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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20231205BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20231205BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231205BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
G09F9/30 338
G09F9/30 336
G09F9/35
G09F9/30 348A
H01L29/78 619B
H01L29/78 613Z
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020127095
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024475
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 陽平
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 洋一
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/074060(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3197989(JP,U)
【文献】特開2006-171136(JP,A)
【文献】特開2001-356371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/1343
G09F 9/30
G09F 9/35
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体と、
画素電極と、
前記基板本体と前記画素電極との間の層で第1方向に延在する遮光性の第1走査線と、
前記第1走査線と前記画素電極との間の層で前記第1走査線と平面視で重なるように前
記第1方向に延在する半導体膜、および前記画素電極の側から前記半導体膜にゲート絶縁
膜を介して重なるゲート電極を有するトランジスターと、
前記ゲート電極と前記画素電極との間の層で前記第1方向と交差する第2方向に延在す
るデータ線と、
前記ゲート電極と平面視で重なる第1コンタクト部と、
前記半導体膜の側方で前記半導体膜に沿って前記第1方向に延在する部分を含み、前記
第1走査線と平面視で重なる第2コンタクト部と、
前記データ線および前記画素電極の一方と前記半導体膜とを前記第1走査線と平面視で
重なる位置で電気的に接続するための第3コンタクト部と、
前記ゲート電極と前記画素電極との間の層で前記第3コンタクト部から前記第2方向に
離間する位置を通って前記第1走査線と平面視で重なるように前記第1方向に延在し、前
記第1コンタクト部を介して前記ゲート電極と電気的に接続するとともに、前記第2コン
タクト部を介して前記第1走査線と電気的に接続する遮光性の第2走査線と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記半導体膜は、前記ゲート電極と平面視で重なるチャネル領域と、前記チャネル領域
から前記第1方向の一方側に離間し、前記データ線が電気的に接続された第1領域と、前
記チャネル領域と前記第1領域との間に設けられ、前記第1領域より不純物濃度が低い第
1低濃度領域と、前記チャネル領域から前記第1方向の他方側に離間し、前記画素電極が
電気的に接続された第2領域と、前記チャネル領域と前記第2領域との間に設けられ、前
記第2領域より不純物濃度が低い第2低濃度領域と、を有し、
前記第2コンタクト部は、前記半導体膜の側方の両側のうちの少なくとも一方側で前記
第2低濃度領域に沿って延在する部分を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気光学装置において、
前記第2コンタクト部は、前記半導体膜の側方の両側で前記第2低濃度領域に沿って延
在する部分を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第2走査線は、前記第1コンタクト部で前記ゲート電極を介して前記半導体膜と交
差するように延在していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記データ線および前記画素電極の他方と前記半導体膜とを前記第1走査線と平面視で
重なる位置で電気的に接続するための第4コンタクト部を備え、
前記第2走査線は、前記第3コンタクト部および前記第4コンタクト部から前記第2方
向に離間する位置を通って前記第1方向に延在していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部とは平面視で繋がっていることを特徴と
する電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第2走査線と前記画素電極との間の層には前記半導体膜と平面視で重なる容量素子
が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第2走査線と前記画素電極との間の層には前記半導体膜と平面視で重なる遮光部材
が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の電気光学装置において、
前記第1走査線と前記半導体膜との間の層に設けられた第1層間絶縁膜と、
前記ゲート電極および前記ゲート絶縁膜を覆う第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜を覆う第3層間絶縁膜と、
を備え、
前記第1コンタクト部は、前記第2層間絶縁膜を貫通し、
前記第2コンタクト部は、前記第1層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜を貫通してい
ることを特徴とすることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置において、
前記第1走査線と平面視で重なるように延在して前記第1コンタクト部および前記第2
コンタクト部を構成する溝が形成され、
前記第2走査線は、前記溝の内壁を覆うように形成されていることを特徴とする電気光
学装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気光学装置において、
