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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】着用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/018 20060101AFI20231205BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A41D13/018
A41D13/05 106
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020165664
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057419
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 利仁
(72)【発明者】
【氏名】三浦 渉
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐亮
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211048465(CN,U)
【文献】特開2019-163574(JP,A)
【文献】特表2007-501339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0046253(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0183283(US,A1)
【文献】米国特許第06920647(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第106490720(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/015-13/018
A41D 13/05
B60R 21/20-21/36
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
骨盤周囲において前記装着者に装着される構成とされて、内部に膨張用ガスを流入させて、前記装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
該エアバッグが、膨張完了形状を、前記装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成される略板状として構成されるとともに、
膨張用ガスの流れの上流側に位置して、膨張完了時に前記骨盤の側方に配置される装着側部位と、
膨張完了時に該装着側部位から下方に延びるように配置されて、前記保護対象部位の外側を覆う保護本体部と、
を有する構成とされて、
浮き上がり抑制手段により、膨張完了時の前記保護本体部の前記装着者からの浮き上がりを抑制可能に、構成され
前記エアバッグ内に、前記装着側部位と前記保護本体部との境界部位付近において前記内側壁部と前記外側壁部とを連結するように、前記浮き上がり抑制手段としてのテザーが、配設され、
該テザーが、前記エアバッグを平らに展開した状態で、一方の端縁を内側壁部に結合させる内側結合部位を、他方の端縁を外側壁部に結合させる外側結合部位よりも上側に位置させるようにして、前記エアバッグ内に配設されていることを特徴とする着用エアバッグ装置。
【請求項2】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
骨盤周囲において前記装着者に装着される構成とされて、内部に膨張用ガスを流入させて、前記装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
該エアバッグが、膨張完了形状を、前記装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成される略板状として構成されるとともに、
膨張用ガスの流れの上流側に位置して、膨張完了時に前記骨盤の側方に配置される装着側部位と、
膨張完了時に該装着側部位から下方に延びるように配置されて、前記保護対象部位の外側を覆う保護本体部と、
を有する構成とされて、
浮き上がり抑制手段により、膨張完了時の前記保護本体部の前記装着者からの浮き上がりを抑制可能に、構成され
前記浮き上がり抑制手段として、
前記エアバッグ内に、膨張用ガスを流通可能で、かつ、前記装着側部位と前記保護本体部とを区画する隔壁が、配設され、
