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特許7396215情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61B5/107 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020110406
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007429
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 勝也
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216807(JP,A)
【文献】特開2019-170967(JP,A)
【文献】特開2015-154926(JP,A)
【文献】特開2017-060584(JP,A)
【文献】国際公開第2019/238525(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221745(WO,A1)
【文献】特開2018-023768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者から計測されたバイタルデータを取得するバイタルデータ取得部と、
前記対象者から前記バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を取得する姿勢状態情報取得部と、
前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するデータ判定部と
を備え
前記姿勢状態情報には、
圧電センサにより検知された圧電センサ値と、静電センサにより検知された静電センサ値とが含まれ、
前記データ判定部は、
前記姿勢状態情報に含まれる前記圧電センサ値と予め設定された圧電センサ閾値とを比較するとともに、前記姿勢状態情報に含まれる前記静電センサ値と予め設定された静電センサ閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記バイタルデータの正当性を判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記データ判定部は、
前記圧電センサ値と前記圧電センサ閾値とを比較した後、当該比較の結果に基づいて、前記静電センサ値と前記静電センサ閾値とを比較する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記圧電センサ閾値と前記静電センサ閾値は、
前記対象者の姿勢状態が前記バイタルデータを計測する際の正しい姿勢状態であるときに前記圧電センサにより検知された圧電センサ値と前記静電センサにより検知された静電センサ値とに基づいて設定された閾値である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記圧電センサ閾値として、前記圧電センサ値の上限値と下限値が設定され、
前記静電センサ閾値として、前記静電センサ値の下限値が設定され、
前記データ判定部は、
前記圧電センサ値が前記圧電センサ閾値として設定された上限値から下限値までの範囲内であり、前記静電センサ値が前記静電センサ閾値として設定された下限値以上である場合に、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータが正当であると判定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記姿勢状態情報には、
外部のセンサ端末により判定された前記対象者の姿勢状態と、当該姿勢状態の判定に用いられた、前記圧電センサ値及び前記静電センサ値とが含まれ、
前記姿勢状態情報取得部は、
外部の前記センサ端末と通信して当該センサ端末から前記姿勢状態情報を取得し、
前記データ判定部は、
前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に含まれる前記姿勢状態と、前記圧電センサ値と、前記静電センサ値とに基づいて、前記バイタルデータの正当性を判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記バイタルデータ及び前記姿勢状態情報は、
前記バイタルデータ取得部及び前記姿勢状態情報取得部により前記センサ端末から定期的に取得され、
定期的に取得された前記バイタルデータ及び前記姿勢状態情報を蓄積するデータ記録部をさらに備え、
前記データ判定部は、
前記姿勢状態情報取得部により受信された前記姿勢状態情報に含まれる、前記センサ端末により判定された前記対象者の姿勢状態、前記圧電センサ値及び前記静電センサ値と、前記データ記録部に蓄積されている過去に受信された前記姿勢状態情報に含まれる、前記センサ端末により判定された前記対象者の姿勢状態とに基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記データ判定部による前記バイタルデータの正当性の判定結果に基づいて、当該バイタルデータを正当性が確認できる形態で表示する為の画面データを生成する画面表示部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
バイタルデータ取得部が対象者から計測されたバイタルデータを取得するステップと、
姿勢状態情報取得部が前記対象者から前記バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を取得するステップと、
データ判定部が、前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するステップと
を有し、
前記姿勢状態情報には、
圧電センサにより検知された圧電センサ値と、静電センサにより検知された静電センサ値とが含まれ、
前記バイタルデータの正当性を判定するステップでは、
前記データ判定部が、前記姿勢状態情報に含まれる前記圧電センサ値と予め設定された圧電センサ閾値とを比較するとともに、前記姿勢状態情報に含まれる前記静電センサ値と予め設定された静電センサ閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記バイタルデータの正当性を判定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
センサ端末と、当該センサ端末と接続される情報処理装置とを備える情報処理システムであり、
前記センサ端末は、
バイタルセンサの出力をもとに対象者のバイタルデータを計測するバイタル計測部と、前記バイタルセンサとは別に設けられたセンサの出力をもとに当該バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を生成する姿勢状態情報生成部と
を有し、
前記情報処理装置は、
前記センサ端末から前記バイタルデータを取得するバイタルデータ取得部と、
前記センサ端末から前記姿勢状態情報を取得する姿勢状態情報取得部と、
前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するデータ判定部と