前記溝は、前記第1走査線に対応して、前記第1方向で全体が繋がっていることを特徴
とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項8に記載の電気光学装置において、
前記第1走査線と前記半導体膜との間の層に設けられた第1層間絶縁膜と、
前記ゲート電極および前記ゲート絶縁膜を覆う第2層間絶縁膜と、
を備え、
前記第2コンタクト部は、前記第1層間絶縁膜を貫通し、
前記第2走査線は、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜との間で延在しているこ
とを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項1から12までの何れか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電
子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスターに電気的に接続された走査線を備えた電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投射型表示装置のライトバルブ等として用いられる電気光学装置では、走査線から供給される走査信号によって複数のトランジスターを制御することによって、データ線から画素電極への画像信号の書き込みを制御する。従って、1本の走査線には複数のトランジスターが電気的に接続されていることから、電気光学装置の高解像度化等を実現するには、走査線の時定数を低減する必要がある。それには、配線の多層化によって走査線の低抵抗化を図ることが効果的である。例えば、半導体膜より下層側の走査線と、半導体膜より上層側の走査線とを絶縁膜を介して重ね、絶縁膜に設けたコンタクトホールを介して下層側の走査線と上層側の走査線とを電気的に接続する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-321540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、走査線と同一方向に延在する半導体膜を走査線と平面視で重ならないように形成してあるため、光リーク電流の原因となる半導体膜への光の入射を走査線によって遮断することが困難となる。一方、下層側の走査線と上層側の走査線との間に半導体膜を設けると、半導体膜とデータ線との電気的な接続、あるいは半導体膜と画素電極との電気的な接続が困難となる。それ故、特許文献1に記載の構造では、走査線の多層化と、光リーク電流の抑制とを実現することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置の一態様は、基板本体と、画素
電極と、前記基板本体と前記画素電極との間の層で第1方向に延在する遮光性の第1走査
線と、前記第1走査線と前記画素電極との間の層で前記第1走査線と平面視で重なるよう
に前記第1方向に延在する半導体膜、および前記画素電極の側から前記半導体膜にゲート
絶縁膜を介して重なるゲート電極を有するトランジスターと、前記ゲート電極と前記画素
電極との間の層で前記第1方向と交差する第2方向に延在するデータ線と、前記ゲート電
極と平面視で重なる第1コンタクト部と、前記半導体膜の側方で前記半導体膜に沿って前
記第1方向に延在する部分を含み、前記第1走査線と平面視で重なる第2コンタクト部と
、前記データ線および前記画素電極の一方と前記半導体膜とを前記第1走査線と平面視で
重なる位置で電気的に接続するための第3コンタクト部と、前記ゲート電極と前記画素電
極との間の層で前記第3コンタクト部から前記第2方向に離間する位置を通って前記第1
走査線と平面視で重なるように前記第1方向に延在し、前記第1コンタクト部を介して
記ゲート電極と電気的に接続するとともに、前記第2コンタクト部を介して前記第1走査
線と電気的に接続する遮光性の第2走査線と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明を適用した電気光学装置は各種電子機器に用いられる。本発明において、電子機器が投射型表示装置である場合、投射型表示装置には、電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係る電気光学装置の平面図。
図2図1に示す電気光学装置の断面図。
図3図1に示す電気光学装置において隣り合う複数の画素の平面図。
図4図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図。
図5図4のA1-A1′断面図。
図6図4のB1-B1′断面図。
図7図4のC1-C1′断面図。
図8図4に示す第1走査線、半導体膜、ゲート電極、および第2走査線等の平面図。
図9図4に示す第1容量電極および第2容量電極等の平面図。
図10図4に示すデータ線および容量線等の平面図。
図11】本発明の実施形態2に係る電気光学装置の平面図。
図12図11のC2-C2′断面図。
図13】本発明の実施形態3に係る電気光学装置の平面図。
図14図13のB3-B3′断面図。
図15】本発明の実施形態4に係る電気光学装置の説明図。
図16】本発明の実施形態5に係る電気光学装置の説明図。
図17】本発明の実施形態6に係る電気光学装置の説明図。
図18】本発明を適用した電気光学装置を用いた投射型表示装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明において、第1基板10に形成した各層を説明する際、上層側あるいは表面側とは電気光学層80が位置する側を意味し、下層側とは基板本体19が位置する側を意味する。また、第1基板10の面内方向で交差する2方向のうち、第1走査線1aが延在する方向を第1方向Xとし、データ線6aが延在する方向を第2方向Yとする。また、第1方向Xに沿う方向の一方側を第1方向Xの一方側X1とし、第1方向Xに沿う方向の他方側を第1方向Xの他方側X2とし、第2方向Yに沿う方向の一方側を第2方向Yの一方側Y1とし、第2方向Yに沿う方向の他方側を第2方向Yの他方側Y2とする。
【0009】
[実施形態1]
1.電気光学装置100の全体構成