前記保護本体部が、膨張完了形状を、前記装着側部位よりも薄肉とするように、構成されていることを特徴とする着用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転倒時等において、装着者(例えば高齢者)の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置としては、腰に巻き付けるように装着して、作動時に、下方に向かって突出するように膨張したエアバッグにより腰部を覆う構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/207474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、エアバッグは、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する際に、外周面を湾曲させつつ厚く膨張することとなる。そのため、従来の着用エアバッグ装置の如く、腰に巻き付けられた状態から、下方に向かって突出させるように、エアバッグを膨張させる場合、膨張したエアバッグが腰部から離れるように浮き上がってしまって、転倒時等に、腰部を迅速かつ的確に覆うことができない虞れが生じていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、装着者の腰部を安定して保護可能な着用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る着用エアバッグ装置は、装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
骨盤周囲において装着者に装着される構成とされて、内部に膨張用ガスを流入させて、装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグを、備え、
エアバッグが、膨張完了形状を、装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成される略板状として構成されるとともに、
膨張用ガスの流れの上流側に位置して、膨張完了時に骨盤の側方に配置される装着側部位と、
膨張完了時に装着側部位から下方に延びるように配置されて、保護対象部位の外側を覆う保護本体部と、
を有する構成とされて、
浮き上がり抑制手段により、膨張完了時の保護本体部の装着者からの浮き上がりを抑制可能に、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の着用エアバッグ装置では、エアバッグにおいて、膨張完了時に、大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆う保護本体部が、骨盤の側方に配置される装着側部位から下方に延びるように配置される構成であっても、この保護本体部は、浮き上がり抑制手段によって、腰部からの浮き上がりを抑制された状態で、すなわち、保護対象部位(大腿骨転子部)に近接した状態で、配置されることとなる。そのため、保護本体部により、保護対象部位(大腿骨転子部)の外側を、迅速かつ的確に覆うことができる。
【0008】
したがって、本発明の着用エアバッグ装置では、装着者の腰部を安定して保護することができる。
【0009】
具体的には、エアバッグ内に、装着側部位と保護本体部との境界部位付近において内側壁部と外側壁部とを連結するように、浮き上がり抑制手段としてのテザーを、配設させ、
テザーを、エアバッグを平らに展開した状態で、一方の端縁を内側壁部に結合させる内側結合部位を、他方の端縁を外側壁部に結合させる外側結合部位よりも上側に位置させるようにして、エアバッグ内に配設させる構成とすることが好ましい。
【0010】
着用エアバッグ装置を上記構成とすれば、内部に、装着側部位と保護本体部との境界部位付近において内側壁部と外側壁部とを連結するテザーを配設させることにより、エアバッグが過度に厚く膨張することを抑制でき、またこのテザーは、一方の端縁を内側壁部に結合させる内側結合部位を、他方の端縁を外側壁部に結合させる外側結合部位よりも上側に位置させるように、構成されており、換言すれば、テザーは、上端を起点として、装着側部位を構成する内側壁部の膜長を、外側壁部の膜長よりも短くするように配設されることから、エアバッグの膨張完了時に、保護本体部を、下端側を装着者側(内側)に向けるように、エアバッグを、内側結合部位を起点として曲げるようにして配置させることができ、保護本体部の腰部からの浮き上がりを、的確に抑制することができて、保護本体部により、保護対象部位(大腿骨転子部)の外側を、的確に覆うことができる。
【0011】
また、浮き上がり抑制手段として、内側壁部の上下方向側での膜長を外側壁部と比較して短くするようなつまみ部を、内側壁部の領域に、形成し、
つまみ部を、装着側部位の領域内に、配設させる構成としてもよい。
【0012】
着用エアバッグ装置をこのような構成とすれば、内側壁部側につまみ部を設けることにより、装着側部位から保護本体部にかけての内側壁部の上下方向側での膜長を、外側壁部の上下方向側での膜長よりも短くすることができ、内側壁部を、つまみ部を起点として曲げるように配置させることができて、膨張完了時の下端側(保護本体部の下端側)を、装着者側(内側)に向けることができる。また、このつまみ部は、装着側部位の領域に配設される構成であることから、上方に配置されるつまみ部を起点とするようにして、保護本体部を、上下の略全域にわたって装着者側に近接して配置させることができて、保護本体部が、保護対象部位から離隔することを、的確に抑制することができ、保護本体部により、保護対象部位(大腿骨転子部)の外側を、的確に覆うことができる。
【0013】
さらに、浮き上がり抑制手段として、
エアバッグ内に、膨張用ガスを流通可能で、かつ、装着側部位と保護本体部とを区画する隔壁を、配設させ、