を有することを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイタルデータを扱う情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者のバイタルデータ(心拍数、呼吸数など)を計測するバイタル計測装置がある。例えば、特許文献1に記載のバイタル計測装置は、ベッドに寝ている対象者とベッドとの間に挿入される検知部を備え、この検知部によって対象者の呼吸振動を検知することにより、対象者の呼吸数を計測するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-113169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のバイタル計測装置は、例えば対象者が大きく動くことなく安定した姿勢でベッドに寝ていて対象者の体にベッドが密着している状態(つまり対象者の体に検知部が密着している状態)でないと、正確なバイタルデータを計測することができない。一方で、従来のバイタル計測装置は、例えば対象者がベッドの端に座るなどして対象者の体に検知部が密着していない状態でも、バイタルデータを計測できてしまう為、バイタルデータの正当性に問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮したものであり、バイタルデータの正当性を担保できるようにした情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、対象者から計測されたバイタルデータを取得するバイタルデータ取得部と、前記対象者から前記バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を取得する姿勢状態情報取得部と、前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するデータ判定部とを備え、前記姿勢状態情報には、圧電センサにより検知された圧電センサ値と、静電センサにより検知された静電センサ値とが含まれ、前記データ判定部は、前記姿勢状態情報に含まれる前記圧電センサ値と予め設定された圧電センサ閾値とを比較するとともに、前記姿勢状態情報に含まれる前記静電センサ値と予め設定された静電センサ閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記バイタルデータの正当性を判定する。
【0007】
また本発明の情報処理方法は、バイタルデータ取得部が対象者から計測されたバイタルデータを取得するステップと、姿勢状態情報取得部が前記対象者から前記バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を取得するステップと、データ判定部が、前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するステップとを有し、前記姿勢状態情報には、圧電センサにより検知された圧電センサ値と、静電センサにより検知された静電センサ値とが含まれ、前記バイタルデータの正当性を判定するステップでは、前記データ判定部が、前記姿勢状態情報に含まれる前記圧電センサ値と予め設定された圧電センサ閾値とを比較するとともに、前記姿勢状態情報に含まれる前記静電センサ値と予め設定された静電センサ閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記バイタルデータの正当性を判定する。
【0008】
さらに本発明の情報処理システムは、センサ端末と、当該センサ端末と接続される情報処理装置とを備える情報処理システムであり、前記センサ端末は、バイタルセンサの出力をもとに対象者のバイタルデータを計測するバイタル計測部と、前記バイタルセンサとは別に設けられたセンサの出力をもとに当該バイタルデータが計測された際の前記対象者の姿勢状態を示す姿勢状態情報を生成する姿勢状態情報生成部とを有し、前記情報処理装置は、前記センサ端末から前記バイタルデータを取得するバイタルデータ取得部と、前記センサ端末から前記姿勢状態情報を取得する姿勢状態情報取得部と、前記姿勢状態情報取得部により取得された前記姿勢状態情報に基づいて、前記バイタルデータ取得部により取得された前記バイタルデータの正当性を判定するデータ判定部とを有する。
【0009】
このように、対象者からバイタルデータが計測された際の姿勢状態情報に基づいて、バイタルデータの正当性を判定するようにしたことにより、計測されたバイタルデータを、正しく計測されたものとそうでないものとに区別することができる。
【発明の効果】
【0010】
かくして本発明は、バイタルデータの正当性を担保できるようにした情報処理装置、情報処理方法及び情報処理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】介護支援システムの全体構成を示す図である。
図2】離床センサ端末から離床センササーバに送信されるセンサデータの構造を示す図である。
図3】離床センササーバのセンサデータ記録部に記録されるデータの種類を示す図である。
図4】センサデータ記録部のデータベースに登録されるセンサデータテーブルと判定後データテーブルの構造を示す図である。
図5】離床センササーバによるバイタル正当性判定方法の手順を示すフローチャートである。
図6】離床センササーバによるバイタル表示方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[1.介護支援システムの全体構成]
まず図1を用いて、本実施の形態による介護支援システム1の全体構成について説明する。この介護支援システム1は、例えば、介護施設で働く介護職員による利用者(対象者)への介護サービスを支援するシステムである。この介護支援システム1は、利用者ごとに用意されたセンサ端末としての離床センサ端末10と、ネットワークNTを介して複数の離床センサ端末10と接続される情報処理装置としての離床センササーバ20と、ネットワークNTを介して離床センササーバ20と接続される表示端末30とで構成される。尚、図1に示す介護支援システム1は、離床センササーバ20に1台の離床センサ端末10が接続される例であるが、利用者が複数いる場合には、離床センササーバ20に、利用者ごとに1台ずつ用意された複数の離床センサ端末10が接続される。また離床センササーバ20は、例えばWIFIルータ40を介してネットワークNTと接続される。
【0014】
利用者の離床センサ端末10は、例えば利用者の居室に設置され、在床センサ11、端座位センサ12、及びバイタルセンサ13と接続され、波形解析部14及び通信部15を備えている。在床センサ11、端座位センサ12、バイタルセンサ13は、それぞれ利用者のベッドに敷設されていて、有線もしくは無線により離床センサ端末10と接続されている。
【0015】
在床センサ11は、利用者の姿勢の状態(以下、これを姿勢状態と呼ぶ)がベッドに寝ている状態(これを在床もしくは臥床と言う)であるか否かを検知する為のセンサであり、ベッドに加わる圧力を測定可能な圧電センサ11Aと、ベッドに人体が接触している際の接触の状態及び程度を測定可能な静電センサ11Bとを備え、それぞれから定期的に出力されるセンサ値を、離床センサ端末10に送るようになっている。ここで、圧電センサ11Aから出力されるセンサ値を、在床圧電センサ値と呼び、静電センサ11Bから出力されるセンサ値を、在床静電センサ値と呼ぶ。尚、これら在床圧電センサ値及び静電センサ値は、電圧値として出力されるようになっている。
【0016】
端座位センサ12は、利用者の姿勢状態がベッドの端に腰かけている状態(これを端座位と言う)であるか否かを検知する為のセンサであり、圧電センサ12Aと静電センサ12Bとを備え、それぞれから定期的に出力されるセンサ値(電圧値)を、離床センサ端末10に送るようになっている。尚、例えば、在床センサ11はベッドの中央に敷設され、端座位センサ12はベッドの端に敷設される。