図1は、本発明の実施形態1に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100の断面図である。図1および図2に示すように、電気光学装置100では、第1基板10と、第2基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、第1基板10と第2基板20とが対向している。シール材107は第2基板20の外縁に沿うように枠状に設けられており、第1基板10と第2基板20との間でシール材107によって囲まれた領域に液晶層等の電気光学層80が配置されている。シール材107は、光硬化性を備えた接着剤、あるいは光硬化性および熱硬化性を備えた接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。本形態において、第1基板10および第2基板20はいずれも四角形であり、電気光学装置100の略中央には、表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、シール材107の内周縁と表示領域10aの外周縁との間には、矩形枠状の周辺領域10bが設けられている。
【0010】
第1基板10は、石英基板やガラス基板等からなる透光性の基板本体19を備えている。基板本体19の電気光学層80側の一方面19sにおいて、表示領域10aの外側には、基板本体19の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が設けられ、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が設けられている。図示を省略するが、端子102にはフレキシブル配線基板が接続され、第1基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0011】
基板本体19の一方面19sの側において、表示領域10aには、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる透光性の複数の画素電極9aがマトリクス状に形成されている。画素電極9aの電気光学層80側には第1配向膜16が形成されており、画素電極9aは、第1配向膜16によって覆われている。従って、基板本体19から第1配向膜16までが第1基板10に相当する。
【0012】
第2基板20は、石英基板やガラス基板等からなる透光性の基板本体29を備えている。基板本体29において電気光学層80側の一方面29sには、ITO膜等からなる透光性の共通電極21が形成されており、共通電極21の第1基板10側には第2配向膜26が形成されている。従って、基板本体29から第2配向膜26までが第2基板20に相当する。共通電極21は、第2基板20の略全面に形成されており、第2配向膜26によって覆われている。第2基板20には、基板本体29と共通電極21との間に樹脂、金属または金属化合物からなる遮光性の遮光膜27が形成され、遮光膜27と共通電極21との間に透光性の保護層28が形成されている。遮光膜27は、例えば、表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁状の見切り27aとして形成されている。遮光膜27は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた領域と平面視で重なる領域にブラックマトリクスを構成する遮光膜27bとしても形成されている。第1基板10の周辺領域10bのうち、見切り27aと平面視で重なる領域には、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。なお、第2基板20において画素電極9aと対向する位置にレンズが設けられることがあり、この場合、遮光膜27bが形成されないことが多い。
【0013】
第1配向膜16および第2配向膜26は、例えば、SiOx(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al2O3等の斜方蒸着膜からなる無機配向膜であり、電気光学層80に用いた負の誘電率異方性を備えた液晶分子を傾斜配向させている。このため、液晶分子は、第1基板10および第2基板20に対して所定の角度を成している。このようにして、電気光学装置100は、VA(Vertical Alignment)モードの液晶装置として構成されている。
【0014】
第1基板10には、シール材107より外側に、第1基板10と第2基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通用電極109が形成されている。基板間導通用電極109には、導電粒子を含んだ基板間導通材109aが配置されており、第2基板20の共通電極21は、基板間導通材109aおよび基板間導通用電極109を介して、第1基板10に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、第1基板10の側から共通電位が印加される。
【0015】
本形態の電気光学装置100は、画素電極9aおよび共通電極21がITO膜等の透光性導電膜により形成されており、電気光学装置100は、透過型液晶装置として構成されている。かかる電気光学装置100では、第1基板10および第2基板20のうち、一方側の基板から電気光学層80に入射した光が他方側の基板を透過して出射される間に変調されて画像を表示する。本実施形態では、矢印Lで示すように、第2基板20から入射した光が第1基板10を透過して出射される間に電気光学層80によって画素毎に変調され、画像を表示する。
【0016】
2.画素の概略構成
図3は、図1に示す電気光学装置100において隣り合う複数の画素の平面図である。図4は、図3に示す画素の1つを拡大して示す平面図であり、図4には、トランジスター30付近を拡大して示してある。図5は、図4のA1-A1′断面図である。図6は、図4のB1-B1′断面図である。図7は、図4のC1-C1′断面図である。図5図6、および図7には、A1-A1′線、B1-B1′線、およびC1-C1′線に沿って電気光学装置100を切断した様子を模式的に示してある。図3図4、および後述する図8図10では、各層を以下の線で表してある。また、図3図4、および後述する図8図10では、互いの端部が平面視で重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。また、溝41gを右上がりの斜線を付した領域で示してある。
第1走査線1a=太い一点鎖線
半導体膜31a=細くて短い破線
ゲート電極8a=細い実線
第2走査線2a=太い実線
第1容量電極4a=細くて長い破線
第2容量電極5a=細い一点鎖線
データ線6aおよび中継電極6b、6c=太くて長い破線
容量線7aおよび中継電極7b=太い二点鎖線
画素電極9a=太くて短い破線
【0017】