保護本体部を、膨張完了形状を装着側部位よりも薄肉とするように、構成してもよい。
【0014】
着用エアバッグ装置をこのような構成とすれば、エアバッグの膨張初期に、まず、装着側部位が内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなり、その後、保護本体部が内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなるが、保護本体部と装着側部位とは、膨張用ガスを流通可能な隔壁によって区画されていることから、保護本体部内には、隔壁を経て、装着側部位から、下方に向かうように、膨張用ガスが流れることとなる。また、保護本体部は、装着側部位よりも薄肉に膨張するように構成されている。保護対象部位としての大腿骨転子部は、装着者の身体の水平方向の中心に対して、骨盤よりも左右の外方に、位置しているが、上記構成の着用エアバッグ装置では、大腿骨転子部の外方を覆う保護本体部を、骨盤の側方に配置されている装着側部位よりも薄肉としており、換言すれば、保護本体部は、装着側部位に対して相対的に凹むように配置されることから、骨盤よりも左右の外方に位置している大腿骨転子部(保護対象部位)を覆う構成であっても、大腿骨転子部の骨盤からの突出状態を、装着側部位と保護本体部との厚みの寸法差によって吸収させることができて、保護本体部が、下端側を装着者から離隔させるように拡開された状態で配置されることを抑制できて、保護本体部の装着者からの浮き上がりを、的確に抑制することができる。その結果、保護本体部により、保護対象部位(大腿骨転子部)の外側を、的確に覆うことができる。
【0015】
さらにまた、着用エアバッグ装置は、下記構成としてもよい。
【0016】
装着者の腰部を保護可能に構成される着用エアバッグ装置であって、
骨盤周囲において装着者に装着される構成とされて、内部に膨張用ガスを流入させて、装着者の左右の大腿骨転子部からなる保護対象部位の外側を覆うように、膨張可能とされるエアバッグと、
エアバッグに膨張用ガスを供給するガス発生器と、
を、備え、
エアバッグが、膨張完了形状を、装着者側に配置される内側壁部と、外側に配置される外側壁部と、の周縁相互を結合させて構成される略板状として構成されて、上縁側を、骨盤の周囲に巻き付けられる巻付部位側として、装着者に装着されるとともに、膨張完了時に保護対象部位の外側をそれぞれ覆うように配置される2つの保護本体部と、ガス発生器と接続されるガス供給路部と、ガス供給路部と各保護本体部とを連通させる2つのガス流路部と、を備える構成とされて、
ガス供給路部が、骨盤の後方に配置される構成とされ、
各ガス流路部が、ガス供給路部から左右方向の外方の下方へ延びて、保護本体部よりも下方となる位置で上方に向かうように反転されるようにして、先端側を、保護本体部に連通されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成の着用エアバッグ装置では、エアバッグにおいて、膨張完了時に保護対象部位としての大腿骨転子部の外側を覆う保護本体部が、骨盤の後方に配置されるガス供給路部とガス流路部とを経て、下方から保護本体部の内部に膨張用ガスを流入させて膨張する構成であり、ガス流路部内においては、膨張用ガスは、装着者の中心から離れるように流れることとなるが、エアバッグは、上縁側を、骨盤の周囲に巻き付けられていることから、ガス流路部を経て保護本体部内に流入する膨張用ガスは、反転して装着者の中心側に向かうように流れることとなる。そのため、保護本体部が、装着者から離隔して配置されることを、エアバッグ内への膨張用ガスの流れによって、抑制することができ、保護対象部位の外側を、保護本体部によって、的確に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態である着用エアバッグ装置を、装着者に装着させた状態の概略図である。
図2】実施形態の着用エアバッグ装置を平らに展開した状態の平面図である。
図3】実施形態の着用エアバッグ装置の概略縦断面図であり、図2のIII-III部位に対応する。
図4】実施形態の着用エアバッグ装置において使用するエアバッグを平らに展開した状態の平面図である。
図5】実施形態の着用エアバッグ装置において、装着者に装着させた状態で、エアバッグが膨張を完了させた状態の概略図である。
図6】実施形態の着用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態の前後方向に沿った概略部分横断面図(左側の概略横断面図)である。
図7】実施形態の着用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す装着状態での概略縦断面図である。
図8】本発明の他の実施形態であるエアバッグを示す部分拡大平面図である。
図9図8のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略縦断面図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを示す部分拡大平面図である。
図11図10のエアバッグの概略縦断面図であり、図10のXI-XI部位に対応する。