【0017】
バイタルセンサ13は、利用者のバイタルデータ(本実施の形態では一例として心拍数と呼吸数)を検知する為のセンサであり、圧電センサ13Aと静電センサ13Bとを備え、それぞれから定期的に出力されるセンサ値(電圧値)を、離床センサ端末10に送るようになっている。尚、在床センサ11、端座位センサ12、バイタルセンサ13は、公知技術であり、詳しい説明は省略する。つまり、バイタルセンサ13は、従来と同様、利用者が大きく動くことなく安定した姿勢でベッドに寝ていて利用者の体(具体的には背中)にベッドが密着している状態(つまり利用者の体にバイタルセンサ13が密着している状態)でないと、正確なバイタルデータを計測することができない。
【0018】
離床センサ端末10の波形解析部14は、在床センサ11、端座位センサ12、バイタルセンサ13のそれぞれから定期的に(例えば数ms間隔で)出力されるセンサ値を、一定時間ごと(例えば1分ごと)に波形解析して定量評価することで、利用者の姿勢状態を判定するとともに、バイタルデータを計測する。
【0019】
具体的には、波形解析部14は、在床センサ11により定期的に出力されるセンサ値(在床圧電センサ値及び在床静電センサ値)の波形から一定時間ごとに抽出したセンサ値と、端座位センサ12により定期的に出力されるセンサ値の波形から一定時間ごとに抽出したセンサ値とを用いて、バイタルデータ計測時の利用者の姿勢状態が、ベッドに寝ている状態であるか(在床であるか)、ベッドの端に腰かけている状態(端座位であるか)であるか、ベッドの上にいない状態(これを離床と言う)のうちのどの状態であるか判定する。また波形解析部14は、バイタルセンサ13により定期的に出力されるセンサ値の波形を用いて、一定時間ごとに、利用者のバイタルデータ(本実施の形態では一例として心拍数と呼吸数)を計測する。尚、波形解析部14が行う姿勢状態の判定、及びバイタルデータの計測についても、公知技術の為、詳しい説明は省略する。
【0020】
通信部15は、離床センササーバ20と通信するインタフェースであり、波形解析部14により判定された利用者の姿勢状態(在床、端座位、離床)と、当該姿勢状態の判定に用いられた在床圧電センサ値及び在床静電センサ値と、波形解析部14により計測されたバイタルデータとの3つのデータを、定期的(例えば1分ごと)に、離床センササーバ20に送信する。
【0021】
ここで、図2に、通信部15によって離床センササーバ20に送信される、上述した3つのデータを含んだセンサデータSDの構造を示す。このセンサデータSDは、波形解析部14により作成されるデータであり、「時刻」、「端末ID」、「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」、「在床静電センサ値」、「心拍数」、「呼吸数」の7項目で1つのデータセットを構成している。
【0022】
「時刻」には、このセンサデータSDが作成された日時が記述される。「端末ID」は、離床センサ端末10を一意に識別可能な端末IDである。この端末IDは、離床センサ端末10に登録されている。「姿勢状態」は、波形解析部14によって判定された利用者の姿勢状態である。具体的には、「姿勢状態」には、姿勢状態が在床であれば「1」、離床であれば「2」、端座位であれば「3」となる。
【0023】
「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」は、波形解析部14によって利用者の姿勢状態の判定に用いられた在床圧電センサ値と在床静電センサ値(つまり同一データセット内の「姿勢状態」の判定に用いられた在床圧電センサ値と在床静電センサ値)である。「心拍数」と「呼吸数」は、バイタルセンサ13により計測された1分当たりの心拍数と呼吸数である。
【0024】
図1に戻り、離床センササーバ20は、例えば機械室(マシンルーム)などに設置され、通信部21と、センサデータ記録部22と、データ判定部23と、画面表示部24とを備えている。尚、この離床センササーバ20は、CPU、メモリ、記録デバイス、各種インタフェースを備えるコンピュータ構成であり、記録デバイスにインストールされたプログラムをCPUが実行することにより、離床センササーバ20として機能する。
【0025】
離床センササーバ20の通信部21は、利用者の離床センサ端末10、及び表示端末30と通信するインタフェースであり、例えば利用者の離床センサ端末10から送信されてくるセンサデータSDを受信する。センサデータ記録部22は、例えばハードディスクなどの記録デバイスを備え、利用者の離床センサ端末10から送信されてきたセンサデータSDなどの各種データ(詳しくは後述する)を記録デバイスに記録する。データ判定部23は、センサデータ記録部22に記録されたセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)の正当性(正しく計測されたものであるか否か)を判定する。この判定方法について詳しくは後述する。画面表示部24は、センサデータ記録部22に記録されている各種データに基づいて、表示端末30などに表示する為の画面データを生成する。
【0026】
ここで、図3図4を用いて、センサデータ記録部22に記録される各種データについて簡単に説明する。センサデータ記録部22には、センサデータSDと、判定後データJDと、利用者プロファイルUPと、センサ閾値THとが記録される。これらのうち、センサデータSDと、判定後データJDについては、センサデータ記録部22に構築されたデータベースDBによって記憶管理されるようになっている。
【0027】
具体的には、データベースDBには、図4(A)に示すセンサデータテーブルSTが作成されていて、このセンサデータテーブルSTによってセンサデータSDを記憶管理するようになっている。センサデータテーブルSTは、センサデータSDと一致する構造であり、「時刻」、「端末ID」、「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」、「在床静電センサ値」、「心拍数」、「呼吸数」の7項目で構成される。
【0028】
またデータベースDBには、図4(B)に示す判定後データテーブルJTが作成されていて、この判定後データテーブルJTにより判定後データJDを記憶管理するようになっている。判定後データJDは、センサデータSDに、当該センサデータSDに含まれるバイタルデータの正当性(正しく計測されたものであるか否か)を示す「正当性フラグ」を追加したデータである。したがって、判定後データJDを記憶管理する判定後データテーブルJTは、「時刻」、「端末ID」、「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」、「在床静電センサ値」、「心拍数」、「呼吸数」に、「正当性フラグ」を追加した8項目で構成される。尚、「正当性フラグ」は、バイタルデータが正当(つまり正しく計測されたもの)であれば「1」、無効であれば「2」となる。
【0029】
利用者プロファイルUPは、利用者のバイタルデータの正常範囲を示すデータである。具体的には、利用者プロファイルUPには、利用者ごとの、正常時の心拍数の上限値及び下限値と、正常時の呼吸数の上限値及び下限値とが登録されている。尚、この利用者プロファイルUPは、例えば、利用者の担当医師や担当看護師などにより離床センササーバ20に入力されて、センサデータ記録部22に記録されるようになっている。
【0030】