図3および図4に示すように、第1基板10において第2基板20と対向する面には、複数の画素の各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域に沿って第1走査線1a、データ線6a、および容量線7aが延在している。第1走査線1aは、画素間領域において第1方向Xに延在し、データ線6aは、画素間領域において第2方向Yに延在している。容量線7aは、画素間領域において第1方向Xおよび第2方向Yに沿って延在している。また、データ線6aと第1走査線1aとの交差に対応してトランジスター30が形成されている。第1走査線1a、データ線6a、および容量線7aは、遮光性を有している。従って、第1走査線1a、データ線6a、容量線7a、およびこれらの配線と同層の電極が形成された領域は、光が通過しない遮光領域18であり、遮光領域18で囲まれた領域は、光が透過する開口領域17である。
【0018】
図5図6および図7に示すように、第1基板10において、基板本体19と画素電極9aとの間には、層間絶縁膜49、41、42、43、44、45が基板本体19の側から順に積層されている。層間絶縁膜49、41、42、43、44、45は各々、シリコン酸化膜等の透光性の絶縁膜である。本形態において、層間絶縁膜41、43、44、45の画素電極9a側の面は、化学的機械研磨等によって連続した平面になっている。
【0019】
本形態では、層間絶縁膜49、41、42、43、44、45のうち、層間絶縁膜49が本発明における「第1層間絶縁膜」であり、層間絶縁膜41が本発明における「第2層間絶縁膜」であり、層間絶縁膜42が本発明における「第3層間絶縁膜」であり、層間絶縁膜41は、ゲート電極8aの一部、およびゲート絶縁膜32を覆う。
【0020】
3.各層の概略説明
図5図6および図7を参照するとともに、以下の図8図10を適宜、参照して、第1基板10の詳細構成を説明する。図8は、図4に示す第1走査線1a、半導体膜31a、ゲート電極8a、および第2走査線2a等の平面図である。図9は、図4に示す第1容量電極4aおよび第2容量電極5a等の平面図である。図10は、図4に示すデータ線6aおよび容量線7a等の平面図である。図8図10には、それらの図に示す電極等の電気的な接続に関連するコンタクトホールを示すとともに、基準となる位置を示すために半導体膜31aおよび画素電極9aを示してある。
【0021】
図5図6および図7に示すように、基板本体19と画素電極9aとの間において、基板本体19と層間絶縁膜49との間の層には遮光性の第1走査線1aが形成されている。第1走査線1aは、例えば、チタン、クロム、タングステン、タンタル、モリブデン、パラジウム等の遷移金属、または遷移金属のシリサイド化合物によって構成された遮光膜を含んでいる。本形態において、第1走査線1aは、タングステンシリサイドからなる。
【0022】
基板本体19と画素電極9aとの間において、層間絶縁膜49と層間絶縁膜41との間の層には、画素スイッチング用のトランジスター30が設けられている。トランジスター30は、第1走査線1aと画素電極9aとの間において層間絶縁膜49の基板本体19とは反対側の面に形成された半導体膜31aと、半導体膜31aを画素電極9a側から覆うゲート絶縁膜32と、画素電極9aの側からゲート絶縁膜32を介して半導体膜31aの一部と平面視で重なるゲート電極8aとを備えている。半導体膜31aはポリシリコン膜によって構成されている。ゲート絶縁膜32は、半導体膜31aを熱酸化したシリコン酸化膜を含む第1ゲート絶縁膜32aと、減圧CVD法等により形成されたシリコン酸化膜を含む第2ゲート絶縁膜32bとの2層構造を含む。ゲート電極8aは、例えば、導電性ポリシリコン膜、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、タンタル、モリブデン、およびパラジウム等の導電膜によって構成された層を含んでいる。本形態において、ゲート電極8aは、導電性ポリシリコン膜からなる。
【0023】
ゲート電極8aと画素電極9aとの間において、ゲート電極8aと層間絶縁膜42との間の層には、第1方向Xに沿って延在する遮光性の第2走査線2aが形成されている。第2走査線2aは、後述するように、ゲート電極8aおよび第1走査線1aと電気的に接続している。第2走査線2aは、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、タンタル、モリブデン、パラジウム等の遮光性の金属、または遮光性の金属化合物によって構成された遮光膜を含んでいる。本形態において、第2走査線2aは、タングステンからなる。
【0024】
図8に示すように、第1走査線1aは、一定の幅寸法で第1方向Xに沿って直線的に延在している。半導体膜31aは、第1走査線1aと平面視で重なるように第1方向Xに延在している。ゲート電極8aは、半導体膜31aの長さ方向の途中部分に平面視で重なっている。半導体膜31aは、ゲート電極8aと重なるチャネル領域31cに対してデータ線6aが位置する第1方向Xの一方側X1にデータ線側ソースドレイン領域31sを有している。データ線側ソースドレイン領域31sは、チャネル領域31cから第1方向Xの一方側X1に離間する第1領域31tと、第1領域31tとチャネル領域31cとに挟まれた第1低濃度領域31uとを有しており、第1低濃度領域31uは、第1領域31tより不純物濃度が低い。半導体膜31aは、チャネル領域31cに対してデータ線6aと反対側である第1方向Xの他方側X2に画素電極側ソースドレイン領域31dを有している。画素電極側ソースドレイン領域31dは、チャネル領域31cから離間する第2領域31eと、第2領域31eとチャネル領域31cとに挟まれた第2低濃度領域31fとを有しており、第2低濃度領域31fは、第2領域31eより不純物濃度が低い。このようにして、トランジスター30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造の電界効果型トランジスターとして構成されている。
【0025】
第2走査線2aは、第1走査線1aと平面視で重なる領域で第1方向Xに延在し、一部はゲート電極8aと重なっている。第2走査線2aは、ゲート電極8aと平面視で重なる第1コンタクト部41g0を介してゲート電極8aに電気的に接続し、第1走査線1aと平面視で重なる第2コンタクト部41g1を介して第1走査線1aに電気的に接続している。従って、本形態の電気光学装置100では、第1走査線1aと第2走査線2aとによって多層配線の走査線が形成されている。
【0026】
本形態において、第1コンタクト部41g0および第2コンタクト部41g1は各々、第1走査線1aと平面視で重なるように第1方向Xに延在する溝41gの一部からなり、第2走査線2aは、溝41gの内壁を覆う遮光性の導電膜からなる。かかる第2走査線2aの詳細な構成は、画素の概略構成を全て説明した後、説明する。
【0027】