図12図10のエアバッグの概略横断面図であり、図10のXII-XII部位に対応する。
図13図10のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略縦断面図である。
図14】本発明のさらに他の実施形態であるエアバッグを示す平面図である。
図15図14のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略斜視図である。
図16図14のエアバッグにおいて、展開膨張時の膨張用ガスの流れを示す概略横断面図である。
図17図14のエアバッグを膨張させた状態を示す着用状態での概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、図1に示すように、装着者Mの腰部MWの周囲(詳細には、骨盤MPの周囲)に巻き付けるように装着するタイプの着用エアバッグ装置Sを例に採り、説明する。実施形態では、上下,前後,左右の方向は、特に断らない限り、装着者Mに装着させた状態での装着者Mの上下,前後,左右の方向と一致するものである。
【0020】
着用エアバッグ装置Sは、図1~3に示すように、エアバッグ10と、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するガス発生器5と、装着者Mの転倒を検知するセンサ部2を備えてガス発生器5を作動させる作動制御装置1と、エアバッグ10の外周側を覆うアウタカバー部25と、を備える構成とされている。実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10は、図2,3に示すように、平らに展開された状態で、アウタカバー部25内に配置されている。
【0021】
作動制御装置1は、上下前後左右の3軸回りの角速度を検知可能な角速度センサと、3軸方向の加速度を検知可能な加速度センサと、を有するセンサ部2を、備えるとともに、センサ部2からの信号によって、装着者Mの通常動作と異なる転倒動作を検知すると、ガス発生器5を作動させるように、構成されている。具体的には、装着者Mが通常動作と異なった転倒動作を開始していると、作動制御装置1は、種々の閾値から判定可能な判定手段を備えていることから、その判定手段の判定に基づいて装着者Mの転倒を検出し、ガス発生器5を作動させることとなる。この作動制御装置1には、センサ部2の作動用やガス発生器5の作動用信号の出力のために、図示しない電池等からなる電源が、内蔵されている。
【0022】
エアバッグ10は、可撓性を有したシート体から形成されるもので、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されている。このエアバッグ10は、アウタカバー部25における後述するベルト状部27を利用して、骨盤MPの周囲に巻き付けられるようにして、装着者Mに装着される構成である。実施形態の場合、エアバッグ10は、装着状態において、装着者Mの腰部MWの左右の側方を覆うように、配置される(図1参照)。エアバッグ10は、図3,4に示すように、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部10aと、外側に配置される外側壁部10bと、を有し、内側壁部10aと外側壁部10bとの周縁相互を、縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。実施形態の場合、エアバッグ10は、図4に示すように、装着者Mの腰部MWの左右の側方を覆う2つのバッグ本体13(13L,13R)と、バッグ本体13(13L,13R)の上端13a側においてバッグ本体13(13L,13R)相互を連通させるガス供給路部12と、を備えている。エアバッグ10は、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。
【0023】
ガス供給路部12は、膨張完了形状を、左右方向に略沿った棒状として構成されている。このガス供給路部12は、実施形態の場合、詳細な図示は省略するが、エアバッグ10の膨張完了時に、装着者Mの骨盤MPの後方となる位置に、配置されることとなる。実施形態では、このガス供給路部12の部位に、ガス発生器5が、エアバッグ10の内部に膨張用ガスを供給可能に連結されている(図2参照)。ガス発生器5は、詳細な図示を省略するが、ガス供給路部12の長手方向の中央付近に配置されるもので、内部に圧縮ガスを封入させて構成されて、作動時に、封入状態を解除されて、エアバッグ10内にコールドガスを噴出可能な構成とされている。このガス発生器5は、上述した作動制御装置1と電気的に接続されており、装着者Mの転倒を検知した作動制御装置1からの作動信号を入力させて、作動される構成である。
【0024】
各バッグ本体13(13L,13R)は、実施形態の場合、図4に示すように、それぞれ、装着側部位15と、装着側部位15から下方に延びるように配置される保護本体部16と、を備えている。
【0025】