センサ閾値THは、離床センサ端末10の在床センサ11から出力される在床圧電センサ値に対して設定された閾値(以下、圧電センサ閾値と呼ぶ)と、在床静電センサ値に対して設定された閾値(以下、静電センサ閾値と呼ぶ)を示すデータである。具体的には、センサ閾値THには、離床センサ端末10ごとの圧電センサ閾値と静電センサ閾値として、在床圧電センサ値の上限値及び下限値と、在床静電センサ値の下限値とが記述されている。このうち、在床圧電センサ値の上限値及び下限値は、利用者が大きく動くことなく安定した姿勢でベッドに寝ている際に在床圧電センサ値が取り得る範囲を示している。一方、在床静電センサ値の下限値は、利用者の体がベッドに密着している際(つまり利用者の体がバイタルセンサ13に密着している際)に、在床静電センサ値が取り得る最小値を示している。
【0031】
尚、介護支援システム1では、実際に、利用者が大きく動くことなく安定した姿勢でベッドに寝ていて利用者の体にベッドが密着している状態で、離床センサ端末10の出力を、利用者と利用環境に合わせて調整(キャリブレーション)するようになっている。離床センサ端末10は、このキャリブレーション時に得られた在床圧電センサ値と在床静電センサ値をもとに、在床圧電センサ値の上限値及び下限値と、在床静電センサ値の下限値とを設定し、これらをセンサ閾値THとして、離床センササーバ20に送信し、センサデータ記録部22に記録させるようになっている。離床センサ端末10は、このようなキャリブレーションを、例えば、初回利用時に加えて、日ごともしくは時間ごとに行うようになっている。尚、本実施の形態では、離床センサ端末10がキャリブレーションによりセンサ閾値THを自動的に設定するようにしたが、これに限らず、例えば、介護職員が、センサ閾値THを、離床センサ端末10に入力することにより手動で設定するようにしてもよい。
【0032】
センサデータ記録部22に記録されるセンサデータSD、判定後データJD、利用者プロファイルUP、及びセンサ閾値THは、離床センサ端末10の端末IDにより紐付けられ、離床センサ端末10ごと(つまり利用者ごと)に管理されるようになっている。センサデータ記録部22に記録される各種データの説明は以上である。
【0033】
図1に戻り、表示端末30は、例えば介護職員が待機する介護職員室などに設置されたディスプレイ装置であり、ネットワークNTを介して、離床センササーバ20から受信した画面データに基づいて、利用者のバイタルデータなどを表示する画面を表示する。介護支援システム1の全体構成の説明は以上である。
【0034】
[2.バイタル正当性判定方法]
次に、離床センササーバ20のデータ判定部23が、離床センサ端末10から取得したセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)の正当性を判定するバイタル正当性判定方法について、図5に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0035】
まずステップSP1において、離床センササーバ20の通信部21が、離床センサ端末10から送信されてきたセンサデータSDを受信する。つづくステップSP2において、離床センササーバ20のセンサデータ記録部22が、通信部21により受信されたセンサデータSDを、データベースDBのセンサデータテーブルSTに追加することで、センサデータSDを記録する。
【0036】
つづくステップSP3において、離床センササーバ20のデータ判定部23は、通信部21により受信されたセンサデータSDに含まれるバイタルデータの正当性判定を開始する。つづくステップSP4において、データ判定部23は、まずこのセンサデータSDの「姿勢状態」(つまりバイタルデータを計測された利用者の姿勢状態)を確認する。そして、データ判定部23は、確認した「姿勢状態」が端座位または離床であればステップSP5に進み、「姿勢状態」が在床であればステップSP9に進む。
【0037】
センサデータSDの「姿勢状態」が端座位または離床である場合に進むステップSP5において、データ判定部23は、センサデータテーブルSTから、今回受信したセンサデータSDと「端末ID」が等しく、「時刻」が現在から所定時間前までの範囲内(例えば現在から5分前までの範囲内)に含まれているセンサデータSDを読み出す。つまり、データ判定部23は、今回離床センサ端末10から受信したセンサデータSDとは別に、同じ離床センサ端末10から直近(過去5分以内)に受信したセンサデータSDを、センサデータテーブルSTから読み出す。
【0038】
つづくステップSP6において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDの「姿勢状態」と、ステップSP5で読み出した直近に受信したセンサデータSDの「姿勢状態」とをもとに、再度、「姿勢状態」を確認する。具体的には、データ判定部23は、例えば、今回受信したセンサデータSDの「姿勢状態」と、直近に受信したセンサデータSDの「姿勢状態」とを、時系列順に並べた一次配列とする。そしてデータ判定部23は、例えば、この一次配列中の「姿勢状態」に一定の割合(例えば50%以上)で、在床が含まれている場合には、「姿勢状態」が在床であると判定し、それ以外の場合には、「姿勢状態」が端座位または離床であると判定する。尚、このときの「姿勢状態」の判定方法は一例であり、これ以外の方法で判定するようにしてもよい。例えば、一次配列中の「姿勢状態」が全て端座位または離床である場合には、「姿勢状態」が端座位または離床であると判定し、それ以外の場合には、「姿勢状態」が在床であると判定したりしてもよい。また一次配列中の「姿勢状態」のうち、新しいものほど重くなるように重み付けしたうえで、「姿勢状態」を判定したりしてもよい。
【0039】
このように、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」が端座位または離床である場合、今回受信したセンサデータSDの「姿勢状態」と、センサデータ記録部22に記録されている直近(過去5分以内)のセンサデータSDの「姿勢状態」とをもとに、利用者の姿勢状態を判定するようになっている。こうすることで、データ判定部23は、利用者の姿勢状態(在床、端座位、離床)を正確に判定することができる。このようにして、「姿勢状態」を判定(確認)した後、データ判定部23は、確認した「姿勢状態」が端座位または離床であればステップSP7に進み、「姿勢状態」が在床であればステップSP9に進む。
【0040】
「姿勢状態」が端座位または離床である場合に進むステップSP7において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータについて、数値として計測できてはいるが、利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態である在床ではない為、バイタルデータは正当性がなく無効であると判定する。そして、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDと、バイタルデータの正当性の判定結果とをもとに、判定後データJDを生成する。具体的には、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれる「心拍数」と「呼吸数」を、それぞれ正常な状態では取り得ないマイナス1に置き換えるとともに、「正当性フラグ」を2(無効)とした、判定後データJDを生成する。
【0041】
つづくステップSP8において、離床センササーバ20のセンサデータ記録部22が、データ判定部23により生成された判定後データJDを、データベースDBの判定後データテーブルJTに追加することで、判定後データJDを記録した後、一連の処理を終了する。
【0042】