図5図6および図7において、第2走査線2aと画素電極9aとの間には、層間絶縁膜42と層間絶縁膜43との間の層に第1容量電極4a、誘電体層40および第2容量電極5aを有する容量素子55が設けられており、容量素子55は、画素電極9aの側から半導体膜31aに平面視で重なっている。第1容量電極4aおよび第2容量電極5aは、導電性ポリコン膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜を含む。本形態において、第1容量電極4aおよび第2容量電極5aは、導電性ポリコン膜からなる。
【0028】
図9に示すように、第1容量電極4aは、第1走査線1aおよび半導体膜31aと平面視で重なるように第1方向Xに延在する本体部4a1と、本体部4a1からデータ線6aと平面視で重なるように突出した突出部4a2とを有しており、本体部4a1の端部は、層間絶縁膜41、42およびゲート絶縁膜32を貫通するコンタクトホールからなる第3コンタクト部42aを介して、半導体膜31aの第2領域31eに電気的に接続されている。第1容量電極4aは、データ線6aと重なる半導体膜31aの端部と、平面視で重ならないように切り欠き4a3が形成されている。
【0029】
第2容量電極5aは、第1容量電極4aの本体部5a1と平面視で重なる本体部5a1と、第1容量電極4aの突出部4a2と平面視で重なる突出部5a2とを有している。従って、容量素子55は、半導体膜31aと重なるように第1方向Xに延在する第1素子部551と、データ線6aと重なるように第2方向Yに延在する第2素子部552とを有する。また、第2容量電極5aは、第1容量電極4aと同様、データ線6aと重なる半導体膜31aの端部と、平面視で重ならないように切り欠き5a3が形成されている。また、第2容量電極5aの本体部5a1の第1方向Xの他方側X2の端部には、第1容量電極4aの本体部4a1の端部と重ならないように切り欠き5a4が形成されている。
【0030】
図5図6および図7において、第2走査線2aと画素電極9aとの間には、層間絶縁膜43と層間絶縁膜44の間の層にデータ線6a、および中継電極6b、6cが設けられている。データ線6a、および中継電極6b、6cは同一の遮光性の導電膜を含む。例えば、データ線6a、および中継電極6b、6cは、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、タンタル、モリブデン、パラジウム等の遮光性の金属、または遮光性の金属化合物によって構成された遮光膜を含む。本形態において、第2走査線2aは、アルミニウム膜を含む。データ線6aは、層間絶縁膜43およびゲート絶縁膜32を貫通するコンタクトホールからなる第4コンタクト部43aを介して第1領域31tに電気的に接続されている。第4コンタクト部43aは、図9を参照して説明した第1容量電極4aの切り欠き4a3、および第2容量電極5aの切り欠き5a3に相当する部分に形成される。従って、第4コンタクト部43aと容量素子55とを離間させることができる。中継電極6bは、層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール43bを介して第1容量電極4aに電気的に接続されている。コンタクトホール43bは、図9を参照して説明した第2容量電極5aの切り欠き5a4に相当する部分に形成される。中継電極6cは、層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール43cを介して第2容量電極5aに電気的に接続されている。中継電極6cは、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成している。
【0031】
第2走査線2aと画素電極9aとの間において、層間絶縁膜44と層間絶縁膜45との間の層には容量線7a、および中継電極7bが設けられている。容量線7a、および中継電極7bは同一の遮光性の導電膜を含む。例えば、容量線7a、および中継電極7bは、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、タンタル、モリブデン、パラジウム等の遮光性の金属、または遮光性の金属化合物によって構成された遮光膜を含む。本形態において、容量線7a、および中継電極7bは、アルミニウム膜を含む。容量線7aは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44cを介して中継電極6cに電気的に接続されている。従って、第2容量電極5aには、容量線7aから共通電位が印加される。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44bを介して中継電極6bに電気的に接続されている。また、容量線7aは、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成している。
【0032】
図10に示すように、容量線7aにおいて、第1方向Xに延在する部分には切り欠き7b3が形成されており、切り欠き7b3の内側に中継電極7bが形成されている。容量線7aは、画素電極9aの側から半導体膜31aに平面視で重なっている。
【0033】
図5図6および図7において、層間絶縁膜45には、コンタクトホール45aが設けられており、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して中継電極7bに電気的に接続されている。従って、画素電極9aは、中継電極7b、6bおよび第1容量電極4aを介して画素電極側ソースドレイン領域31dに電気的に接続されている。
【0034】
4.第2走査線2a等の詳細説明
図5図6図7、および図8に示すように、本形態の電気光学装置100において、第1走査線1aと平面視で重なる位置には、データ線6aおよび画素電極9aのうちの一方と半導体膜31aとを電気的に接続する第3コンタクト部42aが設けられている。本形態では、半導体膜31aの全体が第1走査線1aと平面視で重なっているため、第1走査線1aと平面視で重なる位置には、第3コンタクト部42aに加えて、データ線6aおよび画素電極9aのうちの他方と半導体膜31aとを電気的に接続する第4コンタクト部43aも設けられている。例えば、半導体膜31aにおいて、第2領域31eの第1方向Xの他方側X2の端部は第2方向Yの他方側Y2に屈曲しており、かかる端部と平面視で重なる位置に第2領域31eと画素電極9aとを電気的に接続するためのコンタクトホールからなる第3コンタクト部42aが設けられている。また、半導体膜31aにおいて、第1領域31tの第1方向Xの一方側X1の端部は第2方向Yの一方側Y1に屈曲しており、かかる端部と平面視で重なる位置に第1領域31tとデータ線6aとを電気的に接続するためのコンタクトホールからなる第4コンタクト部43aが設けられている。