装着側部位15は、実施形態の場合、エアバッグ10を平らに展開した状態において、ガス供給路部12から連なってガス供給路部12の左方と右方とに延びるように形成されるもので、バッグ本体13の上端13a側となる膨張用ガスGの流れの上流側に位置している。また、この装着側部位15は、装着時に、アウタカバー部25における後述するベルト状部27を利用して、装着者Mの腰部MWの周囲に巻き付けられる構成であり、エアバッグ10の膨張完了時に、装着者Mの骨盤MPの側方に配置されることとなる(図7参照)。装着側部位15は、実施形態の場合、間に配置されるガス供給路部12を含めて、平らに展開した状態のエアバッグ10の上縁10c側における左右の略全域にわたって、配設されている。
【0026】
保護本体部16は、膨張完了時に装着側部位15から下方に延びるようにバッグ本体13の下端13b側に配置されて、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を覆う構成とされるもので、実施形態の場合、大腿骨転子部TPの周囲を広く覆い可能に、平らに展開した状態の外形形状を、左右方向側を上下方向側よりやや幅広として、かつ、下端16a側にかけて僅かに狭幅とした略台形状として、構成されている。保護本体部16は、左右方向側の幅寸法を、装着側部位15における左右方向側の幅寸法と略同一として、構成されている。この保護本体部16は、図6,7に示すように、膨張完了時に、大腿骨転子部TPの外側を前後上下で広く覆い可能に構成されている。
【0027】
そして、実施形態のエアバッグ10では、装着側部位15と保護本体部16とは、バッグ本体13(13L,13R)の内部に配置されるテザー18によって、区画されている。実施形態の場合、テザー18は、エアバッグ10における内側壁部10aと外側壁部10bとの離隔距離を規制して、かつ、装着側部位15と保護本体部16との間を、略全面にわたって塞ぎ可能に構成されるもので、長さ寸法を、バッグ本体13の左右方向側の幅寸法よりも僅かに小さく設定される帯状として、内側端縁18aを内側壁部10aに結合され、内側端縁18aと対向する外側端縁18bを外側壁部10bに結合されるようにして、バッグ本体13内に配置されている(図3,4参照)。テザー18には、装着側部位15内に流入した膨張用ガスを保護本体部16内に流出可能なガス流通孔19が、長手方向に沿って複数個(実施形態の場合、3個)形成されている。このテザー18は、浮き上がり抑制手段を構成するもので、実施形態の場合、図3に示すように、エアバッグ10を平らに展開した状態で、内側端縁18aを内側壁部10aに結合させる内側結合部位22を、外側端縁18bを外側壁部10bに結合させる外側結合部位23よりも上側に位置させるようにして、エアバッグ10内に配設される。すなわち、実施形態のエアバッグ10では、装着側部位15が、装着者M側に配置される内側壁部15aの上下方向側での膜長(上縁10cから内側結合部位22までの膜長L1)を、外側に配置される外側壁部15bの上下方向側での膜長(上縁10cから外側結合部位23までの膜長L2)よりも、短くするように、構成されている(図3参照)。内側結合部位22と外側結合部位23とは、ともに、実施形態の場合、縫合糸を用いて、テザー18の内側端縁18a,外側端縁18bを、略全長にわたって、連続的に、内側壁部10a,外側壁部10bに縫着させるようにして、形成されている(図4参照)。
【0028】
アウタカバー部25は、エアバッグ10を構成する基布よりも触感の良好な可撓性を有した織布から形成されるもので、エアバッグ10の外周面を全周にわたって覆う構成とされている。アウタカバー部25は、装着時に内側(装着者M側)に配置される内側壁部25aと、装着時に外側に配置される外側壁部25bと、を有し、内側壁部25aと外側壁部25bとの外周縁相互を結合(縫着)させることにより、袋状とされるもので、内部でエアバッグ10を円滑に膨張可能なように、平らに展開した状態の外形形状を、平らに展開した状態でのエアバッグ10よりも大きく設定されている(図2,3参照)。また、アウタカバー部25は、図2に示すように、上縁側に、左右の外方にそれぞれ突出するベルト状部27,27を、有している。このベルト状部27は、先端27a側に、装着手段を有する構成とされている。装着手段としては、実施形態では、装着者Mの腰回りの寸法に応じて容易に微調整可能で、かつ、着脱を容易とするように、それぞれ、ベルト状部27の先端27a側に配置される鉤状側部28aとループ側部28bとを有して、ベルト状部27の先端27a相互を連結可能な一対の面状ファスナー28が、用いられている。
【0029】
実施形態の着用エアバッグ装置Sは、アウタカバー部25のベルト状部27の先端27a相互を、装着手段としての面状ファスナー28を利用して連結させることにより、装着者Mの腰部MW(骨盤MP)の周囲に巻き付けられるようにして、装着者Mに装着されることとなる。そして、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、装着者Mに装着させた状態で、センサ部2が装着者Mの転倒を検知すれば、作動制御装置1からガス発生器5に作動信号が出力されて、エアバッグ10の内部に膨張用ガスが流入することとなり、エアバッグ10が、図5~7に示すように膨張を完了させることとなる。
【0030】