これに対して、上述のステップSP4またはステップSP6で、「姿勢状態」が在床であると確認した場合に進むステップSP9において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」と、当該センサデータSDと端末IDにより紐付けられたセンサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限閾値及び下限閾値とをチェック(比較)する。
【0043】
つづくステップSP10において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限値から下限値までの範囲内に収まっているか否かを判定する。具体的には、データ判定部23は、例えば、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限値が50、下限値が-50であるとすると、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が50以下、-50以上であれば、範囲内に収まっていると判定する。
【0044】
ここで、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限値から下限値までの範囲内に収まっていない場合、このことは、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)計測時の利用者の姿勢状態が、在床ではある(ステップSP4、SP6で確認)が、動きが大きく姿勢が安定していない状態であること、つまりバイタルデータを計測するときの正しい姿勢ではないことを意味する。
【0045】
この場合、データ判定部23は、ステップSP10で否定結果を得て、ステップSP7に移る。ステップSP7において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータについて、数値として計測できてはいるが、利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態ではない為、バイタルデータは正当性がなく無効であると判定する。そして、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDと、バイタルデータの正当性の判定結果とをもとに、判定後データJDを生成して、ステップSP8に移る。ステップSP8の処理については上述した為、省略する。
【0046】
これに対して、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限値から下限値までの範囲内に収まっている場合、このことは、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)計測時の利用者の姿勢状態が、在床であり(ステップSP4、SP6で確認)、且つ動きが大きくなく姿勢が安定している状態であることを意味する。例えば図2に示す例では、センサデータSDの「在床圧電センサ値」が10であり、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の上限閾値(50)から下限閾値(-50)までの範囲内に収まっている。
【0047】
この場合、データ判定部23は、ステップSP10で肯定結果を得て、ステップSP11に移る。ステップSP11において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDの「在床静電センサ値」と、当該センサデータSDと端末IDにより紐付けられたセンサ閾値THに記述された在床静電センサ値の下限値とをチェック(比較)する。
【0048】
つづくステップSP12において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDの「在床静電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床静電センサ値の下限値以上であるか否かを判定する。具体的には、データ判定部23は、例えば、センサ閾値THに記述された在床静電センサ値の下限値が750であるとすると、今回受信したセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が750以上であるか否かを判定する。
【0049】
ここで、今回受信したセンサデータSDの「在床静電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床圧電センサ値の下限値未満である場合、このことは、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)計測時の利用者の姿勢状態が、在床であり(ステップSP4、SP6で確認)、且つ動きが大きく姿勢が安定している状態ではある(ステップSP10で確認)が、利用者の体(背中)がベッドに密着してないこと、つまりバイタルデータを計測するときの正しい姿勢ではないことを意味する。
【0050】
この場合、データ判定部23は、ステップSP12で否定結果を得て、ステップSP7に移る。ステップSP7において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータについて、数値として計測できてはいるが、利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態ではない為、バイタルデータは正当性がなく無効であると判定する。そして、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDと、バイタルデータの正当性の判定結果とをもとに、判定後データJDを生成して、ステップSP8に移る。ステップSP8の処理は上述した為、省略する。
【0051】
これに対して、今回受信したセンサデータSDの「在床静電センサ値」が、センサ閾値THに記述された在床静電センサ値の下限値以上である場合、このことは、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)計測時の利用者の姿勢状態が、在床であり(ステップSP4、SP6で確認)、動きが大きくなく姿勢が安定していて(ステップSP10で確認)、且つ利用者の体(背中)がベッドに密着している状態であることを意味する。例えば図2に示す例では、センサデータSDの「在床静電センサ値」が980であり、センサ閾値THに記述された在床静電センサ値の下減値(980)以上となっている。
【0052】
この場合、データ判定部23は、ステップSP12で肯定結果を得て、ステップSP13に移る。ステップSP13において、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれるバイタルデータについて、数値として計測できていて、且つ利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態である為、バイタルデータは正当性があると判定する。そして、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDと、バイタルデータの正当性の判定結果とをもとに、判定後データJDを生成して、ステップSP8に移る。具体的には、データ判定部23は、今回受信したセンサデータSDに含まれる「心拍数」と「呼吸数」をそのままに、「正当性フラグ」を1(正当)とした、判定後データJDを生成して、ステップSP8に移る。ステップSP8の処理は上述した為、省略する。バイタル正当性判定方法の説明は以上である。
【0053】