【0035】
従って、本形態では、層間絶縁膜41と層間絶縁膜42との間の層において、第1走査線1aと平面視で重なる領域で第2走査線2aを第1方向Xに延在させるにあたって、第2走査線2aを第3コンタクト部42aおよび第4コンタクト部43aから第2方向Yで離間する位置を通って第1方向Xに延在させてある。
【0036】
また、第3コンタクト部42aは、第1走査線1aの幅方向の中央から第2方向Yの他方側Y2に偏った位置に設けられており、第4コンタクト部43aは、第1走査線1aの幅方向の中央から第2方向Yの一方側Y1に偏った位置に設けられている。それ故、第2走査線2aは、第1走査線1aと平面視で重なる領域において、データ線側ソースドレイン領域31sに対して第2方向Yの他方側Y2の側方で第1方向Xに延在する第1部分2a1と、第1部分2a1の第1方向Xの他方側X2の端部から第2方向Yの一方側Y1に屈曲してゲート電極8aを介して半導体膜31aと重なる第2部分2a2とを有しており、第2部分2a2は、半導体膜31aと交差している。また、第2走査線2aは、第2部分2a2の第2方向Yの一方側Y1の端部から画素電極側ソースドレイン領域31dに対して第2方向Yの一方側Y1の側方で第1方向Xに延在する第3部分2a3と、半導体膜31aと重ならない領域で第3部分2a3の第1方向Xの他方側X2の端部から第2方向Yの他方側Y2に屈曲した第4部分2a4とを有している。
【0037】
本形態では、層間絶縁膜41に第1方向Xで全体が繋がった溝41gを設けられ、層間絶縁膜41の内部に第2走査線2aが設けられている。従って、溝41gのうち、第2層間絶縁膜としての層間絶縁膜41を貫通して底部でゲート電極8aが露出している部分が第1コンタクト部41g0であり、第2走査線2aの第2部分2a2は、第1コンタクト部41g0でゲート電極8aと電気的に接続されている。また、溝41gのうち、第2層間絶縁膜としての層間絶縁膜41、ゲート絶縁膜32、および第1層間絶縁膜としての層間絶縁膜49を貫通して底部で第1走査線1aが露出している部分が第2コンタクト部41g1であり、第2走査線2aの第1部分2a1、第3部分2a3、および第4部分2a4は、第2コンタクト部41g1でゲート電極8aと電気的に接続されている。それ故、第1コンタクト部41g0と第2コンタクト部41g1とは平面視で繋がっている。また、第2走査線2aは、第1コンタクト部41g0でゲート電極8aを介して半導体膜31aと交差するように延在している。また、第3部分2a3は、第2コンタクト部41g1のうち、半導体膜31aの第2低濃度領域31fの第2方向Yの一方側Y1の側方で延在する部分41g3の内壁に沿うように形成されており、第2低濃度領域31fに対する遮光壁を構成している。
【0038】
5.電気光学装置100の製造方法
本形態の電気光学装置100の製造工程のうち、第2走査線2aの製造工程では、第1走査線1a、層間絶縁膜49、トランジスター30および層間絶縁膜41を形成した後、エッチングを行い、溝41gを形成する。ここで、層間絶縁膜41、49およびゲート絶縁膜32はシリコン酸化膜によって構成されている一方、ゲート電極8aは導電性ポリシリコン膜によって構成されていることから、層間絶縁膜41、49およびゲート絶縁膜32は、ゲート電極8aとのエッチング選択比が大きい。従って、層間絶縁膜41をエッチングして溝41gを形成する際、ゲート電極8aをエッチングストッパーとして利用することができる。また、第1走査線1aはタングステンシリサイドからなるため、層間絶縁膜41、49およびゲート絶縁膜32は、第1走査線1aとのエッチング選択比が大きい。従って、層間絶縁膜41をエッチングして溝41gを形成する際、第1走査線1aをエッチングストッパーとして利用することができる。
【0039】
また、第2走査線2aを形成するには、溝41gを埋めるように遮光性導電膜を形成した後、遮光性導電膜の表面を層間絶縁膜41の表面ととともに、化学的機械研磨等によって研磨する。従って、フォトリソグラフィ技術を利用したエッチングを行わなくても、第2走査線2aを形成することができる。
【0040】
なお、図6および図7には、第2コンタクト部41g1が第2走査線2aによって完全に埋まっていないが、第2コンタクト部41g1を第2走査線2aによって完全に埋めてもよい。
【0041】
6.本形態の主な効果
以上説明したように、本形態の電気光学装置100では、基板本体19と画素電極9aとの間の層で第1方向Xに延在する第1走査線1aと、ゲート電極8aと画素電極9aとの間の層で第1方向Xに延在する第2走査線2aとが設けられており、第2走査線2aは、第1コンタクト部41g0でゲート電極8aと電気的に接続されているとともに、第2コンタクト部41g1で第1走査線1aと電気的に接続されている。従って、多層構造によって走査線の電気的抵抗が低減されているため、走査信号を各画素に供給する際の時定数を低減することができる。それ故、電気光学装置100の高解像度化を図った際、走査信号に歪み等が発生しにくい。
【0042】
また、半導体膜31aは、第1走査線1aと平面視で重なっているため、第1基板10の側から出射された光が反射して再び、第1基板10に入射した場合でも、かかる戻り光は、第1走査線1aによって遮光される結果、半導体膜31aに入射しにくい。それ故、トランジスター30に光リーク電流が発生しにくい。
【0043】
また、第2走査線2aが半導体膜31aに完全に重なっていると、画素電極9aと半導体膜31aとを電気的に接続する第3コンタクト部42a、およびデータ線6aと半導体膜31aとを電気的に接続する第4コンタクト部43aを設けることができなくなるが、本形態において、第2走査線2aは、第3コンタクト部42a、および第4コンタクト部43aから第2方向Yに離間する位置を通って第1方向Xに延在している。従って、第2走査線2aおよび半導体膜31aを第1走査線1aと平面視で重ねることによって画素開口率を高めた場合でも、画素電極9aと半導体膜31aとの電気的な接続、およびデータ線6aと半導体膜31aとの電気的な接続を適正に行うことができる。
【0044】
また、半導体膜31aは、中継電極6cおよび容量線7aからなる遮光部材によって画素電極9aの側から覆われている。従って、電気光学層80を通過した後、第1基板10に入射した光が半導体膜31aに入射しにくい。
【0045】