そして、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10において、膨張完了時に、大腿骨転子部TPからなる保護対象部位の外側を覆う保護本体部16が、骨盤MPの側方に配置される装着側部位15から下方に延びるように配置される構成であっても、この保護本体部16は、浮き上がり抑制手段としてのテザー18によって、腰部MWからの浮き上がりを抑制された状態で、すなわち、保護対象部位(大腿骨転子部TP)に近接した状態で、配置されることとなる(図7参照)。そのため、保護本体部16により、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を、迅速かつ的確に覆うことができる。
【0031】
したがって、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、装着者Mの腰部MWを安定して保護することができる。
【0032】
実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、浮き上がり抑制手段として、エアバッグ10(バッグ本体13)の内部に、装着側部位15と保護本体部16との境界部位付近において内側壁部10aと外側壁部10bとを連結するテザー18を配設させる構成であることから、エアバッグ10(バッグ本体13)が過度に厚く膨張することを抑制できる。またこのテザー18は、内側端縁18aを内側壁部10aに結合させる内側結合部位22を、外側端縁18bを外側壁部10bに結合させる外側結合部位23よりも上側に位置させるように、構成されており、換言すれば、テザー18は、装着側部位15の内側壁部15aの実質的な膜長L1を、外側壁部15bの実質的な膜長L2よりも短くするように配設されることから、図7に示すように、エアバッグ10の膨張完了時に、保護本体部16を、下端16a側を装着者M側(内側)に向けるように、エアバッグ10(バッグ本体13)を、内側結合部位22を起点として曲げるようにして配置させることができ、保護本体部16の腰部MWからの浮き上がりを、的確に抑制することができて、保護本体部16により、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。
【0033】
また、エアバッグ10Aとして、図8,9に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ10Aでは、内部にテザーを配置させず、バッグ本体13Aにおける内側壁部10aに、浮き上がり抑制手段として、内側壁部10aの上下方向側での膜長を外側壁部10bと比較して短くするようなつまみ部35を、設けている。つまみ部35は、内側壁部10aにおける装着側部位15Aの領域内に、形成されるもので、実施形態の場合、具体的には、エアバッグ10Aを平らに展開した状態において、図8に示すように、ガス供給路部12Aの下縁より僅かに上側となる位置の側方に、左右方向に沿って配置される切欠部35aを形成し、この切欠部の周縁相互を結合させるように結合部位35bを設けて、左右方向に略沿った長尺状として、形成されている。つまみ部の形成前の状態では、内側壁部10Aと外側壁部10bとは、外形形状を略同一とされている。
【0034】
このような構成のエアバッグ10A(バッグ本体13A)では、内側壁部10a側につまみ部35を設けることにより、装着側部位15Aから保護本体部16Aにかけての内側壁部10aの上下方向側での膜長を、外側壁部10bの上下方向側での膜長よりも短くすることができ、内側壁部10aを、つまみ部35を起点として曲げるように配置させることができて(図9参照)、膨張完了時の下端13b側(保護本体部16Aの下端16a側)を、装着者M側(内側)に向けることができる。また、このつまみ部35は、装着側部位15Aの領域に配設される構成であることから、上方に配置されるつまみ部35を起点とするようにして、保護本体部16Aを、上下の略全域にわたって、装着者M側に近接して配置させることができて、保護本体部16Aが、保護対象部位(大腿骨転子部TP)から離隔することを、的確に抑制することができ、図9に示すように、保護本体部16Aにより、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。なお、図9では、アウタカバー部は省略されている。
【0035】
さらに、エアバッグ10Bとして、図10~13に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ10Bでは、バッグ本体13Bの内部に、装着側部位15Bと保護本体部16Bとを区画する隔壁40が、形成され、保護本体部16Bが、膨張完了形状を、装着側部位15Bよりも薄肉とするように、構成されている。具体的には、隔壁40は、装着側部位15Bと保護本体部16Bとの間を、略全面にわたって塞ぎ可能に構成されるもので、長さ寸法を、バッグ本体13Bの左右方向側の幅寸法と略同一に設定される帯状として、端縁40aを内側壁部10aに結合され、端縁40aと対向する端縁40bを外側壁部10bに結合されるようにして、バッグ本体13B内に配置されている(図10参照)。この隔壁40は、端縁40a,40bを、それぞれ、内側壁部10a,外側壁部10bに結合させている内側結合部位43,外側結合部位44の位置を、上下方向側で略一致させるように、配設されている。すなわち、隔壁40は、エアバッグ10Bの膨張完了時に、水平方向に略沿って配置されることとなる(図13参照)。隔壁40には、装着側部位15B内に流入した膨張用ガスを保護本体部16B内に流出可能なガス流通孔41が、長手方向に沿って複数個(実施形態の場合、3個)形成されている。保護本体部16Bの領域内には、保護本体部16Bの膨張完了形状を薄肉とするために、内側壁部10aと外側壁部10bとを直接結合させるシーム部47が、配設されている。シーム部47は、実施形態の場合、上下方向に略沿った直線状として、バッグ本体13Bを平らに展開した状態において、左右方向側で3個並設されている。エアバッグ10Bでは、隔壁40とシーム部47とが、浮き上がり抑制手段を構成している。