ところで、上述したバイタル正当性判定方法では、先にセンサデータSDの「在床圧電センサ値」が、センサ閾値THとして設定された在床圧電センサ値の上限値から下限値までの範囲内に収まっているか否かを判定(これを閾値判定と呼ぶ)してから、センサデータSDの「在床静電センサ値」が、センサ閾値THとして設定された在床静電センサ値の下限値以上であるか否かを判定(つまり閾値判定)するようにした。ここで、「在床圧電センサ値」の閾値判定を、「在床静電センサ値」の閾値判定より先に行う理由について簡単に説明する。
【0054】
まず、「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」の組み合わせパターンについて考える。「在床圧電センサ値」については、上限下限値範囲内と上限下限値範囲外の2パターンがあり、「在床静電センサ値」については、下限値以上と下限値未満の2パターンがある。この為、「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」の組み合わせパターンは、2×2の4パターンとなる。
【0055】
ここで、これら4パターンについてそれぞれ個別に閾値判定してバイタルデータの正当性を判定するようにした場合、図5に示したバイタル正当性判定方法よりも、閾値判定ステップが増えてしまい、ロジックが複雑になる。つまり、上述したバイタル正当性判定方法では、「在床圧電センサ値」の閾値判定を、「在床静電センサ値」の閾値判定より先に行うことで、ロジックを簡易化するようになっている。
【0056】
そのうえで、「在床圧電センサ値」の閾値判定を、「在床静電センサ値」の閾値判定より先に行うようにすると、利用者の姿勢状態が在床である場合に、少なくとも「在床圧電センサ値」の閾値判定(ステップSP10)については必ず実行されることになる。ここで、「在床圧電センサ値」の閾値判定は、ベッドに寝ている利用者の姿勢状態が、大きく動くことなく姿勢が安定した状態であるか否かを判定する処理である為、「在床圧電センサ値」の閾値判定を必ず実行するということは、利用者の姿勢状態が大きく動くことなく姿勢が安定した状態であるか否かを必ず判定することを意味する。
【0057】
こうすることで、図5に示したフローチャートには記載していないが、例えば、データ判定部23によって、絶対安静の利用者の姿勢状態が、動きが大きく姿勢が安定していない状態であると所定回数連続して判定された場合に、ベッド上の利用者の動きに異常があるとして、利用者を確認するよう通知する為の画面データを画面表示部24が生成して、表示端末30に表示させるようなことが可能となる。
【0058】
つまり、上述したバイタル正当性判定方法では、「在床圧電センサ値」の閾値判定(つまり「在床圧電センサ値」を用いた利用者の姿勢状態判定)を、「在床静電センサ値」の閾値判定(つまり「在床静電センサ値」を用いた利用者の姿勢状態判定)より先に行うことで、ロジックを簡易化することに加えて、ベッド上の利用者の動きに異常があるか否かを監視できるようになっている。
【0059】
尚、例えば、ロジックの簡易化及びベッド上の利用者の動きの監視が必要ない場合、「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」の4つの組み合わせパターンについて、それぞれ個別に閾値判定してバイタルデータの正当性を判定するようにしてもよい。
【0060】
[3.バイタルデータの表示方法]
つづけて、上述したバイタル正当性判定方法によって生成された判定後データJDに基づいて、当該判定後データJDに含まれるバイタルデータを表示端末30に表示するバイタル表示方法について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0061】
離床センササーバ20の画面表示部24は、通信部21を介して、表示端末30から、画面データの要求を受けると、ステップSP20において、データベースDBの判定後データテーブルJTから最新の判定後データJDを読み出して、当該判定後データJDの「正当性フラグ」を確認する。尚、判定後データテーブルJTに、端末IDが異なる複数の判定後データJDが記録されている場合には、端末IDごとに、最新の判定後データJDを読み出すようにすればよい。
【0062】
つづくステップSP21において、画面表示部24は、判定後データJDの「正当性フラグ」が1であるか否か(つまり正当であるか否か)を確認する。ここで、「正当性フラグ」が2であった場合、このことは、判定後データJDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)が無効であり、判定後データJDに含まれるバイタルデータとしての「心拍数」と「呼吸数」はともにマイナス1となっていることを意味する。
【0063】
この場合、画面表示部24は、ステップSP21で否定結果を得て、ステップSP22に移る。ステップSP22において、画面表示部24は、判定後データJDに含まれるバイタルデータを無効データ(マイナス1)として表示する為の画面データを作成して、次のステップSP23に移る。尚、このときの画面データは、例えば、判定後データJDと、バイタルデータが無効であることを示す文字情報(例えば「バイタル無効」)とを含んだデータとなっている。ステップSP23において、画面表示部24は、作成した画面データを、通信部21を介して、表示端末30に送信することにより、表示端末30に表示させる。この結果、表示端末30には、例えば、バイタルデータが無効であることを示す文字情報とともに、判定後データJD(心拍数と呼吸数はマイナス1)が表示される。
【0064】
これに対して、判定後データJDの「正当性フラグ」が1であった場合、このことは、判定後データJDに含まれるバイタルデータ(心拍数と呼吸数)は正当性があり、判定後データJDに含まれるバイタルデータとしての「心拍数」と「呼吸数」はともにマイナス1以外の数値となっていることを意味する。
【0065】
この場合、画面表示部24は、ステップSP21で肯定結果を得て、ステップSP24に移る。ステップSP24において、画面表示部24は、判定後データJDの「心拍数」と、当該判定後データJDと端末IDにより紐付けられた利用者プロファイルUPに記述された心拍数の上限値及び下限値とをチェックする。また画面表示部24は、判定後データJDの「呼吸数」と、当該判定後データJDと端末IDにより紐付けられた利用者プロファイルUPに記述された呼吸数の上限値及び下限値とをチェックする。
【0066】
つづくステップSP25において、画面表示部24は、判定後データJDの「心拍数」と「呼吸数」の両方が、利用者プロファイルUPに記述されたそれぞれの上限値から下限値までの範囲内に収まっているか否かを判定する。
【0067】
ここで、判定後データJDの「心拍数」と「呼吸数」の両方が、利用者プロファイルUPに記述されたそれぞれの上限値から下限値までの範囲内に収まっている場合、このことは、判定後データJDに含まれるバイタルデータが、利用者にとって正常な数値であることを意味する。
【0068】
この場合、画面表示部24は、ステップSP25で肯定結果を得て、ステップSP26に移る。ステップSP26において、画面表示部24は、判定後データJDに含まれるバイタルデータを正常データとして表示する為の画面データを作成して、次のステップSP23に移る。尚、このときの画面データは、例えば、判定後データJDと、バイタルデータが正常であることを示す文字情報(例えば「バイタル正常」)とを含んだデータとなっている。ステップSP23において、画面表示部24は、作成した画面データを、通信部21を介して、表示端末30に送信することにより、表示端末30に表示させる。この結果、表示端末30には、例えば、バイタルデータが正常であることを示す文字情報とともに、判定後データJDが表示される。