また、遮光性の第2走査線2aは、第2コンタクト部41g1のうち、半導体膜31aの側方で半導体膜31aに沿って第1方向Xに延在する部分を含んでいる。特に、第2走査線2aの第3部分2a3は、第2コンタクト部41g1のうち、半導体膜31aの第2低濃度領域31fの第2方向Yの一方側Y1の側方で延在する部分41g3の内壁に沿うように形成された遮光壁を構成している。このため、電気光学層80を通過した後、第1基板10に入射した光や、戻り光が第2低濃度領域31fに入射することを第2コンタクト部41g1内の第2走査線2aによって抑制することができる。さらに、第2コンタクト部41g1は、第1層間絶縁膜としての層間絶縁膜49に加えて、ゲート電極8aと画素電極9aとの間に設けられた第2層間絶縁膜としての層間絶縁膜41を貫通しているため、第2走査線2aは、半導体膜31aを厚さ方向の広い範囲で半導体膜31aを側方から覆っている。このため、第2低濃度領域31fへの光の入射を適正に抑制することができるので、トランジスター30に光リーク電流が発生しにくい。
【0046】
[実施形態2]
図11は、本発明の実施形態2に係る電気光学装置100の平面図であり、第1走査線1a、半導体膜31a、ゲート電極8a、および第2走査線2a等の平面構成を示してある。図12は、図11のC2-C2′断面図であり、C2-C2′線に沿って電気光学装置100を切断した様子を模式的に示してある。なお、本形態、および後述する実施形態の基本的な構成は、実施形態1と同様であるため、対応する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0047】
実施形態1において、第2走査線2aは、第2コンタクト部41g1のうち、半導体膜31aの第2低濃度領域31fの第2方向Yの一方側Y1の側方で延在する部分41g3の内壁に沿うように形成された第3部分2a3を有していた。これに対して、本形態では、図11および図12に示すように、第2走査線2aは、第3部分2a3に加えて、第2コンタクト部41g1のうち、半導体膜31aの第2低濃度領域31fの第2方向Yの他方側Y2の側方で延在する部分41g5の内壁に沿うように形成された第5部分2a5を有している。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0048】
このように構成した電気光学装置100では、第2低濃度領域31fの側方の両側に第3部分2a3および第5部分2a5が設けられているため、実施形態1に係る電気光学装置100より、第2低濃度領域31fへの光の入射をより抑制することができる。従って、トランジスター30に光リーク電流が発生しにくい。
【0049】
[実施形態3]
図13は、本発明の実施形態3に係る電気光学装置100の平面図であり、第1走査線1a、半導体膜31a、ゲート電極8a、および第2走査線2a等の平面構成を示してある。図14は、図13のB3-B3′断面図であり、B3-B3′線に沿って電気光学装置100を切断した様子を模式的に示してある。実施形態1、2では、第2走査線2aの全体が溝41gの内部に設けられていた。これに対して、本形態では、図13および図14に示すように、第2走査線2aのうち、第2部分2a2、第3部分2a3、および第5部分2a5が溝41gの内部に設けられ、第1部分2a1、および第4部分2a4は、層間絶縁膜41と層間絶縁膜42の間に形成されている。かかる構成は、溝41gを形成した後、遮光性の導電膜を成膜し、しかる後に、フォトリソグラフィ技術を利用してエッチングを行うことにより、導電膜を第2走査線2aにパターニングすることによって実現することができる。本形態において、第2走査線2aはアルミニウムからなる。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0050】
このように構成した電気光学装置100でも、実施形態1に係る電気光学装置100と同様、走査線の多層化と、光リーク電流の抑制とを同時に実現することができる等の効果を奏する。
【0051】
[実施形態4]
図15は、本発明の実施形態4に係る電気光学装置100の説明図であり、実施形態1で参照した図7のC1-C1′断面図に相当する。実施形態1、2、3では、第2走査線2aの一部または全体を、層間絶縁膜41をエッチングすることにより形成した溝41gの内部に設けた。これに対して、本形態では、図15に示すように、層間絶縁膜41を設けずに、ゲート電極8aを形成した後、層間絶縁膜49をエッチングし、層間絶縁膜49を貫通する第2コンタクト部41g1を形成する。また、第2コンタクト部41g1を形成した後、遮光性の導電膜を成膜し、しかる後に、フォトリソグラフィ技術を利用してエッチングを行うことにより、導電膜を第2走査線2aにパターニングすることによって実現することができる。従って、本形態では、層間絶縁膜49、42、43、44、45のうち、層間絶縁膜49が本発明における「第1層間絶縁膜」であり、層間絶縁膜42が本発明における「第2層間絶縁膜」であり、層間絶縁膜42は、ゲート電極8aの一部、およびゲート絶縁膜32を覆う。それ故、第2コンタクト部41g1は、第1層間絶縁膜としての層間絶縁膜49を貫通し、第2走査線2aは、第1層間絶縁膜としての層間絶縁膜49と第2層間絶縁膜としての層間絶縁膜42との間で延在している。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0052】
このように構成した電気光学装置100でも、実施形態1に係る電気光学装置100と同様、走査線の多層化と、光リーク電流の抑制とを同時に実現することができる等の効果を奏する。
【0053】
[実施形態5]
図16は、本発明の実施形態5に係る電気光学装置100の説明図であり、図16には、本発明の実施形態5に係る電気光学装置の第1走査線1a、半導体膜31a、ゲート電極8a、および第2走査線2a等の平面構成を示してある。実施の形態1では、第2領域31eの第1方向Xの他方側X2の端部は第2方向Yの他方側Y2に屈曲し、第1領域31tの第1方向Xの一方側X1の端部は第2方向Yの一方側Y1に屈曲していた。これに対して、本形態では、図16に示すように、第2領域31eの第1方向Xの他方側X2の端部、および第1領域31tの第1方向Xの一方側X1の端部はいずれも、第2方向Yの同一方向に屈曲している。より具体的には、第2領域31eの第1方向Xの他方側X2の端部、および第1領域31tの第1方向Xの一方側X1の端部はいずれも、第2方向Yの一方側Y1に屈曲している。そこで、本形態では、第2走査線2aの第1部分2a1を半導体膜31aの第2方向Yの他方側Y2の側方で第1方向Xに延在させてある。また、第2走査線2aは、ゲート電極8aを介して半導体膜31aに重なる第2部分2a2、および半導体膜31aの第2低濃度領域31fの第2方向Yの一方側Y1の側方で延在する第3部分2a3を有している。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0054】
