別情報が格納される。顧客IDのフィールドには、顧客の識別情報が格納される。イベント種別のフィールドには、当該来店履歴情報の生成の契機となったイベントの種別を示す情報が格納される。イベント種別には、例えば、チェックイン、ポイントの使用又は付与等がある。チェックインは、例えば、店舗サーバ2が管理する店舗に関するユーザ端末3用のアプリケーションを通じた記録、又は、店舗に設置される装置へのユーザ端末3又はポイントカード等による記録による、当該店舗への来店の記録である。ポイントの使用又は付与は、例えば、商品購入時のポイントカードの提示によるレジの記録である。なお、イベント種別はこれらに限定されない。
【0074】
顧客特定部21は、来店履歴情報DB 25を参照して、感染者の来訪場所に対応する店舗に感染者の来訪日時の前後所定時間長の期間内に来店した顧客の識別情報を特定し、顧客情報DB 24から特定した顧客の識別情報に対応する連絡先を取得する。なお、来店履歴情報DB 25に格納される情報は
図4に示されるものに限定されない。例えば、店舗サーバ2が公共交通機関のサーバである場合には、来店履歴情報DB 25の代わりに当該公共交通機関の乗車予約情報を保持するデータベースが用いられる。例えば、店舗サーバ2が電子マネー決済を管理するサーバである場合には、来店履歴情報DB 25の代わりに電子マネーによる支払い情報を保持するデータベースが用いられる。
【0075】
図5は、ユーザ端末3の申告送信処理のフローチャートの一例である。申告送信処理は、感染申告をセンタサーバ1へ送信する処理である。
図5に示される処理は、例えば、
図1のユーザ端末3Aが実行する処理である。
図5に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
図5に示される処理の実行主体は、ユーザ端末3のCPU 301であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。以降のフローチャートについて、同様に機能構成要素を主体として説明する。
【0076】
OP101では、移動履歴収集部32は、ユーザ端末3に感染申告のユーザ操作が入力されたか否かを判定する。ユーザ端末3に感染申告のユーザ操作が入力された場合には(OP101:YES)、処理がOP102へ進む。ユーザ端末3に感染申告のユーザ操作が入力されていない場合には(OP101:NO)、
図5に示される処理が終了する。
【0077】
OP102では、移動履歴収集部32は、所定期間の移動履歴情報を収集する。移動履歴情報の収集の詳細は上述の通りである。OP103では、移動履歴収集部32は、センタ通信部31を通じてセンタサーバ1へ、感染申告と、移動履歴情報とを送信する。OP104では、移動履歴収集部32は、センタ通信部31を通じてセンタサーバ1から、OP103において送信された感染申告に対する識別情報を受信し、記録する。その後、
図5に示される処理が終了する。
【0078】
図6は、ユーザ端末3の通知受信処理のフローチャートの一例である。通知受信処理は、店舗サーバ2から感染可能性通知を受信した場合の処理である。
図6に示される処理は、例えば、
図1のユーザ端末3Bによって実行される処理である。
図6に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0079】
OP201では、店舗通信部33は、店舗サーバ2から感染可能性通知を受信したか否かを判定する。店舗サーバ2から感染可能性通知が受信された場合には(OP201:YES)、処理がOP202へ進む。店舗サーバ2から感染可能性通知が受信されていない場合には(OP201:NO)、
図6に示される処理が終了する。
【0080】
OP202では、店舗通信部33は、感染可能性通知とともに受信された感染申告の識別情報が外部記憶装置303の所定の記憶領域に格納されている感染申告の識別情報と一致するか否かを判定する。両者が一致した場合には(OP202:YES)、処理がOP204に進む。両者が相違する場合には(OP202:NO)、処理がOP203へ進む。
【0081】
OP203では、店舗通信部33は、感染可能性通知を表示制御部34へ出力し、ユーザに感染可能性を通知する。その後、
図6に示される処理が終了する。
【0082】
OP204では、店舗通信部33は、受信された感染可能性通知を廃棄する。この場合には、感染可能性はユーザに通知されない。その後、
図6に示される処理が終了する。
【0083】
図7は、センタサーバ1の処理のフローチャートの一例である。
図7に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0084】
OP301では、店舗特定部11は、端末通信部13を通じて、ユーザ端末3から感染申告を受信したか否かを判定する。ユーザ端末3から感染申告が受信された場合には(OP301:YES)、処理がOP302へ進む。ユーザ端末3から感染申告が受信されていない場合には(OP301:NO)、