【0069】
これに対して、判定後データJDの「心拍数」と「呼吸数」の少なくとも一方が、利用者プロファイルUPに記述されたそれぞれの上限値から下限値までの範囲内に収まっていない場合、このことは、判定後データJDに含まれるバイタルデータが、利用者にとって異常な数値であることを意味する。
【0070】
この場合、画面表示部24は、ステップSP25で否定結果を得て、ステップSP27に移る。ステップSP27において、画面表示部24は、判定後データJDに含まれるバイタルデータを異常データとして表示する為の画面データを作成して、次のステップSP23に移る。尚、このときの画面データは、例えば、判定後データJDと、バイタルデータが異常であることを示す文字情報(例えば「バイタル異常、要確認!」)とを含んだデータとなっている。ステップSP23において、画面表示部24は、作成した画面データを、通信部21を介して、表示端末30に送信することにより、表示端末30に表示させる。この結果、表示端末30には、例えば、バイタルデータが異常であることを示す文字情報とともに、判定後データJDが表示される。
【0071】
尚、本実施の形態では、一例として、判定後データJDとともに、バイタルデータが無効であるか、正常であるか、異常であるかを示す文字情報を、表示端末30に表示するようにしたが、これに限らず、要は、バイタルデータが無効であるか、正常であるか、異常であるかが一目でわかる形態(無効なバイタルデータはマイナス1表示、正常なバイタルデータは黒色表示、異常なバイタルデータは赤色表示など)で、バイタルデータを、表示端末30に表示するようになっていればよい。またこれに限らず、例えば、異常なバイタルデータのみを表示するなどしてもよい。バイタル表示方法の説明は以上である。
【0072】
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態の介護支援システム1では、離床センサ端末10に、バイタル計測部及び姿勢状態情報生成部としての波形解析部14を設け、波形解析部14が、バイタルセンサ13の出力をもとにバイタルデータとしての「心拍数」と「呼吸数」を計測するとともに、在床センサ11の出力と端座位センサ12の出力をもとに、バイタルデータが計測された際の利用者の姿勢状態を示す姿勢状態情報としての「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ」を生成するようにした。
【0073】
さらに離床センササーバ20に、バイタルデータ取得部及び姿勢状態情報取得部としての通信部21と、データ判定部23を設け、通信部21が、利用者から計測されたバイタルデータとしての「心拍数」及び「呼吸数」と、姿勢状態情報としての「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」とを含んだセンサデータSDを、離床センサ端末10から取得し、データ判定部23が、通信部21により取得された姿勢状態情報としての「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」に基づいて、通信部21により取得されたバイタルデータの正当性を判定するようにした。
【0074】
こうすることで、離床センササーバ20は、利用者から計測されたバイタルデータを、正しく計測されたデータ(正当なバイタルデータ)とそうでないデータ(無効なバイタルデータ)とに区別することができ、正しく計測されたデータとして区別したバイタルデータについて、正当性を担保できるようになる。
【0075】
これにより、本実施の形態の介護支援システム1では、利用者から計測されたバイタルデータを、正しく計測されたデータであるか否か区別した状態で、表示端末30に表示することができ、介護職員が、表示端末30に表示されたバイタルデータの正当性を容易に確認することができる。
【0076】
この結果、例えば、正しく計測されてない為に異常な値を示しているバイタルデータを介護職員が見て利用者の居室に確認しに行くような無駄な業務を減らすことができ、従来と比較して、介護職員が効率よく業務を行うことができるようになる。またこのように効率よく業務を行うことができるようになることで、介護職員は、バイタルデータが異常な値を示していて直ちに確認が必要な利用者を見逃すことなく、適切に介護することができるようになる。
【0077】
かくして、本実施の形態の介護支援システム1では、介護職員の数が少なくなる時間帯(例えば夜勤時)でも、利用者の安全性を確保することができ、且つ介護職員にかかる負担を軽減することができる。
【0078】
さらに本実施の形態の離床センササーバ20は、データ判定部23が、離床センサ端末10から受信したセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」(つまり離床センサ端末10側で判定された「姿勢状態」)をもとに、バイタルデータが計測された際の利用者の姿勢状態が在床(ベッドに寝ている状態)であると確認した後、さらに当該センサデータSDに含まれる、「姿勢状態」の判定に用いられた「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」をもとに、バイタルデータが計測された際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態(つまり利用者が大きく動くことなく安定した姿勢でベッドに寝ていて利用者の体にベッドが密着している状態)であるか否か判定し、この判定結果をもとに、バイタルデータの正当性を判定するようにした。
【0079】
こうすることで、離床センササーバ20のデータ判定部23は、例えば、離床センサ端末10から受信したセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」のみで、利用者の姿勢状態を判定する場合と比較して、より正確に利用者の姿勢状態を判定することができ、バイタルデータの正当性をより正確に判定することができる。
【0080】
さらに本実施の形態の離床センササーバ20のデータ判定部23は、バイタルデータの正当性を判定する際に、「在床圧電センサ値」を用いて利用者の姿勢状態を判定した後、「在床静電センサ値」を用いて利用者の姿勢状態を判定するようにした。これにより、離床センササーバ20のデータ判定部23は、バイタルデータの正当性を判定する為のロジックを簡易化できるとともに、ベッド上の利用者の動きに異常があるか否かを監視できる。
【0081】
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、離床センササーバ20のデータ判定部23が、センサデータSDに含まれる姿勢状態情報としての「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」をもとに、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定するようにした。
【0082】
ここで、例えば、離床センサ端末10に、利用者のベッド周辺を撮影する画像センサとしてのカメラを接続し、このカメラで撮影した画像データを、離床センサ端末10の通信部15が、センサデータSDとともに、離床センササーバ20に送信するようにする。そして、離床センササーバ20のデータ判定部23が、例えば、センサデータSDに含まれる「姿勢状態」と、カメラで撮影された画像データとをもとに、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0083】