【0036】
このような構成のエアバッグ10B(バッグ本体13B)では、エアバッグ10Bの膨張初期に、まず、装着側部位15Bが内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなり、その後、保護本体部16Bが内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなるが、保護本体部16Bと装着側部位15Bとは、膨張用ガスを流通可能な隔壁40によって区画されていることから、保護本体部16B内には、隔壁40に形成されるガス流通孔41を経て、装着側部位15Bから、下方に向かうように、膨張用ガスGが流れることとなる(図13参照)。また、保護本体部16Bは、膨張完了時の幅寸法W1を、装着側部位15Bの幅寸法W2よりも小さくして、装着側部位15Bよりも薄肉に膨張するように構成されている。保護対象部位としての大腿骨転子部TPは、装着者Mの身体の水平方向の中心に対して、骨盤MPよりも左右の外方に、位置しているが、エアバッグ10Bでは、大腿骨転子部TPの外方を覆う保護本体部16Bを、骨盤MPの側方に配置されている装着側部位15Bよりも薄肉としており、換言すれば、保護本体部16Bは、装着側部位15Bに対して相対的に凹むように配置されることから、骨盤MPよりも左右の外方に位置している大腿骨転子部TP(保護対象部位)を覆う構成であっても、大腿骨転子部TPの骨盤MPからの突出状態を、装着側部位15Bと保護本体部16Bとの厚みの寸法差によって吸収させることができて、保護本体部16Bが、下端16a側を装着者Mから離隔させるように拡開された状態で配置されることを抑制できて、保護本体部16Bの装着者Mからの浮き上がりを、的確に抑制することができる。その結果、保護本体部16Bにより、保護対象部位(大腿骨転子部TP)の外側を、的確に覆うことができる。特に、実施形態では、エアバッグ10Bは、図示を省略されているアウタカバー部のベルト状部を利用して、装着側部位15Bの部位を、装着者Mの腰部MWの周囲に巻き付けられる構成であることから、装着側部位15Bから下方に延びる保護本体部16Bは、装着者Mから浮き上がりやすくなるが、装着側部位15Bと比較して薄肉に膨張させることにより、このような浮き上がりを的確に抑制することができる。
【0037】
さらにまた、エアバッグ50として、図13,14に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ50は、外形形状を略同一として、装着時に装着者M側(内側)に配置される内側壁部50aと、外側に配置される外側壁部50bと、を有し、内側壁部50aと外側壁部50bとの周縁相互を、縫着(結合)させることにより、膨張完了形状を略板状とした袋状とされている。実施形態の場合、エアバッグ50は、図14に示すように、膨張完了時に保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側をそれぞれ覆うように配置される2つの保護本体部52(52L,52R)と、ガス発生器(図示省略)と接続されるガス供給路部51と、ガス供給路部51と各保護本体部52(52L,52R)とを連通させる2つのガス流路部53(53L,53R)と、を備える構成とされている。エアバッグ50は、平らに展開した状態で、左右対称形とされている。このエアバッグ50は、前述の着用エアバッグ装置Sと同様に、外周側をアウタカバー部25により覆われており(図17の二点鎖線参照)、前述の着用エアバッグ装置Sと同様に、アウタカバー部25の図示しないベルト状部を利用して、上縁50c側となるガス供給路部51側の部位を、骨盤MPの周囲に巻き付けられる巻付部位側として、装着者Mに装着される構成である。
【0038】
ガス供給路部51は、エアバッグ50における上縁50c側であって左右方向の中央側に配置されるもので、膨張完了形状を、左右方向に略沿った棒状として、エアバッグ50の膨張完了時には、装着者Mの骨盤MPの後方となる位置に配置される部位である(図15,16参照)。このガス供給路部51は、前述のエアバッグ10におけるガス供給路部12と同様に、図示しないガス発生器と接続される構成である。
【0039】