このように構成した電気光学装置100でも、実施形態1に係る電気光学装置100と同様、走査線の多層化と、光リーク電流の抑制とを同時に実現することができる等の効果を奏する。
【0055】
[実施形態6]
図17は、本発明の実施形態6に係る電気光学装置100の説明図であり、実施形態1で参照した図5のA1-A1′断面に相当する。上記の実施形態では、ゲート電極8aと第2走査線2aが別の導電膜によって構成されていた。これに対して、本形態では、図17に示すように、ゲート電極8aと第2走査線2aが同一の導電膜によって構成されていた。すなわち、半導体膜31aと重なる部分では、第2走査線2aの厚さ方向において、半導体膜31aの側に位置する部分によってゲート電極8aが構成されており、第2走査線2aの厚さ方向の途中部分が、ゲート電極8aと第2走査線2aとを電気的に接続する第1コンタクト部41g0に相当する。言い換えれば、ゲート電極8aを構成する導電膜が第1方向Xに延在し、第2走査線2aを構成している。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0056】
このように構成した電気光学装置100でも、実施形態1に係る電気光学装置100と同様、走査線の多層化と、光リーク電流の抑制とを同時に実現することができる等の効果を奏する。
【0057】
[他の実施形態]
上記実施形態では、中継電極6cおよび容量線7aによって、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成したが、中継電極6cおよび容量線7aの一方のみによって、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成してもよい。また、第1容量電極4aおよび第2容量電極5aのうちの少なくとも一方を遮光性電極とし、かかる遮光性電極によって、画素電極9aの側から半導体膜31aと平面視で重なる遮光部材を構成してもよい。
【0058】
上記実施形態では、第3コンタクト部42aおよび第4コンタクト部43aの双方が第1走査線1aに平面視で重なっていたが、第3コンタクト部42aおよび第4コンタクト部43aのうち、第3コンタクト部42aのみが第1走査線1aに平面視で重なっている場合に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、画素電極9aと半導体膜31aとを電気的に接続するコンタクトホールを第3コンタクト部42aとし、データ線6aと半導体膜31aとを電気的に接続するコンタクトホールを第4コンタクト部43aとしたが、画素電極9aと半導体膜31aとを電気的に接続するコンタクトホールを第3コンタクト部とし、データ線6aと半導体膜31aとを電気的に接続するコンタクトホールを第4コンタクト部としてもよい。
【0059】
上記実施形態では、第2基板20の側から光源光が入射する電気光学装置100を例に説明したが、第1基板10の側から光源光が入射する電気光学装置100に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、電気光学装置100が透過型液晶装置の場合を例示したが、電気光学装置100が反射型液晶装置である場合に本発明を適用してもよい。また、電気光学装置100が有機エレクトロルミネッセッス表示装置である場合に本発明を適用してもよい。
【0060】
[電子機器への搭載例]
上述した実施形態に係る電気光学装置100を用いた電子機器について説明する。図18は、本発明を適用した電気光学装置100を用いた投射型表示装置の概略構成図である。図18には、偏光板等の光学素子の図示を省略してある。図18に示す投射型表示装置2100は、電気光学装置100を用いた電子機器の一例である。投射型表示装置2100において、電気光学装置100がライトバルブとして用いられ、装置を大きくすることなく高精細で明るい表示が可能である。この図に示されるように、投射型表示装置2100の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット等からなる光源部2102が設けられている。光源部2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれ、変調される。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0061】
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に反射し、G色の光は透過する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーン2120には、投射光学系2114によってカラー画像が投射される。
【0062】
[他の投射型表示装置]
なお、投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0063】
[他の電子機器]
本発明を適用した電気光学装置100を備えた電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置2100に限定されない。例えば、投射型のヘッドアップディスプレイ、直視型のヘッドマウントディスプレイ、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1a…第1走査線、2a…第2走査線、2a1…第1部分、2a2…第2部分、2a3…第3部分、2a4…第4部分、2a5…第5部分、4a…第1容量電極、5a…第2容量電極、6a…データ線、6b、6c、7b…中継電極、7a…容量線、8a…ゲート電極、9a…画素電極、10…第1基板、10a…表示領域、17…開口領域、18…遮光領域、19、29…基板本体、20…第2基板、21…共通電極、30…トランジスター、31a…半導体膜、31c…チャネル領域、31d…画素電極側ソースドレイン領域、31e…第2領域、31f…第2低濃度領域、31s…データ線側ソースドレイン領域、31t…第1領域、31u…第1低濃度領域、32…ゲート絶縁膜、40…誘電体層、41、42、43、44、45、49…層間絶縁膜、41g…溝、41g0…第1コンタクト部、41g1…第2コンタクト部、42a…第3コンタクト部、43a…第4コンタクト部、55…容量素子、80…電気光学層、100…電気光学装置、100B、100G、100R…ライトバルブ、2100…投射型表示装置、2102…光源部、2114…投射光学系、X…第1方向、Y…第2方向
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