この場合、例えば、離床センササーバ20のセンサデータ記録部22に、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態で利用者がベッドに寝ているときに実際にカメラで撮影した画像データを基準画像データとして、利用者ごとに登録しておく。そして、離床センササーバ20のデータ判定部23は、離床センサ端末10から受信した画像データと、センサデータ記録部22に登録されている基準画像データとを比較して、これらの類似度が所定値以上となる場合に、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であると判定するようにすればよい。
【0084】
またこれに限らず、センサデータSDに含まれる「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」と、カメラで撮影された画像データの4つの姿勢状態情報のうちのいくつかを用いて、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、センサデータSDに含まれる「在床圧電センサ値」と「在床静電センサ値」のみを用いて、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、例えば、図5に示すフローチャートから、ステップSP4~SP6を省略すればよい。
【0085】
さらにこれに限らず、センサデータSDに含まれる「姿勢状態」、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」と、カメラで撮影された画像データ以外にも、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態を確認できる情報があれば、その情報をセンサなどから離床センササーバ20が取得して利用者の姿勢状態判定に用いてもよい。尚、上述した実施の形態では、「在床圧電センサ値」及び「在床静電センサ値」について、在床センサ11により定期的に出力されるセンサ値の波形から一定時間ごとに抽出されたセンサ値であるとしたが、一定時間ごとに抽出されるセンサ値としては、ある時点のセンサ値や、一定時間内に得られたセンサ値の最大値、最小値、あるいは平均値などであればよい。
【0086】
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、離床センササーバ20のデータ判定部23が、ステップSP4で、受信したセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」が端座位または離床であると確認した場合に、当該「姿勢状態」と、センサデータ記録部22に蓄積されている、直近(例えば過去数分以内)のセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」とをもとに、ステップSP6で、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、在床、端座位及び離床のどれであるか判定するようにした。これに限らず、例えば、ステップSP4を省略して、最初から、受信したセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」と、センサデータ記録部22に蓄積されている、直近(例えば過去数分以内)のセンサデータSDに含まれる「姿勢状態」とをもとに、バイタルデータを計測した際の利用者の姿勢状態が、在床、端座位及び離床のどれであるか判定するようにしてもよい。
【0087】
さらに上述した実施の形態では、離床センサ端末10の波形解析部14が、在床センサ11のセンサ値と端座位センサ12のセンサ値とをもとに、利用者の姿勢状態を判定して、これをセンサデータSDに含めて離床センササーバ20に送信するようにした。これに限らず、在床センサ11のセンサ値と端座位センサ12のセンサ値を、センサデータSDに含めて離床センササーバ20に送信し、離床センササーバ20のデータ判定部23が、センサデータSDに含まれる在床センサ11のセンサ値と端座位センサ12のセンサ値をもとに、利用者の姿勢状態(在床、端座位、離床)を判定するようにしてもよい。またこれに限らず、離床センサ端末10の機能を離床センササーバ20に持たせるとともに、在床センサ11と端座位センサ12とバイタルセンサ13のそれぞれに通信機能を持たせ、それぞれから出力されるセンサ値を、離床センササーバ20が通信部21で取得するなどしてもよい。
【0088】
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、離床センササーバ20の画面表示部24により作成された、利用者から計測されたバイタルデータを表示する為の画面データを、介護職員室などに設置された表示端末30に送信して表示させるようにした。これに限らず、当該画面データを、例えば、各介護職員が所持するスマートフォンなどの携帯端末に送信して、利用者から計測されたバイタルデータを各介護職員が携帯端末上で確認できるようにしてもよい。
【0089】
[5-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、本発明を情報処理システムとしての介護支援システム1に適用し、バイタルデータを計測した際の利用者のベッド上の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定し、この判定結果をもとに、バイタルデータの正当性を判定するようにした。これに限らず、例えば、本発明を、運転中の利用者のバイタルデータを計測する運転支援システムに適用し、バイタルデータを計測した際の利用者の運転席上の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定し、この判定結果をもとに、バイタルデータの正当性を判定するようにしてもよい。またこれに限らず、例えば、本発明を、デスクワーク中の利用者のバイタルデータを計測する業務支援システムに適用し、バイタルデータを計測した際の利用者の座席上の姿勢状態が、バイタルデータを計測するときの正しい姿勢状態であるか否かを判定し、この判定結果をもとに、バイタルデータの正当性を判定するようにしてもよい。さらにこれに限らず、本発明は、例えばベッド、座席、椅子などの支持部に支持されている状態の利用者からバイタルデータを計測する様々なシステムや装置に適用することができる。
【0090】
[5-5.他の実施の形態5]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、利用者(対象者)からバイタルデータを計測する様々なシステムや装置で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1……介護支援システム、10……離床センサ端末、11……在床センサ、12……端座位センサ、13……バイタルセンサ、11A、12A、13A……圧電センサ、11B、12B、13B……静電センサ、14……波形解析部、15……通信部、20……離床センササーバ、21……通信部、22……センサデータ記録部、23……データ判定部、24……画面表示部、30……表示端末、40……WIFIルータ、NT……ネットワーク、SD……センサデータ、JD……判定後データ、UP……利用者プロファイル、TH……センサ閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6