図7に示される処理が終了する。
【0085】
OP302では、店舗特定部11は、受信した感染申告に対して識別情報を付与し、感
染申告の送信元のユーザ端末へ通知する。
【0086】
OP303では、店舗特定部11は、受信した感染者の移動履歴情報から、感染者の来訪場所及び来訪日時と、感染者来訪通知の送信先と、を特定する。OP304では、店舗特定部11は、サーバ通信部12を通じて、特定した送信先へ感染者来訪通知と感染者の来訪場所に関する情報及び来訪日時に関する情報を送信する。その後、
図7に示される処理が終了する。
【0087】
図8は、店舗サーバ2の処理のフローチャートの一例である。
図8に示される処理は、例えば、所定の周期で繰り返し実行される。
【0088】
OP401では、顧客特定部21は、サーバ通信部22を通じて、センタサーバ1から感染者来訪通知を受信したか否かを判定する。センタサーバ1から感染者来訪通知が受信された場合には(OP401:YES)、処理がOP402へ進む。センタサーバ1から感染者来訪通知が受信されていない場合には(OP401:NO)、
図8に示される処理が終了する。
【0089】
OP402では、顧客特定部21は、感染者来訪通知とともに受信された感染者の来訪場所に、感染者の来訪日時の前後所定時間長の期間に来店した顧客を来店履歴情報DB 25を参照して特定する。OP403では、顧客特定部21は、顧客通知部23を通じて、特定した顧客のユーザ端末3へ感染可能性通知を送信する。その後、
図8に示される処理が終了する。
【0090】
なお、
図5から
図8に示される、センタサーバ1、店舗サーバ2、及び、ユーザ端末3の処理は、それぞれ一例であって、
図5から
図8に示される処理に限定されない。
【0091】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、所定の感染症の感染者と同じ場所に同じ時刻にいた可能性のあるユーザに、感染の可能性を通知することができる。また、感染者からの移動履歴情報に基づいて、当該顧客が特定され、感染者の個人情報は用いられないので、感染者が特定されることを抑制することができる。また、店舗サーバ2にあらかじめユーザの了解のもと登録されている顧客情報は、当該店舗サーバ2からどこへも送信されないので、感染者と同じ場所に同じ時刻にいた可能性のあるユーザ、すなわち、感染の可能性のあるユーザが特定されることを抑制することができる。
【0092】
また、感染申告を行った感染者も、店舗サーバ2によって、感染者と同じ場所に同じ時刻にいた可能性のあるユーザとして特定される可能性がある。この場合、感染申告を行った感染者のユーザ端末3では、複数の店舗サーバ2から感染可能性通知を受信することになって、当該感染者であるユーザは煩わしい思いをする可能性がある。そこで、感染申告の識別情報が感染申告の送信元のユーザ端末3に通知され、感染可能性通知とともに通知され、感染可能性通知を受信したユーザ端末3において感染申告の識別情報を用いてフィルタリングされることで、感染者に感染可能性通知が通知されることを抑制することができる。
【0093】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0094】
店舗サーバ2において、感染者の来訪場所において感染者の来訪時刻にいた顧客を特定する方法は、上述の方法に限定されず、あらゆる方法が採用可能である。例えば、顧客情
報として顧客の顔写真が登録されている場合には、当該顔画像を用いた顔認識処理によって、店舗に設置されたカメラの画像から、感染者の来訪場所において感染者の来訪時刻にいた顧客を特定してもよい。
【0095】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0096】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0097】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0098】
1 :センタサーバ
2 :店舗サーバ
3 :ユーザ端末
11 :店舗特定部
12 :サーバ通信部
13 :端末通信部
14 :地図情報データベース
15 :店舗情報データベース
21 :顧客特定部
22 :サーバ通信部
23 :顧客通知部
24 :顧客情報データベース
25 :来店履歴情報データベース
31 :センタ通信部
32 :移動履歴収集部
33 :店舗通信部
34 :表示制御部
35 :位置情報データベース
100 :感染可能性通知システム
102 :メモリ
103 :外部記憶装置
104 :通信部
202 :メモリ
203 :外部記憶装置
204 :通信部
302 :メモリ
303 :外部記憶装置
304 :無線通信部
307 :位置センサ