保護本体部52(52L,52R)は、上端を、ガス供給路部51の上縁よりも下方に位置させるように、ガス供給路部51に対して段差を設けられるようにして、配置されている(図14参照)。すなわち、各保護本体部52は、エアバッグ50の膨張完了時には、骨盤MPの後方に配置されるガス供給路部51よりも下側に配置されることとなり、換言すれば、骨盤MPよりも下方となる位置に配置されることとなる(図16参照)。各保護本体部52(52L,52R)とガス供給路部51とを連通させる2つのガス流路部53(53L,53R)は、ガス供給路部51の端部から、左右方向の外方の下方へ延びて、保護本体部52よりも下方となる位置で上方に向かうように反転されるようにして、先端53a側を、保護本体部52の下端52a側に連結される構成とされている。詳細には、各ガス流路部53は、エアバッグ50を平らに展開した状態で、略J字形状に、形成されており、先端53aを、各保護本体部52における膨張完了時の前下端側に、連結させる構成とされている。そして、各保護本体部52は、エアバッグ50を平らに展開した状態において、ガス流路部53の先端53aから左右の中央側に張り出すようにして、外形形状を、略長方形状として、構成されている。保護本体部52は、図15,17に示すように、膨張完了時に、大腿骨転子部TPの外側を前後上下で広く覆い可能に、構成されている。
【0040】
このような構成のエアバッグ50では、膨張完了時に左右の大腿骨転子部TPの外側を覆う各保護本体部52が、それぞれ、膨張初期に、骨盤MPの後方に配置されるガス供給路部51とガス流路部53とを経て、下方から保護本体部52の内部に膨張用ガスを流入させて膨張する構成であり、ガス流路部53内においては、図16に示すように、膨張用ガスGは、装着者Mの中心から離れるように流れることとなるが、エアバッグ50は、上縁50c側を、骨盤MPの周囲に巻き付けられていることから、ガス流路部53を経て保護本体部52内に流入する膨張用ガスは、反転して装着者Mの中心側に向かうように流れることとなる。具体的には、上記構成のエアバッグ50では、ガス流路部53の先端53aは、ガス供給路部51から離れた保護本体部52の前下端側に連結される構成であり、保護本体部52は、前下端側から内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなるが、このとき、膨張用ガスは、保護本体部52内を、装着者Mの身体の水平方向中心側に向かうように流れることとなる。そのため、保護本体部52が、装着者Mから離隔して配置されることを、エアバッグ50内への膨張用ガスの流れによって、抑制することができ、保護対象部位としての大腿骨転子部TPの外側を、保護本体部52によって、的確に覆うことができる。
【0041】
実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10,10A,10B,50の2つの保護本体部16,16A,16B,52によって、装着者Mの大腿骨TBの付け根付近(大腿骨転子部TP)を安定して保護することができることから、装着者Mが、転倒によって、治療が長引く大腿骨TBを骨折することを、抑制することができ、高齢者に好適に使用することができる。
【0042】
また、実施形態の着用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ10,10A,10Bとして、ガス供給路部12によって連結される2つのバッグ本体13,13A,13Bを有し、各バッグ本体13,13A,13Bにより左右の保護対象部位(大腿骨転子部TPを保護する構成のものを使用しているが、エアバッグの構成は実施形態に限られるものではなく、左右の保護対象部位をそれぞれ保護可能に、別体のエアバッグと、各エアバッグにそれぞれ膨張用ガスを供給可能な別体のガス発生器と、を配置させるように、構成してもよい。
【0043】
なお、実施形態では、着用エアバッグ装置として、ベルト状の部位を有して、腰部の周囲に巻き付けるようにして装着させるタイプのものを例に採り説明しているが、本発明を適用可能な着用エアバッグ装置は、実施形態に限定されるものではなく、例えば、ベストやジャケットなど、装着者の胴部に着用させ、着用状態での下端側からエアバッグを突出させるように膨張させるタイプの着用エアバッグ装置に、本発明を適用してもよい。また、実施形態では、エアバッグが、アウタカバー部の内部に平らに展開した状態で収納されているが、勿論、エアバッグは、折り畳まれた状態でアウタカバー部の内部に収納させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10,10A,10B…エアバッグ、10a…内側壁部、10b…外側壁部、15,15A,15B…装着側部位、16,16A,16B…保護本体部、16a…下端、18…テザー(浮き上がり抑制手段)、18a…内側端縁、18b…外側端縁、19…ガス流通孔、22…内側結合部位、23…外側結合部位、35…つまみ部(浮き上がり抑制手段)、40…隔壁(浮き上がり抑制手段)、41…ガス流通孔、47…シーム部(浮き上がり抑制手段)、50…エアバッグ、50a…内側壁部、50b…外側壁部、51…ガス供給路部、52(52L,52R)…保護本体部、52a…下端、53(53L,53R)…ガス流路部、53a…先端、M…装着者、MW…腰部、MP…骨盤、TB…大腿骨、TP…大腿骨転子部、S…着用エアバッグ装置。
図1
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